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脊柱検査

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

脊柱検査(せきちゅうけんさ)とは、乳幼児学校健康診断において、脊椎側彎症など脊柱の疾病および異常の有無を検診し、疾患予防・早期発見に役立てるものである。各学校等によって検査名が多少異なる場合がある。

概要

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乳幼児に対しては、乳幼児健康診査母子保健法施行規則[1]により行うことが定められている項目のうち、

  • 第2条3及び同条2項3 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無

学校では学校保健安全法児童福祉施設入所者も児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第12条[2]により学校保健安全法に準じて行われている)により、健康診断を学校保健安全法施行規則[3]により行うことが定められている項目のうち、

  • 第1節就学時の健康診断 第3条2 脊柱の疾病及び異常の有無は、形態等について検査し、側わん症等に注意する。
  • 第2節児童生徒等の健康診断 第6条3 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無(第6条4項により大学は検査を省略することができる)

が該当する。小学校4年生から中学校3年生までの間が特に注意が必要とされ[4]、2016年度より運動器学校検診として視触診による検診が必修となっている[5]。一部の学校ではそれに加えて撮影による検診(モアレ検査・モアレ撮影)も行われている。

検診の方法

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各学校では例として次のように行われる。

運動器問診票による事前調査

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運動器問診票は、世界保健機関(WHO)が運動器疾患の予防などを目的に提唱する「運動器の10年世界運動」[6]の日本委員会が提唱する試案を基本に、改訂を加えられた。運動器問診票において、

  • 運動器疾患既往後に問題点があり、現在医療機関を受診していない者
  • 運動器に 1か月以上つづく痛みがあり、医療機関を受診していない者
  • 上下肢の動作に問題があり、医療機関を受診していない者

を、二次検診候補者として抽出し名簿を作成する[7]

視触診による検診の方法

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例として次の様に行われる[4][8]

男子及び右記以外の女子 タオルケープを使用する女子[9] 背中部分の面積が小さいブラジャー[10]を着用している女子
検診時の姿 上半身トップレス)。検診時の体勢上、、ニプレスなどを着用している者を除いて乳房が完全に露になる[注釈 1] 上半身タオル(エプロン型タオル・ラップタオル)やケープ1枚のみ着衣でラップタオルやケープは背部をまでたくし上げている姿。 上半身ブラジャー1枚のみ着衣の姿。
  • 脊柱検査時以外でも、学校で上半身が上記何れかの姿になる機会(心電図検査時・着替え時・集団入浴時など)を利用して先生などが観察(検査)を行い、家庭でも同様の姿(着替え時・親子入浴時など)になる機会を利用してが観察を行うことが理想的とされている。
  • ボトムスの姿は学校制服・衣料を着用、学校制服・衣料以外を着用、パンツ下着)のみ着用など学校や状況(脊柱検査時・脊柱検査時以外)などにより異なる。
検査内容 前屈検査 両方ののひらを合わせ、の力を抜いて、両を自然に前に垂らし、を伸ばしたまま、ゆっくりお辞儀をし、、背中、の順に左右の高さに差があるかないか視診・触診する。
  • 検者は椅子に腰をかけて、検者の正面あるいは背面に位置し、被検者の背面を見通すようにしながら検診する。
  • 左右の高低差が7-8mm以上または左右の背面傾斜角が5°以上だと側湾症の疑いが強くなる。
立体検査 後ろ向きに「気をつけ」の姿勢でまっすぐ立ち次の3項目を視診・触診する。
  • 左右の線部分の曲がり方(輪郭)に不均衡があるかないか。
  • 左右両肩の高さに差があるかないか。
  • 左右両肩甲骨の高さや突出の仕方に差があるかないか。

撮影による検診(モアレ検査・モアレ撮影)の方法

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モアレ式体型観察装置(モアレトポグラフィやモアレルックなど)を用いて撮影が行われ、例として撮影前は次の手順で行われる(撮影後は逆の手順)。待機場所の部屋と撮影場所の部屋は直接行き来が出来る様になっており、待機場所と撮影場所が同一部屋の場合はカーテン衝立などで場所を区切っている。また、モアレ式体型観察装置を搭載した検診車の車内で撮影が行われる場合もある[11][12][13][14][15][16][17][18][19]

