郷亜里砂
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基本情報 | ||||
国籍 | 日本 | |||
所属 | イヨテツスピードクラブ | |||
誕生日 | 1987年12月12日(36歳) | |||
出身地 | 北海道別海町[1] | |||
身長 | 160cm | |||
体重 | 54kg |
郷 亜里砂(ごう ありさ、1987年12月12日 - )は、北海道別海町[1]出身のスピードスケート選手。山梨学院大学[2]卒業。イヨテツスピードクラブ[3]所属。
平昌オリンピックに出場して、女子500mで8位入賞を果たした[1]。
経歴
[編集]3歳からスピードスケートを始める。ホテルを営む自宅の前にスケートリンクがある環境で育った[1][2]。小学5年生からは、スピードスケートとショートトラックの両立に取り組んだ[3]。
高校のとき、親元を離れて白樺学園高等学校に進学[2]。しかし高校時代は、3年生のときに出場した全国高等学校総合体育大会で、女子500mで4位になった以外は、目立った成績を残せなかった[2]。そのため、専門学校に通って次の道を探そうとパンフレットを眺める日々だったとのことだが、「『逃げるのか』『もう少し頑張ってみないか』と、父が熱心に言い続けてくれた」ことで思い直して、山梨学院大学へと進学する[2]。
大学で、川上隆史監督に出会う。大学では再び、スピードスケートとショートトラックの両立に取り組み、「安定したカーブ技術」を培った[2][3]。大学では2010年の日本学生氷上競技選手権大会で、女子500m、女子1000mで「大学生2冠」になるほどに成長[3][4][5]。川上監督曰く「体格的には決して恵まれていない。その分、練習でも常に全力だった」「小さい体でも当たり負けしなかった」という[2][6]。
しかし、実業団から声が掛かることはなく、川上監督のつてを頼って、山口国体に向けての山口県の強化選手を2年間務める[2]。その後も、帯広市内の会社の支援でさらに2年間競技を続けたが、2013年のソチオリンピック代表選考会は女子500mで5位にとどまり、オリンピック出場は叶わなかった[2]。
「もうちょっとなのになと、ずっと悔しい思いをしてきた。このまま続けていても成績が出るかどうかも分からない。もうやめた方がいいのかな…」と、現役引退を真剣に考えるほどに落ち込んだが、恩師である川上監督が「もう少し頑張ったら五輪に行けるぞ」「まだ追いつけるよ。応援してくれる人もいるから」と励まし続けた[1][2][7]。そのようなときに、山梨学院大学のOBで愛媛県スケート連盟理事長を務める井上清孝が声を掛けて、「競技をやめようと思っていたけれど、周りが『もう少し続けたらいけるんじゃないか』と応援してくれた。平昌までがんばってみようという気持ちに変わってきた」と再起を決心。2014年から、(愛媛国体に向けての愛媛県の強化選手として)愛媛県のスポーツ専門員に採用されて、同時に伊予鉄グループの「イヨテツスピードクラブ」に所属することとなった[2][4]。所属先を愛媛に移してから程なくしての2014年、ナショナルチームの一員に選出された[2][4]。ナショナルチーム入りしてからは、課題であるパワー不足の改善のために、スクワット、自転車トレーニング、1日5食の「食トレ」などに取り組んだ[8][9][10]。トレーニングの成果により、「筋力数値が年々上がり、それまで細かった体ががっちりした。氷を蹴る力も強くなった」「スタートからの200メートルが良くなった。さらにそこからのラップも出せるようになった」という[9]。
2017年1月28日の愛媛国体の女子500mで優勝[11]。2017年2月21日、札幌冬季アジア大会スピードスケートの女子500mで、37秒735で3位(銅メダル)になった[12][13]。アジア大会での活躍を受けて、同年3月30日、愛顔えひめスポーツ賞を受賞した[14]。郷にとって、愛媛はいつしか「第二の故郷」になっていた[4]。
遅咲きの才能は、平昌オリンピックを迎えるシーズンで開花する。2017年11月12日、ワールドカップのヘーレンフェーン大会での女子500mで、37秒88で3位になり、自身初めての国際大会での表彰台に立った[15]。この大会をはじめ、ワールドカップでは出場5試合のうち4試合で表彰台に立った(いずれも3位)[2][16][7]。
エムウェーブで開催された代表選考会では、500mで37秒40で2位(低地での自己ベスト)、1000mでも3位に入り、30歳にして自身初めてのオリンピック出場を叶えた。「ここまで時間はかかりましたが、やっとオリンピックの舞台に立てる。今までスケートでいい環境をそろえて下さった方々にも感謝を伝えたい」「諦めないでやってきて良かった」と意気込みを述べて、「平昌オリンピックでメダル獲得」を目標に掲げた[3][17][18][7][19]。
