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葬尸湖

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
葬尸湖
2018年にオランダのティルブルフで行われたロードバーン・フェスティバルで公演する葬尸湖[1]
基本情報
出身地 中華人民共和国の旗 中国 山東省済南市
ジャンル
活動期間 1998年 –
レーベル
メンバー
  • Bloodsea
  • Bloodfire
  • Deadsphere

葬尸湖(そうしこ、ピンイン: Zàngshīhú: Zuriaake)は、1998年に中国の済南市で結成されたブラックメタル・バンドである[2]

沿革

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葬尸湖は、1998年山東省済南市で結成され[3]、メンバーはBloodseaとBloodfireのふたりだった[4]2004年以降、3人目のメンバーとしてDeadsphereが加わり、バンドの形態が完成した。バンドに沿革についてはほとんど知られていない[5]。『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』紙の記事によれば、葬尸湖は中国で最も長く活動を続けているメタル・バンドのひとつであるという[6]

葬尸湖は、中国最初のブラックメタル専門レーベルであるブラック・ハピネス・プロダクションと契約した後、Bloodfireの別プロジェクトであるYn Gizarm(英吉沙)との合作CD『Autumn of Sad Ode – Siming of Loulan』をリリースした[4]2006年、葬尸湖はペスト・プロダクション英語版と契約し、翌年、デビュー・アルバム『Afterimage of Autumn』をリリースした[4]2015年、葬尸湖は2曲入りの『Gu Yan』EPをリリースしたが、これは同年のうちに収録曲を増やしてフル・アルバムとして再リリースされた。2008年から2012年にかけて、Bloodfireが4年間にわたってドイツに留学したため、2015年に『Gu Yan』が発表されるまでバンドに活動は一時休止状態となっていた。

2017年、葬尸湖はフィンランドスティールフェスト・オープン・エアフィンランド語版に招待されて演奏し、初めてヨーロッパでコンサート・ツアーをおこなうこととなった。同時に葬尸湖は、北欧でコンサートをおこなった最初の中国のバンドとなった[4]2019年8月2日から8月19日にかけて、バンドはヨーロッパ各地を回り、ヴァッケン・オープン・エアなど、いくつかの音楽祭でも演奏した[7]2018年、葬尸湖はオランダロードバーン・フェスティバル英語版[8]や、チェコブルータル・アサルト英語版でも演奏した[9]

2020年3月、フランスのメタル・レーベルであるシーズン・オブ・ミストが葬尸湖と契約し、彼らの3枚目のアルバムのリリースの計画とともに、最初の2枚のアルバムをこのレーベルから再リリースすることが公表された[10]

音楽スタイル

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2018年のロードバーン・フェスティバルで演奏する葬尸湖。

葬尸湖は、伝統的なブラックメタルに、中国の音楽の影響を加味した演奏をする。インタビューの中でBloodseaは、グループがブラックメタルを選んだのは、メタル・ジャンルの中でも他の音楽スタイルでは、バンドのメンバーたちの言いたいことを表現できないからだと述べている。ブラックメタルと、それが人間、自然、多神教、先祖崇拝などに向ける見方は、独特な哲学的気質があり、それがバンドの音楽にフィットするのである。ブラックメタルのジャンルで典型的に使用されている楽器の他に、バンドは、木魚ハンドベルなど、伝統的な中国の楽器も用いている。静かでメロディ豊かな部分では、ギターが伝統的なサウンドを創り出す[11]。バンドの曲の中には、20分を超える長さに達するものもある[12]。Bloodfireは、自分たちが影響を受けたバンドとして、バソリーメイヘムキャンドルマスアビゴール英語版バーズムを挙げている[3]

歌詞については、伝統的、民俗的な中国の詩から着想が得られており、葬尸湖の曲は中国の伝説や中国神話に取材している[8]。さらにバンドによれば、紀元前771年から紀元前221年にかけての時期、特に戦国時代が、着想を得る元となっており、その時代の書物に現れる感情面の烈しさや絶望がブラックメタル・ジャンルにフィットするのだという[13]。中国にはキリスト教に由来する伝統がないため、反キリスト悪魔崇拝といったテーマは彼らには関係ない。その代わりに、彼らは中国の哲学や歴史に焦点を置いている[5][13]

ステージ

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コンサートにおいて、このバンドはフォグマシン英語版を多用する。ドラマー以外のバンド・メンバーは、漢服に似た黒い服に、伝統的に中国の農民が用いる円錐状の斗笠を被って、顔を隠し、昔の釣り人のイメージを演出しようとしている[11][13][14]。農民風の斗笠は、柳宗元の詩『江雪』を踏まえている[8][15]マイクスタンドには、伝統的なランタンや木の枝が飾られる[13]。コンサートにおいて、メンバーがコープス・ペイントをすることはない[13]。1曲演奏を終えるごとに、バンド・メンバーたちは聴衆にお辞儀をし、また伝統的な手の仕草をして敬意を示す.[13]

