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衆議院・参議院の選挙制度改革案一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

衆議院・参議院の選挙制度改革案一覧(しゅうぎいん・さんぎいんのせんきょせいどかいかくあんいちらん)では、各政党国会議員個人の選挙制度改革案について記述する。

政党による改革案

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衆議院

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政党名 時期 改革案の内容 改革案に関する主張
自由民主党(与党案) 2013年3月 比例代表ブロックを8に再編。定数を30削減し、150議席とする。150のうち90議席を第1配分枠、60議席を第2配分枠とし、第2配分枠では得票率第2位以下に配分するが、各ブロックで第1党の獲得議席を超えることは出来ない[1][2][3] 「消費税を導入するなかで国会議員も身を削るべきだ。OECDの中において(日本の)国民1人あたりの議員数は少ない。民意の反映としての数には冷静な議論も必要[4]

60議席を第2党以下に配分する理由は、小選挙区制の民意集約機能を是正し緩和するため。前回の衆院選結果を当てはめると、比例30削減分は主に第1党が負い、第2党以下の政党の議席が必ず増えるわけではなく、中小政党優遇や公明党に配慮との指摘も当たらない[5][注釈 1]

民主党 (日本 1998-2016) 2013年4月 選挙区を30削減し270議席、比例代表を50削減し130議席とする。 0増5減だけでは再び違憲と判断されうるため、さらに踏み込んだ格差是正、定数削減を行う[6]
日本維新の会 2013年5月 選挙区を60削減し240議席、比例代表を84削減し96議席とする[7]。平成22年国勢調査によれば、都道府県間における最大較差は1.94倍(徳島県対福井県)となり、比例代表間較差は1.12倍(北関東ブロック対中国ブロック、2010年国勢調査人口)となる[8] 選挙区の「1人別枠方式」を廃止し、人口は50万人につき1議席を基準とした。都道府県はまたがない。
みんなの党 2013年3月 選挙区を廃止し、11ブロックの非拘束名簿式比例代表制300議席とする。各ブロックの「政党票・候補者票」を政党別に全国で合算集計し、各政党にドント式で議席を比例配分する。その後ブロックごとの各党得票数に応じて、各政党に配分された議席を投票区ごとに最大剰余法で配分する[9] 投票数により各ブロックの定数を決定するため、一票の格差が生じない。
日本共産党 2013年4月 選挙区を廃止し、11ブロックの比例代表制480議席とする。最大較差は1.03倍(四国ブロック対北海道ブロック)となる[10] 死票の多さと一票の格差を是正するため、小選挙区制を廃止する。ブロック制は、衆議院議員が各地方の住民の声を国政に反映するため維持する。
社会民主党 2011年10月 小選挙区比例代表併用制、または選挙区を廃止し11ブロックの比例代表制480議席とする[11] 民意の正確な反映を実現するため。
  • 民主党、日本維新の会、みんなの党、結いの党生活の党は、上記政党案とは別に、小選挙区の削減を柱とする2案を共同で2014年に示している[12][13]

参議院

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政党名 時期 改革案の内容 改革案に関する主張
民主党 2014年7月 脇雅史当初案(後述)を修正し、東京都を分区、神奈川の定数を1減、比例区の定数を1減する案(一票の格差は1.89倍)[14]と、奇数配当区を含む選挙区案[15]の2案を検討している。 一票の較差は現行選挙制度発足時の2.62倍以内とし、地域代表としての都道府県選挙区は尊重する。
公明党 2011年7月 11ブロックの大選挙区制とし、定数は42減の200議席とする。定数は人口を基準に最大剰余法で配分するが、今日まで都道府県単位の選挙区が採用されてきたことを踏まえ、各選挙区の定数には工夫を持たせる。最大較差は1.39倍(北海道ブロック対四国ブロック)となる[16] 都道府県単位の選挙区を温存すれば最大較差は4倍を上回るが、日本国憲法には上院を地域代表とする規定はない。政党よりも個人を重視した制度とするため、ブロック単位の選挙区とする。
みんなの党 2010年12月 11ブロックの非拘束名簿式比例代表制とし、定数は142減の100議席とする。定数は人口を基準に最大剰余法で配分する。最大較差は1.43倍(九州ブロック対四国ブロック)となる[17] 一票の格差を是正、多様な国民の声をより反映し、わかりやすい選挙制度の追求。道州制を視野に入れた改定である。
日本維新の会 2014年6月 定数は24減の218議席とし、11ブロックの大選挙区制(定数132)と全国比例代表(定数86)を並立させる[18]。一票の較差は1.14倍[14] 道州制を視野に入れた改定である。
社会民主党 2014年4月 定数は維持し、11ブロックの比例代表と全国比例代表を並立させる。選挙区の定数は都道府県数を加味する[14]。最大較差は1.43倍[19] 投票価値の平等を実現するため、従来の各都道府県単位を全国11ブロック単位に広げ、定数配分も是正する。合区案では小さい県から出馬できず、ブロックの方が合理的で格差も縮小できる[20]

