「トランスジェンダーになりたい少女たち」の版間の差分
m Slewanion がページ「あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇」を「トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇」に移動しました: 記事名の付け方違反: 邦題の変更 |
|
(相違点なし)
|
2024年3月31日 (日) 18:09時点における版
著者 | Abigail Shrier |
---|---|
国 | アメリカ |
言語 | 英語 |
出版社 | レグナリー・パブリッシング社 |
出版日 | 2020年6月30日 |
出版形式 | 印刷物、デジタル |
トランスジェンダー関連のアウトライン |
トランスジェンダー |
---|
LGBTポータル |
『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』(あのこもトランスジェンダーになった SNSででんせんするせいてんかんブームのひげき、英: Irreversible Damage、以下「あの子もトランスジェンダーになった」)は、2020年にアビゲイル・シュライアーによって書かれ、レグナリー・パブリッシング社から出版された本である[1][2]。この本は、「急速発症性性別違和(ROGD)」という論争のある概念を支持している[1][3][4][5]。ROGDは、いかなる主要な専門機関によっても医学的診断として認められておらず、信頼できる科学的証拠に基づいていない[1][6][7]。
本書は、ソーシャルメディアのインフルエンサーなどの影響を受け、トランスジェンダー[注 1]ではないのにそうだと思い込んだ結果、後に後悔することになる不可逆的な医療ケアを受ける子どもが増えている、また、その治療は科学よりもイデオロギーに基づく医師たちによって助長されると主張するものである[1][11][12]。著者は、出生時に女性として割り当てられた10代の若者たちを指しながら、「2010年代に思春期の女の子たちの間で突然、トランスジェンダーであるという自己認識が急増した」と述べ、これを「拒食症や過食症、多重人格障害の犠牲になった、不安感が強く抑うつ的な(主に白人の)女の子たち」の間の「社会的伝染」に原因するものだとした[1][12]。そして、若者の性別違和に対する治療法として、性別を肯定する精神医学的支援、ホルモン補充療法、性別適合手術(これらをまとめて「ジェンダーを肯定するケア〈gender-affirming care〉」と呼ぶことが多い)をおこなうことを批判した[13][14]。また、流行から子どもを守るために「子どもにインターネットで交流させないこと」「親の権威を保つこと」「ジェンダー・イデオロギー教育を支持しないこと」「子どもの性別違和の主張を認めないこと」「出産能力は祝福であると娘に伝えること」などを親に勧めた[1][12][13][14]。
この本の反応は賛否両論であり、肯定的なレビューの多くは著者の主張を支持しているが、批判の多くは本に利用された逸話の選択や主張の科学的根拠に関する問題に焦点を当てている[13][14][11]。この本がトランス差別のヘイト本であるとして[15][16]、またトランスマスキュリン[注 2]やノンバイナリーであると認識する10代の若者を「彼女」と呼ぶ本書の姿勢をミス・ジェンダリングであるとして、販売を制限しようとするいくつかのボイコットが行われた[19][20][21]。
日本においても、当初は「あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換[注 3]ブームの悲劇」というタイトルで2024年1月にKADOKAWAから刊行される予定だったが[25][26]、タイトルや事前公開された内容紹介について議論や批判が起き[15][27]、2023年12月5日に発売中止と当事者への謝罪が発表された[16][28]。その後、産経新聞出版より2024年4月上旬刊行予定との発表があった[29]。
背景と出版の経緯
著者のシュライアーはコロンビア大学とオックスフォード大学に通い、イェール法科大学院で法務博士(J.D.)を取得した[1][30][31]。
シュライアーが支持する急速発症性性別違和(ROGD)という診断名は、「社会的伝染」が原因で、性別違和を経験する子どもが急増しているというものである[32][33][34]。本書は、ROGDに関する初の書籍である[35]。この用語は、2018年にリサ・リットマンがオープンアクセスの科学雑誌「PLOS ONE」に掲載した論文で提唱された[1][2][5]。しかし、この論文で調査対象となったのは、当事者ではなく、反トランスジェンダーのインターネットフォーラムで募集された親であり、サンプリングバイアスに対する懸念が生じるなど、複数の問題により専門家から激しく批判された[3][4][32][6]。その後、PLOS ONEは大幅な修正が加えられた論文を再掲載し、この論文は「記述的かつ探索的」な研究であり、臨床的な検証が実施されていないことを強調した[3][4][1]。トランスジェンダー保健専門家協会(WPATH)は声明を発表し、この用語の使用を控えるよう呼び掛けた[3][4][36]。アメリカ心理学会を含む60以上の医療団体は、この概念を臨床の場で使用しないこと求める声明を発表した[3][4][7]。ROGDは、科学コミュニティでは、「存在しない」とのコンセンサスが形成される一方、本書『Irreversible Damage』などの影響で一般に広がり[1][3][4][26][37]、トランスジェンダーの権利は行き過ぎたものであるという主張や[38][39][40]、アメリカの反トランス法案を正当化する根拠として利用されている[3][4][7][41][42]。
『あの子もトランスジェンダーになった』の原著『Irreversible Damage』は、2020年6月に保守的な出版社であるレグナリー・パブリッシング社から出版された[1][43][13][14]。この出版社は、「アメリカを腐敗させる『左翼』的なものと戦う」という信念のもと、旧統一教会の信者による反進化論本、旧統一教会系の出版社の記者による文鮮明脱税事件の擁護本、反共主義者・キリスト教右派や白人至上主義者の本なども出版している[15][13][14][44]。同書『Irreversible Damage』は、2021年第2四半期におけるレグナリー出版の売上増に貢献した主要な書籍の1つになった[45]。パメラ・アルマンドがナレーションを担当したオーディオブックは、ブラックストーン・オーディオからリリースされた。イギリスでは、スウィフト・プレスから「10代の少女とトランスジェンダーの流行」という副題で出版された[46]。
出版後、シュライアーは保守系メディアで有名な人物となった[47]。2021年3月、米上院に共和党から指名され、「平等法」をトランスジェンダーにも適用する拡大案に反対する証言を行った[47][48]。シュライアーは「トランスジェンダーは、女性と少女にとって危険な存在である」と証言した[49]。2020年7月、「ジョー・ローガン・エクスペリエンス」のインタビューでは、性転換の願望を「伝染」と呼び、摂食障害や自傷行為と比較した[50]。また、シュライアーはトランスジェンダーの若者を自閉症と関連付けた[51]。Spotifyの従業員はローガンのポッドキャストエピソードをプラットフォームから削除するように求めたが[51][52]、同社はこの要求を拒否した[53]。この本で、シュライアーからインタビューを受けたトランスジェンダーYouTuberのチェイス・ロスは、2021年に「シュライアーはインタビューの意図を誤解させ、タイトルや内容も隠した」と述べ、この本に参加し当事者を傷つけたたことを謝罪し、本書を読まないように呼びかけた[1][54][55]。
