コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

目黒強

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

目黒 強(めぐろ つよし、1973年 - )は、日本の児童文学研究者児童文学を専門とした文芸評論家長崎県佐世保市生まれ[1]

経歴・人物

[編集]

1998年3月、神戸大学大学院教育学研究科修士課程修了。2002年4月より、神戸大学専任講師[2]。現在、神戸大学大学院人間発達環境学研究科人間発達専攻准教授。日本児童文学学会理事。『〈児童文学〉の成立と課外読み物の時代』で第43回日本児童文学学会奨励賞受賞。

評論活動

[編集]

1996年ごろには雑誌『日本児童文学』の創作コンクール(創作・評論の部[3])の常連投稿者となり、修士課程の2年間で20枚強の評論を4作ほど投稿。1997年8月には、「〈癒しの物語〉から〈場の物語〉へ――現代児童文学の同時代的考察――」で第19回「日本児童文学」創作コンクール「佳作」に選ばれている[4]。1999年には、評論「共振というコミュニケーション問題 「少年A」に関する言説について」で関英雄記念評論・研究論文募集の佳作(第3席)となる。2005年5月には、「マルチメディアという居場所――中景なき時代における児童文学の模索――」で、第2回日本児童文学者協会評論新人賞の「入選」(第1席)となっている[2]

論文・評論リスト

[編集]

単行本

[編集]

単著

[編集]
  • 『〈児童文学〉の成立と課外読み物の時代』(和泉書院、2019年5月)

共著

[編集]
  • 『はじめて学ぶ日本の絵本史Ⅰ』(鳥越信 編、ミネルヴァ書房、2001年12月)
  • 『人間像の発明』(ヒューマン・コミュニティ創成研究センター 編、ドメス出版、2006年10月) - 「怖れられる人間」担当
  • 『児童文学研究、そして、その先へ 下』(宮川健郎横川寿美子 編、久山社、2007年11月) - 「児童文学のメディオロジー」担当
  • 『一九三〇年代と接触空間 : ディアスポラの思想と文学』(緒形康 編、双文社出版、2008年3月) - 「日本における「接触空間」――谷崎潤一郎『細雪』にみる接触空間におけるモダンガール表象のアポリア」担当
  • 『教育文化を学ぶ人のために』(稲垣恭子 編、世界思想社、2011年4月) - 「立身出世主義にみる文学少年の近代」担当
  • 『「場所」から読み解く世界児童文学事典』(藤田のぼる、宮川健郎、川端有子水間千恵との共編著、原書房、2014年)

雑誌掲載

[編集]

