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大和久満

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
芳村伊十七から転送)
やまと ひさみつ
大和 久満
本名 高橋久満
別名義 芳村伊十七、芳賀稔(はがみのる)
生年月日 (1938-12-06) 1938年12月6日
没年月日 (2013-01-02) 2013年1月2日(74歳没)
出生地 日本の旗 兵庫県姫路市
職業 江戸長唄三味線
大和楽三味線
大和楽二代目家元
活動期間 1946年 -2013年
活動内容 長唄大和楽
著名な家族 長女・大和櫻笙大和楽三味線)。
公式サイト 大和楽ホームページ
主な作品
「月慈童」
「四季の花」
「花吹雪」
「かしく道成寺」
「四季の花」
「北斎浮世絵の旅」
「早春」
「すしや」
「鶯宿梅」
「源氏物語」
「序の舞」
受賞

1964年 「軒端の雨」長唄協会作曲コンクール入賞
1979年 グリーンリボン演技賞受賞。

2003年 第33回エクソンモービル音楽賞邦楽部門受賞。
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大和 久満(やまと ひさみつ、1938年(昭和13年)12月6日 - 2013年(平成25年)1月2日)は、昭和、平成期に活動した新邦楽大和楽三味線方で二代目家元。本名、高橋久満。兵庫県姫路市出身。芳村 伊十七(よしむら いそしち)の名前での長唄の三味線活動も行った。また古賀政男より芳賀 稔(はが みのる)の作曲名を受ける。社団法人長唄協会日本コロムビア株式会社(専属)、東京北ロータリークラブに所属。

経歴

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  • 1938年(昭和13年) 兵庫県姫路市に生まれる。
  • 1946年(昭和21年) 8歳から三味線の稽古を始める。
  • 1954年(昭和29年) 3年間、芳村伊十郎 の内弟子となる。
  • 1956年(昭和31年) 17歳で芳村伊十七の名を許される
  • 1959年(昭和34年) 「創作邦楽研究会」同人となり、今藤長十郎清元梅吉 (四世)常磐津英寿(人間国宝)らと創作活動を始める。
  • 1969年(昭和44年) 大和楽『月慈童』の作曲が縁となり、初代家元大和美世葵に望まれて、立三味線及び作曲家として、大和楽に入る。この前後で創設者の大倉聡松岸上きみ宮川寿朗の名人が相次いで亡くなり、低迷状態が続いていた。
  • 1970年(昭和45年) 大和久満の名を許され、大和楽理事長に就任する。
  • 1977年(昭和52年) テレビ東京『美の美』で2週にわたり、「枕絵」の作曲・演奏をする。
  • 1977年(昭和52年) ベルギー国営放送で『日本の美』を紹介、作曲・演奏を担当する。
  • 1986年(昭和61年) 名古屋西川流「名古屋をどり」において松山善三とコンビを組み、新作舞踊劇の作曲を担当する(松山とのコンビは1997年(平成9年)までであったが、久満の作曲担当はその後も継続した)。
  • 1987年(昭和62年) 大和楽二代目家元襲名。
  • 1988年(昭和63年) テレビ東京『芸と人~大和楽の若き家元』に出演。
  • 1989年(平成元年) 尾上菊五郎劇団結成40周年記念「二月大歌舞伎」(歌舞伎座)『源氏物語絵巻』(大和久満作曲)に大和楽として歌舞伎公演に初出演する。
  • 1990年(平成2年) 明仁天皇即位の儀「安の儀」において長唄立三味線を勤める。
  • 1991年(平成3年) 花柳錦勇主催「若樹会」において、黒田清子(紀宮様)が大和楽『團十郎娘』『江島生島』に御出演。地方演奏を勤める
    (1986年(昭和61年)の初舞台『鶯宿梅』の折も演奏を勤める)。
  • 1991年(平成3年) NHK芸能花舞台』のテーマ音楽を作曲・演奏する(1997年(平成9年)まで使われる)。
  • 1991年(平成3年) NHK『名曲アルバム』に三味線音楽として初出演する(芳村伊十七)。
  • 2004年(平成16年) 大和楽創設70周年記念演奏会を国立劇場にて開催、新曲『楊貴妃』発表。
  • 2007年(平成19年) 芳村伊十七芸歴50周年記念長唄演奏会を国立劇場にて開催。
  • 2009年(平成21年)
    • 大和楽創設75周年記念演奏会を国立劇場で開催。
    • 五代目 中村富十郎主催の「矢車会」の長唄のタテ三味線で出演。
    • 大和楽二代目家元を創設80周年を目途に引退することを表明。三代目家元は長女櫻笙が継承予定。
    • NHK『芸能花舞台』に出演。岸上きみ作曲「河」を演奏。
  • 2012年(平成24年) 三代目家元の襲名は2014年(平成26年)の大和楽創設80周年での披露を予定していたが、自身の体調を考慮し、急遽家元継承式のみを前倒しで行なう。
  • 2013年(平成25年) 1月2日、永眠[1]

