コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

胎児性水俣病

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

胎児性水俣病(たいじせいみなまたびょう)は、出生前の胎児の段階に起因して発症する水俣病。汚染された魚介類を自ら摂取することにより発症する小児・成人水俣病とは異なり、胎児が母親の食べた魚に含まれるメチル水銀へその緒より吸収してしまうことにより発症する[1]

発見

[編集]

原田正純により1958年頃に発見され、1962年に結論が出された[2]

影響

[編集]

脳の発育が不十分だったり神経細胞が壊されたりし、感覚障害や運動失調などを発症する。熊本、鹿児島両県によると、1955年以降に生まれた水俣病認定患者は77人(2016年3月時点)。複数の患者団体によると、そのほとんどが胎児性患者とみられ、亡くなった人も多い[3]

患者の一人だった上村智子(1956年生まれ、1977年死去)は、写真家ユージン・スミスの作品の題材となった[4][5][注釈 1]。水俣市内に建立された水俣病犠牲者の慰霊碑「乙女塚」の名前は、上村に由来する[8]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 該当の写真は現在は非公開となっている[6]。ただし、2021年に著作権者は再度公開に踏み切る意向を示している[7]

出典

[編集]

外部リンク

[編集]
  • 胎児性水俣病患者等リハビリテーション支援事業 - 熊本県
  • 原田正純, 田尻雅美「小児性・胎児性水俣病に関する臨床疫学的研究 : メチル水銀汚染が胎児および幼児に及ぼす影響に関する考察」『社会関係研究』第14巻第1号、熊本学園大学社会関係学会、2009年1月、1-66頁、ISSN 1341-0237NAID 120005605012 
  • 土井陸雄「胎児性水俣病患者の症状悪化に関する緊急提言 : 早急に公害健康被害者の健康追跡調査を」『日本公衆衛生雑誌』第49巻第2号、日本公衆衛生学会、2002年2月、73-75頁、ISSN 05461766NAID 10008653434