鉄道駅バリアフリー料金制度
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鉄道駅バリアフリー料金制度(てつどうえきバリアフリーりょうきんせいど)は、都市部において利用者の薄く広い負担を得て、鉄道駅のバリアフリー化を進めることを目的として設けられた日本の鉄道料金制度である[1]。2021年(令和3年)12月28日に鉄道事業法施行規則および軌道法施行規則を改正して創設された[2][3]。
概要
[編集]鉄道の乗車料金は従来、運送にかかる対価である運賃と、特急などのサービスにかかる対価である料金に区別されてきた。これに対し、本制度の料金は駅のバリアフリー化(エレベーター・ホームドアなどの整備・更新)に使途を限定して、運賃に上乗せされるものである[3]。鉄道事業法施行規則では「利用者の円滑な移動及び施設の利用のために設けられる設備による安全かつ円滑な運送の確保に係る料金」として定められており、軌道法施行規則でも同様に定められている[2]。
対象となる都市部は主に東京・大阪・名古屋の三大都市圏で、普通乗車券1乗車あたり10円以下の上乗せが見込まれている[3]。国土交通省の通達では、通学定期料金については免除するなど家計負担への配慮を行うよう求めている[2]。
本制度を鉄道事業者が利用する際は、徴収する額や範囲、バリアフリー設備の整備計画などを国土交通大臣に届け出る必要がある[2][3]。また、整備計画について前年度の進捗状況等を毎年公表することが求められる[2]。
適用事業者
[編集]以下の17事業者が本料金の適用を届け出ている。特記なければ普通乗車券と通勤定期のみに鉄道駅バリアフリー料金を加算、小児半額、通学定期は不加算。
事業者名 | 適用範囲 | 適用開始日 | 備考 |
---|---|---|---|
京成電鉄[4] | 成田空港線を除く各線 | 2024年3月16日 | |
東日本旅客鉄道(JR東日本)[5][6] | 東京の電車特定区間 | 2023年3月18日 | |
東武鉄道[6] | 全線 | ||
西武鉄道[6] | 全線 | ||
小田急電鉄[6] | 全線 | 小児IC運賃は適用外。 | |
相模鉄道[6] | 全線 | ||
東京地下鉄(東京メトロ)[6] | 全線 | 南北線と施設を共有している都営三田線内の特定区間(目黒 - 白金高輪間)を含む[7]。 | |
横浜高速鉄道[6] | みなとみらい線 | ||
東海旅客鉄道(JR東海)[8] | 東海道新幹線 : 東京 - 品川間 | 定期券は東京 - 新横浜間に適用。 | |
東海道新幹線 : 豊橋 - 岐阜羽島間 東海道本線 : 豊橋 - 大垣間 中央本線 : 名古屋 - 多治見間 関西本線 : 名古屋 - 四日市間 武豊線 : 全線全駅 |
2024年4月1日 | 一部の区間では適用区間外の駅よりも適用区間内の手前の駅のほうが運賃が高額になるため、当該区間に特定区間運賃を設定。 | |
東海道新幹線 : 京都 - 新大阪間 | 2023年4月1日 | ||
西日本旅客鉄道(JR西日本)[9] | 大阪の電車特定区間 | ||
大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)[9] | 全線 | ||
阪急電鉄[10][9] | 全線(神戸高速線を除く) | ||
阪神電気鉄道[11][9] | 全線(神戸高速線を除く) | ||
神戸電鉄[12][9] | 全線(神戸高速線を除く) | ||
山陽電気鉄道[9] | 全線 | ||
京阪電気鉄道[13][9] | 京阪線 | ||
西日本鉄道[14] | 全線 | 2023年3月27日 |
適用予定
[編集]事業者名 | 適用範囲 | 適用開始日 | 備考 |
---|---|---|---|
阪急電鉄[15][16] | 神戸高速線 | 2025年1月19日 | |
阪神電気鉄道[15][16] | |||
神戸電鉄[15][16] | |||
西日本旅客鉄道(JR西日本)[9] | 山陽新幹線 : 西明石 - 姫路間 東海道本線(琵琶湖線) : 野洲 - 京都間 山陽本線(JR神戸線) : 西明石 - 網干間 湖西線 : 堅田 - 山科間 山陰本線(嵯峨野線) : 京都 - 亀岡間 奈良線 : 京都 - 城陽間 福知山線(JR宝塚線) : 尼崎 - 新三田間 片町線(学研都市線) : 長尾 - 松井山手間 関西空港線 : 全線全駅 |
