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英国SF協会賞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
英国SF作家協会賞から転送)
英国SF協会賞
British Science Fiction Association Awards
受賞対象SF
イギリスの旗 イギリス
主催英国SF協会(BSFA)
初回1969年
公式サイトhttp://www.bsfa.co.uk/bsfa-awards/

英国SF協会賞(British Science Fiction Association Awards)は、イギリス国内で前年に刊行されたSF作品を対象として贈られる文学賞。1966年から67年の2年間開かれていたSF文学賞である British Fantasy Award (記事「英国幻想文学大賞」で説明されているものと同名の別の賞) を前身とし[1]、1970年に始まった。賞名は、イギリスSF協会賞、イギリスSF作家協会賞、英国SF作家協会賞などと訳されることもある。

運営するのは、読者、作家、編集者、書店員などが参加するイギリスの全国SFファン団体である英国SF協会英語版。ロングリスト、ショートリストの候補作は英国SF協会の会員による投票で決定される。本投票はBSFA会員およびイギリスの年次全国SF大会であるイースターコン英語版の参加登録者の投票(ファン投票)によって決定する。

ファンの手で優れた作品を顕彰することに加え、SFジャンルを振興し、読者を増やし、同時代SFについて語り合い、楽しむことも目的に掲げている[2]

対象となるのはイギリスでの初刊行年である。そのため、アメリカなどで以前に刊行済の作品でもノミネート対象となる(2018年から地域制限は撤廃されたが、運営委員会の判断によってイギリスでの初刊行年を基準にしてもよい)[3]

部門は下記のとおりである。

  • 長編部門(1969年~) - 40000語以上
  • 中編部門(2023年~) - 10000語~40000語
  • 短編部門(1980年~) - 10000語以下 ※2023年に中編部門と分割
  • 短編集部門(2023年~)
  • 若年読者部門(2021年~)
  • 翻訳短編部門(2023年~)
  • アートワーク部門(1979年~)
  • オーディオフィクション部門(2023年~)
  • ノンフィクション部門(2001年~)
  • 短編ノンフィクション部門(2023年~)
  • メディア部門(1978年~1991年)

受賞作一覧

[編集]

本賞では年度表記の基準を作品の刊行年としている(授賞はその翌年となる)。

刊行年 部門 邦題 原題 作者 備考
1969年 長編部門 en:Stand on Zanzibar ジョン・ブラナー
1970年 長編部門 en:The Jagged Orbit ジョン・ブラナー
1971年 短編集賞 en:The Moment of Eclipse ブライアン・オールディス
1972年 長編部門 受賞作なし
1973年 長編部門 宇宙のランデヴー[† 1] Rendezvous with Rama アーサー・C・クラーク
特別賞 十億年の宴―SF‐その起源と歴史[† 2] en:Trillion Year Spree: The History of Science Fiction ブライアン・オールディス
1974年 長編部門 逆転世界[† 3] Inverted World クリストファー・プリースト
1975年 長編部門 en:Orbitsville ボブ・ショウ
1976年 長編部門 ブロントメク![† 4] Brontomek! マイクル・コニイ
特別賞 A Pictorial History of Science Fiction デイヴィッド・カイル
1977年 長編部門 ヨナ・キット[† 5] en:The Jonah Kit イアン・ワトスン
1978年 長編部門 暗闇のスキャナー[† 6]

(別題:スキャナー・ダークリー)

