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「東京大学教育学部附属中等教育学校」の版間の差分

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2022年10月8日 (土) 05:12時点における版

東京大学教育学部附属中等教育学校
地図北緯35度41分9.4秒 東経139度40分22.3秒 / 北緯35.685944度 東経139.672861度 / 35.685944; 139.672861座標: 北緯35度41分9.4秒 東経139度40分22.3秒 / 北緯35.685944度 東経139.672861度 / 35.685944; 139.672861
過去の名称 ・旧制東京高等学校
・東京大学附属中学校
・東京大学附属高等学校
・東京大学教育学部附属中学校 高等学校
国公私立の別 国立学校
設置者 国立大学法人東京大学
設立年月日 1948年5月30日
共学・別学 男女共学
中高一貫教育  中等教育学校
課程 全日制課程
単位制・学年制 学年制
設置学科 普通科
学期 2学期制
学校コード D213110000011 ウィキデータを編集
中等教育学校コード 13007K
所在地 164-8654
東京都中野区南台一丁目15番1号
外部リンク 東京大学教育学部附属中等教育学校
ウィキポータル 教育
ウィキプロジェクト 学校
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東京大学教育学部附属中等教育学校 (とうきょうだいがく きょういくがくぶ ふぞく ちゅうとうきょういくがっこう、: The University of Tokyo Secondary School)は、東京都中野区南台1丁目15-1(東京大学中野キャンパス)に所在する国立中等教育学校中高一貫校)。

設置者は国立大学法人東京大学で、東京大学教育学部および同大学大学院教育学研究科附属学校
後期課程(高等学校に相当)においては若干名のみ入学(編入学)者を募集する準完全中高一貫校

東京大学のアカデミックで最新の知の財産を活かした、洗練されたカリキュラムを提供する中等教育学校であることから入学試験は大勢の受験生が集まる高倍率の大人気校である。知が日常的に再編成される情報化社会の未来を見据えた最先端の教育研究、および日本屈指の学習環境デザインに基づいた教育実践を行っている。

概要

社会構造の変化に伴う働き方の変化を踏まえ、学習環境のイノベーションの必要性から教育目標に「未来にひらく自己の確立」を掲げる。

先の見えないこれからの時代において、「正解」のない問いに他者と手を取り合い立ち向かう力の必要性と自分自身の内側から湧き起こる根源的能動性の重要度を掲げ、自らの「問い」に基づいた根源的能動性を発掘する機会を多くの友と共有し分かち合いによる共創を目指す人生100年時代の学びの幸福感・幸福度を重要視する学習観を展開。

東京大学学校教育高度化効果検証センター効果検証部門 (CASEER)、東京大学大学院教育学研究科附属学校データベース (DB) 管理運営委員会、東京大学大学院教育学研究科と連携し、ディープアクティブラーニングによる思考型、体験型の課題別講座や学内外でのフィールドワークを通じた総合学習と探究学習カリキュラムを展開し教育効果検証を行い、生徒の内発的動機とメタ認知能力を意識した先進的な「学習者中心の教育空間」が実現している。

VUCA時代を生き抜くヒトづくり」を標榜しており、具体的には、VUCA時代に求められる課題の発見と解決を主体的・能動的に探究する学習(ディープ・アクティブラーニング)の研究に力を入れ、総合学習の開発と実践を進めている。また、Society5.0の学校モデルとして、今後の予測不能な社会の中で全く新しい価値観や社会制度の変革に必要とされる他者と協働し解決していく共創力育成プログラムを、協働性と市民性を重視した教科学習の授業で実践している。

「中高一貫教育の芸術活動や芸術経験の充実」「空間UI技術を用いたICT活用アクティブ・ラーニング授業」「GIGAスクール構想を先導する形でICT を用いた“からだ丸ごとの協働”を引き出す空間UI(ユーザーインターフェイス)の実践研究」「シチズンシップ教育」「中高一貫教育の学習環境デザイン」「3Dプリンターやレーザーカッター、3D-CADを採用した情報科授業とデジタルファブリケーション教室整備」「双子研究」「高大接続を視野に入れた卒業研究」「STEAM教育」「実践共同体の中の学び」「主体的・探究的な学びの体験がもたらす高大接続・社会への貢献」「地域文化倶楽部創設に向けた調査研究」「新しい時代の学び環境整備先導的開発事業」などの研究開発が続けられている。

