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薄井己亥

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

薄井 己亥(うすい きがい、1899年明治32年)2月25日旧暦[1][注釈 1] - 没年不明)は、昭和時代後期にかけて活動した郷土史家[2]、歴史研究家[3]、水戸史学会顧問[3]

経歴

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茨城県那珂郡木崎村(のち那珂町、現那珂市)に生まれる[4]高等小学校卒業後、寺子屋で学ぶ[5]1918年大正7年)頃上京し[6]正則英語学校で学ぶ[7]1919年(大正8年)仙台第一中学校(現宮城県仙台第一高等学校)の検定試験に合格する[8]。合格後は開校したばかりの水戸高等学校に入学し、1年留年するが、1924年(大正13年)に卒業する[9]。同年東京帝国大学法学部に入学[10]。東大では上杉慎吉美濃部達吉から憲法学を学ぶ[11]1927年昭和2年)に卒業する[12]。卒業後は大阪商船の内定を受けるが辞退する[12]弁護士試験を受けたが不合格[13]1930年(昭和5年)満州へ渡り[14]大連市会議長の秘書を務める[15]1931年(昭和6年)柳条湖事件後に憲兵隊の命令で奉天公報の記者となる[15]1934年(昭和9年)頃に帰国する[16]。帰国後は頭山満の弟子の本間憲一郎の紹介で紫山塾に入り[17]、紫山塾の玄関番と雑誌「日本論争」の編集者となる[17]。後に大政翼賛会に参画する[18]太平洋戦争中は東京に居て、1945年(昭和20年)3月10日の東京大空襲時は埼玉県戸田町(現戸田市)に居た[19]。その後、茨城県に疎開し、8月15日終戦水戸で迎えた。戦後は公職追放となり[20][注釈 2]、生まれ故郷近くの瓜連町(現那珂市)に居住した[21]

主な著作

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  • 『藤田幽谷の研究』1974年, 4 藤田幽谷の農政論(茨城県立図書館蔵書)
  • 『水戸史学 創刊号』1974年, 5 藤田幽谷の儒学形成(茨城県立図書館蔵書)
  • 『水戸史学 第5号』1976年, 2 神功皇后皇妃考(茨城県立図書館蔵書)
  • 『水戸史学 第7号』1977年, 2 原伍軒論(茨城県立図書館蔵書)
  • 大内地山著『水戸学早わかり』水戸学研究会 奥野恂邦(復刻者)、1977年(昭和52年9月)、同書には「解説 大内地山の水戸学研究」(全32頁)(薄井己亥氏執筆による)が加えられている。
  • 『水戸史学 第8号 生誕三百五十年記念水戸義公特輯』1978年, 5 義公の詩余(茨城県立図書館蔵書)
  • 『水戸史学 第10号』1979年, 1 西山荘の歌人(茨城県立図書館蔵書)
  • 『水戸史学 第12号』1980年, 2 武田勢の懸軍西上(茨城県立図書館蔵書)
  • 『水戸史学 第16号』1982年, 12 蘇える朱舜水(茨城県立図書館蔵書)
  • 『水戸史学 第18号』1983年, 2 義公の元旦詩(茨城県立図書館蔵書)
  • 『水戸史学 第23号』1985年, 4 義公の「易」思想(茨城県立図書館蔵書)
  • 『水戸史学 第24号』1986年, 3 「姫魚語女」考(茨城県立図書館蔵書)
  • 『水戸史学 第26号』1987年, 1 「莫囂円隣」訓について-額田王作歌の試点-(茨城県立図書館蔵書)
  • 『水戸史学 第27号』1987年, 2 義公の仏教観(茨城県立図書館蔵書)
  • 『水戸史学 第29号』1988年, 4 水戸藩医・本間玄調(茨城県立図書館蔵書)
  • 『水戸史学 第32号』1990年, 2 安積澹泊論―碩儒問答―(茨城県立図書館蔵書)

脚注

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注釈

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  1. ^ 戸籍上は5月23日
  2. ^ 追放事由は「一県勤皇運動理事」。

出典

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  1. ^ 『聞き書き 薄井己亥の半生』4頁。
  2. ^ 郷土史研究家 『藤田幽谷の研究』編集委員会編,『藤田幽谷の研究』藤田幽谷先生生誕二百年記念会、1974年、121頁。
  3. ^ a b 当会顧問・歴史研究家 水戸史学会編・刊,『水戸史学 創刊号』、1974年。
  4. ^ 『聞き書き 薄井己亥の半生』1頁、5頁。
  5. ^ 『聞き書き 薄井己亥の半生』20~21頁。
  6. ^ 『聞き書き 薄井己亥の半生』26頁。
  7. ^ 『聞き書き 薄井己亥の半生』27頁。
  8. ^ 『聞き書き 薄井己亥の半生』29頁。
  9. ^ 『聞き書き 薄井己亥の半生』37頁。
  10. ^ 『聞き書き 薄井己亥の半生』45頁。
  11. ^ 『聞き書き 薄井己亥の半生』51頁。
  12. ^ a b 『聞き書き 薄井己亥の半生』48頁。
  13. ^ 『聞き書き 薄井己亥の半生』49頁。
  14. ^ 『聞き書き 薄井己亥の半生』53頁。
  15. ^ a b 『聞き書き 薄井己亥の半生』54頁。
  16. ^ 『聞き書き 薄井己亥の半生』58~59頁。
  17. ^ a b 『聞き書き 薄井己亥の半生』60頁。
  18. ^ 『聞き書き 薄井己亥の半生』64頁。
  19. ^ 『聞き書き 薄井己亥の半生』67頁。
  20. ^ 総理庁官房監査課 編『公職追放に関する覚書該当者名簿』日比谷政経会、1949年、706頁。NDLJP:1276156 
  21. ^ 『聞き書き 薄井己亥の半生』1頁。

参考文献

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  • 先崎千尋編,『聞き書き 薄井己亥の半生』先崎千尋(出版者)、1992年(茨城県立歴史館収蔵文献)
  • 総理庁官房監査課編『公職追放に関する覚書該当者名簿』日比谷政経会、1949年