en:A Scanner Darkly フィリップ・K・ディック
1979年 長編部門 夢幻会社[† 7] The Unlimited Dream Company J・G・バラード
中短編部門 青ざめた逍遥[† 8] The Palely Loitering クリストファー・プリースト
1980年 長編部門 タイムスケープ[† 9] Timescape グレゴリー・ベンフォード
中短編部門 いさましいちびのトースター[† 10] The Brave Little Toaster トマス・M・ディッシュ
1981年 長編部門 拷問者の影[† 11] The Shadow of the Torturer ジーン・ウルフ
中短編部門 『ミサゴの森』短編版 Mythago Wood ロバート・ホールドストック
1982年 長編部門 Helliconia Spring ブライアン・オールディス
中短編部門 カイトマスター Kitemaster キース・ロバーツ
1983年 長編部門 チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク Tik-Tok ジョン・スラデック
中短編部門 After Images マルコム・エドワーズ
1984年 長編部門 ミサゴの森[† 12] Mythago Wood ロバート・ホールドストック
中短編部門 征たれざる国[† 13] The Unconquered Country ジェフ・ライマン
1985年 長編部門 Helliconia Winter ブライアン・オールディス
中短編部門 Cube Root デイヴィッド・ラングフォード
1986年 長編部門 The Ragged Astronauts ボブ・ショウ
中短編部門 Kaeti and the Hangman キース・ロバーツ
1987年 長編部門 Grainne キース・ロバーツ
中短編部門 Love Sickness(→The Child Garden 第一部) ジェフ・ライマン
1988年 長編部門 Lavondyss ロバート・ホールドストック
中短編部門 Dark Night in Toyland ボブ・ショウ
1989年 長編部門 ピラミッド[† 14] Pyramids テリー・プラチェット
中短編部門 In Translation リサ・タトル
1990年 長編部門 Take Back Plenty コリン・グリーンランド
中短編部門 The Original Dr. Shade キム・ニューマン
1991年 長編部門 ハイペリオンの没落[† 15] The Fall of Hyperion ダン・シモンズ
中短編部門 愛は時を超えて[† 16] Bad Timing モリイ・ブラウン
1992年 長編部門 レッド・マーズ Red Mars キム・スタンリー・ロビンスン
中短編部門 イノセント Innocent イアン・マクドナルド
1993年 長編部門 Aztec Century クリストファー・エヴァンズ
中短編部門 The Ragthorn ロバート・ホールドストック

ギャリイ・キルワース

1994年 長編部門 フィアサム・エンジン Feersum Endjinn イアン・M・バンクス
中短編部門 The Double Helix ポール・ディ・フィリポ
1995年 長編部門 タイム・シップ The Time Ships スティーヴン・バクスター
中短編部門 The Hunger and Ecstasy of Vampires ブライアン・ステイブルフォード
1996年 長編部門 Excession イアン・M・バンクス
中短編部門 蟹は試してみなきゃいけない A Crab Must Try バリントン・J・ベイリー
1997年 長編部門 The Sparrow メアリ・ドリア・ラッセル
中短編部門 軍用機 War Birds スティーヴン・バクスター
1998年 長編部門 The Extremes クリストファー・プリースト
中短編部門 La Cenerentola グウィネス・ジョーンズ

アン・ハラムの別名義)

1999年 長編部門 The Sky Road ケン・マクラウド
中短編部門 Hunting the Slarque エリック・ブラウン
2000年 長編部門 Ash: A Secret History メアリ・ジェントル
中短編部門 The Suspect Genome ピーター・F・ハミルトン
2001年 長編部門 カズムシティ Chasm City アレステア・レナルズ
中短編部門 Children of Winter エリック・ブラウン
2002年 長編部門 双生児 The Separation クリストファー・プリースト
中短編部門 コララインとボタンの魔女 Coraline ニール・ゲイマン
2003年 長編部門 Felaheen ジョン・コートニー・グリムウッド
中短編部門 The Wolves in the Walls ニール・ゲイマン
2004年 長編部門 River of Gods イアン・マクドナルド
中短編部門 Mayflower II スティーヴン・バクスター
2005年 長編部門 エア Air: Or, Have not Have ジェフ・ライマン
中短編部門 マジック・フォー・ビギナーズ Magic for Beginners ケリー・リンク
2006年 長編部門 End of the World Blues ジョン・コートニー・グリムウッド
中短編部門 ジンの花嫁 The Djinn's Wife イアン・マクドナルド
2007年 長編部門 Brasyl イアン・マクドナルド
中短編部門 Lighting Out ケン・マクラウド
2008年 長編部門 The Night Sessions ケン・マクラウド
中短編部門 息吹 Exhalation テッド・チャン
2009年 長編部門 都市と都市 The City and the City チャイナ・ミエヴィル
中短編部門 彼らの生涯の最愛の時 The Beloved Time of Their Lives イアン・ワトスン

