「怪物 (2023年の映画)」の版間の差分
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是枝裕和にとって『[[万引き家族]]』以来5年ぶりの邦画作品である。脚本を手掛ける坂元裕二とは初めてのタッグかつ、監督デビュー作である『[[幻の光]]』以来となる自身が脚本執筆をしない一作となった。 |
是枝裕和にとって『[[万引き家族]]』以来5年ぶりの邦画作品である。脚本を手掛ける坂元裕二とは初めてのタッグかつ、監督デビュー作である『[[幻の光]]』以来となる自身が脚本執筆をしない一作となった。 |
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⚫ | 2017年5月13日から8月6日にかけて、[[早稲田大学坪内博士記念演劇博物館|早稲田大学の演劇博物館]]で企画展「テレビの見る夢 − 大テレビドラマ博覧会」が開催された<ref>{{cite web | url=https://www.waseda.jp/enpaku/ex/4995/ | title=テレビの見る夢 − 大テレビドラマ博覧会 | publisher=早稲田大学演劇博物館 | date= | accessdate=2023-7-1 }}</ref>。企画展の関連イベントとして、6月28日、[[大隈講堂|早稲田大学大隈記念講堂]]で坂元と是枝のトークショーが開かれた<ref>{{cite web | url=https://www.waseda.jp/enpaku/ex/5016/ | title=坂元裕二×是枝裕和トークショー ドラマの神様は細部に宿る | publisher=早稲田大学演劇博物館 | date= | accessdate=2023-7-1 }}</ref>。 |
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⚫ | 2017年5月13日から8月6日にかけて、[[早稲田大学坪内博士記念演劇博物館|早稲田大学の演劇博物館]]で企画展「テレビの見る夢 − 大テレビドラマ博覧会」が開催された<ref>{{cite web | url=https://www.waseda.jp/enpaku/ex/4995/ | title=テレビの見る夢 − 大テレビドラマ博覧会 | publisher=早稲田大学演劇博物館 | date= | accessdate=2023-7-1 }}</ref>。企画展の関連イベントとして、6月28日、[[大隈講堂|早稲田大学大隈記念講堂]]で元々お互いの作品をよく見ていると公言していた坂元と是枝のトークショーが開かれた<ref>{{cite web | url=https://www.waseda.jp/enpaku/ex/5016/ | title=坂元裕二×是枝裕和トークショー ドラマの神様は細部に宿る | publisher=早稲田大学演劇博物館 | date= | accessdate=2023-7-1 }}</ref>。2人はこの時既に、いつか一緒に作品を作るかもしれないとなんとなく感じていたと後のインタビューで話している<ref name="moviewalker20230625">{{cite web | author= | url=https://moviewalker.jp/news/article/1141797/ | title=是枝裕和監督と坂元裕二の特別講義をフルボリュームでレポート。『怪物』が生まれた経緯から脚本の構造、解釈までを語り尽くす | publisher=MOVIE WALKER PRESS | date=2023-6-25 | accessdate=2023-7-1 }}</ref><ref name="pamphlet2023"/><ref name="switch202305">SWITCH Vol.41 No.6、「特集『怪物』が描くもの」是枝裕和 ロングインタビュー、2023年5月20日、スイッチ・パブリッシング、pp. 10-15。</ref>。 |
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⚫ | 2018年、東宝の[[川村元気]]と山田兼司は、坂元に「映画の |
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⚫ | 2018年、東宝の[[川村元気]]と山田兼司は、坂元に「映画の製作をしよう」と話を持ちかけた。その中で「ドラマ1話分、45分くらいの尺感で走り切って、それが3本立てになったらどんな映画になるのか」と川村は坂元と話し合った<ref name="switch202305"/><ref name="moviewalker20230625"/>。その後、坂元には描きたいテーマがあり、監督として是枝の名前を挙げたのは坂元とされる<ref name="switch202305"/><ref name="moviewalker20230625"/><ref name="pamphlet2023"/>。同年12月18日、川村は是枝に「映画のプロットができたので読んでもらえないか」とメールした<ref name="moviewalker20230625"/>。是枝は誰か脚本家と組むならとの質問の際には必ず坂元裕二と即答するほどの大ファンであった。坂元も是枝について「大好きな映画監督。脚本家としての是枝さんも尊敬している」と表現していた。そうした経緯から念願の共同作業が実現した{{R|natalie20221118}}<ref>{{Cite news|url=https://eiga.com/news/20221118/3/|title=是枝裕和×坂元裕二、諦めていた相思相愛タッグがオリジナル映画「怪物」で実現!|newspaper=[[映画.com]]|publisher=エイガ・ドット・コム|date=2022-11-18|accessdate=2022-11-19}}</ref><ref>{{Cite news|url=https://hiko1985.hatenablog.com/entry/2017/07/03/132431|title=坂元裕二×是枝裕和トークショー『ドラマの神様は細部に宿る』|newspaper=青春ゾンビ|publisher=早稲田大学|date=2017-07-03|accessdate=2023-05-11}}</ref><ref name=cinema20221119>{{Cite news|url=https://www.cinematoday.jp/news/N0133631|title=是枝裕和監督、脚本家・坂元裕二と初タッグ!5年ぶり日本が舞台『怪物』23年6月2日公開|newspaper=[[シネマトゥデイ]]|publisher=シネマトゥデイ|date=2022-11-18|accessdate=2022-11-19}}</ref><ref name="switch202305"/>。 |