学術論文

[編集]
  • 近代家族形成史から見た児童文学 (『国語年誌』第15号(神戸大学国語教育学会 編、1996年11月))掲載
  • 明治二五年における学童 / 児童の言説編成――巖谷小波『当世少年気質』と『暑中休暇』における同一性と差異―― (『児童文学研究』第30号(日本児童文学学会 編、1997年11月))掲載
  • 若松賤子訳『小公子』による「教育する母親」の言遂行的構成――明治二〇年代前半における「日本児童文学」の言説編制―― (『国語年誌』第18号(神戸大学国語教育学会 編、1998年2月))掲載
  • 少年園』における表象としての「現実」と「地方少年」 (『日本文学』第47巻第12号(日本文学協会 編、1998年12月))掲載
  • 仮想化された家父長制イデオロギー――巖谷小波「少年小説」における「僕」の位相―― (『国語年誌』第17号(神戸大学国語教育学会 編、1999年2月))掲載
  • 「児童の発見」再考――イデオロギー装置論(アルチュセール)に向けて―― (『児童文学研究』第32号(日本児童文学学会 編、1999年11月))掲載
  • 擬人法における他者表象の問題――「どんぐりと山猫」を読むということ―― (『日文教 国語教育』第30号(1999年12月))掲載
  • 『教育時論』における「不良」に関する言説についての考察 (『研究誌 別冊子どもの文化 』第3号(「研究子どもの文化」編集委員会 編、2001年9月))掲載
  • 谷崎潤一郎の初期作品における「不良」の表象に関する考察 (『児童文学研究』第34号(日本児童文学学会 編、2001年10月))掲載
  • 不良学生問題の成立過程に関する考察 (『神戸大学発達科学部研究紀要』第10巻第2号(2003年3月))掲載
  • 谷崎潤一郎『神童』における立身出世主義に関する考察 (『児童発達研究』第6号(2003年3号))掲載
  • 谷崎潤一郎『小僧の夢』における不良少年としての小僧の表象についての検討 (『児童発達研究』第7号(神戸大学発達科学部人間発達科学科児童発達論講座 編、2004年3月))掲載
  • 痴人の愛』における不良少女の表象に関する考察 (『神戸大学発達科学部研究紀要』第11巻第2号(2004年3月))掲載
  • 冒険世界』における青少年像に関する一考察――「野球害毒論争」を事例として―― (『児童発達研究』第8号(神戸大学発達科学部人間発達科学科児童発達論講座 編、2005年3月))掲載
  • 谷崎潤一郎「少年」にみる「小学生」のセクシュアリティについての考察 (『児童発達研究』第8号(神戸大学発達科学部人間発達科学科児童発達論講座 編、2005年3月))掲載
  • 高度情報消費時代におけるメディア有害言説にみる「子どもの文化」の位相 (『研究誌 別冊子どもの文化 』第8号(「研究子どもの文化」編集委員会 編、2006年7月))掲載
  • 婦人公論』にみる谷崎潤一郎「女人神聖」における女学生表象の考察 (『児童発達研究』第10号(神戸大学発達科学部人間発達科学科児童発達論講座 編、2007年3月))掲載
  • 若松賤子訳「セイラ、クルーの話。」にみるジェンダー (『國文論叢』第38号(神戸大学人文学研究科、2007年7月))掲載
  • 少年世界』における「お伽小説」にみる「小説」の位相――巌谷小波の作品を中心として―― (『国際児童文学館紀要』23号(2010年3月))掲載
  • 多メディア時代におけるキャラクター表現にみる物語体験――児童文庫を事例として―― (『日本児童文学』2010年7・8月号、日本児童文学者協会)
  • 『少年世界』における「少年小説」の同時代的意味――小説有害論に着目して―― (『国際児童文学館紀要』24号(2011年3月))掲載
  • 『日本之少年』における小説観のアクチュアリティ (『国際児童文学館紀要』25号(2012年3月))掲載
  • 女性文化人としての児童文学者――村岡花子を事例として―― (研究報告書《基盤研究(B) 「女性文化人」の社会的形成に関する歴史社会学的研究》、2013年3月)
  • メディア有害論からみた『少女世界』における女学生像――「少女小説」と「演劇」を中心として―― (『国際児童文学館紀要』26号(2013年3月))掲載
  • 教育雑誌における教育的メディアとしての児童文学の発見――『教育時論』を事例として―― (『児童文学研究』第46号(日本児童文学学会 編、2014年2月))掲載
  • 明治後期における課外読み物観の形成過程――『太陽』における「小説」観に着目して―― (『神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要』第8巻第1号(2014年9月))掲載
  • 明治期における〈冒険小説〉の排除と包摂――教育雑誌を中心に―― (『大阪国際児童文学振興財団研究紀要』第29号(2016年3月))掲載
  • 絵本の語りと視点――日本語の主観的把握に着目して―― (『神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要』特別号( 2016年6月))掲載
  • 大町桂月の修養主義的文学観 (『大阪国際児童文学振興財団研究紀要』第30号(2017年3月))掲載
  • 明治後期における『少女世界』にみる良妻賢母規範をめぐるポリティクス――〈お伽小説〉と〈冒険小説〉を事例として―― (『神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要』第11巻第1号(2016年9月))掲載
  • 明治後半期における文士の社会的地位をめぐるポリティクス――巖谷小波の文士優遇論に着目して―― (『大阪国際児童文学振興財団研究紀要』第31号(2018年3月))掲載
  • 明治期の読書論における〈空想〉の排除と包摂――お伽噺論を中心として――(『子ども社会研究』24号(日本子ども社会学会 編、2018年6月))掲載
  • 課外読み物としての松山思水『喜歌劇と喜劇 アンポンタン』の位相(『大阪国際児童文学振興財団研究紀要』34号、大阪国際児童文学振興財団、2021年3月)掲載

