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'''ポエティックフレア'''(英:''Poetic Flare'')は、[[アイルランド]]で生産・調教されていた[[競走馬]]である。
'''ポエティックフレア'''（[[英語|英]]:Poetic Flare、[[2018年]][[3月26日]] - ）は、[[アイルランド]]の[[競走馬]]である。
主な勝ち鞍は[[2021年]][[2000ギニーステークス|英2000ギニー]]、[[セントジェームズパレスステークス]]。


== 戦績 ==
== 概要 ==
[[2021年]]、3歳時にG1競走を7連戦し、そのうち[[2000ギニーステークス]]および[[セントジェームズパレスステークス]]の2競走を優勝。G1競走勝利の双方で父[[ドーンアプローチ]]との父仔制覇を達成した。ほか、2021年[[アイリッシュチャンピオンステークス]]3着など。
===2歳（2020年）===
3月23日ネース競馬場の未勝利戦（芝5f）でデビューし初陣を勝利で飾る。その後、7か月の休養を挟んで10月10日の[[デューハーストステークス]]に出走したが10着と大敗する。


連闘で挑んだ10月17日の[[キラヴランステークス]]（G3）を優勝し、3戦2勝で2歳シーズンを終えた。
主な勝ち鞍は[[2020年]][[キラヴランステークス]]、2021年2000ギニーステークス、セントジェームズパレスステークス。通算11戦5勝。


現役引退後は[[日本]]の[[社台スタリオンステーション]]で[[種牡馬]]入りした。
===3歳（2021年）===
4月11日の準重賞アイリッシュ2000ギニートライアルステークスで始動。好スタートから道中2番手で追走し、直線で先頭に立つと最後はエースオージーに1馬身半差つけ快勝する<ref>{{Cite web|url=https://world.jra-van.jp/news/N0008794/|title=愛2000ギニートライアルS、ポエティックフレアが制す|accessdate=2021-05-05|date=2021-04-12|publisher=JRA-VAN}}</ref>。


== 生い立ち - デビュー前 ==
5月1日の2000ギニーでは好位追走からしぶとく脚を伸ばすと、後方から伸びてきたマスターオブザシーズとの叩き合いをアタマ差で制しG1競走初制覇を果たした<ref>{{Cite web|url=https://world.jra-van.jp/news/N0008923/|title=G1英2000ギニーは人気馬不発、伏兵ポエティックフレアが叩き合い制す|accessdate=2021-05-05|date=2021-05-02|publisher=JRA-VAN}}</ref>。
[[2018年]][[3月26日]]、[[調教師]]のジム・ボルジャーによって[[アイルランド]]で生産される<ref name="Racing Post">{{Cite web |title=Poetic Flare {{!}} Race Record & Form |url=https://www.racingpost.com/profile/horse/3048877/poetic-flare/form |website=www.racingpost.com |access-date=2022-12-27 |publisher=[[レーシングポスト|Racing Post]]}}</ref><ref name="dennis202159">[[ポエティックフレア#Dennis2021|Dennis2021, p.59]]</ref>。


父は[[種牡馬]]の[[ドーンアプローチ]]、母は[[繁殖牝馬]]のマリアリーで、どちらもボルジャーの自家生産馬である<ref name="dennis202159" />。また、2代前の父父[[ニューアプローチ]]、父母ヒムオブザドーン、2代母エリーダも、すべてボルジャーが調教師として手掛けた競走馬である<ref name="dennis202159" /><ref>{{Cite web|和書|title=血統情報：5代血統表｜ポエティックフレア(IRE)|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0001346307/pedigree/ |website=JBISサーチ |access-date=2022-12-28}}</ref>。[[牝系]]は、3代母のサヴィアーからボルジャーが手掛けているものであり、サヴィアーを祖とする本馬の近親としては[[テオフィロ (競走馬)|テオフィロ]]がいる<ref>{{Cite web |title=Poetic Flare underlines stallion credentials with St James's Palace Stakes romp {{!}} Bloodstock News |url=https://www.racingpost.com/bloodstock/poetic-flare-underlines-stallion-credentials-with-st-jamess-palace-stakes-romp/495417 |website=www.racingpost.com |access-date=2022-12-28 |publisher=[[レーシングポスト|Racing Post]] |last=Thomas |first=James |archive-url=https://web.archive.org/web/20221228055212/https://www.racingpost.com/bloodstock/poetic-flare-underlines-stallion-credentials-with-st-jamess-palace-stakes-romp/495417 |archive-date=2022-12-28}}</ref>。本馬のエクイノムスピード遺伝子は、父ドーンアプローチと同じく短距離向きのCC型である<ref>{{Cite web |title=Speed gene sheds light on why Mac Swiney rather than Poetic Flare is Derby type {{!}} Bloodstock News |url=https://www.racingpost.com/bloodstock/speed-gene-sheds-light-on-why-mac-swiney-rather-than-poetic-flare-is-derby-type/492484 |website=www.racingpost.com |access-date=2022-12-28 |publisher=[[レーシングポスト|Racing Post]] |last=Stevens |first=Martin |archive-url=https://web.archive.org/web/20221228060554/https://www.racingpost.com/bloodstock/speed-gene-sheds-light-on-why-mac-swiney-rather-than-poetic-flare-is-derby-type/492484 |archive-date=2022-12-28}}</ref>。
その後は5月16日の[[プール・デッセ・デ・プーラン]]（仏2000ギニー）、5月22日の[[アイリッシュ2000ギニー]]、6月15日の[[セントジェームズパレスステークス]]とおよそ45日間でマイルG1を4連戦して、セントジェームズパレスステークスではG1競走2勝目を挙げた<ref>{{Cite web|title=【英・セントジェームズパレスS】45日間でG1・4戦も何の！2000ギニー覇者ポエティックフレアがV/海外競馬レース結果 {{!}} 競馬ニュース|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=189105|website=netkeiba.com|accessdate=2021-06-16|language=ja}}</ref>。


これらを背景に生産された本馬は、ボルジャーの夫人であるジャッキー・ボルジャーによって所有され、ボルジャーの甥ケンが経営するレッドモンドスタウンスタッドで育成され、生産者のボルジャーがその調教師を兼ねた<ref name="dennis202159" />。[[レーシングポスト]]紙のスティーヴ・デニスは、本馬をまさしく「ボルジャー・インコーポレイテッドの縮図」であると評している<ref name="dennis202159" />。主戦[[騎手]]はボルジャーの娘婿である[[ケヴィン・マニング]]となった<ref name="dennis202159" /><ref name="okuno2022290">[[ポエティックフレア#奥野2022|奥野2022、290頁。]]</ref>。
初の古馬との対戦となった7月28日の[[サセックスステークス]]と8月15日の[[ジャックルマロワ賞]]ではともに2着。そして9月11日の[[アイリッシュチャンピオンステークス]]3着を最後に現役を引退。


== 競走馬時代 ==
2022年より[[北海道]][[安平町]]の[[社台スタリオンステーション]]で[[種牡馬]]入りする。社台スタリオンステーションに[[ガリレオ (競走馬)|ガリレオ]]系の種牡馬が繋養されるのは初めて。初年度の種付料は受胎条件600万円

<ref>{{Cite web|url=https://uma-furusato.com/news/entry-59102.html|title=ポエティックフレアが社台スタリオンステーションにスタッドイン|accessdate=2022-11-01|date=2021-12-01|publisher=uma-furusato.com}}</ref>。
=== 2歳時（2020年） ===

[[2020年]]3月23日、ポエティックフレアは、[[アイルランド]]・ネース競馬場の第1競走として施行された2歳未勝利戦（5[[ハロン (単位)|ハロン]]）で優勝し、2018年生まれの[[サラブレッド]]としてアイルランド最初の競走勝ち馬となった<ref>{{Cite web|和書|title=アイルランド芝平地競馬が「無観客」で開幕 |url=https://news.netkeiba.com/?pid=column_view&cid=46254 |website=netkeiba.com |access-date=2022-12-27 |author=[[合田直弘]]}}</ref>。その後は[[Covid-19]]による開催中止や、本馬自身の成長のために約200日間不出走であった<ref name="Racing Post" /><ref name="Scargill2021-5-1"/>。10月10日、[[ニューマーケット競馬場]]で施行された[[デューハーストステークス]]（G1、芝7ハロン）に出走して単勝26倍の10番人気に支持され、競走では道中を中団で運んだが伸びを欠いて勝ち馬[[セントマークスバシリカ]]の10着となった<ref>{{Cite web |title=Full Result 2.55 Newmarket {{!}} 10 October 2020 |url=https://www.racingpost.com/results/38/newmarket/2020-10-10/765795 |website=www.racingpost.com |access-date=2022-12-28 |publisher=[[レーシングポスト|Racing Post]]}}</ref>。

