コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「ホットコーヒー問題」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
m 文章の校正
タグ: ビジュアルエディター モバイル編集 モバイルウェブ編集
m編集の要約なし
タグ: ビジュアルエディター モバイル編集 モバイルウェブ編集 改良版モバイル編集
(3人の利用者による、間の4版が非表示)
1行目: 1行目:
{{性的}}
{{混同|マクドナルド・コーヒー事件}}{{性的}}
'''ホットコーヒー問題'''(ホットコーヒーもんだい)、または、'''ホットコーヒー事件'''(ホットコーヒーじけん)とは、アメリカの[[テイクツー・インタラクティブ]]傘下の[[Rockstar Games|ロックスター・ゲームス社]]が開発・発売した2004年の[[クライムアクションゲーム]]『[[グランド・セフト・オート・サンアンドレアス|グランド・セフト・オート:サンアンドレアス]]』(以下、『サンアンドレアス』と表記)の内容を巡って起こった事件、社会問題である。アメリカでは政治家や各種政治団体を巻き込み、大きな社会問題として取り上げられた。
{{コンピュータゲーム
| Title = ホットコーヒー| Plat = [[パーソナルコンピュータ|PC]]([[Microsoft Windows|Windows]])
| Dev = [[Rockstar North]]
| Pub = パトリック・ウィルデンボルフ(PatrickW)
| Date =
| Sale =
| Genre =
| Play = 1人
| Media = PC(MOD)
| Price = 無料
| Rating = [[ESRB]]:Adults Only 18+<br/>[[フィルム・文献分類管理局|OFLC]]:RC
}}
'''ホットコーヒー問題'''(ホットコーヒーもんだい)、または、'''ホットコーヒー事件'''(ホットコーヒーじけん)とは、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[テイクツー・インタラクティブ]]傘下の[[Rockstar Games|ロックスター・ゲームズ]]社が開発・発売した[[クライムアクションゲーム]]「[[グランド・セフト・オート・サンアンドレアス]](以下、GTASAと表記)」の内容を巡って起こった事件、社会問題である。アメリカでは政治家や各種政治団体を巻き込み、大きな社会問題として取り上げられた。


「ホットコーヒー(Hot Coffee)」とは『サンアンドレアス』内にあらかじめ封印されていたミニゲームの非公式名称であり、これを発見したゲーム改造のコミュニティが提供した改造コード([[Mod (コンピュータゲーム)|MOD]])によって有効にすることで、主人公の[[カール・ジョンソン (グランド・セフト・オート)|カール・ジョンソン]](通称CJ)がゲーム内でガールフレンドと性交を行えるというものであった。ロックスター・ゲームスの社長である[[サム・ハウザー]]は[[グランド・セフト・オートシリーズ]]の宣伝を兼ねた過激な描写を盛り込むことに意欲的であり、ヌードや性的な内容を入れることを構想していた。しかし、[[エンターテインメントソフトウェアレイティング委員会|ESRBレーティング]]で「Adults Only(成人のみ)」を避けて「Mature(成人向け)」を獲得するために、これら内容を大幅に縮小せざるを得なくなった。ここで開発チームは、既に作られていたミニゲームを削除するのではなく、プレイヤーがアクセスできないように封印する形で対応した。しかし、プログラムコード分析の専門家が[[PlayStation 2]]版でこのコードを発見し、さらにMOD製作者のパトリック・ウィルデンボルフがWindows版において、このミニゲームをアンロックするためのMODを「Hot Coffee」という名でオンライン上に公開した。
後日行われた訴訟はホットコーヒー訴訟とも呼ばれる。


このミニゲームの発覚は、ロックスター・ゲームスとその親会社であるテイクツー・インタラクティブにとって、激しい法的な反発を招くことになった。当初、両社は沈黙を貫いていたが、後にロックスターはミニゲームはMOD製作者が製作したものとする声明を発表した。ESRBは調査の結果、レーティングを「Adults Only」に変更し、オーストラリアでは性的に露骨な内容が削除されるまで販売禁止処分となった。ロックスターとテイクツーは、ゲームに含まれる露骨なコンテンツの範囲を開示しなかったとして[[連邦取引委員会]](FTC)から警告を受け、また、購入者を欺いたとして[[集団訴訟]]([[クラスアクション]])を起こされた。
== 概要 ==
{{seealso|グランド・セフト・オート・サンアンドレアス#ガールフレンド|グランド・セフト・オート・サンアンドレアス#コーヒーブレイク(ホットコーヒー問題)}}
この事件は、[[2005年]][[6月9日]]に発売されたGTASAのウィンドウズPC版に関して、[[Mod (コンピューターゲーム)|Mod]]と呼ばれる改造データによって、性行為を行えるミニゲームが明らかになったことに端を発する。


この一件はゲーム業界に大きな衝撃を与えた。当初、ロックスターが公式声明を拒否したことは業界や改造コミュニティから不評を買った。また、ESRBは露骨なコンテンツの一定度の開示を拒んだゲーム開発者に対して最高100万ドルの罰金を課す方針を発表した。「Hot Coffee」は、その後のロックスターのゲームに絡んでも登場した。2020年、『[[レッド・デッド・リデンプションII]]』において同様のMODが{{仮リンク|Nexus Mods|en|Nexus Mods}}に投稿され、ロックスターが削除する一件が起こった。また、2021年に販売された『[[グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版]]』には『サンアンドレアス』のリマスター版が含まれていたが、リリース直後に不正なデータがあったとして一時販売停止が行われ、「Hot Coffee」の関連データだと疑われた。
同作には、ガールフレンドとデートできるシステムがあり、親密度が一定値を超えると、デートの終了時に相手からコーヒーブレイクに誘われる。これをプレーヤーが了承すると、プレーヤーと相手女性による性行為が行われる。この時、通常では2人がいる建物の外しか見られず、喘ぎ声やベッドが軋む音しか聞こえないなど、性行為自体を直接見ることはできない。しかし、当時38歳のオランダ人ハッカー、パトリック・ウィルデンボルフ(PatrickW)が、「'''HotCoffee'''(ホットコーヒー)」というModを公開し、これを導入することで、コーヒーブレイクに誘われると性行為のミニゲームが行えた(それは性行為を直接見られるということでもある)<ref name="4Gamer.net20050713">{{Cite web|title=奥谷海人のAccess Accepted 第40回 「25 to Life」「GTA」に見るゲーム批判の最前線|url=https://www.4gamer.net/weekly/kaito/040/kaito_040.shtml|website=www.4gamer.net|accessdate=2020-04-05|date=2005-07-13}}</ref>。


本項ではMODファイル名を「Hot Coffee」、それによって利用可能となったミニゲームや、騒動名を「ホットコーヒー」と使い分ける。
実は、この性行為のミニゲームは元々ゲームデータとして始めからセットされていた物で、最終的に実装はされず、通常ではまずプレイできない形で封印されていた物であった。「HotCoffee」はあくまでこの封印を解除するためのものに過ぎなかった。[[エンターテインメントソフトウェアレイティング委員会|ESRBレイティング]]では17歳以上向けの「Mature」であったため(「Mature」は直接的な性描写を含んではいけない)、このModが広がるにつれ、アメリカ全体を巻き込んだ大きな問題へと発展する。


== ゲームの概要 ==
問題が大きくなった際、当初Modを作製したパトリックの責任が問われたが、パトリックは元々ゲームデータは存在し、自分はロックを解除しただけであると責任を否定した{{R|4Gamer.net20050713}}。ロックスターは、この事実を否定していたが後に認めた{{R|4Gamer.net20050713}}。また、この問題はPC版のみならず、改造ツールなどを使用する方法でPS2版、XBOX版でも使用出来る事が判明している。
{{See also|グランド・セフト・オート・サンアンドレアス}}
[[テイクツー・インタラクティブ]]傘下の[[Rockstar Games|ロックスター・ゲームス]]は、[[PlayStation 2]]用ゲームとして、2004年10月26日に[[クライムアクションゲーム]]『[[グランド・セフト・オート・サンアンドレアス|グランド・セフト・オート:サンアンドレアス]]』(『サンアンドレアス』)をリリースした<ref>{{cite news |last=Thorsen |first=Tor |title=No San Andreas until October 26, M-rated GBA GTA confirmed |url=https://www.gamespot.com/articles/no-san-andreas-until-october-26-m-rated-gba-gta-confirmed/1100-6107062/ |work=[[GameSpot]] |date=9 September 2004 |access-date=30 May 2022 |archive-date=8 February 2019 |archive-url=https://web.archive.org/web/20190208034924/https://www.gamespot.com/articles/no-san-andreas-until-october-26-m-rated-gba-gta-confirmed/1100-6107062/ |url-status=live}}</ref>。続けて2005年6月7日に、Windows版とXbox版もリリースされた<ref name="Kenyota">{{cite journal |last=Kenyota |first=Gregory |title=Thinking of the Children: The Failure of Violent Video Game Laws |date=2008 |journal=Fordham Intellectual Property, Media & Entertainment Law Journal |volume=18 |issue=3 |pages=785–816 |url=https://heinonline.org/HOL/LandingPage?handle=hein.journals/frdipm18&div=27&id=&page= |access-date=31 May 2022 |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531215916/https://heinonline.org/HOL/LandingPage?handle=hein.journals%2Ffrdipm18&div=27&id=&page= |url-status=live}}</ref>。
『サンアンドレアス』は[[グランド・セフト・オートシリーズ]]の第5作目であり、2002年にリリースされた『[[グランド・セフト・オート・バイスシティ|グランド・セフト・オート:バイスシティ]]』の続編であった。『サンアンドレアス』は前作を発展させた形のものであり、マップは、前作の4倍の広さを持ち、より多くの[[ロールプレイングゲーム|ロールプレイング]]要素が導入されていた。プレイヤーは、主人公の[[カール・ジョンソン (グランド・セフト・オート)|カール・ジョンソン]](通称CJ)を操作し、髪型や服装を変えられる他、運動や食事によって体型を変えたり、射撃や運転の練習によって精度を上げるなどして、健康やストリートでの信用(ゲーム内ではリスペクトと呼ばれる)を維持できた<ref>{{cite news |last1=McLaughlin |first1=Rus |last2=Thomas |first2=Lucas M. |title=IGN Presents The History of Grand Theft Auto |url=https://www.ign.com/articles/2013/05/06/ign-presents-the-history-of-grand-theft-auto-2?page=4 |work=[[IGN]] |date=6 May 2013 |access-date=30 May 2022 |archive-date=29 January 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220129013803/https://www.ign.com/articles/2013/05/06/ign-presents-the-history-of-grand-theft-auto-2?page=4 |url-status=live}}</ref>。
ゲームのコミュニティには、ゲームのソースコード(プログラム)を解析して改造する「モッダー(modder)」と呼ばれる者たちがおり、彼らが公開するゲーム内容を改変する改造パッチを「[[Mod (コンピュータゲーム)|MOD]]」と呼ぶが、『サンアンドレアス』のリリース以前より、グランド・セフト・オートシリーズは、こうした改造コミュニティから人気の高い作品であった<ref name="Kushner">{{cite book |last=Kushner |first=David |title=Jacked: The Outlaw Story of ''Grand Theft Auto'' |date=2012 |publisher=John Wiley & Sons, Inc. |location=Hoboken, NJ |isbn=978-1-118-19792-9 |url=https://www.google.com/books/edition/Jacked/IN_5wAEACAAJ?hl=en}}</ref>{{rp|187–189}}。
『サンアンドレアス』では、キャラクターに対するカスタマイズ要素を導入することで、改造コミュニティ以外の人々にもゲーム改造をより身近なものとした。ロックスター・ゲームスの社長[[サム・ハウザー]]は、リリース前の記者会見において「ミションやストーリーの一部と、ゲーム内での"余暇"との境界線をもっと曖昧にしたかった(中略)すべての行動には結果が生じるように感じ、あなたはゲーム世界内に滞在する」と語っていた<ref>{{cite journal |last=Miller |first=Kiri |title=Grove Street Grimm: ''Grand Theft Auto'' and Digital Folklore |date=2008 |journal=The Journal of American Folklore |volume=121 |issue=481 |pages=255–285 |doi=10.1353/jaf.0.0017 |jstor=20487609 |s2cid=144974429 |url=https://www.jstor.org/stable/20487609 |access-date=30 May 2022 |archive-date=30 July 2021 |archive-url=https://web.archive.org/web/20210730064133/https://www.jstor.org/stable/20487609 |url-status=live}}</ref>。


