「球果植物」の版間の差分
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}} |
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'''球果植物'''(きゅうかしょくぶつ、'''毬果植物'''、{{Sname|Coniferae}}{{Sfn|神谷|1909|p=143}}{{Sfn|Zimmermann|1959|p=426}})は、[[裸子植物]]の1系統群で、葉として針葉、生殖器官として[[球果]](毬果)を持つ{{Sfn|巌佐ほか|2013|p=1435a}}{{Sfn|田村・堀田|1974|p=207}}{{Sfn|Cantino ''et al.''|2007|p=E20}}。'''球果類'''(きゅうかるい){{Sfn|西田|2017|p=204}}{{Sfn|熊沢|1979|p=31}}{{Sfn|大橋|2015|p=25|ps=「マツ科 PINACEAE」}}{{Sfn|相場|宮本|2017|pp=307–311}}や'''球果植物類'''{{Sfn|矢頭|1964|p=12}}、'''針葉樹類'''(しんようじゅるい){{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=405}}{{Sfn|長谷部|2020|p=199}}{{Sfn|清水|1990|pp=25–30}}とも呼ばれる。かつては'''松柏類'''(しょうはくるい)とも呼ばれた{{Sfn|神谷|1909|p=143}}{{Sfn|熊沢|1979|p=31}}。[[現生裸子植物]]の中で最も優占しているグループである{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=405}}。 |
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'''球果植物'''(きゅうかしょくぶつ、[[学名]]:{{Sname|Pinophyta}}、[[シノニム]]:{{Sname|Coniferophyta}})は、[[裸子植物]]のうち、その[[種子]]が[[松かさ|かさ]]状の構造に包まれるもの('''毬果植物'''類)を指す。'''マツ門'''<ref>{{Cite web|和書 |
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|author = [[米倉浩司]] |
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|coauthors = 梶田忠 |
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|year = 2003- |
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|url = http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_fam_list.php?pass=6 |
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|title = BG Plant分類体系表示 |
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|work = 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList) |
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|publisher = |
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|accessdate = 2014-01-10 |
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}}</ref>ともいう{{疑問点|date=2021年5月|title=脚注に書かれている YList の マツ門 Pinophyta は、球果植物ではなく 裸子植物(もしくは 現生裸子植物4群をまとめた分類群?)を指しているように見えます。}}。[[スギ]]や[[ヒノキ]]、[[マツ]]類といった、いわゆる[[針葉樹]]植物([[コニファー]])はこのグループに含まれる。現生[[種 (分類学)|種]]はすべて[[木本]]である<ref name="Bbiop">{{Cite book|和書 |
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|author = |
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|editor = [[加藤雅啓]]編 |
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|others = 岩槻邦男・馬渡峻輔監修 |
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|title = 植物の多様性と系統 |
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|year = 1997 |
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|publisher = [[裳華房]] |
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|series = バイオディバーシティ・シリーズ |
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|isbn = 4-7853-5825-4 |
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|page = |
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}}</ref>。 |
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ヒノキ類とマツ類の2つの単系統群を含み、グネツム類を除く球果植物は側系統群となる{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=405}}{{Sfn|長谷部|2020|p=199}}<ref name="Earle">{{Cite web|author=Christopher J. Earle|url=https://www.conifers.org/zz/gymnosperms.php|title=Gymnosperms|website=The Gymnosperm Database|accessdate=2023-06-29}}</ref>。グネツム類を含む単系統群([[マツ綱]])に拡張して「針葉樹類」の名を用いることもある{{Sfn|長谷部|2020|p=199}}。 |
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== 形態 == |
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果実は一般に球果と呼ばれる鱗片状の構造が集まったものであり、種子は風によって散布されるために翼を持つものが一般的である。ただし、ヒノキ科やイチイ科の一部は球果を作らないものがある。これは動物に散布してもらうように進化した結果と考えられている。また、マツ科には球果を作るものの動物に散布することを期待して翼を持たないものがある。 |
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Pinus taeda cones.jpg|マツ科マツ属の球果 |
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Manchurian Fir Abies holophylla disintegrating cones.jpg|樹上で分解するマツ科モミ属(''Abies'')の球果 |
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Cryptomeria japonica MHNT.BOT2004.0.64.jpg|ヒノキ科スギ属の球果 |
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Juniperseeds.jpg|ヒノキ科ビャクシン属の球果 |
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Taxus baccata MHNT.jpg|イチイ科イチイ属(''Taxus'')の果実 |
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Torreya nucifera—fruit—at the New York Botanical Garden.jpg|イチイ科カヤ属の果実 |
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本項では、ヒノキ類とマツ類からなる伝統的な側系統群について述べる。 |
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== 生態 == |
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この仲間の樹木の[[根]]は菌類と共生し、菌根を形成するものが多い。菌根の種類がグループによって異なり[[マツ科]]や[[ナンヨウスギ科]]は[[外菌根|外生菌根]]、[[マキ科]]や[[ヒノキ科]]はアーバスキュラー菌根を形成するのが一般的である。樹木にとっては菌根を形成することで、土壌中の栄養分の吸収促進や菌類が作り出す[[抗生物質]]等による病原微生物の駆除等の利点があり、菌類にとっては樹木から[[光合成]]産物の一部を分けてもらうことができる。土壌中には菌根から菌糸を介し同種他個体や他種植物に繋がる広大なネットワークが存在すると考えられている。特に外生菌根を形成する菌類の子実体は人間が[[キノコ]]として認識できる大きさに育つものが多く、中には食用にできるものもある。 |
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Mycorhizes-01.jpg|マツ科トウヒ属の根に形成された菌根 |
