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虹 (アイヴァゾフスキー)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『虹』
ロシア語: Радуга
英語: The Rainbow
作者イヴァン・アイヴァゾフスキー
製作年1873年
種類油彩キャンバス
寸法105 cm × 136 cm (41 in × 54 in)
所蔵トレチャコフ美術館モスクワ

』(にじ、: Радуга, : The Rainbow)は、ロシアの画家イヴァン・アイヴァゾフスキー1873年に描いた絵画である[1][2]

キャンバスに油彩で描かれている[1][3][4]。縦 105 センチメートル、横 136 センチメートルの大きさをもつ[1]モスクワトレチャコフ美術館に所蔵されており、ホール19に展示されている[1][5][6][7]海景画に分類される[1]ロマン主義に属する[1][8]

概要

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本作は、批評家らによる、「アイヴァゾフスキーの描画スタイルは現代的ではなく、彼の才能は尽きかけている」といった主旨の批判に対する答えであるとされる[8][9]。発表後、本作は大きな評判になった[9]。本作は、美術品収集家のパーヴェル・トレチャコフによって「ロシア絵画の真珠」と称され、彼によって買い上げられた[8]。小説家のフョードル・ドストエフスキーは、本作に接して、実際に嵐の中にいるようなスリルを感じ、この絵を好んだとされ、「アイヴァゾフスキーは本作によって巨匠になった」との旨を述べている[6]

トレチャコフ美術館館長のゼリフィラ・トレグロワは、「の光によって、広い意味で救いの希望があることが表現されている」との旨を述べている[10]。2016年にトレチャコフ美術館で開催された「イヴァン・アイヴァゾフスキー展」では、本作の他に、『第九の波』や『黒海』などが展示された[11][12][13]

作品

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水しぶきの中を太陽の光が通過して、激しい嵐に見舞われた海の上に虹が出ているが、虹はほとんど視認できない[1][14][6]。岩石の多い海岸の付近で、沈没しかけている船から船員が救命ボートに乗り移って逃げようとしている[1][15][16]。救命ボートには、13人の船員が乗っている[9]。船を漕いでいる者もいれば、恐怖のあまり縮こまっている者もいる[9]。操舵手は、航行する方向を示している[8]。帽子を振っている白髪交じりの男性は、虹のほうに視線を向けている[9]

船のマストは、大きく傾いている[8]カモメが1羽飛んでいる[15]。高い波に妨げられて、水平線は確認することができない[1]。水しぶきのために、海岸の岩肌はほとんど見えなくなっており、沈没する船の輪郭もぼやけている[14][8]。本作には、青色の他に、紫色や緑色、ピンク色や白色、水色など様々な色が用いられており、色調は落ち着いている[14][6]。虹の向こう側に見える海水は、ややピンク色がかっている[1]

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j Радуга”. トレチャコフ美術館. 2020年3月22日閲覧。
    The Rainbow. 1873”. トレチャコフ美術館. 2020年3月22日閲覧。
  2. ^ “トレチャコフの19世紀美術品トップ15”. ロシア・ビヨンド. (2015年3月17日). https://jp.rbth.com/multimedia/pictures/2015/03/24/1915_52383 2020年3月22日閲覧。 
  3. ^ В гостях у Айвазовского…”. Журнал «Третьяковская галерея». 2020年3月22日閲覧。
  4. ^ Радуга”. Журнал «Третьяковская галерея». 2020年3月22日閲覧。
  5. ^ “Only got an hour? 10 masterpieces in the Tretyakov Gallery that you must see”. ロシア・ビヨンド. (2018年1月11日). https://www.rbth.com/arts/327233-10-masterpieces-tretyakov-gallery 2020年3月22日閲覧。 
  6. ^ a b c d Ivan Aivazovsky Artworks”. THE ART STORY FOUNDATION. 2020年3月22日閲覧。
  7. ^ “20枚の海を描いたロシアの絵画”. ロシア・ビヨンド. (2019年11月3日). https://jp.rbth.com/arts/82792-umi-wo-egaita-roshia-no-kaiga 2020年3月22日閲覧。 
  8. ^ a b c d e f “Жемчужиной русской живописи называл Третьяков эту картину”. СОКОЛЬНИКИ и весь Восточный округ. (2018年7月26日). http://www.vao-mos.info/territoriya-goroda/zhemchuzhinoj-russkoj-zhivopisi-nazyval-tretyakov-etu-kartinu.html 2020年3月22日閲覧。 
  9. ^ a b c d e “Страсти по морю. Что смотреть на выставке Айвазовского в Третьяковке”. Аргументы и Факты. (2016年8月12日). https://aif.ru/culture/freeway/strasti_po_moryu_chto_smotret_na_vystavke_ayvazovskogo_v_tretyakovke 2020年3月22日閲覧。 
  10. ^ “Море Айвазовского”. Союзное Вече. (2016年7月31日). https://souzveche.ru/articles/culture/32148/ 2020年3月22日閲覧。 
  11. ^ 『ロシア絵画の旅』 2012, p. 261.
  12. ^ “Очередь на выставку Айвазовского может стать самой длинной в этом году”. Москва 24. (2016年2月5日). https://www.m24.ru/articles/Tretyakovskaya-galereya/05022016/96555 2020年3月22日閲覧。 
  13. ^ “Опять «Девятый вал»?”. Новые Известия. (2016年7月27日). https://newizv.ru/news/culture/27-07-2016/243621-opjat-devjatyj-val 2020年3月22日閲覧。 
  14. ^ a b c Введение. Детство художника”. Харківський національний університет міського господарства імені О. М. Бекетова. 2020年3月22日閲覧。
  15. ^ a b “Painting up a storm: Ivan Aivazovsky”. The Ukrainian Weekly. (2000年8月6日). http://www.ukrweekly.com/archive/2000/The_Ukrainian_Weekly_2000-32.pdf 2020年3月22日閲覧。 
  16. ^ Е.Б. РОМАНЦОВА. “Воспитание экологии внутреннего мира ребенка”. Журнал "Начальная Школа". 2020年3月22日閲覧。

参考文献

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  • ポルドミンスキイ 著、尾家順子 訳『ロシア絵画の旅 はじまりはトレチャコフ美術館』群像社、2012年10月。ISBN 978-4-903619-37-8