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「ジンギスカンキャラメル」の版間の差分

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{{基礎情報 食品・飲料
{{出典の明記|date=2012年7月}}
|商品名= ジンギスカンキャラメル<br />{{fontsize|small|GINGENGHIS KHAN CARAMEL}}
'''ジンギスカンキャラメル'''とは、[[札幌グルメフーズ]]が[[北海道]]限定で発売している[[キャラメル]]である<ref>[http://www.omiyage-takuhai.com/fs/natoriya/gd1132 ジンギスカンキャラメル]</ref>。
|画像= [[ファイル:GINGENGHIS_KHAN_CARAMEL_01.jpg|220px]]
|販売会社= [[札幌グルメフーズ]]
|種類= [[キャラメル]]
|販売開始年= [[2004年]]
|販売終了年=
|日本での製造=
|完成国= {{JPN}}
|売上= [[#反響]]を参照
|主要会社=
|関係する人物= 長屋功一
|外部リンク=
|特記事項=
}}
'''ジンギスカンキャラメル'''は、[[札幌グルメフーズ]]が[[北海道]]限定で発売している[[キャラメル]]。北海道料理として知られる[[ジンギスカン (料理)|ジンギスカン]]の味をイメージして作られたもので、北海道札幌市の[[札幌グルメフーズ]]で、2004年6月から販売されている。「非常に不味い」と各所で話題を呼び、販売元の会社自身も「不味い」と認めているにもかかわらず、大変な人気を呼んでいる商品である。


== 概要 ==
== 開発の経緯 ==
ジンギスカンキャラメルの企画者は、当時の札幌グルメフーズの社長の長屋功一である{{R|HTB20191209}}。札幌グルメフーズは設立以来、夕張メロンキャラメル、バターキャラメル、牛乳キャラメルといった、北海道の特産品を活かしたロングセラーの土産菓子で、好評を博してきた{{R|北海道Likers20210224}}。次なる商品を開発するために、北海道らしさを追求した味を企画したところ、[[ラーメン]]、[[カニ]]、ジンギスカンの3種類が候補に挙がった{{R|HTB20191209|北海道Likers20210224}}。試作と企画検討が重ねられた末に、最終的に残ったのが、ジンギスカンであった{{R|HTB20191209|PREZO20230123}}。このことから、伝統的な北海道料理であるジンギスカンの知名度を生かして、話題性を狙って、観光客向けに開発が開始された{{R|PREZO20230123}}。この企画の時点では、「ジンギスカンとキャラメルの味が合うわけがない」と、反対の声がほとんどであった{{R|沖縄タイムス20080202m_p17}}。
北海道の代表的な[[郷土料理]]である[[ジンギスカン (料理)|ジンギスカン]]の知名度の高さを生かした[[菓子]]として、[[観光客]]が話題性のある土産品として購入することを狙った商品である。しかし[[道民]]がこの菓子を常食することはほぼ無い。


ジンギスカンの[[タレ]]は、店舗によって味が違うのが特徴であり、[[ニンニク]]や[[ショウガ]]などのバランスもそれぞれで、独自のタレが売りになっている{{R|マイナビ20150426}}。そのために、特に手本となるタレはなく「ジンギスカンとはこんな味」という感覚で製造された{{R|マイナビ20150426}}。長屋自身、特に「美味しい」とは感じておらず、美味しさよりもジンギスカンの味を忠実に再現することに重点が置かれ、製造が進められた{{R|マイナビ20150426}}。
なお、基本的には北海道限定の製品だが、他の地域にも取り扱い店([[ヴィレッジヴァンガード (書籍・雑貨店)|ヴィレッジヴァンガード]]、[[びっくりドンキー]]等)が存在し、[[通信販売]]も行っているため、北海道外からでも入手することは可能である。


開発に要した期間は、半年とも1年ともいわれる{{R|道新20050418e_p9|読売新聞20050611e_p13}}。試作品の完成当時は、会社の幹部陣から一斉に「売れるわけがない」と、発売反対の声があがった{{R|読売新聞20051001m_p2}}。ジンギスカンは日本全国的な人気の北海道料理であるが、甘いキャラメルとの組み合わせは考えられなかったことから、「不味い」と信条として{{R|北海道Likers20210224}}、2004年6月に販売が開始された{{R|道新20050418e_p9}}。長屋は後年のインタビューでは、「美味しいものばかりが売れるわけではない。遊び心が肝心」とも語っていた{{R|PREZO20230123}}。
== 形状、味、香り ==
[[パッケージ]]のサイズは典型的な[[キャラメル]]([[森永ミルクキャラメル]]など)と同じ縦長の標準的なサイズである。中のキャラメル個包装のサイズも特に変わったサイズではない。
個包装を開封して取り出したキャラメルの色・形は、やや色が薄いものの、標準的なキャラメルのイメージ範囲に入るものであり、特に警戒心を抱かせるものではない。また、製品の固さも、標準的なキャラメルの範囲といってよい。


販売当初は土産店だけの取り扱いのみであったが、後に[[スーパーマーケット]]や一部の[[コンビニエンスストア]]でも入手可能となった{{R|PREZO20230123}}。さらに問合せが増加したことから、北海道外でも販売が開始された{{R|女性自身20060404_p182}}。2023年時点においては、北海道内では[[北海道旅客鉄道|JR]][[札幌駅]]の[[Kiosk (JRグループ)|Kiosk]]、[[新千歳空港]]、[[サッポロファクトリー]]、[[旭川空港]]、北海道外では[[東京都]]の[[北海道どさんこプラザ]]、[[羽田空港]]の土産店である北海道四季彩館、[[ヴィレッジヴァンガード (書籍・雑貨店)|ヴィレッジヴァンガード]]、[[びっくりドンキー]]などの他{{R|PREZO20230123}}、通信販売でも入手可能である{{R|北海道Likers20210224}}。
味に関して、製品の名前には「ジンギスカン」と冠されているが、予想に反して成分に[[羊肉]]は使われていない(詳細後述)。そのため、「肉の味」を期待して食すると期待外れとなる。
すなわち、味は「ジンギスカン」から肉(肉汁を含む)を除いた味をイメージさせるものとなる。
具体的には、キャラメルの[[甘い]]味と香ばしい[[カラメル]]の香りに、[[ニンニク]]の味と香りと[[ネギ]](もしくは[[タマネギ]])の味と香りが加味された[[味覚]]である。
後者の味・香りは隠し味的に控えめに付加されたものではなく、大胆ともいえる力強さで加えられている。
このため、この両者の味・香りは、統合・調和するというよりも、口の中で激しく[[衝突]]をし、何度噛みしめても交わることがない。
なお、後者の味・香りは力強いため、製品が口の中から[[食道]]へ通過した後も、香りが口の中にしばらくの間とどまる現象を示す。
全体としては、キャラメルの味ともジンギスカンの味とも異なる、他に似ている食品をあげることができないようなユニークな味を、また一度食べると忘れられないような味を作り出すことに成功しているといえよう。