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Mycorrhizal network.svg|菌根によるネットワークの模式図 |
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Lachs-Reizker (Lactarius salmonicolor).JPG|マツ科モミ属と共生する''Lactariusu salmonicolor''([[ベニタケ科]])の子実体 |
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== 名称 == |
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山火事に適応し、強熱を浴びたときにだけ球果の開閉をするものが火災が頻発する地域に分布するマツ科とヒノキ科の一部に知られている。このような球果を晩生球果(英:serotinous cone)などと呼ぶ。 |
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学名 {{sname||Coniferae}} は、[[国際藻類・菌類・植物命名規約]] (ICN) における[[特徴名]] ({{lang|en|descriptive name}}) であり{{Sfn|ICN|2018|ps=. Art. 16.1.}}、[[PhyloCode]] における[[クレード名]]としても定義されている{{Sfn|Cantino ''et al.''|2007|p=E20}}<ref>{{Cite web|url=https://www.phyloregnum.org/?term=Coniferae|title=Coniferae|website=RegNum|accessdate=2024-02-04}}</ref><ref>{{Cite book|title=Phylonyms: A Companion to the PhyloCode|chapter=Coniferae|last1=Doyle|first1=J. A.|last2=Cantino|first2=P. D.|last3=Donoghue|first3=M. J.|editor=de Queiroz, K.; Cantino, P. D.; Gauthier, J. A.|publisher=CRC Press|date=2020|place=Boca Raton, FL|pages=271–274}}</ref>。後者では「マツ科とヒノキ類を含む最小クレード」として定義されているため{{Sfn|Cantino ''et al.''|2007|p=E20}}、単系統性維持のためグネツム類を含むことになり、{{Harvtxt|Yang ''et al.''|2022}} における[[マツ綱]] {{Sname||Pinopsida}} と同義となる。{{Sname|Coniferae}} は球果 ({{lang|la|cōnus}}) をつける ({{lang|la|ferō}}) という[[ラテン語]]に由来する<ref>{{Cite web|author=Charlton T. Lewis, Charles Short|url=https://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.04.0059:entry=conifer|title=cōnĭfer , fĕra, fĕrum, adj. conus-fero|website=A Latin Dictionary|accessdate=2024-02-01}}</ref><ref>{{Cite journal|url=https://www.etymonline.com/word/conifer#etymonline_v_18209|title=conifer (n.)|website=Online Etymology Dictionary|accessdate=2024-02-01}}</ref>。 |
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[[現生裸子植物]] {{sname||Acrogymnospermae}} は現在は単系統群であることが分かっているが{{Sfn|Yang ''et al.''|2022|pp=340–350}}{{Sfn|巌佐ほか|2013|p=1435a}}、かつては形態などの情報から被子植物の側系統群であることが示唆されており、現生裸子植物を構成する4群[[イチョウ類]]、[[ソテツ類]]、球果植物(針葉樹類)、そして[[グネツム類]]が、それぞれ独立の[[綱 (分類学)|綱]]、ひいては[[門 (分類学)|門]]として扱われることがあった。その場合、球果植物は'''球果植物綱'''{{Sfn|田村・堀田|1974|p=207}}(針葉樹綱{{Sfn|田村・堀田|1974|p=207}}、球果綱{{Sfn|西田|2017|p=297}}) {{sname||Coniferopsida}}{{Sfn|田村・堀田|1974|p=207}}{{Sfn|西田|2017|p=297}}{{Sfn|清水|1990|pp=25–30}} ({{sname|Coniferae}}{{Sfn|Zimmermann|1959|p=426}})、'''球果植物門'''(針葉樹門) {{Sname||Coniferophyta}}{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=405}}と呼ばれる。また、生殖器官の連続的な変化から化石植物である[[コルダイテス類]]と[[ボルチア類]]は球果植物(針葉樹類)に含まれると考えられることも多く、その場合現生の球果植物は1つの[[目 (分類学)|目]]としてまとめられ、'''針葉樹目'''{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=405}}('''球果植物目'''{{Sfn|清水|2001|p=290}}{{Sfn|田村・堀田|1974|p=207}}){{Sname||Coniderales}}{{Sfn|田村・堀田|1974|p=210}}{{Sfn|矢頭|1964|p=12}}と呼ばれることもあった{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=405}}{{Sfn|田村・堀田|1974|p=210}}。また、現生裸子植物の4群をそれぞれ亜綱の階級に置くこともあり、球果植物は'''マツ亜綱'''と呼ばれたこともある{{Sfn|大橋|2015|p=25|ps=「マツ科 PINACEAE」}}{{Sfn|河原|2014|pp=15–22}}。 |
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Pinus banksiana closed cones.jpg|晩生球果を持つマツ科マツ属の一種 ''Pinus banksiana'' |
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Actinostrobus pyramidalis - Flickr - Kevin Thiele.jpg|晩生球果の性質を持つヒノキ科の''Actinostrobus pyramaidalis''球果 |
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Lodgepole pine Yellowstone 1998 near firehole.jpg|山火事後に一斉に生えてきたマツ科マツ属''Pinus contorta'' |
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== 人間との関係 == |
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== 系統関係 == |
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以下に {{Harvtxt|Yang ''et al.''|2022}} に基づく[[現生裸子植物]] {{sname|Pinophytina}} (={{sname||Acrogymnospermae}}) の系統樹を示す{{Efn|但し、{{Harvtxt|Yang ''et al.''|2022}} では[[イヌガヤ属]] {{Snamei|Cephalotaxus}} が単型科[[イヌガヤ科]] {{sname||Cephalotaxaceae}} としてイチイ科から分離され、イチイ科の姉妹群となっているが、かつての系統解析ではイチイ科に内包されることも多く、本項ではイチイ科に内包して扱う。}}。広義の針葉樹類(マツ綱)に内包されるグネツム類はかつては被子植物との形態の類似性から、被子植物の姉妹群とみなされていた。ヒノキ目をナンヨウスギ目を含む単系統群(ヒノキ類)の意味で用いることもある{{Sfn|長谷部|2020|p=199}}。また、「マツ目」や「マツ類」の名は球果植物を指すこともあった{{Sfn|田村・堀田|1974|p=210}}{{Sfn|熊沢|1979|p=31}}。このように、分類体系によって異なる分類階級に置かれることも多く、各クレード名は別の名前(学名)で呼ばれることも多い。 |
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6[[科 (分類学)|科]]に分かれる説をもとに記述する。研究者によって若干の相違がある。 |
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<!-- * '''球果植物門''' {{Sname||Pinophyta}} --> |
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* '''マツ綱''' (学名 Pinopsida) - マツ目だけから成る単型(モノタイプ)の綱である。 |
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** '''マツ目''' (学名:Pinales) - 以下の科からなる。 |
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また、ヒノキ目に含まれる[[イチイ科]]は典型的な雌性球果を持たないことから、球果植物から除外し、独自の[[イチイ綱]] {{sname||Taxopsida}} や[[イチイ目]] {{sname||Taxales}} に置かれることもあった{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=406}}{{Sfn|清水|2001|p=290}}{{Sfn|小林|1966|pp=107–131}}。 |
