第十六号輸送艦
第十六号輸送艦 | |
---|---|
復員庁特別輸送艦 輸第十六号 (中華民国への引渡し前 1947年 佐世保港) | |
基本情報 | |
建造所 | 三菱重工業横浜造船所 |
運用者 |
大日本帝国海軍 第二復員省/復員庁 中華民国海軍 |
艦種 |
輸送艦(日本海軍) 特別輸送艦(第二復員省/復員庁) 運輸艦(中華民国海軍) |
級名 | 第一号型輸送艦 |
建造費 | 6,912,000円(予算成立時の価格) |
艦歴 | |
計画 | マル戦計画 |
起工 | 1944年8月12日 |
進水 | 1944年10月10日 |
竣工 | 1944年12月31日 |
最期 | 1954年廃艦 |
除籍 |
1945年9月15日(日本海軍) 1947年8月29日(復員庁) 1954年(中華民国海軍) |
改名 |
第十六号輸送艦(1944年9月) 輸第十六号(1945年12月) 武夷、または武彜(中華民国海軍) |
要目(注釈無き限り計画時) | |
基準排水量 | 1,500トン |
公試排水量 | 1,800トン |
全長 | 96.00m |
水線長 | 94.00m |
垂線間長 | 89.00m |
最大幅 | 10.20m |
深さ | 6.50m |
吃水 | 3.60m |
ボイラー | 三号乙二九〇一型ロ号重油専焼缶2基[注釈 1] |
主機 | 艦本衝動式三号丙五四八一型タービン1基[注釈 2] |
推進 | 1軸 |
出力 | 9,500hp |
速力 | 22.0ノット |
燃料 | 重油 415トン |
航続距離 | 18ノットで3,700カイリ |
乗員 | 計画時148名 |
搭載能力 | 貨物260トン、14m特型運貨船4隻 |
兵装 | 40口径12.7cm連装高角砲1基、25mm機銃 3連装3基、連装1基、単装4基、二式爆雷改二34個以上[注釈 3] |
搭載艇 |
13m特型運貨船1隻 6mカッター2隻 |
レーダー |
1945年5月31日現在[注釈 2] 仮称三号電波探信儀二型改四 1基 三式一号電波探信儀三型 1基 |
ソナー |
1945年5月31日現在[注釈 2] 仮称三式探信儀二型甲1基 九三式水中聴音機二型甲小艦艇用1基 |
その他 | 九九式測探儀[注釈 1] |
第十六号輸送艦[注釈 4](だいじゅうろくごうゆそうかん)は、日本海軍の輸送艦。第一号型輸送艦の16番艦[注釈 5]。離島に対する輸送作戦に従事した。太平洋戦争を生き延びて戦後は復員輸送に従事したのち、賠償艦として中華民国に引き渡された。
艦歴
[編集]日本海軍
[編集]マル戦計画の計画名特務艦特型、仮称艦名第2916号艦として計画。1944年8月12日、三菱重工業横浜造船所で建造番号555番船として起工。9月1日、第十六号輸送艦と命名。同日付で第一号型輸送艦の14番艦に定められ[注釈 5]、本籍を横須賀鎮守府と仮定。10月10日、進水。27日、艤装員事務所を横浜市緑町の三菱仮兵舎内に設置し事務開始。
12月31日竣工し、連合艦隊附属第二輸送隊に編入され、本籍を横須賀鎮守府に定められる。同日、艤装員事務所を撤去。以後、主として父島、八丈島、硫黄島に対する輸送任務に従事。
1945年2月20日から3月12日まで、横須賀海軍工廠で修理を行う。3月7日、第二輸送隊司令輸送艦。4月14日、鳥島挺身輸送のため輸送隊司令旗を第13号輸送艦へ移揚し、横須賀発。19日、横須賀に帰着し輸送隊司令旗を本艦に復帰。
6月17日、伊豆大島沖で空襲を受け損傷。終戦時は横須賀で修理中。8月26日、横須賀鎮守府第一予備輸送艦に定められる。9月15日除籍され、横須賀-グアム-浦賀を皮切りに復員輸送に従事。10月12日、帝国艦船特別輸送艦と呼称される。
第二復員省-復員庁
[編集]1945年12月1日、第二復員省の開庁により、横須賀地方復員局所管の特別輸送艦に定められる。20日、艦名を輸第十六号に改称。
1946年10月19日、佐世保発、21日那覇着。同日那覇発、23日佐世保着。27日佐世保発、途中浦賀に寄港し、11月1日石川島着。1日から22日まで石川島造船所で修理を行う。12月11日、浦賀発。16日、グアム着。23日、浦賀に帰着。この復員輸送が最後となり、25日特別保管艦に指定され、横須賀地方復員局特別保管艦艇第七保管群に配される。
1947年2月から4月にかけて、大洋漁業に貸し出されて第二次小笠原捕鯨の捕鯨母船として活動する。
8月25日、中華民国に対する賠償艦第三次引渡しのため佐世保を出港。29日、特別輸送艦の定めを解かれ、青島で中華民国に引き渡された。12月15日、輸第十六号の残務整理が終了した。
中華民国海軍
[編集]日本からの引渡し時は接24号と仮称されたが、再武装されないまま武夷[注釈 6] または武彜[注釈 7] と命名され運輸艦隊に編入された。国共内戦時は中国大陸から台湾への避難民や物資の輸送に従事した。1954年、部品の欠乏により任務から外れ廃艦となった。
第十六号輸送艦長/輸第十六号艦長