== 内容 ==
[[改良]]により風味が向上したこともあったが、[[クレーム]]が寄せられたため元の味に戻した過去がある。
原材料は[[水飴]]、[[砂糖]]、[[加糖練乳]]、[[植物油脂]]、[[小麦粉]]、[[食塩]]、[[ソルビトール]]、[[香料]]、[[カラメル色素]]、[[大豆]]由来の[[レシチン]]などである{{R|PREZO20230123}}。ジンギスカンの主材料である[[羊肉]]自体や肉のエキスなどは一切含まれておらず、香料のみでジンギスカンの独特の風味を再現している{{R|PREZO20230123}}。


味は、キャラメル特有の甘さと香ばしさ、ニンニクの味と香り、[[ネギ]]と[[タマネギ]]の風味をミックスしたような味わいであり、全体的にニンニクとネギの風味が強いことが特徴である{{R|PREZO20230123}}。
=== 評価 ===
以上のようなユニークな味であるため、製品に対する評価は極端なものとなることが多い。
否定的な評価としては、「二度と食べたくない」、「完食できない・吐き出したい」のようなものが代表的であり、肯定的な評価としては、「意外にいける」のようなものである。
一般的には前者の評価を受けることが多い傾向にある。


== 反響 ==
お土産として、[[友人]]・[[家庭]]・[[職場]]・[[学校]]などに持ちかえる際は、以上のような評価を受ける可能性があることを認識の上、慎重に[[リスク]]判断することが必要であろう。
2004年の発売当初は、購入者から「不味い」の声が続出し{{R|北海道Likers20210224}}、10人中9人から「不味い」との感想が寄せられた{{R|ダカーポ20050921_p35}}。商談中に吐き出されたり、製造中止を訴える葉書が札幌グルメフーズに届くこともあった{{R|朝日新聞20050805m_p39}}。札幌グルメフーズでも、開発した社長の長屋功一自身が取材に対して「まずいでしょ」「悪口雑言は大歓迎」と言い{{R|道新20050418e_p9}}、担当者の1人は「ニンニクの味で顔をしかめたくなる」「大抵のつらいことは忘れられる」{{R|朝日新聞20050805m_p39}}、社員も「やっぱり、あんまり美味しくない」と語っていた{{R|読売新聞20051001m_p2}}。店先に「マズい。(本当)」と貼り紙を出す店もあった{{R|朝日新聞20050805m_p39}}。
趣味人の類には、話題作りのためこれらのリスクを承知の上で購入、土産として会社などに持参する者もいる。


しかし翌2005年3月{{R|道新20050418e_p9}}、テレビ番組『[[笑っていいとも]]』で紹介されて、ゲスト陣が「うわ、不味い」と口から吐き出したことで、その知名度は全国的なものとなった{{R|マイナビ20150426}}。この2005年の販売数は、同社の人気商品である夕張メロンキャラメルを抜き{{R|ダカーポ20050921_p35}}、月に15万箱以上の売上を記録した{{R|SPA!20051220_p127}}。一時期は生産が追いつかずに、納品に半月を要するほどであった{{R|道新20050418e_p9}}。
[[摩訶!ジョーシキの穴]]では「十人に食べさせると十人とも違う感想を言う菓子」と紹介された。その時いたゲストもキャラメルを食べたが意見が「不味い」と「美味しい」の二つに分かれていた。


JR札幌駅の土産品売店の店員によれば、「二度と口に入れたくない味が口コミで広がり、どんな味なのかと買う観光客が多い」とのことであった{{R|読売新聞20051001m_p2}}。キャラメルは1箱の値段が比較的安価のために、土産物店でまとめ買いする観光客も多い{{R|ビジネスアイ20080113_p15}}。
== 原材料名 ==
* 以下のように、羊肉もしくは羊肉エキスなどは原材料名にはリストされていない。
** [[水飴]] - [[砂糖]] - [[加糖練乳]] - 植物[[油脂]]
** [[小麦粉]] - [[食塩]] - [[ソルビトール]]
** [[香料]] - [[キャラメル|カラメル色素]] - [[レシチン]]([[大豆]]由来)


同2005年には、[[日本民間放送連盟]]で、1年間で放送された優れた番組やCMなどを表彰する[[日本民間放送連盟賞]]において、ジンギスカンキャラメルのCM「100円のジンギスカン」が、優秀賞を受賞した{{R|日本民間放送連盟賞2005年入選・事績|道新20050916m_p32}}。この選考においては、試食者の「不味い!」「気持ち悪い!」とのリアルな声、社長の長屋の「不味くても、売れています」という殺し文句、意外性と話題性で勝負するアイディア商品のイメージが評価された{{R|日本民間放送連盟賞2005年入選・事績}}。
== 関連項目 ==
* [[ジンギスカン (料理)]]
* [[北海道限定品]]