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; [[マツ科]] {{Sname||Pinaceae}} |
|||
: 北半球を中心に分布し、現代で最も栄えていると考えられているグループである。[[マツ属]](''Pinus'')、[[カラマツ属]](''Larix'')、[[モミ属]](''Abies'')、[[トウヒ属]](''Picea'')、[[ツガ属]](''Tsuga'')などを含む。菌根は一般に外生で共生した菌類の子実体はキノコとして食用にできる種類も多数知られている。 |
|||
: マツ科の樹木は日本にも多くが分布しなじみ深いものが多い。荒れ地に育つ[[アカマツ]](''Pinus densiflora'')、北国や山岳地帯に分布する[[カラマツ]](''Larix kempferi'')、[[トドマツ]](''Abies sachaliensis'')、[[エゾマツ]](''Picea jezoensis'')、温帯に分布する[[ツガ]](''Tsuga sieboldii'')などはいずれもマツ科に含まれる。林業用として重要な樹木が多く含まれ、欧米諸国を中心に広く利用されている。天然分布しない南半球の国々でもマツ科樹木が移入され林業に用いられているところがある([[ニュージーランド]]における[[ラジアータパイン|ラジアータマツ]](''Pinus radiata'')が有名)。日本でもヒノキ科の[[スギ]]・[[ヒノキ]]に次ぐ重要樹種として北部や山岳地帯を中心にカラマツ、また北海道を中心にトドマツが植栽されている。アカマツもかつてはよく植栽されたが致命的な伝染病である[[マツ材線虫病]](マツ枯れ、pine wilt)の国内での流行に伴い新規の植栽面積は激減した。 |
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; [[ナンヨウスギ科]] {{Sname||Araucariaceae}} |
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: 次のマキ科と共に南半球で進化し繁栄しているグループである。日本に分布している種類は一種類もなく比較的なじみが薄い。菌根は一般に外生と言われる。 |
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; [[マキ科]] (イヌマキ科){{Sname||Podocarpaceae}} |
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: ナンヨウスギ科と共に南半球で進化し繁栄しているグループである。菌根は一般にアーバスキュラー型 |
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: 日本は分布の北限にあたり[[イヌマキ]]と[[ナギ]]の2種のみが分布する。マキ科の一部をフィロクラドゥス科(Phyllocladaceae)として独立させて考える研究者もいる。 |
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; [[コウヤマキ科]] {{Sname||Sciadopityaceae}} |
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: コウヤマキ属のみからなる単型の科である。コウヤマキ属も[[コウヤマキ]]だけの単型の属であるためコウヤマキ科には1種しか含まれていない。 |
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; [[ヒノキ科]] {{Sname||Cupressaceae}} |
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: 温帯を中心に両半球に分布するグループ。比較的古くから存在し遺存的なグループであると見られており、ヒノキ科の下位分類は単型の亜科や属となるものが多い。菌根は一般にアーバスキュラー型。 |
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: 北海道と沖縄を除き日本で最も身近な針葉樹である[[スギ]]と[[ヒノキ]]が含まれる。軟らかく加工しやすい木質、真っ直ぐ伸びて柱にして歩留まりのいい樹形、比較的腐りにくい耐久性などが評価され国内では昔から盛んに植林されてきた。 |
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; [[イチイ科]] {{Sname||Taxaceae}} |
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: イチイ、イヌガヤ、カヤなどが含まれる。一部を[[イヌガヤ科]]として独立させて考える研究者もいる。 |
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{{clade |
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== マツ目の系統分類 == |
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|label1=[[現生裸子植物]] |
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[[ファイル:Pinophyta.png|thumb|250px|Phylogeny of the Pinophyta, based on genetic analysis by Farjon (2003), Quinn & Price (2003) and Price (2003).]] |
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|sublabel1={{small|{{Sname||Pinophytina}}}} |
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* 英語版より<ref>A. Farjon and C. J. Quinn & R. A. Price in the Proceedings of the Fourth International Conifer Conference, Acta Horticulturae 615 (2003)</ref>。 |
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{{clade |
|1={{clade |
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|1={{clade |
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|label1=[[ソテツ類]] |
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|2={{clade |
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|sublabel1={{small|{{sname||Cycadopsida}}}} |
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|1=[[ソテツ目]] {{small|{{sname||Cycadales}}}} |
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|label2=[[イチョウ類]] |
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|sublabel2={{small|{{sname||Ginkgopsida}}}} |
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|2=[[イチョウ目]] {{small|{{sname||Ginkgoales}}}} |
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}} |
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|label2='''[[マツ綱]]''' |
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|sublabel2={{small|{{sname||Pinopsida}}}} |
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|2={{clade |
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|1={{clade |
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|label1=[[グネツム類]] |
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|sublabel1={{small|{{sname||Gnetidae}}}} |
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|1={{clade |
|1={{clade |
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|1=[[マオウ科]] {{small|{{sname||Ephedraceae}}}} |
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|2={{clade |
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|1=[[ウェルウィッチア科]] {{small|{{sname||Welwitschiaceae}}}} |
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}} |