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⚫ | 脚本は |
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⚫ | 脚本や撮影現場に関する監修は主人公2人に関連する性的少数者の団体とゆっくり話し合いながら、2018年から3年かけて台本が出来上がっていった<ref name="switch202305"/><ref name="anp230516"/><ref name="pamphlet2023"/><ref>{{cite web | author=生田綾、吉田薫 | url=https://www.cinra.net/article/202306-kaibutsu | title=『怪物』是枝裕和監督、3年にわたる脚本・坂元裕二との協業を語る | publisher=CINRA | date=2023-6-9 | accessdate=2023-7-3 }}</ref>。是枝は脚本を最初に読んだ時、「この少年2人は『[[銀河鉄道の夜]]』のジョバンニとカンパネルラだ」と感じたという<ref name="mynavi2023">{{cite web | author=佐々木なつみ | url=https://news.mynavi.jp/article/20230610-kaibutsu2/ | title=是枝裕和監督、映画『怪物』ラストシーンの編集を変えた意図は? 撮影前には専門家のレクチャーも | publisher=マイナビニュース | date=2023-6-10 | accessdate=2023-7-3 }}</ref>。また、坂元が一番最初に書き上げた脚本の内容は映画にすると3時間を超える分量だったという<ref name="pamphlet2023"/><ref name="switch202305"/>。坂元は是枝との対談でこの映画のテーマについて「世の中には自身が被害者になる物語は溢れているが、自身が加害者になる物語はどんどんなくなり、むしろ描くことが困難になってきている。そのなかでどうすれば自分が加害者になって、お客さんに加害者の主観を体験してもらうことができるのかをずっと考えてきた」「多くの見てもらいたい人に真剣に見てもらうためにこういった描き方を選びました」と述べ<ref name="switch202305"/><ref name="moviewalker20230625"/><ref name="pamphlet2023"/>、また、インタビューでは「私たちは生きている上で、どうしても他者同士お互いに見えていないものがある。それを理解し合っていかなければならない時に直面した場合どういったことが起こるのか、そしてどうすればいいのか、その複雑さを表現するにはどうすればいいのか、長い間苦しみ悩みながら脚本を書きました」と答えている<ref>{{Cite news|url=https://madamefigaro.jp/culture/230521-atsukotatsuta-cannes-report-03.html|title=コンペのトップバッター、是枝監督の『怪物』が登場!|newspaper=|publisher=FIGARO JAPAN|date=2023-05-21|accessdate=2023-05-21}}</ref><ref name="pamphlet2023"/>。 |
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また、ラストシーンに関して、最後主人公は生きているのか?という質問をされた際には「明確に生きています」と是枝、坂元の2人は断言しており、「脚本初稿の段階から2人が亡くなるような展開は描かれておらず、一方で現在の問題を美化して描いてもいなかった」「ラストシーンに関してはフェンスが無くなった線路を主人公2人が駆け出していき、映画を見ている自分達大人が置き去りにされるイメージで撮ったので、もしかしたらそのイメージを2人が亡くなったように解釈する人たちもいるのかもしれません」と是枝は述べている<ref name="moviewalker20230625"/><ref name="pamphlet2023">『怪物』劇場用パンフレット、Interview 監督:是枝裕和 脚本:坂元裕二、2023年6月2日、2023「怪物」製作委員会、pp. 3-5。</ref><ref name="switch202305"/>。 |
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坂元は正式なタイトルを決定しないまま脚本の最終稿を書き上げ、最終的な『怪物』という映画のタイトルは是枝から提案されたものである<ref name="pamphlet2023"/><ref name="switch202305"/>。 |
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=== 撮影 === |
=== 撮影 === |
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主演を務める4人のうち、黒川想矢と柊木陽太については是枝や坂元も審査に参加したオーディションによって選出された{{R|cinema230105}}。是枝は黒川と柊木に会うと最初に『銀河鉄道の夜』の話をし、読んでほしい、と言った<ref name="mynavi2023"/>。 |
主演を務める4人のうち、黒川想矢と柊木陽太については是枝や坂元も審査に参加したオーディションによって選出された{{R|cinema230105}}。是枝は黒川と柊木に会うと最初に『銀河鉄道の夜』の話をし、読んでほしい、と言った<ref name="mynavi2023"/>。 |
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また、是枝は今作において「[[子役]]にだけは現場で脚本の内容を口頭で伝える」といういつもの演出をしておらず、子役2人の「脚本を読みたい」という意志を尊重し、大人のキャストと同様に事前に脚本を渡している。今作においてはその結果、2人の素晴らしいシーンがいくつも撮れたと是枝は撮影を振り返っている<ref name="pamphlet2023"/><ref name="switch202305"/>。 |
