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関根康正

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

関根 康正 (せきね やすまさ、1949年9月 - )は、日本の文化人類学者。元関西学院大学社会学部教授、京都精華大学客員教授。東京工業大学、同大大学院で土木工学を専攻後、チベット・ネパール研究やKJ法で知られる川喜田二郎[1]と新アニミズム論を唱える岩田慶治[2]の影響で、文化人類学へ転向。

経歴

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1949年、群馬県生まれ。1968年、東京都立小山台高等学校卒業。1973年、東京工業大学工学部土木工学科卒業。1975年、東京工業大学大学院理工学研究科修士課程(地域計画専攻)を修了。ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)大学院(人類学・社会学専攻)に留学し、1984年に修士課程、1993年に博士課程をそれぞれ修了。工学修士(東京工業大学)、社会人類学MA(University of London)、及び社会人類学Ph.D(University of London)[3]

職歴は、東京工業大学工学部人文社会群文化人類学研究室助手、学習院女子短期大学人文学科文化史専攻専任講師・助教授・教授、筑波大学歴史・人類学系助教授、日本女子大学人間社会学部教授、関西学院大学社会学部教授(定年退職)。この間、国立民族学博物館の併任教授、客員教授や、ロンドン大学SOAS客員研究員など。日本南アジア学会常任理事や編集委員長等、日本文化人類学会の評議員・理事・監事等を歴任。公益信託澁澤民族学振興基金運営委員会委員・委員長、第26期日本文化人類学学会会長、Advisory committee member of WCAA[4]。2019年度、第14回日本文化人類学会賞を受賞[5]

主要な研究内容と著作

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南アジア、東南アジア、英国を主なフィールドワークの対象とする。研究テーマとしては、居住空間の人類学、カースト社会論、ケガレ観念と不可触民に関する研究、宗教対立と融和の実相に関する研究、<都市的なるもの>の人類学、ネオリベラリズムに抗する<ストリート人類学>、ヘテロトピア・デザインをめぐる実践人類学、被差別民解放運動における当事者性の研究等がある[6]

単著
  • 「ロングハウスをめぐる空間構造:イバン族のばあい」, 『季刊人類学』, 10-2: 54-104, 1979年.
  • 「原風景試論:原風景と生活空間の創造に関する一考察」, 『季刊人類学』, 13-1: 164-191, 1982年.
  • Theories of Pollution : Theoretical Perspective and Practice in a South Indian Village (Monumenta Serindica No.21), Tokyo : Institute for the Study of Languages and Cultures of Asia and Africa、1989年
  • 「『オリエンタリズム』とインド社会人類学への試論」, 『社会人類学年報』, 20: 27-61, 1994年.
  • 『ケガレの人類学:南インド・ハリジャンの生活世界』東京大学出版会、1995年
  • 「〈他者〉と対面する住まい」,佐藤浩司編『《シリーズ建築人類学:世界の住まいを読む》第4巻:住まいに生きる』,学芸出版社, 1998年.
  • Anthropology of Untouchability: “Impurity”and“Pollution”in Tamil Society  (Senri Ethnological Studies 61), Osaka: National Museum of Ethnology、2002年
  • 『宗教紛争と差別の人類学』世界思想社、2006年
  • 『日本列島における<ケガレ観念>に関する総合的研究』(2002~2005年度科学研究費補助金基盤研究(C)(2)研究成果報告書), 日本女子大学、2007年
  • A Challenge to Theories Particularizing India: Why discrimination against Untouchables cannot be reduced to caste discrimination, New Delhi: Department of Sociology, Delhi School of Economics, University of Delhi、2009年
  • Pollution, Untouchability and Harijans:A South Indian Ethnography、Rawat Publications、2011年
  • Transnationality, Hope and ‘Recombinant Locality’: Knowledge as Capital and Resource, South Asia Research 32(1), 1-20, SOAS, University of London, 2012年。
  • Graffiti/street art in Tokyo and surrounding districts, Routledge Handbook of Graffiti and Street Art, Oxford: Routledge(with Yamakoshi, Hidetsugu), 2016
  • 例外状態』論から再考するストリート人類学:ネオリベラリズムに抗する<往路と復路>の人類学」(『文化人類学』84-4)、387~412頁、2020年3月。
  • 「〈往路と復路〉の人類学の地平:『ストリート人類学』の解題と補遺」(『社会人類学年報』45巻)、1~39頁、2019年11月。
  • 「『独立インド』をめぐるポストコロニアリズムについての一考察:非植民地化の「運動主体」としてのサバルタン/『ダリト』」泉水英計編『近代国家と植民地性』お茶の水書房, 2022年
共著
  • 『過疎地域問題調査報告書:集落再編成の構想及び手法』, 256頁,(財)過疎地域問題調査会 、1974年
  • 『スリランカの祭』岩田慶治井狩彌介鈴木正崇との共著 工作舎、1982年
  • From Community to Commonality: Multiple Belonging and Street Phenomena in the Era of Reflexive Modernization Center for Glocal Studies, Monika Salzbrunnとの共著、Seijo University、2011年
  • 『社会苦に挑む南アジアの仏教:B.R. アンベードカル佐々井秀嶺による不可触民解放闘争』根本達・志賀浄邦・鈴木晋介との共著、関西学院大学出版会、2016年

編著・共編著

  • 『南アジア地域における経済自由化と「宗教空間」の変容に関する人類学的研究:生活宗教に探る「宗教対立」解消の方途』(1999〜2001年度科学研究費補助金基盤研究(A)(2)研究成果報告書), 138頁, 日本女子大学、2002年
  • 『<都市的なるもの>の現在:文化人類学的考察』東京大学出版会、2004年
  • 『排除する社会・受容する社会:現代ケガレ論』新谷尚紀との共編著、吉川弘文館、 2007年
  • 『ストリートの人類学 上巻、下巻』国立民族学博物館、2009年
  • トランスナショナリズムと「ストリート」現象の人類学的研究(科学研究費補助金研究成果報告書・補完論文集:基盤研究(A)2006~2009年度)日本女子大学、2011年
  • 『フィールドワーカーズ・ハンドブック』世界思想社、鏡味治也・橋本和也・森山工との共編著、2011年
  • 『ストリート人類学:方法と理論の実践的展開』風響社、2018年
  • 『岩田慶治を読む: 今こそ〈自分学〉への道を』松本博之との共編著、京都大学学術出版会、2022年

脚注

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  1. ^ 「川喜田二郎 ーー21世紀に届く文明論的・生命論的応答」(清水 展・飯嶋 秀治(編)『自前の思想:時代と社会に応答するフィールドワーク』京都大学学術出版会、2020年 所収。
  2. ^ 『岩田慶治を読む』の2章及び5章(松本博之・関根康正(編)『岩田慶治を読む: 今こそ〈自分学〉への道を』京都大学学術出版会、2022年 所収)。
  3. ^ https://researchmap.jp/read0039648 2024年9月1日閲覧。
  4. ^ World Council of Anthropological Associations” (英語). www.waunet.org. 2020年7月7日閲覧。
  5. ^ 日本文化人類学会賞・学会奨励賞”. jasca.org. 2020年7月8日閲覧。
  6. ^ https://nrid.nii.ac.jp/ja/nrid/1000040108197/ 2024年9月1日閲覧。

外部リンク

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