原著の評価
この本の評価については賛否がはっきり分かれている[56]。『スペクテーター・オーストラリア』のニック・ケイター、『エコノミスト[35]』、『アイリッシュ・インデペンデント』のエミリー・ホウリカン[57]、『ナショナル・レビュー』のマドレーン・カーンズ[58]、『サンデー・タイムズ』のクリスティーナ・パターソン[59]、『コメンタリー』のナオミ・シェーファー・ライリー[60]、『Times of London』のジャニス・ターナー[61]による肯定的な書評がある。神学者のティナ・ビーティーは『ザ・タブレット』で、心理学者のクリストファー・ファーガソンは『サイコロジー・トゥデイ』で、肯定と否定の入り混じった評価をした[46]。『ロサンゼルス・レヴュー・オブ・ブックス』ではサラ・フォンセカが[62]、『サイコロジー・トゥデイ』のブログ記事ではトランスジェンダーの精神衛生を専門とする研究者のジャック・ターバンがそれぞれ否定的な評価をした[13][14]。『サイエンス・ベースド・メディシン』は、医師のハリエット・ホールによる肯定的な書評を撤回し、その後この本を批判する一連の記事を掲載した[11]。
- 賛。『エコノミスト』は、2020年の「今年の本」の1冊としてこの本を選んだ[13][14][63]。同誌は、「多くの関心を集める報道を生み出してきたこのテーマについて、初めてわかりやすく扱った本のひとつ」と評したが、主要紙での書評は少ないと指摘した[35]。同紙は、シュライアーを「インタビューした人たちの話を細心の注意を払って伝えている」と評価したが、10代の若者が医療介入を受けている程度を誇張している可能性を示唆した[35]。マドレーン・カーンズは、デブラ・W・ソーの『ジェンダーの終焉』と並んでこの本を批評した[58]。彼女は、シュライアーの本が「個人的で、詮索好きで、しばしば感動的な物語」を提供していると述べた[58]。ナオミ・シェーファー・ライリーは、突然トランスジェンダーだと認識し始めたように見える青少年たちに「病んでいるものは何か」と問いかけたシュライアーは正しかったと書いている[60]。彼女は、トランスジェンダー医療とオンライン上のトランスジェンダー活動に対するシュライアーの批判を支持した[60]。ジャニス・ターナーはこの本を「恐れ知らず」 と呼び、この本をめぐる論争に言及し、その結論を支持した[61]。この本は保守的な団体から肯定的な批評を受けたが、それは彼らによると、ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)の名の下に黙殺されていた真実をもたらしたからである[64]。彼らの書評は、シュライヤーが「Woke(社会問題に目覚めたリベラル層)」に対して「勇敢に立ち向かい」、「アメリカを洗脳したトランスジェンダー過激派」が推進する「狂気」を暴いたと書いている[64]。
- 賛否。ティナ・ビーティーはこの本を「不穏で、腹立たしく、説得力のある研究」と評した[46]。彼女は、シュライアーが被験者自身が知らないところで、親や専門家からの逸話を利用していることを批判した[46]。彼女は、「シュライアーの主張の多くには反論の余地があるかもしれない」としながらも、報告されている思春期に発症する異和感の症例の増加は、「現在よりもはるかに大きな注意と不安の原因となるはずである」と書いた[46]。心理学者のクリストファー・ファーガソンは、「トランスジェンダーを自認する人の多くは、実際にトランスジェンダーで、医療的ケアを必要とする人たちである」「広く証明された科学的事実を否定している」などの前提を解説した[65][26]。ファーガソンは、「彼女の論文を完全に否定する気はない」としながらも、彼女は科学に「注意深く耳を傾ける」ことに失敗しており、「質の高い、事前登録された、オープンサイエンスで科学的な取り組み」がこの分野では必要であると書いた[65]。
- 否。『デイリー・ドット』のコラムニスト、アナ・ヴァレンスは「この本には明らかなトランスフォビアが含まれており、転向療法を奨励している」と書いた[66][67]。作家のジェームズ・ファクトラは、『テム』で「出版社の本の説明に書かれているほぼすべての主張は『あからさまな嘘』」だと書いた[37]。ジャーナリストのマット・トレイシーは、『Gay City News』で「シュライアーが題材の性別を間違えている」と批判した[68]。シュライアーは「私はこのトランスジェンダーの流行に巻き込まれた生物学的に女性の10代の若者を『彼女』と呼んでいる」と述べているが、トレイシーはこれを「トランスジェンダーの10代の若者の性自認(ジェンダー・アイデンティティ)を軽視し、出生時に女性と割り当てられたトランスジェンダーの少年やノンバイナリーはすべて、同じ生物学的要素を持っていると誤認している著者による選択である」と書いた[68]。サラ・フォンセカは、この本の表現、内容、出典について非難した[62]。歴史家のベン・ミラーは、「白人の少女の生殖器がブラックホールによって消されている」表紙のデザインを、ナチスのプロパガンダポスターのデザインと比較した[69][70]。イスラエルのウェブサイト『Haokets』は、「表紙は『親の保護の義務』を鮮明にするために、題材とは異なる非常に幼い少女が描かれている」「少女は、妊婦のお腹ができる『はず』の場所に穴が空いており、何よりも子どもを将来の母親として認識する、本書の保守的な部分と対応する」と書いた[71]。イスラエルの新聞『ハアレツ』は、「これは親向けのガイドに見せかけたトランスフォビア的な文章であり、根拠のない純粋なガスライティングで、子どもや親の幸福への配慮とは関係がない」と評した[72][73]。イスラエルの主要メディア『Mako』は、「保守主義から始まり陰謀で終わる滑りやすい坂道」と表現した[72][74]。臨床心理学者のエリカ・アンダーソンは、NBCニュースの記事で「若者のジェンダーを肯定するケアは医学的に必要であり、場合によっては命を救うものであることを専門学会は観察して主張してきた。人々が専門家ではなくこの本に指針を求めることを懸念している」と語った[48]。心理学者のダイアン・エレンサフトは、『The Seattle Times』の記事で「この本は、若者の性別移行セラピーへのアクセスを制限しようとする保守的な運動のうねりの高まりに食い込んでいる」と述べた[75]。メディア批評家のダイアナ・アンダーソンは、「本書は、外部の力が10代の娘を『トランスフォーム』させる」という、煽り立てられた道徳的パニックを持続させるのに役立っている」と述べた[75]。精神科医のジャック・ターバンは、「誤った情報に満ちた突拍子もない本」と批判し、「当事者ではなく、両親へのインタビューに基づいている」「主張を裏付ける科学的証拠を誤って解釈し、データを無視している」「『下品で攻撃的な言葉』を使っている」などの複数の問題点を指摘した[13][14]。