翌2006年にも、販売数は毎月17万から18万個を記録した{{R|女性自身20060404_p182}}。この2006年4月には第2弾として、味のまろやかさが堪能できるようにと、一粒の大きさを約2倍にし、ジンギスカン風味を抑えたものの販売が開始された{{R|朝日新聞20060523e_p14}}。長屋は「『美味しい』という声を聞きたい」「多くの人に舌鼓を打って欲しい」と期待したものの、仕入れ業者や小売店からは「今さら美味しくされてもイメージと違って困る」「旨味が増したらインパクトに欠けてつまらない」との声があがり、売行は半減、5月までの売上は10万箱弱に留まった{{R|朝日新聞20060523e_p14}}。このため、味はもとの不味いものに戻された{{R|ネタとぴ20171227|千葉県産業情報20160310}}。
== 注釈 ==
{{Reflist}}


2019年には、テレビ番組や新聞、雑誌などで「圧倒的なまずさ」として取り上げられ、月間販売数60万個という驚異的な記録を打ち立てた{{R|HTB20191209}}。2021年には、テレビ局の社員が北海道から持ち帰ったことがきっかけで、テレビをはじめとする各メディアで大きな話題となり、20日間のみでの販売数が60万個に達するという、爆発的ヒットを遂げた{{R|北海道Likers20210224}}。この販売記録は、2021年まで破られていない{{R|北海道Likers20210224}}。
== 外部リンク ==

* [http://www.omiyage-takuhai.com/fs/natoriya/gd1132 ジンギスカンキャラメル]
こうしたジンギスカンキャラメルの人気は、北海道のご当地キャラメルの火付け役となり、[[ビール]]、[[ジャガイモ|男爵イモ]]、[[塩]][[バター]]、[[スープカレー]]など、30種類以上にも及ぶ北海道内限定販売のキャラメルが生まれることとなった{{R|ビジネスアイ20080113_p15}}。小樽市の[[北海道村#池田製菓|池田製菓]]は、この種類の多さについて、キャラメルは水飴と砂糖がベースのシンプルな菓子のために、果汁や香料で様々な味つけが可能であり、本来キャラメルの甘さには[[牛乳|ミルク]]やバター、[[チョコレート]]などの甘さが合うが、そうした組み合わせとは別に、観光客向けに遊び心の商品が求められているため、美味とは無縁のキャラメルが生まれている、と分析している{{R|道新20050418e_p9}}。

北海道在住者の中では、ジンギスカンキャラメルを食べたことがないという者も多く{{R|PREZO20230123}}、学生たちの間では罰ゲーム用のアイテムとしても知られている{{R|Tマークシティホテル札幌20231114}}。

=== メディアによる紹介 ===
==== 新聞 ====
2005年4月に、[[北海道新聞]]で北海道内各地の個性的なキャラメルを食べ比べる企画が開催された際には、美味なキャラメルも多い中で、ジンギスカンキャラメルは誰からも悪評を投げかけられ、「想像を絶するまずさ」「一つ食べたら、まずくて続かない」との声もあった{{R|道新20050418e_p9}}。

イラストレーターのはやしひろが[[産経新聞]]紙上で試食した際には、口にした途端に吐き出し、「なぜこれを商品化したのか」と語った{{R|産経新聞20060214m_p26}}。はやしの勧めで食べた新聞記者陣からも、「味がくどい」「古くなった油の味」「後味が悪い」と非難の声が寄せられた{{R|産経新聞20060214m_p26}}。

==== 書籍・雑誌 ====
イラストレーターの[[ボンボヤージュ]]のコミックエッセイ「旅ボン」では、ボンボヤージュ自身は「癖のある脂ぎった風味が強烈」「心と体の両方にダメージを受ける」と言い、ボンボヤージュに勧められて試食した者たちも「マジ無理」とのことだった{{R|新旅ボン201206_p42}}。エッセイストの[[北大路公子]]は、自身のエッセイにおいて、味について「全く平気だった」と述べたものの、「『もう一ついるか』と聞かれれば、『一生要らない』と答える」とのことであった{{R|流されるにもホドがある_p102}}。

雑誌『[[DIME (雑誌)|DIME]]』での放送作家の[[小山薫堂]]による連載「レッドデータリスト」では、「消えゆきそうなもの」として小山がジンギスカンキャラメルを入手した{{R|DIME20060207_p85}}。自身では食べる勇気がなく、スタッフに食べさせたところ「獣の毛を噛んでいるみたい」「生まれて初めて、口にした食べ物を吐き出したいと思った」「なぜこれをキャラメルにしたのか意図がわからない」とのことであった{{R|DIME20060207_p85}}。小山がこれを知ったきっかけは、アニメーションプロデューサーの宮原佐研子からの情報であり、宮原は「北海道土産として会社へ持参したところ、周囲からのあまりの非難の多さで会社での肩身が狭くなった」と語っていた{{R|DIME20060207_p85}}。

雑誌『[[SPA!]]』で、[[神足裕司]]、[[ペリー荻野]]、[[石原壮一郎]]ら3人のコラムニストにより企画された座談会「マズい食い物大図鑑」では、ジンギスカンキャラメルが座談会の目玉商品とされていた{{R|SPA!20051220_p128}}。神足裕司は「ヒツジの死体くさい」「製造元は不況でわけがわからなくなって作ってしまったとしか思えない」、ペリー荻野は「不味すぎる」「舌の上でキャラメルが逃げ回っている」と酷評した{{R|SPA!20051220_p128}}。一方で石原壮一郎は「期待したほどの不味さではない」「悪くはない」と述べたものの、神足からは「そういう人が100万人に1人くらいいる」と指摘されていた{{R|SPA!20051220_p128}}。同座談会のスイーツ系として、餃子ようかん、えびチリようかんなど12商品が用意された中で、ジンギスカンキャラメルは不味さを示す「マズ度」が星印5つの「★★★★★」であり、全商品中のワースト2に選ばれた{{R|SPA!20051220_p128}}。一方、同じ北海道の商品である「男爵いもバターキャラメル」(池田製菓)はマズ度が0であり、「ジンギスカンと同じ棚に並んでいるのが可哀想」と述べられていた{{R|SPA!20051220_p128}}。