その1週間後の10月17日、[[レパーズタウン競馬場]]で施行された[[キラヴランステークス]]（G3、芝7ハロン）を優勝し、3戦2勝で2歳シーズンを終えた<ref name="Racing Post" />。

2歳時のポエティックフレアは、キラヴランステークス1着を評価対象に107ポンドのレーティングを与えられ、アイルランド調教の2歳馬として同年の20位タイに格付けされた<ref>{{Cite web |url=https://www.ihrb.ie/pdf.php?f=IrishClassification2020.pdf |title=IrishClassification2020 |access-date=2022-12-27}}</ref>。

=== 3歳時（2021年） ===

==== 始動戦 - 2000ギニーステークス ====
[[2021年]]4月11日の準重賞アイリッシュ2000ギニートライアルステークス（芝7ハロン）で始動し、競走では好発から道中2番手で追走し、直線で先頭に立つと、最後は2着馬エースオージーに対して1馬身半差を付けて優勝した<ref>{{Cite web|和書|url=https://world.jra-van.jp/news/N0008794/ |title=愛2000ギニートライアルS、ポエティックフレアが制す |accessdate=2021-05-05 |date=2021-04-12 |website=JRA-VAN ver.World}}</ref>。

{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=jYCUtqPX8Bw 2021年2000ギニーステークス Racing TV]}}

5月1日、ポエティックフレアは、[[イギリス]]・[[ニューマーケット競馬場]]のローリーマイルで施行される[[2000ギニーステークス]]（G1、芝8ハロン）に出走<ref name="yushun202106102">[[ポエティックフレア#『優駿』2021年6月号100-104|『優駿』2021年6月号、102頁。]]</ref>。[[凱旋門賞]]馬[[ファウンド]]の初仔である単勝5.5倍のバトルグラウンドを筆頭に出走馬5頭が1桁台のオッズに支持される混戦模様となり、その中で本馬は14頭立ての9番人気に留まった<ref name="yushun202106102" />。競走では、各馬が中央を通る展開の中で、好発を決めて序盤を4番手で進めた本馬は、最後に内側を通った3番人気タイのマスターオブザシーズとの争いとなったが、これを短アタマ差抑えて優勝<ref name="yushun202106102" />。写真判定の行われた接戦を制した<ref name="yushun202106102" />。

5戦4勝でG1競走を初制覇としたポエティックフレアは、これによって、79歳の生産者および調教師ボルジャー、54歳の騎手マニング{{Refnest|この54歳という年齢は、1992年に56歳の[[レスター・ピゴット]]が[[ロドリゴデトリアーノ]]で2000ギニーを制して以来、イギリスクラシック競走を優勝した騎手としての最高齢記録であった<ref name="Scargill2021-5-1">{{Cite web |title=Age no barrier as Poetic Flare gives Jim Bolger and Kevin Manning Classic joy {{!}} Horse Racing News {{!}} Racing Post |url=https://www.racingpost.com/news/like-father-like-son-poetic-flare-gets-the-verdict-in-thrilling-2000-guineas/487639 |website=www.racingpost.com |access-date=2022-12-28 |publisher=[[レーシングポスト|Racing Post]] |archive-url=https://web.archive.org/web/20221228054919/https://www.racingpost.com/news/like-father-like-son-poetic-flare-gets-the-verdict-in-thrilling-2000-guineas/487639 |archive-date=2022-12-28 |last=Scargill |first=Peter}}</ref>。|group=注}}とともに、父ドーンアプローチと同競走の父仔制覇を達成した<ref name="yushun202106102" />。競走後、ボルジャーは、「ニューマーケットの2000ギニーは世界最高の競走であると思いますし、それを勝つことが出来たのには大きな意味があります」と語った<ref name="dennis202159" />。また、これまでに[[ニューアプローチ]]、[[ドーンアプローチ]]、[[セントジョヴァイト]]、[[テオフィロ (競走馬)|テオフィロ]]、[[フィンシャルベオ]]、{{仮リンク|ギブサンクス (競走馬)|en|Give Thanks (horse)|label=ギブサンクス}}などを調教したボルジャーは、ポエティックフレアについて、自身がこれまで手掛けた中で最も完成度の高い競走馬であると評した<ref name="dennis202159" /><ref name="dennis202160" />。

==== 2000ギニー競走を連戦 ====
2000ギニーを制したポエティックフレアは、距離面を考慮して[[ダービーステークス|ダービー]]に出走せず、前走の15日後である5月16日に[[パリロンシャン競馬場]]で施行された[[フランス]]の2000ギニー競走[[プールデッセデプーラン]]（G1、芝1600メートル）に出走<ref name="yushun202107102">[[ポエティックフレア#『優駿』2021年7月号98-106|『優駿』2021年7月号、102頁。]]</ref>。単勝3.7倍の1番人気に支持された{{Refnest|イギリス・レーシングポスト発表の人気は単勝3.5倍の1番人気<ref>{{Cite web |title=Full Result 2.50 Longchamp (FR) {{!}} 16 May 2021|url=https://www.racingpost.com/results/211/longchamp/2021-05-16/785282 |website=www.racingpost.com |access-date=2022-12-23 |publisher=[[レーシングポスト|Racing Post]]}}</ref>。|group=注}}<ref name="POULE D'ESSAI DES POULAINS">{{Cite web |title=Réunion 1 Course 5 du 16 mai 2021 : partants, rapports, résultat |url=https://www.pmu.fr/turf/16052021/r1/c5/ |website=PMU - Paris hippiques |access-date=2022-12-27 |language=fr |publisher=[[フランス場外馬券発売公社|PMU]]}}</ref>。競走では、道中4番手を追走したが伸びを欠き、勝ち馬[[セントマークスバシリカ]]の6着に敗れた<ref name="yushun202107102" />。

プールデッセデプーランを6着とした2000ギニー馬ポエティックフレアは、その6日後にアイルランドへと転戦<ref name="dennis202160" />。5月22日[[カラ競馬場]]で施行された第100回[[アイリッシュ2000ギニー]]（G1、芝8ハロン）に出走した<ref name="yushun202107102" />。競走では逃げを打った同馬主の僚馬[[マックスウィニー]]との争いとなり、最後は同馬に短アタマ差遅れての2着に入った<ref name="yushun202107102" />。これによって、本馬は1か月の間にクラシック競走を3回走る結果となった<ref name="dennis202160" />。

==== セントジェームズパレスステークス ====
{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=DYhNIRlFG1Q 2021年セントジェームズパレスステークス At The Races]}}
3か国の2000ギニー競走を連戦したポエティックフレアは、[[ロイヤルアスコット開催]]の3歳牡馬限定戦[[セントジェームズパレスステークス]]（G1、芝7ハロン213ヤード）に出走<ref name="yushun20210897">[[ポエティックフレア#『優駿』2021年8月号96-102|『優駿』2021年8月号、97頁。]]</ref>。単勝4.5倍の1番人気に支持された<ref name="Racing Post" />。競走では、道中を3番手で追走し、最終直線の残り2ハロンを切った辺りから追い出されると、一気に後続との差を広げ、2着に入った2000ギニー3着馬のラッキーベガに対して4馬身1/4差を付けて優勝した<ref name="yushun20210897" />。この着差は、21世紀に入ってからの同競走における最大着差であった<ref name="Gardiner-Hilletal2021-06-22" />。これによってG1競走を2000ギニーに続く2勝とした本馬は、ここでも父ドーンアプローチとの父仔制覇を達成することとなった<ref name="yushun20210897" />。また、同競走では本馬を筆頭に上位3頭をアイルランド調教馬が独占した<ref>{{Cite web|和書|title=【英・セントジェームズパレスS】45日間でG1・4戦も何の！2000ギニー覇者ポエティックフレアがV/海外競馬レース結果 {{!}} 競馬ニュース|url=https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=189105|website=netkeiba.com|accessdate=2021-06-16|language=ja}}</ref>。