- 『サイエンス・ベースド・メディシン(SBM)』は、2021年6月にハリエット・ホールによる肯定的な書評を掲載し、「真剣に調べる必要のあるいくつかの憂慮すべき事実を提起している」「ジェンダー肯定を中心としたケアは、間違いで職務怠慢である」「現在の政治情勢はこれらの問題の科学的研究をほぼ不可能にしている」と指摘した[11][76]。その後、SBMは編集者による検討の結果、科学的妥当性に問題が多いとして書評を撤回する措置を取り、ホールの書評はマイケル・シャーマーによって『Skeptic』に改訂版が再掲載された[1][11][76]。SBMの編集者、スティーブン・ノヴェラとデヴィッド・ゴルスキーは、後に撤回について説明し、ホールとシュライアーの主張は「いかなる証拠にも裏付けられておらず、科学的証拠の重大な誤読によってこじつけられたもの」と結論づけ、「逸話、異常値、政治的な議論、そして選択された科学」に基づいていると説明した[11]。その後数週間、同サイトはゲスト執筆者で医師のローズ・ラヴェルとAJ・エッカートによるこの本に関する一連の記事を掲載し、科学的な誤り、データの選択、誤った情報について同書を批判した[1][11][31][41]。ラヴェルは、「トランスジェンダーの科学と医学を誠実に理解しようとする人には、この本はお勧めできない」「本書がトランスジェンダーの若者が必要とされる医療を受けられないようにする取り組みの主要な資料として使われ続けることを強く懸念している」と書いた[31]。
マーケティングと流通
『Irreversible Damage』は複数の言語に翻訳され、スペイン[77]、フランス、ハンガリー[78]、シュライアーの演説に抗議者が集まったイスラエルなど、他の国々でも外国語版が出版された[79]。同書に対する反発から、日本での出版は中止された[80]。
アメリカ
この本がトランスフォビアで、「グループに対する憎悪を煽り、トランスの現実を否定している」として[81]、販売を制限しようとするいくつかのボイコットが行われた[19][20][21]。アメリカ書店協会がこの本を宣伝したことを謝罪し、競合の「ターゲット」がウェブサイトからこの本を削除した後も、Amazonは本書の販売を続けた[82]。2020年6月30日、本書は発売されると直ぐに、Amazonのベストセラーとなり、最も売れる本の1つとなった[83][81]。その後、Amazonの「LGBTQ+人口統計学」カテゴリーでハードカバー版、ペーパーバック版、Kindle版ともに上位3位にランクインした[48][84]。Amazonで「トランスジェンダー 」と入力すると、本書がベストセラーとして挙げられ、検索結果のトップに表示される[48][20]。本書は、アメリカでは12万部を超えるベストセラーとなった[25]。
- 2020年6月、Amazonは出版の一週間前にこの本の広告を中止し、その理由を「性的指向を診断、治療、または疑問視する主張」をしているためと説明した[2]。2021年4月、従業員がAmazonに販売中止するよう嘆願したが、同社は「この本はAmazonのコンテンツ・ポリシーに違反しておらず、今後も販売を続ける」と回答した[75]。2022年3月、「No Hate at Amazon」と呼ばれるグループが、Amazonに、この本と『Johnny the Walrus』の販売中止を求める嘆願書を提出し、Amazonで販売できるコンテンツを従業員が民主的に決定できるようにする監視委員会を設置するよう求めた[20]。少なくとも600人が嘆願書に署名し、2021年夏にAmazonの幹部に提出された[20]。これらの本の販売中止を拒否したことで、一部の従業員はAmazonで働くことを辞めた[48][82]。
- 2020年11月、ディスカウントストア「ターゲット」はネット上での批判を受け、同書の販売を一時停止したが、シュライアーから「言論の自由の侵害」だと批判され[13][14][48]、再び購入できるようにした[19][37]。保守派は、同書の撤去をナチス・ドイツの焚書と比較した[67]。何人かのLGBTのコメンテーターは、撤去を支持すると表明した[37][66][68]。『Transgender Studies Quarterly』編集者のグレース・ラヴェリーは、Xで「少数派グループが大量生産された本を破壊することは、『国家主導による商品の破壊』とは異なる」と主張した[67]。『デイリー・ドット』のコラムニスト、アナ・ヴァレンスは、「これは検閲ではない。彼らは他の場所に出かけていき、それを買う購買力がある。この本はAmazonのKindleストアで最も売れているトランスジェンダーの研究書であり、これはアルゴリズム的にトランスの声を封じ込めている」と指摘した[67]。アメリカ自由人権協会(ACLU)の弁護士であるチェイス・ストランジオは、「この本と思想の流通を止めることは、100%私の死守すべき課題である」とツイートした[85]。ストランジオは後にこのツイートを削除し、投稿の意図は「政府による禁止を求めているのではなく『トランスジェンダーの自己決定を市場がより支持するような情報環境を作ること』だったと説明した[85]。2021年2月、ターゲットは再びこの本の販売を中止した[75][86]。
- 2021年4月、ハリファックス公共図書館に対し、この本を流通から外すよう求める請願が開始された[21]。同図書館は、知的自由を理由に、撤去は検閲にあたるとして拒否した[21]。これを受けて、ハリファックス・プライドは、今後ハリファックスの図書館ではイベントを開催しないと発表した[21]。
- 2021年7月、アメリカ書店協会(ABA)は、加盟書店の750店に同書の販売を検討するよう販促ボックスに入れて郵送したが、このことを「重大で暴力的な事件」と謝罪し、同書を「反トランス」と位置づけた[83][43]。これはさらなる論争を引き起こし、「書店協会は本を検閲しようとしている」と主張する人もいれば、「謝罪が不十分だ」と主張する人もいた[83][43]。
イスラエル
本書はヘブライ語に翻訳され、2023年にイスラエルの保守的な出版社であるセラ・メイア出版社から出版された[71][72]。この出版社は、極右で反リベラルな政策を推進している[72][87]。
本書は、イスラエルでも抗議活動を引き起こした[72][74]。2023年5月23日、アタリム広場にある公共施設で行われた発売イベントは、イベントの内容を知った施設の人々が 「憎悪扇動だ」と抗議したため、中止された[74][88]。イベントは近くのカールトンホテルに会場が移されて予定されたが、ホテルもイベントを拒否した[72][74]。5月28日、イベントはラマト・ガンにある右翼団体 「フォーラム・カフェ・シャピラ」 の敷地内で行われた[74][87]。イベントには、イスラエルとアメリカの右翼活動家や団体が参加し、本書を支持して宣伝した[87][89]。外では数百人のデモが行われ、会場内ではトランスジェンダーの若者が「私たちは病気ではない、人間だ」と叫んだ[89][90][91]。
日本
