「エヴリナイト」の版間の差分
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{{Pathnav|ポール・マッカートニー|[[ポール・マッカートニーの作品|作品リスト]]|マッカートニー (アルバム)}} |
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{{Infobox Song |
{{Infobox Song |
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| Name |
| Name = エヴリナイト |
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| Artist |
| Artist = [[ポール・マッカートニー]] |
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| Released = 1970年4月17日 |
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* 1970年2月23日 |
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* [[EMIレコーディング・スタジオ]]}} |
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| Format = |
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| Genre = [[ロック (音楽)|ロック]]<ref>{{cite journal |title= Special Merit Spotlight |journal= [[ビルボード|Billboard]] |volume= 82 |issue= 35 |date= August 29, 1970 |publisher= Nielsen Business Media |issn= 0006-2510 |page= 54 |quote= The Paul McCartney rock ballad... }}</ref> |
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| track_no = 4 |
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| Length = 2分32秒 |
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| Recorded = [[1970年]][[2月23日]]、ロンドン・[[アビー・ロード・スタジオ]] |
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| Genre = [[ロック (音楽)|ロック]] |
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| Writer = ポール・マッカートニー |
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| Length = 2分32秒 |
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| Composer = ポール・マッカートニー |
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| Producer = ポール・マッカートニー |
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| Misc = {{Extra track listing |
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| Label = |
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| Album = [[マッカートニー (アルバム)|マッカートニー]] |
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| prev_track = バレンタイン・デイ |
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| this_track = '''エヴリナイト''' |
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| next = [[燃ゆる太陽の如く/グラシズ]] |
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| next_track = 燃ゆる太陽の如く/グラシズ |
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| Misc ={{External music video|{{YouTube|f4XMOel5nuo|「Every Night」}} |
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| Type = [[楽曲]]}} |
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「'''エヴリナイト'''」(''Every Night'')は、[[1970年]]に[[ポール・マッカートニー]]が発表した楽曲。 |
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「'''エヴリナイト'''」(''{{Lang|en|Every Night}}'')は、[[ポール・マッカートニー]]の楽曲である。1970年4月に発売されたソロ・デビュー・アルバム『[[マッカートニー (アルバム)|マッカートニー]]』に収録された。1969年にマッカートニーがギリシャでの休暇中に書き上げた楽曲で、最初の2行は同年に[[ビートルズ]]が行なった[[ゲット・バック・セッション]]の時点で存在していた<ref name="PopMatters">{{cite web |last= Krupa |first= Jessy |date= 2010-06-21 |title= Paul McCartney - "Every Night" |url= https://www.popmatters.com/126886-paul-mccartney-every-night-2496181073.html |website= [[:en:PopMatters|PopMatters]] |publisher= PopMatters Media |accessdate= 2023-02-20 }}</ref>。楽曲の発売後、[[:en:Billy Joe Royal|ビリー・ジョー・ロイヤル]]や[[フィービ・スノウ]]など多数のアーティストによってカバーされた。 |
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== 背景・曲の構成 == |
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==概要== |
