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三錐歯目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
真三錐歯目から転送)
三錐歯目
ゴビコノドン
地質時代
三畳紀 - 白亜紀
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 三錐歯目 Triconodonta
和名
三錐歯目[1]
トリコノドン目[2]
  • アンフィレステス科 Amphilestidae
  • ユートリコノドン科 Eutriconodontidae
  • ジェホロデンス科 Jeholodentidae
  • ゴビコノドン科 Gobiconodontidae
  • Klameliidae
  • レペノマムス科 Repenomamidae
  • トリコノドン科 Triconodontidae

三錐歯目(さんすいしもく、Triconodonta)は、中生代に栄えた哺乳類の絶滅分類群三畳紀後期から白亜紀にかけて生息。学名は、その臼歯の形状から、「三つの丘(錐)のある」より。主に(昆虫食を含む)肉食のグループで、当時としては比較的大型のものも存在した。別名トリコノドン目[2]三丘歯類三突起歯類と訳されることもあった[3]。近年では別系統のモルガヌコドン類を除いたグループをエウトリコノドン目[4](Euriconodonta)または真三錐歯類[5]とすることもある[6]

概要

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三錐歯類は、中生代における代表的な哺乳類のグループの一つである。大半は夜行性で食虫性の小型動物が主であったと思われるが、例外的に、当時の哺乳類としては比較的大型の捕食者も輩出している。ゴビコノドン類の中には1mを超えるものもあり、また、幼体とはいえ恐竜を捕食していた。満州で発見されたレペノマムスの化石の腹部には、消化途中のプシッタコサウルスの幼体がおさめられていた。夜行性の動物では1m近くという大きさに達するのは難しいとされており、彼らは昼間行動していたのではないかといわれる[7]

こうして恐竜支配下においてある程度の成功を収めた三錐歯目であったが、白亜紀末までに絶滅してしまっている。しかし既に白亜紀前期にはエオマイアなどの真獣類が現れ、かれらのニッチを埋めていった。

形態

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臼歯には大小三つの咬頭が直線状に並んでいる。このうち中央のものが大きく前後のものが小さくなっており、漢字の山の様な形である。上顎の臼歯は下顎の臼歯の外側に収まり、ハサミの刃の様に作用する。[8]これは初期の哺乳形類であるモルガヌコドン目などにも見られる形態である。オズボーンによれば、この咬頭のうち前後の小さなものが、上顎のものは外側、下顎のものは内(舌)側に移動し、三角形を成したものが相称歯類(対錐歯類)。この段階ではまだ咬頭は互いに噛み合ず、すれ違う事で食物を剪断している。[9]そこから真汎獣類段階において、下顎臼歯の後部(遠心)に張り出しが形成し始める。そして、真獣類において張り出し部に新たに三つの咬頭が形成されトリボスフェニック(tribosphenic) 型後臼歯に進化したとされる。これは、「コープ・オズボーンの三結節説」と呼ぶ[10]。ただし、この説には発生学古生物学から相同性などの点に反論がある[11][12]

肩帯は相称歯類や初期真獣類を思わせる進歩的な形態を見せるが、腰帯は未だ初期哺乳形類に近い形態を留めているものも存在する。その為、このグループの単系統性については未だに論議がされている。[6]

分類

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初期の分類においては、歯の形状などから三錐歯目はエオゾストロドンなどを含み、哺乳類の最初期から存在する大グループとされてきた。しかし、研究が進むにつれこの目が多系統であると指摘され[13]、初期のグループが外されて(狭義)哺乳類の中に分類しなおされた[6]

主な属

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脚注

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  1. ^ 日本哺乳類学会 種名・標本検討委員会 目名問題検討作業部会「哺乳類の高次分類群および分類階級の日本語名称の提案について」『哺乳類科学』第43巻 2号、日本哺乳類学会、2003年、127-134頁。
  2. ^ a b 遠藤秀紀・佐々木基樹「哺乳類分類における高次群の和名について」『日本野生動物医学会誌』第6巻 2号、日本野生動物医学会、2001年、45-53頁。
  3. ^ 田隅本生「哺乳類の日本語分類群名,特に目名の取扱いについて 文部省の“目安”にどう対応するか」『哺乳類科学』第40巻 1号、日本哺乳類学会、2000年、83-99頁。
  4. ^ 本川雅治「哺乳類」、日本進化学会 編『進化学辞典』共立出版、2012年、408-411頁。
  5. ^ 西岡佑一郎・楠橋直・高井正成「哺乳類の化石記録と白亜紀/古第三紀境界前後における初期進化」『哺乳類科学』第60巻 2号、日本哺乳類学会、2020年、251-267頁。
  6. ^ a b c 『哺乳類の進化』 39頁
  7. ^ 『恐竜vsほ乳類 1億5千万年の戦い』 170 - 175頁
  8. ^ 『有袋類の道』 121頁
  9. ^ 『有袋類の道』 122頁
  10. ^ 『有袋類の道』 124頁
  11. ^ 『有袋類の道』 127 - 130頁
  12. ^ 『哺乳類の進化』 53頁
  13. ^ Rowe, 1988

関連項目

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参考文献

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  • 遠藤秀紀『哺乳類の進化』東京大学出版会、2002年、39,53頁。ISBN 978-4-13-060182-5 
  • 冨田幸光『絶滅哺乳類図鑑』伊藤丙雄、岡本泰子、丸善、2002年、28頁。ISBN 4-621-04943-7 
  • 瀬戸口烈司『有袋類の道 : アジア起源に浮かぶ点と線』新樹社、2006年、121 - 130頁。ISBN 4-7875-8549-5 
  • NHK「恐竜」プロジェクト(高間大介・植田和貴) 編『恐竜vsほ乳類 1億5千万年の戦い』小林快次 監修、ダイヤモンド社、2006年、170-175頁。ISBN 4-478-86054-8 

外部リンク

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