紫の党
紫の党 Partido Morado | |
---|---|
略称 | PM |
党首 | フリオ・グスマン |
事務局長 | ロドルフォ・ペレス・オゾレス[1] |
共和国議会院内会派 我らはペルー・紫の党 第2副スポークスパーソン | フロル・パブロ・メディナ[2] |
創立 | 2017年11月18日 |
分離元 | トドス・ポル・エル・ペルー党[3] |
本部所在地 | ペルー・リマ |
政治的思想 | 共和主義 |
政治的立場 | 中道 |
公式カラー | 紫 |
共和国議会議員 |
3 / 130 |
州知事 |
0 / 25 |
州議会議員 |
0 / 274 |
群長 |
0 / 196 |
公式サイト | |
partidomorado.pe/ | |
ペルーの政治 ペルーの政党一覧 ペルーの選挙 |
紫の党(むらさきのとう、スペイン語:Partido Morado、略称:PM)は、共和主義を標榜するペルーの中道政党である[4][5]。党首はフリオ・グスマン[1][6]。「紫」は、ペルーにおける左派政党と右派政党を象徴する「赤」と「青」の融合の意味合いで採用され、党の中道理念を象徴するものとなっている[7]。
歴史
[編集]- 党設立の背景と2020年臨時共和国議会選挙までの状況
フリオ・グスマンは2016年4月のペルー大統領選挙にトドス・ポル・エル・ペルー党から立候補していたが、2016年3月に全国選挙審議会は、立候補手続きの不備を理由にグスマンの立候補を無効とした[8][9][注 1]。 これを受けて、2016年5月、グスマンは2021年の次回大統領選挙に立候補するために、新政党「紫の党」設立の準備を開始すると発表した[11]。 2016年10月16-17日にグスマンはペルーのリマで「第1回党大会」を開催し、党の理念や規約の制定など、党設立に向けた第一歩を踏み出した[3]。 2017年10月14-15日にクスコで開催された「第2回党大会」では、党の地方代表者など1000人が集まり、政党登録書類を国の担当部署へ提出することが報告され[12]、2017年11月18日に正式に党が発足した[13]。 2018年10月13-14日にアヤクーチョで開催された「第3回党大会」では、党の地方代表者など1000人以上が参加し、党員登録・整備作業について報告・評価が行われた[14]。 2019年3月4日、全国選挙審議会の政治組織登録簿(ROP)に登録され、選挙に参加できる党[注 2]となった[16][17]。 2019年10月25-26日にトルヒーリョで開催された「第4回党大会」では、党の地方代表者など1800人が参加し、翌年2020年1月の臨時共和国議会選挙に向けた指針の決定や、一部候補者決定の報告など、選挙準備が進められた[18]。 2019年11月には政党「バンカダ・リベラル」に所属していたアルベルト・デ・ベラウンデとジノ・コスタが合流した[19]。 2020年1月26日に行われた2020年臨時共和国議会選挙では、紫の党は得票率7.4%で130総議席中9議席を獲得し[20]、ベラウンデ、コスタの両名も当選を果たした[21]。
- 党所属議員より暫定大統領誕生
2020年11月9日に共和国議会によるマルティン・ビスカラ大統領の弾劾が可決(大統領罷免)され、それに伴いマヌエル・メリノ共和国議会議長が規定により暫定大統領に就任するが、ビスカラ罷免に対する有権者の抗議活動の激化(警察との衝突で、少なくとも2名が死亡・94名が負傷)から、メリノも就任5日後に暫定大統領職を辞任することとなった[22][23]。大統領・副大統領・共和国議会議長が不在で、ビスカラ大統領罷免に対する激しい抗議活動が行われている情勢下、共和国議会議員のうちビスカラ大統領罷免に反対した議員19名の中から共和国議会議長を選出(規定により暫定大統領に就任)することとなり、党所属のフランシスコ・サガスティが選ばれ、2020年11月17日に暫定大統領に就任した[22][24][25]。
- 2021年総選挙とその後
2021年ペルー総選挙(大統領選挙及び共和国議会議員選挙)に備える為、選挙参加登録が未済であったフエルサ・シウダダナ党と、2020年9月に正式に政治協定を締結した[26]。 この合意により、LGBT活動家のスーゼル・パレデスが党に合流し[26]、共和国議会選挙(比例代表制)にリマ選挙区から出馬することとなった[27]。 紫の党の大統領候補を選ぶ予備選挙には、元ミラフローレス市長候補者のアレハンドロ・サン・マルティン[28]、共和国議会議員のカロリーナ・リサラガ[29]、党首のグスマンが立候補し[30]、投票の結果、グスマンが約77%の票を獲得し、党の大統領候補となった[31]。 総選挙(大統領選挙及び共和国議会議員選挙)の投票は2021年4月11日に行われ、大統領選挙(1次選挙)ではグスマンは得票率2.3%で落選、共和国議会議員選挙では得票率5.42%で3議席の獲得(前回比マイナス6議席)の結果となった[32][33]。 選挙の敗北やグスマン党首の党運営への不満などから、党内ではグスマン党首の辞任を求める声が高まり、また党有力者の離脱も相次いだ[34][35]。 共和国議会では議会理事会に参加するためには議員5人以上の院内会派である必要があったため、議員5人の「我らはペルー」と合同の院内会派「我らはペルー・紫の党」を2021年7月に結成した[2]。 合同院内会派結成に対して、党の元共和国議会議員であるカロリーナ・リサラガは、会派を組む「我らはペルー」への不信や党内調整不足を理由に党を離脱した[36][37]。
理念・政策
[編集]- ペルーにおいてこれまで発展の指針とされてきた新自由主義や社会主義に見られる限界の克服。
- 市場経済的な考え方と平等な権利・機会の均等とを両立させ、個人のみならず社会全体の幸福追求も可能にする共和主義的な社会の構築。
- 近年の人口の都市集中や経済成長を背景に成長しつつある新興中産階級の人々「新しいタイプのペルー人」[注 3]への最大限の配慮。
- 科学技術・IT技術の振興、環境保全、権利義務意識の醸成、民主主義の更なる充実、他国事例の研究、生活の質の向上などによる、個々人のみならず全ての人の繁栄・幸福の追求。