調教助手の[[谷中公一]]は、[[日刊スポーツ]]の連載記事「谷中公一のぶっちゃけちゃえ」で、北海道の滞在中に様々な美味しい食べ物を楽しんだ一方、ジンギスカンキャラメルだけは「聞いただけで鳥肌立った」といって、遠慮した旨を述べている{{R|ニッカン20060922_p12}}。

漫画『[[四十七大戦]]』の作中では、ジンギスカンキャラメルは「ジンギスカンのたれを不要な完成度で再現してしまった道民の負の遺産」とされ、キャラメルを食べさせらそうになった者が「刑が重い」「僕の涙の味」と語っている{{R|四十七大戦5_p158}}。

==== インターネット ====
風変わりな食べ物の試食で人気を呼ぶウェブサイト「米林ジャーナル」の運営者である米林剣馬は、「肉とネギの風味で、忠実にジンギスカンの味を再現しており、ありがたいと思うほどの不味さ」とコメントした{{R|女性自身20060404_p182}}。

携帯電話サイト「ガールズウーマン」(株式会社ルミネクス)がユーザー向けに行っている毎日アンケートで、2007年9月に発表された「私が見つけた、おもしろいおみやげ」では「ジンギスカンキャラメル」の名が挙がったものの、「買った自分は食べなかった」とのことであった{{R|繊研新聞20070925_p13}}。

ニュースサイト「[[ガジェット通信]]」での企画「ヤバイ北海道土産品評会」では、「奇抜な北海道土産特集なら避けては通れない」「ヤバイお土産の代表格」と紹介されており、味については「焼肉屋の店内の味」「食べ終わった後の口の中はジンギスカンを食べた後と一致」「脂っぽい感じとタレの甘みっぽい風味」「企画を立てた人も、企画を通した人も、開発した人もみんなすごい」との感想が寄せられた{{R|ガジェット通信20180921}}。

[[マイナビ]]の女性総合ウェブサイト「マイナビウーマン」で、「意外な組み合わせの菓子」について、読者アンケート調査結果では、ジンギスカンキャラメルやジンギスカン味のハイチュウなど、ジンギスカンにまつわる菓子の意見が最も多く寄せられ、「友人は『まずい』と言っていたが、私はおいしくはないが食べられた」「再度食べたいとは思わない」などの意見があった{{R|ライブドア20140201}}。「食べてみたいと思う菓子」でもジンギスカンキャラメルの名があがった{{R|ライブドア20140201}}。

[[北海道テレビ放送]]のメディアサイト「SODANE」による試食では、「口に入れた瞬間まずくて、噛んでもやっぱりまずい」「ジンギスカンとキャラメルが、口内で不協和音を奏で続けている」「迂闊に口を動かそうものなら、次々とまずいエキスがあふれてくる」「口内投入、即地獄」「罰ゲーム用の強烈な1品におすすめ」と酷評された{{R|HTB20191209}}。

一方で、ニュースサイト「めるも」において、本物の料理としてのジンギスカンとジンギスカンキャラメルの食べ比べを行った際には、キャラメル独特の人工的な風味が一切感じられず、純粋に甘く美味しいキャラメルとして食べられたといい、ジンギスカンの風味を非常に忠実に再現しているという検証結果が得られている{{R|ライブドア20170912}}。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist|30em|refs=
<ref name="DIME20060207_p85">{{Harvnb|小山|2006|p=85}}</ref>
<ref name="SPA!20051220_p127">{{Harvnb|杉原|永谷|安田|2005|p=127}}</ref>
<ref name="SPA!20051220_p128">{{Harvnb|杉原|永谷|安田|2005|pp=127-128}}</ref>
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<ref name="女性自身20060404_p182">{{Harvnb|女性自身|2006|p=182}}</ref>

<ref name="四十七大戦5_p158">{{Cite book|和書|author=一二三|authorlink=一二三 (漫画家)|title=[[四十七大戦]]|date=2022-02-09|publisher=[[講談社]]|series=KSデラックス|volume=5|isbn=978-4-06-526300-6|page=158}}</ref>
<ref name="新旅ボン201206_p42">{{Cite book|和書|author=ボンボヤージュ|authorlink=ボンボヤージュ|title=新 旅ボン|date=2012-06|publisher=[[主婦と生活社]]|volume=北海道編|isbn=978-4-391-14163-4|page=42}}</ref>
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<ref name="朝日新聞20050805m_p39">{{Cite news|和書|title=青鉛筆 まずいのに売れてる「ジンギスカンキャラメル」|newspaper=[[朝日新聞]]|edition=東京朝刊|date=2005-08-05|publisher=[[朝日新聞社]]|page=39}}</ref>
<ref name="朝日新聞20060523e_p14">{{Cite news|和書|title=まずさ評判「ジンギスカンキャラメル」ウマくしたら販売いま一つ|newspaper=朝日新聞|edition=東京夕刊|date=2006-05-23|author=北村有樹子|page=14}}</ref>
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<ref name="読売新聞20050611e_p13">{{Cite news|和書|title=トレンド「まずい」味で大ヒット商品|newspaper=[[読売新聞]]|edition=東京夕刊|date=2005-06-11|author=成川由貴子|publisher=[[読売新聞社]]|page=13}}</ref>
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<ref name="道新20050418e_p9">{{Cite news|和書|title=ゆうたうん“道内限定”めじろ押し ハッカ、イモバター、日本酒… えっ、キャラメルの味!? 観光客向け遊び心で 話題集め種類増える|newspaper=[[北海道新聞]]|edition=圏B夕刊|date=2005-04-18|author=山本哲朗|publisher=[[北海道新聞社]]|page=9}}</ref>
<ref name="道新20050916m_p32">{{Cite news|和書|title=最優秀賞にHBC 民放連賞|newspaper=北海道新聞|edition=全道朝刊|date=2005-09-16|page=32}}</ref>
<ref name="沖縄タイムス20080202m_p17">{{Cite news|和書|title=キャラメルに意外な味 ジンギスカン・スープカレー… 北海道でブーム|newspaper=[[沖縄タイムス]]|edition=朝刊|date=2008-02-02|publisher=沖縄タイムス社|page=17}}</ref>
<ref name="繊研新聞20070925_p13">{{Cite news|和書|title=データ データ 私が見つけた、おもしろいおみやげ|newspaper=[[繊研新聞]]|date=2007-09-25|publisher=[[繊研新聞社]]|page=13}}</ref>
<ref name="ニッカン20060922_p12">{{Cite news|和書|title=連載 谷中公一のぶっちゃけちゃえ ジンギスカンキャラメルって…|newspaper=[[日刊スポーツ]]|edition=東京日刊|date=2006-09-22|author=谷中公一|authorlink=谷中公一|publisher=日刊スポーツ新聞社|page=12}}</ref>
<ref name="ビジネスアイ20080113_p15">{{Cite news|和書|title=北海道のキャラメルに人気 好奇心くすぐる|newspaper=[[フジサンケイ ビジネスアイ]]|edition=FujiSankei|date=2008-01-13|publisher=[[日本工業新聞社]]|page=15}}</ref>