  1. 予め、下記Aの姿になっておく。
  2. 下記Aの姿で待機場所に入り、下記Bの姿になる。
  3. 下記Bの姿で1人ずつ撮影場所に入り、裸足[注釈 2]で撮影板に向かって撮影台上の所定の位置に立つ。
  4. 下記Cの姿で「気をつけ」の体勢となり、後方からから上部の背面部分が撮影される。
  • 撮影時間は1人あたり1分程度。
  • プライベートゾーンを露出するため苦痛になりやすが、自然な状況を求めるため、力を抜き、楽にする必要がある。
  • 撮影場所の外から撮影をすることがある。
撮影による検診の姿
ボトムス(男女共通) トップス(男子) トップス(女子) その他(男女共通)
A 撮影直前まで 体操着短パンハーフパンツショートパンツなど)[注釈 3]とパンツ(下着)各1枚のみ着衣の姿[注釈 2] 体操着のトレーニングシャツまたは体操シャツどちらか1枚のみ着用(下着は無し)の姿または着衣無し(裸)。 体操着のトレーニングシャツまたは体操シャツどちらか1枚のみ(下着はブラジャー1枚のみまたは無し)着用の姿。
  • ニプレスなどが必要であれば着用しておく(着用して受診できない場合もある)。
ポケットに物が入っている場合は全て取り出す[注釈 2]
靴下は脱いでおく[注釈 2]
の長い人は髪で首より下の背面が隠れないようにまとめておく[注釈 4]
B 直ぐにCの姿になれるように、体操着の短パン[注釈 3]またはトレーニングパンツに腰が付いている場合は下にずれない範囲内で紐を緩めておく。
  • 体操着のトレーニングパンツを着用して撮影が出来ない場合や体操着以外の衣装を着用している場合はパンツ一丁になる場合がある[注釈 2]
着衣無し(裸)[注釈 4] 着衣無し(裸・トップレス)[注釈 4][注釈 1]、何れかの方法で乳房を隠す。
  • (可能な場合)(乳房)の間に脱衣した被服タオルなどを挟む。
  • (可能な場合)タオルを羽織ったり上半身に巻く。
  • (上記何れも不可能な場合)手ブラ・腕ブラをする。
C 撮影直前・撮影中 着衣が尾骨が見えるようにの上部が露出するまで下げた状態[注釈 4] ニプレスなどを着用している者を除いて着衣無し(裸・トップレス)で羽織ったり上半身に巻いていたタオルを外し[注釈 4]、「気をつけ」の体勢になる[注釈 1]

整形外科医による二次健診

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学校健康診断における運動器検診の結果、二次検診の対象と判定された者については、保護者宛てに通知し、整形外科専門医の候補を提示して受診するように指示する[7]

脚注

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注釈

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  1. ^ a b c トップレスで受診することに女子児童生徒の保護者から疑問の声が上がっている。“学校健診で「上半身裸」になる必要あるの? 「娘が嫌がっている」保護者から疑問の声”. 京都新聞. (2020年11月22日). https://www.kyoto-np.co.jp/articles/amp/420526 2020年11月22日閲覧。 
  2. ^ a b c d e f を見て両足で均等に立っていることを確認するため。
  3. ^ a b c 女子は体操着でブルマーが廃止されるまでは短パンでは無くブルマーの場合もあった。
  4. ^ a b c d e 首から尻上部の背面部分に髪・着衣部分があると正常に撮影ができない。

出典

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  1. ^ 母子保健法施行規則(昭和四十年厚生省令第五十五号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (1965年12月28日). 2020年1月27日閲覧。
  2. ^ 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和二十三年厚生省令第六十三号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (1948年12月29日). 2020年1月27日閲覧。
  3. ^ 学校保健安全法施行規則(昭和三十三年文部省令第十八号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2019年7月1日). 2020年1月27日閲覧。 “令和元年文部科学省令第九号改正、2019年7月1日施行分”
  4. ^ a b 日本側弯症学会 編『知っておきたい脊柱側弯症』(第1)インテルナ出版、東京都、2003年12月25日。ISBN 978-4-900637-15-3 
  5. ^ 運動器学校検診における側弯症について 日本側彎症(そくわんしょう)学会
  6. ^ 「運動器の10年」世界運動 三重県臨床整形外科医会(MCOA)
  7. ^ a b 学校健康診断における運動器検診マニュアル(2016年度実施案) (PDF) 慶應義塾大学保健管理センター
  8. ^ 側弯症を早期に発見するためにはどうすれば良いのか? 日本側彎症(そくわんしょう)学会
  9. ^ 【Q&A】学校における児童生徒の健康診断について”. 長岡京市教育委員会 (2024年4月). 2024年5月25日閲覧。
  10. ^ スポーツブラ等は不可。各学校における内科健診時の服装について”. 加古川市総務教育常任委員会資料教育総務部学務課 (2022年5月19日). 2024年5月25日閲覧。
  11. ^ 千葉市立花園小学校保健室 (2012年5月2日). “ほけんだより” (PDF). 千葉市教育センター. 2017年7月23日閲覧。
  12. ^ 真野小学校保健室. “保健だより : モアレ検査号 六年生のみなさんへ” (PDF). 大津市教育情報通信ネットワーク(OIE-NET). 2015年12月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。 Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  13. ^ 高鷲南中学校保健室. “ほけんだより : 1年生用” (PDF). 羽曳野市. 2015年12月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。 Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  14. ^ 貝塚市立中央小学校保健室. “ほけんだより : 11月” (PDF). 貝塚市教育委員会. 2017年7月23日閲覧。
  15. ^ 公益財団法人愛媛県総合保健協会. “学校健診に関するお願い(平成26年度版)” (PDF). 公益財団法人愛媛県総合保健協会. 2017年7月23日閲覧。
  16. ^ よぼういがく協会. “脊柱側弯検診” (PDF). 公益財団法人岩手県予防医学協会. p. 1. 2018年8月11日閲覧。
  17. ^ 公益財団法人岩手県予防医学協会. “脊柱側弯検診の手引き : 脊柱側弯症を早期に発見するための検診です” (PDF). 公益財団法人岩手県予防医学協会. 2017年7月23日閲覧。
  18. ^ 辰市小学校保健室 (2016年1月19日). “おひさま ほけんだより《臨時:5年生用》” (PDF). 奈良市教育委員会. 2017年7月23日閲覧。
  19. ^ 和泉市立和泉中学校保健室 (2015年9月30日). “保健だより : 健康診断号” (PDF). 和泉市. 2017年7月23日閲覧。

外部リンク

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