『サンアンドレアス』は、主人公CJが母親の葬儀に出席するため故郷である架空の州[[サンアンドレアス (グランド・セフト・オート)|サンアンドレアス]]に帰ってきたところから始まる。ゲームは多数の[[クエスト]]([[ミッション]])を通して、CJが最終的に裏社会や犯罪組織の中心人物として成り上がることを目的としている。その中で包括的な[[プロット]](ストーリーライン)は存在するが、[[オープンワールドゲーム]]としてメインストーリーとは直接関係のない他のアクティビティ(サブクエスト)も多く存在し、物語を補完している<ref>{{cite journal |last1=DeVane |first1=Ben |last2=Squire |first2=Kurt D. |title=The Meaning of Race and Violence in Grand Theft Auto |date=July 2008 |journal=Games and Culture |volume=3 |issue=3–4 |pages=264–285 |doi=10.1177/1555412008317308 |url=https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1555412008317308 |access-date=30 May 2022 |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531215918/https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1555412008317308 |url-status=live}} {{free access}}</ref>。
== ヒラリー・クリントンによる追及 ==
そうしたサブ要素の1つとして恋愛があり、ゲーム中では付き合うことが可能な6人のガールフレンドが登場する。彼女らとはストーリーの進行やマップ探索で出会うことが可能であり、またそれぞれに付き合う相手の容姿やデート内容の好みがある。CJはそれぞれの好みに合わせた行動を取ることで親密度を上げることが可能であり、その上がった親密度に応じて固有の報酬を得ることが可能である<ref>{{cite news |last=Leguiza |first=Santiago |title=GTA San Andreas girlfriends: Where to find girlfriends, their likes and rewards in GTA San Andreas |url=https://www.eurogamer.net/gta-san-andreas-girlfriends-locations-likes-rewards-millie-home-8043 |work=[[Eurogamer]] |date=11 November 2021 |access-date=30 May 2022 |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531215919/https://www.eurogamer.net/gta-san-andreas-girlfriends-locations-likes-rewards-millie-home-8043 |url-status=live}}</ref><ref>{{cite news |last=Wilson |first=Iain |title=GTA San Andreas girlfriends and how to go on the perfect date |url=https://www.gamesradar.com/gta-san-andreas-girlfriends/ |work=[[GamesRadar+]] |date=1 December 2021 |access-date=30 May 2022 |archive-date=18 February 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220218185417/https://www.gamesradar.com/gta-san-andreas-girlfriends/ |url-status=live}}</ref>。
この問題は、当時アメリカ合衆国上院議員であった[[ヒラリー・クリントン]]が、[[連邦取引委員会]]に調査請求を出すに至り、最終的に彼女を主体とした法案「Family Entertainment Protection Act(FEPA:家庭向けエンターテイメント作品製造法)」が[[2005年]]11月に提出された<ref>{{cite web | title=Senators Clinton, Lieberman Announce Federal Legislation to Protect Children from Inappropriate Video Games | url=http://clinton.senate.gov/news/statements/details.cfm?id=249368&& | accessdate=December 18, 2005 | archiveurl=https://web.archive.org/web/20080731213523/http://clinton.senate.gov/news/statements/details.cfm?id=249368&& | archivedate=2008年7月31日 | deadlinkdate=2017年9月 }}</ref>。これは不当な内容のテレビゲームから子供たちを守るという名目で、民間団体であるESRBではなく連邦政府が対象年齢の格付けを行うというものであり、成年向けゲームを未成年者に売った場合の罰則規定なども盛り込まれていた<ref>{{cite web | title=Game-restriction bill submitted to congress | url=http://www.gamespot.com/news/6141410.html | accessdate=December 18, 2005 | author=[[GameSpot]]}}</ref>。しかし、違憲判決が出され、法の制定には至らなかった<ref>{{cite web|url=http://www.govtrack.us/congress/bill.xpd?bill=s109-2126 |title=S. 2126 <nowiki>[109th]</nowiki>: Family Entertainment Protection Act|author=Govtrack.us |accessdate=2007-08-31}}</ref>。
親密度が一定値を超えると、デートの終了時に相手からコーヒーブレイクに誘われる。これをプレイヤーが了承すると、CJと相手女性による性行為を行う[[カットシーン]]が流れる<ref>{{cite journal |last=Farman |first=Jason |title=Hypermediating the Game Interface: The Alienation Effect in Violent Videogames and the Problem of Serious Play |date=2010 |journal=Communication Quarterly |volume=58 |issue=1 |pages=96–109 |doi=10.1080/01463370903550262 |s2cid=143562468 |url=https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/01463370903550262 |access-date=30 May 2022 |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531215922/https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/01463370903550262 |url-status=live}} {{free access}}</ref>。
この時、通常バージョンでは、喘ぎ声やベッドが軋む音が流れるが、カメラは外から2人がいる建物を映すのみで、性行為自体を直接見ることはできないという演出が行われる<ref>{{cite book |last=Leibovitz |first=Liel |title=God in the Machine: Video Games as Spiritual Pursuit |date=2013 |publisher=Templeton Press |location=West Conshohocken, PA |page=89 |isbn=978-1-59947-437-3 |url=https://www.google.com/books/edition/God_in_the_Machine/_D3xAgAAQBAJ?hl=en&gbpv=0}}</ref>。


MOD「Hot Coffee(ホットコーヒー)」を適用すると、このカットシーンが、ゲームのプログラム上には存在していたが封印されていたミニゲームに置き換えられた。このミニゲームでは、二人とも服を着たまま、CJがガールフレンドからフェラチオを受け、その後に正常位に移る。この時、プレイヤーは「左アナログスティックをリズムよく上下に振る」よう指示され、その操作に応じて興奮度ゲージが上昇する<ref name="Kushner" />{{rp|199–200}}。
余談ではあるが、後に発売された『[[グランド・セフト・オートIV]]』には、[[自由の女神像]]をモデルにした幸福の女神像が登場するが、その顔はヒラリーを模したものとなっており、さらにその手にはホットコーヒーが持たされ、体内には棘の生えた鉄の心臓が脈動しているなど、製作サイドの皮肉が込められている。また、ゲーム内においてあるカフェ店員の女性とデートをし、家に招待されるイベントを達成すると『Warm Coffee(温かいコーヒー)』というトロフィーを獲得することが出来る。
ボタン操作により、カメラアングルや体位を変更することもできた。興奮度ゲージが満たされるとゲームクリアとなり、ガールフレンドやゲームの演出として称賛を受けるが、反対にゲージが空になると「相手を満足されられなかった」として失敗となる<ref>{{cite news |last=Thorsen |first=Tor |title=Confirmed: Sex minigame in PS2 San Andreas |url=https://www.gamespot.com/articles/confirmed-sex-minigame-in-ps2-san-andreas/1100-6129301/ |work=[[GameSpot]] |date=19 July 2005 |access-date=30 May 2022 |archive-date=2 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220502043210/https://www.gamespot.com/articles/confirmed-sex-minigame-in-ps2-san-andreas/1100-6129301/ |url-status=live}}</ref>。
また、リズムに合わせてボタンを押すことで、CJがガールフレンドの尻を叩き、興奮度ゲージが上昇するというスパンキングのミニゲームもあった<ref name="Parkin">{{cite news |last=Parkin |first=Simon |title=Who spilled Hot Coffee? |url=https://www.eurogamer.net/who-spilled-hot-coffee |work=[[Eurogamer]] |date=2 December 2012 |access-date=30 May 2022 |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531215920/https://www.eurogamer.net/who-spilled-hot-coffee |url-status=live}}</ref>。


== ロックスターの対応 ==
== ミニゲ開発と発覚 ==
=== ロックスター・ゲームスによる経緯 ===
この問題を受け、ロックスターは世論のバッシングを受け、複数の民事訴訟や製品のリコール、また先のヒラリーによる政府内での批判などが行われた。
[[File:Sam Houser at Rockstar Games.png|thumb|upright|ロックスター・ゲームスの社長である[[サム・ハウザー]]はゲーム内に性的な要素を盛り込むことを望んでいた。]]


グランド・セフト・オートシリーズで最初に商業的な成功を収めたのは2001年の『[[グランド・セフト・オートIII]]』であった。販売されて間もなく、ゲーム内の生々しい暴力や性的コンテンツは、[[ジョー・リーバーマン]]や{{仮リンク|ジャック・トンプソン|en|Jack Thompson (activist)}}といった政治家などの著名人から批判を受け、論争を巻き起こした<ref name="Goldberg">{{cite book |last=Goldberg |first=Harold |title=All Your Base Are Belong To Us: How Fifty Years of Videogames Conquered Pop Culture |date=2011 |publisher=Three Rivers Press |location=New York, NY |pages=225–241 |isbn=978-0-307-46355-5 |url=https://www.google.com/books/edition/All_Your_Base_are_Belong_to_Us/kWKODQAAQBAJ?hl=en}}</ref>。その続編となる『グランド・セフト・オート:バイスシティ』(2002年)も商業的な成功を収めたが、これらソフトは、特に子供に対する暴力的なゲームの影響を懸念する者たちに目をつけられることとなった<ref name="Skids">{{cite magazine |last=Kushner |first=David |title=The Road to Ruin: How ''Grand Theft Auto'' Hit the Skids |url=https://www.wired.com/2007/03/ff-160-rockstar-2/ |magazine=[[Wired (magazine)|Wired]] |date=29 March 2007 |access-date=31 May 2022 |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531215922/https://www.wired.com/2007/03/ff-160-rockstar-2/ |url-status=live}}</ref><ref>{{cite journal |last1=Goodson |first1=Simon |last2=Turner |first2=Kirstie J. |title=Effects of Violent Video Games: 50 Years on, Where are we now? |url=https://www.liebertpub.com/doi/full/10.1089/cyber.2020.29205.vvg |date=11 January 2021 |journal=Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking |volume=24 |issue=1 |pages=3–4 |doi=10.1089/cyber.2020.29205.vvg |pmid=33434091 |s2cid=231594496 |access-date=31 May 2022 |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531215923/https://www.liebertpub.com/doi/full/10.1089/cyber.2020.29205.vvg |url-status=live}}</ref>。
=== レイティングと製品仕様の変更 ===
アメリカのゲームのレーティング機関である[[エンターテインメントソフトウェアレイティング委員会]](ESRB)は、2作品とも、レーティングを「M」(「Mature 17+」、成人向け)とし<ref name="Kenyota" />、ハウザーは、グランド・セフト・オートシリーズや、メディアとしての[[テレビゲーム]]は、子供向けには作られてはいないと批判に答えていた<ref name="Goldberg" />。
2005年7月20日、ESRBはレイティングを(間接的性描写を含む)「Mature」から(直接的性描写を含む)「Adults Only 18+」へ引き上げた<ref name="RerateToAORating">{{cite web | url = http://www.gamespot.com/news/6129500.html | title = San Andreas rated AO, Take-Two suspends production | work = [[GameSpot]] | accessdate = July 1, 2006}}</ref>。またロックスターは初期版の製造を中止し、性的ミニゲームのデータが削除された新しいバージョンの生産を発表、2005年第4四半期に該当データを除去したver1.01の発売を開始した<ref name="RevertToMRating">{{cite web | url = http://www.gamespot.com/news/6152490.html | title = FTC Hot Coffee ruling scalds, but doesn't burn Take-Two | work = [[GameSpot]] | accessdate = July 1, 2006}}</ref>。このバージョンは、「Mature」のレイティングを受けた<ref name="RevertToMRating"/>。


『サンアンドレアス』の発売前に行われた{{仮リンク|1Up Network|label=1Up.com|en|1Up Network}}によるインタビューでは、ハウザーは、本作が「三部作の正式な完結編」となり、『III』と『バイスシティ』の前日譚{{efn|正確な時系列は『バイスシティ』→『サンアンドレアス』→『III』である。}}にあたると語っていた<ref>{{cite news |title=Sam Houser Interview: Tough Talk from the Don of Grand Theft Auto |url=http://www.1up.com/features/sam-houser-interview |work=[[1Up.com]] |access-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20160602034341/http://www.1up.com/features/sam-houser-interview |archive-date=2 June 2016}}</ref>。
[[Office of Film and Literature Classification|OFLC]]([[オーストラリア]]・[[ニュージーランド]]政府の審査機関)は、レイティングを「MA15+(15歳以上のみ)」に判定していた(OFLCで最上位ランク。「成人のみ」は映像作品にしか無かった。)。しかし、この問題を受け、2005年7月29日にOFLCはレイティングを「RC(審査拒否)」に変更し、オーストラリアでの販売を禁止した。その後、2005年9月12日に該当部分を削除した新バージョンを「MA15+」として認可した<ref>[https://www.classification.gov.au/titles/grand-theft-auto-san-andreas-9 GRAND THEFT AUTO: SAN ANDREAS | Australian Classification]</ref>。
ハウザーと[[ロックスター・ノース]](ロックスター傘下の開発スタジオの1つ)のクリエイティブチームは、サンアンドレアスの開発において2つの大きな課題を掲げていた。1つ目は、シリーズを「マニアックなもの(uber-nerdy)」にはせず、より多くのロールプレイング要素を実装したいというものであった。もう1つは、これまでのシリーズを超える「人々の期待を超えるためにできる限りのことをする」という決意であった<ref name="Kushner" />{{rp|172}}。
当時においてシリーズは、生々しい暴力や犯罪描写、粗野な言葉などが、その特徴として期待されており、ハウザーは「ゲームの"雰囲気"にあった新しい機能や相互作用」のためには、より露骨な性的コンテンツ方面にも手を伸ばすことが必要であると考えていた<ref name="Parkin" />。
テレビゲームは依然として子供向けの娯楽と見なされていたがために、性的なコンテンツを含めることは開発者にとって困難なことであった。例えば、ゲームに[[ヌード|ヌード描写]]を含めると、ESRBレーティングは「AO」(Adults Only、成人のみ)になる可能性が高く、この場合、販売できる市場が狭まり、ロックスターは大きな財政的負荷を負うことに繋がった<ref name="Kushner" />{{rp|172–173}}。


2004年7月14日、ハウザーは同社のオペレーション・ディレクターであったジェニファー・コルベに、自身がゲームに盛り込むことを考えていた性的コンテンツのリストを電子メールで送った。これにはゲーム操作やカットシーンを問わず、[[オーラルセックス]]、性交、[[自慰]]、鞭打ちプレイ、[[ディルド]]などが含まれていた。コルベは生々しい内容によりレーティングが「AO」になることを懸念する旨を伝え、クリエイティブチームはアメリカにおけるゲームの規制について調査を始めた<ref name="Parkin" />。
2005年8月10日にロックスターは、この問題のための公式パッチをリリースした<ref name="coldcoffee">{{cite web | url = http://www.nomorehotcoffee.com/ | title = No More Hot Coffee | work = [[Rockstar Games]] patch website | accessdate = 14 June 2006}}</ref>。このパッチは多くの仕様問題とバグを修正した。特にこのパッチは、たとえ「ホットコーヒー」を再インストールしたとしても、問題のシーンを無効化した。
8月16日、ロックスターの同設立者であるテリー・ドノヴァンはすべての市場におけるテレビゲームのレーティングシステムに適合するために、開発者が行う必要がある変更のリストをハウザーに電子メールで伝えた。スペインやイタリアなど一部の国ではヌードや性的描写に関するガイドラインが緩やかであったが、ESRBにおいては厳しく、「AO」を避けて盛り込むには、ハウザーやロックスターが望むコンテンツは大幅に限定されるものであった<ref name="Kushner" />{{rp|178–179}}。
ハウザーがこの変更リストを受け取った時には、すでにゲームの発売は間近に迫っており、ソースコードに危険な影響を与えることなく、ゲームから露骨なコンテンツのみを削除するには時間が足りなかった。そこで開発者はコンテンツ自体はコード上に残したまま、プレイヤーがそこにアクセスできない形に封印する方法をとった<ref name="Parkin" />。


ハウザーはPS版のリリース後の11月25日に『サンアンドレアス』のプロデューサーである[[レスリー・ベンジーズ]]に、間近に迫ったWindows版のリリースにおいて「どれだけ性描写を押し出せるか」を確認するよう依頼する電子メールを送った。ハウザーの当初の計画は、レーティングが異なる「M」と「AO」それぞれのバージョンをリリースするというものであったが、営業部は露骨な描写のゲームのリリースによってもたらされる財政的な影響を懸念したようである。そこでロックスターはレーティングが「M」のままリリースした後に、希望するプレイヤーには、生々しい内容を含む修正[[パッチ]]を配布する方針を立てた<ref name="Parkin" />。
一方で、欧州ではこの問題はあまり取り上げられなかった。もともと欧州では、過激描写からSAを「18+」に分類していたので、MODによる性描写のあるなしに関わらず、何の対処もされなかった。さらに、アメリカと違い欧州の国々では、テレビゲームに対する規制は強く、未成年者に成人ゲームを販売することは犯罪行為にあたる。例えば、イギリス版は、初期バージョンの時から[[British Board of Film Classification|BBFC]]によって「18」に指定されていた。
2005年1月7日、ロックスターはリリースを予定するWindows版とXbox版をESRBに提出した。このバージョンは既にレビュー済みであったPS2版と同一であったために、同社がコンテンツディスクを委員会に送付する必要がなく、自動的に「M」が与えられた<ref name="Kushner" />{{rp|192}}。