<ref name="HTB20191209">{{Cite web|和書|url=https://www.htb.co.jp/sodane/column/20191209123015066968.html |title=北海道が誇る究極の“珍”土産――「ジンギスカンキャラメル」を食べてみた|accessdate=2024-07-19|author=相良海琴|date=2019-12-09|website=SODANE|publisher=[[北海道テレビ放送]]}}</ref>
<ref name="PREZO20230123">{{Cite web|和書|url=https://prezo.jp/column/3694 |title=北海道土産で有名?なジンギスカンキャラメル。愛され続ける秘密とその味わい|accessdate=2024-07-19|date=2023-01-23|website=PREZO|publisher=アクセスジャパン}}</ref>
<ref name="Tマークシティホテル札幌20231114">{{Cite web|和書|url=https://tmarkcity.com/sapporo/2581.html |title=北海道みやげオススメ3選|accessdate=2024-07-19|date=2023-11-14|website=Tマークシティ通信|publisher=Tマークシティホテル札幌}}</ref>
<ref name="ガジェット通信20180921">{{Cite web|和書|url=https://getnews.jp/archives/2080030 |title=『ジンギスカンキャラメル』『ビールキャラメル』など……ヤバイ北海道土産品評会を開催してみた!|accessdate=2024-07-19|author=ノジーマ|date=2018-09-21|website=[[ガジェット通信]]|publisher=[[東京産業新聞社]]}}</ref>
<ref name="ネタとぴ20171227">{{Cite web|和書|url=https://netatopi.jp/article/1099100.html |title=思わず「まずい!」と言ってしまうお土産、「たこやきあめちゃん」大阪に誕生!「こんなまずいアメちゃんが、売れるのか?」→観光客にバカ売れ、生産ライン増強|accessdate=2024-07-19|author=工藤ひろえ|date=2017-12-27|website=[[ネタとぴ]]|publisher=[[インプレス]]}}</ref>
<ref name="マイナビ20150426">{{Cite web|和書|url=https://news.mynavi.jp/article/20150426-sapporo/ |title=「ジンギスカンキャラメル」「黒い恋人」、北海道珍土産はこうして生まれた|accessdate=2024-07-19|date=2015-04-26|website=[[マイナビニュース]]|publisher=[[マイナビ]]}}</ref>
<ref name="ライブドア20140201">{{Cite web|和書|url=https://news.livedoor.com/article/detail/8490840/ |title=えっ! 意外な組み合わせのお菓子―「鯖みそガム」「なまこアイス」|accessdate=2024-07-19|author=岩田なつき|date=2014-02-01|website=[[livedoor ニュース]]|publisher=[[ライブドア (2022年設立の企業)|ライブドア]]}}</ref>
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== 参考文献 ==
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* {{Cite journal|和書|date=2006-04-04|title=あたりまえの美味に飽きた人の究極グルメ 日本全国まずいけどクセになる珍食品 一度食べたら忘れられない強烈な味|journal=[[女性自身]]|volume=49|issue=12|pages=182-183|publisher=[[光文社]]|id={{OYALIB|200020922}}|ref={{SfnRef|女性自身|2006}}}}


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2024年7月19日 (金) 13:26時点における版

ジンギスカンキャラメル
GINGENGHIS KHAN CARAMEL
販売会社 札幌グルメフーズ
種類 キャラメル
販売開始年 2004年
完成国 日本の旗 日本
売上 #反響を参照
関係する人物 長屋功一
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ジンギスカンキャラメルは、札幌グルメフーズ北海道限定で発売しているキャラメル。北海道料理として知られるジンギスカンの味をイメージして作られたもので、北海道札幌市の札幌グルメフーズで、2004年6月から販売されている。「非常に不味い」と各所で話題を呼び、販売元の会社自身も「不味い」と認めているにもかかわらず、大変な人気を呼んでいる商品である。

開発の経緯

ジンギスカンキャラメルの企画者は、当時の札幌グルメフーズの社長の長屋功一である[1]。札幌グルメフーズは設立以来、夕張メロンキャラメル、バターキャラメル、牛乳キャラメルといった、北海道の特産品を活かしたロングセラーの土産菓子で、好評を博してきた[2]。次なる商品を開発するために、北海道らしさを追求した味を企画したところ、ラーメンカニ、ジンギスカンの3種類が候補に挙がった[1][2]。試作と企画検討が重ねられた末に、最終的に残ったのが、ジンギスカンであった[1][3]。このことから、伝統的な北海道料理であるジンギスカンの知名度を生かして、話題性を狙って、観光客向けに開発が開始された[3]。この企画の時点では、「ジンギスカンとキャラメルの味が合うわけがない」と、反対の声がほとんどであった[4]

ジンギスカンのタレは、店舗によって味が違うのが特徴であり、ニンニクショウガなどのバランスもそれぞれで、独自のタレが売りになっている[5]。そのために、特に手本となるタレはなく「ジンギスカンとはこんな味」という感覚で製造された[5]。長屋自身、特に「美味しい」とは感じておらず、美味しさよりもジンギスカンの味を忠実に再現することに重点が置かれ、製造が進められた[5]

