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「トッカータとフーガ ニ短調 BWV 565」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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こんにちわ。野田憲太郎です。本当は楽器なんて何もできないんです
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== 構成 ==
== 構成 ==
演奏時間は8~12分程度。[[トッカータ]]部の演奏時間は3分足らずで、強烈な旋律で始まる。全体的に急速であり重厚感を併せ持つ。
演奏時間は8~12分程度。
[[トッカータ]]部の演奏時間は3分足らずで、強烈な旋律で始まる。全体的に急速であり重厚感を併せ持つ。


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それに続く[[フーガ]]部は、4声体で書かれてはいるものの対旋律の性格が弱く、他のバッハのフーガと比べると比較的単純な構成になっている。楽想が絡み合うような濃厚なものではなく、強弱をつけながら連なり出会うといった簡素なものであるが、重厚感は強い。演奏の難易度は他のバッハのオルガン作品と比較すれば平易である。本作はもともとはオルガンではなかったという説もあり、復元を試みヴァイオリン独奏用に編曲した版([[アンドルー・マンゼ|アンドリュー・マンゼ]]らあるいはフルート独奏用に編曲した版(サルヴァトーレ・シャッリーノ)による録音もリリースされている。
それに続く[[フーガ]]部は、4声体で書かれてはいるものの対旋律の性格が弱く、他のバッハのフーガと比べると比較的単純な構成になっている。楽想が絡み合うような濃厚なものではなく、強弱をつけながら連なり出会うといった簡素なものであるが、重厚感は強い。演奏の難易度は他のバッハのオルガン作品と比較すれば平易である。本作はもともとは[[ヴァイオリン]]用で、後にオルガン用に編曲されたという説もあり{{要出典|date=2016年6月5日}}、復元を試みヴァイオリン独奏用に編曲した版([[アンドルー・マンゼ|アンドリュー・マンゼ]]ら複数ある)による録音もリリースされている。


== 偽作説 ==
== 偽作説 ==
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* フーガの書法が異例であること。特に主題が単独で提示されるオルガンフーガ、および短調の変終止で終わるオルガンフーガはバッハの全生涯を通じて他に例がないこと。
* フーガの書法が異例であること。特に主題が単独で提示されるオルガンフーガ、および短調の変終止で終わるオルガンフーガはバッハの全生涯を通じて他に例がないこと。
* いささか表面的な減7の和音の効果や技巧の誇示が認められること。
* いささか表面的な減7の和音の効果や技巧の誇示が認められること。
などが挙げられる。ロルフ・ディートリッヒ・クラウス {{Lang|de|Rolf Dietrich Claus}} は、この曲の作者を[[テューリンゲン州|テューリンゲン地方]]のオルガニスト、[[ペーター・ケルナー]]([[:de:Johann Peter Kellner|{{Lang|de|Johann Peter Kellner}}]], 1705年 - 1772年)としている<ref>Claus, Rolf-Dietrich. 1998. Zur Echtheit von Toccata und Fuge d-moll BWV 565. Verlag Dohr, 2nd ed. Cologne. ISBN 3-925366-37-7. (ドイツ語)。参考:[http://www.music.qub.ac.uk/tomita/bachbib/review/bb-review_Claus-Echtheit565.html Yo Tomitaによるレビュー].</ref>。なお、フーガ主題の前半は[[ディートリヒ・ブクステフーデ|ブクステフーデ]]のオルガン作品『前奏曲とフーガ ニ短調 BuxWV 140』に見られる。
* 作曲推定年代は1705年とされているが、これがペーター・ケルナーの生年であること。
* AdagissimoやPrestissimoはバッハの作品に殆ど見られないこと。
などが挙げられる。

ロルフ・ディートリッヒ・クラウス {{Lang|de|Rolf Dietrich Claus}} は、この曲の作者を[[テューリンゲン州|テューリンゲン地方]]のオルガニスト、[[ペーター・ケルナー]]([[:de:Johann Peter Kellner|{{Lang|de|Johann Peter Kellner}}]], 1705年 - 1772年)としている<ref>Claus, Rolf-Dietrich. 1998. Zur Echtheit von Toccata und Fuge d-moll BWV 565. Verlag Dohr, 2nd ed. Cologne. ISBN 3-925366-37-7. (ドイツ語)。参考:[http://www.music.qub.ac.uk/tomita/bachbib/review/bb-review_Claus-Echtheit565.html Yo Tomitaによるレビュー].</ref>。なお、フーガ主題の前半は[[ディートリヒ・ブクステフーデ|ブクステフーデ]]のオルガン作品『前奏曲とフーガ ニ短調 BuxWV 140』に見られる。