競走後、これまでにテオフィロやドーンアプローチを生産したボルジャーは、ポエティックフレアを「これまで私が生産した中でのベストホースですね」と最大限に評価した<ref name="dennis202160" /><ref name="yushun20210898">[[ポエティックフレア#『優駿』2021年8月号96-102|『優駿』2021年8月号、98頁。]]</ref>。[[英国競馬統括機構]]公式ハンデキャッパーのドミニク・ガーディナー＝ヒルは、本馬の勝利は同競走では2014年の[[キングマン (2011年生の競走馬)|キングマン]]以来最高のパフォーマンスであると評した<ref name="Gardiner-Hilletal2021-06-22">{{Cite web |title=Poetry in motion in St James’s Palace |url=https://www.britishhorseracing.com/poetry-in-motion-in-st-jamess-palace/ |website=The British Horseracing Authority |date=2021-06-22 |access-date=2022-12-27 |language=en-GB |publisher=[[英国競馬統括機構|The British Horseracing Authority]] |author=Gardiner-Hill, Dominic; Copeland, Stewart; Barnes, Adam; Smith, Graeme |archive-url=https://web.archive.org/web/20221224021707/https://www.britishhorseracing.com/poetry-in-motion-in-st-jamess-palace/ |archive-date=222-12-24}}</ref>。この勝利によるレーティングは122ポンドで、これによって、当時の芝マイル部門では[[ロッキンジステークス]]、[[クイーンアンステークス]]を連勝していた4歳馬[[パレスピア]]に次ぐ同年世界2位に位置づけられた<ref name="goda2021-07-28">{{Cite web|和書|title=多彩な顔触れが揃う“真夏のマイル王決定戦”G1サセックスSに注目 |url=https://news.netkeiba.com/?pid=column_view&cid=49348 |website=netkeiba.com |access-date=2022-12-27|author=[[合田直弘]]}}</ref>。

==== G1競走を3連戦 ====
セントジェームズパレスステークスを勝利したポエティックフレアは、その後、3歳時の本馬の中で始動戦以来最も長い出走間隔となる43日の休養を取った<ref name="dennis202160" /><ref name="dennis202162">[[ポエティックフレア#Dennis2021|Dennis2021, p.62]]</ref>。そして、7月28日、[[グッドウッド競馬場]]で施行された[[サセックスステークス]]（芝8ハロン）に出走<ref name="N0009366">{{Cite web|和書|title=アルコールフリーが英G1サセックスS快勝、3歳馬が上位独占 |url=https://world.jra-van.jp/news/N0009366/ |website=JRA-VAN ver.World |access-date=2022-12-28 |language=ja}}</ref>。単勝2.375倍の1番人気に支持された<ref>{{Cite web |title=Full Result 3.35 Goodwood {{!}} 28 July 2021 |url=https://www.racingpost.com/results/21/goodwood/2021-07-28/783972 |website=www.racingpost.com |access-date=2022-12-28 |publisher=[[レーシングポスト|Racing Post]]}}</ref>。なお、当初は同競走への出走および本馬との対決が見込まれたパレスピアは、血液検査の結果からこれを回避している<ref name="goda2021-07-28" />。競走では、道中3番手を追走し、最終直線では一旦抜け出したが、中団から運んだ3歳牝馬[[アルコールフリー]]に交わされて1馬身3/4差の2着に敗れた<ref name="N0009366" />。

サセックスステークスを2着としたポエティックフレアは、その18日後の8月15日、[[ドーヴィル競馬場]]で施行された[[ジャックルマロワ賞]]（G1、芝1600m）に出走し、単勝1.7倍の1番人気馬パレスピアに次いで6.1倍の本馬が2番人気に支持された{{Refnest|イギリス・レーシングポスト発表の人気は単勝4.2倍の2番人気<ref>{{Cite web |title=Full Result 2.50 Deauville (FR) {{!}} 15 August 2021|url=https://www.racingpost.com/results/206/deauville/2021-08-15/791379 |website=www.racingpost.com |access-date=2022-12-23 |publisher=[[レーシングポスト|Racing Post]]}}</ref>。|group=注}}<ref name="dennis202160" /><ref name="PRIX DU HARAS DE FRESNAY-LE-BUFFARD JACQUES">{{Cite web |title=Réunion 1 Course 4 du 15 août 2021 : partants, rapports, résultat |url=https://www.pmu.fr/turf/15082021/r1/c4/ |website=PMU - Paris hippiques |access-date=2022-12-27 |language=fr |publisher=[[フランス場外馬券発売公社|PMU]]}}</ref>。競走では、本馬は外ラチ沿いを追走し、最後はパレスピアに迫ったものの2着に入線<ref name="jairs2021/30/1">{{Cite web|和書|title=ジャックルマロワ賞でパレスピアがポエティックフレアを下す（フランス）［その他］ |url=https://www.jairs.jp/contents/newsprot/2021/30/1.html |website=公益財団法人　ジャパン・スタッドブック・インターナショナル |access-date=2022-12-27}}</ref>。同年の[[カルティエ賞]]最優秀古馬に選出される勝ち馬との着差はクビ差であった<ref name="dennis202162" /><ref name="okuno2022293">[[ポエティックフレア#奥野2022|奥野2022、293頁。]]</ref>。その後、[[バーイード]]との対決が注目された9月4日の[[ムーランドロンシャン賞]]を直前で回避し、目標を[[アイリッシュチャンピオンステークス]]に切り替えて初の中距離戦に挑戦することとなった<ref>{{Cite web|和書|title=ポエティックフレアがムーランドロンシャン賞を回避、愛チャンピオンSへ |url=https://world.jra-van.jp/news/N0009566/ |website=JRA-VAN ver.World |access-date=2022-12-28 |language=ja}}</ref>。

9月11日、レパーズタウン競馬場で施行されるアイリッシュチャンピオンズウィークエンドの初日主要競走であるアイリッシュチャンピオンステークス（G1、芝10ハロン）に出走<ref name="yushun202111102">[[ポエティックフレア#『優駿』2021年11月号102-104|『優駿』2021年11月号、102頁。]]</ref><ref name="yushun202111103" />。ここでは、G1競走4連勝中のセントマークスバシリカ、G1競走3勝を含む重賞5連勝中の[[タルナワ]]との対戦になった<ref name="yushun202111102" /><ref name="yushun202111103">[[ポエティックフレア#『優駿』2021年11月号102-104|『優駿』2021年11月号、103頁。]]</ref>。4頭立ての人気はセントマークスバシリカが単勝1.83倍、タルナワが3.25倍、本馬が5.0倍の3番人気という順番で続いた<ref>{{Cite web |title=Full Result 2.45 Leopardstown (IRE) {{!}} 11 September 2021 |url=https://www.racingpost.com/results/187/leopardstown/2021-09-11/786453 |website=www.racingpost.com |access-date=2022-12-28 |publisher=[[レーシングポスト|Racing Post]]}}</ref>。競走では、G3競走勝ち馬パトリックサースフィールドが逃げる展開となり、道中その2番手につけた本馬は、最終直線で内側を通って伸びたが、外から上位2頭に交わされて3着に入線<ref name="yushun202111102" /><ref name="yushun202111103" />。同年のカルティエ賞年度代表馬に選出される勝ち馬セントマークスバシリカとの着差は3/4馬身差であった<ref name="dennis202162" /><ref name="okuno2022291">[[ポエティックフレア#奥野2022|奥野2022、291頁。]]</ref>。結果的にこれが本馬の現役時で最後の出走となった<ref name="dennis202162" />。