開発に要した期間は、半年とも1年ともいわれる[6][7]。試作品の完成当時は、会社の幹部陣から一斉に「売れるわけがない」と、発売反対の声があがった[8]。ジンギスカンは日本全国的な人気の北海道料理であるが、甘いキャラメルとの組み合わせは考えられなかったことから、「不味い」と信条として[2]、2004年6月に販売が開始された[6]。長屋は後年のインタビューでは、「美味しいものばかりが売れるわけではない。遊び心が肝心」とも語っていた[3]

販売当初は土産店だけの取り扱いのみであったが、後にスーパーマーケットや一部のコンビニエンスストアでも入手可能となった[3]。さらに問合せが増加したことから、北海道外でも販売が開始された[9]。2023年時点においては、北海道内ではJR札幌駅Kiosk新千歳空港サッポロファクトリー旭川空港、北海道外では東京都北海道どさんこプラザ羽田空港の土産店である北海道四季彩館、ヴィレッジヴァンガードびっくりドンキーなどの他[3]、通信販売でも入手可能である[2]

内容

原材料は水飴砂糖加糖練乳植物油脂小麦粉食塩ソルビトール香料カラメル色素大豆由来のレシチンなどである[3]。ジンギスカンの主材料である羊肉自体や肉のエキスなどは一切含まれておらず、香料のみでジンギスカンの独特の風味を再現している[3]

味は、キャラメル特有の甘さと香ばしさ、ニンニクの味と香り、ネギタマネギの風味をミックスしたような味わいであり、全体的にニンニクとネギの風味が強いことが特徴である[3]

反響

2004年の発売当初は、購入者から「不味い」の声が続出し[2]、10人中9人から「不味い」との感想が寄せられた[10]。商談中に吐き出されたり、製造中止を訴える葉書が札幌グルメフーズに届くこともあった[11]。札幌グルメフーズでも、開発した社長の長屋功一自身が取材に対して「まずいでしょ」「悪口雑言は大歓迎」と言い[6]、担当者の1人は「ニンニクの味で顔をしかめたくなる」「大抵のつらいことは忘れられる」[11]、社員も「やっぱり、あんまり美味しくない」と語っていた[8]。店先に「マズい。(本当)」と貼り紙を出す店もあった[11]

しかし翌2005年3月[6]、テレビ番組『笑っていいとも』で紹介されて、ゲスト陣が「うわ、不味い」と口から吐き出したことで、その知名度は全国的なものとなった[5]。この2005年の販売数は、同社の人気商品である夕張メロンキャラメルを抜き[10]、月に15万箱以上の売上を記録した[12]。一時期は生産が追いつかずに、納品に半月を要するほどであった[6]

JR札幌駅の土産品売店の店員によれば、「二度と口に入れたくない味が口コミで広がり、どんな味なのかと買う観光客が多い」とのことであった[8]。キャラメルは1箱の値段が比較的安価のために、土産物店でまとめ買いする観光客も多い[13]

同2005年には、日本民間放送連盟で、1年間で放送された優れた番組やCMなどを表彰する日本民間放送連盟賞において、ジンギスカンキャラメルのCM「100円のジンギスカン」が、優秀賞を受賞した[14][15]。この選考においては、試食者の「不味い!」「気持ち悪い!」とのリアルな声、社長の長屋の「不味くても、売れています」という殺し文句、意外性と話題性で勝負するアイディア商品のイメージが評価された[14]

翌2006年にも、販売数は毎月17万から18万個を記録した[9]。この2006年4月には第2弾として、味のまろやかさが堪能できるようにと、一粒の大きさを約2倍にし、ジンギスカン風味を抑えたものの販売が開始された[16]。長屋は「『美味しい』という声を聞きたい」「多くの人に舌鼓を打って欲しい」と期待したものの、仕入れ業者や小売店からは「今さら美味しくされてもイメージと違って困る」「旨味が増したらインパクトに欠けてつまらない」との声があがり、売行は半減、5月までの売上は10万箱弱に留まった[16]。このため、味はもとの不味いものに戻された[17][18]

2019年には、テレビ番組や新聞、雑誌などで「圧倒的なまずさ」として取り上げられ、月間販売数60万個という驚異的な記録を打ち立てた[1]。2021年には、テレビ局の社員が北海道から持ち帰ったことがきっかけで、テレビをはじめとする各メディアで大きな話題となり、20日間のみでの販売数が60万個に達するという、爆発的ヒットを遂げた[2]。この販売記録は、2021年まで破られていない[2]

こうしたジンギスカンキャラメルの人気は、北海道のご当地キャラメルの火付け役となり、ビール男爵イモバタースープカレーなど、30種類以上にも及ぶ北海道内限定販売のキャラメルが生まれることとなった[13]。小樽市の池田製菓は、この種類の多さについて、キャラメルは水飴と砂糖がベースのシンプルな菓子のために、果汁や香料で様々な味つけが可能であり、本来キャラメルの甘さにはミルクやバター、チョコレートなどの甘さが合うが、そうした組み合わせとは別に、観光客向けに遊び心の商品が求められているため、美味とは無縁のキャラメルが生まれている、と分析している[6]

北海道在住者の中では、ジンギスカンキャラメルを食べたことがないという者も多く[3]、学生たちの間では罰ゲーム用のアイテムとしても知られている[19]

メディアによる紹介

新聞

2005年4月に、北海道新聞で北海道内各地の個性的なキャラメルを食べ比べる企画が開催された際には、美味なキャラメルも多い中で、ジンギスカンキャラメルは誰からも悪評を投げかけられ、「想像を絶するまずさ」「一つ食べたら、まずくて続かない」との声もあった[6]

イラストレーターのはやしひろが産経新聞紙上で試食した際には、口にした途端に吐き出し、「なぜこれを商品化したのか」と語った[20]。はやしの勧めで食べた新聞記者陣からも、「味がくどい」「古くなった油の味」「後味が悪い」と非難の声が寄せられた[20]