2023年12月3日、日本でも『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換[注 3]ブームの悲劇(監修・岩波明/訳・村山美雪、高橋知子、寺尾まち子)』という題名で、KADOKAWAから2024年1月に刊行されることが告知された[15][25]。しかし、日本語タイトルや宣伝文、発行前に公表された概要について、「トランスジェンダー差別を助長する」として[92][93]、各地で論争や批判が起きた[15][94]。Amazonの内容紹介には「幼少期に性別違和がなかった少女たちが、思春期に突然“性転換”する奇妙なブーム。学校、インフルエンサー、セラピスト、医療、政府までもが推進し、異論を唱えれば医学・科学界の国際的権威さえキャンセルされ失職。これは日本の近未来?LGBT法が施行され、性同一性障害特例法の生殖不能要件が違憲とされた今、子どもたちを守るためにすべきこととは」などと書かれていた[16][27][25]。出版関係者の有志24名は、「内容が刊行国のアメリカで既に問題視されている」「当事者の安全・人権を脅かしかねない[54][95]」などの意見を表明した[15][16][26]。12月5日、KADOKAWAの公式サイトで、タイトルや宣伝文が当事者を傷つけたことへの謝罪と発売中止が発表された[92][94][28]。朝日新聞によると、KADOKAWAの夏野剛社長と、出版部門の最高責任者を務める青柳昌行執行役が12月8日付けで社内に向けて声明を出した。報道によると、「刊行中止の原因は、本書の内容によるものでも、SNSなどの抗議によるものでもありません」としたうえで、「データや主張に対しての反証も引き続き行われている」と言及し、「日本の議論に一石を投じるためなら、相応の準備が必要だが、それを怠」り、「社内で内容を検証し、識者からも意見を求め、編集意図を明確にしてから告知すべきでした」と総括した。さらに「扇情的なタイトルにすることで、もはや当初の編集意図が通じる状況ではなくなった」と指摘した[96]。
週刊文春によると、担当編集者は「ポリコレについて考える本を作りたい」と話し、トランスジェンダーについて議論を提起する翻訳本のシリーズ化を目指していたという[97][98]。炎上については、事前に批判を予想して、保守系知識人に騒動になった際の応援を要請しており[15][98][99]、ヘイト本的需要や炎上マーケティングを期待した可能性が指摘された[97][98]。百田尚樹[15][100]、島田洋一[101][102]、徳永信一[103]、元産経新聞社勤務の三枝玄太郎[15][104]、ナザレンコ・アンドリー[15][105]、竹内久美子らは[106]、担当者から日本語訳を渡されて推薦文などを依頼されたことをXで公表している[15]。島田洋一は、自著で数ページに渡って本書を紹介した[101][107]。竹内久美子は、背後に左翼勢力の陰謀があるという話に結びつけていた[15][106]。産経新聞や旧統一教会系のメディア「世界日報」、法輪功系のメディア「大紀元時報」は、シュライアーがXで「活動家主導のキャンペーンに屈することで、検閲の力を助長する[108]」と批判したことを報じた[109][110][111]。
千田有紀武蔵大学教授は、産経新聞で「原作を読んで批判した者はどれだけいるのか。出版社に抗議して刊行を中止させるのは卑怯」と批判した[112]。ジャーナリストの佐々木俊尚は、Xで「焚書(ふんしょ)」であると抗議し、海外の批判的書評「本書はシュライアーが不快と危険を感じる世界観に対する中傷をまとめ上げたものにすぎない」を紹介し、「刊行されなければこういう議論もできない」と指摘した[113][114]。心理学者のクリストファー・ファーガソンは、毎日新聞で「アメリカでは共和党地盤の保守的な州で、トランスジェンダーの医療ケアを禁じる法律が次々と成立しているが、『本書が保守派への燃料となった』」と分析した[26]。そして、「トランスジェンダーの権利を擁護する人たちの懸念を理解し、深く同情するが、本を読むことを禁止する権利はない。正しい科学データと情報で対抗すべきだ」と指摘した[26]。ジャーナリストの北丸雄二は、出版社の責任について「大手に求められるのは知的な合否判断を行い、取捨選択すること」と指摘し、哲学者の高井ゆと里は、「出版界全体の問題として考えてほしい」と訴えた[54][115]。音楽家のロマン優光は、実話BUNKAオンラインで「抗議運動は、固定的なメンバーによる、よくある程度の小規模なもの」「発売の意図やゲラの送り先の選考基準、タイトルや宣伝文の意図、発売中止の経緯などについて、関係者は説明するべきではないか」と指摘した[15]。近現代史研究者の辻田真佐憲は、朝日新聞のコメントプラスで、「問題のある本だからといって出版を止めるのは適切ではないが、今までどういう批判があったかを解説などで紹介することは必要」とし、「今回は、SNSでかなり煽った広報が行われており、それがネット炎上につながり、刊行中止の決定にいたった」「議論を引き起こす本については、もう少し丁寧に対応すべきだった」と書いている[92]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m n Eckert, AJ. (July 4, 2021). “Irreversible Damage to the Trans Community: A Critical Review of Abigail Shrier's book Irreversible Damage (Part One)” (英語). Science-Based Medicine. New England Skeptical Society. July 5, 2021閲覧。 ※記事続編「(Part Two)」あり。
- ^ a b c Parsons, Vic (2020年6月23日). “Amazon refuses to advertise renowned anti-trans journalist's book suggesting trans teens are a 'contagion'” (英語). PinkNews December 10, 2020閲覧。
- ^ a b c d e f g Kesslen, Ben (2023年10月23日). “波紋広げた研究論文、トランスジェンダー伝染説は いかにして利用されたか”. MIT Technology Review. 2023年12月29日閲覧。 ※Ben Kesslenによる2022年8月18日付記事「How the idea of a “transgender contagion” went viral—and caused untold harm」の日本語訳。
- ^ a b c d e f g Kesslen, Ben (2022年8月18日). “How the idea of a “transgender contagion” went viral—and caused untold harm” (英語). MIT Technology Review. 2024年1月5日閲覧。 ※記事の日本語訳あり。
- ^ a b Hsu, V. Jo (2022-02-22). “Irreducible Damage: The Affective Drift of Race, Gender, and Disability in Anti-Trans Rhetorics” (英語). Rhetoric Society Quarterly (Rhetoric Society of America) 52 (1): 62–77. doi:10.1080/02773945.2021.1990381. ISSN 0277-3945.
