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神戸市交通局2000形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
神戸市交通局2000形電車
神戸市営地下鉄2000形電車(西神南駅にて)
基本情報
運用者 神戸市交通局
製造所 川崎重工業
製造年 1988年 - 1989年
製造数 4編成24両
運用開始 1988年2月26日
運用終了 2022年3月19日
廃車 2022年5月19日
投入先 西神・山手線北神線
主要諸元
編成 5両編成(4M1T) → 6両編成(4Ⅿ2T)
軌間 1,435 mm
電気方式 架空単線式直流1,500V
最高運転速度 90 km/h
設計最高速度 100 km/h
起動加速度 3.3 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
編成定員 836名
編成重量 193.6 t
全長 19,000 mm
全幅 2,790 mm
全高 4,090 mm
車体 アルミニウム合金
台車 S型ミンデン式ダイレクトマウント空気ばね台車
FS393
主電動機 直流直巻電動機 MB-3299-A[1]
かご形三相誘導電動機(更新後)
主電動機出力 130kW / 基[1]
駆動方式 WN駆動方式
歯車比 98:15 (6.53)[1]
制御方式 電機子チョッパ制御
2レベルIGBT素子VVVFインバータ制御(更新後)
制御装置 日立製作所
CH-MR128(登場当初)
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキ(補足ブレーキ付)
抑速ブレーキ
保安装置 自動列車制御装置 (CS-ATC)
自動列車運転装置 (ATO)
備考 特記無きは登場時
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神戸市交通局2000形電車(こうべしこうつうきょく2000がたでんしゃ)は、かつて神戸市交通局に在籍していた通勤形電車1988年より6両編成4本(24両)が製造された。

概要

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1988年4月の北神急行電鉄開業および同線との相互直通運転開始に合わせて増備された[2]。当初は5両編成4本の20両であったが、1989年に付随車1両を増結して6両編成4本の24両となった[2]。西神・山手線用車両としては最少の車両数である[3]

編成番号は1000形の続番で、第1編成が2119Fとなっている。

構造

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車体

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車内(更新前)

車体は1000形と同様のアルミ合金製19m3扉車体で、1000形との変更点は少ないが、前面デザインが大幅に変更されている[4]

前面は非常用貫通扉が助士席側に寄せられ、運転席が広くなった[2]。前面窓には大型曲面ガラスが使用され、上部の窓内に行先表示器を設置、車両番号も同じく窓内に標記されている[2]方向幕は前面・側面とも1000形より大型化されており、判別が容易になった[3]前照灯尾灯は1000形では丸型であったが、2000形では角型となった。前面下部には大型のステップが設けられた。

車体断面は1000形より角ばった形状とされ、側窓と屋根との間が平面的になった。乗降口は上下に20mm拡大された。車体形状の変化に伴い、1000形より1両あたり0.4 - 1.4t自重が増加している。

塗装は1000形に準じた神戸市電由来の緑の濃淡2色であり、上半分がパールグリーン、下半分と帯部がライトグリーンの塗り分けである[5]が、ライトグリーンは1000形よりも明るい色調[注 1]となっている。前面の塗り分けが簡素化されており[2]、側面窓上の濃い緑のラインは1000形より高い位置に変更され、乗務員扉後部で屈曲しない一直線のデザインとなった。シンボルマークのUマークは、全編成とも搬入時より描かれている[3]

主要機器

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走行機器、電装品などの基本的な仕様は1000形を踏襲した。

同年に登場した北神急行7000系は主回路制御装置にVVVFインバータ制御を導入したのに対し、当形式は1000形と同一の電機子チョッパ制御とされた。これはパワーエレクトロニクス機器からノイズが発生し、それが床下近くに設置されている自動列車制御装置 (ATC) の車内信号や誘導無線等の微細しか流れない電流に影響を受ける可能性があったためである。

台車は1000形と同様、住友金属工業(現・新日鐵住金→日本製鉄)製のS型ミンデン空気ばね台車であるFS393を採用した[6]

主電動機は出力130kWのMB-3299-Aを各電動車に4基搭載する[1]。駆動方式は平行可撓歯車継手式、歯車比は98:15 (6.53) である[1]

保安装置は自動列車制御装置(ATC)と自動列車運転装置(ATO)を採用している[7]。ATC制限速度は0、15、25、45、60、75、90km/h[8]が設定されており、運転席の速度計に設けられた車内信号に表示される[7]

