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財政の現況及び見通し

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

財政の現況及び見通し(ざいせいのげんきょうおよびみとおし)とは、日本の年金諸法(国民年金法厚生年金保険法)によって政府に作成が義務付けられる、年金財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通しを検証した報告書のことである。「財政の現況及び見通し」を作成する作業のことを財政検証という。

概説

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国民年金法第4条の3(財政の現況及び見通しの作成)

  1. 政府は、少なくとも五年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びにこの法律による給付に要する費用の額その他の国民年金事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通し(以下「財政の現況及び見通し」という。)を作成しなければならない。
  2. 前項の財政均衡期間(第十六条の二第一項において「財政均衡期間」という。)は、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね百年間とする。
  3. 政府は、第一項の規定により財政の現況及び見通しを作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

厚生年金保険法第2条の4においても、同内容の規定が置かれている。

公的年金制度は長期的な制度であるため、社会・経済の変化を踏まえ、適切な年金数理に基づいて、長期的な年金財政の健全性を定期的に検証することは、公的年金の財政運営にとって不可欠なものである。このため、少なくとも5年ごとに、国民年金及び厚生年金の財政の現況及び見通しの作成(財政検証)を実施している。年金財政の健全性を点検する取り組みであることから「年金の定期健康診断」とも呼ばれている[1][2]。なお2004年(平成16年)までは「財政再計算」の名称を用いていたが、国庫負担の引き上げ、マクロ経済スライドの導入等により、給付と負担の均衡を図るにあたり長期的(おおむね100年間)な年金財政の状況を見通すことが必要となったことから、2009年(平成21年)より「財政検証」と称している。

財政検証においては、今後の社会・経済状況について一定の前提を置く必要があるが、これらは様々に変化しうるものであることから、少子高齢化、労働力率、経済状況(物価上昇率、賃金上昇率、運用利回り等)等について複数のケースを設定している。財政検証の結果、次の財政検証までに所得代替率が50%を下回ると見込まれる場合には、給付水準調整の終了その他の措置を講ずるとともに、給付及び負担の在り方について検討を行い、所要の措置を講ずることとされる(国民年金法平成16年改正附則)。

脚注

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  1. ^ 「年金財政検証 制度改正の論点」読売新聞2024年7月30日付朝刊社会保障面
  2. ^ 2024年の年金財政検証の結果社会保険研究所

関連項目

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外部リンク

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