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|2=[[マオウ科]] {{small|{{sname||Gnetaceae}}}} |
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}} |
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}} |
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|label2='''[[マツ類]]''' |
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|sublabel2={{small|{{sname||Pinidae}}}} |
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|2=[[マツ目]] {{small|{{sname||Pinales}}}}|barbegin2=green |
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}} |
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|grouplabel2=従来の "'''球果植物'''"<br />"{{sname||Coniferae}}" |
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|label2='''[[ヒノキ類]]''' |
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|sublabel2={{small|{{sname||Cupressidae}}}} |
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|2={{clade |
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|label1=[[ヒノキ目]] |
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|sublabel1={{small|{{sname||Cupressales}}}} |
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|1={{clade |
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|1=[[コウヤマキ科]] {{small|{{sname||Sciadopityaceae}}}}|bar1=green |
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|2={{clade |
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|1=[[ヒノキ科]] {{small|{{sname||Cupressaceae}}}}|bar1=green |
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|2=[[イチイ科]] {{small|{{sname||Taxaceae}}}}|bar2=green |
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}} |
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}} |
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|label2=[[ナンヨウスギ目]] |
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|sublabel2={{small|{{sname||Araucariales}}}} |
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|2={{clade |
|2={{clade |
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|1=[[ナンヨウスギ科]] {{small|{{sname||Araucariaceae}}}}|bar1=green |
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|2=[[マキ科]] {{small|{{sname||Podocarpaceae}}}}|barend2=green |
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|2={{clade |
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}} |
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|1=ヒノキ科 {{Sname|Cupressaceae}} |
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}} |
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}} |
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|1=イヌガヤ科 {{Sname|Cephalotaxaceae}} |
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}} |
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|2=イチイ科 {{Sname|Taxaceae}} |
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}} |
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}} |
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}} |
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また、雌性胞子嚢穂の形態により、古くから化石裸子植物[[ボルチア類]]との類縁関係が示唆されており、[[ボルチア目]] {{sname||Voltziales}} を球果植物の1目として含むことも多い{{Sfn|Zimmermann|1959|p=426}}。そしてその更に祖型であると考えられている[[コルダイテス類]]も球果植物に含めて扱い、[[コルダボク目]]とすることもあった{{Sfn|田村・堀田|1974|p=209}}。[[分子系統解析]]により[[現生裸子植物]]の単系統性が支持されて以降、その情報により補正した化石植物を含む系統解析では、ボルチア類は現生裸子植物の姉妹群に、コルダイテス類はさらにその2群を合わせたクレードの姉妹群となるという解析結果もある{{Sfn|Shi ''et al.''|2021|pp=223–226}}。 |
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== 形態 == |
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[[File:Pinus sylvestris - Köhler–s Medizinal-Pflanzen-106.jpg|thumb|350px|[[ヨーロッパアカマツ]] {{Snamei|Pinus sylvestris}}]] |
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すべて[[木本]]である{{Sfn|田村・堀田|1974|p=207}}{{Sfn|西田|1997|p=222}}<ref name="Bbiop">{{Cite book|和書|author = |editor = [[加藤雅啓]]編|others = 岩槻邦男・馬渡峻輔監修|title = 植物の多様性と系統|year = 1997|publisher = [[裳華房]]|series = バイオディバーシティ・シリーズ|isbn = 4-7853-5825-4|page = }}</ref>。[[針葉樹]](しんようじゅ、{{lang|en|needle-leaved tree, acicular tree}})は普通葉の形状から[[木本]]植物を区分したうちの1つであり、基本的には球果植物はすべて針葉樹であるとみなされる{{Sfn|清水|2001|pp=23–24}}。[[ナギ]] {{snamei||Nageia nagi}} および[[イヌマキ]] {{snamei||Podocarpus macrophyllus}}([[マキ科]])は広葉をもつが、球果植物であるため[[広葉樹]](こうようじゅ、{{lang|ne|broad-leaved tree, hardwood}})ではなく、鱗状葉を持つ[[ヒノキ]]や[[イブキ]]([[ヒノキ科]])、針状葉を持つ[[マツ科]]や旧[[スギ科]]とともに針葉樹として扱われる{{Sfn|清水|2001|pp=23–24}}。 |
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[[共有派生形質]]は針葉、[[前胚]]の形成、[[花粉管受精]]、[[葉緑体ゲノム]]における[[逆位反復配列]]の顕著な短縮が挙げられている{{Sfn|Cantino ''et al.''|2007|p=E20}}{{Sfn|渡辺・平尾|2014|pp=66–72}}。 |
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=== 葉 === |
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現生の球果植物の[[普通葉]]は全て[[複葉|単葉]]で{{Sfn|長谷部|2020|p=199}}{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=413}}、多くは細くて先細りとなるため、'''針葉'''(しんよう、{{lang|en|needles}})と表現され{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=413}}、[[共有派生形質]]であると考えられている{{Sfn|Cantino ''et al.''|2007|p=E20}}。{{Harvtxt|Laubenfels|1953}} は現生球果植物の普通葉を、針形葉、線形葉、鱗形葉にナギなどの幅広い葉を加えた4つのタイプに分類した{{Sfn|岩瀬|大野|2004|p=74}}{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=414}}。 |