[編集]- 艤装員長
- 小林正夫 少佐:1944年10月20日 - 1944年12月31日
- 輸送艦長/艦長
- 小林正夫 少佐:輸送艦長 1944年12月31日 - 1945年4月23日
- 長橋喜間太 少佐:1945年4月23日 - 1945年7月15日
- 原田七郎 少佐:1945年7月15日 - 1945年10月10日
- 磯邊秀雄 大尉/第二復員官/第二復員事務官/復員事務官:1945年10月10日 - 艦長 1945年12月20日 - 1947年6月29日
- 磯邊秀雄 復員事務官:1947年8月5日 - 1947年8月29日[注釈 8]
脚注
[編集]- 注釈
- ^ a b 『特務艦一般計画要領書』の記述による。
- ^ a b c 『第二輸送隊戦時日誌(昭和20年5月1日-31日)』の記述による。
- ^ 『第二輸送隊戦時日誌(昭和20年4月1日-30日)』の記述による。「二式爆雷改二 消耗量34、補充量34」とあるため、34個以上積載可能だったことが確認できる。
- ^ 本来の艦名表記は第十六號輸送艦(1945年12月20日以降は輸第十六號)。以下、「第十六号」の表記部について同じ。
- ^ a b 本艦が艦艇類別等級別表に登載された1944年9月1日時点では14番艦。その後同表に第14号輸送艦と第15号輸送艦が登載されたため、それら含めると通算で16番艦。
- ^ 丸スペシャルおよび『写真 日本海軍全艦艇史』の記述による。
- ^ 『真実の艦艇史2』の記述による。
- ^ 昭和21年7月1日付 復二第67号の定めによる自動解職。
- 脚注
参考文献
[編集]- 海軍省
- 法令、令達
- 昭和19年9月1日付 達第288号、内令第1016号、内令第1019号、内令員第1652号。
- 昭和19年12月31日付 内令第1394号、内令第1395号、内令員第2570号、内令員第2571号。
- 昭和20年8月26日付 内令第749号。
- 昭和20年10月1日付 軍務一第180号。
- 昭和20年10月12日付 軍務一第192号。
- 人事発令
- 昭和19年10月24日付 秘海軍辞令公報 甲 第1626号。
- 昭和20年1月11日付 秘海軍辞令公報 甲 第1690号。
- 昭和20年5月10日付 秘海軍辞令公報 甲 第1795号。
- 昭和20年7月25日付 秘海軍辞令公報 甲 第1867号。
- 昭和20年11月2日付 海軍辞令公報 甲 第1971号。
- 昭和20年11月14日付 海軍辞令公報 甲 第1982号。
- 戦時日誌、その他
- 昭和19年11月10日付 秘海軍公報 第4848号。
- 昭和20年1月9日付 秘海軍公報 第4898号。
- 第二輸送隊戦時日誌。
- 法令、令達
- 第二復員省
- 法令、令達
- 昭和20年12月1日付 内令第6号。
- 昭和20年12月20日付 内令第12号、官房人第19号。
- 法令、令達
- 復員庁第二復員局
- 法令、令達
- 昭和21年7月1日付 復二第67号。
- 昭和21年8月23日付 復員庁第二復員局総務部 二復総第187号。
- 昭和21年12月25日付 復二第490号。
- 昭和22年8月29日付 復二第606号。
- 昭和22年12月27日付 第二復員局公報 第165号ノ2。
- 人事発令
- 昭和22年7月7日付 復員庁第二復員局辞令公報 第45号。
- 昭和22年8月18日付 復員庁第二復員局辞令公報 第52号。
- その他報告等
- 横須賀地方復員局運航部『復員輸送艦船修理予定表(21-11-11現在)』。
- 昭和21年11月1日付 第十六号輸送艦長 第十六号輸送艦第7号ノ15『第十六号輸送艦現状報告』。
- 昭和21年12月6日付 横須賀地方復員局艦船運航部長 横運第1号ノ82『特別輸送艦船行動予定ノ件通知』。
- 昭和22年1月8日付 横須賀地方復員局艦船運航部 横運第10号の4『第五回特別輸送艦運航成績(10月1日-12月31日)』。
- 法令、令達
- 『新造船建造史』、三菱重工業株式会社横浜製作所、1988年。
- 世界の艦船 No. 522 増刊第47集 『日本海軍特務艦船史』、海人社、1997年。
- 日本造船工業会 『特務艦一般計画要領書』。
- 福井静夫 『写真 日本海軍全艦艇史』、ベストセラーズ、1994年。ISBN 4-584-17054-1
- 福井静夫 『昭和軍艦概史III 終戦と帝国艦艇 -わが海軍の終焉と艦艇の帰趨-』、出版共同社、1961年。
- 防衛研修所戦史室 戦史叢書 第88巻『海軍軍戦備(2) -開戦以後-』、朝雲新聞社、1975年。
- 丸スペシャル No. 50 日本海軍艦艇シリーズ 『掃海艇・輸送艦』、潮書房、1981年。
- 明治百年史叢書 第207巻 『昭和造船史 第1巻(戦前・戦時編)』、原書房、1977年。
- 歴史群像 太平洋戦史シリーズ Vol. 51 『真実の艦艇史2』、学習研究社、2005年。ISBN 4-05-604083-4