書籍・雑誌

イラストレーターのボンボヤージュのコミックエッセイ「旅ボン」では、ボンボヤージュ自身は「癖のある脂ぎった風味が強烈」「心と体の両方にダメージを受ける」と言い、ボンボヤージュに勧められて試食した者たちも「マジ無理」とのことだった[21]。エッセイストの北大路公子は、自身のエッセイにおいて、味について「全く平気だった」と述べたものの、「『もう一ついるか』と聞かれれば、『一生要らない』と答える」とのことであった[22]

雑誌『DIME』での放送作家の小山薫堂による連載「レッドデータリスト」では、「消えゆきそうなもの」として小山がジンギスカンキャラメルを入手した[23]。自身では食べる勇気がなく、スタッフに食べさせたところ「獣の毛を噛んでいるみたい」「生まれて初めて、口にした食べ物を吐き出したいと思った」「なぜこれをキャラメルにしたのか意図がわからない」とのことであった[23]。小山がこれを知ったきっかけは、アニメーションプロデューサーの宮原佐研子からの情報であり、宮原は「北海道土産として会社へ持参したところ、周囲からのあまりの非難の多さで会社での肩身が狭くなった」と語っていた[23]

雑誌『SPA!』で、神足裕司ペリー荻野石原壮一郎ら3人のコラムニストにより企画された座談会「マズい食い物大図鑑」では、ジンギスカンキャラメルが座談会の目玉商品とされていた[24]。神足裕司は「ヒツジの死体くさい」「製造元は不況でわけがわからなくなって作ってしまったとしか思えない」、ペリー荻野は「不味すぎる」「舌の上でキャラメルが逃げ回っている」と酷評した[24]。一方で石原壮一郎は「期待したほどの不味さではない」「悪くはない」と述べたものの、神足からは「そういう人が100万人に1人くらいいる」と指摘されていた[24]。同座談会のスイーツ系として、餃子ようかん、えびチリようかんなど12商品が用意された中で、ジンギスカンキャラメルは不味さを示す「マズ度」が星印5つの「★★★★★」であり、全商品中のワースト2に選ばれた[24]。一方、同じ北海道の商品である「男爵いもバターキャラメル」(池田製菓)はマズ度が0であり、「ジンギスカンと同じ棚に並んでいるのが可哀想」と述べられていた[24]

調教助手の谷中公一は、日刊スポーツの連載記事「谷中公一のぶっちゃけちゃえ」で、北海道の滞在中に様々な美味しい食べ物を楽しんだ一方、ジンギスカンキャラメルだけは「聞いただけで鳥肌立った」といって、遠慮した旨を述べている[25]

漫画『四十七大戦』の作中では、ジンギスカンキャラメルは「ジンギスカンのたれを不要な完成度で再現してしまった道民の負の遺産」とされ、キャラメルを食べさせらそうになった者が「刑が重い」「僕の涙の味」と語っている[26]

インターネット

風変わりな食べ物の試食で人気を呼ぶウェブサイト「米林ジャーナル」の運営者である米林剣馬は、「肉とネギの風味で、忠実にジンギスカンの味を再現しており、ありがたいと思うほどの不味さ」とコメントした[9]

携帯電話サイト「ガールズウーマン」(株式会社ルミネクス)がユーザー向けに行っている毎日アンケートで、2007年9月に発表された「私が見つけた、おもしろいおみやげ」では「ジンギスカンキャラメル」の名が挙がったものの、「買った自分は食べなかった」とのことであった[27]

ニュースサイト「ガジェット通信」での企画「ヤバイ北海道土産品評会」では、「奇抜な北海道土産特集なら避けては通れない」「ヤバイお土産の代表格」と紹介されており、味については「焼肉屋の店内の味」「食べ終わった後の口の中はジンギスカンを食べた後と一致」「脂っぽい感じとタレの甘みっぽい風味」「企画を立てた人も、企画を通した人も、開発した人もみんなすごい」との感想が寄せられた[28]

マイナビの女性総合ウェブサイト「マイナビウーマン」で、「意外な組み合わせの菓子」について、読者アンケート調査結果では、ジンギスカンキャラメルやジンギスカン味のハイチュウなど、ジンギスカンにまつわる菓子の意見が最も多く寄せられ、「友人は『まずい』と言っていたが、私はおいしくはないが食べられた」「再度食べたいとは思わない」などの意見があった[29]。「食べてみたいと思う菓子」でもジンギスカンキャラメルの名があがった[29]

北海道テレビ放送のメディアサイト「SODANE」による試食では、「口に入れた瞬間まずくて、噛んでもやっぱりまずい」「ジンギスカンとキャラメルが、口内で不協和音を奏で続けている」「迂闊に口を動かそうものなら、次々とまずいエキスがあふれてくる」「口内投入、即地獄」「罰ゲーム用の強烈な1品におすすめ」と酷評された[1]

一方で、ニュースサイト「めるも」において、本物の料理としてのジンギスカンとジンギスカンキャラメルの食べ比べを行った際には、キャラメル独特の人工的な風味が一切感じられず、純粋に甘く美味しいキャラメルとして食べられたといい、ジンギスカンの風味を非常に忠実に再現しているという検証結果が得られている[30]