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1969年1月の[[:en:Twickenham Studios|トゥイッケナム・フィルム・スタジオ]]でのリハーサル中、マッカートニーは当時未完成だった「エヴリナイト」を演奏した{{sfn|Benitez|2010|p=21}}。マッカートニーによると、冒頭の2行は「数年前」から存在していて、1969年のギリシャでの休暇中に本作を完成させたという{{sfn|Badman|2009|p=17}}。「エヴリナイト」の歌詞は、ビートルズの解散という事態に直面し、精神的に傷ついていたマッカートニーが曲作りを行なうことで立ち直ろうとしていた当時の困難な状況を反映している<ref>{{cite journal |last= McGrath |first= James |year= 2003 |title= "Like a second needs an hour": Time and the work of Paul McCartney |journal=Interdisciplinary Literary Studies |publisher=Penn State University Press |pages= 10-11 |volume=4 |issue= 2 |jstor= 41208815 }}</ref>。また、「[[ラヴリー・リンダ]]」や「[[ザット・ウッド・ビー・サムシング]]」と同じく、妻の[[リンダ・マッカートニー|リンダ]]との関係性からも影響を受けている{{sfn|Benitez|2010|p=21}}。 |
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マッカートニーとしては初のソロアルバム『[[マッカートニー (アルバム)|マッカートニー]]』の4曲目に収録。[[1969年]][[1月21日]]と[[1月24日]]に行われた[[ビートルズ]]の「ゲット・バック・セッション」内で初演奏され、その後、同年の5月~6月にかけてマッカートニーが休暇のために滞在した[[ケルキラ島]]にて歌詞を完成させた<ref>{{Cite web|url=https://www.the-paulmccartney-project.com/song/every-night/|title=Every Night |work=The Paul Mccartney project|accessdate=2022-05-02}}</ref>。 |
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曲のキーは[[ホ長調|Eメジャー]]{{sfn|Benitez|2010|p=21}}。イントロ、2つのヴァース、ブリッジで構成され、曲はフェード・アウトして終わる{{sfn|Benitez|2010|p=21}}。本作のメロディの一部は、1969年に発表された「[[ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー]]」のイントロとして使用されている{{sfn|Womack|2014|p=268}}。 |
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「頭の中のウヤムヤを忘れたい」「ベッドから出たくない」「無駄に時間を費やしている」といった歌詞に、ビートルズ脱退宣言(1970年[[4月10日]])前後のマッカートニーの心情が表れている。 |
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== レコーディング == |
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また、[[1994年]]冬に発行されたファンクラブ会報にてマッカートニーは、「以前の曲に戻ると、「エヴリナイト」はリメイクされる可能性があるね。[[リンゴ・スター|リンゴ]]に『マッカートニー』のアルバムを聴かせたら、僕が最初に歌ったオリジナルのソロ・バージョンの方が好きだと言っていたのを覚えているよ」と語っている<ref>{{Cite web|url=https://www.the-paulmccartney-project.com/song/every-night/|title=Every Night |work=The Paul Mccartney project|accessdate=2022-05-02}}</ref>。 |
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1969年1月21日と24日、[[アップル・スタジオ]]でのレコーディングの休憩中にマッカートニーが「エヴリナイト」を演奏した{{sfn|Womack|2014|p=268}}。24日のセッションでは[[ジョン・レノン]]が[[スライドギター]]を演奏しており、この翌日のセッションで取り上げられた「[[フォー・ユー・ブルー]]」でも使用された{{sfn|Womack|2014|p=268}}。 |
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1970年2月22日、[[EMIレコーディング・スタジオ]]のスタジオ2で「エヴリナイト」と「[[恋することのもどかしさ]]」のレコーディングを行なった{{sfn|Winn|2009|p=373}}。マッカートニーはセッションを予約する際、'''ビリー・マーティン'''(''{{lang|en|Billy Martin}}'')という変名を使用した{{sfn|Womack|2014|p=268}}。本作においてマッカートニーは[[ボーカル|リード・ボーカル]]のほかに、3本の[[アコースティック・ギター]]、[[エレクトリックベース|ベース]]、[[ドラムセット|ドラム]]を演奏し、ボーカルは部分的に[[ダブルトラック (音楽)|ダブルトラック]]になっている{{sfn|Winn|2009|p=374}}。2日後の24日にミキシング作業が行われた{{sfn|Winn|2009|p=373}}。なお、レコーディング時には[[エレクトリック・ギター]]も使用されたが、最終的なミックスには含まれていない{{sfn|Badman|2009|p=17}}{{sfn|Winn|2009|p=374}}。 |
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ライブでは、[[1979年]]11月~12月に開催されたマッカートニー率いる[[ウイングス]]の全英ツアーで初披露、その後、同年[[12月29日]]に開催された『[[:en:Concerts for the People of Kampuchea|カンボジア難民救済コンサート]]』におけるウイングスのステージにて再び披露している。その後、マッカートニーのソロとしては、[[1991年]]に放送された[[MTV]]の音楽番組『[[MTVアンプラグド]]』出演時にアコースティック・アレンジで披露されたほか、同年に開催されたシークレット・ギグでも同様のアレンジで披露、[[2002年]]のツアーでは、[[アコースティック・ギター]]による弾き語りで披露された<ref>{{Cite web|url=https://www.the-paulmccartney-project.com/song/every-night/|title=Every Night |work=The Paul Mccartney project|accessdate=2022-05-02}}</ref>。 |
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== リリース・評価 == |
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因みに、『カンボジア難民救済コンサート』での映像はアルバム『マッカートニー』のスーパー・デラックス・エディション付属のDVD、『MTVアンプラグド』での音源と映像はライブ・アルバム「[[公式海賊盤]]」と前述のDVD、2002年のバージョンは、ライブ・アルバム「[[バック・イン・ザ・U.S. -ライブ2002]]」及び「[[バック・イン・ザ・ワールド]]」にて確認できる。 |