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⚫ | 舞台設定は当初、東京都の西側の区域だった。脚本には、町を南北に分ける形で大きな川が流れているというト書きがあった。駅前での火災や、消防車の走行などのシーンの撮影を、東京都が許可しなかったため、千葉県と長野県[[諏訪地方]]が候補地に挙がった。ことに長野には「諏訪地方観光連盟 諏訪圏フィルムコミッション」(本部:[[諏訪市]])<ref>[http://www.suwafc.com/ 諏訪圏フィルムコミッション]</ref>があり、協力体制が整っていたことから、まずは諏訪に下見に行こうという話にな |
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⚫ | 舞台設定は当初、東京都の西側の区域だった。脚本には、町を南北に分ける形で大きな川が流れているというト書きがあった。駅前での火災や、消防車の走行などのシーンの撮影を、東京都が許可しなかったため、千葉県と長野県[[諏訪地方]]が候補地に挙がった。ことに長野には「諏訪地方観光連盟 諏訪圏フィルムコミッション」(本部:[[諏訪市]])<ref>[http://www.suwafc.com/ 諏訪圏フィルムコミッション]</ref>があり、協力体制が整っていたことから、まずは諏訪に下見に行こうという話になった。「諏訪圏フィルムコミッション」の宮坂洋介に案内されて行ったのが、2021年3月に廃校となった旧[[諏訪市立城北小学校]]だった。是枝は昇降口の吹き抜けや、街と湖が見渡せる教室からの景色を気に入り、撮影地を諏訪に決定した<ref name="nbs-tv20230606">{{cite web | author= | url=https://www.nbs-tv.co.jp/news/articles/?cid=14310 | title=カンヌで高評価 映画「怪物」ロケ地・諏訪も期待 是枝監督と信州は“深い縁”「特別な場所」 | publisher=長野放送 | date=2023-6-6 | accessdate=2023-7-5 }}</ref><ref>{{cite web | author= | url=https://www.yomiuri.co.jp/culture/cinema/20230627-OYT1T50124/ | title=是枝裕和監督「東京は撮影に非協力的、諏訪に信頼感」…長野県で「怪物」秘話語る | publisher=読売新聞 | date=2023-6-27 | accessdate=2023-7-1 }}</ref>。坂元には「大きな川」を「湖」に変えてほしいということのみを依頼した<ref name="nbs-tv20230606"/>。是枝はメディアの取材に対し、「全体を貫くテーマと湖を重ねてみようと思った」と述べ<ref name="anp230516">{{Cite news|author=滝沢隆史 |url=https://www.asahi.com/articles/ASR5D6H6BR52UOOB00V.html|title=是枝監督が一目ぼれした諏訪湖を望む場所 カンヌ出品「怪物」を撮影|newspaper=[[朝日新聞]]|date=2023-05-16|accessdate=2023-06-09}}</ref>、「真っ黒い[[諏訪湖]]を見たときに『怪物だ』と感じた」と述べている<ref name="yomiuri20230528">{{cite web | author= | url=https://www.yomiuri.co.jp/culture/cinema/20230528-OYT1T50057/ | title=夜の諏訪湖に「怪物」を見た…是枝裕和監督が長野・諏訪エリアで新作を撮った理由 | publisher=読売新聞 | date=2023-5-28 | accessdate=2023-7-1 }}</ref><ref name="pamphlet2023"/>。 |
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2022年3月19日〜5月12日、7月23日〜8月12日に長野県諏訪地方([[諏訪市]]・[[岡谷市]]・[[富士見町]]・[[下諏訪町]])の約25カ所でロケーション撮影がおこなわれた。地元の小学生ら約700人がエキストラとして参加した<ref name="nagano-np20230427">{{cite web | url=http://www.nagano-np.co.jp/articles/108901| title=諏訪シネマズに是枝監督「怪物」 認定5作目| publisher=長野日報 | date=2023-4-27 | accessdate=2023-7-7 }}</ref><ref name="nagano-np20230603">{{Cite news|url=http://www.nagano-np.co.jp/articles/110645|title=「怪物」公開 ロケ地・諏訪地方の劇場も活況|newspaper=[[長野日報]]|date=2023-06-03|accessdate=2023-06-09}}</ref><ref name="anp230516"/><ref>{{cite web | author=滝沢隆史 | url=https://www.asahi.com/articles/ASR3971QWR36UOOB00P.html | title=是枝監督に聞いた「撮影に大切なこと」 先生は巨匠、小6に特別授業 | publisher=朝日新聞 | date=2023-3-14 | accessdate=2023-7-3 }}</ref>。舞台となる旧諏訪市立城北小学校は、校名もそのまま「城北小学校」として映し出された<ref name="nbs-tv20230606"/>。秘密基地の廃電車は富士見町の旧瀬沢隧道の付近にオープンセットとして設営された。製作には、富士見町の建設会社「今井建設」が協力した。