コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

遠山サキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
とおやま サキ

遠山 サキ
生誕 1928年6月12日
北海道浦河郡浦河町
死没 (2018-12-15) 2018年12月15日(90歳没)
死因 敗血症
住居 北海道浦河郡浦河町
国籍 日本の旗 日本
民族 アイヌ
出身校 野深小学校
時代 昭和 - 平成
団体 姉茶民芸品研究会
影響を受けたもの 浦川タレ
肩書き 姉茶民芸品研究会理事
浦河ウタリ文化保存会副会長 → 理事
浦河町立郷土博物館主催アイヌ文化セミナー講師
子供 弓野恵子、床みどり、堀悦子
受賞 浦河町文化奨励賞(1988年)
アイヌ民芸品コンクール 道教育長賞(1992年)
北海道文化財保護功労賞(2001年)
アイヌ文化奨励賞(2004年)
アイヌ文化賞(2008年)
テンプレートを表示

遠山 サキ(とおやま サキ、1928年昭和3年〉6月12日[1][2] - 2018年平成30年〉12月15日[3])は、日本のアイヌ文化伝承者。北海道浦河町でアイヌ文化全般の知識や技能、技術を体得した伝承者であり、日本国内外で活躍したアイヌ文化伝承者の第一人者とされる[4]

経歴

[編集]

北海道浦河町の姉茶地区で誕生した[1]。8歳のときに姉茶尋常小学校に入学[5]、小学3年で野深小学校に転入したが[6]、アイヌの生まれであることを理由にいじめに遭い、あまり学校には通わずに少女時代を過ごした[7][6]

結婚後に子供たちが独立した頃より、アイヌの衣装の製作を始めた[8]。さらに、浦河を代表する伝承者の1人である浦川タレからアイヌ文化の教えを受けて[9]、次第にアイヌ文化に傾倒していった[10]

1960年(昭和35年)より、浦河ウタリ文化保存会の前身となる姉茶民芸品研究会の設立に参画した[11]。以来、アイヌ古式舞踊の伝承・保存活動に従事すると共に、自らもアイヌ文化の振興と伝承・保存に尽力した[11]。1962年(昭和37年)には姉茶民芸品研究会理事に就任、2000年(平成12年)までに浦河ウタリ文化保存会副会長と理事、浦河町立郷土博物館主催アイヌ文化セミナー講師などを歴任した[11]

1994年(平成6年)には、東京都新宿区の小田急デパートで開催された北海道物産展で、アイヌ民俗芸能実演に参加した[12]。1998年(平成10年)には、オーストリアで開催された世界口琴大会に、次女の床みどり、三女の堀悦子と共に、ムックリ(アイヌの楽器)奏者として参加した[13][14]。2003年(平成15年)からは、子供たちと孫たちによる手製の作品を持ち寄った「親子孫3世代展」を、名古屋を始めとして日本各地で開催した[15]

晩年には2013年(平成25年)に病気を患うまで、地元でアイヌ語やアイヌ文化を教え続けた[16]。2018年(平成30年)12月に敗血症により、90歳で死去した[3][16]。没後の2019年(平成31年)3月、生前に長女の弓野恵子が7年をかけて聞き書きした書籍『アネサㇻ シネウㇷ゚ソㇿ』が出版された[17]

受賞歴

[編集]
  • 1988年 - 浦河町文化奨励賞[2]
  • 1992年 - アイヌ民芸品コンクール 道教育長賞[18]
  • 2001年 - 北海道文化財保護功労賞[2]
  • 2004年 - アイヌ文化奨励賞[2]
  • 2008年 - アイヌ文化賞[11]

脚注

[編集]
  1. ^ a b 遠山サキ(語り)弓野恵子(聞き書き)『アネサㇻ シネウㇷ゚ソㇿ アイヌとして生きた遠山サキの生涯』地湧社、2019年3月20日、8-9頁。ISBN 978-4-88503-249-3 
  2. ^ a b c d 平成16年度 アイヌ文化奨励賞(個人)遠山サキ(76歳)”. アイヌ民族文化財団. 2022年3月8日閲覧。
  3. ^ a b 遠山 & 弓野 2019, p. 222
  4. ^ 尾田浩「〈ピヤラ アイヌアートの世界〉床みどりさん作 アイヌ民族の晴れ着の木綿衣 明治・大正の幾何学文様」『北海道新聞北海道新聞社、2020年7月6日、夕東夕刊、4面。
  5. ^ 遠山 & 弓野 2019, p. 28
  6. ^ a b 遠山 & 弓野 2019, p. 41
  7. ^ 遠山 & 弓野 2019, p. 30
  8. ^ 遠山 & 弓野 2019, p. 180
  9. ^ 遠山 & 弓野 2019, p. 182
  10. ^ 第16回 アイヌの語り部 遠山サキ「アイヌの心を引き継いで」”. 日本列島 知恵プロジェクト. 2024年3月8日閲覧。
  11. ^ a b c d 平成21年度 アイヌ文化賞 遠山サキ”. アイヌ民族文化財団. 2022年3月8日閲覧。
  12. ^ 「アイヌ民芸知って 遠山サキさん」『北海道新聞』1994年11月14日、夕日夕刊、10面。
  13. ^ 「海も山も美しい浦河そして荒波を表現したい 世界口琴大会出場の遠山さん、堀さん親子 町長に出発あいさつ」『北海道新聞』1998年6月20日、日高朝刊、24面。
  14. ^ 小坂洋右「家族で紡ぐアイヌ文化 浦河の遠山さんら13人「3世代展」札幌できょうから 衣類や木彫りなど200点」『北海道新聞』2009年11月24日、札A朝刊、22面。
  15. ^ 小坂洋右「哀惜 遠山サキさん アイヌ文化伝承者 12月15日死去 90歳 活動の輪 人柄で広げる」『北海道新聞』2019年3月30日、全道夕刊、2面。
  16. ^ a b 今泉奏「アイヌ文化伝承、遠山サキさん死去」『朝日新聞朝日新聞社、2018年12月17日、北海道朝刊、26面。
  17. ^ 細川智子「アイヌ文化 浦河で伝承 遠山さんの生涯 一冊に 長女、7年かけ聞き取り」『北海道新聞』2019年5月16日、日高朝刊、16面。
  18. ^ 「受賞者に拍手! 道アイヌ民芸品コンクール」『北海道新聞』1992年3月1日、全道朝刊、25面。