- 持続可能性に配慮した開発、人材育成、国民のニーズのくみ上げ、法の下の平等、格差是正、生活改善などによる、国民の心が一つになった統合された国家の実現。
- 開放的で、透明性があり、腐敗の無い、公正な政治の確立。
選挙結果
[編集]大統領選挙
[編集]実施年 | 候補者 | 所属政党 | 得票数 | 得票率 | 得票順位 |
---|---|---|---|---|---|
2021 | フリオ・グスマン | 紫の党 | 325,608 | 2.26 |
10位 |
共和国議会議員選挙
[編集]実施年 | 得票数 | 得票率 | 議席数 (獲得/総議席数) |
増減 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
2020 | 1,095,491 | 7.40% | 9 / 130 |
+9 | 野党 |
2021 | 697,289 | 5.42% | 3 / 130 |
-6 | 野党 |
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b “Directivas y Directivos” (スペイン語). Partido Morado. 2021年8月27日閲覧。
- ^ a b “Congreso: Somos Perú y Partido Morado se unen para formar nueva bancada” (スペイン語). La República (2021年7月25日). 2021年8月28日閲覧。
- ^ a b “La idea no es crear un partido solo para ganar las elecciones” (スペイン語). El Comercio (2017年10月19日). 2021年8月31日閲覧。
- ^ a b c “IDEARIO DEL PARTIDO MORADO” (スペイン語). Partido Morado. 2021年8月28日閲覧。
- ^ “1月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり”. 在ペルー日本国大使館. 外務省 (2020年3月9日). 2021年8月28日閲覧。
- ^ “グスマン・ぺルー「紫の党」党首による尾身外務大臣政務官表敬”. 外務省 (2020年2月14日). 2021年8月27日閲覧。
- ^ Holly K. Sonneland (2018年10月11日). “LatAm in Focus: Why Peru's Political Establishment Is Scared” (英語). Americas Society / Council of the Americas. 2021年8月31日閲覧。
- ^ “Julio Guzmán es excluido de contienda electoral por el Jurado Nacional de Elecciones” (スペイン語). La República (2016年3月9日). 2021年9月2日閲覧。
- ^ “ビジネス短信>世界の政治・経済日程(2016年4~6月)(中南米)”. 日本貿易振興機構 (2016年3月31日). 2021年9月2日閲覧。
- ^ César Romero (2020年9月3日). “La red de “Cuellos Blancos del Puerto” también infiltró el JNE, según testigos de fiscalía” (スペイン語). La República. 2021年9月2日閲覧。
- ^ “Julio Guzmán anunció el nombre de su nuevo partido político” (スペイン語). La República (2016年5月25日). 2021年9月2日閲覧。
- ^ “Cusco se Tiñó de Morado” (スペイン語). Caretas (2017年10月19日). 2018年1月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月31日閲覧。
- ^ René Zubieta Pacco (2019年3月5日). “Partido Morado: radiografía de la agrupación de Julio Guzmán” (スペイン語). El Comercio. 2021年8月27日閲覧。
- ^ “Celebran tercera “Cumbre Morada” en Huamanga-Ayacucho” (スペイン語). AHORA (2018年10月18日). 2021年8月28日閲覧。
- ^ 村上勇介「ペルーにおける選挙制度の史的展開 一つの接近」(pdf)『地域研究論集』第1巻第1号、京都大学地域研究統合情報センター、1997年8月29日、145-146,147-148,159、2021年8月29日閲覧。
- ^ René Zubieta Pacco (2019年3月5日). “Partido Morado: radiografía de la agrupación de Julio Guzmán” (スペイン語). El Comercio. 2021年8月29日閲覧。
- ^ “Inscriben al partido político "Partido Morado" en el Registro de Organizaciones Políticas del JNE” (スペイン語). El Peruano. 2021年8月29日閲覧。
- ^ “Julio Guzmán se reunió con sus bases en Trujillo” (スペイン語). La República (2019年10月27日). 2021年8月31日閲覧。
- ^ Mario Mejía Huaraca (2019年11月15日). “Elecciones 2020: confirman que Gino Costa y Alberto de Belaunde postularán por el Partido Morado” (スペイン語). El Comercio. 2021年8月30日閲覧。