==== 現役引退 ====
アイリッシュチャンピオンステークスを3着としたポエティックフレアは、その後ブリティッシュチャンピオンズデーの[[クイーンエリザベス2世ステークス]]が目標とされていたが、これを回避して現役競走馬を引退し、[[日本]]の[[社台スタリオンステーション]]のもとに[[種牡馬]]として売却された<ref>{{Cite web |title=Poetic Flare retires to stud in Japan following stellar season |url=https://www.hri.ie/content/press-office/press-releases/poetic-flare-retires-to-stud-in-japan-following-stellar-season/ |website=www.hri.ie |access-date=2022-12-28 |last=Lacey-Hatton |first=Jack |archive-url=https://web.archive.org/web/20221227111228/https://www.hri.ie/content/press-office/press-releases/poetic-flare-retires-to-stud-in-japan-following-stellar-season/ |archive-date=2022-12-27}}</ref>。ボルジャーの語ったところによれば、ボルジャー自身はポエティックフレアの4歳現役続行やアイルランドでの種牡馬入りを望んでいたが、この売却は、半商業的な競走馬事業を切り盛りしていくにはやむを得ないものであったのだという<ref name="jairs2021/38/2">{{Cite web|和書|title=英2000ギニー優勝馬ポエティックフレア、日本で種牡馬に（アイルランド・日本）[生産] |url=https://www.jairs.jp/contents/newsprot/2021/38/2.html |website=公益財団法人　ジャパン・スタッドブック・インターナショナル |access-date=2022-12-27}}</ref>。11月8日に日本へと輸入された<ref>{{Cite web|和書|title=種雄馬４頭が輸入されました |url=https://www.jairs.jp/contents/archives/2021/48.html |website=公益財団法人　ジャパン・スタッドブック・インターナショナル |access-date=2022-12-27}}</ref>。

2021年アイルランドの年度代表表彰であるHRI賞では、年度代表馬候補にノミネートされた{{Refnest|受賞馬は{{仮リンク|ハニーサックル (競走馬)|label=ハニーサックル|en|Honeysuckle_(horse)}}。ほか、{{仮リンク|フローリングポーター|en|Flooring Porter}}、{{仮リンク|ミネラインド|en|Minella Indo}}、[[スノーフォール]]、セントマークスバシリカ、シャカンプールソワがノミネートされた。|group=注}}<ref>{{Cite web |url=https://www.hri.ie/hri/2021/HRI%20Factbook%202021%20FINAL.pdf |title=HRI Factbook 2021 |access-date=2022-11-30 |publisher=Horse Racing Ireland |archive-url=https://web.archive.org/web/20221130090859/https://www.hri.ie/hri/2021/HRI%20Factbook%202021%20FINAL.pdf |archive-date=2022-11-30}}</ref>。2021年度[[ワールドベストレースホースランキング]]では、本馬は、マイル部門のセントジェームズパレスステークス1着およびインターメディエイト部門のアイリッシュチャンピオンステークス3着を評価対象に122ポンドのレーティングを与えられ、同年の世界21位タイに格付けされた<ref>{{Cite web |url=https://jra.jp/datafile/ranking/wrank/pdf/21ranking.pdf |title=LONGINES WORLD'S BEST RACEHORSE RANKINGS 2021 |access-date=2022-12-27 |publisher=[[日本中央競馬会]]}}</ref>。この122ポンドは、同年のアイルランド調教馬の3歳マイル部門では最高の評価である<ref>{{Cite web |url=https://www.ihrb.ie/pdf.php?f=IrishClassification2021.pdf |title=IrishClassification2021 |access-date=2022-12-28}}</ref>。[[タイムフォーム]]社のレーティングでは、127ポンドで世界18位タイの評価となった<ref name="timeform">{{Cite web |title=2021 Timeform Global Rankings |url=https://www.timeform.com/horse-racing/features/global-rankings/2021-timeform-global-rankings-2512022 |website=Timeform |date=2022-01-25 |access-date=2022-12-27 |language=en-GB}}</ref>。


== 競走成績 ==
== 競走成績 ==
以下の内容は、[[JRA-VAN]] Ver.World<ref>{{Cite web |title=ポエティックフレア（Poetic Flare） {{!}} 競馬データベース |url=https://world.jra-van.jp/db/horse/H1010376/ |website=JRA-VAN ver.World |access-date=2022-04-16 |language=ja}}</ref>の情報に基づく。
以下の内容は、Racing Post<ref name="Racing Post" />、BHA<ref>{{Cite web |title=Poetic Flare (IRE) |url=https://www.britishhorseracing.com/racing/horses/horse/#!/2650704 |website=The British Horseracing Authority |access-date=2022-12-27 |language=en-GB |publisher=[[英国競馬統括機構|The British Horseracing Authority]] |archive-url=https://archive.md/wip/mSNPg |archive-date=2022-12-27}}</ref>、[[JRA-VAN]] Ver.World<ref>{{Cite web|和書|title=ポエティックフレア（Poetic Flare） {{!}} 競馬データベース |url=https://world.jra-van.jp/db/horse/H1010376/ |website=JRA-VAN ver.World |access-date=2022-04-16 |language=ja}}</ref>、その他表中に示す出典の情報に基づく。
{| class="wikitable" style="text-align:center; font-size: 85%;"
{| class="wikitable" style="text-align:center; font-size: 85%;"
!出走日
!出走日
53行目: 92行目:
!競走名
!競走名
![[競馬の競走格付け|格]]
![[競馬の競走格付け|格]]
!頭数
!距離
!人気
!着順
!着順
![[騎手]]
![[騎手]]
!距離馬場
!タイム
!着差
!1着（2着）馬
!1着（2着）馬
!出典
|-
|-
|2020.{{0}}3.23
|[[2020年|2020]].{{0}}[[3月23日|3.23]]
|ネース
|ネース
|未勝利
|未勝利
|
|
|7
|芝1000m（重）
|{{0}}3.00（1人）
| style="color: darkred;" |{{0}}{{Color|darkred|1着}}
| style="color: darkred;" |{{0}}{{Color|darkred|1着}}
|K.マニング
|K.マニング
|芝5[[ハロン (単位)|f]]（重）
|1:04.71
|1/2馬身
|（Lipizzaner）
|（Lipizzaner）
|
|-
|-
|{{0|0000.}}10.10
|{{0|0000.}}[[10月10日|10.10]]
|[[ニューマーケット競馬場|ニューマーケット]]
|[[ニューマーケット競馬場|ニューマーケット]]
|[[デューハーストステークス|デューハーストS]]
|[[デューハーストステークス|デューハーストS]]
|{{G1}}
|{{G1}}
|14
|芝1400m（重）
|{{0}}26.00（10人）
|{{Color|black|10着}}
|{{Color|black|10着}}
|K.マニング
|K.マニング
|芝7f（重）
|1:26.82
|8馬身3/4
|[[セントマークスバシリカ|St Mark's Basilica]]
|[[セントマークスバシリカ|St Mark's Basilica]]
|
|-
|-
|{{0|0000.}}10.17
|{{0|0000.}}[[10月17日|10.17]]
|[[レパーズタウン競馬場|レパーズタウン]]
|[[レパーズタウン競馬場|レパーズタウン]]
|[[キラヴランステークス|キラヴランS]]
|[[キラヴランステークス|キラヴランS]]
|{{G3}}
|{{G3}}
|7
|芝1400m（稍）
|{{0}}4.00（2人）
|{{0}}{{Color|darkred|1着}}
|{{0}}{{Color|darkred|1着}}
|K.マニング
|K.マニング
|芝7f（稍）
|1:31.92
|2馬身1/2
|（Zaffy's Pride）
|（Zaffy's Pride）
|
|-
|-
|2021.{{0}}4.11
|[[2021年|2021]].{{0}}[[4月11日|4.11]]
|レパーズタウン
|レパーズタウン
|愛2000ギニートライアルS
|愛2000ギニーTRS
|L
|L
|12
|芝1400m（良）
|{{0}}4.00（2人）
|{{0}}{{Color|darkred|1着}}
|{{0}}{{Color|darkred|1着}}
|K.マニング
|K.マニング
|芝7f（良）
|1:28.02
|1馬身1/2
|（Ace Aussie）
|（Ace Aussie）
|
|-
|-
|{{0|0000.}}[[5月3日|{{0}}]]5.{{0}}1
|{{0|0000.}}[[5月3日|{{0}}]][[5月1日|5.{{0}}1]]
|ニューマーケット
|ニューマーケット
|[[2000ギニーステークス|2000ギニーS]]
|[[2000ギニーステークス|英2000ギニー]]
|{{G1}}
|{{G1}}
|14
|芝1600m（良）
|17.00（9人）
|{{0}}{{Color|darkred|1着}}
|{{0}}{{Color|darkred|1着}}
|K.マニング
|K.マニング
|芝8f（良）
|1:35.69
|短アタマ
|（Master Of The Seas）
|（Master Of The Seas）
|
|-
|-
|{{0|0000.}}{{0}}5.16
|{{0|0000.}}{{0}}[[5月16日|5.16]]
|[[パリロンシャン競馬場|パリロンシャン]]
|[[パリロンシャン競馬場|パリロンシャン]]
|[[プール・デッセ・デ・プーラン]]
|[[プール・デッセ・デ・プーラン|仏2000ギニー]]
|{{G1}}
|{{G1}}
|12
|芝1600m（重）
|{{0}}3.70（1人）
|{{0}}{{Color|black|6着}}
|{{0}}{{Color|black|6着}}
|K.マニング
|K.マニング
|芝1600[[メートル|m]]（重）
|1:40.51
|2馬身1/4
|St Mark's Basilica
|St Mark's Basilica
|<ref name="POULE D'ESSAI DES POULAINS" /><ref>{{Cite web |url=https://www7.france-galop.com/Casaques/Tracking//20210516LON05_last_times_fr.pdf |title=Tracking segments 20210516LON05 |access-date=2022-12-27}}</ref>
|-
|-
|{{0|0000.}}{{0}}5.22
|{{0|0000.}}{{0}}[[5月22日|5.22]]
|[[カラ競馬場|カラ]]
|[[カラ競馬場|カラ]]
|[[アイリッシュ2000ギニー|愛2000ギニー]]
|[[アイリッシュ2000ギニー|愛2000ギニー]]
|{{G1}}
|{{G1}}
|11
|芝1600m（重）
|{{0}}6.00（3人）
|{{0}}{{Color|darkblue|2着}}
|{{0}}{{Color|darkblue|2着}}
|K.マニング
|K.マニング
|芝8f（重）
| -
|短アタマ
|[[マックスウィニー|Mac Swiney]]
|[[マックスウィニー|Mac Swiney]]
|
|-
|-
|{{0|0000.}}{{0}}6.15
|{{0|0000.}}{{0}}[[6月15日|6.15]]
|[[アスコット競馬場|アスコット]]
|[[アスコット競馬場|アスコット]]
|[[セントジェームズパレスステークス|セントジェームズパレスS]]
|[[セントジェームズパレスステークス|セントジェームズパレスS]]
|{{G1}}
|{{G1}}
|13
|芝1590m（良）
|{{0}}4.50（1人）
|{{0}}{{Color|darkred|1着}}
|{{0}}{{Color|darkred|1着}}
|K.マニング
|K.マニング
|芝7f213[[ヤード|y]]（良）
|1:37.40
|4馬身1/4
|（[[ラッキーヴェガ|Lucky Vega]]）
|（[[ラッキーヴェガ|Lucky Vega]]）
|
|-
|-
|{{0|0000.}}{{0}}7.28
|{{0|0000.}}{{0}}[[7月28日|7.28]]
|[[グッドウッド競馬場|グッドウッド]]
|[[グッドウッド競馬場|グッドウッド]]
|[[サセックスステークス|サセックスS]]
|[[サセックスステークス|サセックスS]]
|{{G1}}
|{{G1}}
|9
|芝1600m（重）
|{{0}}2.38（1人）
|{{0}}{{Color|darkblue|2着}}
|{{0}}{{Color|darkblue|2着}}
|K.マニング
|K.マニング
|芝8f（重）
|1:43.17
|1馬身3/4
|[[アルコールフリー|Alcohol Free]]
|[[アルコールフリー|Alcohol Free]]
|
|-
|-
|{{0|0000.}}{{0}}8.15
|{{0|0000.}}{{0}}[[8月15日|8.15]]
|[[ドーヴィル競馬場|ドーヴィル]]
|[[ドーヴィル競馬場|ドーヴィル]]
|[[ジャックルマロワ賞]]
|[[ジャックルマロワ賞]]
|{{G1}}
|{{G1}}
|8
|芝1600m（良）
|{{0}}6.10（2人）
|{{0}}{{Color|darkblue|2着}}
|{{0}}{{Color|darkblue|2着}}
|K.マニング
|K.マニング
|芝1600m（良）
|1:36.02
|クビ
|[[パレスピア|Palace Pier]]
|[[パレスピア|Palace Pier]]
|<ref name="PRIX DU HARAS DE FRESNAY-LE-BUFFARD JACQUES" /><ref>{{Cite web |url=https://www7.france-galop.com/Casaques/Tracking//20210815DEA04_last_times_fr.pdf |title=Tracking segments 20210815DEA04 |access-date=2022-12-27}}</ref>
|-
|-
|{{0|0000.}}{{0}}9.11
|{{0|0000.}}{{0}}[[9月11日|9.11]]
|レパーズタウン
|レパーズタウン
|[[アイリッシュチャンピオンステークス|愛チャンピオンS]]
|[[アイリッシュチャンピオンステークス|愛チャンピオンS]]
|{{G1}}
|{{G1}}
|4
|芝2000m（良）
|{{0}}5.00（3人）
|{{0}}{{Color|darkgreen|3着}}
|{{0}}{{Color|darkgreen|3着}}
|K.マニング
|K.マニング
|芝10f（良）
| -
|3/4馬身
|St Mark's Basilica
|St Mark's Basilica
|
|}
|}

