神奈川県立図書館
神奈川県立図書館 | |
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神奈川県立図書館本館 | |
施設情報 | |
専門分野 | 総合 |
事業主体 | 神奈川県 |
所在地 | 2館 |
ISIL | 本館:JP-1001294、川崎:JP-1001295 |
統計情報 | |
蔵書数 | 1,194,841冊[1](2017年時点) |
貸出数 | 82,832冊[1](2017年) |
来館者数 | 256,247人[1](2017年) |
条例 | 神奈川県立図書館条例[2] |
公式サイト | https://www.klnet.pref.kanagawa.jp/ |
プロジェクト:GLAM - プロジェクト:図書館 |
神奈川県立図書館(かながわけんりつとしょかん)は、神奈川県が図書館法に基づき設置する公共図書館である。1954年に横浜市に開館し、1958年には川崎市に神奈川県立川崎図書館が設置された。
神奈川県立図書館
[編集]神奈川県立図書館 | |
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施設情報 | |
愛称 | 紅葉ケ丘 |
専門分野 | 総合(人文・社会科学に重点) |
開館 | 1954年(昭和29年)11月 |
所在地 |
〒220-8585 神奈川県横浜市西区紅葉ケ丘9番地の2 |
位置 | 北緯35度27分8秒 東経139度37分33秒 / 北緯35.45222度 東経139.62583度座標: 北緯35度27分8秒 東経139度37分33秒 / 北緯35.45222度 東経139.62583度 |
ISIL | JP-1001294 |
統計・組織情報 | |
蔵書数 | 936,004冊[3](2017年時点) |
貸出数 | 66,037冊[4](2017年) |
来館者数 | 168,237人[4](2017年) |
職員数 | 110人[1] |
公式サイト | http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/ |
地図 | |
プロジェクト:GLAM - プロジェクト:図書館 |
神奈川県立図書館は、横浜市西区紅葉ケ丘に位置し、主に社会・人文系や神奈川に関する資料を集積する。
2022年9月、紅葉ケ丘44にオープンした新たな本館は奥野設計の石井秀明により、旧本館の建築意匠との連続性を意識して設計された。敷地面積は1908平方メートル、建物は延べ3697平方メートルである[5]
紅葉ケ丘9-2に建つかつての本館は2022年4月、新本館のオープンに先立ち設計者名を冠する「前川國男館」と改称され[5]、休館した。隣接する神奈川県立音楽堂とともに前川國男の設計によるもので、前川そして戦後日本建築の代表作と評価されている(DOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築)。地上2階建て地下1階で建物面積2988m2。「魅せる図書館」をコンセプトに、前川によるモダニズム建築の魅力、開放感のある吹抜け空間を活用し、記録フィルムの上映や貴重な資料の展示を行うスペースとして整備することとされ、2026年度中の供用が予定されている。
隣接するかつての新館「収蔵館」(地上4階建て地下3階建物面積8380m2)は、1972年に建てられ、「歴史的価値のある文書・記録・行政資料その他必要な資料を収集、整理、保存して県民の利用に供する」ための神奈川県立文化資料館として利用された。1993年に神奈川県立公文書館に行政資料の収集提供の役割を引き継ぎ、文化資料館が閉館すると、県立図書館新館として運用された。
歴史
[編集]開館前史
[編集]第二次世界大戦前には、図書館・博物館の機能を兼ねた神奈川県立金沢文庫が1930年に設立され、県内の図書館の中枢機能を担った。1934年には神奈川県図書館協会が建議書を知事に提出したことによって、県立図書館設立に向けた動きが始まるが、戦争により立ち消えになる。戦後の1949年、神奈川県は横浜市図書館(横浜市中央図書館の前身)を県の中央図書館として指定、同館が県立図書館としての機能・事業を代行することになった。
図書館法公布(1950年)を受け図書館設置の要望が高まると、県は講和記念事業として音楽堂とともに県立図書館を設置することを決め、1954年11月に開館した。[6]これは日本の全都道府県立図書館の中で最後から2番目で、これにより未設置県は兵庫県(兵庫県立図書館、1974年開館)を残すのみとなった。