沿革

歴史

起源は1921年大正10年)創立の7年制の官立旧制東京高等学校。GHQの指導による学校改革に伴い1948年昭和23年)に新制中学校として東京大学に包括され「東京大学附属中学校」として再編し、翌1949年(昭和24年)には学年進行による新制の「東京大学附属高等学校」も発足し,日本初の男女共学の中高一貫型の学校形態が誕生した。

翌年、東京大学に教育学部が創設され、1951年、「東京大学教育学部附属中学校・高等学校」となり、国内の中高一貫教育を牽引する存在として、授業研究開発をスタートさせる。2000年4月1日国立で初の中等教育学校となり、旧中学校を前期課程、旧高等学校を後期課程とし、学年は高1・高2・高3がそれぞれ4年・5年・6年に改編。

男女共学の1学年120人の小規模校で、前後期(2学期)制(4~9月が前期・10~3月が後期)。1学年あたり、6人の担任団と15人の教員が教科指導にあたる体制となっている。

樹木に囲まれ、都心部有数の広大な敷地面積を誇る。敷地内には、東京高等学校 (旧制)を記念するモニュメントが残されており、折に触れて旧制東京高等学校が起源であることを学校長が生徒に語る。銀杏祭では、伝統の「東高音頭(とんこうおんど)」を東高(とんこう)OGと在校生有志のステージも続けられていた。

年表

  • 1921年大正10年)-官立旧制 東京高等学校創設。
  • 1948年昭和23年)- 5月30日 - 学制改革に伴い、「東京大学附属中学校」(新制中学校、男子校)として再編。
  • 1949年(昭和24年)-「東京大学附属高等学校」が開校し、日本初の男女共学の中高一貫教育の開始。筆記試験無しの公開抽選で入学者選抜を行う。
  • 1950年(昭和25年)- 東京大学教育学部が発足。
  • 1951年(昭和26年)- 教育学部に移管され、「東京大学教育学部附属中学校・高等学校」と改称。
  • 1953年(昭和28年)- 双生児募集枠を設け、双生児男子10組、女子10組の募集を開始。
  • 1955年(昭和30年)- 高校への自動的進級の改定(学年の10%以内を進学不許可とし、補欠募集を実施)。
  • 1966年(昭和41年)- 高等学校の補欠募集を停止し、2-2-2制を採用し、完全中高一貫教育体制となる。「特別学習」を開始。
  • 1980年(昭和55年)- 入学者選抜を、公開抽選のみから、公開抽選後に学力検査実施に改訂。
  • 1999年(平成11年)- 全国に先駆け、入学者選抜試験の学力検査を「適性検査型入試」で実施。
  • 2000年平成12年)- 国立で初の中等教育学校への移行、「東京大学教育学部附属中等教育学校」と改称。
  • 2001年(平成13年)- 総合教育棟が完成。教員も7名増員されて格段の充実が実現。
  • 2007年(平成19年)- 入学者選抜試験で抽選を廃止する。
  • 2010年(平成22年)- 入学者選抜試験を改定し(適性検査Ⅰ、適性検査Ⅱ、実技)とし、本格的な学力試験を導入する。
  • 2013年(平成23年)- 新体育館とグラウンド落成。
  • 2017年(平成29年)- 東京大学大学院教育学研究科附属「学校教育高度化・効果検証センター」連携スタート
  • 2018年(平成30年)- 「空間UI技術」で部屋全体をデジタル化したDeAL教室完成。
  • 2019年令和元年)- 入学試験での双生児募集枠を一般選抜枠内に含める方針に変更。(双生児6~7組程度/1学年)
  • 2020年(令和2年)- 東大院生による季節補習開始。コロナ禍のオンライン授業でTOEFLのCriterion導入開始。TOEIC Bridge L&R ・TOEIC Bridge S&Wを全学で受験開始。
  • 2021年(令和3年)- 東京大学芸術創造連携研究機構発足に伴い、「アートを遊ぶ、アートに学ぶ、アートで繋がる」学問と芸術教育の連携スタート。空間UI技術を用いたICT活用アクティブ・ラーニング授業の探求学プログラムにおいて、東大院生によるZoomを用いた生徒支援開始。入学者選抜試験の情報公開開始。
  • 2022年(令和4年)- 東京大学教育学部の教授陣によるリレー講義形式の授業「現代教育学入門」スタート。