== 種牡馬時代 ==
ヨーロッパでマイルのG1競走を2勝したポエティックフレアは、[[2022年]]度、[[社台スタリオンステーション]]に初年度の種付料600万[[円 (通貨)|円]]で[[種牡馬]]入りした<ref name="yushun202202115">[[ポエティックフレア#『優駿』2022年2月号115|『優駿』2022年2月号、115頁。]]</ref><ref name="yushun202201132">[[ポエティックフレア#『優駿』2022年1月号132|『優駿』2022年1月号、132頁。]]</ref>。[[日本]]・[[北海道]][[安平町]]の同場に[[英2000ギニー]]優勝馬<ref name="yushun202202115" />、また[[ガリレオ (競走馬)|ガリレオ]]系の競走馬<ref>{{Cite web|和書|url=https://uma-furusato.com/news/entry-59102.html|title=ポエティックフレアが社台スタリオンステーションにスタッドイン|accessdate=2022-11-01|date=2021-12-01|website=競走馬のふるさと案内所}}</ref>が種牡馬として繋養されるのはともに初めての事例であった。

== 競走馬としての評価 ==

=== G1競走の7連戦 ===
3歳時のポエティックフレアは、5月1日の[[2000ギニーステークス|2000ギニー]]から9月11日の[[アイリッシュチャンピオンステークス]]にかけてG1競走の7連戦を行い、その結果としてG1競走2勝、2着3回および3着1回という成績を残した<ref name="dennis202160" />。[[レーシングポスト]]紙のスティーヴ・デニスは、5月から9月にかけてG1競走を8連戦した[[ジャイアンツコーズウェイ]]が「アイアンホース」と称せられた例を踏まえて、本馬を「アイアンホース2世」と形容した<ref name="dennis202159" /><ref name="dennis202160">[[ポエティックフレア#Dennis2021|Dennis2021, p.60]]</ref>。また、デニスは、「忍耐強く、不屈で、一途な」ポエティックフレアを、その生産者および調教師であるジム・ボルジャーに似ていると評している<ref name="dennis202159" />。

=== 良馬場巧者 ===
良馬場を得意とし、重馬場は不得手であったとされる。ポエティックフレアの引退に際して、ボルジャーは本馬について「彼が物足りないパフォーマンスをしたのは、馬場が良くなく時計がかかったときだったのです」と振り返った<ref name="jairs2021/38/2" />。[[セントマークスバシリカ]]の6着に敗れ、本馬が3歳時で唯一4着以下に崩れた[[プールデッセデプーラン]]は、重馬場で施行された競走であった<ref name="jairs2021/38/2" /><ref name="dennis202160" />。また、[[アルコールフリー]]の2着に敗れた[[サセックスステークス]]も道悪であった<ref name="dennis202162" />。他方、[[ロイヤルアスコット開催]]の高速馬場で施行された[[セントジェームズパレスステークス]]では、本馬は4馬身1/4差の圧勝を収めた<ref name="dennis202160" />。