長唄三味線の第一人者として多方面で活躍する傍ら、大和楽家元としてもその手腕を発揮した。演奏・作曲ともに役者・舞踊家からの委嘱が多く、美しい音色と高級な曲想が人々の心を捉える。

受賞

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作曲(昭和44年から昭和63年)

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曲目 初演 作詞 作曲 
月慈童 昭和44年 駒井義之 大和久満  
濡桔梗 昭和44年 岩田直二 大和久満
四季の花 昭和45年 大和久満 大和久満
隅田川 昭和46年 長田幹彦 大和久満
花吹雪 昭和46年 田中青滋 大和久満
すしや 昭和46年 渥美清太郎 大和久満
おさん茂兵衛 昭和46年 花柳寿輔 大和久満
松の栄 昭和47年 大和久満 大和久満
加賀の千代 昭和47年 村上元三 大和久満
春鶯囀 昭和48年 綾部洸一 大和久満
花くらべ 昭和48年 大和久満 大和久満
吉野聞香 昭和48年 田中青滋 大和久満
江戸風流 昭和49年 仁村美津夫 大和久満
恋の篝火 昭和49年 綾部洸一 大和久満
牡丹灯籠 昭和49年 綾部洸一 大和久満
かしく道成寺 昭和49年 初代猿若清方 大和久満
雪山童子 昭和49年 谷村陽介 大和久満
早春 昭和49年 永山智香子 大和久満
芥川 昭和50年 長谷川幸延 大和久満
橋本 昭和50年 長谷川幸延 大和久満
お春望郷 昭和50年 石川潭月 大和久満
花しぐれ 昭和50年 堀田英夫 大和久満
双花譜 昭和50年 仁村美津夫 大和久満
お夏残照 昭和50年 田中青滋 岸上きみ・大和久満
浄瑠璃十二段 旅枕 昭和51年 田中青滋 大和久満
あすなろう 昭和52年 仁村美津夫 大和久満
七夕 昭和52年 花柳寛 大和久満
百合頌 昭和52年 田中青滋 大和久満
牡丹灯籠 昭和53年 土橋成男 大和久満
藤むらさき 昭和53年 仁村美津夫 大和久満
鳥竜と貴竜 昭和53年 谷村陽介 大和久満
船弁慶 昭和53年 谷村陽介 大和久満
追慕曲 昭和54年 田中青滋 大和久満
虹の花 昭和54年 谷村陽介 大和久満
情焔 昭和54年 花柳寛 大和久満
宝船 昭和55年 大和久満 大和久満・大和美世葵
花寿童 昭和55年 谷村陽介 大和久満
恋の帯(お夏清十郎) 昭和55年 田中青滋 大和久満
妄執 昭和56年 村上元三 大和久満
お吟さま(花紅蓮) 昭和56年 花柳寛 大和久満
若き日の釈尊 昭和56年 谷村陽介 大和久満
江島生島恋慕蝶 昭和58年 駒井義之 大和久満
武蔵野風月 昭和58年 仁村美津夫 大和久満
源氏物語 昭和58年 土橋成男 大和久満
鏡花三彩 昭和58年 猿若清方 大和久満
柳の四季 昭和58年 立石隆一 大和久満
静散華 昭和59年 生田盛 大和久満
序の舞 昭和59年 萩原雪夫 大和久満
光源氏 昭和59年 谷村陽介 大和久満
花有情 昭和59年 小川清子 大和久満
おさん 昭和60年 本田英郎 大和久満
絵踏 昭和60年 村上元三 大和久満
雪の舞 昭和61年 萩原雪夫 大和久満
有情まんだら 昭和61年 北條喜久 大和久満
昭和61年 永山智香子 大和久満
晶子ざくら 昭和61年 小川清子 大和久満
恋のすず風 昭和61年 伊藤寿朗 大和久満
夕ぐれ 昭和61年 小川清子 大和久満
恋の菅笠 昭和62年 小川清子 大和久満
明石町 昭和62年 小川清子 大和久満
浅茅の路 昭和62年 由井宏典 大和久満
風流洛中洛外 昭和62年 谷村陽介 大和久満
花影幻想 昭和63年 藤間勘紫恵 大和久満
寒田の里 昭和63年 信元虚園 大和久満
蒼い鶴 昭和63年 今井道子 大和久満

作曲(平成元年から)