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1970年4月17日にイギリスで[[アップル・レコード]]からソロ・デビュー・アルバム『マッカートニー』が発売され、「エヴリナイト」は「バレンタイン・デイ」と「燃ゆる太陽の如く/グラシズ」の間の4曲目に収録された<ref>{{cite book |last= Doyle |first= Tom |year= 2014 |origyear= 2013 |title= Man on the Run: Paul McCartney in the 1970s |location= New York |publisher= [[ランダムハウス|Random House]] |page= 299 |isbn= 978-0-804-17915-7 }}</ref>。音楽評論家の[[スティーヴン・トマス・アールワイン]]は、[[オールミュージック]]に寄稿したアルバム『マッカートニー』のレビューの中で「エヴリナイト」について「甘く、優しい」楽曲と表現した<ref>{{cite web |last= Erlewine |first= Stephen Thomas |authorlink= スティーヴン・トマス・アールワイン |title= Paul McCartney - McCartney Album Reviews, Songs & More |url= {{AllMusic|album|mccartney-mw0000194129|pure_url=yes}} |website= [[オールミュージック|AllMusic]] |publisher= All Media Network |accessdate= 2023-02-22 }}</ref>。[[:en:PopMatters|ポップ・マターズ]]のジェシー・クルーパは、本作を「ポール・マッカートニーのソロとして最高の功績の1つ」と見なし、「[[ロマンチック・ラブ]]の様子を完璧に描く一方で、ユニークかつ個人的で決まり文句のない曲というのは珍しい」と評した<ref name="PopMatters" />。 |
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[[ローリング・ストーン]]誌による「ポール・マッカートニーのソロ名曲ベスト40選」({{lang|en|Paul McCartney’s 40 Greatest Solo Songs}})では第13位にランクインした<ref>{{cite web |last1= Dolan |first1= Jon |last2= Vozick-Levinson |first2= Simon |last3= Hermes |first3= Will |last4= Sheffield |first4= Rob |date= 2020-11-30 |title= 13. “Every Night” - Paul McCartney's 40 Greatest Solo Songs |url= https://www.rollingstone.com/music/music-lists/paul-mccartneys-40-greatest-solo-songs-194193/every-night-203427/ |work= [[ローリング・ストーン|Rolling Stone]] |accessdate= 2023-02-22 }}</ref><ref>{{Cite web|和書|title= ポール・マッカートニーのソロ名曲ベスト40選 |url= https://rollingstonejapan.com/articles/detail/35306/8/1/1 |work= Rolling Stone Japan |publisher= CCCミュージック・ラボ |date= 2021-01-30 |accessdate= 2023-02-22 |page= 8 }}</ref>。 |
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==クレジット== |
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:* [[ポール・マッカートニー]] - [[ボーカル|リード・ボーカル]]、[[エレクトリックベース|ベース]]、[[アコースティック・ギター]]、[[ドラムス]] |
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楽曲の発表後、『[[夢の翼〜ヒッツ&ヒストリー〜]]』(2001年)や『[[ピュア・マッカートニー〜オール・タイム・ベスト]]』(2016年)などのベスト・アババムに収録された<ref>{{cite web |title= Every Night |url= https://www.paulmccartney.com/discography/songs/all/every-night |website= Paul McCartney.com |publisher= MPL Communications |accessdate= 2023-02-22 }}</ref>。 |
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== カバー・バージョン == |
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* [[フィフス・ディメンション]] - 1971年のアルバム『[[:en:Love's Lines, Angles and Rhymes|Love's Lines, Angles and Rhymes]]』に収録。 |
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* [[クロディーヌ・ロンジェ]] - 1972年のアルバム『Let's Spend the Night Together』に収録<ref>[https://www.discogs.com/ja/Claudine-Longet-Lets-Spend-The-Night-Together/release/2418767 Claudine Longet - Let's Spend The Night Together (Vinyl, LP) at Discogs]</ref>。 |
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* ハーパーズ・ビザール - 1976年のアルバム『[[:en:As Time Goes By (Harpers Bizarre album)|As Time Goes By]]』に収録。 |
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* [[フィービ・スノウ]] - 1978年のアルバム『[[:en:Against the Grain (Phoebe Snow album)|Against the Grain]]』に収録。 |
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== |
== クレジット == |
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※出典{{sfn|Winn|2009|p=374}} |
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{{Reflist}} |
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* [[ポール・マッカートニー]] - [[ボーカル|リード・ボーカル]]、3本の[[アコースティック・ギター]]、[[エレクトリックベース|ベース]]、[[ドラムセット|ドラム]] |
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== その他のバージョン == |
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=== マッカートニーによるライブ演奏 === |