== 血統表 ==
== 血統表 ==
{{競走馬血統表
{{競走馬血統表
|name = ポエティックフレア
|name = ポエティックフレア
|ref1 = <ref name="ped">{{Cite web|url=https://db.netkeiba.com/horse/ped/000a01ba0e/|title=Poetic Flareの血統表|website=netkeiba.com|accessdate=2021-5-5}}</ref>
|ref1 = <ref name="ped">{{Cite web|和書|url=https://db.netkeiba.com/horse/ped/000a01ba0e/|title=Poetic Flareの血統表|website=netkeiba.com|accessdate=2021-5-5}}</ref>
|mlin = [[サドラーズウェルズ系]]
|mlin = [[サドラーズウェルズ系]]
|ref2 = <ref name="ped"/>
|ref2 = <ref name="ped"/>
200行目: 310行目:
|mmmm = Victorian Queen
|mmmm = Victorian Queen
|}}
|}}

== 脚注 ==
== 脚注 ==
<references />


== 外部リンク ==
=== 注釈 ===
<references group="注" />
* {{競走馬成績|netkeiba=000a01ba0e|jbis=0001346307|racingpost=3048877/poetic-flare}}


=== 出典 ===
<references responsive="" />

== 参考文献 ==
* {{Cite journal|和書|author=秋山響、沢田康文、吉田直哉|year=2021|title=[ワールド・レーシング・ニュース] 英オークス・ダービー、ほか|journal=[[優駿]]|issue=2021年7月号|pages=98-106|publisher=[[中央競馬ピーアール・センター]]|ref=『優駿』2021年7月号98-106}}
* {{Cite journal|和書|author=秋山響|year=2021|title=[ワールド・レーシング・ニュース] アイリッシュチャンピオンステークス、ほか|journal=優駿|issue=2021年11月号|page=|pages=102-104|publisher=中央競馬ピーアール・センター|ref=『優駿』2021年11月号102-104}}
* {{Cite journal|和書|author=秋山響、沢田康文|year=2021|title=[ワールド・レーシング・ニュース] ロイヤルアスコット開催、ほか|journal=優駿|issue=2021年8月号|page=|pages=96-102|publisher=中央競馬ピーアール・センター|ref=『優駿』2021年8月号96-102}}
* {{Cite journal|和書|year=2022|date=2022-6-10|journal=日本の競馬 総合ハンドブック2022|publisher=中央競馬振興会|ref=奥野2022|author=奥野庸介|title=2021年海外競馬回顧|pages=288-302}}
* {{Cite journal|和書|author=山田康文|year=2022|title=[馬産地最前線] 国内外のビッグネームたちがスタッドイン|journal=優駿|issue=2022年2月号|page=115|pages=|publisher=中央競馬ピーアール・センター|ref=『優駿』2022年2月号115}}
* {{Cite journal|和書|author=吉田直哉、沢田康文、秋山響|year=2021|title=[ワールド・レーシング・ニュース] ケンタッキーダービー、ほか|journal=優駿|issue=2021年6月号|page=|pages=100-104|publisher=中央競馬ピーアール・センター|ref=『優駿』2021年6月号100-104}}
* {{Cite journal|洋書|last=Dennis|first=Steve|editor=Nick Pulford|year=2021|date=2021-10-31|title=Poetic Flare: Iron Horse {{II}} for Jim Bolger|journal=Racing Post Annual 2022|pages=58-62|publisher=Pitch Publishing Ltd|ref=Dennis2021|isbn=978-1839500879}}
* {{Cite journal|和書|author=|year=2021|title=[ニュース&トピックス] 海外から種牡馬の導入が相次ぐ|journal=優駿|issue=2022年1月号|page=132|pages=|publisher=中央競馬ピーアール・センター|ref=『優駿』2022年1月号132}}
== 外部リンク ==
* {{競走馬成績|netkeiba=000a01ba0e|jbis=0001346307|racingpost=3048877|racingpostname=poetic-flare}}
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2024年1月28日 (日) 00:58時点における最新版

ポエティックフレア
Poetic Flare (IRE)
2021年5月24日
欧字表記 Poetic Flare[1]
品種 サラブレッド[2]
性別 牡[1]
毛色 鹿毛[2]
生誕 2018年3月26日（6歳）[1]
父 Dawn Approach[1]
母 Maria Lee[1]
母の父 Rock of Gibraltar[1]
生国 アイルランドの旗 アイルランド[1]
生産者 J S Bolger[1]
馬主 Mrs J S Bolger[1]
調教師 J S Bolger（アイルランドの旗 アイルランド）[1]
競走成績
生涯成績 11戦5勝[1]
獲得賞金 £1,048,463[1]
WTRR M122 - I122 / 2021年[3]
TR 127 / 2021年[4]
勝ち鞍
G1 英2000ギニー 2021年
G1 セントジェームズパレスS 2021年
G3 キラヴランS 2020年
Listed 愛2000ギニーTS 2021年
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ポエティックフレア（英:Poetic Flare、2018年3月26日 - ）は、アイルランドの競走馬である。

概要

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2021年、3歳時にG1競走を7連戦し、そのうち2000ギニーステークスおよびセントジェームズパレスステークスの2競走を優勝。G1競走勝利の双方で父ドーンアプローチとの父仔制覇を達成した。ほか、2021年アイリッシュチャンピオンステークス3着など。

主な勝ち鞍は2020年キラヴランステークス、2021年2000ギニーステークス、セントジェームズパレスステークス。通算11戦5勝。

現役引退後は日本の社台スタリオンステーションで種牡馬入りした。

生い立ち - デビュー前

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2018年3月26日、調教師のジム・ボルジャーによってアイルランドで生産される[1][5]。

父は種牡馬のドーンアプローチ、母は繁殖牝馬のマリアリーで、どちらもボルジャーの自家生産馬である[5]。また、2代前の父父ニューアプローチ、父母ヒムオブザドーン、2代母エリーダも、すべてボルジャーが調教師として手掛けた競走馬である[5][6]。牝系は、3代母のサヴィアーからボルジャーが手掛けているものであり、サヴィアーを祖とする本馬の近親としてはテオフィロがいる[7]。本馬のエクイノムスピード遺伝子は、父ドーンアプローチと同じく短距離向きのCC型である[8]。

これらを背景に生産された本馬は、ボルジャーの夫人であるジャッキー・ボルジャーによって所有され、ボルジャーの甥ケンが経営するレッドモンドスタウンスタッドで育成され、生産者のボルジャーがその調教師を兼ねた[5]。レーシングポスト紙のスティーヴ・デニスは、本馬をまさしく「ボルジャー・インコーポレイテッドの縮図」であると評している[5]。主戦騎手はボルジャーの娘婿であるケヴィン・マニングとなった[5][9]。

競走馬時代

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2歳時（2020年）

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2020年3月23日、ポエティックフレアは、アイルランド・ネース競馬場の第1競走として施行された2歳未勝利戦（5ハロン）で優勝し、2018年生まれのサラブレッドとしてアイルランド最初の競走勝ち馬となった[10]。その後はCovid-19による開催中止や、本馬自身の成長のために約200日間不出走であった[1][11]。10月10日、ニューマーケット競馬場で施行されたデューハーストステークス（G1、芝7ハロン）に出走して単勝26倍の10番人気に支持され、競走では道中を中団で運んだが伸びを欠いて勝ち馬セントマークスバシリカの10着となった[12]。

その1週間後の10月17日、レパーズタウン競馬場で施行されたキラヴランステークス（G3、芝7ハロン）を優勝し、3戦2勝で2歳シーズンを終えた[1]。

2歳時のポエティックフレアは、キラヴランステークス1着を評価対象に107ポンドのレーティングを与えられ、アイルランド調教の2歳馬として同年の20位タイに格付けされた[13]。

3歳時（2021年）

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始動戦 - 2000ギニーステークス

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2021年4月11日の準重賞アイリッシュ2000ギニートライアルステークス（芝7ハロン）で始動し、競走では好発から道中2番手で追走し、直線で先頭に立つと、最後は2着馬エースオージーに対して1馬身半差を付けて優勝した[14]。

映像外部リンク
2021年2000ギニーステークス Racing TV

5月1日、ポエティックフレアは、イギリス・ニューマーケット競馬場のローリーマイルで施行される2000ギニーステークス（G1、芝8ハロン）に出走[15]。凱旋門賞馬ファウンドの初仔である単勝5.5倍のバトルグラウンドを筆頭に出走馬5頭が1桁台のオッズに支持される混戦模様となり、その中で本馬は14頭立ての9番人気に留まった[15]。競走では、各馬が中央を通る展開の中で、好発を決めて序盤を4番手で進めた本馬は、最後に内側を通った3番人気タイのマスターオブザシーズとの争いとなったが、これを短アタマ差抑えて優勝[15]。写真判定の行われた接戦を制した[15]。