同社は2011年からテレビドラマ、映画、CMなどのセット造成に関わっており、本作品ではセットの資材の運び入れの方法も発案した<ref>{{cite web | url=https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2023070500448| title=JR中央東線の廃線跡に映画「怪物」の廃電車セット 造った建設会社社長「一番大変な現場」 富士見町| publisher=信濃毎日新聞 | date=2023-7-5 | accessdate=2023-7-7 }}</ref><ref>{{cite web | url=http://www.nagano-np.co.jp/articles/110971 | title=映画「怪物」ロケ地の童画館通りで記念展示 | publisher=Nagano Nippo Web | date=2023-6-10 | accessdate=2023-7-3 }}</ref>。主な撮影場所は下記のとおり<ref name="suwafc-map">{{cite web | url=http://www.suwafc.com/wp/wp-content/uploads/pdf/kaibutsu_locationmap.pdf | title=「怪物」ロケ地MAP | publisher=諏訪地方観光連盟 諏訪圏フィルムコミッション | date= | accessdate=2023-7-3 }}</ref>。 |
2022年3月19日〜5月12日、7月23日〜8月12日に長野県諏訪地方([[諏訪市]]・[[岡谷市]]・[[富士見町]]・[[下諏訪町]])の約25カ所でロケーション撮影がおこなわれた。地元の小学生ら約700人がエキストラとして参加した<ref name="nagano-np20230427">{{cite web | url=http://www.nagano-np.co.jp/articles/108901| title=諏訪シネマズに是枝監督「怪物」 認定5作目| publisher=長野日報 | date=2023-4-27 | accessdate=2023-7-7 }}</ref><ref name="nagano-np20230603">{{Cite news|url=http://www.nagano-np.co.jp/articles/110645|title=「怪物」公開 ロケ地・諏訪地方の劇場も活況|newspaper=[[長野日報]]|date=2023-06-03|accessdate=2023-06-09}}</ref><ref name="anp230516"/><ref>{{cite web | author=滝沢隆史 | url=https://www.asahi.com/articles/ASR3971QWR36UOOB00P.html | title=是枝監督に聞いた「撮影に大切なこと」 先生は巨匠、小6に特別授業 | publisher=朝日新聞 | date=2023-3-14 | accessdate=2023-7-3 }}</ref>。舞台となる旧諏訪市立城北小学校は、校名もそのまま「城北小学校」として映し出された<ref name="nbs-tv20230606"/>。秘密基地の廃電車は富士見町の旧瀬沢隧道の付近にオープンセットとして設営された。製作には、富士見町の建設会社「今井建設」が協力した。同社は2011年からテレビドラマ、映画、CMなどのセット造成に関わっており、本作品ではセットの資材の運び入れの方法も発案した<ref>{{cite web | url=https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2023070500448| title=JR中央東線の廃線跡に映画「怪物」の廃電車セット 造った建設会社社長「一番大変な現場」 富士見町| publisher=信濃毎日新聞 | date=2023-7-5 | accessdate=2023-7-7 }}</ref><ref>{{cite web | url=http://www.nagano-np.co.jp/articles/110971 | title=映画「怪物」ロケ地の童画館通りで記念展示 | publisher=Nagano Nippo Web | date=2023-6-10 | accessdate=2023-7-3 }}</ref>。主な撮影場所は下記のとおり<ref name="suwafc-map">{{cite web | url=http://www.suwafc.com/wp/wp-content/uploads/pdf/kaibutsu_locationmap.pdf | title=「怪物」ロケ地MAP | publisher=諏訪地方観光連盟 諏訪圏フィルムコミッション | date= | accessdate=2023-7-3 }}</ref>。 |
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=== 音楽 === |
=== 音楽 === |
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[[坂本龍一]]が音楽を担当した経緯について、是枝は「撮影場所が諏訪に決まって描かれる脚本に風景が明快になった時、夜の湖に坂本龍一さんの曲の響きが重なった」と述べている<ref>{{Cite news|url=https://www.crank-in.net/news/127021/1|title=是枝裕和監督、坂本龍一さんに感謝「ご一緒できたのは自分にとって誇り」|newspaper=クランクイン!|publisher=[[ブロードメディア]]|date=2023-5-8|accessdate=2023-5-25}}</ref>。映画の編集をしながら坂本の音楽を仮当てし、それに手紙を添えて坂本に作曲の依頼をした。坂本はすぐに是枝へ「全部を引き受ける体力はもう残ってないけど、(仮当てした映画を)観させて頂いたらとても面白くて、音楽のイメージが何曲か浮かんでいるので形にします。気に入ったら使って下さい」と手紙を送り、その後2曲の新曲と一緒に「すでに私が発表している楽曲から自由に使って頂いて構いません」というメッセージを映画の製作陣へ送った<ref> |
[[坂本龍一]]が音楽を担当した経緯について、是枝は「撮影場所が諏訪に決まって描かれる脚本に風景が明快になった時、夜の湖に坂本龍一さんの曲の響きが重なった」と述べている<ref>{{Cite news|url=https://www.crank-in.net/news/127021/1|title=是枝裕和監督、坂本龍一さんに感謝「ご一緒できたのは自分にとって誇り」|newspaper=クランクイン!|publisher=[[ブロードメディア]]|date=2023-5-8|accessdate=2023-5-25}}</ref>。映画の編集をしながら坂本の音楽を仮当てし、それに手紙を添えて坂本に作曲の依頼をした。坂本はすぐに是枝へ「全部を引き受ける体力はもう残ってないけど、(仮当てした映画を)観させて頂いたらとても面白くて、音楽のイメージが何曲か浮かんでいるので形にします。気に入ったら使って下さい」と手紙を送り、その後2曲の新曲と一緒に「すでに私が発表している楽曲から自由に使って頂いて構いません」というメッセージを映画の製作陣へ送った<ref> |