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針状で扁平ではないものを'''{{vanchor|針形葉}}'''(しんけいよう、{{small|または}}針状葉、針葉、{{lang|en|needle leaf}})という{{Sfn|岩瀬|大野|2004|p=74}}{{Sfn|清水|2001|p=120}}{{Sfn|原|1994|p=42}}。[[スギ]]は針形葉が螺旋状につき、葉の基部が小枝と一体化している{{Sfn|岩瀬|大野|2004|p=74}}。[[マツ属]] {{snamei||Pinus}} では[[光合成]]を担う針形葉は短枝にのみ生じ、分類群ごとに短枝1本当たり1–5本の葉が一定の数ずつつく{{Sfn|岩瀬|大野|2004|p=74}}{{Sfn|長谷部|2020|p=209}}{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|pp=413–414}}。[[クロマツ]]では短枝に2本の針形葉、[[ダイオウマツ]]は短枝に3本の針形葉、[[ゴヨウマツ]]は短枝に5本の針形葉をつける{{Sfn|岩瀬|大野|2004|p=74}}。この短枝は俗に「松葉」と呼ばれる{{Sfn|長谷部|2020|p=209}}。 |
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幅が狭く扁平なものを'''{{Vanchor|線形葉}}'''(せんけいよう、{{small|または}}線状葉、線葉)という{{Sfn|岩瀬|大野|2004|p=75}}。中脈が明らかで、背軸面には[[気孔]]が'''[[気孔帯]]'''がみられることが多い{{Sfn|岩瀬|大野|2004|p=75}}。[[モミ]]、[[ツガ]]([[マツ科]])、[[カヤ]]、[[イヌガヤ]]([[イチイ科]])などには2本の気孔帯が認められる{{Sfn|岩瀬|大野|2004|p=75}}。[[イヌマキ]]([[マキ科]])の線形葉は中脈が顕著である{{Sfn|岩瀬|大野|2004|p=75}}。[[コウヤマキ]]([[コウヤマキ科]])の線形葉は短枝につく2本の葉が[[合着]]したものである{{Sfn|岩瀬|大野|2004|p=75}}。 |
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扁平な葉が十字対生して茎を包んでいるものを'''{{Vanchor|鱗形葉}}'''(りんけいよう、{{small|または}}鱗状葉、鱗葉、{{lang|en|scale like leaf}})と呼ぶ{{Sfn|岩瀬|大野|2004|p=76}}{{Sfn|清水|2001|p=144}}{{Efn|[[葉#鱗片葉|鱗片葉]]とは異なる{{Sfn|清水|2001|p=144}}}}。[[ヒノキ科]]の普通葉に多く{{Sfn|清水|2001|p=144}}、[[ヒノキ]]や[[サワラ (植物)|サワラ]]、[[アスナロ]]や[[コノテガシワ]]に見られる{{Sfn|岩瀬|大野|2004|p=76}}。[[ビャクシン]]の葉は普通、鱗形葉であるが、ときどき針形葉を交じる{{Sfn|岩瀬|大野|2004|p=76}}。 |
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[[ナギモドキ属]] {{snamei||Agathis}} や[[ナンヨウスギ属]] {{snamei||Araucaria}}([[ナンヨウスギ科]])、[[ナギ属]] {{snamei||Nageia}}([[マキ科]])では著しく幅の広い葉を持つ{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|pp=413–414}}。{{snamei||Nageia wallichiana}} では、長さ12.5 cm、幅3.5 cm に達する大きな葉を持つ{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|pp=413–414}}。 |
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ヒノキ科以外の多くの球果植物の葉は長枝に発生し、[[螺旋葉序]]または[[互生葉序]]となる{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=413}}。[[ヒノキ科]]では全て[[十字対生]]か[[輪生葉序]]である{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=413}}。 |
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|total_width=1000 |
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|image1=Pinus Canariensis.TIF |
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|caption1=[[カナリーマツ]] {{Snamei||Pinus canariensis}}(マツ亜科)のシュート。1つの短枝に二葉(針形葉)がつく。 |
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|image2=Tsuga canadensis 15-p.bot-tsuga.cana-45.jpg |
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|caption2=[[カナダツガ]] {{Snamei||Tsuga canadensis}}(モミ亜科)のシュート。線形葉が並ぶ。 |
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|image3=Thujopsis dolabrata kz03.jpg |
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|caption3=[[アスナロ]] {{snamei||Thujopsis dolabrata}}(ヒノキ亜科)のシュート。鱗形葉が覆う。 |
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|image4=Agathis philippinensis - young tree.JPG |
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|caption4={{snamei||Agathis dammara}}([[ナンヨウスギ科]])のシュート。幅広い葉を持つ。 |
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=== 茎 === |
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[[茎]]はよく[[分枝 (生物学)|分枝]]し、多くの部分では多少とも[[節間]]が伸長する{{Sfn|田村・堀田|1974|p=207}}。 |
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球果植物の[[維管束]]は[[真正中心柱]]で、[[一次木部]]は[[内原型]]である{{Sfn|田村・堀田|1974|p=207}}{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=423}}。[[材]]は[[硬木質]]であり、[[二次成長]]によって大量の緻密な[[二次木部]]を形成し、[[柔組織]]は少ない{{Sfn|田村・堀田|1974|p=207}}。木部はほとんど[[仮道管]]からなり、放射方向の壁に普通1列(から数列)の円形の'''[[有縁膜孔]]'''(ゆうえんまくこう、{{lang|en|bordered pit}})を持つ{{Sfn|田村・堀田|1974|p=207}}。[[放射組織]]は狭く、多くは1細胞列である{{Sfn|田村・堀田|1974|p=207}}。 |
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マツ科のトウヒ属、モミ属、トガサワラ属などでは成長期に生じた針葉の大部分は[[腋芽]]を欠く{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|pp=413–414}}。これらの球果植物では[[頂芽]]のすぐ下にある[[偽輪生]]につく少数の腋芽から分枝が起こる{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|pp=413–414}}。ヒノキ科では平らな細かい枝系を発達させる{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|pp=413–414}}。マツ科の[[カラマツ属]] {{snamei||Larix}}、[[ヒマラヤスギ属]] {{Snamei||Cedrus}}、[[イヌカラマツ属]] {{snamei||Pseudolarix}} では長枝だと同じく短い枝にも普通葉を生じる{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|pp=413–414}}。[[マツ属]] {{snamei||Pinus}} では[[シュート (植物)|シュート]]に長枝と短枝が分化し、[[光合成]]を担う針形葉は短枝にのみ生じる{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|pp=413–414}}。 |
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茎や葉に'''[[樹脂道]]'''が発達する{{Sfn|長谷部|2020|p=210}}。これはグネツム類には見られない{{Sfn|長谷部|2020|p=210}}。 |