新本館建設
[編集]図書館では建物の老朽化と収蔵庫の不足、入館者の減少などが課題になっていた[5]。
2012年11月、神奈川県教育委員会が策定した「神奈川県緊急財政対策」では、貸出、閲覧サービスの廃止が検討されたが[7]、2013年2月、県民からの意見により、閲覧のサービスを存続させる方針転換が示され[8]、2013年12月には黒岩知事により、建替えおよび改修、貸出についても維持する方向が表明された[9]。
2019年8月20日、新棟を建設するため、収蔵庫(旧高等職業技術校跡地)の解体工事を開始[10]。2020年10月より新棟の建設工事が開始された、新棟の開館は2022年9月とされた[5][11]。
ロゴマークも新たに木住野彰悟が手掛けたデザインに刷新された[5]。
コレクション
[編集]社会・人文系の資料、神奈川県に関する資料を中心に、特色のあるコレクションが収集されている。女性関係資料は、2015年にかながわ女性センターから移管されており、山川菊栄の旧蔵書や原稿等を集めた山川菊栄文庫、ジェンダーについての資料がある[12][13]。神奈川資料は、神奈川県についての資料が収集されている。江戸時代の和書や開港関係資料、新聞の地域版など貴重な資料がある[14]。そのほか、音楽評論家の野村光一による音楽関係資料からなる野村光一文庫などの特別コレクションもある[15]。
神奈川県立川崎図書館
[編集]神奈川県立川崎図書館 | |
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2017年に閉館となった旧・県立川崎図書館の外観 | |
施設情報 | |
専門分野 | 総合(工学・産業に重点) |
開館 | 1958年(昭和33年) |
所在地 |
〒213-0012 神奈川県川崎市高津区坂戸三丁目2番1号[16] |
ISIL | JP-1001295 |
統計・組織情報 | |
蔵書数 | 258,837冊 [3](2017年時点) |
貸出数 | 16,795冊[4](2017年) |
来館者数 | 88,010人[4](2017年) |
職員数 | 37人[1] |
公式サイト | http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/ |
プロジェクト:GLAM - プロジェクト:図書館 |
神奈川県立川崎図書館は、川崎市に所在する神奈川県第2の県立図書館。
1959年1月12日、川崎区富士見2-1-4に開館した[17][18]。横浜に県立図書館がすでに開館していることと、工業都市・川崎にあることから、開館当初から自然科学・工業・産業分野を重点とした資料収集・サービス方針を掲げている。1995年の川崎市立川崎図書館開館まで川崎区に市立図書館がなかったことから、1998年にリニューアルするまで地域の公共図書館としての役割も担った。リニューアル後は、「科学と産業の情報ライブラリー」と銘打ち、科学技術・工学・産業分野を前面に出すことになった。日本十進分類法の4・5・6類の資料が全蔵書の大部分を占める。開館直後から収集されている会社史コレクションは、社史閲覧室に排架され、産業史・技術史の貴重な資料として知られる。「県知的所有権センター県立川崎図書館支部」として特許情報の提供も行う。
2017年に建物の賃貸契約(貸主は川崎市、借主は神奈川県)が終了することに伴い、神奈川県教育委員会は同館の廃止を検討していることを2012年11月に明らかにした[19]。しかし反対の声が多かったために、2013年2月に廃止の撤回が表明され、企業支援分野に特化させて川崎市内に存続することとなった[20]。ただし、川崎市が同地区の再編整備計画を掲げているため同館を借り続けることはできず、かながわサイエンスパーク(略称KSP、川崎市高津区)に移転することとなった[21]。
移転のため、2017年10月から11月まで一部フロアのみ開館(貸出・予約などのサービスは休止)、2017年12月1日から2018年5月中旬まで休館した[21][22]。
2018年5月15日、かながわサイエンスパークに「ものづくり情報ライブラリー」として再開館した[23]。5月14日には、記念式典と内覧会が開催された[23]。
閲覧室は西棟2階に[23]、書庫兼事務室はR&D棟2階に置かれている[24]。
旧図書館にあった雑誌のすべてと図書の計約28万冊はかながわサイエンスパークに、図書約13万冊は外部書庫に移された[25]。国内の公共図書館としては初めて電子ジャーナルのポータルサイトを導入し、Elsevier社のScopusと米国電気電子学会(IEEE)のコンテンツが利用できる[23][25]。