脚注

  1. ^ a b c d e 相良海琴 (2019年12月9日). “北海道が誇る究極の“珍”土産――「ジンギスカンキャラメル」を食べてみた”. SODANE. 北海道テレビ放送. 2024年7月19日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g aoikara (2021年2月24日). “まずいと噂のジンギスカンキャラメル。長く愛されている理由を調べてみた”. 北海道Likers. INCLUSIVE. 2024年7月19日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i 北海道土産で有名?なジンギスカンキャラメル。愛され続ける秘密とその味わい”. PREZO. アクセスジャパン (2023年1月23日). 2024年7月19日閲覧。
  4. ^ 「キャラメルに意外な味 ジンギスカン・スープカレー… 北海道でブーム」『沖縄タイムス』沖縄タイムス社、2008年2月2日、朝刊、17面。
  5. ^ a b c d 「ジンギスカンキャラメル」「黒い恋人」、北海道珍土産はこうして生まれた”. マイナビニュース. マイナビ (2015年4月26日). 2024年7月19日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g 山本哲朗「ゆうたうん“道内限定”めじろ押し ハッカ、イモバター、日本酒… えっ、キャラメルの味!? 観光客向け遊び心で 話題集め種類増える」『北海道新聞北海道新聞社、2005年4月18日、圏B夕刊、9面。
  7. ^ 成川由貴子「トレンド「まずい」味で大ヒット商品」『読売新聞読売新聞社、2005年6月11日、東京夕刊、13面。
  8. ^ a b c 「ほっかいどう観光土産特集 売れてます「北海道限定」」『読売新聞』2005年10月1日、東京朝刊、2面。
  9. ^ a b c 女性自身 2006, p. 182
  10. ^ a b ダカーポ 2005, p. 35
  11. ^ a b c 「青鉛筆 まずいのに売れてる「ジンギスカンキャラメル」」『朝日新聞朝日新聞社、2005年8月5日、東京朝刊、39面。
  12. ^ 杉原, 永谷 & 安田 2005, p. 127
  13. ^ a b 「北海道のキャラメルに人気 好奇心くすぐる」『フジサンケイ ビジネスアイ日本工業新聞社、2008年1月13日、FujiSankei、15面。
  14. ^ a b 日本民間放送連盟賞 / 2005年(平成17年)入選・事績”. 日本民間放送連盟賞. 日本民間放送連盟 (2005年). 2024年7月19日閲覧。
  15. ^ 「最優秀賞にHBC 民放連賞」『北海道新聞』2005年9月16日、全道朝刊、32面。
  16. ^ a b 北村有樹子「まずさ評判「ジンギスカンキャラメル」ウマくしたら販売いま一つ」『朝日新聞』2006年5月23日、東京夕刊、14面。
  17. ^ 工藤ひろえ (2017年12月27日). “思わず「まずい!」と言ってしまうお土産、「たこやきあめちゃん」大阪に誕生!「こんなまずいアメちゃんが、売れるのか?」→観光客にバカ売れ、生産ライン増強”. ネタとぴ. インプレス. 2024年7月19日閲覧。
  18. ^ 秋田舞美 (2016年3月10日). “企業を尖らすコンセプト・マーケティング”. 千葉県産業情報ヘッドライン. 千葉県. 2024年7月19日閲覧。
  19. ^ 北海道みやげオススメ3選”. Tマークシティ通信. Tマークシティホテル札幌 (2023年11月14日). 2024年7月19日閲覧。
  20. ^ a b はやし・ひろ「はやし・ひろの流行Watch out! ジンギスカンキャラメル」『産経新聞産業経済新聞社、2006年2月14日、東京朝刊、26面。
  21. ^ ボンボヤージュ『新 旅ボン』 北海道編、主婦と生活社、2012年6月、42頁。ISBN 978-4-391-14163-4 
  22. ^ 北大路公子『流されるにもホドがある キミコ流行漂流記』実業之日本社、2017年6月15日、102-103頁。ISBN 978-4-408-55358-0 
  23. ^ a b c 小山 2006, p. 85
  24. ^ a b c d e 杉原, 永谷 & 安田 2005, pp. 127–128
  25. ^ 谷中公一「連載 谷中公一のぶっちゃけちゃえ ジンギスカンキャラメルって…」『日刊スポーツ』日刊スポーツ新聞社、2006年9月22日、東京日刊、12面。
  26. ^ 一二三四十七大戦』 5巻、講談社〈KSデラックス〉、2022年2月9日、158頁。ISBN 978-4-06-526300-6 
  27. ^ 「データ データ 私が見つけた、おもしろいおみやげ」『繊研新聞繊研新聞社、2007年9月25日、13面。
  28. ^ ノジーマ (2018年9月21日). “『ジンギスカンキャラメル』『ビールキャラメル』など……ヤバイ北海道土産品評会を開催してみた!”. ガジェット通信. 東京産業新聞社. 2024年7月19日閲覧。
  29. ^ a b 岩田なつき (2014年2月1日). “えっ! 意外な組み合わせのお菓子―「鯖みそガム」「なまこアイス」”. livedoor ニュース. ライブドア. 2024年7月19日閲覧。
  30. ^ Mr. Fox (2017年9月12日). “【検証】北海道の衝撃キャラメル「ジンギスカンキャラメル」と本物のジンギスカンを食べ比べてみた結果”. livedoor ニュース. 2024年7月19日閲覧。

参考文献

  • 小山薫堂「小山薫堂のレッドデータリスト 絶滅危惧図鑑 8回 誰が求めたのか、北海道の郷土の味わい 唯一無二、獣臭を感じるのに甘いヤツ 北海道ジンギスカンキャラメル」『DIME』第21巻第2号、小学館、2006年2月7日、85頁、大宅壮一文庫所蔵:200032816 
  • 杉原光徳・永谷正樹・安田はつね「特選「マズい食い物」大図鑑 ジンギスカンキャラメル・餃子ようかん・いかチョコ…、想像を絶する食品が続々登場し、なぜか大ウケ中 マズいのも委員会が食べてみた」『SPA!』第54巻第54号、扶桑社、2005年12月20日、127-131頁、大宅壮一文庫所蔵:100053474 
  • 「dacapo ORIGINAL 食品 これからはインパクトで勝負! 珍食品ブームがやってくる」『ダカーポ』第25巻第17号、マガジンハウス、2005年9月21日、35頁、大宅壮一文庫所蔵:200142302 
  • 「あたりまえの美味に飽きた人の究極グルメ 日本全国まずいけどクセになる珍食品 一度食べたら忘れられない強烈な味」『女性自身』第49巻第12号、光文社、2006年4月4日、182-183頁、大宅壮一文庫所蔵:200020922