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=== 生殖器官 === |
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{{See|球果}} |
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球果植物のうち、[[マツ目]]および[[ヒノキ類]]の[[ナンヨウスギ科]]、[[コウヤマキ科]]、[[ヒノキ科]]は典型的な'''[[球果]]'''(毬果、{{lang|en|cone}}、雌性球果)とよばれる雌性[[胞子嚢穂]]を形成する{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=429}}{{Sfn|巌佐ほか|2013|p=308b}}。受粉期の球果は'''雌球花'''(雌性球花)と呼ばれる{{Sfn|熊沢|1979|p=33}}。雌性球果は[[種鱗]]と[[苞鱗]]からなる鱗片([[果鱗]]、種鱗複合体)を単位とする{{Sfn|長谷部|2020|p=200}}{{Sfn|清水|2001|p=108}}[[複合胞子嚢穂]]であると考えられている{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=429}}。球果植物のすべてが穂状の球果を作るわけではない。[[イチイ科]]や[[マキ科]]は球果状の雌性胞子嚢穂は持たず、'''仮種皮果'''(かしゅひか、{{lang|en|arillocarpium}})を形成する{{Sfn|長谷部|2020|p=203}}{{Sfn|清水|2001|p=110}}。[[イヌガヤ科]]の種子は種皮の外層が肥厚して肉質となり、核果状の'''種子果'''(しゅしか、{{lang|en|seminicarpium}})を作る{{Sfn|長谷部|2020|p=203}}{{Sfn|清水|2001|p=110}}。 |
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球果植物の小胞子嚢性(雄性)の生殖器官も穂状となり、'''[[雄球花]]'''{{Sfn|熊沢|1979|p=33}}(雄性球果{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=426}}、雄性球花、{{lang|en|pollen cone}}{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=426}})と呼ばれる。普通、雄球花は[[単体胞子嚢穂]]であるが{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=429}}{{Sfn|熊沢|1979|p=31}}、イチイ科では複合胞子嚢穂を作る{{Sfn|熊沢|1979|p=34}}{{Sfn|Dörken|Nimsch|2023|pp=149–156}}。単体胞子嚢性の雄球花は花粉を作る[[小胞子嚢]]を背軸側に1つ備えた小胞子葉を[[螺旋葉序|螺旋配列]]する穂状の生殖シュートからなる{{Sfn|熊沢|1979|p=31}}。 |
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球果植物の大部分は[[雌雄同株]]で、同一個体に雌性球果と雄性球果を生じるが、[[イチイ科]]、[[ナンヨウスギ科]]、[[マキ属]]、[[イヌガヤ属]]、[[ヒノキ科]]の一部では[[雌雄異株]]のものも見られる{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=425}}{{Sfn|矢頭|1964|p=12}}。 |
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== 生態 == |
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球果植物には長命な[[先駆種]]という生き方を行うものが多く、寒冷・乾燥・貧栄養という環境下での競争では被子植物を上回る{{Sfn|相場|宮本|2017|pp=307–311}}。球果植物は仮道管しか持たないが、乾燥・寒冷条件では、直径が小さいため[[エンボリズム]]による通水障害が起こりにくく、[[道管]]よりも有利だと考えられている{{Sfn|相場|宮本|2017|pp=307–311}}。実際、[[乾燥気候]]や[[海岸]]などの生理的な乾燥環境にも適応している{{Sfn|西田|2017|p=206}}。また、送受粉は[[風媒]]により行い、[[送粉者]]が少ない[[冷帯]]には[[針葉樹林]]が多くを占める{{Sfn|相場|宮本|2017|pp=307–311}}。 |
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[[File:Prometheus tree1.jpg|thumb|200px|最長寿とされる[[ネバダイガゴヨウマツ]] {{Snamei||Pinus longaeva}} の切り株。[[プロメテウス (木)|プロメテウス]]という愛称で知られる。]] |
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気温や土壌水分・養分条件が中庸な南半球の温帯や[[北アメリカ]]西部などの地域では、長命な巨木を作るものが多い{{Sfn|相場|宮本|2017|pp=307–311}}。これまでに知られる最長寿の樹種は球果植物である{{Sfn|相場|宮本|2017|pp=307–311}}{{Sfn|勝木|2019|pp=239–247}}。これまで年輪が計測された中で最も長寿な種は5060年生きた北アメリカ西部の乾燥した[[亜高山帯]]に生息する[[ネバダイガゴヨウマツ]] {{Snamei||Pinus longaeva}} で[[プロメテウス (木)|プロメテウス]]の愛称で知られる。2番目に長寿なのは3622年の[[南アメリカ]]の温帯多雨林に生息する[[パタゴニアヒバ]] {{snamei||Fitzroya cupressoides}}、3位は3266年の北アメリカ西部温帯林に生息する[[セコイアデンドロン]] {{snamei||Sequoiadendron giganteum}} である{{Sfn|相場|宮本|2017|pp=307–311}}{{Sfn|勝木|2019|pp=239–247}}。 |
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現存する最大の樹木である個体が知られる{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=410}}。最も樹高が高い樹木は、北アメリカ西部の温帯林に生育する115.9 m の[[セコイア]] {{snamei||Sequoia sempervirens}} であり、次いで100.3 m の[[ベイマツ]] {{Snamei||Pseudotsuga menziesii}} が知られている{{Sfn|相場|宮本|2017|pp=307–311}}。幹の体積では、[[セコイアデンドロン]]が最も大きく、次いで[[セコイア]]、そして3番目にナギモドキ属の {{snamei||Agathis australis}} が大きい{{Sfn|相場|宮本|2017|pp=307–311}}。 |
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[[File:Mycorhizes-01.jpg|thumb|250px|[[カナダトウヒ]] {{snamei||Picea glauca}} の[[外生菌根]]]] |
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球果植物の多くは[[アーバスキュラー菌根菌]] (AM) と共生している{{Sfn|Wang|Qiu|2006|pp=299–363}}。[[イチイ科]]や旧[[スギ科]]ではアーバスキュラー菌根菌のみが知られているが、[[マツ科]]の多くでは根系に[[外生菌根]] (ECM) を形成する{{Sfn|相場|宮本|2017|pp=307–311}}{{Sfn|Wang|Qiu|2006|pp=299–363}}。ほかにヒノキ亜科でも AM と ECM の共存、マツ科やナンヨウスギ科の一部では[[内外生菌根]]の存在も確認されている{{Sfn|Wang|Qiu|2006|pp=299–363}}。[[ナンヨウスギ目]]と[[コウヤマキ科]]では[[根系]]に[[根粒]]様構造 ({{lang|en|nodule-like structure}}) を形成する{{Sfn|相場|宮本|2017|pp=307–311}}{{Sfn|潮|2017|pp=339–345}}。ナンヨウスギ目が持つ根粒様構造は[[窒素固定]]にはほぼ関与していない{{Sfn|潮|2017|pp=339–345}}。 |
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[[File:Parasitaxus usta imported from iNaturalist photo 55058052 on 1 December 2019.jpg|thumb|150px|寄生性裸子植物、[[パラシタクスス・ウスタ]] {{snamei||Parasitaxus usta}}。]] |
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[[ヌマスギ]] {{snamei||Taxodium distichum}} は[[沼沢地]]に生えるが、完全な水生のものは知られていない{{Sfn|西田|1997|p=222}}。ただ1種のみ[[寄生性]]のものが知られており、[[ニューカレドニア]]から見つかるマキ科の[[パラシタクスス・ウスタ]] {{snamei||Parasitaxus usta}} はマキ科の[[ファルカチフォリウム・タクソイデス]] {{snamei||Falcatifolium taxoides}} の根に寄生する{{Sfn|西田|1997|p=222}}。[[葉緑体]]を失い紫色をしている{{Sfn|西田|1997|p=222}}。 |
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== 分布 == |
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球果植物は全世界に分布するが{{Sfn|清水|1990|pp=25–30}}、各系統は特徴的な分布を示す{{Sfn|西田|2017|p=206}}。南アメリカ中部、オーストラリア中・西部、インド中・南部、アフリカ西部などには分布しない{{Sfn|清水|1990|pp=25–30}}。 |