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{{Cite news|url=https://www.musicvoice.jp/news/252856/|title=是枝裕和監督、故・坂本龍一氏とのやりとり明かす 念願の音楽に「とても誇り」|newspaper=[[Music Voice]]|publisher=ミュージックヴォイス|date=2023-5-8|accessdate=2023-5-25}}</ref>。 |
{{Cite news|url=https://www.musicvoice.jp/news/252856/|title=是枝裕和監督、故・坂本龍一氏とのやりとり明かす 念願の音楽に「とても誇り」|newspaper=[[Music Voice]]|publisher=ミュージックヴォイス|date=2023-5-8|accessdate=2023-5-25}}</ref><ref name="switch202305"/>。 |
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最終的に完成した映画には計7曲が使用された。内訳は新曲が2曲、1998年発売のアルバム『[[BTTB]]』から「aqua」、2009年発売のアルバム『[[アウト・オブ・ノイズ]]』から「hibari」と「hwit」、2023年1月発売のアルバム『[[12 (坂本龍一のアルバム)|12]]』から2曲。 |
最終的に完成した映画には計7曲が使用された。内訳は新曲が2曲、1998年発売のアルバム『[[BTTB]]』から「aqua」、2009年発売のアルバム『[[アウト・オブ・ノイズ]]』から「hibari」と「hwit」、2023年1月発売のアルバム『[[12 (坂本龍一のアルバム)|12]]』から2曲。 |
2023年9月6日 (水) 12:56時点における版
怪物 | |
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Monster | |
監督 | 是枝裕和 |
脚本 | 坂元裕二 |
製作 |
川村元気 山田兼司 伴瀬萌 伊藤太一 田口聖 |
製作総指揮 | 臼井央 |
出演者 |
安藤サクラ 永山瑛太 黒川想矢 柊木陽太 高畑充希 角田晃広 中村獅童 田中裕子 |
音楽 | 坂本龍一 |
撮影 | 近藤龍人 |
制作会社 | AOI Pro. |
製作会社 | 「怪物」製作委員会 |
配給 |
東宝 ギャガ |
公開 | |
上映時間 | 126分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
『怪物』(かいぶつ)は、2023年の日本映画。監督は是枝裕和、脚本は坂元裕二[2]。主演は安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太[3]。第76回カンヌ国際映画祭において、脚本賞[4]、クィア・パルム賞[5]を受賞した。
音楽を担当している坂本龍一は公開前の2023年3月に死去したため[6]、本作が遺作となった。
あらすじ
この節にあるあらすじは作品内容に比して不十分です。 |
大きな湖のある街で起きた雑居ビル火災に始まり、物語は3人の視点で描かれる。
シングルマザーの麦野沙織は、息子の麦野湊(みなと)と一緒に消火活動を自宅から眺めていると、不意に彼から「豚の脳を移植した人間は?人間?豚?」と問われる。その後、息子の身の回りで不審な出来事が相次ぐ。
いじめや教師からの暴力を疑った沙織は小学校へ通い詰め、湊の担任である保利道敏や校長らを問いただす。このとき沙織は、他の教員から、校長が最近孫を事故で亡くしたことを知らされる。
一方で保利は、湊が星川依里(より)をいじめているのではないかと疑念を抱いていた。依里の父である星川清高の自宅を訪ねると、「あれは化け物。人間ではない、豚の脳が入っている」と告げられた。しかし最終的には沙織に追い詰められ、依願退職せざるを得なくなる。
湊は、たまたま教室の片付けで一緒になった依里と親しくなる。依里が見つけたという、廃トンネルの先にある捨てられた鉄道車両を二人だけの秘密基地にして、生まれ変わる瞬間という「ビッグランチ(ビッグクランチの誤用)」を迎える準備を進める。
二人っきりで過ごす日々が続いたある日。依里から転校するという事実を告げられ、湊はショックを受ける。
それから何か月もたった、ある日。台風が迫る中で、湊は何日も姿を見せない依里を連れ出し、家を飛び出す。残された作文から真相を悟った保利は、早織と共に後を追った。
キャスト
- 麦野早織(むぎの さおり)
- 演 - 安藤サクラ[7]
- シングルマザー。
- 保利道敏(ほり みちとし)
- 演 - 永山瑛太[7]
- 湊、依里の担任教師。
- 麦野湊(むぎの みなと)
- 演 - 黒川想矢[7]
- 早織の息子。
- 星川依里(ほしかわ より)
- 演 - 柊木陽太[7]
- 湊の同級生。
- 鈴村広奈
- 演 - 高畑充希[7]
- 保利の恋人。
- 正田文昭
- 演 - 角田晃広[7]
- 湊、依里が通う小学校の教頭。
- 星川清高
- 演 - 中村獅童[7]
- 依里の父でシングルファーザー。
- 伏見真木子
- 演 - 田中裕子[7]
- 小学校の校長。
スタッフ
- 監督:是枝裕和
- 脚本:坂元裕二
- 音楽:坂本龍一[7]
- 製作:市川南、依田巽、大多亮、潮田一、是枝裕和
- エグゼクティブプロデューサー:臼井央
- 企画・プロデュース:川村元気、山田兼司[2]
- プロデューサー:伴瀬萌、伊藤太一、田口聖
- ラインプロデューサー:渡辺栄二
- 撮影:近藤龍人
- 照明:尾下栄治
- 録音:冨田和彦
- 音響効果:岡瀬晶彦
- 編集:是枝裕和[1]
- 美術:三ツ松けいこ
- セットデザイン:徐賢先
- 装飾:佐原敦史、山本信毅
- 衣装デザイン:黒澤和子
- 衣装:伊藤美恵子
- ヘアメイク:酒井夢月
- キャスティング:田端利江
- スクリプター:押田智子
- 助監督:森本晶一
- 制作担当:後藤一郎
- 配給:東宝、ギャガ[2]
- 制作プロダクション:AOI Pro.