準学術誌論文

[編集]
  • 新教科書に見る新しい作家・作品 (『実践国語研究』239号(全国国語教育実践研究会 編、2003年1月))掲載
  • 幼年童話における「成長」の位相 (『実践国語研究』254号(全国国語教育実践研究会 編、2004年5月))掲載
  • 幼年童話と擬人法 (『実践国語研究』256号(全国国語教育実践研究会 編、2004年7月))掲載
  • 戦争児童文学とメディア・リテラシー (『実践国語研究』258号(全国国語教育実践研究会 編、2004年7月))掲載
  • ファンタジーとジェンダー (『実践国語研究』260号(全国国語教育実践研究会 編、2004年11月))掲載
  • 児童文学における自然観 (『実践国語研究』262号(全国国語教育実践研究会 編、2005年1月))
  • ファンタジーとコミュニケーション (『実践国語研究』263号(全国国語教育実践研究会 編、2005年3月))掲載
  • メディアとしての手紙 (『実践国語研究』265号(全国国語教育実践研究会 編、2005年5月))掲載
  • 学校ファンタジーの想像力 (『実践国語研究』267号(全国国語教育実践研究会 編、2005年7月))掲載
  • 物語行為の創造力 (『実践国語研究』269号(全国国語教育実践研究会 編、2005年9月))掲載
  • 宮沢賢治童話と映像メディア (『実践国語研究』270号(全国国語教育実践研究会 編、2005年11月))掲載
  • ライフストーリーとしての児童文学 (『実践国語研究』271号(全国国語教育実践研究会 編、2006年1月))掲載
  • 「物語」としての伝記 (『実践国語研究』272号(全国国語教育実践研究会 編、2006年3月))掲載
  • 「児童文学とジェンダー」の報告 (子ども社会研究の窓) (『子ども社会研究』25号(日本子ども社会学会 編、2019年6月))掲載