== 楽曲の利用、編曲 ==
== 楽曲の利用、編曲 ==

2023年11月22日 (水) 02:37時点における版

トッカータとフーガ ニ短調ドイツ語Toccata und Fuge in d-MollBWV 565は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハが作曲したオルガン曲であり、数多いバッハのオルガン曲のなかでも特に人気の高い作品のひとつである。

構成

演奏時間は8~12分程度。

トッカータ部の演奏時間は3分足らずで、強烈な旋律で始まる。全体的に急速であり重厚感を併せ持つ。


\new Score <<
  \new PianoStaff <<
    \new Staff <<
      \new Voice \relative c''' {
        \set PianoStaff.connectArpeggios = ##t
        \override Score.NonMusicalPaperColumn #'line-break-permission = ##f
        \tempo Adagio
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    >>
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        a'8 \fermata \mordent d,32 \rest g64 f e d cis32 d16 d16 \rest d8 \rest \fermata d4 \rest <cis e g>4 ~ \arpeggio |
        <cis e g> ~ g'16 e fis8
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        \voiceTwo
        s1
        a8 \fermata \mordent s32 g64 f e d cis32 d16 s8. s2 |
        s4 d'4
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    >>
  >>
  \new Staff \relative c, {
    \clef "bass"
    R1 |
    r2  d ~ |
    d
  }
>>

それに続くフーガ部は、4声体で書かれてはいるものの対旋律の性格が弱く、他のバッハのフーガと比べると比較的単純な構成になっている。楽想が絡み合うような濃厚なものではなく、強弱をつけながら連なり出会うといった簡素なものであるが、重厚感は強い。演奏の難易度は他のバッハのオルガン作品と比較すれば平易である。本作はもともとはヴァイオリン用で、後にオルガン用に編曲されたという説もあり[要出典]、復元を試みヴァイオリン独奏用に編曲した版(アンドリュー・マンゼら複数ある)による録音もリリースされている。

偽作説

この作品には偽作説がある。一般にはバッハの最も初期の作品と言われているが、他のフーガとは異なった趣を持ち、また曲の規模のわりに内容が平易であるといったことも特異である。

偽作説の根拠は

  • バッハの自筆譜が現存せず、最も古い筆写譜が18世紀後半のものであること。
  • フーガの書法が異例であること。特に主題が単独で提示されるオルガンフーガ、および短調の変終止で終わるオルガンフーガはバッハの全生涯を通じて他に例がないこと。
  • いささか表面的な減7の和音の効果や技巧の誇示が認められること。

などが挙げられる。ロルフ・ディートリッヒ・クラウス Rolf Dietrich Claus は、この曲の作者をテューリンゲン地方のオルガニスト、ペーター・ケルナーJohann Peter Kellner, 1705年 - 1772年)としている[1]。なお、フーガ主題の前半はブクステフーデのオルガン作品『前奏曲とフーガ ニ短調 BuxWV 140』に見られる。

楽曲の利用、編曲

カール・タウジヒフェルッチョ・ブゾーニマックス・レーガーらの編曲がピアノで演奏されることも多く、レオポルド・ストコフスキー編曲の管弦楽版もある。

  • 鼻から牛乳嘉門達夫) - 楽曲中の落ちとなる部分で、本曲の冒頭部が用いられている。
  • イギリスのプログレッシブ・ロック・バンド、イエスのライブ・アルバム『9012Live・THE SOLOS』収録の「Si」は本曲のアレンジ。
  • イギリスのプログレッシブ・ロック・バンド、エッグの1stアルバム『エッグ』収録の「Fugue In D Minor」は本曲のロックアレンジ。
  • Back on the Rocks(メガ・エナジー・マン) - 前奏部に使用されている。
CM
ゲーム
映画

脚注

  1. ^ Claus, Rolf-Dietrich. 1998. Zur Echtheit von Toccata und Fuge d-moll BWV 565. Verlag Dohr, 2nd ed. Cologne. ISBN 3-925366-37-7. (ドイツ語)。参考:Yo Tomitaによるレビュー.
  2. ^ スカイライン(1985/08〜1989/05・R31型)CMについて教えて。”. 日産自動車. 2023年10月10日閲覧。

外部リンク

楽譜
録音
楽譜、動画など
ピアノ用編曲