その他の活動
[編集]NPO法人紙芝居文化推進協議会と共に「神奈川県手づくり紙芝居コンクール」を毎年、開催している。
脚注
[編集]- ^ a b c d e “統計「神奈川の図書館」”. 神奈川県図書館協会. 2019年6月9日閲覧。
- ^ “神奈川県立図書館条例” (PDF). 2023年1月31日閲覧。
- ^ a b “神奈川県立図書館・県立川崎図書館 所蔵統計 平成29年度”. 2019年6月9日閲覧。
- ^ a b c d “神奈川県立図書館・県立川崎図書館 利用統計 平成29年度”. 2019年6月9日閲覧。
- ^ a b c d e “神奈川県立図書館新本館、9月オープンへ 現本館は4月から「前川國男館」に ロゴのデザインもリニューアル”. 東京新聞 2022年3月29日閲覧。
- ^ 石井敬士、大内順、大塚敏高『神奈川県の図書館』東京堂出版、2000年、61頁。ISBN 4490204175。
- ^ “「県立図書館の閲覧・貸し出し廃止、川崎は廃館」と県教委方針”. 神奈川新聞. (2012年11月8日)
- ^ “閲覧機能を継続 反対多く 県教委転換”. 神奈川新聞. (2013年2月22日)
- ^ “建て替え視野に再整備 知事表明 貸出機能維持”. 神奈川新聞. (2013年12月3日)
- ^ “県立図書館収蔵庫 解体工事のお知らせ - 新着情報”. 県立図書館. 2021年5月19日閲覧。
- ^ “「新棟整備のご案内」を掲載しました - 新着情報”. 県立図書館. 2021年5月19日閲覧。
- ^ 『神奈川県立図書館 所蔵資料のご紹介』神奈川県立図書館 p.3 https://www.klnet.pref.kanagawa.jp/uploads/2020/12/collection_guide.pdf
- ^ 「山川菊栄文庫のご紹介」『図書館雑誌』vol.109 no.9 2015.9
- ^ 『神奈川県立図書館 所蔵資料のご紹介』神奈川県立図書館 p.4-5 https://www.klnet.pref.kanagawa.jp/uploads/2020/12/collection_guide.pdf
- ^ 『神奈川県立図書館 所蔵資料のご紹介』神奈川県立図書館 p.7 https://www.klnet.pref.kanagawa.jp/uploads/2020/12/collection_guide.pdf
- ^ “県立川崎図書館 移転開館のお知らせ”. 神奈川県立図書館 (2018年4月26日). 2018年5月4日閲覧。
- ^ 川崎市『川崎市史 通史編 4 上 現代 行政・社会』川崎市、1997年3月、420頁。
- ^ “初日から超満員 県立川崎図書館きのう店開き”. 神奈川新聞社: p. 6. (1959年1月13日)
- ^ “「県立図書館の閲覧・貸し出し廃止、川崎は廃館」と県教委方針/神奈川”. 神奈川新聞. (2012年11月8日)
- ^ “神奈川県立図書館 閲覧機能を存続へ”. MSN産経ニュース. (2013年2月21日). オリジナルの2013年2月25日時点におけるアーカイブ。 2013年3月3日閲覧。
- ^ a b “県立川崎図書館休館 工都と歩んだ60年”. 神奈川新聞. 2019年6月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年6月9日閲覧。
- ^ “県立川崎図書館 移転に伴う休館のお知らせ 県立川崎図書館 移転に伴うサービスの休止のお知らせ”. 2019年6月9日閲覧。
- ^ a b c d “川崎図書館、新たにオープン ものづくり情報が満載”. 神奈川新聞. 2019年5月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年6月9日閲覧。
- ^ “神奈川県立川崎図書館の移転・再開館について”. カレントアウェアネス. 2019年6月9日閲覧。
- ^ a b 「神奈川県立川崎図書館の移転後の状況について」『図書館雑誌2019年2月号』第113巻第2号。
参考資料
[編集]- 石井敬士・大内順・大塚敏高『神奈川県の図書館』東京堂出版、2000年。ISBN 4490204175
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 神奈川県立図書館・県立川崎図書館
- 神奈川県立川崎図書館(1) - ジャパンナレッジによる司書へのインタビュー