校風

  • 大学院の修士課程を修了した教員が極めて多く、高度な専門性でユニークな授業を展開している。教員と生徒の関係性は密で近い。
  • 生徒の内発的動機による主体性、協働を第一にした自主自律の学校運営が行われている。「自律」と「共生」の環境のもと、デイスカッションを通じて、相手と自分の価値観に気づき、互いを尊重し合うアサーティブ・コミュニケーションによる多様性理解を育んでいる。
  • 人よりも早く多くという無限競争や受験競争が成り立たないSociety5.0の社会像・求められる人材像・学びの在り方を、社会構成主義学習観に基づいて「シェアして知恵と力をわかちあう」対話的思考型の授業スタイルで育成する。クラスで男女2名ずつの4人グループでの学習チームを編成し、総合学習を協働的な学びで進めるため男女の仲がとても良い。
  • 探究学のノウハウが半世紀前からあり、学術的土台があることから、研究者を目指す生徒が年々増えてきている。
  • 学習環境デザインが専門の東京大学 山内祐平教授とともに東大附属の特色ある学習観を反映させた校舎のリノベーションプランの設計が完了し、工事着工を控えている。「探究・協働」の活動をふんだんに取り入れる普通教室の整備。図書館を中心としたラーニングコモンズを校舎の中核に据えた探究空間。その他、「からだまるごと」で他者・世界とつながる区間UI(ユーザーインターフェイス)の導入、特別教室の可塑的で効果的な再配置や多様なコモンズを核とした新たな教育空間を創出。多様なレイアウトが可能な「L型普通教室」、コミュニケーショナルな回遊空間「クリエイトラウンジ」「教職員コモンズ」、DEAL+放課後コモンズによる協働的な学びの空間「ラーニングコモンズB」など、中高一貫校の先進的な未来型の学校建築の実現に向けて進んでいる。
  • 学内外へアウトプットの場が多種多様にプログラムされている。プレゼンの機会が多い。
  • 東京都内に限らず、千葉県・神奈川県・埼玉県・茨城県・栃木県からの通学者も多いのが特徴である。沖縄県や山形県や山梨県や香川県など地方からの受検生もおり、私立や国立の小学校からの進学者も多い。自転車通学は全学年ともに直線距離で半径5km内は許可されている。入学は通学時間90分以内の距離に住居を構える生徒が対象となる。
  • 独特の教育制度と自由主義的な校風のもとに数々の傑出した人材を生みだした東京高等学校 (旧制)の気質を継承し、生徒が責任の名のもとに主体的に行動を選択する自主自律の空間。「問い」に溢れた学びの空間から、卒業生は多様な進路と自己実現に成功し、人生100年時代に先駆け学びの実感を生涯に渡り感じ得る、探究的市民の素養が高い人材が育成されている。
  • コロナ禍での活動制限は、母体の東京大学の新型コロナウイルス対策タスクフォースが設定する活動制限レベルに沿ったもので、東京大学としては学生のフィールドワークや研究活動の機会を極力とめないスタンスである。よって、附属も生徒の様々な体験や学習の機会をとても大切にしているため、感染予防対策を徹底しながら対面授業と行事の実施を積極的に行っており、教育委員会の定めにとらわれない柔軟さがある。

ポリシー

「グローバルな時代である21世紀の社会で求められる他者との協働や情報交換を通じ、日本社会と国際社会に貢献できる人材を目指すためのスクールポリシー」が設計されている。