メンバーについての情報はほとんどないが[6]、Bloodfireの正体は山東大学の材料科学工学部の劉嶢教授だという説がある[16] 。Bloodfireは、ソロでのメタル・プロジェクトとしてYn Gizarmをおこなっている[4]。葬尸湖のメンバーは、中国の雰囲気をもったブラックメタル / ダンジョン・シンセ英語版のプロジェクト Demogorgon に、Holyarrow や Destruction of Redemption のメンバーたちとともに参加している[17]

バンド名

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英語のオンライン・マガジンや新聞によると、Zuriaakeというバンド名は、中国風英語のかばん語であり、文字通りの意味は、「死体が埋められた湖」の意味であるという[6][13]。この名は、中国の詩人で、政府への憎悪から入水自殺した屈原隠喩している[5]2016年中国語でおこなわれたインタビューの中でバンド・メンバーたちは、バンド名について、嵐の神である「Zu」と、埋葬を意味する「(b)uria(l)」、湖を意味する「(l)ake」を繋いだものと説明している。

作品

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  • 2005年: Autumn of Sad Ode — Siming of Louian(Yn Gizarmとのスプリット盤、ブラック・ハピネス・プロダクション、ペスト・プロダクション、limited to 300 units
  • 2007年: Afterimage of Autumn(アルバム、ペスト・プロダクション)
  • 2012年: Winter Mirage(EP、ペスト・プロダクション、limited to 500 units
  • 2015年: Gu Yan(EP、ペスト・プロダクション、limited to 200 units)
  • 2015年: Yao Ji(シングル、Nuclear War Now! Productions)
  • 2015年: Live in Beijing(ライブアルバム、ペスト・プロダクション、limited to 200 units
  • 2015年: Gu Yan(アルバム、ペスト・プロダクション)
  • 2019年: Resentment in the Ancient Courtyard(EP、ペスト・プロダクション)

脚注

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  1. ^ Zuriaake” (英語). Roadburn Festival. 2021年6月27日閲覧。
  2. ^ 葬尸湖” (英語). Encyclopaedia Metallum: The Metal Archives. 2021年6月27日閲覧。
  3. ^ a b Bogdan Ciuca (2018年4月14日). “Interview with Zuriaake”. Din Intunerec. 2021年6月20日閲覧。
  4. ^ a b c d e Sean Elias (2020年3月31日). “Bandcamp Of The Day: Zuriaake”. New Noise Magazine. 2021年6月19日閲覧。
  5. ^ a b c Zuriaake - Black Metal hat ein einzigartiges philosophisches Temperament (Interview, 2009)”. Schwermetall.ch (2009年). 2014年10月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月5日閲覧。
  6. ^ a b c Chinese metal band taps ancient poets, occult to ride nationalist wave”. South China Morning Post (2018年1月22日). 2021年6月12日閲覧。
  7. ^ Chinese Black Metal Band Zuriaake Announce European Tourdates”. Uniteasia.org (2019年5月30日). 2021年6月12日閲覧。
  8. ^ a b c Ivan Belcic (2018年3月30日). “The Lonely Ghosts of Zuriaake”. Invisible Oranges. 2021年6月19日閲覧。
  9. ^ Verschiedene Autoren (2019年8月21日). “Brutal Assault Open Air 2019 – Teil 2” (ドイツ語). Metal1.info. 2021年6月19日閲覧。
  10. ^ Chinese Black Metal Act Zuriaake Announce Signing to Season of Mist”. Uniteasia.org (2020年3月24日). 2021年6月12日閲覧。
  11. ^ a b Xueting Christine Ni (2019年8月15日). “FEATURE: Chinese metal band Zuriaake are raising inner demons in Europe”. Weareresonate.com. 2021年6月19日閲覧。
  12. ^ The 5 Best Chinese Black Metal Bands Around Right Now – Blackened Middle Kingdom”. Metalinjection.net (2020年12月2日). 2021年6月19日閲覧。
  13. ^ a b c d e f g Chinese metal band sings poetry”. Khmer Times (2018年1月19日). 2021年6月19日閲覧。
  14. ^ Metal Music With Chinese Characteristics”. Sixthtone.com. 2021年6月12日閲覧。
  15. ^ 走るメロス. “柳宗元『江雪』 書き下し文と現代語訳(口語訳)/解説”. マナペディア / Wizshare Inc.. 2021年6月30日閲覧。
  16. ^ “Top China professor revealed as lead singer of mysterious heavy metal band” (英語). South China Morning Post. (29 August 2024). https://www.scmp.com/news/people-culture/china-personalities/article/3276178/china-professor-revealed-lead-singer-mysterious-black-metal-band-unique-style 
  17. ^ Black metal band Demogorgon release new tracks [China]”. Uniteasia.org (2016年11月1日). 2021年6月20日閲覧。

外部リンク

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