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防鎖

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ロンドンデリー包囲戦フォイル川を封鎖する防鎖

防鎖(ぼうさ、英語: boom, chain)は、河川を封鎖し船舶の通行を妨げるために用いられる太く頑丈な[1]。一般に軍事目的で、敵の侵入を阻むために設置される。近現代においては潜水艦の侵入を阻止する防潜網が挙げられる。また河川に設置し、船舶から通行料をとる例も見られた[2]

概要

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英語ではブーム(boom)とチェーン(chain)という2通りの言葉があるが、ブームは水面に浮く防材のみを指すのに対し、チェーンは加えて水中に渡す防鎖も指す。

中世ヨーロッパの港では、湾口の両岸に鎖塔が建てられ、ここから常に鎖が渡されていた。平時は鎖を緩めて沈めているのだが、戦時には巻き上げて水面に引き上げ、湾口を封鎖するのである。 これにより味方を通行させ、敵を妨げるというような応変の制御が容易にできた。鎖の巻き上げ・巻き下げには、ウィンドラス(ハンドル式揚錨機)やキャプスタン(絞盤)が用いられることもあった[3]

防鎖の有効性

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防鎖による防衛は万全というわけではなく、しばしば大型船の強行突破を受け破壊されてしまうこともあった。例としてダミエッタ包囲戦メドウェイ川襲撃ビーゴ湾の海戦が挙げられる[4][5][6][7]A。またロンドンデリー包囲戦ではロングボートによる体当たりで突破されている。

防鎖はそれ自体が防衛設備であるが、港湾防衛の要としてさらに周辺の防衛施設で守られるのが常だった。帆船時代には、防鎖の後ろには常に数隻の軍艦が控えており、防鎖の破壊を試みる敵船を舷側砲で撃退した。また何本もの鎖を並べてより強固な封鎖とすることもあった。

ギャラリー

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著名な防鎖

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注釈

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A.^ ダミエッタ包囲戦とメドウェイ川襲撃については、敵船によって破壊されたのではなく事前に解体されていたという資料もある。

脚注

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  1. ^ Philip Davis (May 7, 2012). “Site types in the Gatehouse listings — Chain Tower”. Gatehouse. October 17, 2013閲覧。
  2. ^ Boom Towers, Norwich
  3. ^ Bob Hind (January 27, 2013). “Filling in the missing links on history of harbour chain”. The News. http://www.portsmouth.co.uk/nostalgia/filling-in-the-missing-links-on-history-of-harbour-chain-1-4726442 October 17, 2013閲覧。 
  4. ^ Gibbon, Edward. The History of the Decline and Fall of the Roman Empire, Volume 6. p. 510 
  5. ^ THE DUTCH IN THE MEDWAY - 1667”. M.A. de Ruyter Foundation. October 21, 2013時点のオリジナルよりアーカイブ。October 21, 2013閲覧。
  6. ^ Hervey, Frederic (1779). The Naval History of Great Britain: From the Earliest Times to the Rising of the Parliament in 1779. W Adlard. pp. 77 
  7. ^ Long, WH (2010). Medals of the British Navy and How They Were Won. Great Britain: Lancer Publishers. p. 24. ISBN 9781935501275. https://books.google.com/books?id=HSUglhRBzFgC&dq=torbay+chain&source=gbs_navlinks_s 

関連項目

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