決して平たんではなかった道のりを乗り越えての平昌オリンピック本番では、500mと1000mの2種目での出場になり、特に女子500mで「メダル候補」と呼ばれるほどにまで成長した状況で迎えた[2][3][4][7][20]。自身1種目目の女子1000mでは、1分15秒84で13位(入賞はならなかったが、タイムは「低地での自己ベスト」だった)[21][22][23]。そして、本命と位置付けた女子500mは、李相花と同走であった(直前の組で小平奈緒が36秒94の五輪新記録を記録していた。小平は金メダルに輝いた)。しかし結果は、37秒67で8位。入賞は果たしたが、目標としたメダルは「0秒33」の差で届かなかった(同走であった李相花は37秒33で銀メダル)。試合後のインタビューでは「スタートしてからは無心で、何も考えられなかった。あっという間の500メートルでした」「力は全部この舞台で出し切れたのかなという思いと、これがオリンピックなんだなという気持ち。タイムを見て悔しさしかなかった」「目標にしていたメダルには届かなかったですけど…」「すいません。たくさんの方に応援していただけたので、少しでもこの舞台で滑っているところを見てもらって良かったと思います」と溢れ出る涙を堪え切れなかった一方で、支えてくれた人々に感謝の言葉を述べた[1][20][24][25][26]。
2018年3月23日、所属先のある松山市で開かれた平昌五輪の報告会で現役引退を表明[27]したが、2019年3月27日、現役復帰を表明[28]。
2020年11月13日、北海道帯広市の明治北海道十勝オーバルで開催されたスピードスケート・全日本選抜競技会帯広大会 第1日の女子500メートルで38秒28を記録し、2018年平昌五輪金メダルの小平奈緒を0秒02差で破り優勝した[29]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f “国体強化選手で各地転々 苦労人の郷亜里砂、8位入賞”. 朝日新聞. 2018年2月23日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n “スピードスケート郷選手、30歳で初五輪 押してもらった背中、今たくましく”. 北海道新聞. 2018年2月23日閲覧。
- ^ a b c d e f “30歳郷亜里砂、女子500&1000メートルで初五輪”. スポーツ報知. 2018年2月23日閲覧。
- ^ a b c d e “四国から冬のメダリストなるか スピードSの郷、第2の故郷との縁で立つ夢舞台”. 産経新聞. 2018年2月23日閲覧。
- ^ “小平、しなやかに終盤加速”. 毎日新聞. 2018年2月23日閲覧。
- ^ “郷亜里砂、30歳初五輪へ「ベストを尽くして頑張りたい」500で小平とW表彰台目指す”. スポーツ報知. 2018年2月23日閲覧。
- ^ a b c d “スピードスケート郷 遅咲き30歳、夢の大舞台”. 日本経済新聞. 2018年2月23日閲覧。
- ^ “遅咲き29歳、五輪代表争いに名乗り スピードスケート”. 朝日新聞. 2018年2月23日閲覧。
- ^ a b “郷亜里砂、肉体強化で入賞手繰り寄せた 五輪初出場”. 朝日新聞. 2018年2月23日閲覧。
- ^ “郷亜里砂、過去最高の2位で悲願の五輪代表入りに光「小平さんに少しでも近づきたい」”. スポーツ報知. 2018年2月23日閲覧。
- ^ “スピードスケート成年女子、郷(愛媛)連覇”. 愛媛新聞. 2018年2月23日閲覧。
- ^ “五輪女王破り2冠達成の小平「相花に勝つよりレースの内容を重視した」/冬季アジア大会”. サンケイスポーツ. 2018年2月23日閲覧。
- ^ “小平奈緒が2個目金メダル 女子500M五輪連覇中の李相花が銀”. デイリースポーツ. 2018年2月23日閲覧。
- ^ “郷亜里砂選手に愛顔えひめスポーツ賞”. 愛媛新聞. 2018年2月23日閲覧。
- ^ “女子500の郷、念願の表彰台「すごくうれしい」/スピード”. サンケイスポーツ. 2018年2月23日閲覧。
- ^ “W杯 小平500、日本新V/女子追い抜き、三たび世界新”. 毎日新聞. 2018年2月23日閲覧。
- ^ “遅咲きの美人スケーター郷亜里砂が咲かせた大輪の花”. 日刊スポーツ. 2018年2月23日閲覧。
- ^ “30歳・郷亜里砂が初五輪 遅咲き美女スケーター「五輪でもメダルを」”. デイリースポーツ. 2018年2月23日閲覧。
- ^ “郷 亜里砂/GO Arisa”. 日本スケート連盟. 2018年2月23日閲覧。
- ^ a b “郷亜里砂8位、遅咲きスケーターが信じた恩師の言葉”. 日刊スポーツ. 2018年2月23日閲覧。
- ^ “郷30歳、たどり着いた五輪 各地転々、スケート続けた”. 朝日新聞. 2018年2月23日閲覧。
- ^ “スピードスケート1000メートルで健闘・郷亜里砂 得意の500メートルに地元・愛媛でも期待高まる”. 産経新聞. 2018年2月23日閲覧。
- ^ “郷、念願の五輪初レース!500mへ勝負につながる一本に/スケート”. サンケイスポーツ. 2018年2月23日閲覧。
- ^ “郷亜里砂8位入賞に涙「見てもらえてよかった」”. 日刊スポーツ. 2018年2月23日閲覧。
- ^ “郷亜里砂、食らいつき8位入賞 あこがれの先輩と同じ舞台 スピードスケート女子500”. 産経新聞. 2018年2月23日閲覧。
- ^ “8位入賞の郷亜里砂、悔し涙抑えられず「あっというまの500メートル」「”. デイリースポーツ. 2018年2月23日閲覧。
- ^ スピードスケート郷亜里砂が引退 平昌五輪8位入賞日刊スポーツ. 2018年3月23日閲覧
- ^ Sスケート郷、現役復帰を知事に報告愛媛新聞. 2019年3月27日
- ^ 郷亜里砂、小平破り優勝 スプリント女王に5季ぶり黒星/スピードサンケイスポーツ.2020年11月13日
外部リンク
[編集]- 日本スケート連盟によるプロフィール
- JOCによるプロフィール
- ISU公式サイトによるプロフィール
- Arisa Go-各種大会等の成績(SpeedSkatingStats.com)