- 製作:「怪物」製作委員会(東宝、ギャガ、フジテレビジョン、AOI Pro.、分福)[7]
製作
脚本
是枝裕和にとって『万引き家族』以来5年ぶりの邦画作品である。脚本を手掛ける坂元裕二とは初めてのタッグかつ、監督デビュー作である『幻の光』以来となる自身が脚本執筆をしない一作となった。
2017年5月13日から8月6日にかけて、早稲田大学の演劇博物館で企画展「テレビの見る夢 − 大テレビドラマ博覧会」が開催された[8]。企画展の関連イベントとして、6月28日、早稲田大学大隈記念講堂で元々お互いの作品をよく見ていると公言していた坂元と是枝のトークショーが開かれた[9]。2人はこの時既に、いつか一緒に作品を作るかもしれないとなんとなく感じていたと後のインタビューで話している[10][11][12]。
2018年、東宝の川村元気と山田兼司は、坂元に「映画の製作をしよう」と話を持ちかけた。その中で「ドラマ1話分、45分くらいの尺感で走り切って、それが3本立てになったらどんな映画になるのか」と川村は坂元と話し合った[12][10]。その後、坂元には描きたいテーマがあり、監督として是枝の名前を挙げたのは坂元とされる[12][10][11]。同年12月18日、川村は是枝に「映画のプロットができたので読んでもらえないか」とメールした[10]。是枝は誰か脚本家と組むならとの質問の際には必ず坂元裕二と即答するほどの大ファンであった。坂元も是枝について「大好きな映画監督。脚本家としての是枝さんも尊敬している」と表現していた。そうした経緯から念願の共同作業が実現した[2][13][14][15][12]。
脚本や撮影現場に関する監修は主人公2人に関連する性的少数者の団体とゆっくり話し合いながら、2018年から3年かけて台本が出来上がっていった[12][16][11][17]。是枝は脚本を最初に読んだ時、「この少年2人は『銀河鉄道の夜』のジョバンニとカンパネルラだ」と感じたという[18]。また、坂元が一番最初に書き上げた脚本の内容は映画にすると3時間を超える分量だったという[11][12]。坂元は是枝との対談でこの映画のテーマについて「世の中には自身が被害者になる物語は溢れているが、自身が加害者になる物語はどんどんなくなり、むしろ描くことが困難になってきている。そのなかでどうすれば自分が加害者になって、お客さんに加害者の主観を体験してもらうことができるのかをずっと考えてきた」「多くの見てもらいたい人に真剣に見てもらうためにこういった描き方を選びました」と述べ[12][10][11]、また、インタビューでは「私たちは生きている上で、どうしても他者同士お互いに見えていないものがある。それを理解し合っていかなければならない時に直面した場合どういったことが起こるのか、そしてどうすればいいのか、その複雑さを表現するにはどうすればいいのか、長い間苦しみ悩みながら脚本を書きました」と答えている[19][11]。
また、ラストシーンに関して、最後主人公は生きているのか?という質問をされた際には「明確に生きています」と是枝、坂元の2人は断言しており、「脚本初稿の段階から2人が亡くなるような展開は描かれておらず、一方で現在の問題を美化して描いてもいなかった」「ラストシーンに関してはフェンスが無くなった線路を主人公2人が駆け出していき、映画を見ている自分達大人が置き去りにされるイメージで撮ったので、もしかしたらそのイメージを2人が亡くなったように解釈する人たちもいるのかもしれません」と是枝は述べている[10][11][12]。
坂元は正式なタイトルを決定しないまま脚本の最終稿を書き上げ、最終的な『怪物』という映画のタイトルは是枝から提案されたものである[11][12]。
撮影
主演を務める4人のうち、黒川想矢と柊木陽太については是枝や坂元も審査に参加したオーディションによって選出された[3]。是枝は黒川と柊木に会うと最初に『銀河鉄道の夜』の話をし、読んでほしい、と言った[18]。
また、是枝は今作において「子役にだけは現場で脚本の内容を口頭で伝える」といういつもの演出をしておらず、子役2人の「脚本を読みたい」という意志を尊重し、大人のキャストと同様に事前に脚本を渡している。今作においてはその結果、2人の素晴らしいシーンがいくつも撮れたと是枝は撮影を振り返っている[11][12]。