- ^ a b Ashley, Florence (2018年12月13日). “There Is No Evidence That Rapid-Onset Gender Dysphoria Exists” (英語). Psych Central. Healthline. 2023年12月23日閲覧。
- ^ a b c “ROGD Statement” (英語). Coalition for the Advancement & Application of Psychological Science (CAAPS). CAAPS (2021年7月26日). 2023年12月22日閲覧。 “As an organization committed to the generation and application of clinical science for the public good, the Coalition for the Advancement and Application of Psychological Science (CAAPS) supports eliminating the use of Rapid-Onset Gender Dysphoria (ROGD) and similar concepts for clinical and diagnostic application given the lack of rigorous empirical support for its existence. / There are no sound empirical studies of ROGD and it has not been subjected to rigorous peer-review processes that are standard for clinical science. Further, there is no evidence that ROGD aligns with the lived experiences of transgender children and adolescents.” ※署名団体欄(Signatories)も参照。
- ^ “「トランスジェンダー」か「性同一性障害者」か 日本ファクトチェックセンターの表記の理由”. 日本ファクトチェックセンター(JFC) (2023年12月19日). 2024年1月7日閲覧。
- ^ 浅井春夫、遠藤まめた、染矢明日香、田代美江子、松岡宗嗣『Q&A多様な性・トランスジェンダー・包括的性教育:バッシングに立ちむかう74問』大月書店、2023年12月20日。ISBN 978-4272350629。
- ^ “トランスジェンダーの方の中にも 様々な状況の方がいます。” (PDF). 愛知県. 2024年1月7日閲覧。
- ^ a b c d e f g Novella, Steven (June 30, 2021). “The Science of Transgender Treatment” (英語). Science-Based Medicine. New England Skeptical Society. July 4, 2021閲覧。
- ^ a b c Shrier, Abigail (November 24, 2020). “Gender activists are trying to cancel my book; Why is Silicon Valley helping them?” (英語). Pittsburgh Post-Gazette. ISSN 1068-624X
- ^ a b c d e f g h i ジャック・ターバン (2023年12月25日). “KADOKAWA出版予定だった本の6つの問題。専門家は『あの子もトランスジェンダーになった』は誤情報に溢れていると指摘 : 古い診断法の引用、科学文献の読み間違え…。本書の問題をアメリカの医学博士が指摘する”. ハフポスト WORLD. BuzzFeed Japan株式会社. 2023年12月28日閲覧。 “原文:米国の心理学専門誌“Psychology Today”ウェブ版 (2020年12月6日掲載)/ 共訳:エミリ・バリストレーリ、紅坂紫、長谷川珈” ※Jack Turbanの書評「New Book 'Irreversible Damage' Is Full of Misinformation: A new book has the potential to hurt transgender youth.(原題:デマだらけの新刊『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』トランスジェンダーの青少年を傷つけかねない一冊)」の日本語訳。
- ^ a b c d e f g h i Turban, Jack (December 6, 2020). “New Book 'Irreversible Damage' Is Full of Misinformation” (英語). Psychology Today. Sussex Publishers. October 17, 2021閲覧。 “Shrier claims that 'in most cases—nearly 70 percent—gender dysphoria resolves,' and thus youth should not be provided gender-affirming medical care. That statistic is false.” ※記事の日本語訳あり。
- ^ a b c d e f g h i j k l m ロマン優光 (2023年12月8日). “『あの子もトランスジェンダーになった』発売中止騒動を考える:ロマン優光連載269”. 実話BUNKAオンライン. 株式会社コアマガジン. 2023年12月22日閲覧。
- ^ a b c d “KADOKAWA、差別扇動的との批判相次ぐ書籍を刊行中止 「トランスジェンダーの安全人権を脅かしかねない」との意見書も”. ねとらぼ. アイティメディア株式会社 (2023年12月5日). 2024年1月2日閲覧。
- ^ “02 ジェンダー 腫れ物議論ではないです”. 社会包摂デザイン・イニシアティブ. 九州大学大学院芸術工学研究院 (2022年10月11日). 2023年12月23日閲覧。
- ^ “トランスマスキュリン”. Seeking. Seeking.com. 2023年12月23日閲覧。 “トランスマスキュリンとは、女性として生まれたものの、女性らしさや女性的とされる特徴よりも、男性らしさや男性の特徴を持つと自認するジェンダークィア/トランスジェンダーの人を表します。/この用語は、男性性が優勢であるものの、女性から男性への移行が完全ではないジェンダークィアの人々を指します。”
- ^ a b c Halon, Yael (November 16, 2020). “Author accuses Target of caving to 'woke activists' by briefly pulling book deemed 'transphobic' on Twitter” (英語). FOXニュース March 18, 2021閲覧。
- ^ a b c d e Soper, Spencer; Ceron, Ella; Bloomberg (25 June 2022). "Amazon staff demand ban of books calling transgender people mentally ill: 'If we bill ourselves as the world's biggest bookstore, that comes with a lot of responsibility'(アマゾンのスタッフがトランスジェンダーを精神障害と呼ぶ本の販売中止を要求:世界最大の書店を名乗るからには、それなりの責任が伴う". Fortune (英語). Fortune Media Group Holdings. 2024年1月3日閲覧。
- ^ a b c d e Ryan, Haley (May 30, 2021). “Pride breaks with Halifax libraries after controversial book kept on shelves” (英語). CBC June 2, 2021閲覧。
- ^ 松永千秋「ICD-11で新設された「性の健康に関連する状態群」 : 性機能不全・性疼痛における「非器質性・器質性」二元論の克服と多様な性の社会的包摂にむけて」『精神神経学雑誌』第124巻第2号、日本精神神経学会、2022年、134-143頁、CRID 1523669556041009664、ISSN 2436-7621、2023年11月14日閲覧。
- ^ 中塚幹也「「性同一性障害」の脱病理化とマイノリティ・ストレス ICD-11の中の「性別不合」と心身医学に関与する人々の役割」『女性心身医学』第27巻第3号、日本女性心身医学会、2023年3月、207-208頁、doi:10.18977/jspog.27.3_207、ISSN 2189-7980、2023年11月14日閲覧。
- ^ 野宮亜紀, ほか『性同一性障害って何? : 一人一人の性のありようを大切にするために』緑風出版、2011年3月、98頁。ISBN 978-4-8461-1101-4。
- ^ a b c d “あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇”. KADOKAWAウェブサイト. KADOKAWA (2023年12月3日). 2023年12月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月28日閲覧。
- ^ a b c d e f 國枝すみれ (2023年12月12日). “トランスジェンダー本「不必要にセンセーショナル」 心理学者の見方”. 毎日新聞. 2024年1月2日閲覧。
- ^ a b 安藤健二 (2023年12月6日). “KADOKAWA、発売中止して謝罪。LGBTQ関連の翻訳書『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』”. BuzzFeed. バズフィード. 2024年1月2日閲覧。
- ^ a b 株式会社KADOKAWA 学芸ノンフィクション編集部 (2023年12月5日). “学芸ノンフィクション編集部よりお詫びとお知らせ”. KADOKAWA公式ウェブサイト. 株式会社KADOKAWA. 2023年12月22日閲覧。 “刊行の告知直後から、多くの方々より本書の内容および刊行の是非について様々なご意見を賜りました。/本書は、ジェンダーに関する欧米での事象等を通じて国内読者で議論を深めていくきっかけになればと刊行を予定しておりましたが、タイトルやキャッチコピーの内容により結果的に当事者の方を傷つけることとなり、誠に申し訳ございません。”
- ^ “発行中止のトランスジェンダー本刊行へ 「不当な圧力に屈しない」産経新聞出版”. 産経新聞. 2024年3月6日閲覧。
- ^ Strimpel, Zoe (2022年4月30日). “Abigail Shrier: Taking on the trans lobby has made me Public Enemy No 1” (英語). The Telegraph 2023年12月23日閲覧。
- ^ a b c Lovell, Rose (July 2, 2021). “Abigail Shrier's Irreversible Damage: A Wealth of Irreversible Misinformation” (英語). Science-Based Medicine. New England Skeptical Society. July 5, 2021閲覧。
- ^ a b Ashley, Florence (July 2020). “A critical commentary on 'rapid-onset gender dysphoria'” (英語). The Sociological Review 68 (4): 779–799. doi:10.1177/0038026120934693. ISSN 0038-0261 .