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1979年冬、マッカートニー率いる[[ウイングス]]はイギリスツアーを開催し、同ツアーで「エヴリナイト」が初めてライブ演奏された{{sfn|Womack|2014|p=269}}。同年12月29日にロンドンの[[ハマースミス・オデオン]]で開催された「カンボジア難民救済コンサート」でも演奏され、当時のライブ音源が1981年に発売された[[:en:Concerts for the People of Kampuchea (album)|同名のライブ・アルバム]]に収録されている<ref>{{cite book |last= Montgomery |first= Ted |year= 2020 |title= The Paul McCartney Catalog: A Complete Annotated Discography of Solo Works, 1967-2019 |location= Jefferson, North Carolina |publisher= [[マクファーランド・アンド・カンパニー|McFarland, Incorporated, Publishers]] |page= 194 |isbn= 978-1-476-63801-0 }}</ref>。1991年に出演した『[[MTVアンプラグド]]』ではアコースティックのアレンジで演奏され、当時のライブ音源は『[[公式海賊盤]]』に収録された<ref>{{cite book |和書 |author= 監修: 宇田和弘 |year= 2007 |title= アコースティック・ギター・ミュージック名盤350 |location= 東京都千代田区 |publisher= [[音楽出版社 (企業)|音楽出版社]] |page= 48 |isbn= 978-4-861-71028-5 }}</ref>。その後、2002年の「Driving World Tour」や2003年の「Back in the World Tour」でも演奏され、それぞれ『[[バック・イン・ザ・U.S. -ライブ2002]]』や『[[バック・イン・ザ・ワールド]]』にライブ音源が収録されている{{sfn|Womack|2014|p=269}}。 |
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2011年にアーカイヴ・コレクションの一環として『マッカートニー』のリマスター・バージョンが発売され、ボーナス・トラックとして1979年のグラスゴー公演でのライブ音源が収録された{{sfn|Womack|2014|p=269}}。 |
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=== フィービ・スノウによるカバー === |
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{{Infobox Single |
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| Name = エヴリ・ナイト |
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| Artist = [[フィービ・スノウ]] |
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| Album = [[詞華集 (フィービ・スノウのアルバム)|詞華集]] |
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| B-side = {{plainlist| |
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* {{flagicon|USA}} ランダム・タイム |
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* {{flagicon|UK}} 渚にて}} |
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| Released = 1978年11月 |
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| Recorded = |
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| Genre = [[ロック (音楽)|ロック]] |
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| Length = 3分32秒 |
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| Label = [[コロムビア・レコード]] |
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| Writer = ポール・マッカートニー |
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| Produced = {{plainlist| |
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* [[フィル・ラモーン]] |
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* [[:en:Barry Beckett|バリー・ベケット]]}} |
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| Chart position = [[#チャート成績|別記]]参照 |
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| Last single = {{unbulleted list|リーリン|(1978年)}} |
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| This single = {{unbulleted list|'''エヴリ・ナイト'''|(1978年)}} |
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| Next single = {{unbulleted list|サムタイムス・ラヴ・フォーゲッツ|(1980年)}} |
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| Misc = {{Extra track listing |
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| Album = [[詞華集 (フィービ・スノウのアルバム)|詞華集]] |
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| Type = studio |
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| this_track = '''エヴリ・ナイト''' |
|||
| track_no = A-1 |
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| next_track = ドゥ・ライト・ウーマン、ドゥ・ライト・マン |
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| next_no = A-2 |
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}} |
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}} |
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{{after float}} |
|||