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マツ科は[[新第三紀]]の寒冷化に伴い[[北半球]]で多様化し、現在は多くが北半球に見られる{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=409}}{{Sfn|西田|2017|p=206}}。分布は連続的で、[[ユーラシア大陸]]および[[北アメリカ大陸]]のほぼ全域に分布する{{Sfn|清水|1990|pp=25–30}}。分布の最南端は[[東南アジア]]の[[島嶼]]部で、[[マレー半島]]を経由し、[[スマトラ島]]、[[ジャワ島]]、[[ボルネオ島]]に及ぶが[[セレベス島]]や[[ニューギニア島]]には分布しない{{Sfn|清水|1990|pp=25–30}}。 |
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それに対し、[[ナンヨウスギ目]]の[[ナンヨウスギ科]]や起源の古い[[マキ科]]は南半球にのみ生息する{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=409}}{{Sfn|西田|2017|p=206}}。ナンヨウスギ科の分布は不連続で、[[ニュージーランド]][[北島 (ニュージーランド)|北島]]、[[オーストラリア]]北東部、[[ブラジル]]、[[チリ]]に[[隔離分布]]する{{Sfn|清水|1990|pp=25–30}}。最北端は[[東南アジア]]島嶼部で、[[ニューギニア島]]、[[セレベス島]]、[[スマトラ島]]から[[ミンダナオ島]]、そして[[マレー半島]]にも及ぶ{{Sfn|清水|1990|pp=25–30}}。マキ科の分布も不連続で、最北端は[[日本列島]]である{{Sfn|清水|1990|pp=25–30}}。[[フェロスファエラ属]] {{snamei||Pherosphaera}} はオーストラリアの[[ニューサウスウェールズ州]]および[[タスマニア]]、[[エダハマキ属]] {{snamei||Phyllocladus}} は[[フィリピン]]、ボルネオ島、[[モルッカ諸島]]、タスマニア、ニュージーランドに不連続に分布する{{Sfn|清水|1990|pp=25–30}}。 |
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ヒノキ科は全世界に広く分布する{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=410}}{{Sfn|清水|1990|pp=25–30}}。[[ヒノキ亜科]]は北半球に、[[カリトリス亜科]]は南半球に両極分布する{{Sfn|清水|1990|pp=25–30}}。[[セコイア亜科]]では、北アメリカ大陸の西海岸にのみ残存する[[セコイア]]および[[セコイアデンドロン]]と、[[中国]]の[[四川省]]にのみ残存する[[メタセコイア]]の3種からなり、遺存的な分布を示す{{Sfn|ギフォード|フォスター|2002|p=410}}。[[スギ亜科]]も同様で、[[スギ]]と[[スイショウ]]は[[東アジア]]に、[[ヌマスギ属]]は北アメリカに分布する{{Sfn|清水|1990|pp=25–30}}。[[タスマニアスギ亜科]]は[[タスマニア]]にのみ分布する{{Sfn|清水|1990|pp=25–30}}。 |
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[[コウヤマキ科]]は日本[[固有種|固有]]の科で、[[福島県]]から[[九州]]まで不連続に分布する{{Sfn|清水|1990|pp=25–30}}。 |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
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{{脚注ヘルプ}} |
{{脚注ヘルプ}} |
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{{Reflist}} |
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=== 注釈 === |
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=== 出典 === |
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{{Reflist|2}} |
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== 参考文献 == |
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* {{cite book|first1=Philip D.|last1=Cantino|first2=James A.|last2=Doyle|first3=Sean W.|last3=Graham|first4=Walter S.|last4=Judd|first5=Richard G.|last5=Olmstead|first6=Douglas E.|last6=Soltis|first7=Pamela S.|last7=Soltis|first8=Michael J.|last8=Donoghue|title=Towards a phylogenetic nomenclature of ''Tracheophyta''|journal=Taxon|date=2007|volume=56|issue=3|pages=E1–E44|ref={{SfnRef|Cantino ''et al.''|2007}} }} |
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2024年2月6日 (火) 13:44時点における版
球果植物 | ||||||||||||||||||
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地質時代 | ||||||||||||||||||
石炭紀 - 現代 | ||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||
"Coniferae" A. L. Jussieu (1789) | ||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||
conifer | ||||||||||||||||||
科 | ||||||||||||||||||
球果植物(きゅうかしょくぶつ、毬果植物、Coniferae[1][2])は、裸子植物の1系統群で、葉として針葉、生殖器官として球果(毬果)を持つ[3][4][5]。球果類(きゅうかるい)[6][7][8][9]や球果植物類[10]、針葉樹類(しんようじゅるい)[11][12][13]とも呼ばれる。かつては松柏類(しょうはくるい)とも呼ばれた[1][7]。現生裸子植物の中で最も優占しているグループである[11]。
ヒノキ類とマツ類の2つの単系統群を含み、グネツム類を除く球果植物は側系統群となる[11][12][14]。グネツム類を含む単系統群(マツ綱)に拡張して「針葉樹類」の名を用いることもある[12]。
本項では、ヒノキ類とマツ類からなる伝統的な側系統群について述べる。
名称
学名 Coniferae は、国際藻類・菌類・植物命名規約 (ICN) における特徴名 (descriptive name) であり[15]、PhyloCode におけるクレード名としても定義されている[5][16][17]。後者では「マツ科とヒノキ類を含む最小クレード」として定義されているため[5]、単系統性維持のためグネツム類を含むことになり、Yang et al. (2022) におけるマツ綱 Pinopsida と同義となる。Coniferae は球果 (cōnus) をつける (ferō) というラテン語に由来する[18][19]。
現生裸子植物 Acrogymnospermae は現在は単系統群であることが分かっているが[20][3]、かつては形態などの情報から被子植物の側系統群であることが示唆されており、現生裸子植物を構成する4群イチョウ類、ソテツ類、球果植物(針葉樹類)、そしてグネツム類が、それぞれ独立の綱、ひいては門として扱われることがあった。その場合、球果植物は球果植物綱[4](針葉樹綱[4]、球果綱[21]) Coniferopsida[4][21][13] (Coniferae[2])、球果植物門(針葉樹門) Coniferophyta[11]と呼ばれる。また、生殖器官の連続的な変化から化石植物であるコルダイテス類とボルチア類は球果植物(針葉樹類)に含まれると考えられることも多く、その場合現生の球果植物は1つの目としてまとめられ、針葉樹目[11](球果植物目[22][4])Coniderales[23][10]と呼ばれることもあった[11][23]。また、現生裸子植物の4群をそれぞれ亜綱の階級に置くこともあり、球果植物はマツ亜綱と呼ばれたこともある[8][24]。
系統関係
以下に Yang et al. (2022) に基づく現生裸子植物 Pinophytina (=Acrogymnospermae) の系統樹を示す[注釈 1]。広義の針葉樹類(マツ綱)に内包されるグネツム類はかつては被子植物との形態の類似性から、被子植物の姉妹群とみなされていた。ヒノキ目をナンヨウスギ目を含む単系統群(ヒノキ類)の意味で用いることもある[12]。また、「マツ目」や「マツ類」の名は球果植物を指すこともあった[23][7]。このように、分類体系によって異なる分類階級に置かれることも多く、各クレード名は別の名前(学名)で呼ばれることも多い。
また、ヒノキ目に含まれるイチイ科は典型的な雌性球果を持たないことから、球果植物から除外し、独自のイチイ綱 Taxopsida やイチイ目 Taxales に置かれることもあった[25][22][26]。
現生裸子植物 |
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Pinophytina |
また、雌性胞子嚢穂の形態により、古くから化石裸子植物ボルチア類との類縁関係が示唆されており、ボルチア目 Voltziales を球果植物の1目として含むことも多い[2]。そしてその更に祖型であると考えられているコルダイテス類も球果植物に含めて扱い、コルダボク目とすることもあった[27]。分子系統解析により現生裸子植物の単系統性が支持されて以降、その情報により補正した化石植物を含む系統解析では、ボルチア類は現生裸子植物の姉妹群に、コルダイテス類はさらにその2群を合わせたクレードの姉妹群となるという解析結果もある[28]。