- ^ Littman, Lisa (2018). “Parent reports of adolescents and young adults perceived to show signs of a rapid onset of gender dysphoria” (英語). PLOS ONE (Public Library of Science) 13 (8): e0202330. Bibcode: 2018PLoSO..1302330L. doi:10.1371/journal.pone.0202330. ISSN 1932-6203. PMC 6095578. PMID 30114286 .
- ^ Yurcaba, Jo (4 August 2022). "'Social contagion' isn't causing more youths to be transgender, study finds" (英語). NBCnews. 2023年11月14日閲覧。
- ^ a b c d “Miss gender – A book on transitioning girls is denounced as transphobic” (英語). The Economist (London). (2020-11-26). ISSN 0013-0613 2022年12月30日閲覧。.
- ^ WPATH Global Board of Directors (2018年9月4日). “WPATH POSITION ON “Rapid-Onset Gender Dysphoria (ROGD)”” (pdf) (英語). World Professional Association for Transgender Health (WPATH). 2018年11月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月5日閲覧。
- ^ a b c d Factora, James (2020年11月17日). “Target Removed a Transphobic Book From Shelves — Then Replaced It a Day Later” (英語). them. 2020年12月19日閲覧。
- ^ McLamore, Quinnehtukqut (23 January 2023). "The real reason why there's a global rise in trans youth". Aeon (英語). Aeon Media Group. 2023年11月14日閲覧。
- ^ Broderick, Timmy (24 August 2023). "Evidence Undermines 'Rapid Onset Gender Dysphoria' Claims". Scientific American (英語). Springer Nature. 2023年12月3日閲覧。
- ^ McNamara, Meredithe (28 November 2023). "This Is How to Fight the Disinformation That Fuels Gender-Affirming Care Bans". Them (英語). 2023年12月3日閲覧。
- ^ a b Eckert, AJ. (July 18, 2021). “Irreversible Damage to the Trans Community: A Critical Review of Abigail Shrier's Irreversible Damage: The Transgender Craze Seducing Our Daughters (Part Two)” (英語). Science-Based Medicine. New England Skeptical Society. July 19, 2021閲覧。 ※記事「(Part One)」あり。
- ^ Ashley, Florence; Baril, Alexandre (22 March 2018). "Why 'rapid-onset gender dysphoria' is bad science". The Conversation (英語). 2018年4月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月5日閲覧。
- ^ a b c Italie, Hillel (2021年7月15日). “Booksellers association apologizes for anti-trans mailing” (英語). AP通信 2022年1月1日閲覧。
- ^ Williams, Lance (21 July 2017). "The Alt-Right Side of History Will Prevail" (英語). Mother Jones. 2024年1月4日閲覧。
- ^ Milliot, Jim (2021年8月12日). “Regnery Has Strong Second Quarter” (英語). Publishers Weekly. PWxyz, LLC. 2024年1月6日閲覧。
- ^ a b c d e Beattie, Tina (March 10, 2021). “No Turning Back” (英語). The Tablet 275 (9393): 25. ISSN 0039-8837 2021年10月17日閲覧。.
- ^ a b Johnson, Chris (2021年3月16日). “Abigail Shrier tapped by Republicans as witness for Equality Act hearing” (英語). Washington Blade. 2024年1月6日閲覧。
- ^ a b c d e f Glaser, April (2021年7月14日). “Amazon workers petition and two quit over anti-LGBTQ book sales” (英語). NBC News. 2024年1月7日閲覧。
- ^ Shrier, Abigail. “EQUALITY ACT TESTIMONY (Abigail Shrier)” (pdf) (英語). United States Senate Committee on the Judiciary (Senate Judiciary Committee). 2024年1月6日閲覧。
- ^ Ellis, Philip (July 22, 2020). “Joe Rogan Is Spreading Transphobic Hate Speech and It's Putting Lives in Danger” (英語). Men's Health (Hearst Communications). ISSN 1054-4836 December 19, 2020閲覧. "Shrier invalidated the lived experience of trans and nonbinary kids and teens, and made numerous dangerous, entirely unsound false equivalencies. She compared transitioning among teenagers to historic adolescent phenomena such as eating disorders, self-harm, and (bafflingly) the occult, calling this age group 'the same population that gets involved in cutting, demonic possession, witchcraft, anorexia, bulimia.' She even described wanting to transition as a 'contagion' with the potential to infect other children with the same ideas, drawing yet more scientifically baseless parallels with eating disorders."
- ^ a b Cox, Joseph; Maiberg, Emanuel (September 16, 2020). “Spotify CEO Defends Keeping Transphobic Joe Rogan Podcasts Online” (英語). Vice December 19, 2020閲覧。
- ^ Quah, Nicholas (2020年11月3日). “Should Spotify Be Responsible for What Joe Rogan Does?” (英語). Vulture December 27, 2020閲覧。
- ^ Steele, Anne (October 31, 2020). “Joe Rogan's Podcast Sparks Tensions Inside Spotify” (英語). The Wall Street Journal. ISSN 0099-9660. オリジナルのOctober 31, 2020時点におけるアーカイブ。
- ^ a b c “トランスジェンダー差別助長につながる書籍の刊行が中止に”. PRIDE JAPAN. OUT JAPAN (2023年12月6日). 2024年1月10日閲覧。
- ^ Chase (15 September 2020). apology for transphobic book involvement. YouTube (英語). uppercaseCHASE1. 2024年1月6日閲覧。
- ^ Pavia, Will (November 21, 2020). “Author Abigail Shrier faces threats after warning of trans epidemic” (英語). The Sunday Times. ISSN 0140-0460. オリジナルのNovember 21, 2020時点におけるアーカイブ。
- ^ Hourican, Emily (January 17, 2021). “Girls who would be boys: The rise in teen gender dysphoria” (英語). Irish Independent. ISSN 0021-1222 January 19, 2021閲覧。
- ^ a b c Kearns, Madeleine (2020-10-19). “The Beginning of Gender” (英語). National Review 72 (19): 36–39. ISSN 0028-0038 2023年12月13日閲覧。.
- ^ Patterson, Christina (January 3, 2021). “Irreversible Damage by Abigail Shrier review — the risks of transgender activism” (英語). The Sunday Times. オリジナルのJanuary 3, 2021時点におけるアーカイブ。 January 19, 2021閲覧。
- ^ a b c Riley, Naomi Schaefer (2020-06-16). “The Trans Cult” (英語). Commentary. ISSN 0010-2601 December 27, 2020閲覧。.