舞台設定は当初、東京都の西側の区域だった。脚本には、町を南北に分ける形で大きな川が流れているというト書きがあった。駅前での火災や、消防車の走行などのシーンの撮影を、東京都が許可しなかったため、千葉県と長野県諏訪地方が候補地に挙がった。ことに長野には「諏訪地方観光連盟 諏訪圏フィルムコミッション」(本部:諏訪市)[20]があり、協力体制が整っていたことから、まずは諏訪に下見に行こうという話になった。「諏訪圏フィルムコミッション」の宮坂洋介に案内されて行ったのが、2021年3月に廃校となった旧諏訪市立城北小学校だった。是枝は昇降口の吹き抜けや、街と湖が見渡せる教室からの景色を気に入り、撮影地を諏訪に決定した[21][22]。坂元には「大きな川」を「湖」に変えてほしいということのみを依頼した[21]。是枝はメディアの取材に対し、「全体を貫くテーマと湖を重ねてみようと思った」と述べ[16]、「真っ黒い諏訪湖を見たときに『怪物だ』と感じた」と述べている[23][11]。
2022年3月19日〜5月12日、7月23日〜8月12日に長野県諏訪地方(諏訪市・岡谷市・富士見町・下諏訪町)の約25カ所でロケーション撮影がおこなわれた。地元の小学生ら約700人がエキストラとして参加した[24][25][16][26]。舞台となる旧諏訪市立城北小学校は、校名もそのまま「城北小学校」として映し出された[21]。秘密基地の廃電車は富士見町の旧瀬沢隧道の付近にオープンセットとして設営された。製作には、富士見町の建設会社「今井建設」が協力した。同社は2011年からテレビドラマ、映画、CMなどのセット造成に関わっており、本作品ではセットの資材の運び入れの方法も発案した[27][28]。主な撮影場所は下記のとおり[29]。
- 諏訪市 - 旧諏訪市立城北小学校、立石公園、JR上諏訪駅前、諏訪赤十字病院、諏訪市立城南小学校
- 岡谷市 - 釜口水門、童画館通り、市営岡谷球場、イルフプラザ、丸山橋交差点
- 富士見町 - 旧瀬沢隧道、旧立場川橋梁跡
- 下諏訪町 - クリーニングモモセ
音楽
坂本龍一が音楽を担当した経緯について、是枝は「撮影場所が諏訪に決まって描かれる脚本に風景が明快になった時、夜の湖に坂本龍一さんの曲の響きが重なった」と述べている[30]。映画の編集をしながら坂本の音楽を仮当てし、それに手紙を添えて坂本に作曲の依頼をした。坂本はすぐに是枝へ「全部を引き受ける体力はもう残ってないけど、(仮当てした映画を)観させて頂いたらとても面白くて、音楽のイメージが何曲か浮かんでいるので形にします。気に入ったら使って下さい」と手紙を送り、その後2曲の新曲と一緒に「すでに私が発表している楽曲から自由に使って頂いて構いません」というメッセージを映画の製作陣へ送った[31][12]。
最終的に完成した映画には計7曲が使用された。内訳は新曲が2曲、1998年発売のアルバム『BTTB』から「aqua」、2009年発売のアルバム『アウト・オブ・ノイズ』から「hibari」と「hwit」、2023年1月発売のアルバム『12』から2曲。
2023年3月28日、坂本は東京都内の病院で死去した[6]。全国公開直前の5月31日、全7曲入りのアルバム『サウンドトラック「怪物」』が発売された。
公開
2023年5月16日、第76回カンヌ国際映画祭が開幕。『怪物』は5月17日に同映画祭で上映された[1]。5月18日、『怪物』の記者会見がカンヌで開かれ、是枝、坂元、安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太が参加した。英国のメディアが、日本映画にみる性的マイノリティ表象の少なさについて質問すると、是枝は「(『怪物』は)LGBTQに特化した作品ではなく、少年の内的葛藤の話と捉えた。誰の心の中にでも芽生えるのではないか」と答えた[32]。さらに是枝は同日、ロイターの取材に応じ、「これらの子供たちの年齢はおそらく、自分たちの性的アイデンティティが十分に形成されていない年齢です。私はそのことにあまり焦点を合わせたくはなかったし、それを特別な種類の関係として考えたくなかった」と述べた[33]。
同年5月27日、カンヌ映画祭が閉幕。授賞式前に発表される独立賞として、LGBTに関連した映画に与えられるクィア・パルム賞を受賞した[5]。そして授賞式で脚本賞を受賞した[4]。クィア・パルム審査員長のジョン・キャメロン・ミッチェルは賞の授与に当たり、「世間の期待に適合できない2人の少年が織りなす、この美しく構成された物語は、クィアの人々、馴染むことができない人々、あるいは世界に拒まれている全ての人々に力強い慰めを与え、そしてこの映画は命を救うことになるでしょう」と述べた[34]。同日、フランスの「ル・モンド」はクィア・パルムに言及。「『怪物』は、二人の少年の間に親密な友情がめばえ、それが愛の関係に発展するというプロットを、非常に謙抑的に描いている。映画はある側面において、2022年のカンヌに出品されたルーカス・ドン監督の『CLOSE/クロース』を思い出させる」と報じた[35]。