~アドミッション・ポリシー~
  • 学習に向き合うことのできる素直さ
  • 知らないことや取り組んだことのないものと関わろうとする知的好奇心
  • 感じたことや考えたことを、自分のことばによってまとめられる表現力
  • 小学校段階までの学習を修めていると認められる基礎学力


~グラデュエーション・ポリシー~
  • 自己との対話・多様な他者との対話を通して多岐に亘る事象に関心を深め、筋道を立ててその本質を問い続けることができる
  • 主権者、社会の形成者として未来のために行動することができる


~カリキュラム・ポリシー~

【基礎期】

  • 探究の楽しさ大変さに気づかせ、探究的な学びへの手応えを持たせる
  • 思考、探究するための基礎的学力を身につけさせる
  • 他者との違いを認識しその違いを受け止められるように促す
  • 自らの所属する集団のために自分にできることを進んで行おうとする姿勢を育む

【充実期】

  • 解決方法を考えながら課題と向き合い探究する機会を積極的・意図的に設ける
  • 課題を見出す力や、協働するための幅広い学力を身につけさせる
  • 自己と他者の個性を尊重しながら協働して課題に取り組み、互いの成長が実感できるように促す
  • 社会の中で生きる将来の自分の姿を想像しながら、種々の選択・決定を行い行動できる力を培う

【発展期】

  • 社会との接点を踏まえつつ自らの興味・関心に基づいた探究ができる機会を充実させる
  • 自分の進路に向けて深く思考・探究する学力を身につけさせる
  • 自己と他者とが互いに支え合っていることを自覚しながら協働して社会に働きかける力を培う
  • 学校という枠組みを超えて多様な他者と連携しながら思考し行動する機会を多く設ける

教育内容

東京大学の知の財産を活用した、独自の教育活動の展開が大きな特徴である。近年は、東大との連携をより深める改革が進んでいる。

(1) 教育目標

「未来に開く自己の確立」

(2) 教育方針
  • 学習の基礎である「5つの力」(ことばの力・論理の力・身体と表現の力・情報の力・関係の力)の獲得
  • 教科の学習と総合学習を統合させ、未来を開いていく力の獲得に向けた「『知の総合』学習」
(3) 教育の特色
  創立以来半世紀以上にわたり中高一貫教育を行い日本の中等教育を牽引し、教科の学習と総合学習の2本の柱から「5つの力」の獲得を目指し、子どもたちが未来をひらいていく力、すなわち“生きるちから”を育てる。「自分づくりの学び」に向け、東京大学全学の連携・協力そして支援のもとにその知的資源をカリキュラムに活かした学習環境デザインを実践する学び舎。
1 「5つの力」とは
  • 『ことばの力』 自分や社会、自然についてしっかり知り、自分の考えをことばを使ってはっきり伝える力
  • 『論理の力』 すじみちをたててきちんと考えることのできる力
  • 『身体と表現の力』 さまざまな技を身につけ、しなやかな発想や柔軟な身のこなしで自分を表現できる力
  • 『情報の力』 あふれる情報のなかから必要な情報を選び、発信することのできる力
  • 『関係の力』 他の人との関係を大切にし、対等な関係をきりむすぶことのできる力
2 「教科の学習」

  一貫制度の特長を生かし教科内容や通常の教科構成とは異なる教科編成を行うなどの工夫を取り入れている。5・6年生においては、将来の進路も視野に入れ、生徒の多様な進路希望に答えるべく、広範な選択科目を置く。東京大学全学の協力を得て「数学特論」「現代宇宙論」「図書館情報学入門」「臨床心理学」の講座の設置。

3 「総合学習」
  • 1・2年生では「総合学習入門」をおこなう。これは、「5つの力」の獲得を意図したさまざまな題材・手法を経験することによって総合的な学力の基礎を養うものである。
  • 3・4年生では「課題別学習」を行う。これは、用意された講座の中からそれぞ れの生徒が、関心の深いものを選び2学年混合でおこなう研究活動である。校外での調査活動や宿泊をともなうフィールドワークもふくみながら担当教師の指導で総合的な学習の手法や考え方を身につけることを意図している。
  • 5・6年では「卒業研究」を行う。これは一人一人の生徒が自分で決めたテーマ について2年間をかけて研究し、研究が進路につながるケースが多い。

