遺老説伝
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『遺老説伝』(いろうせつでん)は、琉球各地に古くから伝わる民話、自然の異変、百姓の善行など、口碑伝説を集めた書物。4巻(正巻3巻・付巻1巻)からなり、142話を収録する[1]。鄭秉哲ら編[2]。
『球陽』外巻となっているが、1743年から1745年にかけて編纂された『球陽』よりも早く、18世紀初期に編纂されたものとみられる[1]。
内容
[編集]- 巻之一 - 那覇の名称の由来や、蔡夫人の逸話等が収録されている[2]。
- 巻之二 - 宮古島の与那覇勢頭豊見親の中山入貢や、尚巴志王の北山征討の説話等が収録されている[3]。
- 巻之三 - 与那覇の村人の龍宮譚等が収録されている(浦島太郎#沖縄に伝わる話参照)[4]。
- 附巻 - 聞得大君の薩摩への漂流譚等が収録されている[5]
写本
[編集]- 伊波普猷文庫 三冊本 - 琉球大学附属図書館蔵。巻之三を欠く。「三司官之印」の朱印が押されており、官本からの写本と考えられる[6][7]。
- 伊波普猷文庫 四冊本 - 琉球大学附属図書館蔵。筆写者や年代等は不明[2][7]。
- 尚家文書 一冊本 - 那覇市歴史博物館蔵[7]。
- 宮良殿内文庫 一冊綴 - 琉球大学附属図書館蔵。1882年に石垣島の名家松茂氏によって書写されたもの[7]。
刊本
[編集]- 『遺老説傳:球陽外巻』学藝社発行、1935年。全文訳は島袋盛敏、序は伊波普猷。『那覇市史』資料編第1巻2に収録[2]。
- 『球陽外巻 遺老説傳 原文・読み下し』角川書店発行、1978年。沖縄文化史料集成 6。嘉手納宗徳編・訳。
脚注
[編集]- ^ a b “『遺老説伝』(いろうせつでん)”. 最新版 沖縄コンパクト事典. 琉球新報社 (2003年3月). 2021年5月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月3日閲覧。
- ^ a b c d “遺老説伝 巻之一”. 琉球・沖縄関係貴重資料デジタルアーカイブ. 琉球大学附属図書館. 2021年5月3日閲覧。
- ^ “遺老説伝 巻之二”. 琉球・沖縄関係貴重資料デジタルアーカイブ. 琉球大学附属図書館. 2021年5月3日閲覧。
- ^ “遺老説伝 巻之三”. 琉球・沖縄関係貴重資料デジタルアーカイブ. 琉球大学附属図書館. 2021年5月3日閲覧。
- ^ “遺老説伝 外附巻”. 琉球・沖縄関係貴重資料デジタルアーカイブ. 琉球大学附属図書館. 2021年5月3日閲覧。
- ^ “遺老説伝 巻之一 共四冊”. 琉球・沖縄関係貴重資料デジタルアーカイブ. 琉球大学附属図書館. 2021年5月3日閲覧。
- ^ a b c d 前村佳幸、小島浩之「伊波普猷文庫『遺老説伝』四冊本の装幀と料紙について」『東京大学経済学部資料室年報』第5号、東京大学経済学部資料室、2014年、76-84頁。