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重水炉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

重水炉じゅうすいろHWR: Heavy Water Reactor)は、減速材重水を用いる原子炉のこと。加圧水型がほとんどであり、特にPHWR(Pressurized Heavy Water Reactor)とよばれる。

重水は高価で、高速中性子の減速能力は軽水に劣る。しかし、中性子吸収量が小さく(軽水の300分の1)減速材として優れており、燃料として安価な天然ウランを使用できる。このため、天然ウラン資源が豊富なカナダが開発に取り組み、1960年代に重水減速重水冷却圧力管型炉(CANDU炉)を実用化した。

現在商業運転されている重水炉は全てこのCANDU炉およびその発展型であり、2010年1月末現在、運転中43基、建設中7基、計画中4基[1]となっている。

主な重水炉

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特徴

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  • 濃縮していない天然ウランが利用できる
    濃縮されていない天然ウランは価格が安く、ウラン資源が豊かな国では大きな利点となる。ただし、実際の商業運転では効率を上げるため濃縮ウランが用いられる。天然ウランの主成分であるウラン238は中性子捕獲によりプルトニウム239となるが、これは発電に寄与する一方、使用済み核燃料中の超ウラン元素を増やしてしまう。
  • ウラン燃料炉の場合は、核兵器の製造に適する(核拡散防止に不利)
    軽水炉よりプルトニウムトリウム[要出典]の生産効率が高く、濃縮工場無しで兵器転用が可能で、核拡散リスクが高い。実際、インドCIRUS(CANDU炉)で生成したプルトニウムから原子爆弾を製造し、核武装が懸念されているイランも、核開発を重水炉により進めている。
  • 重水が大量に必要
    発電炉ではトン単位で使用しなければならない重水は、天然水中に微量(0.015574%)しか存在せず、高価である。1968年の記録にはポンド当り28.5USドル(2,250円/100g)とあり、2004年現在、試薬用の純度99%の重水は15,000円 / 100gである。
  • 重水の純度維持が必要
    減速材である重水の濃度は効率に直結し、濃度管理が必要となる。原子炉級重水は濃度99.75wt%以上が要求されるが、運転中に中性子を吸収して放射性のトリチウムが生成したり、冷却材が軽水の場合はこれが混入するなどして濃度が低下(劣化重水)するので、再濃縮プラントを併設する必要がある。
  • トリチウムの発生
    重水の放射化により生じるトリチウム水は、核融合炉が実用化されれば燃料として利用できるが、現状では夜光塗料、ラベリングなど用途が限られ、液体廃棄物とする場合はコスト要因となる。

脚注

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  1. ^ https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_02-01-01-05.html 財)高度情報科学技術研究機構
  2. ^ https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_03-02-05-02.html
  3. ^ es:Central_nuclear_Atucha

関連項目

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炉型

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