瞑想 (フェッティの絵画)
イタリア語: La Meditazione 英語: Meditation | |
作者 | ドメニコ・フェッティ |
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製作年 | 1618年ごろ |
種類 | 油彩、キャンバス |
寸法 | 179 cm × 140 cm (70 in × 55 in) |
所蔵 | アカデミア美術館 (ヴェネツィア) |
『瞑想』(めいそう、伊: La Meditazione、英: Meditation)、または『メランコリア』(伊: La Malinconia、英: Melanchloly)は、17世紀イタリア・バロック期の画家ドメニコ・フェッティが1618年ごろ、キャンバス上に油彩で制作した絵画である。1838年にジロラモ・コンタリーニ (Girolamo Contarini) により寄贈されて以来[1]、アカデミア美術館 (ヴェネツィア) に所蔵されている[1][2][3]。この絵画は非常な成功を収め、数多くの画家自身と工房による複製が知られている[1][3]。その中には同様の構図を持つものの、『メランコリア』 (ルーヴル美術館、パリ) と題される画家自身の作品も含まれる[4]。なお、本作は1961年に修復がなされた[2]。
作品
[編集]屋外の日に半分照らされた場所で、女性が深い思索をしつつ跪いている[1]。彼女の眼は右手に抱えられている頭蓋骨を見つめ、額を左手で支えているが、これは典型的な「瞑想」のポーズである。美しく若い人物像は、人生と世俗的快楽の儚さを想起させる「ヴァニタス」の主題を示唆する[1]。とはいえ、地面に置かれている大きな本、白いリボンで束ねられている絵筆、古い彫像、犬、渾天儀など重要な事物の存在が絵画をより複雑なものとしている。この絵画は、明らかにドイツ・ルネサンス期の巨匠アルブレヒト・デューラーの著名な版画『メランコリアI』を参照したものであり、フェッティはこの版画の多くの象徴を借用している[1]。
デューラーにとって、これらの象徴は人文主義的な領域に関わるものとなっている[1]。一方、フェッティの作品はキリスト教的で道徳的なものである。すなわち、世俗的逸楽を放棄し、祈りに集中することが強調されている。このメッセージは、崩れかかっている壁を這い上る蔓により裏づけられる。これはイエス・キリストを表す「真の蔓」 (ヨハネによる福音書、15章:1) を表し、救いを示す[1]。女性像は、画面下部の事物が象徴する死と世の儚さ、画面上部の蔓が象徴する救いの間で瞑想しているのである[2]。かくして、聖パウロが「コリント人への手紙」 (7、10章) で理論化したように、救いへの道は瞑想、思索、節制の生活にあり、それが精神を高める[1]。
ギャラリー
[編集]-
アルブレヒト・デューラー『メランコリアI』 (1514年)
脚注
[編集]参考文献
[編集]- ジョヴァンナ・ネーピ・シレ監修『ヴェネツィア アッカデミア美術館』、Electa出版、2001年刊行 ISBN 88-435-7844-8
- ヴァンサン・ポマレッド監修・解説『ルーヴル美術館 収蔵絵画のすべて』、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2011年刊行、ISBN 978-4-7993-1048-9