[[フィービ・スノウ]]は、1978年に発売したアルバム『[[詞華集 (フィービ・スノウのアルバム)|詞華集]]』で「エヴリ・ナイト」をカバーした<ref>{{AllMusic |last= Ruhlmann |first= William |title= Phoebe Snow Album Reviews, Songs & More |class= album |id= against-the-grain-mw0000691182 |accessdate= 2023-02-22 }}</ref>。アルバムについて、スノウは「ロック・アルバムにしようとしたんだけど、いっぱい意見が出ちゃって。演奏者、歌手、スタジオを掃除する人みんなでアルバムを作って」と回想し、「『エヴリナイト』が収録されたのが、あのアルバムにおいて採用された私の意見の1つ」と付け加えている<ref>{{cite news |last= Campbell |first= Mary |date= 1981-06-10 |title= Phoebe is Proud of Picking Her Hit Songs |newspaper= [[タンパベイ・タイムズ|Tampa Bay Time]] |location= St. Petersburg, Florida |page= 58 }}</ref>。1978年11月にシングル盤として発売され、ニュージーランドのシングルチャートで最高位6位<ref name="NZchart">{{cite web |title= Charts.nz - Phoebe Snow - Every Night |url= https://charts.nz/showitem.asp?interpret=Phoebe+Snow&titel=Every+Night&cat=s |publisher= [[:en:Official New Zealand Music Chart|Official New Zealand Music Chart]] |accessdate= 2023-02-22 }}</ref>、[[全英シングルチャート]]で最高位37位を記録<ref name="UKchart" />。 |
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==== シングル収録曲 ==== |
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{{Tracklist |
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| headline = 7インチシングル(アメリカ盤) |
|||
| writing_credits = yes |
|||
| total_length = auto |
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| #1 = A |
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| title1 = エヴリ・ナイト |
|||
| note1 = Every Night |
|||
| writer1 = ポール・マッカートニー |
|||
| length1 = 3:32 |
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| #2 = B |
|||
| title2 = ランダム・タイム |
|||
| note2 = Random Time |
|||
| writer2 = フィービ・スノウ |
|||
| length2 = 3:42 |
|||
}} |
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{{Tracklist |
|||
| headline = 7インチシングル(イギリス盤) |
|||
| writing_credits = yes |
|||
| total_length = auto |
|||
| #1 = A |
|||
| title1 = エヴリ・ナイト |
|||
| note1 = Every Night |
|||
| writer1 = ポール・マッカートニー |
|||
| length1 = 3:32 |
|||
| #2 = B |
|||
| title2 = 渚にて |
|||
| note2 = Keep A Watch On The Shoreline |
|||
| writer2 = フィービ・スノウ |
|||
| length2 = 4:42 |
|||
}} |
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==== チャート成績 ==== |
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{| class="wikitable sortable" |
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! チャート (1978年 - 1979年) !! 最高位 |
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|- |
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| オーストラリア ([[ARIAチャート|ARIA]])<ref>{{cite book |last= David |first= Kent |authorlink= :en:David Kent (historian) |year= 1993 |title= Australian Chart Book 1970-1992 |editor= illustrated |location= St Ives, N.S.W. |publisher= Australian Chart Book |page= 280 |isbn= 0-646-11917-6 }}</ref> |
|||
| style="text-align: center;"| 22 |
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|- |
|||
| ニュージーランド ([[ニュージーランド・レコード産業協会|RMNZ]])<ref name="NZchart" /> |
|||
| style="text-align: center;"| 6 |
|||
|- |
|||
{{single chart|UK|37|date=19790127|refname="UKchart"|accessdate=2023-02-22}} |
|||
|- |
|||
| US Singles Chart 101-150 (''[[:en:Record World|Record World]]'')<ref>{{cite journal |title= The Singles Chart 101-150 |journal= [[:en:Record World|Record World]] |date= January 20, 1979 |page= 38 }}</ref> |
|||
| style="text-align: center;"| 129 |
|||
|} |
|||
=== その他のアーティストによるカバー === |
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* [[:en:Billy Joe Royal|ビリー・ジョー・ロイヤル]] - 1970年8月に「エヴリナイト」のカバー・バージョンをシングルとして発売<ref>{{cite journal |title= Special Merit Spotlight |journal= [[ビルボード|Billboard]] |volume= 82 |issue= 35 |date= August 29, 1970 |publisher= Nielsen Business Media |issn= 0006-2510 |page= 54 }}</ref>。[[ビルボード]]誌の[[:en:Bubbling Under The Hot 100|Bubbling Under The Hot 100]]で最高位113位を記録<ref>{{cite journal |title= Bubbling Under The Hot 100 |journal= [[ビルボード|Billboard]] |volume= 82 |issue= 40 |date= October 3, 1970 |publisher= Nielsen Business Media |issn= 0006-2510 |page= 61 }}</ref>。 |
|||
* [[オデッタ]] - 1970年12月に発売のアルバム『オデッタ・シングス』に収録<ref>{{AllMusic |title= Odetta - Odetta Sings Album Reviews, Songs & More |class= album |id= odetta-sings-mw0000864622 |accessdate= 2023-02-24 }}</ref>。 |