=== 隠しデータの発見と「Hot Coffee」MODの公開 ===
日本では欧州と同様に(日本語版は未発売ということもあり)、公的機関が動くなどの大きな社会問題として取り上げられることは無かった。しかし、このことはハードメーカーの自主規制強化を招き、日本語版独自の大幅な仕様変更や販売の遅れを招いた([[#日本語版への影響]]を参照)。
Windows版よりPlayStation 2版が先にリリースされたことは、[[コンソールゲーム]]がPCゲームよりもハッキングや改変が困難という点で、改造コミュニティに影響を及ぼした<ref name="Kushner" />{{rp|189}}。コンソール版ではソースコードに大きな編集を加えることができないため、モッダーたちは、PlayStation 2版は解析するに留めて、Windows版のリリース時に、その解析結果を踏まえた改造コードを作成・公開することを計画した。2004年12月、パトリック・ウィルデンボルフ(Patrick Wildenborg)を含むモッダーらのグループは「SEX」、「KISSING」、「SNM」、「BLOWJOBZ」などのファイル名を持つ複数のキャラクターアニメーションデータを発見した。これらデータはキャラクターモデルを適用することで、実際のアニメーションをプレビューすることができ、"Barton Waterduck"のハンドルネームで活動するあるモッダーは、この方法によってそれらデータが性的なコンテンツであると把握した。しかし、彼らが、この封印されたコードを公開するように改造するためにはWindows版のリリースまで待たねばならなかった<ref name="Parkin" />。


ウィルデンボルフはオランダに住んでおり、Windows版のリリースはアメリカより3日遅れになるため、アメリカ在住のモッダー達と協力してゲームファイルに早くアクセスできるように手筈を整えていた。そしてアメリカのモッダー達からゲームスクリプトのコピーを受け取ったウィルデンボルフは、それを[[バイナリエディタ]]で修正してミニゲームをアンロックしたバージョンを作成すると返送した<ref name="Parkin" />。
=== 小売店への対応とver2.0 ===
2005年6月8日午後11時37分([[中央ヨーロッパ夏時間|CEST]])、ウィルデンボルフは、彼の改造によってアンロックされたミニゲームの映像を受け取った<ref name="Kushner" />{{rp|199}}。
レイティング変更を受けて、いくつかの北米のチェーンストアやIEMA小売業者(アメリカの多くの大手販売店とゲーム市場の約85%を占める)は、店頭からPC版およびコンシューマー版を取り除き、新しいレイティングで売るか、販売元のテイクツーに返品した。これを受けてロックスター・ゲームズは、初期バーションの販売を続ける小売業者向けにESRB「Adults Only 18+」のレイティングのステッカーを配布した。
彼は6月9日に、グランド・セフト・オートの改造サイトであるGTAGarage.com上にて、この改造パッチ(MODファイル)を公開し、名前はゲーム中の婉曲表現にちなんで「Hot Coffee」と名付けた。このファイルは4週間で100万回以上ダウンロードされた<ref name="Parkin" /><ref name="Brathwaite">{{cite news |last=Brathwaite |first=Brenda |title=Hot Coffee's Effects on the Mod Scene |url=https://www.gamedeveloper.com/business/hot-coffee-s-effects-on-the-mod-scene |work=[[Game Developer (website)|Game Developer]] |date=27 October 2006 |access-date=31 May 2022 |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531215923/https://www.gamedeveloper.com/business/hot-coffee-s-effects-on-the-mod-scene |url-status=live}}</ref>。


グランド・セフト・オートのネット掲示板で話題となったことで、このMODが公開された日にはハウザーは「Hot Coffee」を発見していた<ref name="Parkin" />。
ロックスターは問題の対処のために、性的ミニゲームの削除以外にも、(MODなどによって)ゲームデータが変更されたら、強制的にダウンさせるバージョン2.0の販売を開始した。このため、ユーザーは問題のあるなしに関わらずMODを入れて遊ぶ場合には、旧バージョンを使用する必要に迫られた。
同日には、[[エンターテインメントソフトウェア協会]](ESA)の会長であった{{仮リンク|ダグ・ローウェンスタイン|en|Doug Lowenstein}}も、このミニゲームを扱った[[バイラル・ビデオ]]から、それを把握した。その後、1ヶ月にわたり、ロックスターの広報部([[パブリック・リレーションズ]])は、この騒動に対してのコメント要請に一切応じないよう指示された。彼らは唯一、ローウェンスタインとESRBのパトリシア・ヴァンス会長には連絡を入れていたという。ロックスターは二人に対し、これは第三者によって改変された結果であり、今後行われる調査には応じると伝えていた<ref name="Kushner" />{{rp|203–208}}。


== 反応 ==
また2006年6月8日、ロックスターとテイクツーは、連邦取引委員会と「その内容が審査機関によるレイティングが不十分であるならば、パッケージに明確に内容を表記し、広告等でもそのことを明らかにする。」ということを取り決め、もしこれに違反した場合には、11,000ドルの罰金を支払うことを決めた<ref name="settlement">{{cite web|last=Adams |first= David | date=2006-06-08 |url=http://ps2.ign.com/articles/711/711788p1.html |title=Rockstar, FTC Settle Over Hot Coffee |publisher=[[IGN]] |accessdate=2006-06-16}}</ref>。
=== レーティング変更と再リリース ===
[[File:Leland Yee.jpg|thumb|upright|[[リーランド・イー]]はESRBが『サンアンドレアス』のレーティングを「AO」(Adult Only)にしなかったことを批判した。]]


{{仮リンク|カリフォルニア州議会|en|California State Senate}}の上院議長代行である[[リーランド・イー]]は、ESRBが、その暴力性と露骨な性行為のミニゲーム(Hot Coffee)があるにも関わらず、『サンアンドレアス』のレーティングを「AO」にしなかったことを批難する声明を出した<ref>{{cite news |last=Carless |first=Simon |title=Yee Blasts ESRB For ''Grand Theft Auto: San Andreas'' Rating |url=https://www.gamasutra.com/php-bin/news_index.php?story=5868 |work=[[Game Developer (website)|Game Developer]] |date=7 July 2005 |access-date=11 March 2022 |archive-date=11 March 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220311145015/https://www.gamasutra.com/php-bin/news_index.php?story=5868 |url-status=live}}</ref>。
=== 集団訴訟と和解 ===
当時、イーは、[[カリフォルニア州]]が暴力的なテレビゲームに警告ラベルを貼り、小売店にはそのラベルが貼られたゲームを販売する際に客の身分証明書を確認することを義務付けるという法案(AB450法案)を推進していた<ref>{{cite news |last=Maragos |first=Nich |title=California Game Restrictions Bill Stalls Before Passing Committee |url=https://www.gamasutra.com/php-bin/news_index.php?story=5441 |work=[[Game Developer (website)|Game Developer]] |date=5 May 2005 |access-date=11 March 2022 |archive-date=11 March 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220311145014/https://www.gamasutra.com/php-bin/news_index.php?story=5441 |url-status=live}}</ref>。
2006年、弁護士達は、テイクツーが故意にゲーム内容を隠し、消費者を欺いたとして、いくつかの集団訴訟を起こした。これは2007年12月に和解に達した<ref>{{cite web|url=http://www.gtasettlement.com/|title=GTA Settlement|archiveurl=https://web.archive.org/web/20071224175535/http://www.gtasettlement.com/|archivedate=2007年12月24日|accessdate=2010-09-19|deadlinkdate=2017年9月}}</ref>。しかし、2008年、この訴訟に関わった弁護士のテッド・フランクは、弁護費用が100万ドルだったのに、原告への総支払い額は2万7000ドル未満だったことから、この和解に異議を唱え提訴した<ref name=527GP>{{cite web|url=http://www.gamepolitics.com/2008/05/27/did-lawyers-inflate-fees-hot-coffee-class-action-suit|publisher=[[Gamepolitics.com]]|title=Did Lawyers Inflate Fees in Hot Coffee Class Action Suit?|date=2008-05-27|accessdate=2010-09-19|archiveurl=https://web.archive.org/web/20080906160603/http://www.gamepolitics.com/2008/05/27/did-lawyers-inflate-fees-hot-coffee-class-action-suit|archivedate=2008年9月6日|deadlinkdate=2017年9月}}</ref><ref name=Over>{{cite web
翌日、ESRBのヴァンス会長は「これでは十字軍だ(中略)ESRBの機能(integrity)を弱体化させるものだ」と批難する一方で、「"Hot Coffee"改造における事態」について調査を開始したことを発表した<ref>{{cite news |last=Feldman |first=Curt |title=ESRB to investigate 'San Andreas' sex content |url=https://www.cnet.com/tech/gaming/esrb-to-investigate-san-andreas-sex-content/ |work=[[CNET]] |date=8 July 2005 |access-date=11 March 2022 |archive-date=11 March 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220311144301/https://www.cnet.com/tech/gaming/esrb-to-investigate-san-andreas-sex-content/ |url-status=live}}</ref>。
|url=http://overlawyered.com/2008/05/grand-theft-auto-class-action-settlement-26505-for-the-unrepresented-class-1-million-fee-request/
また、7月12日にはオーストラリア政府の審査機関である[[オーストラリア等級審査委員会|フィルム・文献分類管理局]](OFLC、現ACB)が、{{仮リンク|司法長官 (オーストラリア)|label=オーストラリア司法長官|en|Attorney-General of Australia}}{{仮リンク|フィリップ・ラドック|en|Philip Ruddock}}の要請として、同ゲームについて独自に調査を開始すると発表した。OFLCは当初レーティングを購入は15歳以上に制限する「MA15+」としていた<ref>{{cite news |last1=Jenkins |first1=David |last2=Carless |first2=Simon |title=''GTA: San Andreas'' Australian Investigation Started |url=https://www.gamasutra.com/php-bin/news_index.php?story=5904 |work=Game Developer |date=12 July 2005 |access-date=12 March 2022 |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531215924/https://www.gamasutra.com/php-bin/news_index.php?story=5904 |url-status=live}}</ref>。
|publisher=[[Overlawyered]]
|title=Grand Theft Auto: Class Action Settlement - $26,505 for the unrepresented class, $1 million fee request
|date=2008-05-26
|accessdate=2010-09-19
}}</ref>。フランクは今回の訴訟が全く無意味なものであったと[[:en:GamePolitics.com|GamePolitics.com]](フリージャナリストによるゲーム業界の政治を扱ったブログ)に述べている<ref>{{cite web
|url=http://www.gamepolitics.com/2008/04/29/overlawyered-blog-doesnt-think-much-of-hot-coffee-class-action-settlement
|publisher=[[Gamepolitics.com]]
|title=Overlawyered Disses Hot Coffee Class Action Settlement
|date=2008-04-29
|accessdate=2010-09-19
}}</ref>。


「Hot Coffee」は公開当初からグランド・セフト・オートの改造コミュニティで人気があったが、イーの発言によって世間の注目も集めることとなった<ref>{{cite news |last=Lohr |first=Steve |title=In Video Game, a Download Unlocks Hidden Sex Scenes |url=https://www.nytimes.com/2005/07/11/technology/in-video-game-a-download-unlocks-hidden-sex-scenes.html |work=[[The New York Times]] |date=11 July 2005 |access-date=31 May 2022 |url-access=limited |archive-date=13 March 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220313013514/https://www.nytimes.com/2005/07/11/technology/in-video-game-a-download-unlocks-hidden-sex-scenes.html |url-status=live}}</ref>。
また、英語初期バージョンの購入者で、2008年5月16日に精神的苦痛を感じて集団訴訟を起こした者たちへは、最高35ドル(最低5ドル)支払うことで和解した<ref name=527GP/><ref name=Over/><ref>{{Cite|url=http://www.kotaku.jp/2010/03/gta_sa_5dollar_check.html|title=GTA:ホットコーヒーMOD訴訟の和解金が届いた|publisher=Kotaku JAPAN|accessdate=2010年9月19日}}</ref>。
自身のウェブサイトにおいて作成者のウィルデンボルフは、ゲーム内に存在する露骨な性描写を作成した責任は否定した上で、そうした素材はソースコードを修正しない限り、アクセスできなかったものであり、「したがって[[チート]]や[[イースター・エッグ (コンピュータ)|イースターエッグ]]、隠し機能と見なされるものではなく、おそらく最終的なリリースには至らなかったゲーム内容のアイデアの残骸の可能性が高い」と見解を述べていた<ref>{{cite news |title=Sex controversy over GTA game |url=http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/4671429.stm |publisher=[[BBC News]] |date=11 July 2005 |access-date=31 May 2022 |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531215926/http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/4671429.stm |url-status=live}}</ref>。
7月14日にロックスターは「Hot Coffee」に関する一切の責任を否定する声明を出し、その中では「これは完全に、ゲームの正規のシーンを大きな労力をかけて改造したハッカー集団の仕業である」と非難していた<ref>{{cite news |last=Feldman |first=Curt |title=Hackers behind sex change, says 'Grand Theft' maker |url=https://www.cnet.com/tech/gaming/hackers-behind-sex-change-says-grand-theft-maker/ |work=[[CNET]] |date=14 July 2005 |access-date=31 May 2022 |archive-date=22 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220522183842/https://www.cnet.com/tech/gaming/hackers-behind-sex-change-says-grand-theft-maker/ |url-status=live}}</ref>。


