逆磁場ピンチ型
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逆磁場ピンチ(ぎゃくじばピンチ 英: Reversed field pinch)は、プラズマを閉じ込める磁場閉じ込め方式の一種。
概要
[編集]かつて電子技術総合研究所(現産業技術総合研究所)では1974年以来、核融合を目指して逆磁場ピンチの研究が進められていた。
閉じた磁束面の形成が必要で磁場の配置を変える磁気リコネクションが起きると閉じ込めが悪くなり、閉じられた壁の中で熱いプラズマと冷えたプラズマが混合する。
アメリカではMadison Symmetric Torus、イタリアではRFX、スウェーデンではEXTRAP T2R、日本ではTPE-RXが運用された。
科大一環
[編集]2015年11月に中国の逆磁場ピンチ式磁場閉じ込め核融合実験装置である「KedaToruseXperiment」(KTX、略称「科大一環」)が通常運用に入った。最大プラズマ電流は180kAで、2分毎の放電を得られた[1]。
急速加熱でき、保温効果を有する同装置は、大半径1.4メートル、小半径0.4メートル、磁場が7,000ガウス、プラズマ電流が1TA、電子温度が600万度、放電時間が100ミリ秒に至った[1][2]。
仕様
[編集]- 直径 : 8m
- 高さ : 6m
- 総重量 : 70t
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 平野洋一「逆磁場ピンチプラズマにおける閉じ込め研究の現状と閉じ込め改善モード」『プラズマ・核融合学会誌』第75巻第5号、プラズマ・核融合学会、1999年5月、614-630頁、doi:10.1585/jspf.75.614、ISSN 09187928、NAID 110003826502。
- 清水肇, 杉沼茂実, 小川潔, 島田寿男, 平野洋一, 芦野圭宏「逆磁場ピンチプラズマを用いたプラズマ壁相互作用試験装置」『真空』第33巻第3号、日本真空協会、1990年、276-279頁、doi:10.3131/jvsj.33.276。
- 林屋均, 桂井誠「逆磁場ピンチを変流器コイルにより電流駆動した際の低q球状トカマク配位への遷移現象」『日本AEM学会誌』第10巻第2号、日本AEM学会、2002年6月、223-229頁、ISSN 09194452、NAID 110003828925。
- 政宗貞男, 八木康之「逆磁場ピンチにおける核融合研究の現状と長期的展望」『プラズマ・核融合学会誌』第76巻第12号、プラズマ・核融合学会、2000年12月、1217-1226頁、ISSN 09187928、NAID 110003825440。
- 清水肇, 島田寿男, 平野洋一, 八木康之, 前嶋良紀, 引田公「逆磁場ピンチプラズマ装置を用いた壁材料評価」『真空』第34巻第3号、日本真空学会、1991年、178-181頁、doi:10.3131/jvsj.34.178、ISSN 0559-8516、NAID 130000869027。
- 平野洋一, 榊田創, 小口治久「逆磁場ピンチ研究の歴史, 現状, その展望-産業技術総合研究所の逆磁場ピンチ研究の終結にあたって- : 故小川潔先生と故吉村久光先生に捧げる」『プラズマ・核融合学会誌』第87巻第6号、プラズマ・核融合学会、2011年6月、382-411頁、ISSN 09187928、NAID 110008673637。