胎児性水俣病
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胎児性水俣病(たいじせいみなまたびょう)は、出生前の胎児の段階に起因して発症する水俣病。汚染された魚介類を自ら摂取することにより発症する小児・成人水俣病とは異なり、胎児が母親の食べた魚に含まれるメチル水銀をへその緒より吸収してしまうことにより発症する[1]。
発見
[編集]原田正純により1958年頃に発見され、1962年に結論が出された[2]。
影響
[編集]脳の発育が不十分だったり神経細胞が壊されたりし、感覚障害や運動失調などを発症する。熊本、鹿児島両県によると、1955年以降に生まれた水俣病認定患者は77人(2016年3月時点)。複数の患者団体によると、そのほとんどが胎児性患者とみられ、亡くなった人も多い[3]。
患者の一人だった上村智子(1956年生まれ、1977年死去)は、写真家ユージン・スミスの作品の題材となった[4][5][注釈 1]。水俣市内に建立された水俣病犠牲者の慰霊碑「乙女塚」の名前は、上村に由来する[8]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “8 小児・成人水俣病とは 9 胎児性水俣病とは - 水俣病資料館” (PDF). 水俣病資料館. 2021年8月27日閲覧。
- ^ 「胎児性水俣病」『世界大百科事典』 。コトバンクより2021年8月27日閲覧。
- ^ “胎児性水俣病患者の松永さん「被害語り継ぐことが使命」”. 朝日新聞. (2018年5月1日) 2021年8月27日閲覧。
- ^ 「上村智子」『デジタル版 日本人名大辞典+Plus』 。コトバンクより2021年8月28日閲覧。
- ^ “水俣撮った米写真家 映画化へ”. 朝日新聞. (2019年10月7日) 2021年8月28日閲覧。
- ^ 「入浴する智子と母」の写真について - アイリーン・アーカイブ
- ^ 岩永直子 (2021年8月17日). “公害の悲惨さと人間の美しさと 写真家ユージン・スミスの妻、アイリーンさんが水俣で共に感じた鼓動”. Buzzfeed.News 2021年8月28日閲覧。
- ^ “水俣病65年、悲しみ今も 娘失った上村さん、乙女塚で慰霊 患者や家族、国に不満も”. 熊本日日新聞. (2021年5月2日) 2021年8月28日閲覧。
外部リンク
[編集]- 胎児性水俣病患者等リハビリテーション支援事業 - 熊本県
- 原田正純, 田尻雅美「小児性・胎児性水俣病に関する臨床疫学的研究 : メチル水銀汚染が胎児および幼児に及ぼす影響に関する考察」『社会関係研究』第14巻第1号、熊本学園大学社会関係学会、2009年1月、1-66頁、ISSN 1341-0237、NAID 120005605012。
- 土井陸雄「胎児性水俣病患者の症状悪化に関する緊急提言 : 早急に公害健康被害者の健康追跡調査を」『日本公衆衛生雑誌』第49巻第2号、日本公衆衛生学会、2002年2月、73-75頁、ISSN 05461766、NAID 10008653434。