- ^ a b Turner, Janice (December 30, 2020). “Irreversible Damage by Abigail Shrier review — resisting the 'transgender craze'” (英語). The Times. オリジナルのDecember 30, 2020時点におけるアーカイブ。 December 13, 2023閲覧。
- ^ a b Fonseca, Sarah (January 17, 2021). “The Constitutional Conflationists: On Abigail Shrier's 'Irreversible Damage' and the Dangerous Absurdity of Anti-Trans Trolls” (英語). Los Angeles Review of Books January 19, 2021閲覧。
- ^ “Cold comforts – Our books of the year” (英語). The Economist. (2020-12-03). ISSN 0013-0613 December 30, 2022閲覧。.
- ^ a b “Irreversible Damage: The Transgender Craze Seducing Our Daughters” (英語). The Thinking Conservative (2020年6月30日). 2024年1月7日閲覧。
- ^ a b Ferguson, Christopher J. (January 19, 2021). “A Review of 'Irreversible Damage' by Abigail Shrier” (英語). Psychology Today. Sussex Publishers. December 13, 2023閲覧。
- ^ a b Valens, Ana (November 13, 2020). “Bari Weiss Defends Transphobic Book Pulled From Target” (英語). The Daily Dot 2024年1月10日閲覧。
- ^ a b c d Valens, Ana (November 16, 2020). “Target restocked a transphobic book because of money—not 'censorship'(ターゲットがトランスフォビア本を再入荷した理由は「検閲」ではなく「お金」のため)” (英語). The Daily Dot December 28, 2020閲覧。
- ^ a b c Tracy, Matt (November 13, 2020). “Bigots Swarm Twitter as Target Flip-Flops on Transphobic Book” (英語). Gay City News December 13, 2020閲覧。
- ^ Fox, Max (2022年10月26日). “Learning From the "Bad Gays" of History” (英語). The Nation (New York). ISSN 0027-8378 2023年9月28日閲覧。
- ^ Plunkett, Anna B.; Zepeda Gil, Raúl. "Historian and co-author of 'Bad Gays' discusses theories of identity and sexuality with students". King's College London (英語). 2023年11月12日閲覧。
- ^ a b “אזהרת תוכן: נזק בלתי הפיך(内容に関する警告 :回復不能なダメージ)” (ヘブライ語). Haokets (2023年7月4日). 2024年1月6日閲覧。
- ^ a b c d e f “חופש השיסוי” (ヘブライ語). The Seventh Eye (2023年8月7日). 2024年1月7日閲覧。
- ^ נועה לימונה (2023年6月5日). “"נזק בלתי הפיך" הוא פנייה מניפולטיבית לנקודה הפגיעה ביותר שלנו(「回復不能なダメージ」は、私たちの最も弱い部分への操作的な訴えだ)” (ヘブライ語). ハアレツ. 2024年1月7日閲覧。
- ^ a b c d e יעקב גולדברג (2023年6月14日). “"נזק בלתי הפיך": המדרון החלקלק שתחילתו בשמרנות וסופו בקונספירציות(「回復不能なダメージ」:保守主義から始まり陰謀で終わる滑りやすい坂道)” (ヘブライ語). Mako. 2024年1月7日閲覧。
- ^ a b c d Long, Katherine Anne (May 3, 2021). “Amazon overrules employees' calls to stop selling book questioning mainstream treatment for transgender youth” (英語). シアトル・タイムズ. ISSN 0745-9696 October 9, 2021閲覧。
- ^ a b Hall, Harriet (June 17, 2021). “Trans Science: A review of Abigail Shrier's Irreversible Damage: The Transgender Craze Seducing Our Daughters” (英語). Skeptic. December 13, 2023閲覧。
- ^ Carrión, Francisco (2021年9月14日). “"La ley trans española será un desastre para las jóvenes. Son soldados de una completa revolución social"” (スペイン語). El Independiente. 2023年5月29日閲覧。
- ^ “A nemváltoztatástól nem lesznek boldogabbak a lázadó tinédzserek” (ハンガリー語). Híradó. MTVA (Médiaszolgáltatás-támogató és Vagyonkezelő Alap) (2021年2月17日). 2024年1月9日閲覧。
- ^ Harkov, Lahav (2023年5月23日). “Trans activists shut down book launch, sparking free speech debate” (英語). The Jerusalem Post | JPost.com. 2023年5月29日閲覧。
- ^ “Japan firm nixes translation of U.S. book questioning trans surgery” (英語). 共同通信 (2023年12月6日). 2024年1月5日閲覧。
- ^ a b Wakefield, Lily (2021年12月9日). “Right-wing pundit gloats as Amazon lists hateful, transphobic book as ‘LGBT+ best seller’” (英語). PinkNews. 2024年1月7日閲覧。
- ^ a b O'Donovan, Caroline (June 1, 2022). “Amazon employees protest the sale of books they say are anti-trans” (英語). ワシントン・ポスト. ISSN 0190-8286 June 2, 2022閲覧。
- ^ a b c Iati, Marisa (July 16, 2021). “Booksellers association apologizes for 'violent' distribution of 'anti-trans' title” (英語). ワシントン・ポスト. ISSN 0190-8286 July 23, 2021閲覧。
- ^ “Amazon workers quit after company won't ban book that mentions transgender 'craze'” (英語). Washington Examiner (2021年7月14日). 2024年1月7日閲覧。
- ^ a b Kirchick, James (March 31, 2021). “The Disintegration of the ACLU” (英語). Tablet. ISSN 1551-2940 October 17, 2021閲覧。
