視床下部-下垂体-副腎系
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視床下部-下垂体-副腎系(ししょうかぶ かすいたい ふくじんけい、英: hypothalamic-pituitary-adrenal axis)は、ストレス応答や免疫、摂食、睡眠、情動、繁殖性行動、エネルギー代謝などを含む多くの体内活動に関して、視床下部、下垂体、副腎の間でフィードバックのある相互作用を行い制御している神経内分泌系。HPA軸(HPAじく)、HPA系(HPAけい)ともいう。
サーカディアンリズムとも関係する。
HPA軸、HPG軸、HPT軸の3つは、視床下部と下垂体が神経内分泌機能を指令する経路である。
解剖学
[編集]- 視床下部の室傍核には、バソプレシンと副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)を合成・分泌する神経分泌ニューロンが存在する。この2つのペプチドは、以下の調節を行う。
- 脳下垂体前葉の制御。特にCRHとバソプレシンは、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH, 別名コルチコトロピン)の分泌を促進する。ACTHは、副腎皮質に作用する。
- 副腎皮質は、ACTHの刺激に応答して糖質コルチコイドホルモン(ヒトでは主にコルチゾール)を産生する。糖質コルチコイドは、視床下部と下垂体に負のフィードバックサイクルで作用する(CRHとACTHの産生を抑制する)。
疾患
[編集]HPA軸の関連する、代表的な疾患には以下のものがある。
疾患名 | 疾患部 | |
---|---|---|
疾患組織 | ホルモン | |
急性副腎不全 | 副腎皮質 | 副腎皮質ホルモン分泌低下 |
アジソン病 | 副腎皮質 | 副腎皮質ホルモン分泌低下 |
クッシング症候群 | 副腎皮質 | 糖質コルチコイド分泌過剰 |
その他、HPA軸と関連があるとされる疾患には以下のものがあり、いずれもコルチゾール値が高いと報告されている。
ストレス
[編集]HPA軸は、不安障害、双極性障害、不眠症、心的外傷後ストレス障害、境界性人格障害、ADHD、大うつ病、燃え尽き症候群、慢性疲労症候群、線維筋痛症、過敏性腸症候群、アルコール依存症など、気分障害および機能性疾患の神経生物学に関与している[4] 。 これらの疾患の多くにルーチン処方されている抗うつ剤は、HPA軸機能を調整する役割を果たす[5]。
脚注
[編集]- ^ Neurobiology of Depression 2011, p. 283.
- ^ Diabetes, Insulin and Alzheimer's Disease 2010, p. 60.
- ^ The Metabolic Syndrome 2011, p. 124.
- ^ “Alcohol, aging, and the stress response”. Alcohol Research & Health 23 (4): 272–83. (1999). PMC 6760387. PMID 10890824 .
- ^ Pariante CM (August 2003). “Depression, stress and the adrenal axis”. Journal of Neuroendocrinology 15 (8): 811–2. doi:10.1046/j.1365-2826.2003.01058.x. PMID 12834443.
参考文献
[編集]- Francisco López-Muñoz, Cecilio Alamo (Sep 9, 2011). Neurobiology of Depression (20110722 ed.). CRC Press. pp. 522. ISBN 978-1-4398-3849-5
- Yves Christen (Apr 16, 2010). Diabetes, Insulin and Alzheimer's Disease. Springer. pp. 250. ISBN 978-3-642-04299-7
- Christopher D. Byrne, Sarah H. Wild (Aug 8, 2011). The Metabolic Syndrome. John Wiley & Sons. pp. 400. ISBN 978-3-642-04299-7
- アンデシュ・ハンセン著、久山葉子訳『スマホ脳』新潮社、2021年、43頁、ISBN 978-4106108822
関連項目
[編集]関連項目は、「わずかでも関連の有りそうな事柄を手当たり次第に列挙するものではありません」(Wikipedia:スタイルマニュアル (レイアウト)#関連項目) |