|||
* [[フィフス・ディメンション]] - 1971年に発売のアルバム『[[:en:Love's Lines, Angles and Rhymes|愛のロンド]]』に収録<ref>{{AllMusic |last= Planer |first= Lindsay |title= The 5th Dimension - Love's Lines, Angles and Rhymes Album Reviews, Songs & More |class= album |id= loves-lines-angles-and-rhymes-mw0000840699 |accessdate= 2023-02-24 }}</ref>。 |
|||
* [[クロディーヌ・ロンジェ]] - 1972年に発売のアルバム『夜をぶっ飛ばせ』に収録<ref>{{AllMusic |title= Claudine Longet - Let's Spend the Night Together Album Reviews, Songs & More |class= album |id= lets-spend-the-night-together-mw0000926088 |accessdate= 2023-02-24 }}</ref>。 |
|||
* [[リッチー・ヘブンス]] - 1980年に発売のアルバム『Connections』に収録<ref>{{AllMusic |title= Richie Havens - Connections Album Reviews, Songs & More |class= album |id= connections-mw0000218797 |accessdate= 2023-02-24 }}</ref>。 |
|||
* [[ジェイミー・カラム]] - 2014年に発売のトリビュート・アルバム『The Art of McCartney』に収録<ref>{{AllMusic |title= Various Artists - The Art of McCartney Album Reviews, Songs & More |class= album |id= the-art-of-mccartney-mw0002749491 |accessdate= 2023-02-24 }}</ref>。 |
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== 出典 == |
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{{Reflist|25em}} |
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=== 参考文献 === |
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<!-- 「last」のアルファベット順に掲載。 --> |
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* {{cite book |last= Badman |first= Keith |year= 2009 |title= The Beatles: Off The Record 2 - The Dream is Over |location= London |publisher= [[:en:Omnibus Press|Omnibus Press]] |isbn= 978-0-857-12102-8 |ref= harv }} |
|||
* {{cite book |last= Benitez |first= Vincent Perez |year= 2010 |title= The Words and Music of Paul McCartney: The Solo Years |location= Westport, Connecticut |publisher= Praeger |isbn= 978-0-313-34969-0 |ref= harv }} |
|||
* {{cite book |last= Winn |first= John C. |authorlink= :en:John C. Winn |year= 2009 |title= That Magic Feeling: The Beatles' Recorded Legacy, Volume Two, 1966-1970 |location= New York City |publisher= [[:en:Three Rivers Press|Three Rivers Press]] |isbn= 978-0-307-45239-9 |ref= harv }} |
|||
*{{Cite book |last= Womack |first=Kenneth |authorlink=:en:Kenneth Womack |year= 2014 |title=The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four |publisher=ABC-CLIO |location=Santa Barbara, CA |isbn= 978-0-313-39171-2 |ref=harv }} |
|||
== 外部リンク == |
|||
* {{Genius song|id=Paul-mccartney-every-night-lyrics|name=Every Night}} |
|||
{{Normdaten}} |
{{Normdaten}} |
||
{{ |
{{デフォルトソート:えふりないと}} |
||
[[Category:1970年の楽曲]] |
|||
[[Category:ポール・マッカートニーの楽曲]] |
[[Category:ポール・マッカートニーの楽曲]] |
||
[[Category: |
[[Category:ポール・マッカートニーが制作した楽曲]] |
||
[[Category:クロディーヌ・ロンジェの楽曲]] |
|||
[[Category:ハーパース・ビザールの楽曲]] |
|||
[[Category:フィービ・スノウの楽曲]] |
|||
[[Category:ポール・マッカートニーがプロデュースした楽曲]] |
[[Category:ポール・マッカートニーがプロデュースした楽曲]] |
||
[[Category: |
[[Category:1978年のシングル]] |
||
[[Category:フィービ・スノウの楽曲]] |
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2023年10月11日 (水) 11:39時点における最新版
「エヴリナイト」 | ||||||||||
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ポール・マッカートニーの楽曲 | ||||||||||
収録アルバム | 『マッカートニー』 | |||||||||
英語名 | Every Night | |||||||||
リリース | 1970年4月17日 | |||||||||
録音 |
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ジャンル | ロック[1] | |||||||||
時間 | 2分32秒 | |||||||||
レーベル | アップル・レコード | |||||||||
作詞者 | ポール・マッカートニー | |||||||||
作曲者 | ポール・マッカートニー | |||||||||
プロデュース | ポール・マッカートニー | |||||||||
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「エヴリナイト」(Every Night)は、ポール・マッカートニーの楽曲である。1970年4月に発売されたソロ・デビュー・アルバム『マッカートニー』に収録された。1969年にマッカートニーがギリシャでの休暇中に書き上げた楽曲で、最初の2行は同年にビートルズが行なったゲット・バック・セッションの時点で存在していた[2]。楽曲の発売後、ビリー・ジョー・ロイヤルやフィービ・スノウなど多数のアーティストによってカバーされた。
