表外読み

表外読み（ひょうがいよみ）は、日本語の漢字の読みのうち、常用漢字表に示されていないもの。表外音訓（ひょうがいおんくん）とも呼ばれる。

例

• 愛（いと）しい（常用漢字表に示された読み：アイ）
• 労（ねぎら）う（常用漢字表に示された読み：ロウ）
• 認（したた）める（常用漢字表に示された読み：ニン、みと-める） この場合、「みとめる」も「したためる」も「認める」と表記される。このように、常用漢字表に示された読みと表外読みの区別がつかない場合がある。
• 路（みち）（常用漢字表に示された読み：ロ、じ）
• 山（セン）（常用漢字表に示された読み：サン、やま）、用例は大山（だいせん）など
• 花（ケ）（常用漢字表に示された読み：カ、はな）、用例は供花（くげ）など
• 明（ミン）（常用漢字表に示された読み：メイ、ミョウ、あかり、あかるい、あかるむ、あからむ、あきらか、あける、あく、あくる、あかす）、用例は明朝（みんちょう）、明国（みんごく）など
• 箱（ソウ）（常用漢字表に示された読み：はこ）、用例は巾箱（きんそう）など この漢字や「届」など、日本の国字ではないが常用漢字表に示された読みが訓読みしかない場合も存在する。

運用

文化審議会の建議「公用文作成の考え方」では、「漢字が表にあっても採用されていない音訓は、原則として用いない。」としている。新聞や公文書では原則として使用しないが、その他の文章ではその限りではない。

NHKでは表外読みはひらがなで表記することを原則としている。ただし、「検非違使（けびいし）」（「検（け）」「非（び）」が表外読み）、「関脇（せきわけ）」（「脇（わけ）」が表外読み）のように固有名詞や特定の分野の語であり言いかえができないものについては放送で漢字で表記して使うことがあり、その場合は読みがなを付けるなど、読めないことがないように工夫するようにしている。

日本の初等教育・中等教育では、常用漢字について、常用漢字表に示された読みを学習する。検定教科書では、表外読みに関してはルビが振られている。

日本漢字能力検定では2級以下の試験の解答は常用漢字表によるものとされ、表外読みでの解答は認められない。また、表外読みから漢字を書き取る問題も出題されない。1級・準1級はこの限りではない。

岩波書店や集英社の辞典では、表外読みであることを示すために「△」を、『三省堂国語辞典』では「▽」を用いる。

クイズ番組などで見られる「難読漢字の読みを答える問題」には、表外読みを含んだものも存在する。

その他

表外読みではないが、小学校で学習する漢字（教育漢字）であっても、一部の読みを中学校・高等学校で学習する場合や、中学校で学習する漢字であっても一部の読みを高等学校で学習する場合がある。

例えば、「和」は小学3年で学習する漢字であるが、小学校で学習する読みは「ワ」のみで、中学校で「なご-む、なご-やか、やわ-らぐ、やわ-らげる」の読みを学習し、高校で「オ」の読みを学習することで常用漢字表に示された「和」の読みが出揃う。

小学校・中学校の検定教科書で、中学校・高等学校で学習する漢字の読みが使われる場合は、既習の漢字であっても原則として読み仮名が付される。ただし、中学入試や高校入試では中学校・高等学校で学習する読みやその書き取りも出題される場合がある。

また、文部科学省は小学校で学習する漢字について、何学年で読みを習うかまでは指定しておらず、小学校では1年・2年で学習する漢字について、訓読みを先に習い、音読みはより上の学年で習う傾向がある（漢字の音読み・訓読みの区別については小学3年で学習する）。

詳しくは、文部科学省「音訓の小・中・高等学校段階別割り振り表」を参照。

関連項目

• 国語国字問題#表外漢字字体表
• 常用漢字表
• 熟字訓
• 当て字
• 難読漢字