- ^ Shrier, Abigail (2020年11月15日). “Does the ACLU Want to Ban My Book?”. Wall Street Journal. 2024年1月8日閲覧。
- ^ a b c מאיה בדרשי קירשן (2023年5月29日). “הגעתי עם נוער טרנס להשקת ספר השנאה. לא הורים מודאגים היו שם(私はトランスジェンダーの若者たちとともに、ヘイト本の発表会に行った。心配する両親の姿はなかった)” (ヘブライ語). ハアレツ. 2024年1月7日閲覧。
- ^ לינדה דיין (2023年5月23日). “אירוע בהשתתפות הסופרת הטרנספובית אביגייל שרייר בוטל בגלל "הסתה"(トランスフォビアの作家アビゲイル・シュライアーが参加したイベントが「憎悪扇動」のため中止に)” (ヘブライ語). ハアレツ. 2024年1月7日閲覧。
- ^ a b חיים לוינסון (2023年5月29日). “פעילי הימין באו למלחמה. ואז נער טרנסג'נדר עם כיפה קם לדבר(フードをかぶったトランスジェンダーの若者が立ち上がって演説した)” (ヘブライ語). ハアレツ. 2024年1月7日閲覧。
- ^ לינדה דיין (2023年5月28日). “"אנחנו בני אדם, לא מחלה": מאות מפגינים נגד השקת ספר טרנספובי(「病気ではなく人間」:トランスフォビア本の出版に抗議する数百人の人々)” (ヘブライ語). ハアレツ. 2024年1月7日閲覧。
- ^ אורי סלע (2023年5月29日). “"אנחנו בני אדם - לא מחלה": מאות מפגינים נגד השקת ספר טרנספובי ברמת גן(「私たちは人間であり、病気ではない:ラマト・ガンでトランスフォビア本の出版に反対する数百人の抗議者)” (ヘブライ語). Walla!. 2024年1月7日閲覧。
- ^ a b c 「KADOKAWAがトランスジェンダーめぐる本の刊行中止 批判受け」『朝日新聞デジタル』朝日新聞社、2023年12月5日。2023年12月22日閲覧。
- ^ 西山守 (2023年12月13日). “カドカワ本発売中止も…LGBTQ炎上論争の現在地”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社. 2024年1月2日閲覧。
- ^ a b “KADOKAWA、トランスジェンダーに関する書籍を発行中止 SNSで議論や批判”. ITmedia NEWS. アイティメディア株式会社 (2023年12月6日). 2023年12月8日閲覧。
- ^ 小林えみ (2023年12月4日). “『あの子もトランスジェンダーになった』刊行に関して、KADOKAWAへ「トランスジェンダー差別助長につながる書籍刊行に関しての意見書」を国内外の出版関係者24名による賛同コメントをつけて提出しました。”. 小林えみ - X. 2024年1月2日閲覧。
- ^ 二階堂友紀「KADOKAWAが刊行中止「扇情的なタイトル、意図通じず」 トランスジェンダーに関する翻訳本」『朝日新聞』2024年3月29日、第13版。
- ^ a b “「本も映画も問題作はNG」カドカワ夏野剛社長は”逃げオジ”だった”. 文春オンライン. 文藝春秋 (2023年12月27日). 2024年1月2日閲覧。 ※初出『週刊文春』2023年12月21日号。
- ^ a b c “【核心レポート】KADOKAWA「逃げ腰」の背景にある“独裁者への忖度”というお家芸《“トランスジェンダー本”刊行中止、映画「月」から撤退》夏野社長は直撃に…”. 週刊文春電子版. 文藝春秋 (2023年12月28日). 2024年1月2日閲覧。
- ^ 昼間たかし (2023年12月19日). “発売中止の「トランスジェンダー本」には何が書かれているのか…原書を読んだ記者が思ったこと”. 日刊SPA!. 扶桑社. 2024年1月2日閲覧。
- ^ 百田尚樹 (2023年12月7日). “今、ゲラを読んでます。 出版されるべき本です!”. 百田尚樹 - X. 2023年12月29日閲覧。
- ^ a b 島田洋一「【日本言論の重大危機!】KADOKAWA出版中止本の真実」『月刊Hanada』2024年2月号、飛鳥新社、2023年12月。
- ^ 島田洋一 (2023年12月6日). “私も推薦を頼まれていて他人事ではない。刊行すべき。担当編集者からの私信の一節を私の責任で公開する。 「本当に申し訳ございません。ふがいなく情けないです」”. 島田洋一 - X. 2023年12月29日閲覧。
- ^ 徳永信一 (2023年12月11日). “例えば、僕にも協力の依頼があった。その内容を知って喜んで協力すると約した。どうしてそれがトランスヘイトを煽る意図と繋げられるのか。”. 弁護士 徳永信一 - X. 2023年12月29日閲覧。
- ^ 三枝玄太郎 (2023年12月6日). “実は角川の書籍担当者から「発売になった暁には妨害が予想されるので、SNSで助太刀してほしい」と手紙が届いていた。当方はそのつもりでいたが、先に角川が自主規制してどうする!! 担当者の処遇が心配だ。”. 三枝玄太郎 - X. 2023年12月29日閲覧。
- ^ ナザレンコ・アンドリー (2023年12月7日). “実は、二週間程前に、KADOKAWAの担当者から手紙と本の原稿を頂きました。出版にあたり凄まじい弾圧と妨害が予想されるから、共感頂きましたら、サポートしてほしいと まだ3分の1しか読んでないが、これは間違いなくベストセラーになれた本だ。完読後、一番大事な主張を皆様に紹介する。検閲に負けぬ”. ナザレンコ・アンドリー - X. 2023年12月29日閲覧。
- ^ a b 竹内久美子 (2023年12月4日). “角川書店よりゲラ刷りが送られてきて、内容を知ることができました。 学校、医療、製薬会社などがグルになってつくる女子のトランスジェンダーブーム。 いったん乗ると後戻りは難しく、生殖機能を失うことにも。 背後にいるのはあの勢力。 日本もLGBT法成立により同じ道をたどることになるかも。”. 竹内久美子 - X. 2023年12月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月29日閲覧。
- ^ 島田洋一『腹黒い世界の常識』飛鳥新社、2023年7月。ISBN 978-4-86410-938-3。
- ^ Abigail Shrier (2023年12月6日). “Kadokawa, my Japanese publisher, are very nice people. But by caving to an activist-led campaign against IRREVERSIBLE DAMAGE, they embolden the forces of censorship. America has much to learn from Japan, but we can teach them how to deal with censorious cry-bullies.”. Abigail Shrier - X. 2024年1月2日閲覧。
- ^ 奥原慎平 (2023年12月6日). “KADOKAWA トランスジェンダー書籍 刊行中止に 著者「活動家主導のキャンペーンに屈した」”. 産経ニュース. 産経新聞社. 2024年1月2日閲覧。
- ^ “「検閲を助長」と著者がKADOKAWA批判”. 世界日報 (2023年12月6日). 2023年12月29日閲覧。
- ^ 佐渡道世 (2023年12月9日). “KADOKAWAが出版中止した話題の書籍 著者が伝えたかった「取り返しのつかない傷」とは”. 大紀元時報. 2024年1月2日閲覧。
- ^ 奥原慎平 (2023年12月6日). “KADOKAWAジェンダー本の刊行中止「抗議して委縮させるのは卑怯」 武蔵大の千田有紀教授”. 産経ニュース. 産経新聞社. 2023年12月8日閲覧。
- ^ “産経抄 現代の焚書と損なわれる知る権利”. 産経新聞 (2023年12月9日). 2024年1月2日閲覧。
- ^ 佐々木俊尚 (2023年12月8日). “焚書された本への海外の批判的書評。「本書はシュライアーが不快と危険を感じる世界観に対する中傷をまとめ上げたものにすぎない」。刊行されなければこういう議論もできない”. 佐々木俊尚 - X. 2024年1月2日閲覧。
- ^ 辛淑玉; 北丸雄二「KADOKAWAヘイトビジネス 辛淑玉×北丸雄二【マイノリティ・リポート】」『YouTube』、デモクラシータイムス、2023年12月17日 。2024年1月10日閲覧。