背景・曲の構成
[編集]1969年1月のトゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル中、マッカートニーは当時未完成だった「エヴリナイト」を演奏した[3]。マッカートニーによると、冒頭の2行は「数年前」から存在していて、1969年のギリシャでの休暇中に本作を完成させたという[4]。「エヴリナイト」の歌詞は、ビートルズの解散という事態に直面し、精神的に傷ついていたマッカートニーが曲作りを行なうことで立ち直ろうとしていた当時の困難な状況を反映している[5]。また、「ラヴリー・リンダ」や「ザット・ウッド・ビー・サムシング」と同じく、妻のリンダとの関係性からも影響を受けている[3]。
曲のキーはEメジャー[3]。イントロ、2つのヴァース、ブリッジで構成され、曲はフェード・アウトして終わる[3]。本作のメロディの一部は、1969年に発表された「ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー」のイントロとして使用されている[6]。
レコーディング
[編集]1969年1月21日と24日、アップル・スタジオでのレコーディングの休憩中にマッカートニーが「エヴリナイト」を演奏した[6]。24日のセッションではジョン・レノンがスライドギターを演奏しており、この翌日のセッションで取り上げられた「フォー・ユー・ブルー」でも使用された[6]。
1970年2月22日、EMIレコーディング・スタジオのスタジオ2で「エヴリナイト」と「恋することのもどかしさ」のレコーディングを行なった[7]。マッカートニーはセッションを予約する際、ビリー・マーティン(Billy Martin)という変名を使用した[6]。本作においてマッカートニーはリード・ボーカルのほかに、3本のアコースティック・ギター、ベース、ドラムを演奏し、ボーカルは部分的にダブルトラックになっている[8]。2日後の24日にミキシング作業が行われた[7]。なお、レコーディング時にはエレクトリック・ギターも使用されたが、最終的なミックスには含まれていない[4][8]。
リリース・評価
[編集]1970年4月17日にイギリスでアップル・レコードからソロ・デビュー・アルバム『マッカートニー』が発売され、「エヴリナイト」は「バレンタイン・デイ」と「燃ゆる太陽の如く/グラシズ」の間の4曲目に収録された[9]。音楽評論家のスティーヴン・トマス・アールワインは、オールミュージックに寄稿したアルバム『マッカートニー』のレビューの中で「エヴリナイト」について「甘く、優しい」楽曲と表現した[10]。ポップ・マターズのジェシー・クルーパは、本作を「ポール・マッカートニーのソロとして最高の功績の1つ」と見なし、「ロマンチック・ラブの様子を完璧に描く一方で、ユニークかつ個人的で決まり文句のない曲というのは珍しい」と評した[2]。
ローリング・ストーン誌による「ポール・マッカートニーのソロ名曲ベスト40選」(Paul McCartney’s 40 Greatest Solo Songs)では第13位にランクインした[11][12]。
楽曲の発表後、『夢の翼〜ヒッツ&ヒストリー〜』(2001年)や『ピュア・マッカートニー〜オール・タイム・ベスト』(2016年)などのベスト・アババムに収録された[13]。
クレジット
[編集]※出典[8]
その他のバージョン
[編集]マッカートニーによるライブ演奏
[編集]1979年冬、マッカートニー率いるウイングスはイギリスツアーを開催し、同ツアーで「エヴリナイト」が初めてライブ演奏された[14]。同年12月29日にロンドンのハマースミス・オデオンで開催された「カンボジア難民救済コンサート」でも演奏され、当時のライブ音源が1981年に発売された同名のライブ・アルバムに収録されている[15]。1991年に出演した『MTVアンプラグド』ではアコースティックのアレンジで演奏され、当時のライブ音源は『公式海賊盤』に収録された[16]。その後、2002年の「Driving World Tour」や2003年の「Back in the World Tour」でも演奏され、それぞれ『バック・イン・ザ・U.S. -ライブ2002』や『バック・イン・ザ・ワールド』にライブ音源が収録されている[14]。
2011年にアーカイヴ・コレクションの一環として『マッカートニー』のリマスター・バージョンが発売され、ボーナス・トラックとして1979年のグラスゴー公演でのライブ音源が収録された[14]。
フィービ・スノウによるカバー
[編集]「エヴリ・ナイト」 | ||||||||||
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フィービ・スノウ の シングル | ||||||||||
初出アルバム『詞華集』 | ||||||||||
B面 | ||||||||||
リリース | ||||||||||
ジャンル | ロック | |||||||||
時間 | ||||||||||
レーベル | コロムビア・レコード | |||||||||
作詞・作曲 | ポール・マッカートニー | |||||||||
チャート最高順位 | ||||||||||
別記参照 | ||||||||||
フィービ・スノウ シングル 年表 | ||||||||||
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フィービ・スノウは、1978年に発売したアルバム『詞華集』で「エヴリ・ナイト」をカバーした[17]。アルバムについて、スノウは「ロック・アルバムにしようとしたんだけど、いっぱい意見が出ちゃって。演奏者、歌手、スタジオを掃除する人みんなでアルバムを作って」と回想し、「『エヴリナイト』が収録されたのが、あのアルバムにおいて採用された私の意見の1つ」と付け加えている[18]。1978年11月にシングル盤として発売され、ニュージーランドのシングルチャートで最高位6位[19]、全英シングルチャートで最高位37位を記録[20]。
シングル収録曲
[編集]# | タイトル | 作詞・作曲 | 時間 |
---|---|---|---|
A. | 「エヴリ・ナイト」(Every Night) | ポール・マッカートニー | |
B. | 「ランダム・タイム」(Random Time) | フィービ・スノウ | |
合計時間: |
# | タイトル | 作詞・作曲 | 時間 |
---|---|---|---|
A. | 「エヴリ・ナイト」(Every Night) | ポール・マッカートニー | |
B. | 「渚にて」(Keep A Watch On The Shoreline) | フィービ・スノウ | |
合計時間: |
チャート成績
[編集]チャート (1978年 - 1979年) | 最高位 |
---|---|
オーストラリア (ARIA)[21] | 22 |
ニュージーランド (RMNZ)[19] | 6 |
UK シングルス (OCC)[20] | 37 |
US Singles Chart 101-150 (Record World)[22] | 129 |
その他のアーティストによるカバー
[編集]- ビリー・ジョー・ロイヤル - 1970年8月に「エヴリナイト」のカバー・バージョンをシングルとして発売[23]。ビルボード誌のBubbling Under The Hot 100で最高位113位を記録[24]。
- オデッタ - 1970年12月に発売のアルバム『オデッタ・シングス』に収録[25]。
- フィフス・ディメンション - 1971年に発売のアルバム『愛のロンド』に収録[26]。
- クロディーヌ・ロンジェ - 1972年に発売のアルバム『夜をぶっ飛ばせ』に収録[27]。
- リッチー・ヘブンス - 1980年に発売のアルバム『Connections』に収録[28]。
- ジェイミー・カラム - 2014年に発売のトリビュート・アルバム『The Art of McCartney』に収録[29]。
出典
[編集]- ^ “Special Merit Spotlight”. Billboard (Nielsen Business Media) 82 (35): 54. (August 29, 1970). ISSN 0006-2510. "The Paul McCartney rock ballad..."
