草苺族
草苺族またはイチゴ族(イチゴぞく、中国語: 草莓族; 拼音: Cǎoméi zú)、草苺世代(草莓世代; cǎoméi shìdài)[1]は、台湾において1980年代以降に出生した世代を指す。彼らの親世代とは異なり、同調圧力に打たれ弱く、また熱心に働こうとしないといった特徴が、痛みやすいイチゴのようであるという特徴からこのように称される。草苺族は従順ではなく[2]、甘やかされて育ち、自己中心的で、傲慢であり、仕事に対して怠惰であると形容される人々を指す[3]。
概要
[編集]「草苺族」の初出は、1993年に出版された翁静玉の小説「辦公室物語」である。1960年代生まれの世代を指して用いられた。1990年代以降、大学進学率の上昇、世代観念の変遷、台湾のメディア媒体による翁の小説の引用等の複合的要因により、台湾社会で広く使用されるようになった[4][5][6]。
教育学者の周祝瑛は、草苺族が発生した主な原因として、親が物を買い与えることで子供を満足させることに慣れており、社会も物質的豊かさを過度に重視した結果として、子供が成長後も精神面の健康と自律精神、ストレス耐性を欠くようになり、自分自身と他人に責任を持ちたくないと考える人が増加したことを挙げている[7]。
台湾の若年層の多くは、この用語で自分たちが形容されることを嫌悪する傾向にある。2012年の調査では、「草苺族」は若年層が最も嫌うレッテルであることが示されている[9]。彼らの中には草苺族と言うレッテル張りが、労働環境を改善しようとせず、世代間格差を無視する口実として利用していると主張する者もいる[8]。
アイロニーを含む語例
[編集]2008年に海峡両岸関係協会の陳雲林会長が訪台したことに対する抗議として発生した「野イチゴ運動」は「草苺族」である学生の抗議活動であることのアイロニーを含意している[10][11]。警察は、陳への抗議活動として青天白日旗の掲揚と台湾の歌を演奏することを妨害した。この一連の警察の行動は、台北市において約400名の学生が集会遊行法の廃止を求めて行政院前で座り込み抗議活動を行う事態に発展した[12]。
関連項目
[編集]脚註
[編集]- ^ Rachel. “The Strawberry Generation”. sex.ncu.edu.tw. 国立中央大学 Center for the Study of Sexuality. 1 July 2016閲覧。
- ^ Schott, Ben (30 November 2008). “Strawberry Generation”. ニューヨーク・タイムズ
- ^ “Strawberry generation”. 人民日報 オンライン (7 January 2010). 7 January 2010閲覧。
- ^ 林宗弘 2014, p. 172.
- ^ 臧聲遠 2003.
- ^ 楊令瑜 2023, pp. 14–15.
- ^ 周祝瑛. “挫折容忍力與多元智慧”. www.tmac.com.tw. 臺灣麥克. 2024年7月16日閲覧。
- ^ a b 林宗弘 (2014). “台灣的民主轉型與世代政治,1995-2010”. 一衣帶水:台港社會議題縱橫談 (香港: 香港亞太研究所): 171-214. ISBN 9789624415988 .
- ^ 林珮萱 (2012年7月30日). “青年最討厭被當成 草莓、啃老、低頭族” (中国語). www.gvm.com.tw. 2012年7月30日閲覧。
- ^ Cooper, Marc (7 December 2008). “Taiwanese students protest demonstration law”. ハフィントンポスト. 12 December 2008閲覧。
- ^ “Wild Strawberries: Taiwanese Student Movement Stirs Anew”. International Herald Tribune (8 December 2008). 12 December 2008閲覧。
- ^ “DPP proposes parade law amendment”. タイペイ・タイムズ (11 November 2008). 11 November 2008閲覧。
参考文献
[編集]- 林宗弘 (2014). “台灣的民主轉型與世代政治,1995-2010”. 一衣帶水:台港社會議題縱橫談 (香港: 香港亞太研究所): 171-214. ISBN 9789624415988 .
- 阮曉眉; 湯志傑 (2014). 石瑞仁. ed. “從台灣社會的演變探討個體化風險的問題”. 風險社會︰個體化的德國當代藝術新世代 (台北市: 財團法人台北市文化基金會): 52-59 .
- 黃立立 (2009). “草莓族與啃老族?談青年過度依賴現象與輔導策略”. 諮商與輔導: 10-13. doi:10.29837/CG.200908.0006 .
- 詹孟傑 (2015). “教孩子面對失敗”. 師友月刊 (574): 45-48. doi:10.6437/EM.201504_(574).0010 .
- 梁家瑜 (2016). “在《過勞之島》安慰拉結”. 新使者 (154): 57-58 .
- 楊令瑜 (1 January 2023). 從新新人類到躺平族 — 分析臺灣年輕人自1990至2022年在報導中的再現與轉變 (Thesis) (中国語(台湾)). 國立台灣大學學位論文. doi:10.6342/ntu202300761。
- 臧聲遠 (2003年9月20日). “六、七年級生,你為何不生氣?”. Career就業情報網. 2011年3月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年2月25日閲覧。
外部リンク
[編集]- Chou, Jenny (September 12, 2005). “Experts: Strawberry Generation is just a myth, statistics say”. タイペイ・タイムズ 2010年6月19日閲覧。
- Estroff Marano, Hara (1 November 2004). “A Nation of Wimps”. Psychology Today 2010年6月19日閲覧。.