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曲目 初演 作詞 作曲 
源氏物語絵巻 平成元年 田中青滋 大和久満
大和恋飛脚 平成元年 駒井義之 大和久満
初暦夢の雛鶯 平成元年 辻村ジュサブロー 大和久満
雪の降る街を 平成元年 内村直也 大和久満
花を恋い 平成元年 山口洋子 大和久満
菊若葉 平成元年 萩原雪夫 大和久満
娘みこし 平成元年 岩田道之輔 大和久満
宮戸川 平成元年 岩田道之輔 大和久満
恋瀬舟 平成元年 岩田道之輔 大和久満
恋ほたる 平成元年 岩田道之輔 大和久満
奥山もみじ 平成元年 岩田道之輔 大和久満
深川しぐれ 平成元年 岩田道之輔 大和久満
一期一会の恋 平成2年 駒井義之 大和久満
京の川 平成2年 堀田将司 大和久満
淀君 平成2年 谿渓太郎 大和久満
恋の流し雛 平成2年 辻村ジュサブロー 大和久満
兵庫旅情 攝播の五泊 平成3年 駒井義之 大和久満
兵庫旅情 淡路の神話 平成3年 駒井義之 大和久満
兵庫旅情 芦屋の処女 平成3年 駒井義之 大和久満
兵庫旅情 明石の源氏 平成3年 駒井義之 大和久満
兵庫旅情 神崎の梅が枝 平成3年 駒井義之 大和久満
兵庫旅情 須磨の敦盛 平成3年 駒井義之 大和久満
兵庫旅情 宝津の友君 平成3年 駒井義之 大和久満
恋は根岸 平成3年 岩田道之輔 大和久満
雪の朝 平成3年 岩田道之輔 大和久満
平成3年 岩田道之輔 大和久満
平成3年 岩田道之輔 大和久満
平成3年 岩田道之輔 大和久満
平成3年 岩田道之輔 大和久満
平成3年 岩田道之輔 大和久満
平成3年 岩田道之輔 大和久満
平成3年 岩田道之輔 大和久満
平成3年 岩田道之輔 大和久満
深川雀 平成3年 萩原雪夫 大和久満
斎王 平成4年 勝美伊三次 大和久満
花の面影 平成4年 萩原雪夫 大和久満
この女生涯婚姻を禁ず 平成4年 福田一郎 大和久満
六花傘 平成4年 猿若清方 大和久満
夢あかり 平成4年 駒井義之 大和久満
鯉の舞 平成5年 東彰治 大和久満
思桜 平成5年 吉岡治 大和久満
博多ばやし 平成5年 花柳滝蔵 大和久満
阿国かぶかん 平成5年 谷村陽介 大和久満
戌の春 平成5年 信元虚園 大和久満
お峰抄 平成6年 谿渓太郎 大和久満
舞の道 平成6年 芝千洲 大和久満
あすなろうの詩(雪月花 平成6年 芝千洲 大和久満
隠り沼 平成6年 伊藤晃 大和久満
鹿鳴館に行った女 平成6年 植田伸爾 大和久満
彼岸ざくら 平成6年 榎本滋民 大和久満
お玉花しぐれ 平成6年 猿若清方 大和久満
かくれんぼ 平成6年 岩田道之輔 大和久満
舞妓 平成6年 岩田道之輔 大和久満
江戸の賑い 平成6年 岩 田道之輔 大和久満
浅草田圃 平成6年 岩田道之輔 大和久満
花小袖 平成6年 岩田道之輔 大和久満
亥年の春 平成6年 信元虚園 大和久満
蔵の中 平成6年 久世光彦 大和久満
繪島配所 平成6年 海津一郎 大和久満
笹小舟 平成7年 吉田香代子 大和久満
花洛道成寺 平成7年 駒井義之 大和久満
初丸髷 平成7年 田中青滋 大和久満
四季の舞松 平成7年 内春生 大和久満
子の春 平成7年 信元虚園 大和久満
あじさい 平成8年 岩田道之輔 大和久満
舟ゆらら 平成8年 岩田道之輔 大和久満
春譜 平成8年 由井宏典 大和久満
花ゆかり 平成9年 花柳壽輔(補作) 大和久満
まほろばの四季 平成9年 藤須磨子 大和久満
恋桜 平成9年 東條走 大和久満
四季のもの売り 平成10年 小川清子 大和久満
憧れ(月と河童) 平成10年 猿若清方 大和久満
砂引草の花 平成10年 飯塚幸恵 大和久満

主催の発表会

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長唄・大和楽の七葉会、大和楽大和会、名古屋満つる会。

収録CD

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  • 1975年(昭和50年) 日本コロムビア株式会社より『大和楽全集』。
  • 1977年(昭和52年) 三味線独奏曲『北斎浮世絵の旅』作曲・レコード発売(芳村伊十七)。
  • 1977年(昭和52年) 『今藤長之・芳村伊十七長唄名曲選』。
  • 1991年(平成3年) 『大和楽大全集』CD、『邦楽ナンバーワンアーティストによる日本の音/三味線/芳村伊十七』CD発売。
  • 1998年(平成10年) 『新大和楽選集』CD発売。

脚注

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公式サイト

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