東大との連携

  • 近年は東京大学との連携が更に強化し、教育学部に限らず、日常的に様々な専門分野(授業教科及び学校運営)でのコラボが増え、総長をあげて東京大学本体との関係が密である。
  • 生徒が生涯にわたって学びの実感を得ることのできる知的好奇心と探究心を原点とする学習者中心の教育に取り組む。東京大学大学院情報学環・学際情報学府の知見から、高性能なCPUを増やすフィンランドやオランダの教育スタイルを参考に、フィンランドメソッドという、学びのイニシアチブが教員ではなく生徒にある学習環境を実践している。
  • 学校長は東京大学教育学部教授が務めている。総長をはじめとした同大学教授陣による特別講義や特別授業も行われる。卒業式や入学式では、東大総長、教育学部長から祝辞があり、東京大学の一員として共に研究を進めていこうという訓辞がある。
  • 東京大学芸術創造連携研究機構と共同で芸術活動に力を入れており、芸術を新たな視点から捉え直す機会と多彩な体験活動機会が多い。国内外の一流芸術家とのワークショップが多数あり、授業外の土日に開催されている。
  • 課題別学習では、東大田無キャンパス農場での農業実習体験、田無演習林地や東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所(三崎臨海実験場)での各種体験活動を行う。
  • 東京大学大学院生による季節ごとの放課後補習が開始している。
  • 3年生4年生は、東大教授陣がリレーし担当する授業が行われている。
  • 東大医学部生の学生団体AMSSによる講演会が開催され、論文の書き方や構成と展開の指導をする。
  • 東京大学本郷キャンパス安田講堂での音楽祭(前期課程=中学生)や、本郷キャンパスを巡る東大探検の授業が生徒から人気がある。
  • 大学進学に向けた自学の場として、 東京大学駒場キャンパスの図書館は後期課程=高校生の生徒は使用できる。また、東京大学本郷キャンパスの教育学部図書館は、研究活動及び自学の場として、前期課程=中学生から使用が可能で、恵まれた教育環境が準備されている。

教科学習

  • 「市民性」「探究」「協働」をコンセプトにした思考力重視の授業スタイル。一部の教科は進度別授業も取り入れられている。
  • 授業に表現活動の場(芸術性表現・身体性表現・文章表現)を積極的に設けている。学内外に向けて、プレゼンテーションをする機会も多く与えられている。
  • 進度より深度を重視した高度な専門性と、教科書に加え学問の本質を見据えた副教材プリントによる教科指導。
  • 高校受験がない利点を生かし、前期課程(中学校)で後期課程(高等学校)の先取り学習を一部の教科で行う。
  • 大学受験に備え、5-6年生では幅広い選択科目制を導入。
  • 外部講師のレクチャーも盛んで、東大王出演の東大生クイズ王がゲスト講師を務めた授業例もある。

総合学習

  • 教科横断の「総合的な学習」への取り組みが1966年度より行われており、1・2年生で総合学習入門、3・4年生で課題別学習、5・6年生で卒業研究をそれぞれ履修する。
  • 校外宿泊生活や東京大学本郷キャンパスのフィールドワーク、地域と連携した中野区フィールドワークなど多様な活動が豊かにプログラムされている。
  • ICTでのプレゼンテーションの鍛錬を重ね、生徒の新たな視点の獲得と表現を開くことを目指している。
  • 概念中心型授業ではなく、テーマ中心型授業に重きを置いたプログラムの展開。

