草原の道
草原の道(そうげんのみち、英: Steppe Route)、草原のシルクロード(中: 草原絲綢之路)、ユーラシア・ステップルート(英: Eurasian Steppe Route)とは、シルクロード(絹の道)の先駆けとして利用されていた、ユーラシア・ステップを経由する古代の交易路である。
絹と馬を主な商品とし、毛皮、武器、楽器、宝石(トルコ石、ラピスラズリ、メノウ、ネフライト)などを副商品とした。 全長はおよそ10,000 km (6,200 mi)[1]。草原の道による東西交易は、従来のシルクロード(オアシスの道)の起源とされる年代より、少なくとも二千年は早い[2]。
ルート
[編集]中国西安から北上してゴビ砂漠を抜けてカラコルムに渡り、モンゴルやカザフスタンの草原(ステップ地帯)を通り、アルタイ山脈を抜けてザイサン湖・バルハシ湖に沿い、アラル海(アラリスク)とカスピ海(アストラハン)の北側を経て、黒海(タガンログ)、南ロシア草原に至る[3]。
地理
[編集]草原の道は、北アジアの草原を中心に、東ヨーロッパから中国北東部までを結ぶルートである[4]。
ユーラシア・ステップは広く平坦な地形であり、独特の生態系を持っている[5]。北側はロシアとシベリアの森林に囲まれている。南部の半砂漠や砂漠が移動を妨げているが、明確な南部の境界線はない。地形の最大の特徴は、大陸性気候で水が不足しているため、農耕には不安定な環境であることである。ウラル山脈、サヤン山脈から続くアルタイ山脈、大興安嶺山脈の3つの山脈によって、草原は4つに分断され、騎馬で横断することができる。アルタイ山脈のような標高4,000mにも及ぶ山々が障壁となっており、一部の地域は閉鎖系であった。
ユーラシア大陸に沿った広大な領域は、乾燥草原、砂漠、山岳、オアシス、湖、河川やデルタ地帯、低地草原、山岳草原、森林草原など多様な生態系であり[6] 、そこの野生動物は芸術・古代工芸品のインスピレーションの源となっていた。
ギャラリー
[編集]脚注
[編集]- ^ “The Horses of the Steppe: The Mongolian Horse and the Blood-Sweating Stallions | Silk Road in Rare Books”. dsr.nii.ac.jp. 2017年2月22日閲覧。
- ^ Christian, David (2000-03-01). “Silk Roads or Steppe Roads? The Silk Roads in World History”. Journal of World History 11 (1): 1–10. doi:10.1353/jwh.2000.0004. ISSN 1527-8050.
- ^ シルクロード検定実行委員会 編『読む事典シルクロードの世界』NHK出版、2019年2月。ISBN 9784140817742。
- ^ Miho Museum News (Shiga, Japan) (Volume 23, March 2009). “Eurasian winds toward Silla”. オリジナルの2016年4月9日時点におけるアーカイブ。
- ^ Gan, Fuxi (2009-01-01) (英語). Ancient Glass Research Along the Silk Road. World Scientific. pp. 44. ISBN 9789812833570
- ^ Davis-Kimball, Jeannine; Bashilov, V. A.; I͡Ablonskiĭ, Leonid Teodorovich (1995-01-01) (英語). Nomads of the Eurasian Steppes in the Early Iron Age. Zinat Press. ISBN 9781885979001