- ^ a b Krupa, Jessy (2010年6月21日). “Paul McCartney - "Every Night"”. PopMatters. PopMatters Media. 2023年2月20日閲覧。
- ^ a b c d Benitez 2010, p. 21.
- ^ a b Badman 2009, p. 17.
- ^ McGrath, James (2003). “"Like a second needs an hour": Time and the work of Paul McCartney”. Interdisciplinary Literary Studies (Penn State University Press) 4 (2): 10-11. JSTOR 41208815.
- ^ a b c d Womack 2014, p. 268.
- ^ a b Winn 2009, p. 373.
- ^ a b c Winn 2009, p. 374.
- ^ Doyle, Tom (2014) [2013]. Man on the Run: Paul McCartney in the 1970s. New York: Random House. p. 299. ISBN 978-0-804-17915-7
- ^ Erlewine, Stephen Thomas. “Paul McCartney - McCartney Album Reviews, Songs & More”. AllMusic. All Media Network. 2023年2月22日閲覧。
- ^ “13. “Every Night” - Paul McCartney's 40 Greatest Solo Songs”. Rolling Stone (2020年11月30日). 2023年2月22日閲覧。
- ^ “ポール・マッカートニーのソロ名曲ベスト40選”. Rolling Stone Japan. CCCミュージック・ラボ. p. 8 (2021年1月30日). 2023年2月22日閲覧。
- ^ “Every Night”. Paul McCartney.com. MPL Communications. 2023年2月22日閲覧。
- ^ a b c Womack 2014, p. 269.
- ^ Montgomery, Ted (2020). The Paul McCartney Catalog: A Complete Annotated Discography of Solo Works, 1967-2019. Jefferson, North Carolina: McFarland, Incorporated, Publishers. p. 194. ISBN 978-1-476-63801-0
- ^ 監修: 宇田和弘『アコースティック・ギター・ミュージック名盤350』音楽出版社、東京都千代田区、2007年、48頁。ISBN 978-4-861-71028-5。
- ^ Ruhlmann, William. Phoebe Snow Album Reviews, Songs & More - オールミュージック. 2023年2月22日閲覧。
- ^ Campbell, Mary (1981年6月10日). “Phoebe is Proud of Picking Her Hit Songs”. Tampa Bay Time (St. Petersburg, Florida): p. 58
- ^ a b “Charts.nz - Phoebe Snow - Every Night”. Official New Zealand Music Chart. 2023年2月22日閲覧。
- ^ a b "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2023年2月22日閲覧。
- ^ David, Kent (1993). illustrated. ed. Australian Chart Book 1970-1992. St Ives, N.S.W.: Australian Chart Book. p. 280. ISBN 0-646-11917-6
- ^ “The Singles Chart 101-150”. Record World: 38. (January 20, 1979).
- ^ “Special Merit Spotlight”. Billboard (Nielsen Business Media) 82 (35): 54. (August 29, 1970). ISSN 0006-2510.
- ^ “Bubbling Under The Hot 100”. Billboard (Nielsen Business Media) 82 (40): 61. (October 3, 1970). ISSN 0006-2510.
- ^ Odetta - Odetta Sings Album Reviews, Songs & More - オールミュージック. 2023年2月24日閲覧。
- ^ Planer, Lindsay. The 5th Dimension - Love's Lines, Angles and Rhymes Album Reviews, Songs & More - オールミュージック. 2023年2月24日閲覧。
- ^ Claudine Longet - Let's Spend the Night Together Album Reviews, Songs & More - オールミュージック. 2023年2月24日閲覧。
- ^ Richie Havens - Connections Album Reviews, Songs & More - オールミュージック. 2023年2月24日閲覧。
- ^ Various Artists - The Art of McCartney Album Reviews, Songs & More - オールミュージック. 2023年2月24日閲覧。
参考文献
[編集]- Badman, Keith (2009). The Beatles: Off The Record 2 - The Dream is Over. London: Omnibus Press. ISBN 978-0-857-12102-8
- Benitez, Vincent Perez (2010). The Words and Music of Paul McCartney: The Solo Years. Westport, Connecticut: Praeger. ISBN 978-0-313-34969-0
- Winn, John C. (2009). That Magic Feeling: The Beatles' Recorded Legacy, Volume Two, 1966-1970. New York City: Three Rivers Press. ISBN 978-0-307-45239-9
- Womack, Kenneth (2014). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four. Santa Barbara, CA: ABC-CLIO. ISBN 978-0-313-39171-2
外部リンク
[編集]- Every Night - Geniusの歌詞ページ