5戦4勝でG1競走を初制覇としたポエティックフレアは、これによって、79歳の生産者および調教師ボルジャー、54歳の騎手マニング[注 1]とともに、父ドーンアプローチと同競走の父仔制覇を達成した[15]。競走後、ボルジャーは、「ニューマーケットの2000ギニーは世界最高の競走であると思いますし、それを勝つことが出来たのには大きな意味があります」と語った[5]。また、これまでにニューアプローチ、ドーンアプローチ、セントジョヴァイト、テオフィロ、フィンシャルベオ、ギブサンクス（英語版）などを調教したボルジャーは、ポエティックフレアについて、自身がこれまで手掛けた中で最も完成度の高い競走馬であると評した[5][16]。

2000ギニー競走を連戦

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2000ギニーを制したポエティックフレアは、距離面を考慮してダービーに出走せず、前走の15日後である5月16日にパリロンシャン競馬場で施行されたフランスの2000ギニー競走プールデッセデプーラン（G1、芝1600メートル）に出走[17]。単勝3.7倍の1番人気に支持された[注 2][19]。競走では、道中4番手を追走したが伸びを欠き、勝ち馬セントマークスバシリカの6着に敗れた[17]。

プールデッセデプーランを6着とした2000ギニー馬ポエティックフレアは、その6日後にアイルランドへと転戦[16]。5月22日カラ競馬場で施行された第100回アイリッシュ2000ギニー（G1、芝8ハロン）に出走した[17]。競走では逃げを打った同馬主の僚馬マックスウィニーとの争いとなり、最後は同馬に短アタマ差遅れての2着に入った[17]。これによって、本馬は1か月の間にクラシック競走を3回走る結果となった[16]。

セントジェームズパレスステークス

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映像外部リンク
2021年セントジェームズパレスステークス At The Races

3か国の2000ギニー競走を連戦したポエティックフレアは、ロイヤルアスコット開催の3歳牡馬限定戦セントジェームズパレスステークス（G1、芝7ハロン213ヤード）に出走[20]。単勝4.5倍の1番人気に支持された[1]。競走では、道中を3番手で追走し、最終直線の残り2ハロンを切った辺りから追い出されると、一気に後続との差を広げ、2着に入った2000ギニー3着馬のラッキーベガに対して4馬身1/4差を付けて優勝した[20]。この着差は、21世紀に入ってからの同競走における最大着差であった[21]。これによってG1競走を2000ギニーに続く2勝とした本馬は、ここでも父ドーンアプローチとの父仔制覇を達成することとなった[20]。また、同競走では本馬を筆頭に上位3頭をアイルランド調教馬が独占した[22]。

競走後、これまでにテオフィロやドーンアプローチを生産したボルジャーは、ポエティックフレアを「これまで私が生産した中でのベストホースですね」と最大限に評価した[16][23]。英国競馬統括機構公式ハンデキャッパーのドミニク・ガーディナー＝ヒルは、本馬の勝利は同競走では2014年のキングマン以来最高のパフォーマンスであると評した[21]。この勝利によるレーティングは122ポンドで、これによって、当時の芝マイル部門ではロッキンジステークス、クイーンアンステークスを連勝していた4歳馬パレスピアに次ぐ同年世界2位に位置づけられた[24]。

G1競走を3連戦

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セントジェームズパレスステークスを勝利したポエティックフレアは、その後、3歳時の本馬の中で始動戦以来最も長い出走間隔となる43日の休養を取った[16][25]。そして、7月28日、グッドウッド競馬場で施行されたサセックスステークス（芝8ハロン）に出走[26]。単勝2.375倍の1番人気に支持された[27]。なお、当初は同競走への出走および本馬との対決が見込まれたパレスピアは、血液検査の結果からこれを回避している[24]。競走では、道中3番手を追走し、最終直線では一旦抜け出したが、中団から運んだ3歳牝馬アルコールフリーに交わされて1馬身3/4差の2着に敗れた[26]。

サセックスステークスを2着としたポエティックフレアは、その18日後の8月15日、ドーヴィル競馬場で施行されたジャックルマロワ賞（G1、芝1600m）に出走し、単勝1.7倍の1番人気馬パレスピアに次いで6.1倍の本馬が2番人気に支持された[注 3][16][29]。競走では、本馬は外ラチ沿いを追走し、最後はパレスピアに迫ったものの2着に入線[30]。同年のカルティエ賞最優秀古馬に選出される勝ち馬との着差はクビ差であった[25][31]。その後、バーイードとの対決が注目された9月4日のムーランドロンシャン賞を直前で回避し、目標をアイリッシュチャンピオンステークスに切り替えて初の中距離戦に挑戦することとなった[32]。

9月11日、レパーズタウン競馬場で施行されるアイリッシュチャンピオンズウィークエンドの初日主要競走であるアイリッシュチャンピオンステークス（G1、芝10ハロン）に出走[33][34]。ここでは、G1競走4連勝中のセントマークスバシリカ、G1競走3勝を含む重賞5連勝中のタルナワとの対戦になった[33][34]。4頭立ての人気はセントマークスバシリカが単勝1.83倍、タルナワが3.25倍、本馬が5.0倍の3番人気という順番で続いた[35]。競走では、G3競走勝ち馬パトリックサースフィールドが逃げる展開となり、道中その2番手につけた本馬は、最終直線で内側を通って伸びたが、外から上位2頭に交わされて3着に入線[33][34]。同年のカルティエ賞年度代表馬に選出される勝ち馬セントマークスバシリカとの着差は3/4馬身差であった[25][36]。結果的にこれが本馬の現役時で最後の出走となった[25]。

現役引退

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アイリッシュチャンピオンステークスを3着としたポエティックフレアは、その後ブリティッシュチャンピオンズデーのクイーンエリザベス2世ステークスが目標とされていたが、これを回避して現役競走馬を引退し、日本の社台スタリオンステーションのもとに種牡馬として売却された[37]。ボルジャーの語ったところによれば、ボルジャー自身はポエティックフレアの4歳現役続行やアイルランドでの種牡馬入りを望んでいたが、この売却は、半商業的な競走馬事業を切り盛りしていくにはやむを得ないものであったのだという[38]。11月8日に日本へと輸入された[39]。

2021年アイルランドの年度代表表彰であるHRI賞では、年度代表馬候補にノミネートされた[注 4][40]。2021年度ワールドベストレースホースランキングでは、本馬は、マイル部門のセントジェームズパレスステークス1着およびインターメディエイト部門のアイリッシュチャンピオンステークス3着を評価対象に122ポンドのレーティングを与えられ、同年の世界21位タイに格付けされた[41]。この122ポンドは、同年のアイルランド調教馬の3歳マイル部門では最高の評価である[42]。タイムフォーム社のレーティングでは、127ポンドで世界18位タイの評価となった[4]。

競走成績

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以下の内容は、Racing Post[1]、BHA[43]、JRA-VAN Ver.World[44]、その他表中に示す出典の情報に基づく。

出走日 競馬場 競走名 格 頭数 人気 着順 騎手 距離馬場 タイム 着差 1着（2着）馬 出典
2020.03.23 ネース 未勝利 7 03.00（1人） 01着 K.マニング 芝5f（重） 1:04.71 1/2馬身 （Lipizzaner）
0000.10.10 ニューマーケット デューハーストS G1 14 026.00（10人） 10着 K.マニング 芝7f（重） 1:26.82 8馬身3/4 St Mark's Basilica
0000.10.17 レパーズタウン キラヴランS G3 7 04.00（2人） 01着 K.マニング 芝7f（稍） 1:31.92 2馬身1/2 （Zaffy's Pride）
2021.04.11 レパーズタウン 愛2000ギニーTRS L 12 04.00（2人） 01着 K.マニング 芝7f（良） 1:28.02 1馬身1/2 （Ace Aussie）
0000.05.01 ニューマーケット 英2000ギニー G1 14 17.00（9人） 01着 K.マニング 芝8f（良） 1:35.69 短アタマ （Master Of The Seas）
0000.05.16 パリロンシャン 仏2000ギニー G1 12 03.70（1人） 06着 K.マニング 芝1600m（重） 1:40.51 2馬身1/4 St Mark's Basilica [19][45]
0000.05.22 カラ 愛2000ギニー G1 11 06.00（3人） 02着 K.マニング 芝8f（重） - 短アタマ Mac Swiney
0000.06.15 アスコット セントジェームズパレスS G1 13 04.50（1人） 01着 K.マニング 芝7f213y（良） 1:37.40 4馬身1/4 （Lucky Vega）
0000.07.28 グッドウッド サセックスS G1 9 02.38（1人） 02着 K.マニング 芝8f（重） 1:43.17 1馬身3/4 Alcohol Free
0000.08.15 ドーヴィル ジャックルマロワ賞 G1 8 06.10（2人） 02着 K.マニング 芝1600m（良） 1:36.02 クビ Palace Pier [29][46]
0000.09.11 レパーズタウン 愛チャンピオンS G1 4 05.00（3人） 03着 K.マニング 芝10f（良） - 3/4馬身 St Mark's Basilica