形態
すべて木本である[4][29][30]。針葉樹(しんようじゅ、needle-leaved tree, acicular tree)は普通葉の形状から木本植物を区分したうちの1つであり、基本的には球果植物はすべて針葉樹であるとみなされる[31]。ナギ Nageia nagi およびイヌマキ Podocarpus macrophyllus(マキ科)は広葉をもつが、球果植物であるため広葉樹(こうようじゅ、broad-leaved tree, hardwood)ではなく、鱗状葉を持つヒノキやイブキ(ヒノキ科)、針状葉を持つマツ科や旧スギ科とともに針葉樹として扱われる[31]。
共有派生形質は針葉、前胚の形成、花粉管受精、葉緑体ゲノムにおける逆位反復配列の顕著な短縮が挙げられている[5][32]。
葉
現生の球果植物の普通葉は全て単葉で[12][33]、多くは細くて先細りとなるため、針葉(しんよう、needles)と表現され[33]、共有派生形質であると考えられている[5]。Laubenfels (1953) は現生球果植物の普通葉を、針形葉、線形葉、鱗形葉にナギなどの幅広い葉を加えた4つのタイプに分類した[34][35]。
針状で扁平ではないものを針形葉(しんけいよう、または針状葉、針葉、needle leaf)という[34][36][37]。スギは針形葉が螺旋状につき、葉の基部が小枝と一体化している[34]。マツ属 Pinus では光合成を担う針形葉は短枝にのみ生じ、分類群ごとに短枝1本当たり1–5本の葉が一定の数ずつつく[34][38][39]。クロマツでは短枝に2本の針形葉、ダイオウマツは短枝に3本の針形葉、ゴヨウマツは短枝に5本の針形葉をつける[34]。この短枝は俗に「松葉」と呼ばれる[38]。
幅が狭く扁平なものを線形葉(せんけいよう、または線状葉、線葉)という[40]。中脈が明らかで、背軸面には気孔が気孔帯がみられることが多い[40]。モミ、ツガ(マツ科)、カヤ、イヌガヤ(イチイ科)などには2本の気孔帯が認められる[40]。イヌマキ(マキ科)の線形葉は中脈が顕著である[40]。コウヤマキ(コウヤマキ科)の線形葉は短枝につく2本の葉が合着したものである[40]。
扁平な葉が十字対生して茎を包んでいるものを鱗形葉(りんけいよう、または鱗状葉、鱗葉、scale like leaf)と呼ぶ[41][42][注釈 2]。ヒノキ科の普通葉に多く[42]、ヒノキやサワラ、アスナロやコノテガシワに見られる[41]。ビャクシンの葉は普通、鱗形葉であるが、ときどき針形葉を交じる[41]。
ナギモドキ属 Agathis やナンヨウスギ属 Araucaria(ナンヨウスギ科)、ナギ属 Nageia(マキ科)では著しく幅の広い葉を持つ[39]。Nageia wallichiana では、長さ12.5 cm、幅3.5 cm に達する大きな葉を持つ[39]。
ヒノキ科以外の多くの球果植物の葉は長枝に発生し、螺旋葉序または互生葉序となる[33]。ヒノキ科では全て十字対生か輪生葉序である[33]。
茎
茎はよく分枝し、多くの部分では多少とも節間が伸長する[4]。
球果植物の維管束は真正中心柱で、一次木部は内原型である[4][43]。材は硬木質であり、二次成長によって大量の緻密な二次木部を形成し、柔組織は少ない[4]。木部はほとんど仮道管からなり、放射方向の壁に普通1列(から数列)の円形の有縁膜孔(ゆうえんまくこう、bordered pit)を持つ[4]。放射組織は狭く、多くは1細胞列である[4]。
マツ科のトウヒ属、モミ属、トガサワラ属などでは成長期に生じた針葉の大部分は腋芽を欠く[39]。これらの球果植物では頂芽のすぐ下にある偽輪生につく少数の腋芽から分枝が起こる[39]。ヒノキ科では平らな細かい枝系を発達させる[39]。マツ科のカラマツ属 Larix、ヒマラヤスギ属 Cedrus、イヌカラマツ属 Pseudolarix では長枝だと同じく短い枝にも普通葉を生じる[39]。マツ属 Pinus ではシュートに長枝と短枝が分化し、光合成を担う針形葉は短枝にのみ生じる[39]。
茎や葉に樹脂道が発達する[44]。これはグネツム類には見られない[44]。
生殖器官
球果植物のうち、マツ目およびヒノキ類のナンヨウスギ科、コウヤマキ科、ヒノキ科は典型的な球果(毬果、cone、雌性球果)とよばれる雌性胞子嚢穂を形成する[45][46]。受粉期の球果は雌球花(雌性球花)と呼ばれる[47]。雌性球果は種鱗と苞鱗からなる鱗片(果鱗、種鱗複合体)を単位とする[48][49]複合胞子嚢穂であると考えられている[45]。球果植物のすべてが穂状の球果を作るわけではない。イチイ科やマキ科は球果状の雌性胞子嚢穂は持たず、仮種皮果(かしゅひか、arillocarpium)を形成する[50][51]。イヌガヤ科の種子は種皮の外層が肥厚して肉質となり、核果状の種子果(しゅしか、seminicarpium)を作る[50][51]。
球果植物の小胞子嚢性(雄性)の生殖器官も穂状となり、雄球花[47](雄性球果[52]、雄性球花、pollen cone[52])と呼ばれる。普通、雄球花は単体胞子嚢穂であるが[45][7]、イチイ科では複合胞子嚢穂を作る[53][54]。単体胞子嚢性の雄球花は花粉を作る小胞子嚢を背軸側に1つ備えた小胞子葉を螺旋配列する穂状の生殖シュートからなる[7]。
球果植物の大部分は雌雄同株で、同一個体に雌性球果と雄性球果を生じるが、イチイ科、ナンヨウスギ科、マキ属、イヌガヤ属、ヒノキ科の一部では雌雄異株のものも見られる[55][10]。
生態
球果植物には長命な先駆種という生き方を行うものが多く、寒冷・乾燥・貧栄養という環境下での競争では被子植物を上回る[9]。球果植物は仮道管しか持たないが、乾燥・寒冷条件では、直径が小さいためエンボリズムによる通水障害が起こりにくく、道管よりも有利だと考えられている[9]。実際、乾燥気候や海岸などの生理的な乾燥環境にも適応している[56]。また、送受粉は風媒により行い、送粉者が少ない冷帯には針葉樹林が多くを占める[9]。
気温や土壌水分・養分条件が中庸な南半球の温帯や北アメリカ西部などの地域では、長命な巨木を作るものが多い[9]。これまでに知られる最長寿の樹種は球果植物である[9][57]。これまで年輪が計測された中で最も長寿な種は5060年生きた北アメリカ西部の乾燥した亜高山帯に生息するネバダイガゴヨウマツ Pinus longaeva でプロメテウスの愛称で知られる。2番目に長寿なのは3622年の南アメリカの温帯多雨林に生息するパタゴニアヒバ Fitzroya cupressoides、3位は3266年の北アメリカ西部温帯林に生息するセコイアデンドロン Sequoiadendron giganteum である[9][57]。
現存する最大の樹木である個体が知られる[58]。最も樹高が高い樹木は、北アメリカ西部の温帯林に生育する115.9 m のセコイア Sequoia sempervirens であり、次いで100.3 m のベイマツ Pseudotsuga menziesii が知られている[9]。幹の体積では、セコイアデンドロンが最も大きく、次いでセコイア、そして3番目にナギモドキ属の Agathis australis が大きい[9]。
球果植物の多くはアーバスキュラー菌根菌 (AM) と共生している[59]。イチイ科や旧スギ科ではアーバスキュラー菌根菌のみが知られているが、マツ科の多くでは根系に外生菌根 (ECM) を形成する[9][59]。ほかにヒノキ亜科でも AM と ECM の共存、マツ科やナンヨウスギ科の一部では内外生菌根の存在も確認されている[59]。ナンヨウスギ目とコウヤマキ科では根系に根粒様構造 (nodule-like structure) を形成する[9][60]。ナンヨウスギ目が持つ根粒様構造は窒素固定にはほぼ関与していない[60]。
ヌマスギ Taxodium distichum は沼沢地に生えるが、完全な水生のものは知られていない[29]。ただ1種のみ寄生性のものが知られており、ニューカレドニアから見つかるマキ科のパラシタクスス・ウスタ Parasitaxus usta はマキ科のファルカチフォリウム・タクソイデス Falcatifolium taxoides の根に寄生する[29]。葉緑体を失い紫色をしている[29]。
分布
球果植物は全世界に分布するが[13]、各系統は特徴的な分布を示す[56]。南アメリカ中部、オーストラリア中・西部、インド中・南部、アフリカ西部などには分布しない[13]。
マツ科は新第三紀の寒冷化に伴い北半球で多様化し、現在は多くが北半球に見られる[61][56]。分布は連続的で、ユーラシア大陸および北アメリカ大陸のほぼ全域に分布する[13]。分布の最南端は東南アジアの島嶼部で、マレー半島を経由し、スマトラ島、ジャワ島、ボルネオ島に及ぶがセレベス島やニューギニア島には分布しない[13]。
それに対し、ナンヨウスギ目のナンヨウスギ科や起源の古いマキ科は南半球にのみ生息する[61][56]。ナンヨウスギ科の分布は不連続で、ニュージーランド北島、オーストラリア北東部、ブラジル、チリに隔離分布する[13]。最北端は東南アジア島嶼部で、ニューギニア島、セレベス島、スマトラ島からミンダナオ島、そしてマレー半島にも及ぶ[13]。マキ科の分布も不連続で、最北端は日本列島である[13]。フェロスファエラ属 Pherosphaera はオーストラリアのニューサウスウェールズ州およびタスマニア、エダハマキ属 Phyllocladus はフィリピン、ボルネオ島、モルッカ諸島、タスマニア、ニュージーランドに不連続に分布する[13]。
ヒノキ科は全世界に広く分布する[58][13]。ヒノキ亜科は北半球に、カリトリス亜科は南半球に両極分布する[13]。セコイア亜科では、北アメリカ大陸の西海岸にのみ残存するセコイアおよびセコイアデンドロンと、中国の四川省にのみ残存するメタセコイアの3種からなり、遺存的な分布を示す[58]。スギ亜科も同様で、スギとスイショウは東アジアに、ヌマスギ属は北アメリカに分布する[13]。タスマニアスギ亜科はタスマニアにのみ分布する[13]。
コウヤマキ科は日本固有の科で、福島県から九州まで不連続に分布する[13]。
脚注
注釈
- ^ 但し、Yang et al. (2022) ではイヌガヤ属 Cephalotaxus が単型科イヌガヤ科 Cephalotaxaceae としてイチイ科から分離され、イチイ科の姉妹群となっているが、かつての系統解析ではイチイ科に内包されることも多く、本項ではイチイ科に内包して扱う。
- ^ 鱗片葉とは異なる[42]
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