2005年7月20日、ESRBは『サンアンドレアス』のすべてのエディションを「M」から「AO」に再指定すると発表した。この理由として、ロックスターが意図的に顧客に生々しいデータを提供するつもりはなかったことは認めるものの、このデータがゲームの最終ディスクに「完全にレンダリングされた、修正されていない状態で」存在し、「第三者による修正版が広範にわたって流通したことにより、複合的に(中略)当初のESRBレーティングの信頼性と実用性」が傷つけられたと説明した<ref name="Adams">{{cite news |last=Adams |first=David |title=GTA: San Andreas Gets Adults Only Rating |url=https://www.ign.com/articles/2005/07/20/gta-san-andreas-gets-adults-only-rating |work=[[IGN]] |date=20 July 2005 |access-date=31 May 2022 |archive-date=29 October 2021 |archive-url=https://web.archive.org/web/20211029010725/https://www.ign.com/articles/2005/07/20/gta-san-andreas-gets-adults-only-rating |url-status=live}}</ref>。
その他、和解の一部としては、テイクツーは、アメリカ国内の親や教師による団体やESRBに、計87万3000ドルを支払い和解した<ref name=527GP/><ref name=Over/>。2008年6月25日の時点で、2700人未満の原告が和解に応じた(原告側の弁護士は和解に不満を述べた)<ref>{{cite web |url=http://www.gamesindustry.biz/articles/lawyers-shocked-at-lack-of-hot-coffee-claimants |title=Lawyers shocked at lack of Hot Coffee claimants |author=Matt Martin |date=2008-06-25 |accessdate=2010-09-19 |publisher=[[gamesindustry.biz]]}}</ref>。フランクは、今回の訴訟が全く意味の無いものだったことが改めて明らかになったと述べた。2009年9月1日、テイクツーは今回の問題で損害を被った証券会社の集団訴訟に、2000万ドル以上支払うことで和解したと公表した<ref>{{Cite news|title=Take-Two Interactive Software, Inc. Announces Settlement of Securities Class Action|publisher=Take-Two Interactive Software, Inc.|url=http://ir.take2games.com/phoenix.zhtml?c=86428&p=irol-newsArticle&ID=1326496|date=2009-09-01|accessdate=2017-04-13}}</ref>
この結果、[[ウォルマート]]、[[ターゲット・コーポレーション|ターゲット]]、[[ベスト・バイ]]、[[サーキット・シティー・ストアーズ|サーキット・シティ]]などの大手小売業者は、レーティングが「AO」のままである場合、すべての販売を直ちに停止すると発表した<ref name="Kushner" />{{rp|223}}<ref>{{cite news |last=Morris |first=Chris |title=Wal-Mart, Target pull 'Grand Theft Auto' |url=https://money.cnn.com/2005/07/20/technology/personaltech/gta/ |work=[[CNN Money]] |date=20 July 2005 |access-date=31 May 2022 |archive-date=26 October 2021 |archive-url=https://web.archive.org/web/20211026051613/https://money.cnn.com/2005/07/20/technology/personaltech/gta/ |url-status=live}}</ref>。
(うち1520万ドルは保険会社が支払った<ref name=KotakuJ2>{{Cite|url=http://www.kotaku.jp/2009/09/03_gta_hotcoffee.html|title=GTAのホットコーヒー訴訟、和解金は約18.5億円|publisher=Kotaku JAPAN|accessdate=2010年9月19日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20090910180750/http://www.kotaku.jp/2009/09/03_gta_hotcoffee.html|archivedate=2009-09-10}}</ref>)。この訴訟を持って大型集団訴訟は全て終わった<ref name=KotakuJ2/>。
7月29日にOFLCは『サンアンドレアス』のレーティングを剥奪した。これは当時、オーストラリアには18歳以上のみに相当するレーティングの規定がなかったためであり、露骨なコンテンツが含まれる場合に、その販売は全面的に禁止されるものであった<ref>{{cite news |title=Australia Bans 'Grand Theft Auto' |url=https://www.cbsnews.com/news/australia-bans-grand-theft-auto/ |publisher=[[CBS News]] |date=29 July 2005 |access-date=31 May 2005 |archive-date=21 July 2015 |archive-url=https://web.archive.org/web/20150721175736/http://www.cbsnews.com/news/australia-bans-grand-theft-auto/ |url-status=live}}</ref><ref>{{cite news |last=Bramwell |first=Tom |title=Australia bans GTA: San Andreas |url=https://www.eurogamer.net/news010805ausgta |work=[[Eurogamer]] |date=1 August 2005 |access-date=31 May 2022 |archive-date=12 September 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220912184350/https://www.eurogamer.net/news010805ausgta |url-status=live}}</ref>。


再レーティングを受けてテイクツーは、「ホットコーヒー」にアクセス不可能なバージョンをリリースするまで、『サンアンドレアス』の全製造を停止した<ref name="Adams" />。
== 日本語版への影響 ==
8月11日にロックスターはWindows版ユーザーを対象に、「ホットコーヒー」へのアクセスを禁止する[[パッチ]]を公開した<ref>{{cite news |title=No more 'Hot Coffee' sex for GTA |url=http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/4142184.stm |publisher=[[BBC News]] |date=11 August 2005 |access-date=31 May 2022 |archive-date=13 November 2005 |archive-url=https://web.archive.org/web/20051113201604/http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/4142184.stm |url-status=live}}</ref>。
{{main|グランド・セフト・オート・サンアンドレアス#日本語版}}
9月までに『サンアンドレアス』は修正され、Windows版およびXbox版は、元のレーティングである「M」としてリリースされた<ref>{{cite news |last=Surette |first=Tim |title=GTA gets trilogized, San Andreas special edition |url=https://www.gamespot.com/articles/gta-gets-trilogized-san-andreas-special-edition/1100-6134252/ |work=[[Gamespot]] |date=23 September 2005 |access-date=31 May 2022 |archive-date=2 July 2017 |archive-url=https://web.archive.org/web/20170702201903/https://www.gamespot.com/articles/gta-gets-trilogized-san-andreas-special-edition/1100-6134252/ |url-status=live}}</ref>。
この問題の影響で、日本語版の発売は大きくずれこむことになり、大幅に仕様変更された物が[[2007年]][[1月25日]]に[[カプコン]]よりPS2日本語版が発売された。
11月には「ホットコーヒー」のデータが含まれていないPlayStation 2版の『グランド・セフト・オート:サンアンドレアス - スペシャル・エディション』がリリースされた<ref>{{cite news |last=Dunham |first=Jeremy |title=Grand Theft Auto: San Andreas – Special Edition |url=https://www.ign.com/articles/2005/11/18/grand-theft-auto-san-andreas-special-edition |work=[[IGN]] |date=18 November 2005 |access-date=31 May 2022 |archive-date=9 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220509085302/https://www.ign.com/articles/2005/11/18/grand-theft-auto-san-andreas-special-edition |url-status=live}}</ref>。
アメリカ以外ではロックスターが2015年9月に修正版をリリースし、オーストラリアでは「MA15+」のレーティングを受けた<ref>{{cite news |last1=Walker |first1=Alex |last2=Williams |first2=Leah |title=An Extensive Look Back At Some Of The Games Australia Has Banned |url=https://www.kotaku.com.au/2021/08/a-look-back-at-some-of-the-games-australia-has-banned/ |work=[[Kotaku]] |date=17 August 2021 |access-date=31 May 2022 |archive-date=26 March 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220326155227/https://www.kotaku.com.au/2021/08/a-look-back-at-some-of-the-games-australia-has-banned/ |url-status=live}}</ref>。


日本版のローカライズとリリースは[[カプコン]]が行ったが、「ホットコーヒー」発覚時はまだ未発売であり、アメリカやオーストラリアで起きたようなリリース後のレーティングの変更といったことは起きなかった。しかし、日本におけるレーティング機関である[[コンピュータエンターテインメントレーティング機構]](CERO)のレーティング基準に即するとして、性的に露骨なコンテンツのみならず、修正後のオリジナル版よりもさらに全体的な仕様変更が行われた。例えば、デート後の「コーヒーブレイク」自体は存在するものの、行為中は音声の演出などなく、ただ家が外から映し出されるだけであり、間接的な性描写すらも完全に削除されていた<ref>{{cite news |last=みお |title=“残酷・性的”表現はどうなった?『GTA:SA:決定版』の規制をPS2&PC&Switchで比較してみた【特集】 |url=https://www.gamespark.jp/article/2021/11/24/113783.html |work=Games park |date=2021/11/24 |access-date=2022/11/5 }}</ref><ref>{{cite news |title=海外版と国内版の仕様変更について(グランド・セフト・オート・サンアンドレアス) 株式会社カプコン:サポート |url=https://www.capcom.co.jp/support/faq/platform_ps2_gtasa_036655.html |work=[[カプコン]] |access-date=2022/11/5 }}</ref>。
日本語版では問題対処後の北米版と同様に性行為のミニゲームは完全に削除されており、「コーヒーブレイク」における性行為を想起させるシーンも全面的にカットされている。同シリーズ問わず、首や手足の切断といった描写も、従来の日本語版同様修正されている他、暴力行為シーンが全般的に修正の対象となっている。

=== 連邦政府による法的対応 ===
[[File:Hillary Clinton official Secretary of State portrait crop.jpg|thumb|upright|[[ヒラリー・クリントン]]はホットコーヒー問題を受けて、公的機関である[[連邦取引委員会]]がゲームを[[検閲]]することを推奨する法案を提出した。]]

ESRBが『サンアンドレアス』を調査中であることを公表した後、[[アメリカ合衆国上院|連邦上院議員]]である[[ヒラリー・クリントン]]が[[連邦取引委員会]](FTC)に対し、「生々しいポルノと暴力的なコンテンツ」の出所を明らかにすること、このゲームのレーティングに「AO」を与えるべきか判断すること、「小売業のレーティング執行方針の妥当性を検証」することを請求した<ref name="Feldman">{{cite news |last=Feldman |first=Curt |title=Clinton calls for federal game regulation |url=https://www.gamespot.com/articles/clinton-calls-for-federal-game-regulation/1100-6129040/ |work=[[GameSpot]] |date=14 July 2005 |access-date=14 March 2022 |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531220123/https://www.gamespot.com/articles/clinton-calls-for-federal-game-regulation/1100-6129040/ |url-status=live}}</ref>。
クリントンはさらに、18歳未満の個人に、暴力的または性的に露骨なテレビゲームを販売することを連邦犯罪とし、違反した場合に5000ドルの罰金を課す法案の提出に着手すると宣言した<ref name="Feldman" />。
そして2005年12月17日に、上院議員の同僚である[[ジョー・リーバーマン]]と[[エヴァン・バイ]]の支持も得て、ファミリー・エンターテイメント保護法案([[:en:Family Entertainment Protection Act|Family Entertainment Protection Act]]、家庭娯楽品保護法)を提出した<ref>{{cite news |last=Lees |first=J. |title=Family Entertainment Protection act now filed |url=https://www.engadget.com/2005-12-16-family-entertainment-protection-act-now-filed.html |work=[[Engadget]] |date=17 December 2005 |access-date=14 March 2022 |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531220124/https://www.engadget.com/ |url-status=live}}</ref>。
この法案では、レーティングが「M」または「AO」であるテレビゲームの未成年者への販売を禁止すると共に、FTCが既存のゲームに対して「Hot Coffee」MODが引き起こしたような隠しコンテンツを毎年チェックすることを奨励するというものであった<ref>{{cite news |title=Hillary Clinton promotes law to ban violent video games |url=https://www.cbc.ca/news/entertainment/hillary-clinton-promotes-law-to-ban-violent-video-games-1.550126 |publisher=[[CBC Arts]] |date=1 December 2005 |access-date=14 March 2022 |archive-date=14 March 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220314213213/https://www.cbc.ca/news/entertainment/hillary-clinton-promotes-law-to-ban-violent-video-games-1.550126 |url-status=live}}</ref>。
この法案は上院議会の{{仮リンク|商業・科学・運輸委員会|en|United States Senate Committee on Commerce, Science, and Transportation}}に付託されたが、審議されずに放置され、{{仮リンク|第109回議会 (アメリカ連邦議会)|label=第109回議会|en|109th United States Congress}}の終了によって破棄された<ref>{{cite book |last=Kardaras |first=Nicholas |title=Glow Kids: How Screen Addiction is Hijacking Our Kids—And How to Break the Trance |date=2016 |publisher=St. Martin's Press |location=New York, NY |page=133 |isbn=978-1-250-09799-6 |url=https://www.google.com/books/edition/Glow_Kids/LPbUDAAAQBAJ?hl=en&gbpv=0}}</ref>。

一方、[[アメリカ合衆国下院|下院議会]]では2005年7月28日に、テイクツーとロックスターに対してFTCの調査を開始させることを賛成多数(賛成355票、反対21票)で可決していた。これは開発者が『サンアンドレアス』の内容に関して、レーティングで「AO」を避けるために、意図的にESRBに誤解を与えさせたかをFTCに判断させるためのものであった<ref>{{cite news |last=Feldman |first=Curt |title=House backs federal investigation of Rockstar Games |url=https://www.gamespot.com/articles/house-backs-federal-investigation-of-rockstar-games/1100-6129723/ |work=[[GameSpot]] |date=28 July 2005 |access-date=30 May 2022 |archive-date=9 April 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220409152144/https://www.gamespot.com/articles/house-backs-federal-investigation-of-rockstar-games/1100-6129723/ |url-status=live}}</ref>。
2006年6月8日にFTCと対象2社は和解に達し、FTCは第三者によって有効にされたかどうかは問わず、「未使用とは言え閲覧可能な」ヌード画像と性的なコンテンツを開示しなかったことは、1914年の連邦取引委員会法に違反していると判断した<ref name="Fisher">{{cite news |last=Fisher |first=Ken |title=FTC settles with Rockstar over Hot Coffee: potential for sex all it takes |url=https://arstechnica.com/uncategorized/2006/06/7015-2/ |work=[[Ars Technica]] |date=8 June 2006 |access-date=30 May 2022 |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531220135/https://arstechnica.com/uncategorized/2006/06/7015-2/ |url-status=live}}</ref>。
和解案では、テイクツーとロックスター双方に対し、「レーティングに関する内容に関して、製品パッケージおよび電子ゲームのプロモーションや広告において明確かつ顕著に開示すること」を求め、これに違反した場合に最高1.1万ドルの罰金を科されるというものであった(ただし、当該内容が、事前のレーティング機関への提出時に十分に開示されていた場合は除く)<ref>{{cite news |last=Adams |first=David |title=Rockstar, FTC Settle Over Hot Coffee |url=https://www.ign.com/articles/2006/06/08/rockstar-ftc-settle-over-hot-coffee |work=[[IGN]] |date=8 June 2006 |access-date=30 May 2022 |archive-date=4 April 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220404234717/https://www.ign.com/articles/2006/06/08/rockstar-ftc-settle-over-hot-coffee |url-status=live}}</ref>。
結果としてFTCは2社に対してこの件で罰金を科さないことを決定したが、この時既にテイクツーは、先のリコールで2,450万ドル(2021年時点で3,290万ドル相当)の損害が生じていた<ref name="Fisher" />。

