コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

石澤良昭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
石沢良昭から転送)
石澤 良昭
人物情報
生誕 (1937-09-19) 1937年9月19日
日本の旗 日本北海道
出身校 上智大学中央大学
学問
研究分野 東洋史(東南アジア史)・考古学
研究機関 聖マリアンナ医科大学鹿児島大学上智大学
学位 文学博士
テンプレートを表示

石澤 良昭(いしざわ よしあき、1937年9月19日 - )は、日本歴史学者で、第13代上智大学学長。専門は東南アジア史、カンボジア王国アンコール・ワット時代の碑刻文解読研究。上智大学アジア人材養成研究センター所長、上智大学アンコール遺跡国際調査団の団長を兼務。文化庁文化審議会会長を務めた。

経歴

[編集]
出生から修学期

1937年、北海道帯広市で生まれた。1957年、北海道帯広三条高等学校を卒業し、上智大学外国語学部フランス語学科に進学。1961年に卒業した。1961年、カンボジアConservation des Monuments d'Angkor研究員として研究に従事。中央大学大学院文学研究科東洋史専攻に進み、1968年に修士課程修了。1971年に博士課程を満期退学。

東南アジア史研究者として

1971年、聖マリアンナ医科大学医学進学課程専任講師に就いた。1974年、聖マリアンナ医科大学助教授に昇格。1977年、鹿児島大学助教授に転じた。また同1977年、学位論文『古代カンボジア史研究:Preangkor期の政治と社会』を中央大学に提出して文学博士号を取得[1]。1980年に同大学教授に昇格。

上智大学時代

1982年、上智大学教授に就任。1997年より上智大学外国語学部長を務めた。2005年4月1日、第13代上智大学学長に就任。2011年4月1日、上智大学を退任し、特任教授となった。

委員・役員ほか

[編集]
  • 上智大学アジア人材養成研究センター所長(2002年-)
  • 文化庁文化審議会会長(2007年-)

※以上、「上智大学教員教育研究情報データベース」の個人プロフィール[2]より

受賞・栄典

[編集]

研究内容・実績

[編集]
アンコール・ワット遺跡の調査と保護

学生時代から45年間にわたり、カンボジアアンコール・ワット遺跡群の調査・研究を続けている。内戦で日本との国交が断たれた期間も現地に入り遺跡の保護活動を行った。外国人の研究者が主導してきたアンコール遺跡の発掘・保存・修復作業を、「カンボジア人自身が遺跡を守るべき」との理念を掲げ、現地に「アジア人材養成センター」を設立するなど、「行動する大学教授」としてカンボジアでも名前が知られている。

2001年3月〜8月、「上智大学アンコール遺跡国際調査団」が、アンコール・ワット近くのバンテアイ・クデイで千体仏石柱と274体の廃仏を発掘する。アンコール王朝末期の歴史的解釈について、従来の学説を塗り替える大発見となる。上智大学学長になってからも、民間の旅行会社が企画するカンボジアツアーに参加し、現地を訪れる日本人観光客に同行してアンコール遺跡のガイド役をつとめている[4]

文化庁文化審議会委員長としての日本史跡に対する言及

2006年、「高松塚古墳取合部天井の崩落止め工事及び石室西壁の損傷事故に関する調査委員会」の委員長として、古墳内部のカビの大量発生と壁の損傷事故を国に報告すると同時に、文化庁の官僚組織の弊害や情報公開の姿勢を批判し[5]、文化財・国宝の保護のあり方が社会問題化するきっかけとなった。2007年から文化庁文化審議会会長となり、「負の遺産」として足尾銅山の通洞坑跡を国指定の史跡[6]熊本県ハンセン病の治療施設を登録有形文化財に登録[7]する答申を出して注目された。

著作

[編集]

単著

[編集]

共著

[編集]

共編著

[編集]
  • 『文化遺産の保存と環境』(講座文明と環境 12) 朝倉書店 1995
  • 『おもしろアジア考古学』連合出版 1997
  • 『東南アジア古代国家の成立と展開』(岩波講座東南アジア史 2) 岩波書店 2001

訳書

[編集]

共訳書

[編集]

監修書

[編集]
  • 『埋もれた文明 アンコール遺跡』(ドキュメントシリーズ 10) 日本テレビ放送網 1981
  • 『アジア・美の様式 図録アジアの建築・彫刻・工芸 その歴史展開と交流』オフィス・ド・リーブル編、連合出版 1989
    • 新装版 連合出版 1994
  • 『アンコール・ワット拓本集 復刻版』五月書房 1993
  • 『密林の王土アンコール Angkor』恒文社 1994
  • 『アンコール・ワット:密林に消えた文明を求めて』ブリュノ・ダジャンス著、創元社(知の再発見双書 48) 1995
  • 『クメールの芸術:アンコール・ワットに見る華麗な美術 伝統の技と流儀』マドレーヌ・ジトー英語版、ダニエル・ゲレ共著、芸術新聞社 1997
  • 『アンコール遺跡の考古学』(アンコール・ワットの解明 1)連合出版 2000
  • 『アンコール遺跡の地質学』(アンコール・ワットの解明 2)連合出版 2000
  • 『アンコール遺跡と社会文化発展』(アンコール・ワットの解明 4) 連合出版 2001
  • 『アンコール遺跡の建築学』(アンコール・ワットの解明 3)連合出版 2001
  • 『カンボジアの農民 自然・社会・文化』J.デルヴェール著、風響社 2002
  • 『世界遺産アンコール遺跡の光』小学館(小学館文庫) 2002

監訳書

[編集]

メディア出演

[編集]
ドキュメンタリー
BS特集
  • ローマを夢見たアンコールワット:東南アジア最大覇権王朝の栄光と真実〜すべての道はアンコールに通ず〜」BS-TBS、2011年1月1日・1月2日、番組ナビゲーター
  • 彼は、故郷の北海道栃木県の風景がとても似ていると話し、県北に別荘を持っているという。その影響もあり、栃木放送でレギュラー番組を持ったこともあった。(2005年4月-2006年3月)  姉の家系も、栃木県の別荘に遊びに来るとラジオ番組で話す。

外部リンク

[編集]

脚注

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ CiNii(博士論文)
  2. ^ 個人プロフィール(上智大学教員教育研究情報データベース)
  3. ^ 平成24年秋の叙勲 瑞宝重光章受章者” (PDF). 内閣府. p. 1 (2012年11月). 2013年1月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月10日閲覧。
  4. ^ 我が麗しのアンコール~石澤良昭・遺跡復活にかけた27年~”. ETV特集 (NHK) (2007年3月3日). 2007年12月30日閲覧。
  5. ^ 高松塚古墳取合部天井の崩落止め工事及び 石室西壁の損傷事故に関する 調査報告書”. 文化庁 (2006年6月19日). 2007年12月30日閲覧。
  6. ^ 第76回文化審議会文化財分科会議事要旨”. 文化庁 (2007年11月16日). 2007年12月30日閲覧。
  7. ^ "登録有形文化財 「リデル、ライト記念館」「日光回転家屋」 ハンセン病2施設に". 西日本新聞. 2007年12月9日. 2013年5月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年5月1日閲覧
  8. ^ "選 アーカイブ 破壊された心の復興". NHK. 2023年2月26日. 2023年2月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月21日閲覧

関連項目

[編集]
先代
阿刀田高
文化審議会会長
第7期:2007年 - 第8期:2008年
次代
西原鈴子