グローバル

  • 国際理解・異文化理解・多様性理解の授業を1年時から行う。
  • 英語の授業では、1~4年次で外国人講師とのチームティーチングを行い、インプット量とともにアウトプット量の確保に重点を置いている。
  • TOEFLのCriterionを導入している。TOEIC Bridge L&R を1年に2回受検、TOEIC Bridge S&W を1年に1回受検を全学で臨んでいる。
  • コロナ禍前は東大留学生との交友もあった。外国人留学生の受け入れを行っている。
  • 後期課程の英語授業では、少人数クラスを設け、週8コマの英語授業も可能。
  • Extensive Englishや外国事情といった、学校独自の設定科目の英語授業がある。
  • 入試の帰国子女枠はなく、帰国子女は一般選抜枠で入学する。
  • 国際結婚の子女の入学が増えてきている。
  • 外務省の在外日本国総領事館の領事らが行う高校向け出前講座「グローバルに働く」の授業がある。
  • 外国人教員による、レベル別の夏季集中英会話レッスンのプログラムがある。
  • 在籍する外国人留学生のホームステイ先を毎年在校生家庭から募集し、異文化交流の実践が盛んである。

卒業研究

探究学習の蓄積により5~6年生で「卒業研究」に取り組む。当校の教員に留まらず、東大教員および東大院生をチューターに迎えてまとめ上げる。

  • 卒業研究をAO入試や学校推薦型選抜に活用する生徒が増えてきており、2024年の大学入試改革へ先駆けた高大接続の成果が見える。また、近年はこの探究をより高度な学習への手掛かりとし、研究者を目指して、学部卒業後に東京大学大学院へ進学する卒業生が増え始めた。
  • 卒業研究を通じ、全国学芸サイエンスコンクール受賞常連校となっており文部科学大臣賞の受賞が続く。内閣総理大臣賞受賞の事例もある。
  • 本校での卒業研究を基に、より発展した研究を東京大学で続けたい生徒が東京大学の学校推薦型選抜(旧推薦入試)に挑戦し合格者が続いたことから、高大接続の事例として「附属学校の卒業研究は東大での学びに何をもたらしているか」というテーマでのシンポジウムも開催された。

学校行事

学校行事が盛んであり、生徒達のクリエイティビティーあふれる多彩な行事が年間を通じて催される。

  • 体育祭(5月)、フィールドワーク(5月)、歌舞伎鑑賞会(6月)、芸術鑑賞教室(6月)、前期課程評議委員会行事(7月)、オーストラリア研修(8月)、銀杏祭(9月)、宿泊研修(10月)、音楽祭(12月)、スキー教室(12月)、総長授業(12月)、校内競技大会(3月)、総合学習発表会(3月)、課題別学習発表会(3月)、生徒総会(3月)、芸術祭(3月)

銀杏祭

銀杏祭(ぎんなんさい)は、毎年9月に開催される、自由な雰囲気とのびやかな表現力、生徒の自主的な思考と判断力が感じられる伝統的な文化祭である。生徒を主体に、芸術表現と身体表現、学習と研究を披露する場である。主催の銀杏祭実行委員会は異学年合同で共創し運営する。

宿泊研修

国内は、3泊4日で1年生は中山道ウォーク、3年生は里山里海体験(漁船クルージング体験・シーカヤック体験)、5年生は長崎での宿泊研修がある。5年生は長崎県にて、自然コース[島原半島]・平和コース[長崎追悼祈念館]・近代化コース[長崎市内]の3つのコースに分かれ、コースごとに学習を進める。課題別講座でも、3~4年合同での宿泊フィールドワークがコロナ禍前まで盛んであった。体育科の宿泊スキー教室もある。

海外は、国際理解と異文化理解・英語研修を目的とし、オーストラリアのブリスベン夏のスタディツアーを開催。現地の高等学校で現地の高校生とSTEM教育(Science, Technology Engineering, Mathematics)の授業に参加し、演劇、ダンス、音楽などのアートの授業に参加。英語力を高め、ホームステイを通し異文化体験を行うことで、グローバルな視点で物事を考えられるプログラムとなっている。

