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防ぎうる死

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
英国イングランド、ウェールズにおいては、すべての死亡のおよそ24%は予防可能な要因によるものだったと推定されている。その上位は、男性では虚血性心疾患、女性では肺がんであった。

世界保健機関(WHO)はこれまでヒトの死因を分類してきたが、そのいくつかは防ぎえたリスクファクター危険因子英語版)によるものであり、それにはタバコ喫煙や、不健康な食生活、性的行動、無謀運転などが含まれる。またこれらは別の疾病も増加させる。これは公衆衛生上の概念では防ぎうる死(ふせぎうるし)、プレベンタブル・デス(Preventable Deaths)、アボイダブル・デス(avoidable deaths)などと呼ばれている。

また救急医学においては防ぎえた外傷死(Preventable Trauma Death)と呼ばれ、これはTRISS(Trauma and Injury Severity Score)法によって判断される[1]。TRISS法においてはPsが0.25以下を防ぎえない死(non-preventable death, NP)、0.25~0.5を恐らく防ぎうる死(possible preventable death, PP)、0.5以上を確実に防ぎうる死(definitely preventable death, DP)と算出している[1]

世界

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世界においては1日当たり、おおよそ15万人が死を迎えるが、そのうち2/3は高齢による加齢関連英語版が死因である[2]。先進国になるとその割合は高く、90%ほどが加齢関連である[2]

2001年

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2001年において防ぎえる死は、DCPN(米国疾病管理協会英語版[3] および世界保健機関(WHO)によれば以下であった[4]

死因 年間死亡者数(百万人)
高血圧 7.8
喫煙 5.4
栄養失調 3.8
性感染症 3.0
栄養不良(不健康な食生活 2.8
太り過ぎ英語版肥満 2.5
運動不足 2.0
アルコール乱用 1.9
固形燃料による室内の空気汚染 1.8
安全でない水と、不衛生衛生 1.6

2001年には、1日当たり平均で29,000人の子供が防ぎえる原因で死亡している。

米国

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米国における年間死者数は以下の通り。

原因 年間死者 割合(%) ノート
喫煙 435,000[5] 18.1%
病院における、防ぎえた医療過誤 210,000 to 448,000[6] 23.1%
太りすぎ、肥満 111,900[7] 4.6%
アルコール乱用 85,000[5] 3.5%
感染症 75,000[5] 3.1%
有毒物質への暴露毒素粒子状物質ラドンなど) 55,000[5] 2.3%
交通事故 43,000[5] 1.8%
防ぎえた大腸がん [8] 41,400 1.7%
銃器による死英語版 31,940[9] 1.3% 自殺:19,766人。殺人:11,101。事故852。不明:822。
性感染症 20,000[5] 0.8%
薬物乱用 17,000[5] 0.7%

脚注

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  1. ^ a b Chiara, Osvaldo; Cimbanassi, Stefania; Pitidis, Alessio; Vesconi, Sergio (2006). World Journal of Emergency Surgery 1 (1): 12. doi:10.1186/1749-7922-1-12. ISSN 17497922. 
  2. ^ a b Aubrey D.N.J, de Grey (2007). “Life Span Extension Research and Public Debate: Societal Considerations” (PDF). Studies in Ethics, Law, and Technology 1 (1, Article 5). doi:10.2202/1941-6008.1011. http://www.sens.org/files/pdf/ENHANCE-PP.pdf August 7, 2011閲覧。. 
  3. ^ DCP3”. washington.edu. 2013年1月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年1月28日閲覧。
  4. ^ “Global and regional burden of disease and risk factors, 2001: systematic analysis of population health data”. Lancet 367 (9524): 1747-57. (May 2006). doi:10.1016/S0140-6736(06)68770-9. PMID 16731270. 
  5. ^ a b c d e f g “Actual causes of death in the United States, 2000”. JAMA 291 (10): 1238-45. (March 2004). doi:10.1001/jama.291.10.1238. PMID 15010446. http://www.csdp.org/research/1238.pdf. 
  6. ^ James, John T. (2013). “A New, Evidence-based Estimate of Patient Harms Associated with Hospital Care”. Journal of Patient Safety 9 (3): 122-128. doi:10.1097/PTS.0b013e3182948a69. PMID 23860193. http://journals.lww.com/journalpatientsafety/Fulltext/2013/09000/A_New,_Evidence_based_Estimate_of_Patient_Harms.2.aspx 2014年2月21日閲覧。. 
  7. ^ Flegal, K.M., B.I. Graubard, D.F. Williamson, and M.H. Gail. (2005). “Obesity”. Journal of the American Medical Association 293 (15): 1861-1867. doi:10.1001/jama.293.15.1861. PMID 15840860. 
  8. ^ Centers for Disease Control and Prevention. “Colorectal Cancer Statistics”. January 12, 2015閲覧。
  9. ^ Deaths: Preliminary Data for 2011”. CDC. 2014年2月21日閲覧。