ロベルト・クアリア

2010年 長編部門 旋舞の千年都市 The Dervish House イアン・マクドナルド
中短編部門 船を造る者たち The Ship Maker アリエット・ド・ボダール英語版
2011年 長編部門 夢幻諸島から The Islanders クリストファー・プリースト
中短編部門 The Copenhagen Interpretation ポール・コーネル英語版
2012年 長編部門 ジャック・グラス伝 Jack Glass アダム・ロバーツ
中短編部門 Adrift on the Sea of Rains イアン・セールズ英語版
2013年 長編部門 ガンメタル・ゴースト Ack-Ack Macaque ガレス・L・パウエル
叛逆航路 Ancillary Justice アン・レッキー
中短編部門 Spin ニーナ・アラン英語版
2014年 長編部門 亡霊星域 Ancillary Sword アン・レッキー
中短編部門 The Honey Trap ルース・E・J・ブース
2015年 長編部門 House of Shattered Wings アリエット・ド・ボダール英語版
中短編部門 哀しみの杯三つ、星明かりのもとで Thirty Cups of Grief by Starlight アリエット・ド・ボダール
2016年 長編部門 Europe in Winter デイヴィッド・ハッチンソン英語版
中短編部門 Liberty Bird ジェイン・フェン英語版
2017年 長編部門 The Rift ニーナ・アラン英語版
中短編部門 The Enclave アン・チャーノック英語版
2018年 長編部門 ウォーシップ・ガール Embers of War ガレス・L・パウエル
中短編部門 時ありて Time Was イアン・マクドナルド
2019年 長編部門 Children of Ruin エイドリアン・チャイコフスキー英語版
中短編部門 こうしてあなたたちは時間戦争に負ける This is How You Lose the Time War アマル・エル=モフタール英語版

マックス・グラッドストーン英語版

2020年[4] 長編部門 The City We Became N・K・ジェミシン
中短編部門 Infinite Tea in the Demara Cafe アイダ・キーオ
2021年[5] 長編部門 Shards of Earth エイドリアン・チャイコフスキー
中短編部門 Fireheart Tiger アリエット・ド・ボダール
若年読者部門 鋼鉄紅女 Iron Widow シーラン・ジェイ・ジャオ
2022年[6] 長編部門 City of Last Chances エイドリアン・チャイコフスキー
中短編部門 Of Charms, Ghosts and Grievances アリエット・ド・ボダール
若年読者部門 呪いを解く者 Unraveller フランシス・ハーディング
2023年[7] 長編部門 The Green Man’s Quarry Juliet E. McKenna
中編部門 And Put Away Childish Things エイドリアン・チャイコフスキー
短編部門 How to Raise a Kraken in Your Bathtub P・ジェリ・クラーク
短編集部門 The Best of British Science Fiction 2022 Donna Scott
若年読者部門 The Library of Broken Worlds Alaya Dawn Johnson
翻訳短編部門 Vanishing Tracks in the Sand Jana Bianchi

書誌

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出典

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  1. ^ The Encyclopedia of Science Fiction s.v. British Fantasy Award
  2. ^ BSFA Awards”. BSFA. 2016年3月28日閲覧。
  3. ^ BSFA - About Awards”. www.bsfa.co.uk. 2024年10月15日閲覧。
  4. ^ 2020 BSFA Winners” (英語). Locus Online (2021年4月4日). 2021年4月5日閲覧。
  5. ^ Fortune, Ed (2022年4月16日). “2022 BFSA Award Winners Announced” (英語). STARBURST Magazine. 2023年5月13日閲覧。
  6. ^ (日本語) The BSFA Awards 2023, https://www.youtube.com/watch?v=Oa7AP81YTu8 2023年5月13日閲覧。 
  7. ^ locusmag (2024年4月4日). “2023 BSFA Awards Winners” (英語). Locus Online. 2024年10月15日閲覧。

外部リンク

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