- ^ Jurado Nacional de Elecciones. Elecciones Congresales Extraordinarias 2020 Estadísticas del Padrón Electoral. Estadísticas Listas de Candidatos, Candidatos y Resultados (pdf) (Report) (スペイン語). Jurado Nacional de Elecciones. pp. 18, 21. 2021年8月30日閲覧。
- ^ “Partido Morado llega a Palacio para diálogo con presidente Martín Vizcarra” (スペイン語). andina. Agencia Peruana de Noticias (2020年2月4日). 2021年8月31日閲覧。
- ^ a b 磯田沙織 2021, pp. 34–35.
- ^ Stefano Pozzebon, Claudia Rebaza and Jaide Timm-Garcia (2020年11月15日). “Peru's interim president resigns after just five days” (英語). CNN. 2021年8月31日閲覧。
- ^ FRANKLIN BRICEÑO and CHRISTINE ARMARIO (2020年11月17日). “Peru's Congress Selects Centrist Lawmaker To Be New Leader” (英語). Associated Press. 2021年8月31日閲覧。
- ^ “ペルー新大統領にサガスティ氏就任”. AFPBB NEWS. クリエイティヴ・リンク (2020年11月18日). 2021年8月31日閲覧。
- ^ a b “Susel Paredes: "Yo siempre voy a querer ser presidenta del Perú"” (スペイン語). RPP (2020年9月2日). 2021年8月31日閲覧。
- ^ “Susel Paredes encabeza lista de precandidatos al Congreso del Partido Morado” (スペイン語). El Ccomercio (2020年10月29日). 2021年8月31日閲覧。
- ^ Jonathan Castro (2020年10月23日). “Elecciones 2021: Presentan lista alternativa en el Partido Morado para internas” (スペイン語). El Comercio. 2021年8月31日閲覧。
- ^ “Elecciones 2021: Carolina Lizárraga será precandidata presidencial del Partido Morado” (スペイン語). Gestión (2020年10月25日). 2021年8月31日閲覧。
- ^ “Elecciones 2021: Julio Guzmán inscribe precandidatura presidencial por Partido Morado” (スペイン語). andina. Agencia Peruana de Noticias (2020年10月28日). 2021年8月31日閲覧。
- ^ “Julio Guzmán será el candidato presidencial del Partido Morado al 76,92% de actas contabilizadas” (スペイン語). El Comereio (2020年11月29日). 2021年8月31日閲覧。
- ^ 磯田沙織 2021, pp. 29–30, 35–38.
- ^ “Partido Morado: "Nuestra inscripción no se cancela"”. PERÚ21 (2021年7月18日). 2021年9月3日閲覧。
- ^ Alonso Zambrano (2021年5月19日). “Julio Guzmán provoca un cisma en el Partido Morado” (スペイン語). El Foco. 2021年9月2日閲覧。
- ^ Harold Quispe (2021年5月18日). “Militantes del Partido Morado emiten su renuncia acusando "falsa lealtad"” (スペイン語). La República. 2021年9月2日閲覧。
- ^ “Lizárraga renuncia al Partido Morado por alianza de su grupo político con la bancada de Somos Perú” (スペイン語). La República (2021年8月9日). 2021年9月2日閲覧。
- ^ “Excongresista Carolina Lizárraga renunció al Partido Morado” (スペイン語). El Comercio (2021年8月8日). 2021年9月2日閲覧。
参考文献
[編集]- 磯田沙織「分断を深めるペルー ―国内における対立が可視化された2021年総選挙」(pdf)『ラテンアメリカ・レポート』第38巻第1号、日本貿易振興機構アジア経済研究所、2021年7月、28-43頁、doi:10.24765/latinamericareport.38.1_28、ISSN 0910-3317、NAID 130008070079、2021年8月30日閲覧。
外部リンク
[編集]- 公式サイト(スペイン語)
- 紫の党 (@partidomorado) - X(旧Twitter)
- 紫の党 (PartidoMorado) - Facebook