東大附属芸術祭

東京大学芸術創造連携研究機構と共に、一流を見て触れて本物を体験する場の提供を実行委員の生徒が企画運営している。「一流を再考する芸術の交差点」というスローガンを抱え、アートクロスロードプロジェクトとして、社会的に活躍する一流の芸術家・科学者・アーテイストと産学連携を試み、各分野のプロフェッショナルによる講演やワークショップを行う。

体育祭

生徒会と体育祭実行委員会主催の生徒主体で企画と運営を行う初夏のイベントで、1年間かけて準備を進めている。「〇回生」というのが学年をつなぐ横のアイデンティティーだとするならば、体育祭のA組(白)B組(青)C組(赤)の「色組」は、1年生から6年生までを一体化する縦のアイデンティティーとなる。色組の異学年一体でリレーのバトンをつないだり応援合戦を行い、競技の勝敗とチームワークをどれだけ高められたかの双方で、生徒たちの満足感につながる。3色の応援合戦はダンスパフォーマンスのクオリティーが高く、人工芝の広大なグラウンドでゲーム形式の競技のプログラムは、スポーツの楽しさとチームワークの喜びを知る学びの場となり、生徒全員の満足度が高い行事となっている。競技のプログラムとスローガンは、体育祭実行委員会がリフレクションを重ねて毎年設計している。

生徒会

  • 生徒会活動が活発で、生徒の自主性を基盤に創造的な自治活動を展開している。
  • 生徒会主体の、生徒・教員・保護者による三者協議会が、大きな特徴であり、教育業界から大きく注目されている。
  • 中等教育学校連盟や沖縄韓国の生徒会との交流も活発。

部活動

主な活動実績

  • 生物部:研究論文コンペティション全国入賞常連、国際コンペ複数回入賞、令和三年度日本水産学会秋季大会最優秀賞、つくばサイエンスアイデアコンテスト銀賞、日本進化学会2021年大会最優秀賞、日本動物学会関東支部 最優秀ポスター賞、サイエンスキャッスル2021関東大会 最優秀ポスター賞、「サイエンスキャスル2020関東大会」口頭発表・最優秀賞、「つくばScienceEdge 2021」金賞、「TAMAサイエンスフェスティバルinTOYAKU2020」スタンダード部門・優秀賞
  • 計算機科学部:JAXA宇宙教育センター 水ロケット国際大会進出
  • 高校軟式野球部:関東大会出場
  • 中学水泳部:関東大会女子総合優勝、個人種目全国大会優勝
  • 高校水泳部:個人種目世界選手権出場
  • 中学陸上競技部:駅伝関東大会進出、個人種目都大会入賞常連
  • 高校陸上球技部:インターハイ進出
  • 管弦楽部:全国大会出場
  • 演劇部:都大会入賞常連