同年6月2日、日本で全国公開された[1]。6月5日、全国映画動員ランキングトップ10(6月2日~4日の3日間集計)が発表。『怪物』は初日から3日間で動員23万1000人、興収3億2500万円をあげ、3位で初登場した[36]。6月はプライド月間にあたっていたが、配給に携わる東宝とギャガは性的少数者に言及するパブリシティを行わず、メッセージも発信しなかった[37]。6月30日、英語字幕付きの上映がTOHOシネマズ日比谷など都内3館で始まった[38]。
備考
- 2022年10月12日、ロケをきっかけに、是枝は諏訪市立城南小学校を訪れ、映画制作に取り組む6年1部の児童28人に対し特別授業を行った。児童たちが制作した3本の映画は2013年2月14日、岡谷スカラ座で開かれた試写会で披露された[39][23]。
- 2023年6月2日の公開に合わせて、諏訪圏フィルムコミッションはロケ地マップを作成。諏訪市、岡谷市、富士見町、下諏訪町で撮影された計22か所のロケ地の写真と住所が掲載されている。フィルムコミッション長野県内の劇場などで配布するとともに、特設サイトでも公開した[29][25]。
- 2023年6月9日、諏訪圏フィルムコミッションは岡谷市の商店街「童画館通り」のふれあいホールに「廃電車」のセットの一部を再現。監督、俳優らの120枚を超えるオフショットや小道具を展示した。ホールには、映画公開からわずか1カ月間で、国内外のファン500人以上が訪れた[40][41]。
脚注
出典
- ^ a b c d e 怪物 - IMDb
- ^ a b c d “是枝裕和×坂元裕二が初タッグ!映画「怪物」来年公開、「夢が叶ってしまいました」”. 映画ナタリー (ナターシャ). (2022年11月18日) 2022年11月19日閲覧。
- ^ a b 石井百合子 (2023年1月5日). “是枝裕和監督の新作『怪物』キャスト発表!音楽は坂本龍一”. シネマトゥデイ. シネマトゥデイ. 2023年1月5日閲覧。
- ^ a b “【第76回カンヌ国際映画祭】是枝裕和監督「怪物」に脚本賞 坂元裕二「たった一人の孤独な人のために書きました」”. 映画.com (2023年5月28日). 2023年6月2日閲覧。
- ^ a b “【第76回カンヌ国際映画祭】是枝裕和監督「怪物」にクィア・パルム賞 日本映画としては初”. 映画.com (2023年5月27日). 2023年6月2日閲覧。
- ^ a b 瀬野木作、大倉たから (2023年4月1日). “亡くなった坂本龍一さん「音楽制作が難しい」体調の中で反対した神宮外苑再開発 「深呼吸し、スマホのカメラを向けることも多々あった」”. 47NEWS. 共同通信. 2023年7月3日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j “是枝裕和×坂元裕二『怪物』に安藤サクラ、永山瑛太、高畑充希、角田晃広、田中裕子ら出演”. Real Sound. blueprint (2023年1月5日). 2023年1月5日閲覧。
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- ^ a b c d e f g h i j 『怪物』劇場用パンフレット、Interview 監督:是枝裕和 脚本:坂元裕二、2023年6月2日、2023「怪物」製作委員会、pp. 3-5。
- ^ a b c d e f g h i j k SWITCH Vol.41 No.6、「特集『怪物』が描くもの」是枝裕和 ロングインタビュー、2023年5月20日、スイッチ・パブリッシング、pp. 10-15。
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- ^ “6月30日(金)より、本作の「英語字幕付き上映」が決定致しました!”. 映画『怪物』公式サイト (2023年6月26日). 2023年7月5日閲覧。
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- ^ “岡谷 映画「怪物」のセットなど展示始まる 諏訪地域でロケ”. NHK (2023年6月9日). 2023年7月30日閲覧。
- ^ “映画「怪物」に弾む商店街 長野・岡谷のロケ地に聖地巡礼”. 中日新聞 (2023年7月24日). 2023年7月30日閲覧。
外部リンク
- 映画『怪物』公式サイト
- 映画『怪物』2023年6月2日(金)公開 (@KaibutsuMovie) - X(旧Twitter)
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- 怪物 - KINENOTE
- 怪物 - MOVIE WALKER PRESS
- Kaibutsu - IMDb