国会議員による改革案

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参議院

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起草者名 時期 改革案の内容 改革案に関する主張
荒井広幸(新党改革) 2015年7月 4つの選挙区を2つに合区して参議院合同選挙区を創設する「10増10減」案。荒井が発案し、維新の党、次世代の党、日本を元気にする会、新党改革が野党4党として提案した

[21]。荒井は安倍晋三首相とも近いため、「安倍-荒井案」といわれている[22]

2013年7月に行われた参議院議員選挙違憲訴訟に対する最高裁判決が2014年11月に下された。4.77倍の格差があったこの選挙は無効にはならなかったが「違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあった」と実質「違憲状態」判決だった[23]。この判決を受け、早急な制度改革が必要とされていた。
脇雅史(自由民主党) 2014年4月 定数は現行通りとするが、各選挙区の定数は総人口を改選定数で除した数(以下「標準数」)を基準とし、各選挙区の定数は、当該選挙区の人口が標準数の整数倍の3分の2から3分の4とし、標準数の3分の2を切る県は、隣接県1つと合区する[24][注釈 2]。6月に修正案を提示し[25]、9月に再修正案を提示した[26] 議員一人当たりの人口較差を是正するため合区し、4月案の最大較差は1.83倍(北海道対大分)、9月案の最大較差は2.48倍となる。比例区では現行の非拘束名簿式を維持しつつ、衆議院ブロック比例区のような順位選択制(同一順位も可)も可能とする。
細田博之(自由民主党) 2014年5月 定数は現行通りとするが、6つの県を合区し3つに再編、別の6つの県に隣接都府県の一部を編入することで人口を増やす。最大較差は2.11倍となる[27] 合区数を減らしたため、候補者調整が容易となる。
石井一[注釈 3](民主党) 2010年12月 現行の選挙区および比例区を廃し、11ブロックの非拘束名簿式比例代表制を導入する[28]。一票の較差は1.19倍。 較差の抜本的是正が可能。ブロック制により現行全国区の弊害である残酷区・銭酷区を軽減でき、出身県を中心に周辺票を獲得することも可能である。
西岡武夫[注釈 4](民主党) 2010年12月 現行の選挙区および比例区を廃し、9ブロックの非拘束名簿式比例代表制を導入するというたたき台[注釈 5]を提示し[29]、翌年に修正案(9ブロック大選挙区制)を提示した[30]。一票の較差は1.06倍。 都道府県単位の選挙区では、較差是正に限界がある。
田中直紀(民主党) 2011年2月 選挙区定数を24減の122、比例区定数を16減の80、総定数202議席とする。格差是正のため、隣接する選挙区を統合する[31]。一票の較差は2.25倍。
辻泰弘[注釈 3](民主党) 2011年4月 10選挙区を合区し、定数を20削減。比例代表も20削減する[32]。一票の較差は2.97倍(大阪対香川)。 最大較差が衆議院よりも広がることは憲法制定当初から想定されており、最高裁判所がその合理性を是認しているため、3倍以内を目標とする[33]

脚注

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注釈

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  1. ^ 自由法曹団の試算によれば、各党の議席数は、自民党294→270(-24)、民主党57→56(-1)、日本維新の会54→46(-8)、日本共産党8→10(+2)、社民党2→3(+1)となり、その他の政党の議席数は変わらないという。緊急意見書 「優遇枠」案がもたらすもの 10頁より”. 2014年8月29日閲覧。
  2. ^ 生活の党と新党改革は脇の案に賛意を示している。参院選挙制度改革各会派案出そろう 自民は「選挙区域調整案」 ブロック案に自・民反対 - 毎日新聞”. 2014年8月29日閲覧。
  3. ^ a b 第23回参議院議員通常選挙で落選した。
  4. ^ 2011年11月5日に死去。
  5. ^ 西岡私案を基に、第22回参院選の各党得票率を当てはめて算出した各党の議席数は、民主党44→46(+2)、自民党51→36(-15)、みんなの党10→17(+7)、公明党9→16(+7)、共産党3→4(+1)、社民党2→2(±0)、改革1→0(-1)、たちあがれ日本1→0(-1)、国民新党0→0(±0)となる、と2010年12月23日付朝日新聞朝刊(第4面)が報じている。