文芸評論

[編集]
評論
  • 不透明なコミュニケーション、透明なディスコミュニケーション――『こどものおもちゃ』と『エヴァンゲリオン』―― (『日本児童文学』2000年1・2月号、日本児童文学者協会)掲載
  • 多文化共生時代における混生の思想――上橋菜穂子たつみや章の作品にみる国産ファンタジーの現在―― (『日本児童文学』2002年9・10月号、日本児童文学者協会)掲載
  • インターネット匿名言説の危険性 (『日本児童文学』2004年1・2月号、日本児童文学者協会)掲載
  • 日本児童文学学会編「研究=日本の児童文学」の意義と課題 (『日本児童文学』2004年5・6月号、日本児童文学者協会)掲載
  • マルチメディアという居場所――中景なき時代における児童文学の模索―― (『日本児童文学』2005年7・8月号、日本児童文学者協会)掲載
  • テレビゲーム世代における物語体験の変容 (『日本児童文学』2006年9・10月号、日本児童文学者協会)掲載
  • ノスタルジアというモンスター――『GOGOモンスター』試論―― (『ユリイカ』2007年1月号、青土社)掲載
  • 『ノンちゃん雲に乗る』のスペクトル――石井桃子と現代日本児童文学―― (『ユリイカ』2007年7月号、青土社)掲載
  • 物語の構造分析のジレンマ (『研究誌 別冊子どもの文化』第9号、2007年8月)掲載
  • 希望格差社会における現代児童文学のアクチュアリティ (『日本児童文学』2008年3・4月号、日本児童文学者協会)掲載
  • 砂田弘作品における犯罪者像にみる資本主義批判の変容 (『日本児童文学』2008年9・10月号、日本児童文学者協会)掲載
  • 時代に同伴する批評 (『日本児童文学』2012年5・6月号、日本児童文学者協会)掲載
  • 高橋秀雄作品におけるキャラ的コミュニケーションの転覆 (『日本児童文学』2014年9・10月号、日本児童文学者協会)掲載
  • 友だちになるハビトゥス 『だるまちゃんとてんぐちゃん』の読書体験 (『現代思想』2017年9月臨時増刊号、青土社)掲載
  • 阿川佐和子訳『ウィニー・ザ・プー』と教養主義的読書観 石井桃子を手がかりとして (『ユリイカ』2019年1月号、青土社)掲載
  • リスク社会時代の児童文学 第1回 リスク社会と存在論的不安 (『日本児童文学』2020年1-2月号、日本児童文学者協会)掲載
  • リスク社会時代の児童文学 第2回 中間集団のリスク化 (『日本児童文学』2020年3-4月号、日本児童文学者協会)掲載
  • リスク社会時代の児童文学 第3回 リスク・排除・監視 (『日本児童文学』2020年5-6月号、日本児童文学者協会)掲載
  • リスク社会時代の児童文学 第4回 学校からの疎外と学校への疎外 (『日本児童文学』2020年7-8月号、日本児童文学者協会)掲載
  • リスク社会時代の児童文学 第5回 マイノリティの存在論的不安 (『日本児童文学』2020年9-10月号、日本児童文学者協会)掲載
  • リスク社会時代の児童文学 第6回 リスク社会のシミュレーション (『日本児童文学』2020年11-12月号、日本児童文学者協会)掲載
  • 日常感覚を異化する絵本――安野光雅ヨシタケシンスケ(『ユリイカ』2021年7月臨時増刊号、青土社)掲載
時評・書評
  • 村瀬学:著『13歳論』 不透明な時代の透明な物語 (『子どもの文化』第32巻6号、文民教育協会子どもの文化研究所、2000年5月)掲載
  • 創作時評 イラストレーターにみる児童書の現在 (『日本児童文学』2006年1・2月号、日本児童文学者協会)掲載
  • 創作時評 ミステリーにみる児童書の現在 (『日本児童文学』2006年3・4月号、日本児童文学者協会)掲載
  • 創作時評 ファンタジー・SFにみる児童書の現在 (『日本児童文学』2006年5・6月号、日本児童文学者協会)掲載
  • 創作時評 新たな物語の予感 (『日本児童文学』2013年1・2月号、日本児童文学者協会)掲載
  • 創作時評 もう一つの世界 (『日本児童文学』2013年5・6月号、日本児童文学者協会)掲載
  • 創作時評 スクール・カーストから見える風景 (『日本児童文学』2013年10・11月号、日本児童文学者協会)掲載
  • 子どもの文学この一年 評論・研究 (『日本児童文学』2016年5・6月号、日本児童文学者協会)掲載
  • 子どもの文学この一年 児童文庫 (『日本児童文学』2017年5・6月号、日本児童文学者協会)掲載
  • 書評 是澤博昭著『軍国少年・少女の誕生とメディア 子ども達の日満親善交流』 (『児童文学研究』51号(2018年4月)、日本児童文学学会)掲載

脚注

[編集]
  1. ^ 『「場所」から読み解く世界児童文学事典』原書房、2014年
  2. ^ a b 『日本児童文学』2005年5・6月号、89頁。
  3. ^ 現在の同誌「投稿作品賞」。現在では評論作品は受け付けていない。
  4. ^ 『日本児童文学』1997年7・8月号、94頁。

外部リンク

[編集]