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「政府間主義」の版間の差分

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'''政府間主義'''(せいふかんしゅぎ、英 : ''Intergovernmentalism'')とは[[国際法]]や[[政治学]]において、国際組織内における政府協力を原理とする考え方である。
'''政府間主義'''(せいふかんしゅぎ、英 : ''Intergovernmentalism'')とは[[国際法]]や[[政治学]]において、国際組織内における政府協力を原理とする考え方である。


政府間主義が採られている例として[[国際連合]]、また部分的に[[欧州連合]]が挙げられ、後者については[[マーストリヒト条約]]で導入された第2・第3の[[3つの柱 (EU)|柱]]において政府間主義が原則とされている。つまり政府間主義では決定権が当事国に残され、[[採択]]には[[満場一致]]を要するため、政府間主義が採られている組織では事実上、各国に[[拒否権]]が与えられていることになる。
政府間主義が採られている代表例としては、[[国際連合]]などが挙げられる。政府間主義では決定権が当事国に残され、[[採択]]には[[満場一致]]を要するため、政府間主義が採られている組織では事実上、各国に[[拒否権]]が与えられていることになる。


[[国際法]]における考え方において政府間主義は、各国は共同で決定を行うが、その一方で[[主権]]は尊重されるということを意味する。政府間主義における協力として現代の[[国際機関]]で典型的なものには[[国際連合]]や[[欧州安全保障協力機構]]がある。
[[国際法]]における考え方において政府間主義は、各国は共同で決定を行うが、その一方で[[主権]]は尊重されるということを意味する。政府間主義における協力として現代の[[国際機関]]で典型的なものには[[国際連合]]や[[欧州安全保障協力機構]]がある。


== 対義語 ==
政府間主義の対義語となるのは'''[[スープラナショナリズム|超国家主義]]'''で、超国家主義の実例には[[欧州共同体]]がある。国際法上、欧州共同体には超国家的な決定権が与えられており、すべての加盟国は欧州共同体の機関に拘束されている。
政府間主義の対義語となるのは'''[[スープラナショナリズム|超国家主義]]'''で、超国家主義の実例には[[欧州共同体]]がある。国際法上、欧州共同体には超国家的な決定権が与えられており、すべての加盟国は欧州共同体の機関に拘束されている。


政府間主義の対義語である超国家主義の原理とは、ある[[国際機関]]において国家はその組織の目的にかなうために[[主権]]を移譲することとされ、[[欧州連合]]で言えば[[欧州委員会]]に権限を渡すことになる。そのため[[欧州連合の3本柱|第1の柱]]である欧州共同体に関する政策はもっぱら欧州委員会が執行し、欧州委員会では政策分野ごとに担当する委員が職務にあたっている。
== 欧州連合における政府間主義 ==
[[欧州委員会]]、[[欧州議会]]とともに欧州連合の機関の中心となる3者の一角である[[欧州連合理事会]]では主に政府間主義の原理が採られており、とくに決定権限はそれぞれの加盟国政府にある。[[共同決定手続]]や[[特定多数決方式]]が用いられる場合を除くと、ほとんどの案件で全会一致による採択が求められ、この場面では各国は事実上の拒否権を有することになる。各国が拒否権を持つことによってそれぞれの国の事情を主張することにしかならず、結果として欧州連合理事会は、ある事案を[[欧州理事会]]が全会一致で決定することができるかどうかを決めているに過ぎないということになる。一部の国が採択にあたって棄権した場合でも、決議は全会一致とみなされる。前向きに棄権した加盟国に対しては決議を実行に移すことや、実施によって生じる費用を負担することを強制されるということはないが、棄権国は採択された決議には拘束力があるものとして受け入れ、欧州連合による決議の目的実行を妨害してはならない。

政府間主義の対義語である超国家主義の原理とは、ある国際機関において国家はその組織の目的にかなうために主権を移譲することとされ、欧州連合で言えば欧州委員会に権限を渡すことになる。そのため第1の柱である欧州共同体に関する政策はもっぱら欧州委員会が執行し、欧州委員会では政策分野ごとに担当する委員が職務にあたっている。

== 規範 ==
政府間主義の形態や欧州連合の機構における政策決定過程といった記述を置いておくと、政治学では政府間主義を、欧州連合の統合過程という方向性の考え方において努力する価値のある、あるいは規範的な目標とみなしている。このような権限の分散という理想のモデルとは、「それぞれの祖国からなるヨーロッパ」とよばれる概念である。政府間主義とは、超国家的機関や組織を優先するためにそれらの権限の拡大を認める超国家主義の観念に対して、国家主権を保持するものということを指すのである。

欧州連合の歴史において、政界で影響力を持つ人物たちが政府間主義の一派を形成し、現代の国家集合体における政治制度に重大な影響を及ぼした。元フランス大統領[[シャルル・ド・ゴール]]によるヨーロッパ政治の方向づけはたびたび政府間主義的な協議・決定メカニズムの例として挙げられる。[[フランス]]は1965年7月から1966年1月までの間、[[欧州連合理事会|閣僚理事会]]における[[特定多数決方式]]の導入に断固として反対し、会議への出席を拒んで定足数に満たさせないという事態を起こした。''{{lang|fr|politique de la chaise vide}}''(日本語の直訳で「空席の政治」)と言われる協議拒否戦略に対して非公式協議が繰り返された結果、重要案件の採択にさいして全会一致を要することとする、いわゆる[[ルクセンブルクの妥協]]が合意され、事実上加盟国が拒否権を持つことが認められた。ド・ゴールはこの出来事で、フランスが主権の委譲をする意思がないということを明確にした。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
*[[機能主義 (国際関係)]]
*[[機能主義 (国際関係)]]

== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* [http://www.bpb.de/popup/popup_lemmata.html?guid=VIQXKB Internationale Organisationen] {{de icon}} - ドイツ連邦政治教育センターによる
* [http://www.bpb.de/popup/popup_lemmata.html?guid=VIQXKB Internationale Organisationen] {{de icon}} - ドイツ連邦政治教育センターによる

2024年10月30日 (水) 11:35時点における最新版

政府間主義(せいふかんしゅぎ、英 : Intergovernmentalism)とは国際法政治学において、国際組織内における政府協力を原理とする考え方である。

政府間主義が採られている代表例としては、国際連合などが挙げられる。政府間主義では決定権が当事国に残され、採択には満場一致を要するため、政府間主義が採られている組織では事実上、各国に拒否権が与えられていることになる。

国際法における考え方において政府間主義は、各国は共同で決定を行うが、その一方で主権は尊重されるということを意味する。政府間主義における協力として現代の国際機関で典型的なものには国際連合欧州安全保障協力機構がある。

対義語

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政府間主義の対義語となるのは超国家主義で、超国家主義の実例には欧州共同体がある。国際法上、欧州共同体には超国家的な決定権が与えられており、すべての加盟国は欧州共同体の機関に拘束されている。

政府間主義の対義語である超国家主義の原理とは、ある国際機関において国家はその組織の目的にかなうために主権を移譲することとされ、欧州連合で言えば欧州委員会に権限を渡すことになる。そのため第1の柱である欧州共同体に関する政策はもっぱら欧州委員会が執行し、欧州委員会では政策分野ごとに担当する委員が職務にあたっている。

関連項目

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外部リンク

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