自動印刷無線電信機
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自動印刷無線電信機 (じどういんさつむせんでんしんき)は、オンライン・テレタイプ式機械式暗号の一種であり、日本陸軍の陸軍技術研究所で太平洋戦争中に開発したが、資材不足により実用化されなかった。
その他の日本の暗号機全体については、日本の機械式暗号を参照のこと。
概要
[編集]- 本体は鑽孔機、自動送信機、自動受信機、秘密装置および電源から構成され、自動貨車または輜重車で運搬が可能であった。
- 鑽孔機:六単位の有線電信機と同じもの
- 自動送信機:混信、空電対策として電文を十数字毎に2回反復送信する。
- 自動受信機:波形改善装置で矩形(パルス)波にした後、反復された電文を各二本の受信テープに印刷。受信内容を比較して人手で誤字脱字を判読し、時には再送を必要とした(符号側に誤り訂正機能が無い)。
- 秘密装置:転換盤によって変化するロータリーラインスイッチを用いマークとスペース符号電流を不規則に変化させ、暗号化/復号した。
- 電源:蓄電池または直流変圧機
歴史
[編集]- 1935年(昭和10年): 基礎研究に着手するが混信・空電による誤字脱字を防ぐ同期装置が開発できず、研究は中断される。
- 1942年(昭和17年): 電気試験所の石川武二技師が同期装置を考案し、研究が再開される。
- 11月、仮試作機による同期装置の基礎検証を行う。
- 1943年(昭和18年): 10月、試作機が竣工。試験結果は概ね良好であるが、一部機構に欠陥
- 1944年(昭和19年): 4月、欠陥の修正作業を完了。
暗号機開発に係わった民間人
[編集]- 昭和20年当時、第五陸軍技術研究所では「自動印刷無線電信機及同傍受機ノ研究」として民間研究者を研究嘱託とした(括弧内は嘱託任命年)
- 電気試験所:所長、大橋幹一(昭和19)
- 電気試験所:第二部技師、石川武二(昭和15)
- 電気試験所:第二部技手、梶正明(昭和15)
- 沖電気富岡工場:技師、佐々木錬太郎(昭和19)
参考文献
[編集]- 日本無線史第9巻、「陸軍無線史」、電波監理委員会、1951年