種牡馬時代

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ヨーロッパでマイルのG1競走を2勝したポエティックフレアは、2022年度、社台スタリオンステーションに初年度の種付料600万円で種牡馬入りした[47][48]。日本・北海道安平町の同場に英2000ギニー優勝馬[47]、またガリレオ系の競走馬[49]が種牡馬として繋養されるのはともに初めての事例であった。

競走馬としての評価

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G1競走の7連戦

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3歳時のポエティックフレアは、5月1日の2000ギニーから9月11日のアイリッシュチャンピオンステークスにかけてG1競走の7連戦を行い、その結果としてG1競走2勝、2着3回および3着1回という成績を残した[16]。レーシングポスト紙のスティーヴ・デニスは、5月から9月にかけてG1競走を8連戦したジャイアンツコーズウェイが「アイアンホース」と称せられた例を踏まえて、本馬を「アイアンホース2世」と形容した[5][16]。また、デニスは、「忍耐強く、不屈で、一途な」ポエティックフレアを、その生産者および調教師であるジム・ボルジャーに似ていると評している[5]。

良馬場巧者

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良馬場を得意とし、重馬場は不得手であったとされる。ポエティックフレアの引退に際して、ボルジャーは本馬について「彼が物足りないパフォーマンスをしたのは、馬場が良くなく時計がかかったときだったのです」と振り返った[38]。セントマークスバシリカの6着に敗れ、本馬が3歳時で唯一4着以下に崩れたプールデッセデプーランは、重馬場で施行された競走であった[38][16]。また、アルコールフリーの2着に敗れたサセックスステークスも道悪であった[25]。他方、ロイヤルアスコット開催の高速馬場で施行されたセントジェームズパレスステークスでは、本馬は4馬身1/4差の圧勝を収めた[16]。

血統表

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ポエティックフレアの血統 （血統表の出典）[§ 1]
父系 サドラーズウェルズ系
 [§ 2]
父

Dawn Approach
2010 栗毛
父の父
New Approach
2005 栗毛 		Galileo Sadler's Wells
Urban Sea
Park Express Ahonoora
Matcher
父の母
Hymn of the Dawn
1999 鹿毛 		Phone Trick Clever Trick
Over The Phone
Colonial Debut Pleasant Colony
Kittihawk Miss
母

Maria Lee
2007 鹿毛 		*ロックオブジブラルタル
1999 鹿毛 		*デインヒル Danzig
Razyana
Offshore Boom Be My Guest
Push A Button
母の母
Elida
1994 鹿毛 		*ロイヤルアカデミー II Nijinsky
Crimson Saint
Saviour Majestic Light
Victorian Queen
母系(F-No.) (FN:1-n) [§ 3]
5代内の近親交配 Northern Dancer 5×5･5･5、His Majesty 5×5 [§ 4]
出典
  1. ^ [50]
  2. ^ [50]
  3. ^ [50]
  4. ^ [50]

脚注

[編集]

注釈

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  1. ^ この54歳という年齢は、1992年に56歳のレスター・ピゴットがロドリゴデトリアーノで2000ギニーを制して以来、イギリスクラシック競走を優勝した騎手としての最高齢記録であった[11]。
  2. ^ イギリス・レーシングポスト発表の人気は単勝3.5倍の1番人気[18]。
  3. ^ イギリス・レーシングポスト発表の人気は単勝4.2倍の2番人気[28]。
  4. ^ 受賞馬はハニーサックル（英語版）。ほか、フローリングポーター（英語版）、ミネラインド（英語版）、スノーフォール、セントマークスバシリカ、シャカンプールソワがノミネートされた。

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q “Poetic Flare | Race Record & Form”. www.racingpost.com. Racing Post. 2022年12月27日閲覧。
  2. ^ a b “ポエティックフレア(IRE)”. JBISサーチ. 2022年12月28日閲覧。
  3. ^ 国際競馬統括機関連盟 (IFHA) “The LONGINES World's Best Racehorse Rankings”. 2022年1月26日閲覧。
  4. ^ a b “2021 Timeform Global Rankings” (英語). Timeform (2022年1月25日). 2022年12月27日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j Dennis2021, p.59
  6. ^ “血統情報：5代血統表｜ポエティックフレア(IRE)”. JBISサーチ. 2022年12月28日閲覧。
  7. ^ Thomas, James. “Poetic Flare underlines stallion credentials with St James's Palace Stakes romp | Bloodstock News”. www.racingpost.com. Racing Post. 2022年12月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月28日閲覧。
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  17. ^ a b c d 『優駿』2021年7月号、102頁。
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  41. ^ “LONGINES WORLD'S BEST RACEHORSE RANKINGS 2021”. 日本中央競馬会. 2022年12月27日閲覧。
  42. ^ “IrishClassification2021”. 2022年12月28日閲覧。
  43. ^ “Poetic Flare (IRE)” (英語). The British Horseracing Authority. The British Horseracing Authority. 2022年12月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月27日閲覧。
  44. ^ “ポエティックフレア（Poetic Flare） | 競馬データベース”. JRA-VAN ver.World. 2022年4月16日閲覧。
  45. ^ “Tracking segments 20210516LON05”. 2022年12月27日閲覧。
  46. ^ “Tracking segments 20210815DEA04”. 2022年12月27日閲覧。
  47. ^ a b 『優駿』2022年2月号、115頁。
  48. ^ 『優駿』2022年1月号、132頁。
  49. ^ “ポエティックフレアが社台スタリオンステーションにスタッドイン”. 競走馬のふるさと案内所 (2021年12月1日). 2022年11月1日閲覧。
  50. ^ a b c d “Poetic Flareの血統表”. netkeiba.com. 2021年5月5日閲覧。

参考文献

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  • 秋山響、沢田康文、吉田直哉「[ワールド・レーシング・ニュース] 英オークス・ダービー、ほか」『優駿』2021年7月号、中央競馬ピーアール・センター、2021年、98-106頁。 
  • 秋山響「[ワールド・レーシング・ニュース] アイリッシュチャンピオンステークス、ほか」『優駿』2021年11月号、中央競馬ピーアール・センター、2021年、102-104頁。 
  • 秋山響、沢田康文「[ワールド・レーシング・ニュース] ロイヤルアスコット開催、ほか」『優駿』2021年8月号、中央競馬ピーアール・センター、2021年、96-102頁。 
  • 奥野庸介「2021年海外競馬回顧」『日本の競馬 総合ハンドブック2022』、中央競馬振興会、2022年6月10日、288-302頁。 
  • 山田康文「[馬産地最前線] 国内外のビッグネームたちがスタッドイン」『優駿』2022年2月号、中央競馬ピーアール・センター、2022年、115頁。 
  • 吉田直哉、沢田康文、秋山響「[ワールド・レーシング・ニュース] ケンタッキーダービー、ほか」『優駿』2021年6月号、中央競馬ピーアール・センター、2021年、100-104頁。 
  • Dennis, Steve (2021-10-31). Nick Pulford. ed. “Poetic Flare: Iron Horse II for Jim Bolger”. Racing Post Annual 2022 (Pitch Publishing Ltd): 58-62. ISBN 978-1839500879. 
  • 「[ニュース&トピックス] 海外から種牡馬の導入が相次ぐ」『優駿』2022年1月号、中央競馬ピーアール・センター、2021年、132頁。 

外部リンク

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