出典

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  1. ^ 自民、選挙制度改革で「比例特例枠60」を提案 :日本経済新聞”. 2014年8月29日閲覧。
  2. ^ 中小政党「優先枠」は60議席 自民衆院選挙制度改革案、判明 - MSN産経ニュース”. 2014年8月29日閲覧。
  3. ^ 「衆院選改革案 選挙シミュレーション」産経新聞2013年3月15日
  4. ^ 【名言か迷言か】衆院定数削減で自共が一致??+(2-5ページ) - MSN産経ニュース”. 2014年8月29日閲覧。
  5. ^ 衆院選挙制度改革与党案 リアルタイム 公明党の今を解説 公明党”. 2014年8月29日閲覧。
  6. ^ 衆院選挙区30、比例代表50削減する民主党案を提出  - 民主党”. 2014年8月29日閲覧。
  7. ^ 衆法 第183回国会 13 公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律案(維新案)”. 2014年8月29日閲覧。
  8. ^ 770号 「日本維新の会」の衆院選挙制度試案”. 2014年8月29日閲覧。
  9. ^ みんなの党「一人一票比例代表制法案」を取りまとめ発表しました! « 中西けんじ”. 2014年8月29日閲覧。
  10. ^ 小選挙区制を廃止し、民意を正しく反映する比例代表制への抜本改革を-衆議院選挙制度についての日本共産党の見解と提案”. 2014年8月29日閲覧。
  11. ^ 社民党OfficialWeb 11年10月26日号・社会新報(11年10月26日号)”. 2014年8月29日閲覧。
  12. ^ 衆院選挙制度改革改革案、合意遠く 野党5党、小選挙区削減を提示 - 毎日新聞”. 2014年8月29日閲覧。
  13. ^ 与野党選挙制度実務者会議 選挙制度改革を進めるため野党が合意のもと2案を提示  - 民主党”. 2014年8月29日閲覧。
  14. ^ a b c 選挙制度協議会報告書”. 2015年3月7日閲覧。
  15. ^ 選挙制度協議会座長から要請された検討課題に対する見解(参議院自民党)参議院選挙制度改革案(民主党・新緑風会)”. 2014年8月29日閲覧。
  16. ^ 参議院選挙制度改革案 - 公明党”. 2014年8月29日閲覧。
  17. ^ みんなの党「参議院選挙制度改革案」を発表しました! « 中西けんじ”. 2014年8月29日閲覧。
  18. ^ 「大選挙区導入」参院選で維新案:朝日新聞デジタル”. 2014年8月29日閲覧。
  19. ^ 社民、参院選でブロック制提案 :日本経済新聞”. 2014年8月29日閲覧。
  20. ^ 時事ドットコム:参院選挙区、11に再編を=社民”. 2014年8月29日閲覧。
  21. ^ 「10増10減」 来夏参院選で合区導入 選挙制度改革 自民、野党提案受け入れ”. SankeiBiz(サンケイビズ). 2020年9月28日閲覧。
  22. ^ INC, SANKEI DIGITAL. “【参院合区成立】黒子の荒井広幸氏「首相とあうんの呼吸」”. 産経ニュース. 2020年9月28日閲覧。
  23. ^ 参議院選挙制度改革と「合区」の意義(竹中治堅) - Yahoo!ニュース”. Yahoo!ニュース 個人. 2020年9月28日閲覧。
  24. ^ 参議院選挙制度の見直しについて(選挙制度協議会座長案)”. 2014年8月29日閲覧。
  25. ^ 時事ドットコム:合区対象区を縮小=脇座長、改革案再提示へ”. 2014年8月29日閲覧。
  26. ^ 参院選挙制度改革 座長が“新”改革案提示 日テレNEWS24”. 2014年9月12日閲覧。
  27. ^ 自民・細田氏、独自の参院「合区」案 各党も提案:朝日新聞デジタル”. 2014年8月29日閲覧。
  28. ^ 参議院石井一BLOG 参院選挙制度改革・石井一(案)”. 2014年8月29日閲覧。
  29. ^ 参議院選挙制度の見直しについて (たたき台) 参議院議長ー 西岡 武夫”. 2014年8月29日閲覧。
  30. ^ 参議院選挙制度の見直しについて(たたき台)の改訂案を提案”. 2014年8月29日閲覧。
  31. ^ 参院格差是正へ/徳島・香川・高知選挙区、定数4”. 2014年8月29日閲覧。
  32. ^ 「提案の具体例(10選挙区合区案)」”. 2014年8月29日閲覧。
  33. ^ 参議院議員選挙制度改革についての再提案”. 2014年8月29日閲覧。

関連項目

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