=== 集団訴訟(クラスアクション) ===
2005年7月27日、ニューヨーク在住の85歳女性が、ロックスターとテイクツーを相手取り、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に提訴した。彼女は14歳の孫のためにレーティング再指定前のバージョン(「M」)を購入してしまったとし、ロックスターが最初に販売したバージョンは虚偽広告、消費者への欺瞞、不公正な商習慣にあたると主張した<ref>{{cite news |last=Neumeister |first=Larry |title=Grandmother sues game maker over hidden sex in 'Grand Theft Auto: San Andreas' |url=https://www.post-gazette.com/business/tech-news/2005/07/28/Grandmother-sues-game-maker-over-hidden-sex-in-Grand-Theft-Auto-San-Andreas/stories/200507280399 |work=[[Pittsburgh Post-Gazette]] |date=28 July 2005 |access-date=31 May 2022 |archive-date=12 September 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220912184350/https://www.post-gazette.com/business/tech-news/2005/07/28/Grandmother-sues-game-maker-over-hidden-sex-in-Grand-Theft-Auto-San-Andreas/stories/200507280399 |url-status=live}}</ref>。
2006年1月にロサンゼルス市が、市内の弁護士{{仮リンク|ロッキー・デルガディロ|en|Rocky Delgadillo}}(Rocky Delgadillo)を代表として同様の訴訟を起こした<ref>{{cite news |last=Modine |first=Austin |title=L.A. sez gme over |url=https://variety.com/2006/scene/markets-festivals/l-a-sez-game-over-1117936948/ |work=[[Variety (magazine)|Variety]] |date=26 January 2006 |access-date=31 May 2022 |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531220253/https://variety.com/2006/scene/markets-festivals/l-a-sez-game-over-1117936948/ |url-status=live}}</ref>。
他にも同様の訴訟が起こされたが、最終的には1つの審理に統合された([[クラスアクション]])<ref>{{cite news |last=Bansal |first=Paritosh |title=Update 1 – Take-Two agrees to 'Grand Theft' settlement talks |url=https://www.reuters.com/article/taketwo-consumer-settlement/update-1-take-two-agrees-to-grand-theft-settlement-talks-idUSN2831747820070301 |work=[[Reuters]] |date=28 February 2007 |access-date=31 May 2022 |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531220258/https://www.reuters.com/article/taketwo-consumer-settlement/update-1-take-two-agrees-to-grand-theft-settlement-talks-idUSN2831747820070301 |url-status=live}}</ref>。

2006年10月、連邦判事は、最初の原告が[[集団訴訟]]状態を追求できると判決を下した<ref>{{cite news |last=Bangeman |first=Eric |title=Take-Two dealt setback with Hot Coffee lawsuit |url=https://arstechnica.com/gaming/2006/10/8100/ |work=[[Ars Technica]] |date=29 October 2006 |access-date=31 May 2022 |archive-date=4 December 2020 |archive-url=https://web.archive.org/web/20201204064844/https://arstechnica.com/gaming/2006/10/8100/ |url-status=live}}</ref><ref>{{cite news |last=Sanders |first=Kathleen |title=Hot Coffee Still Has Take Two in Hot Water |url=https://www.ign.com/articles/2006/10/30/hot-coffee-still-has-take-two-in-hot-water |work=[[IGN]] |date=30 October 2006 |access-date=31 May 2022 |archive-date=4 September 2019 |archive-url=https://web.archive.org/web/20190904040659/https://www.ign.com/articles/2006/10/30/hot-coffee-still-has-take-two-in-hot-water |url-status=live}}</ref>。
2007年2月に関連する当事者間での和解交渉が開始され<ref>{{cite news |last=Bangeman |first=Eric |title=Take-Two in settlement talks over Hot Coffee lawsuit |url=https://arstechnica.com/gaming/2007/03/8957/ |work=[[Ars Technica]] |date=1 March 2007 |access-date=31 May 2022 |archive-date=20 November 2021 |archive-url=https://web.archive.org/web/20211120231828/https://arstechnica.com/gaming/2007/03/8957/ |url-status=live}}</ref>、2008年1月28日に和解が成立した。これにより、ESRBの再レーティング以前のゲームを購入したすべての購入者は、最大35ドルの返金を受け取る権利を有するとされた<ref>{{cite magazine |last=Cavalli |first=Earnest |title='Hot Coffee' Class Action Settled, $35 Rewarded For Outrage |url=https://www.wired.com/2008/01/hot-coffee-clas/ |magazine=[[Wired (magazine)|Wired]] |date=28 January 2008 |access-date=31 May 2022 |archive-date=16 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220516015630/https://www.wired.com/2008/01/hot-coffee-clas/ |url-status=live}}</ref>。
『サンアンドレアス』は2150万本以上売り上げたが、この和解に応じて申し立てを行った購入者は3,000人未満であった<ref>{{cite news |last=Ewalt |first=David M. |title=Grand Theft Auto Lawsuit Falls Flat |url=https://www.forbes.com/sites/digitaldownload/2008/06/25/grand-theft-auto-lawsuit-falls-flat/?sh=4f4f501712c0 |work=[[Forbes]] |date=25 June 2008 |access-date=31 May 2022 |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531220320/https://www.forbes.com/sites/digitaldownload/2008/06/25/grand-theft-auto-lawsuit-falls-flat/?sh=4f4f501712c0 |url-status=live}}</ref>。
弁護士とは130万ドルで和解したが、請求内容を解決するには3万ドルも掛かっておらず、和解金のほとんどは弁護士費用であった。またロックスターは、和解の一環として86万ドル相当の慈善寄付を行うことにも同意した<ref>{{cite news |last=Glater |first=Jonathan D. |title=Hidden Sex Scenes Draw Ho-Hum, Except From Lawyers |url=https://www.nytimes.com/2008/06/25/technology/25settle.html |work=[[The New York Times]] |date=25 June 2008 |access-date=31 May 2022 |url-access=limited |archive-date=29 May 2013 |archive-url=https://web.archive.org/web/20130529175907/http://www.nytimes.com/2008/06/25/technology/25settle.html |url-status=live}}</ref>。
和解案に基づく請求を行った被害者があまりに少なかったために、判事は7月31日に和解集団の認定を取り消した<ref>{{Cite news |last=Glater |first=Jonathan D. |title=Settlement Over Sex Scenes in Grand Theft Auto Hits a Snag |url=https://bits.blogs.nytimes.com/2008/07/31/settlement-over-sex-scenes-in-grand-theft-auto-hits-a-snag/ |work=[[The New York Times]] |date=31 July 2008 |access-date=31 May 2022 |archive-date=31 March 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220331073237/https://bits.blogs.nytimes.com/2008/07/31/settlement-over-sex-scenes-in-grand-theft-auto-hits-a-snag/ |url-status=live}}</ref><ref>{{cite news |last=McWhertor |first=Michael |title='Hot Coffee' Class Action Suit Squashed By The Court |url=https://kotaku.com/hot-coffee-class-action-suit-squashed-by-the-court-5033459 |work=[[Kotaku]] |date=5 August 2008 |access-date=31 May 2022 |archive-date=11 May 2021 |archive-url=https://web.archive.org/web/20210511190417/https://kotaku.com/hot-coffee-class-action-suit-squashed-by-the-court-5033459 |url-status=live}}</ref>。

ホットコーヒー論争が起こっていた時点で、テイクツーは既に会社の創業者で会長であったライアン・ブラントが関与した[[内部者取引|インサイダー取引]]の容疑で[[米国証券取引委員会]]の調査を受けていた。この件は2005年6月9日に750万ドルの和解に至った<ref name="Parkin" /><ref>{{cite news |title='Grand Theft' maker settles with SEC |url=https://money.cnn.com/2005/06/09/technology/take_two_sec/index.htm |work=[[CNN Money]] |date=9 June 2005 |access-date=31 May 2022 |archive-date=11 February 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220211053030/https://money.cnn.com/2005/06/09/technology/take_two_sec/index.htm |url-status=live}}</ref>。
2006年2月17日、テイクツーの株主は、同社の財政面での不適切な処理が収益に直接的な悪影響を与えたとして集団訴訟を起こした。この不適切な処理の中には、ホットコーヒー問題に対する会社の対応も含まれていた<ref>{{cite news |last=Fredenburgh |first=Catherine |title=Investors Sue Take-Two Over Grand Theft Auto Fallout |url=https://www.law360.com/articles/5374/investors-sue-take-two-over-grand-theft-auto-fallout |publisher=[[Law360]] |date=17 February 2006 |access-date=31 May 2022 |url-access=subscription |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531220321/https://www.law360.com/articles/5374/investors-sue-take-two-over-grand-theft-auto-fallout |url-status=live}}</ref><ref>{{cite news |last=Kuchera |first=Ben |title=Hot Coffee finally cools off with $20&nbsp;million settlement |url=https://arstechnica.com/gaming/2009/09/hot-coffee-finally-cold-with-20-million-settlement/ |work=[[Ars Technica]] |date=2 September 2009 |access-date=31 May 2022 |archive-date=9 June 2021 |archive-url=https://web.archive.org/web/20210609141637/https://arstechnica.com/gaming/2009/09/hot-coffee-finally-cold-with-20-million-settlement/ |url-status=live}}</ref>。
原告は「アダルトコンテンツを削除するのではなく、単に"ラッピングする(覆い隠す)"ことによって、被告はアダルトコンテンツが必然的に広く利用可能になることを把握していた」とし、証券取引法違反にあたると主張した<ref>{{Cite news |last=Bramwell |first=Tom |title=Take-Two settles Hot Coffee class action |url=https://www.eurogamer.net/take-two-settles-hot-coffee-class-action |work=[[Eurogamer]] |date=2 September 2009 |access-date=31 May 2022 |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531220326/https://www.eurogamer.net/take-two-settles-hot-coffee-class-action |url-status=live}}</ref>。
この訴訟は2009年9月2日に和解に達し、テイクツーは2,000万ドル以上を支払い、かつ、将来も同様の問題から投資家を保護するために、コーポレート・ガバナンス・ポリシーと慣行を変更することに同意した。
この時点までに株主らはテイクツーの経営幹部のほぼ全員を解任することを支持し、{{仮リンク|ストラウス・ゼルニック|en|Strauss Zelnick}}が新しいCEOに任命された<ref>{{cite news |last=Peters |first=Jeremy W. |title=Stockholders Oust Chief at Take-Two |url=https://www.nytimes.com/2007/03/30/technology/30game.html |work=[[The New York Times]] |date=30 March 2007 |access-date=31 May 2022 |url-access=limited |archive-date=3 September 2018 |archive-url=https://web.archive.org/web/20180903215538/https://www.nytimes.com/2007/03/30/technology/30game.html |url-status=live}}</ref>。

== 影響 ==
=== ゲーム業界への衝撃 ===
{{see|{{仮リンク|『オブリビオン』のESRBレーティング問題|en|ESRB re-rating of The Elder Scrolls IV: Oblivion}}}}

ホットコーヒー問題と、その後の法的・財務的措置はロックスター社、ゲーム業界、改造コミュニテイの関係を悪化させた。
ロックスターが現在進行中のスキャンダルについて公式声明を出すことを拒否したことを、ローウェンスタインは臆病者だと批難し、「騒ぎを起こしたかったのなら、それは素晴らしいことだ(中略)しかし、クソがファンに当たった時、自分はしゃがんで身を隠すな。立ち上がって自分の作ったものを守れ」と述べた<ref name="Skids" />。
2012年のインタビューで、[[ダン・ハウザー]]はグランド・セフト・オートの物議を醸したコンテンツに関する反発について、「我々はそのコンテンツ性によって攻撃されたとは思ってはおらず、その(ゲームという)メディアゆえに攻撃されたわけで、少し不公正だと感じた。もし、このようなコンテンツが本や映画であったならば、人々は瞬きすらしなかっただろう」と述べている<ref>{{cite news |last=Stuart |first=Keith |title=How Dan Houser helped turn Grand Theft Auto into a cultural phenomenon |url=https://www.theguardian.com/media/2012/nov/18/dan-houser-grand-theft-auto |work=[[The Guardian]] |date=18 November 2012 |access-date=31 May 2022 |archive-date=12 April 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220412071616/https://www.theguardian.com/media/2012/nov/18/dan-houser-grand-theft-auto |url-status=live}}</ref>。
一方、改造コミュニティは、この論争に対するロックスターの対応について見捨てられたと感じた。「Hot Coffee」による社会的な混乱の責任を取らされた上に、今後のバージョンについて、「改造に対する耐性を大幅に強める」と発表されたためであった<ref name="Parkin" /><ref name="Brathwaite" />。
GTAGarage.comは、論争の中で「Hot Coffee」を自主的に削除したが、このミニゲームによって生じた否定的な反応は、改造文化に冷や水を浴びせる効果をもたらした。この中には、ゲームの改造による結果が、意図的に隠されていたコンテンツとみなされ、テレビゲームに対する法的強化を招くと恐れていたモッダーもいた<ref name="Brathwaite" />。