全面人工芝の広大なグラウンドとトレーニングルームを活用し、陸上部は好成績が続いている。

計算機科学部、演劇部、生物部は積極的に対外的なコンクールへ挑戦している。天文部と生物部の夏季合宿は大自然の環境下での体験型で人気がある。

教員が各部の顧問であるが、現場には外部の専門家人材をコーチに迎え、全国的に見て部活動における働き方改革が健全に進んだ好事例となっている。

東大施設の活用

合宿等で東京大学の施設を活用できる。

戸田寮(静岡)、下賀茂寮/スポーティア下賀茂(静岡)、 スポーティア山中 東京大学山中寮内藤セミナーハウス(山梨)、3か所のセミナーハウスも利用されている。

著名な関係者

元教員

出身者

入試・進路

  • 旧制東京高等学校から東大附属改編時に GHQCIAの要請により、一般の公立中と同じレベルを保つために入学選抜は学力試験は行わずに公開抽選のみで実施を余儀なくされた。改編時には、最高学府である 東京大学の付属学校であることと戦前から戦時中に軍国主義に激しく傾倒した旧制東京高等学校 の日本一のエリート集団の記憶が生々しいGHQは、旧制東京高等学校のジェントルマン教育の流れを汲む東京大学の中等教育のインテリジェンス集団育成への不安から入学者選別に対して東京大学の条件を受け入れず厳しい制約を課し、入学者は学力試験は行わずに公開抽選のみとし、附属学校を一般の公立学校と同じ水準を強いた。
  • 1980年から、ようやく入学試験を開始し公開抽選との組み合わせが可能となり、2008年からは、抽選を廃止し入学者選抜試験を学力順の試験として本格的にスタート。400文字作文と実技を含む「適性検査型入試」を全国で初めて実施し、科目の垣根を越えた教科複合型の出題で論理的思考力・読解力・記述力・数学力・表現力と試行力を測る。
  • 大手中学受験塾の模試の偏差値には現れない数学力を試す独自の実技試験があるのが、東大附属の入学者選抜の大きな特徴といえる。2021年の実技ではプログラミングが出題された。
  • 2020年度までは、入試情報を一切公開しておらず過去問集の販売もなく、入試情報が極めて少なかった。2021年度より受験生の試験問題の持ち帰りを初めて可能とし、東京大学として入試情報公開に努め始め、過去問集の販売も開始された。入試情報の公開が行われ始めたことで、大手中学受験塾による受検対策がようやく本格化され始めた。
  • 2月3日の入学検定試験は高倍率で競争激化。入試は適性検査ⅠとⅡで思考力や論理性・読解力と考察力を問い、適性検査Ⅲは実技スタイルで数学の立体図形の作図と制作による空間認知力や時間内での課題解決に向けた分析能力と論理的思考力を問い、短時間で二手三手先を読む思考と行動が強く求められている。「報告書+適性検査Ⅰ+適性検査Ⅱ+実技」の総合点で合格者を決定する。
  • 例年、大学のべ合格者数でなく大学進学者数を公表している。
  • 東京大学に附属校としての優先進級制度は他の国立大附属高校同様にないが、探究学習の成果物とともに学校長推薦による学校推薦型選抜を経て、東京大学への合格を決める生徒が例年1~2名いる。
  • 探究学習の評価が高く、早慶MARCHを含む私立大学への指定校推薦の枠が多い。
  • 6年間の一貫教育であるが、後期課程進級の際に他校を受験する者も若干存在する。他の高校を受験をする際は後期課程に進学する資格を失う。一方で、定員に空きが出た場合に限って、他の中学校からの後期課程への編入も可能で、編入試験は年々高倍率となってきている。

所在地

東京大学教育学部附属中等教育学校の位置(東京都内)
東京大学教育学部附属中等教育学校

東京大学中野キャンパス旧制東京高等学校の敷地)内にある。2010年4月に東京大学海洋研究所が柏キャンパスに移転したものの、その後も中野キャンパスという呼称は残り今に至る。

設備・施設

  • 打放しコンクリートで、中庭を有する校舎。
  • ソーラーパネルを導入し、2005年夏より全教室に冷暖房完備。
  • 空間UI技術を採用したICT教室、パソコンラウンジ、OA教室、屋上プール、道場。
  • FAB room(3Dプリンター・レーザーカッター・3D-CAD装備)
  • 蔵書数3万冊の図書室は、図書館司書と東京大学大学院情報学環・学際情報学府が連携しながら、ラーニングコモンズとして発展させている。本郷キャンパスの総合図書館からの本の連携貸し受け取りも可能。
  • 野球場、200mトラック(人工芝)、全天候型直線走路 (120m)、サッカーコート(人工芝)、プール、テニスコート2面の運動施設が設置されており、学校の敷地の総面積は37,111㎡と、東京都内有数の広い施設を有する。
  • 校舎内に東大生協が設置されている。
  • ランチタイムに、生徒と教職員向けに予約制のオーガニック弁当販売がある。

関連文献

  • 『中高一貫教育1/2世紀-学校の可能性への挑戦』(東京書籍1998年4月27日発行) - 東京大学教育学部附属中・高等学校著作
  • 『新版 学び合いで育つ未来への学力-中高一貫教育のチャレンジ』(明石書店2010年6月10日初版発行) - 東京大学教育学部附属中等教育学校編著

脚注

注釈

出典

関連項目

外部リンク


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