2025年春 | 2023年に適用を開始した電車特定区間から範囲を拡大して適用予定。 2024年3月27日付のプレスリリースにて湖西線堅田 - 山科間を追加[17]。 |
脚注
[編集]- ^ 鉄道局都市鉄道政策課 (2021年12月24日). “全国の鉄道駅バリアフリー化を加速します!〜鉄道駅バリアフリー料金制度の創設、地方部における支援措置の重点化〜” (PDF). 国土交通省. 2022年8月11日閲覧。
- ^ a b c d e 鉄道局長 (2021年12月28日). “軌道法施行規則第21条第2項第4号に規定する料金及び鉄道事業法施行規則第34条第1項第4号に規定する料金の取扱いについて” (PDF). 国土交通省. 2022年8月11日閲覧。
- ^ a b c d “駅のバリアフリー化費用の運賃上乗せ可能に…3大都市圏で10円以下想定”. 読売新聞 (読売新聞社). (2021年12月28日) 2022年8月11日閲覧。
- ^ 『鉄道駅バリアフリー料金制度の活用によりバリアフリー設備を整備します』(PDF)(プレスリリース)京成電鉄、2023年9月15日 。2023年9月21日閲覧。
- ^ 『バリアフリー設備の整備を促進します~ホームドアは整備を拡大・加速~』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道株式会社、2022年4月5日 。2022年8月11日閲覧。
- ^ a b c d e f g “JR東など 鉄道駅バリアフリー料金 導入”. 鉄道コム・朝日インタラクティブ (2023年2月28日). 2023年3月4日閲覧。
- ^ “特定区間の運賃変更について”. 東京都交通局 (2022年12月22日). 2023年3月4日閲覧。
- ^ 『鉄道駅バリアフリー料金制度を活用したバリアフリー設備の整備の推進について』(PDF)(プレスリリース)東海旅客鉄道、2022年11月17日 。2023年9月21日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “関西の鉄道・2023年春、値上げラッシュ バリアフリー設備投資へ加速”. ラジトピ ラジオ関西トピックス. ラジオ関西 (2022年8月22日). 2023年3月4日閲覧。
- ^ 『全駅にホーム柵を設置するとともに、 全駅のバリアフリー化を目指します。 ~鉄道駅バリアフリー料金制度を活用し、バリアフリー設備の整備を推進します~』(PDF)(プレスリリース)阪急電鉄、2022年8月3日 。2023年3月4日閲覧。
- ^ 更に安心・快適に。 全駅へのホーム柵の設置を目指します ~鉄道駅バリアフリー料金制度を活用することで、整備を加速化します~ - 阪神電気鉄道プレスリリース(2022年8月3日)2023年3月4日閲覧。
- ^ 「鉄道駅バリアフリー料金制度」を活用し円滑な移動の実現に取り組みます 〜全駅においてバリアフリー施設の整備を着実に推進〜 (PDF) - 神戸電鉄プレスリリース(2022年8月4日)2023年3月4日閲覧。
- ^ 鉄道駅バリアフリー料金制度を活用し、バリアフリー設備の整備を加速します (PDF) - 京阪電気鉄道プレスリリース(2022年8月5日)2022年8月7日閲覧。
- ^ 「鉄道駅バリアフリー料金制度」を活用し、駅のバリアフリー設備の整備を推進します (PDF) - 西日本鉄道プレスリリース(2022年9月21日)2023年3月4日閲覧。
- ^ a b c 『鉄道駅バリアフリー料金制度を活用することで神戸高速線各駅へのホームドア等の整備を推進します』(PDF)(プレスリリース)阪神電気鉄道・阪急電鉄・神戸電鉄、2024年4月30日 。2024年4月30日閲覧。
- ^ a b c 『神戸高速線の鉄道駅バリアフリー料金収受開始日を2025年1月19日に決定しました』(PDF)(プレスリリース)阪神電気鉄道・阪急電鉄・神戸電鉄、2024年10月1日。オリジナルの2024年10月1日時点におけるアーカイブ 。2024年10月19日閲覧。
- ^ 『鉄道駅バリアフリー料金制度に関する整備等計画の変更について』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2024年3月27日。オリジナルの2024年3月27日時点におけるアーカイブ 。2024年4月1日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 鉄道:バリアフリー関連事業 - 国土交通省