ホットコーヒー問題は、ESRBとアメリカにおけるテレビゲームのコンテンツ・レーティングにも大きな影響を与え、ESRBはさらなるスキャンダルを避けるため、ディスクの提出とレーティングのプロセスを改善することを余儀なくされた<ref name="Kushner" />{{rp|273}}。
『サンアンドレアス』の翌年にリリースされた『[[The Elder Scrolls IV: オブリビオン]]』(『オブリビオン』)では、もともとESRBレーティングでは「T」(「Teen 13+」、ティーン向け13歳以上推奨)としていたが、「当初想定したよりも克明な血の描写」と、「改造パッチによって利用可能になる、封印されていた上半身裸の女性スキンデータの発覚」により、レーティングが「M」(成人向け)に再指定された<ref>{{cite news |last=Carless |first=Simon |title=Breaking: ESRB Pulls, Re-Rates ''Oblivion'' To Mature |url=https://www.gamedeveloper.com/pc/breaking-esrb-pulls-re-rates-i-oblivion-i-to-mature |work=[[Game Developer (website)|Game Developer]] |date=3 May 2006 |access-date=31 May 2022 |archive-date=13 March 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220313145125/https://www.gamedeveloper.com/pc/breaking-esrb-pulls-re-rates-i-oblivion-i-to-mature |url-status=live}}</ref>。
『サンアンドレアス』と『オブリビオン』の出来事を受けて、ESRBは連邦議会下院のエネルギー・商業委員会において、成人向けまたは露骨なコンテンツを開示しなかったメーカーに対して最高100万ドルの罰金を科すと証言した<ref>{{cite news |last=Loughrey |first=Paul |title=ESRB promises heavy fines for publisher nondisclosure |url=https://www.gamesindustry.biz/articles/esrb-promises-heavy-fines-for-publisher-nondisclosure |work=[[GamesIndustry.biz]] |date=15 June 2006 |access-date=31 May 2022 |archive-date=26 February 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220226014403/https://www.gamesindustry.biz/articles/esrb-promises-heavy-fines-for-publisher-nondisclosure |url-status=live}}</ref>。
2006年9月、上院議員の[[サム・ブラウンバック]]は、「[[:en:Truth in Video Game Rating Act|Truth in Video Game Rating Act]](ビデオゲーム・レーティングの真実法)」法案を提出した。この法案は、ゲーム会社からのビデオによるデモンストレーションに頼るのではなく、ESRBがレーティング決定前にゲームの全内容にアクセスすることを義務付けさせるというものであった<ref>{{cite news |last=Boyer |first=Brandon |title=Senate Proposes New ESRB Legislation |url=https://www.gamasutra.com/php-bin/news_index.php?story=11030 |work=[[Game Developer (website)|Game Developer]] |date=27 September 2006 |access-date=31 May 2022 |archive-date=14 November 2021 |archive-url=https://web.archive.org/web/20211114192727/https://www.gamasutra.com/php-bin/news_index.php?story=11030 |url-status=live}}</ref>。
ブラウンバックは、第109回と続く第110回議会にこの法案を提出したが、審議されることなく、閉会に伴い破棄されている<ref>{{cite news |last=Dobson |first=Jason |title=Brownback Re-Intros Truth in Video Game Rating Act |url=https://www.gamasutra.com/view/news/12760/Brownback_ReIntros_Truth_in_Video_Game_Rating_Act.php |work=[[Game Developer (website)|Game Developer]] |date=13 February 2007 |access-date=31 May 2022 |archive-date=10 November 2011 |archive-url=https://web.archive.org/web/20111110131014/http://www.gamasutra.com/view/news/12760/Brownback_ReIntros_Truth_in_Video_Game_Rating_Act.php |url-status=live}}</ref><ref>{{cite web |title=S. 568 (110th): Truth in Video Game Rating Act |url=https://www.govtrack.us/congress/bills/110/s568 |website=GovTrack |access-date=31 May 2022 |archive-date=5 April 2017 |archive-url=https://web.archive.org/web/20170405095604/https://www.govtrack.us/congress/bills/110/s568 |url-status=live}}</ref>。

=== 販売・開発元及びシリーズへの影響 ===
2006年6月、テイクツーはFrog City Softwareスタジオで制作中だった[[違法薬物取引]]をテーマとした[[リアルタイムストラテジー|リアルタイムストラテジーゲーム]]『Snow』の開発を取りやめた。パブリッシャーはこの決定理由を明らかにはしなかったが、ホットコーヒー問題に起因したテイクツーの「政治的圧力」だとみなされている<ref>{{cite web |url=https://www.eurogamer.net/news070606snow |title=Take-Two cans Snow |first=Tom |last=Bramwell |date=7 July 2006 |website=[[Eurogamer]] |access-date=12 September 2022 |archive-date=12 September 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220912192313/https://www.eurogamer.net/news070606snow |url-status=live}}</ref>。

2008年4月29日にシリーズの続編となる『[[グランド・セフト・オートIV]]』がリリースされ<ref>{{cite news |last=Dunham |first=Jeremy |title=GTA IV Worldwide on April 29 |url=https://www.ign.com/articles/2008/01/24/gta-iv-worldwide-on-april-29 |work=[[IGN]] |date=24 January 2008 |access-date=31 May 2022 |archive-date=14 May 2018 |archive-url=https://web.archive.org/web/20180514162402/https://www.ign.com/articles/2008/01/24/gta-iv-worldwide-on-april-29 |url-status=live}}</ref>、これは批評家から称賛を受け、商業的にも成功を収めた<ref>{{cite news |last=Gwinn |first=Eric |title=Is 'Grand Theft Auto IV' the greatest writing of the century? |url=https://www.chicagotribune.com/news/ct-xpm-2009-01-25-0901230326-story.html |work=[[Chicago Tribune]] |date=25 January 2009 |access-date=31 May 2022 |url-access=limited |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531220325/https://www.chicagotribune.com/ |url-status=live}}</ref>。
一部のファンは、このゲームに「ホットコーヒー」論争に関与したヒラリー・クリントンを揶揄するイースターエッグがあると考えていた。実際、ゲーム中に登場する[[自由の女神像 (ニューヨーク)|自由の女神像]]を模した「幸福の女神像(Statue of Happiness)」の顔はクリントンに酷似しており、そのゲームファイル名は「stat_hilberty01.wdr」であった<ref>{{cite news |last=Sakellariou |first=Alexandra |title=Why GTA 4's Statue of Happiness Looks Like Hillary Clinton |url=https://screenrant.com/grand-theft-auto-4-statue-liberty-hillary-clinton/ |work=[[Screen Rant]] |date=9 March 2021 |access-date=30 May 2022 |archive-date=18 July 2021 |archive-url=https://web.archive.org/web/20210718230013/https://screenrant.com/grand-theft-auto-4-statue-liberty-hillary-clinton/ |url-status=live}}</ref>。
2014年にリリースされた『[[グランド・セフト・オートV]]』では、プレイヤーが一人称視点で売春婦と性行為を行える要素があり、このため、再びホットコーヒー問題が話題となった<ref>{{cite news |last=Alba |first=Alejandro |title=Grand Theft Auto V features first-person prostitute sex gameplay |url=https://www.nydailynews.com/news/national/grand-theft-auto-v-first-person-prostitute-sex-gameplay-article-1.2015064 |work=[[New York Daily News]] |date=18 November 2014 |access-date=31 May 2022 |archive-date=22 January 2021 |archive-url=https://web.archive.org/web/20210122235728/https://www.nydailynews.com/news/national/grand-theft-auto-v-first-person-prostitute-sex-gameplay-article-1.2015064 |url-status=live}}</ref><ref>{{cite news |last=Cook |first=James |title=The New 'Grand Theft Auto' Lets You Have Realistic Sex With Prostitutes |url=https://www.businessinsider.com/grand-theft-auto-features-first-person-sex-with-prostitutes-2014-11?r=US&IR=T |work=[[Business Insider]] |date=18 November 2014 |access-date=31 May 2022 |archive-date=24 November 2021 |archive-url=https://web.archive.org/web/20211124150414/https://www.businessinsider.com/grand-theft-auto-features-first-person-sex-with-prostitutes-2014-11?r=US&IR=T |url-status=live}}</ref>。
こうした要素があったにも関わらず、『V』のESRBレーティングは「M」であった<ref>{{cite news |last=Friedman |first=Megan |title=''Grand Theft Auto V'' Now Involves First-Person Graphic Sex With Hookers |url=https://www.esquire.com/entertainment/a32419/grand-theft-auto-v-first-person-graphic-sex/ |work=[[Esquire (magazine)|Esquire]] |date=18 November 2014 |access-date=31 May 2022 |archive-date=11 May 2021 |archive-url=https://web.archive.org/web/20210511104740/https://www.esquire.com/entertainment/a32419/grand-theft-auto-v-first-person-graphic-sex/ |url-status=live}}</ref>。

2018年にリリースされたロックスターの新作『[[レッド・デッド・リデンプションII]]』に関して、2020年2月、大手改造コミュニティサイトの{{仮リンク|Nexus Mods|en|Nexus Mods}}において公開されたMODが「Hot Coffee」と比較され、物議を醸した。このMODは主人公の{{仮リンク|アーサー・モーガン|en|Arthur Morgan (Red Dead)}}が酒場で娼婦と交渉し、2階で性行為を行うというものであった<ref>{{cite news |last=Kim |first=Matt |title=Fans Made a 'Hot Coffee' Mod for Red Dead Redemption 2 |url=https://www.ign.com/articles/red-dead-redemption-2-gets-its-own-hot-coffee-mod |work=[[IGN]] |date=21 February 2020 |access-date=31 May 2022 |archive-date=4 April 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220404234720/https://www.ign.com/articles/red-dead-redemption-2-gets-its-own-hot-coffee-mod |url-status=live}}</ref>。
これを把握したロックスターは、このMODがエンドユーザー・ライセンス契約に違反しているとして公開中止を要求した<ref>{{cite news |last=Good |first=Owen S. |title=Red Dead Redemption 2 gets a 'Hot Coffee' mod |url=https://www.polygon.com/pc/2020/2/22/21148817/red-dead-redemption-2-hot-coffee-mod-download-pc |work=[[Polygon (website)|Polygon]] |date=22 February 2020 |access-date=31 May 2022 |archive-date=12 April 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220412071556/https://www.polygon.com/pc/2020/2/22/21148817/red-dead-redemption-2-hot-coffee-mod-download-pc |url-status=live}}</ref><ref>{{cite news |last=Yin-Poole |first=Wesley |title=Red Dead Redemption 2 Hot Coffee mod creator defiant despite legal threat |url=https://www.eurogamer.net/red-dead-redemption-2-modder-insists-they-wont-take-their-hot-coffee-mod-down-despite-legal-threat |work=[[Eurogamer]] |date=22 February 2020 |access-date=31 May 2022 |archive-date=31 May 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220531220546/https://www.eurogamer.net/red-dead-redemption-2-modder-insists-they-wont-take-their-hot-coffee-mod-down-despite-legal-threat |url-status=live}}</ref>。
このMODの製作者はサービス規約に違反していないと主張して抗議したが、Nexus Modsは公開直後に削除対応を行った<ref>{{cite news |last=Harris |first=Iain |title=Red Dead Redemption 2's Hot Coffee mod has been taken down |url=https://www.pcgamesn.com/red-dead-redemption-2/rdr2-hot-coffee-mod-gta-san-andreas |work=PCGamesN |date=18 August 2020 |access-date=31 May 2022 |archive-date=15 April 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220415105948/https://www.pcgamesn.com/red-dead-redemption-2/rdr2-hot-coffee-mod-gta-san-andreas |url-status=live}}</ref><ref>{{cite news |last=Wakeling |first=Richard |title=Red Dead 2's Hot Coffee Mod Is In Hot Water (Update: It's Been Taken Down) |url=https://www.gamespot.com/articles/red-dead-2s-hot-coffee-mod-is-in-hot-water-update-/1100-6474146/ |work=[[Gamespot]] |date=3 March 2020 |access-date=31 May 2022 |archive-date=18 August 2021 |archive-url=https://web.archive.org/web/20210818092647/https://www.gamespot.com/articles/red-dead-2s-hot-coffee-mod-is-in-hot-water-update-/1100-6474146/ |url-status=live}}</ref>。

2021年11月11日、ロックスターは、『III』『バイスシティ』『サンアンドレアス』の三部作を、それぞれリマスターしてセットにした『[[グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版]]』をリリースした<ref>{{cite news |last=Machovech |first=Sam |title=''Grand Theft Auto: The Trilogy'' on Nov. 11: Cartoonier, flashier, and Game Pass-ier |url=https://arstechnica.com/gaming/2021/10/grand-theft-auto-the-trilogy-on-nov-11-cartoonier-flashier-and-game-pass-ier/ |work=[[Ars Technica]] |date=22 October 2021 |access-date=31 May 2022 |archive-date=12 November 2021 |archive-url=https://web.archive.org/web/20211112224829/https://arstechnica.com/gaming/2021/10/grand-theft-auto-the-trilogy-on-nov-11-cartoonier-flashier-and-game-pass-ier/ |url-status=live}}</ref>。
その2日後に、ロックスターは「意図せず含まれたファイルを削除する」としてWindows版のオンライン販売を中止すると発表した。これは主にライセンスを持っていないゲーム内サウンドトラックを指していたが、一部のデータ解析者が、ソースコード内に「Hot Coffee」を見つけたと主張していた<ref>{{cite news |last=Yin-Poole |first=Wesley |title=Dataminers discover Hot Coffee code in GTA: The Trilogy – The Definitive Edition |url=https://www.eurogamer.net/dataminers-discover-hot-coffee-code-in-gta-the-trilogy-the-definitive-edition |work=[[Eurogamer]] |date=13 November 2021 |access-date=31 May 2022 |archive-date=12 September 2022 |archive-url=https://web.archive.org/web/20220912184351/https://www.eurogamer.net/dataminers-discover-hot-coffee-code-in-gta-the-trilogy-the-definitive-edition |url-status=live}}</ref><ref>{{cite news |last=Robinson |first=Andy |title=GTA Trilogy chaos continues as 'Hot coffee sex mini-game files' reportedly uncovered |url=https://www.videogameschronicle.com/news/gta-trilogy-chaos-continues-as-hot-coffee-sex-files-reportedly-uncovered/ |work=[[Video Games Chronicle]] |date=13 November 2021 |access-date=31 May 2022 |archive-date=13 November 2021 |archive-url=https://web.archive.org/web/20211113114217/https://www.videogameschronicle.com/news/gta-trilogy-chaos-continues-as-hot-coffee-sex-files-reportedly-uncovered/ |url-status=live}}</ref>。
販売中止から3日後には当該データの削除が完了したとして、再びオンラインで購入が可能となった<ref>{{cite news |last=Skrebels |first=Joe |title=GTA Trilogy Is Back on the Rockstar Games Launcher |url=https://www.ign.com/articles/gta-trilogy-pulled-from-sale-pc-rockstar-launcher-down |work=[[IGN]] |date=14 November 2021 |access-date=31 May 2022 |archive-date=14 December 2021 |archive-url=https://web.archive.org/web/20211214111759/https://www.ign.com/articles/gta-trilogy-pulled-from-sale-pc-rockstar-launcher-down |url-status=live}}</ref>。


== 脚注 ==
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注釈"}}
=== 出典 ===
=== 出典 ===
{{Reflist|40em}}
<references/>


==関連項目==
== 関連項目 ==
* [[チャタレ事件]]
* [[残酷ゲ]]
* [[表現の自由]]
* [[表現の自由]]


{{Grand Theft Auto}}


{{Grand Theft Auto}}


{{DEFAULTSORT:ほつとこおひいもんたい}}
{{DEFAULTSORT:ほつとこおひいもんたい}}

2022年11月14日 (月) 15:36時点における版

ホットコーヒー問題(ホットコーヒーもんだい)、または、ホットコーヒー事件(ホットコーヒーじけん)とは、アメリカのテイクツー・インタラクティブ傘下のロックスター・ゲームス社が開発・発売した2004年のクライムアクションゲームグランド・セフト・オート:サンアンドレアス』(以下、『サンアンドレアス』と表記)の内容を巡って起こった事件、社会問題である。アメリカでは政治家や各種政治団体を巻き込み、大きな社会問題として取り上げられた。

