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群衆 (1928年の映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
群衆
The Crowd
劇場公開時のポスター
監督 キング・ヴィダー
脚本 キング・ヴィダー
ジョン・V・A・ウィーバー
原案 キング・ヴィダー
ハリー・ベーン
製作 アーヴィング・タルバーグ
出演者 ジェームズ・マーレー
エレノア・ボードマン
撮影 ヘンリー・シャープ
製作会社 メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
配給 メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
公開 アメリカ合衆国の旗 1928年2月28日(ニューヨーク)
アメリカ合衆国の旗 1928年3月3日(全米)
上映時間 98分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 サイレント英語字幕)
次作 麦秋
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本編

群衆』(ぐんしゅう、原題:The Crowd)は、1928年に製作されたキング・ヴィダー監督によるモノクロサイレント映画である[1]フランク・ボーゼイギ監督の『第七天国』、F・W・ムルナウ監督の『サンライズ』、ジョゼフ・フォン・スタンバーグ監督の『紐育の波止場』と並んでサイレント末期アメリカ映画の代表作の一つに数えられている[2]

本作は2024年にアメリカにおいてパブリックドメインとなっている[3]

解説[編集]

平均的なアメリカ市民を主人公として、平和な生活が環境やどうすることもできない周囲の状況の流れによって決定づけられるのを描きたいと考えたヴィダーは、当時、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー (MGM) の若手プロデューサーだったアーヴィング・タルバーグに話して賛同を得た。当時、大衆に夢のような世界を満喫させるというハリウッド映画が定着していた中で、まったく異色の企画だった。

メアリー役には当時ヴィダーの妻でもあったエレノア・ボードマンを充て、夫のジョン役は撮影所で偶然ヴィダーとすれ違ったエキストラの一人、ジェームズ・マーレーにカメラテストを受けさせて起用を決めた。ニューヨークの屋外シーンの大部分は隠し撮りで撮影したが、これは当時としては異例のことであった[2]

ラストシーンは、コメディ舞台を観ているシムズ夫妻が笑っているところをとらえたカメラがトラックバックし、夫妻がだんだん小さくなって周囲の観客の中に溶け込んでいくというカットが撮影されたが、これを見たMGMの重役ルイス・B・メイヤーは、ハッピーエンドにならないとして、職を得たジョンが家族とともにクリスマスツリーを囲んでいる別のカットを追加で撮影させ、どちらのカットを選ぶかは劇場主の判断に任せることにした。結果は、都会の劇場ではオリジナル版、そのほかではハッピーエンド版が上映されることが多かった[2]が、ヴィダー自身は、ハッピーエンド版のほうはほとんど上映されなかったと回顧している[4]

ヴィダーは次作『麦秋』でも本作と同じジョンとメアリーという名前の夫妻を主人公とし、世界大恐慌の時代に夫妻が共同農場を経営して苦闘するさまを描いた[2]

あらすじ[編集]

キャスト[編集]

  • ジョン・シムズ - 小市民のサラリーマン:ジェームズ・マーレー
  • メアリー・シムズ - ジョンの妻:エレノア・ボードマン
  • バート:バート・ローチ
  • ジェーン:エステル・クラーク
  • ジム:ダニエル・G・トムリンソン
  • ディック:デル・ヘンダーソン
  • メアリーの母:ルーシー・ボーモント
  • ジュニア:フレディ・バーク・フレデリック
  • 娘:アリス・ミルドレッド・プター

スタッフ[編集]

  • 監督:キング・ヴィダー
  • 製作:アーヴィング・タルバーグ
  • 原案:キング・ヴィダー、ハリー・ベーン(クレジットなし)
  • 脚本:キング・ヴィダー、ジョン・V・A・ウィーバー
  • 撮影:ヘンリー・シャープ

ノミネート[編集]

第1回アカデミー賞

脚注[編集]

  1. ^ kinenote.
  2. ^ a b c d 丸尾定『映画史上ベスト200シリーズ・アメリカ映画200』キネマ旬報社、1992年5月30日発行、72 - 73ページ。
  3. ^ Public Domain Day 2024” (英語). Center for the Study of the Public Domain. 2024年6月16日閲覧。
  4. ^ The Crowd (1928)” (英語). AFI Catalog of Feature Films. 2024年6月16日閲覧。

外部リンク[編集]