華林寺 (福州市)
華林寺(かりんじ)は、中国福建省福州市鼓楼区に位置し、北宋・乾徳2年(964年)に建立した仏教寺院である。福州城北の屏山南麓に境内を構える。長江以南の南方中国では最も古い木造建築で、1982年に、中華人民共和国の全国重点文物保護単位に指定された。[1] 建立当初は越山吉祥禅院(えつさんきちじょうぜんいん)と呼ばれた[2]。明・宣徳6年(1431年)に建て直し、正統9年(1444年)に華林寺の額を賜ったとみられる[3]:143。 福建の古建築とさせる華林寺は、禅宗様と大仏様の両方の要素が混在し、年代が古いほど大仏様の要素が強い。大殿は、桁行3間×梁間4間の寄棟造で、間面記法によって、一間四面と表記される[4]:86[5]:228 。この場合、身舎は1間×2間と特異だが、その1間即ち中央間は脇間に比べて遥かに長い[6]。 古い華北の建築と比較して、華林寺は古代日本建築との共通性が強い[3]:154。たとえば、日本の大仏様に僅かな胴張りがあるが、華林寺大殿のそれは、法隆寺金堂などのものに近い[5]:228。その尾垂木も大仏様繰形に近い。丈の高い長方形で斗が直接噛み込んでおり、日本でいえば鎌倉地方系の禅宗様に近い。[5]:22912世紀、東大寺中興の祖である俊乗房重源は、宋の時代の中国へ行き、福建の寺院を視察し、その建築様式・大仏様を採用。一説によれば、特に華林寺を考察した。[4]:84しかし一説では、その大殿が参照の候補となった可能性は高くはない[3]:154。
文化大革命の時に、福建省政府はここへ移され、建築材料の倉庫となる大雄宝殿を除いて、寺に付属する古代の建物を取り壊した。その後、寺院裏側は直ぐに政府の建物が建てられて、大殿も三方囲また[7]。1980年代、解体修理が行われ、整備された[6]。それ以後、毎年、定期的修繕を行っている[8]。
参考文献
[編集]- ^ 福建省福州市地方志編纂委員会 (中国語). 福州市志·第七册. 北京: 方志出版社. pp. 512-513. ISBN 9787801224859
- ^ 福建省海外交流協会. “福州華林寺” (中国語). 福建僑報 2013年11月8日閲覧。
- ^ a b c 鈴木智大, 中島俊博, 浅川滋男 (3 2014). “甘露寺と福建省の古刹” (PDF). 鳥取環境大學紀要 (鳥取) (12): 137-156 .
- ^ a b 楊秉綸 (1984). “福州華林寺大殿” (中国語). 福建論壇(人文社会科学版) (福州: 福建社会科学院) (1). ISSN 1671-8402 .
- ^ a b c 濱島正士 (1993). “中国福建省の古塔”. 国立歴史民俗博物館研究報告第50集. pp. 219-231
- ^ a b 福州市建築志編纂委員会 (中国語). 福州市建築志. 北京: 中国建築工業出版社. p. 62. ISBN 7112019931
- ^ 林釗 (2009). “為保護古建築瑰宝盡責盡力——政協委員促成対華林寺大殿進行復原性大修前後経過憶略” (中国語). 政協天地 (福州: 福建省政協辦公庁) (9). ISSN 1672-304X 2015年2月11日閲覧。.
- ^ 李熙慧 (2014年10月14日). “福州華林寺閉館大修?” (中国語). 海峡都市報 (福州): p. A44