「ホットコーヒー(Hot Coffee)」とは『サンアンドレアス』内にあらかじめ封印されていたミニゲームの非公式名称であり、これを発見したゲーム改造のコミュニティが提供した改造コード(MOD)によって有効にすることで、主人公のカール・ジョンソン(通称CJ)がゲーム内でガールフレンドと性交を行えるというものであった。ロックスター・ゲームスの社長であるサム・ハウザーグランド・セフト・オートシリーズの宣伝を兼ねた過激な描写を盛り込むことに意欲的であり、ヌードや性的な内容を入れることを構想していた。しかし、ESRBレーティングで「Adults Only(成人のみ)」を避けて「Mature(成人向け)」を獲得するために、これら内容を大幅に縮小せざるを得なくなった。ここで開発チームは、既に作られていたミニゲームを削除するのではなく、プレイヤーがアクセスできないように封印する形で対応した。しかし、プログラムコード分析の専門家がPlayStation 2版でこのコードを発見し、さらにMOD製作者のパトリック・ウィルデンボルフがWindows版において、このミニゲームをアンロックするためのMODを「Hot Coffee」という名でオンライン上に公開した。

このミニゲームの発覚は、ロックスター・ゲームスとその親会社であるテイクツー・インタラクティブにとって、激しい法的な反発を招くことになった。当初、両社は沈黙を貫いていたが、後にロックスターはミニゲームはMOD製作者が製作したものとする声明を発表した。ESRBは調査の結果、レーティングを「Adults Only」に変更し、オーストラリアでは性的に露骨な内容が削除されるまで販売禁止処分となった。ロックスターとテイクツーは、ゲームに含まれる露骨なコンテンツの範囲を開示しなかったとして連邦取引委員会(FTC)から警告を受け、また、購入者を欺いたとして集団訴訟クラスアクション)を起こされた。

この一件はゲーム業界に大きな衝撃を与えた。当初、ロックスターが公式声明を拒否したことは業界や改造コミュニティから不評を買った。また、ESRBは露骨なコンテンツの一定度の開示を拒んだゲーム開発者に対して最高100万ドルの罰金を課す方針を発表した。「Hot Coffee」は、その後のロックスターのゲームに絡んでも登場した。2020年、『レッド・デッド・リデンプションII』において同様のMODがNexus Mods英語版に投稿され、ロックスターが削除する一件が起こった。また、2021年に販売された『グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版』には『サンアンドレアス』のリマスター版が含まれていたが、リリース直後に不正なデータがあったとして一時販売停止が行われ、「Hot Coffee」の関連データだと疑われた。

本項ではMODファイル名を「Hot Coffee」、それによって利用可能となったミニゲームや、騒動名を「ホットコーヒー」と使い分ける。

ゲームの概要

テイクツー・インタラクティブ傘下のロックスター・ゲームスは、PlayStation 2用ゲームとして、2004年10月26日にクライムアクションゲームグランド・セフト・オート:サンアンドレアス』(『サンアンドレアス』)をリリースした[1]。続けて2005年6月7日に、Windows版とXbox版もリリースされた[2]。 『サンアンドレアス』はグランド・セフト・オートシリーズの第5作目であり、2002年にリリースされた『グランド・セフト・オート:バイスシティ』の続編であった。『サンアンドレアス』は前作を発展させた形のものであり、マップは、前作の4倍の広さを持ち、より多くのロールプレイング要素が導入されていた。プレイヤーは、主人公のカール・ジョンソン(通称CJ)を操作し、髪型や服装を変えられる他、運動や食事によって体型を変えたり、射撃や運転の練習によって精度を上げるなどして、健康やストリートでの信用(ゲーム内ではリスペクトと呼ばれる)を維持できた[3]。 ゲームのコミュニティには、ゲームのソースコード(プログラム)を解析して改造する「モッダー(modder)」と呼ばれる者たちがおり、彼らが公開するゲーム内容を改変する改造パッチを「MOD」と呼ぶが、『サンアンドレアス』のリリース以前より、グランド・セフト・オートシリーズは、こうした改造コミュニティから人気の高い作品であった[4]:187–189。 『サンアンドレアス』では、キャラクターに対するカスタマイズ要素を導入することで、改造コミュニティ以外の人々にもゲーム改造をより身近なものとした。ロックスター・ゲームスの社長サム・ハウザーは、リリース前の記者会見において「ミションやストーリーの一部と、ゲーム内での"余暇"との境界線をもっと曖昧にしたかった(中略)すべての行動には結果が生じるように感じ、あなたはゲーム世界内に滞在する」と語っていた[5]

『サンアンドレアス』は、主人公CJが母親の葬儀に出席するため故郷である架空の州サンアンドレアスに帰ってきたところから始まる。ゲームは多数のクエストミッション)を通して、CJが最終的に裏社会や犯罪組織の中心人物として成り上がることを目的としている。その中で包括的なプロット(ストーリーライン)は存在するが、オープンワールドゲームとしてメインストーリーとは直接関係のない他のアクティビティ(サブクエスト)も多く存在し、物語を補完している[6]。 そうしたサブ要素の1つとして恋愛があり、ゲーム中では付き合うことが可能な6人のガールフレンドが登場する。彼女らとはストーリーの進行やマップ探索で出会うことが可能であり、またそれぞれに付き合う相手の容姿やデート内容の好みがある。CJはそれぞれの好みに合わせた行動を取ることで親密度を上げることが可能であり、その上がった親密度に応じて固有の報酬を得ることが可能である[7][8]。 親密度が一定値を超えると、デートの終了時に相手からコーヒーブレイクに誘われる。これをプレイヤーが了承すると、CJと相手女性による性行為を行うカットシーンが流れる[9]。 この時、通常バージョンでは、喘ぎ声やベッドが軋む音が流れるが、カメラは外から2人がいる建物を映すのみで、性行為自体を直接見ることはできないという演出が行われる[10]

MOD「Hot Coffee(ホットコーヒー)」を適用すると、このカットシーンが、ゲームのプログラム上には存在していたが封印されていたミニゲームに置き換えられた。このミニゲームでは、二人とも服を着たまま、CJがガールフレンドからフェラチオを受け、その後に正常位に移る。この時、プレイヤーは「左アナログスティックをリズムよく上下に振る」よう指示され、その操作に応じて興奮度ゲージが上昇する[4]:199–200。 ボタン操作により、カメラアングルや体位を変更することもできた。興奮度ゲージが満たされるとゲームクリアとなり、ガールフレンドやゲームの演出として称賛を受けるが、反対にゲージが空になると「相手を満足されられなかった」として失敗となる[11]。 また、リズムに合わせてボタンを押すことで、CJがガールフレンドの尻を叩き、興奮度ゲージが上昇するというスパンキングのミニゲームもあった[12]

ミニゲームの開発と発覚

ロックスター・ゲームスによる経緯

ロックスター・ゲームスの社長であるサム・ハウザーはゲーム内に性的な要素を盛り込むことを望んでいた。

グランド・セフト・オートシリーズで最初に商業的な成功を収めたのは2001年の『グランド・セフト・オートIII』であった。販売されて間もなく、ゲーム内の生々しい暴力や性的コンテンツは、ジョー・リーバーマンジャック・トンプソンといった政治家などの著名人から批判を受け、論争を巻き起こした[13]。その続編となる『グランド・セフト・オート:バイスシティ』(2002年)も商業的な成功を収めたが、これらソフトは、特に子供に対する暴力的なゲームの影響を懸念する者たちに目をつけられることとなった[14][15]。 アメリカのゲームのレーティング機関であるエンターテインメントソフトウェアレイティング委員会(ESRB)は、2作品とも、レーティングを「M」(「Mature 17+」、成人向け)とし[2]、ハウザーは、グランド・セフト・オートシリーズや、メディアとしてのテレビゲームは、子供向けには作られてはいないと批判に答えていた[13]

『サンアンドレアス』の発売前に行われた1Up.com英語版によるインタビューでは、ハウザーは、本作が「三部作の正式な完結編」となり、『III』と『バイスシティ』の前日譚[注釈 1]にあたると語っていた[16]。 ハウザーとロックスター・ノース(ロックスター傘下の開発スタジオの1つ)のクリエイティブチームは、サンアンドレアスの開発において2つの大きな課題を掲げていた。1つ目は、シリーズを「マニアックなもの(uber-nerdy)」にはせず、より多くのロールプレイング要素を実装したいというものであった。もう1つは、これまでのシリーズを超える「人々の期待を超えるためにできる限りのことをする」という決意であった[4]:172。 当時においてシリーズは、生々しい暴力や犯罪描写、粗野な言葉などが、その特徴として期待されており、ハウザーは「ゲームの"雰囲気"にあった新しい機能や相互作用」のためには、より露骨な性的コンテンツ方面にも手を伸ばすことが必要であると考えていた[12]。 テレビゲームは依然として子供向けの娯楽と見なされていたがために、性的なコンテンツを含めることは開発者にとって困難なことであった。例えば、ゲームにヌード描写を含めると、ESRBレーティングは「AO」(Adults Only、成人のみ)になる可能性が高く、この場合、販売できる市場が狭まり、ロックスターは大きな財政的負荷を負うことに繋がった[4]:172–173

2004年7月14日、ハウザーは同社のオペレーション・ディレクターであったジェニファー・コルベに、自身がゲームに盛り込むことを考えていた性的コンテンツのリストを電子メールで送った。これにはゲーム操作やカットシーンを問わず、オーラルセックス、性交、自慰、鞭打ちプレイ、ディルドなどが含まれていた。コルベは生々しい内容によりレーティングが「AO」になることを懸念する旨を伝え、クリエイティブチームはアメリカにおけるゲームの規制について調査を始めた[12]。 8月16日、ロックスターの同設立者であるテリー・ドノヴァンはすべての市場におけるテレビゲームのレーティングシステムに適合するために、開発者が行う必要がある変更のリストをハウザーに電子メールで伝えた。スペインやイタリアなど一部の国ではヌードや性的描写に関するガイドラインが緩やかであったが、ESRBにおいては厳しく、「AO」を避けて盛り込むには、ハウザーやロックスターが望むコンテンツは大幅に限定されるものであった[4]:178–179。 ハウザーがこの変更リストを受け取った時には、すでにゲームの発売は間近に迫っており、ソースコードに危険な影響を与えることなく、ゲームから露骨なコンテンツのみを削除するには時間が足りなかった。そこで開発者はコンテンツ自体はコード上に残したまま、プレイヤーがそこにアクセスできない形に封印する方法をとった[12]

ハウザーはPS版のリリース後の11月25日に『サンアンドレアス』のプロデューサーであるレスリー・ベンジーズに、間近に迫ったWindows版のリリースにおいて「どれだけ性描写を押し出せるか」を確認するよう依頼する電子メールを送った。ハウザーの当初の計画は、レーティングが異なる「M」と「AO」それぞれのバージョンをリリースするというものであったが、営業部は露骨な描写のゲームのリリースによってもたらされる財政的な影響を懸念したようである。そこでロックスターはレーティングが「M」のままリリースした後に、希望するプレイヤーには、生々しい内容を含む修正パッチを配布する方針を立てた[12]。 2005年1月7日、ロックスターはリリースを予定するWindows版とXbox版をESRBに提出した。このバージョンは既にレビュー済みであったPS2版と同一であったために、同社がコンテンツディスクを委員会に送付する必要がなく、自動的に「M」が与えられた[4]:192

隠しデータの発見と「Hot Coffee」MODの公開

Windows版よりPlayStation 2版が先にリリースされたことは、コンソールゲームがPCゲームよりもハッキングや改変が困難という点で、改造コミュニティに影響を及ぼした[4]:189。コンソール版ではソースコードに大きな編集を加えることができないため、モッダーたちは、PlayStation 2版は解析するに留めて、Windows版のリリース時に、その解析結果を踏まえた改造コードを作成・公開することを計画した。2004年12月、パトリック・ウィルデンボルフ(Patrick Wildenborg)を含むモッダーらのグループは「SEX」、「KISSING」、「SNM」、「BLOWJOBZ」などのファイル名を持つ複数のキャラクターアニメーションデータを発見した。これらデータはキャラクターモデルを適用することで、実際のアニメーションをプレビューすることができ、"Barton Waterduck"のハンドルネームで活動するあるモッダーは、この方法によってそれらデータが性的なコンテンツであると把握した。しかし、彼らが、この封印されたコードを公開するように改造するためにはWindows版のリリースまで待たねばならなかった[12]

ウィルデンボルフはオランダに住んでおり、Windows版のリリースはアメリカより3日遅れになるため、アメリカ在住のモッダー達と協力してゲームファイルに早くアクセスできるように手筈を整えていた。そしてアメリカのモッダー達からゲームスクリプトのコピーを受け取ったウィルデンボルフは、それをバイナリエディタで修正してミニゲームをアンロックしたバージョンを作成すると返送した[12]。 2005年6月8日午後11時37分(CEST)、ウィルデンボルフは、彼の改造によってアンロックされたミニゲームの映像を受け取った[4]:199。 彼は6月9日に、グランド・セフト・オートの改造サイトであるGTAGarage.com上にて、この改造パッチ(MODファイル)を公開し、名前はゲーム中の婉曲表現にちなんで「Hot Coffee」と名付けた。このファイルは4週間で100万回以上ダウンロードされた[12][17]

グランド・セフト・オートのネット掲示板で話題となったことで、このMODが公開された日にはハウザーは「Hot Coffee」を発見していた[12]。 同日には、エンターテインメントソフトウェア協会(ESA)の会長であったダグ・ローウェンスタイン英語版も、このミニゲームを扱ったバイラル・ビデオから、それを把握した。その後、1ヶ月にわたり、ロックスターの広報部(パブリック・リレーションズ)は、この騒動に対してのコメント要請に一切応じないよう指示された。彼らは唯一、ローウェンスタインとESRBのパトリシア・ヴァンス会長には連絡を入れていたという。ロックスターは二人に対し、これは第三者によって改変された結果であり、今後行われる調査には応じると伝えていた[4]:203–208

