重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律
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重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律 | |
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日本の法令 | |
通称・略称 | 経済安保法、経済安保新法、経済安保情報保護法、重要経済安保情報保護・活用法、セキュリティー・クリアランス法 |
法令番号 | 令和6年法律第27号 |
種類 | 経済法 |
効力 | 未施行 |
成立 | 2024年5月10日 |
公布 | 2024年5月17日 |
所管 | 内閣府[経済安全保障推進室] |
主な内容 | 重要経済安保情報の指定をするための要件と手続ならびに重要経済安保情報の漏えい行為等の処罰 |
関連法令 | 特定秘密保護法、経済安全保障推進法、不正競争防止法 |
条文リンク | 参照条文 |
重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律(じゅうようけいざいあんぽじょうほうのほごおよびかつようにかんするほうりつ、令和6年5月17日法律第27号)は、経済安全保障に関する法律である。
岸田内閣の看板政策の一つで、違反した者に対する罰則規定を有する。アメリカと中国による覇権競争を意識しており、漏えいした場合に国の経済安全保障に支障を与える恐れがある情報を「重要経済安保情報」に指定し、人工知能や半導体などの先端技術が軍事転用されることを防ぐ狙いがある[1]。
本法は経済安全保障担当大臣の指揮の下、内閣府経済安全保障担当政策統括官職[2]が所管し、内閣官房国家安全保障局経済班および経済産業省大臣官房経済安全保障室と連携して執行にあたる予定である。
概要
[編集]本法の骨子は、漏えいすると国の経済安全保障に支障を与える恐れがある情報を「重要経済安保情報」に指定した上で、政府機関から機密情報の提供を受ける民間企業の従業員や研究者らを対象に国による身辺調査で適格性を確認するセキュリティ・クリアランス制度の導入が柱となっている[1]。
調査は内閣府が対象者の同意を得た上で家族や同居人の氏名や国籍、過去の犯罪歴、精神疾患の有無、飲酒の節度、借金を含む経済状況などを本人との面接や上司ら関係者への聴取、公的機関への照会によって行うことを想定している[4]。
サイバー攻撃に対する防御策や半導体のような先端技術のサプライチェーン(供給網)などに関する情報が重要経済安保情報に指定され、情報の漏えいには5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、もしくはその両方を科す[5]。あわせて、本法案の審議過程において、機密の度合いがより高く、漏えいさせた場合に経済安保に著しい支障が生じる恐れのある重要経済安保情報については、特定秘密保護法の適用対象となることを明確化するための運用基準の改定を行う方針が示された[6]。
法案の審議をめぐっては自民・公明両党に加え立憲民主党と日本維新の会、国民民主党が賛成に回った。共産党やれいわ新選組は反対した[7][8]。
2024年5月10日に制定され、2024年5月17日、官報号外第117号により令和6年法律第27号として公布された[6][9]。
公布の日から1年以内に施行される[10]。
脚注
[編集]- ^ a b “経済安保法、制定の背景は 柱となるSC制度、米欧はすでに導入”. 毎日新聞. (2024年5月10日) 2024年5月15日閲覧。
- ^ 内閣府本府所管の法律 - 内閣府Webサイト。
- ^ “重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案について”. 内閣官房 (2024年2月27日). 2024年5月17日閲覧。
- ^ “薬物、飲酒、借金…適格性評価制度、民間企業でも 企業が不利益な扱いすれば契約解消も”. 産経新聞. (2024年5月10日) 2024年5月15日閲覧。
- ^ “セキュリティー・クリアランス制度の創設へ新法成立…国際標準の情報保全体制で産業競争力強化狙う”. 読売新聞. (2024年5月10日) 2024年5月15日閲覧。
- ^ a b “政府は民間人にも「身辺調査」を行う…経済安保情報保護法が成立 「特定秘密」も拡大へ 懸念すべき点とは”. 東京新聞 (2024年5月11日). 2024年5月12日閲覧。
- ^ “経済安保新法案が衆院通過 民間人身辺調査拡大へ、国会監視”. 共同通信. (2024年4月9日) 2024年5月15日閲覧。
- ^ “経済安保新法、10日に成立へ 機密情報保全へ身辺調査”. 共同通信. (2024年5月9日) 2024年5月15日閲覧。
- ^ “官報(号外)第117号”. インターネット官報. 国立印刷局. p. 20 (2024年5月17日). 2024年5月17日閲覧。
- ^ “重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案”. 参議院. (2024年5月10日) 2024年5月17日閲覧。