改造工事

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快速運転対応

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1993年からの快速列車の運転開始に備え、2000形には1000形・3000形とともに方向幕への「快速」表示の追加が行われた[9]。先頭車前面には種別表示灯が設置された。

更新工事

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1000形の更新に続き、2000形も2013年(平成25年)から製造元の川崎重工業で客室のリニューアルおよび主回路装置のIGBT-VVVF化、補助電源のSIV化が行われた。更新車は「2000-02形」に形式変更されたが、車体に取り付けられている車両番号プレート類の変更はない。

最後まで電機子チョッパ制御で残った2122編成も[10]、2014年12月にVVVF化され、本系列の更新が完了した。これにより、神戸市交通局及び相互乗り入れ先の北神急行電鉄が所有する全編成がVVVFインバータ制御となった。なお、2014年に2122編成の車内照明がLED化されている。

このほか、2002年(平成14年)より全車に転落防止幌設置工事が実施されている。

運用

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北神線谷上駅 - 新神戸駅間と、西神・山手線の新神戸駅 - 西神中央駅間で運用されていた。

廃車

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名谷車両基地に保存されている2119号車の前頭部

2019年度から6000形の投入による全車両の置き換えが発表され、1000形・3000形とともに2000形も全車が廃車の対象となった[11]

2022年3月に2119・2120編成が廃車され[12]、残った2121・2122編成も2022年12月に廃車となった[13]

2023年10月現在、2119号のカットモデルは名谷車両基地に保存されている[14]

編成表

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車両番号の下2桁は、1000形からの続番である。2400形は女性専用車両。

 
編成竣工[8] T'車竣工[8] 更新改造竣工[15] 廃車日
号車 1 2 3 4 5 6
形式 Mc2 M1 T T' M1' Mc2'
編成
番号
19 2119 2219 2319 2419 2519 2619 1988年2月 1989年11月 2013年2月18日 2022年3月31日[12]
20 2120 2220 2320 2420 2520 2620 1988年3月 2013年12月19日 2022年3月31日[12]
21 2121 2221 2321 2421 2521 2621 2014年2月17日 2022年12月13日[13]
22 2122 2222 2322 2422 2522 2622 2014年12月11日 2022年12月13日[13]

脚注

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注釈

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  1. ^ 富士フイルムが販売していたフィルムカメラ写ルンです』の外箱に由来する。

出典

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  1. ^ a b c d e 『神戸市交通局八十年史』744頁。
  2. ^ a b c d e 金子元昭『日本の地下鉄・車両めぐり』交通新聞社、2007年。130頁。
  3. ^ a b c 奥田英夫『神戸市営地下鉄 写真集』156頁。
  4. ^ 奥田英夫『神戸市営地下鉄 写真集』27頁。
  5. ^ 『神戸市交通局八十年史』412頁。
  6. ^ FS393 / 神戸市交通局2000系 台車近影(鉄道ホビダス)、2010年3月5日。
  7. ^ a b 『神戸市交通局八十年史』419頁。
  8. ^ a b c 『神戸市交通局八十年史』420頁。
  9. ^ 奥田英夫『神戸市営地下鉄 写真集』62頁。
  10. ^ “神戸市交2000形2122編成がチョッパ制御のまま出場”. 鉄道ファン. railf.jp. (2014年4月28日). https://railf.jp/news/2014/04/28/161500.html 
  11. ^ “神戸市交通局6000形、市営地下鉄西神・山手線の新型車両デビュー”. マイナビニュース. (2019年2月16日). https://news.mynavi.jp/article/20190216-kobe6000/ 
  12. ^ a b c ジェー・アール・アール編『私鉄車両編成表 2022』交通新聞社、2022年、204頁。
  13. ^ a b c ジェー・アール・アール編『私鉄車両編成表 2023』交通新聞社、2023年、204頁。
  14. ^ 「交通フェスティバル2023 in名谷車両基地」開催”. 鉄道ファン. 交友社 (2023年10月23日). 2023年11月5日閲覧。
  15. ^ ジェー・アール・アール編『私鉄車両編成表 2021』交通新聞社、2021年、174頁。

参考文献

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  • 『神戸市交通局八十年史』神戸市交通局、2001年。
  • 奥田英夫『神戸市営地下鉄 写真集』神戸新聞総合出版センター、2012年。

外部リンク

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