反応

レーティング変更と再リリース

リーランド・イーはESRBが『サンアンドレアス』のレーティングを「AO」(Adult Only)にしなかったことを批判した。

カリフォルニア州議会の上院議長代行であるリーランド・イーは、ESRBが、その暴力性と露骨な性行為のミニゲーム(Hot Coffee)があるにも関わらず、『サンアンドレアス』のレーティングを「AO」にしなかったことを批難する声明を出した[18]。 当時、イーは、カリフォルニア州が暴力的なテレビゲームに警告ラベルを貼り、小売店にはそのラベルが貼られたゲームを販売する際に客の身分証明書を確認することを義務付けるという法案(AB450法案)を推進していた[19]。 翌日、ESRBのヴァンス会長は「これでは十字軍だ(中略)ESRBの機能(integrity)を弱体化させるものだ」と批難する一方で、「"Hot Coffee"改造における事態」について調査を開始したことを発表した[20]。 また、7月12日にはオーストラリア政府の審査機関であるフィルム・文献分類管理局(OFLC、現ACB)が、オーストラリア司法長官英語版フィリップ・ラドック英語版の要請として、同ゲームについて独自に調査を開始すると発表した。OFLCは当初レーティングを購入は15歳以上に制限する「MA15+」としていた[21]

「Hot Coffee」は公開当初からグランド・セフト・オートの改造コミュニティで人気があったが、イーの発言によって世間の注目も集めることとなった[22]。 自身のウェブサイトにおいて作成者のウィルデンボルフは、ゲーム内に存在する露骨な性描写を作成した責任は否定した上で、そうした素材はソースコードを修正しない限り、アクセスできなかったものであり、「したがってチートイースターエッグ、隠し機能と見なされるものではなく、おそらく最終的なリリースには至らなかったゲーム内容のアイデアの残骸の可能性が高い」と見解を述べていた[23]。 7月14日にロックスターは「Hot Coffee」に関する一切の責任を否定する声明を出し、その中では「これは完全に、ゲームの正規のシーンを大きな労力をかけて改造したハッカー集団の仕業である」と非難していた[24]

2005年7月20日、ESRBは『サンアンドレアス』のすべてのエディションを「M」から「AO」に再指定すると発表した。この理由として、ロックスターが意図的に顧客に生々しいデータを提供するつもりはなかったことは認めるものの、このデータがゲームの最終ディスクに「完全にレンダリングされた、修正されていない状態で」存在し、「第三者による修正版が広範にわたって流通したことにより、複合的に(中略)当初のESRBレーティングの信頼性と実用性」が傷つけられたと説明した[25]。 この結果、ウォルマートターゲットベスト・バイサーキット・シティなどの大手小売業者は、レーティングが「AO」のままである場合、すべての販売を直ちに停止すると発表した[4]:223[26]。 7月29日にOFLCは『サンアンドレアス』のレーティングを剥奪した。これは当時、オーストラリアには18歳以上のみに相当するレーティングの規定がなかったためであり、露骨なコンテンツが含まれる場合に、その販売は全面的に禁止されるものであった[27][28]

再レーティングを受けてテイクツーは、「ホットコーヒー」にアクセス不可能なバージョンをリリースするまで、『サンアンドレアス』の全製造を停止した[25]。 8月11日にロックスターはWindows版ユーザーを対象に、「ホットコーヒー」へのアクセスを禁止するパッチを公開した[29]。 9月までに『サンアンドレアス』は修正され、Windows版およびXbox版は、元のレーティングである「M」としてリリースされた[30]。 11月には「ホットコーヒー」のデータが含まれていないPlayStation 2版の『グランド・セフト・オート:サンアンドレアス - スペシャル・エディション』がリリースされた[31]。 アメリカ以外ではロックスターが2015年9月に修正版をリリースし、オーストラリアでは「MA15+」のレーティングを受けた[32]

日本版のローカライズとリリースはカプコンが行ったが、「ホットコーヒー」発覚時はまだ未発売であり、アメリカやオーストラリアで起きたようなリリース後のレーティングの変更といったことは起きなかった。しかし、日本におけるレーティング機関であるコンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)のレーティング基準に即するとして、性的に露骨なコンテンツのみならず、修正後のオリジナル版よりもさらに全体的な仕様変更が行われた。例えば、デート後の「コーヒーブレイク」自体は存在するものの、行為中は音声の演出などなく、ただ家が外から映し出されるだけであり、間接的な性描写すらも完全に削除されていた[33][34]

連邦政府による法的対応

ヒラリー・クリントンはホットコーヒー問題を受けて、公的機関である連邦取引委員会がゲームを検閲することを推奨する法案を提出した。

ESRBが『サンアンドレアス』を調査中であることを公表した後、連邦上院議員であるヒラリー・クリントン連邦取引委員会(FTC)に対し、「生々しいポルノと暴力的なコンテンツ」の出所を明らかにすること、このゲームのレーティングに「AO」を与えるべきか判断すること、「小売業のレーティング執行方針の妥当性を検証」することを請求した[35]。 クリントンはさらに、18歳未満の個人に、暴力的または性的に露骨なテレビゲームを販売することを連邦犯罪とし、違反した場合に5000ドルの罰金を課す法案の提出に着手すると宣言した[35]。 そして2005年12月17日に、上院議員の同僚であるジョー・リーバーマンエヴァン・バイの支持も得て、ファミリー・エンターテイメント保護法案(Family Entertainment Protection Act、家庭娯楽品保護法)を提出した[36]。 この法案では、レーティングが「M」または「AO」であるテレビゲームの未成年者への販売を禁止すると共に、FTCが既存のゲームに対して「Hot Coffee」MODが引き起こしたような隠しコンテンツを毎年チェックすることを奨励するというものであった[37]。 この法案は上院議会の商業・科学・運輸委員会英語版に付託されたが、審議されずに放置され、第109回議会英語版の終了によって破棄された[38]

一方、下院議会では2005年7月28日に、テイクツーとロックスターに対してFTCの調査を開始させることを賛成多数(賛成355票、反対21票)で可決していた。これは開発者が『サンアンドレアス』の内容に関して、レーティングで「AO」を避けるために、意図的にESRBに誤解を与えさせたかをFTCに判断させるためのものであった[39]。 2006年6月8日にFTCと対象2社は和解に達し、FTCは第三者によって有効にされたかどうかは問わず、「未使用とは言え閲覧可能な」ヌード画像と性的なコンテンツを開示しなかったことは、1914年の連邦取引委員会法に違反していると判断した[40]。 和解案では、テイクツーとロックスター双方に対し、「レーティングに関する内容に関して、製品パッケージおよび電子ゲームのプロモーションや広告において明確かつ顕著に開示すること」を求め、これに違反した場合に最高1.1万ドルの罰金を科されるというものであった(ただし、当該内容が、事前のレーティング機関への提出時に十分に開示されていた場合は除く)[41]。 結果としてFTCは2社に対してこの件で罰金を科さないことを決定したが、この時既にテイクツーは、先のリコールで2,450万ドル(2021年時点で3,290万ドル相当)の損害が生じていた[40]

集団訴訟(クラスアクション)

2005年7月27日、ニューヨーク在住の85歳女性が、ロックスターとテイクツーを相手取り、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に提訴した。彼女は14歳の孫のためにレーティング再指定前のバージョン(「M」)を購入してしまったとし、ロックスターが最初に販売したバージョンは虚偽広告、消費者への欺瞞、不公正な商習慣にあたると主張した[42]。 2006年1月にロサンゼルス市が、市内の弁護士ロッキー・デルガディロ英語版(Rocky Delgadillo)を代表として同様の訴訟を起こした[43]。 他にも同様の訴訟が起こされたが、最終的には1つの審理に統合された(クラスアクション[44]

2006年10月、連邦判事は、最初の原告が集団訴訟状態を追求できると判決を下した[45][46]。 2007年2月に関連する当事者間での和解交渉が開始され[47]、2008年1月28日に和解が成立した。これにより、ESRBの再レーティング以前のゲームを購入したすべての購入者は、最大35ドルの返金を受け取る権利を有するとされた[48]。 『サンアンドレアス』は2150万本以上売り上げたが、この和解に応じて申し立てを行った購入者は3,000人未満であった[49]。 弁護士とは130万ドルで和解したが、請求内容を解決するには3万ドルも掛かっておらず、和解金のほとんどは弁護士費用であった。またロックスターは、和解の一環として86万ドル相当の慈善寄付を行うことにも同意した[50]。 和解案に基づく請求を行った被害者があまりに少なかったために、判事は7月31日に和解集団の認定を取り消した[51][52]

ホットコーヒー論争が起こっていた時点で、テイクツーは既に会社の創業者で会長であったライアン・ブラントが関与したインサイダー取引の容疑で米国証券取引委員会の調査を受けていた。この件は2005年6月9日に750万ドルの和解に至った[12][53]。 2006年2月17日、テイクツーの株主は、同社の財政面での不適切な処理が収益に直接的な悪影響を与えたとして集団訴訟を起こした。この不適切な処理の中には、ホットコーヒー問題に対する会社の対応も含まれていた[54][55]。 原告は「アダルトコンテンツを削除するのではなく、単に"ラッピングする(覆い隠す)"ことによって、被告はアダルトコンテンツが必然的に広く利用可能になることを把握していた」とし、証券取引法違反にあたると主張した[56]。 この訴訟は2009年9月2日に和解に達し、テイクツーは2,000万ドル以上を支払い、かつ、将来も同様の問題から投資家を保護するために、コーポレート・ガバナンス・ポリシーと慣行を変更することに同意した。 この時点までに株主らはテイクツーの経営幹部のほぼ全員を解任することを支持し、ストラウス・ゼルニック英語版が新しいCEOに任命された[57]

影響

ゲーム業界への衝撃

ホットコーヒー問題と、その後の法的・財務的措置はロックスター社、ゲーム業界、改造コミュニテイの関係を悪化させた。 ロックスターが現在進行中のスキャンダルについて公式声明を出すことを拒否したことを、ローウェンスタインは臆病者だと批難し、「騒ぎを起こしたかったのなら、それは素晴らしいことだ(中略)しかし、クソがファンに当たった時、自分はしゃがんで身を隠すな。立ち上がって自分の作ったものを守れ」と述べた[14]。 2012年のインタビューで、ダン・ハウザーはグランド・セフト・オートの物議を醸したコンテンツに関する反発について、「我々はそのコンテンツ性によって攻撃されたとは思ってはおらず、その(ゲームという)メディアゆえに攻撃されたわけで、少し不公正だと感じた。もし、このようなコンテンツが本や映画であったならば、人々は瞬きすらしなかっただろう」と述べている[58]。 一方、改造コミュニティは、この論争に対するロックスターの対応について見捨てられたと感じた。「Hot Coffee」による社会的な混乱の責任を取らされた上に、今後のバージョンについて、「改造に対する耐性を大幅に強める」と発表されたためであった[12][17]。 GTAGarage.comは、論争の中で「Hot Coffee」を自主的に削除したが、このミニゲームによって生じた否定的な反応は、改造文化に冷や水を浴びせる効果をもたらした。この中には、ゲームの改造による結果が、意図的に隠されていたコンテンツとみなされ、テレビゲームに対する法的強化を招くと恐れていたモッダーもいた[17]

ホットコーヒー問題は、ESRBとアメリカにおけるテレビゲームのコンテンツ・レーティングにも大きな影響を与え、ESRBはさらなるスキャンダルを避けるため、ディスクの提出とレーティングのプロセスを改善することを余儀なくされた[4]:273。 『サンアンドレアス』の翌年にリリースされた『The Elder Scrolls IV: オブリビオン』(『オブリビオン』)では、もともとESRBレーティングでは「T」(「Teen 13+」、ティーン向け13歳以上推奨)としていたが、「当初想定したよりも克明な血の描写」と、「改造パッチによって利用可能になる、封印されていた上半身裸の女性スキンデータの発覚」により、レーティングが「M」(成人向け)に再指定された[59]。 『サンアンドレアス』と『オブリビオン』の出来事を受けて、ESRBは連邦議会下院のエネルギー・商業委員会において、成人向けまたは露骨なコンテンツを開示しなかったメーカーに対して最高100万ドルの罰金を科すと証言した[60]。 2006年9月、上院議員のサム・ブラウンバックは、「Truth in Video Game Rating Act(ビデオゲーム・レーティングの真実法)」法案を提出した。この法案は、ゲーム会社からのビデオによるデモンストレーションに頼るのではなく、ESRBがレーティング決定前にゲームの全内容にアクセスすることを義務付けさせるというものであった[61]。 ブラウンバックは、第109回と続く第110回議会にこの法案を提出したが、審議されることなく、閉会に伴い破棄されている[62][63]

販売・開発元及びシリーズへの影響

2006年6月、テイクツーはFrog City Softwareスタジオで制作中だった違法薬物取引をテーマとしたリアルタイムストラテジーゲーム『Snow』の開発を取りやめた。パブリッシャーはこの決定理由を明らかにはしなかったが、ホットコーヒー問題に起因したテイクツーの「政治的圧力」だとみなされている[64]

2008年4月29日にシリーズの続編となる『グランド・セフト・オートIV』がリリースされ[65]、これは批評家から称賛を受け、商業的にも成功を収めた[66]。 一部のファンは、このゲームに「ホットコーヒー」論争に関与したヒラリー・クリントンを揶揄するイースターエッグがあると考えていた。実際、ゲーム中に登場する自由の女神像を模した「幸福の女神像(Statue of Happiness)」の顔はクリントンに酷似しており、そのゲームファイル名は「stat_hilberty01.wdr」であった[67]。 2014年にリリースされた『グランド・セフト・オートV』では、プレイヤーが一人称視点で売春婦と性行為を行える要素があり、このため、再びホットコーヒー問題が話題となった[68][69]。 こうした要素があったにも関わらず、『V』のESRBレーティングは「M」であった[70]

2018年にリリースされたロックスターの新作『レッド・デッド・リデンプションII』に関して、2020年2月、大手改造コミュニティサイトのNexus Mods英語版において公開されたMODが「Hot Coffee」と比較され、物議を醸した。このMODは主人公のアーサー・モーガン英語版が酒場で娼婦と交渉し、2階で性行為を行うというものであった[71]。 これを把握したロックスターは、このMODがエンドユーザー・ライセンス契約に違反しているとして公開中止を要求した[72][73]。 このMODの製作者はサービス規約に違反していないと主張して抗議したが、Nexus Modsは公開直後に削除対応を行った[74][75]

2021年11月11日、ロックスターは、『III』『バイスシティ』『サンアンドレアス』の三部作を、それぞれリマスターしてセットにした『グランド・セフト・オート:トリロジー:決定版』をリリースした[76]。 その2日後に、ロックスターは「意図せず含まれたファイルを削除する」としてWindows版のオンライン販売を中止すると発表した。これは主にライセンスを持っていないゲーム内サウンドトラックを指していたが、一部のデータ解析者が、ソースコード内に「Hot Coffee」を見つけたと主張していた[77][78]。 販売中止から3日後には当該データの削除が完了したとして、再びオンラインで購入が可能となった[79]

脚注

注釈

  1. ^ 正確な時系列は『バイスシティ』→『サンアンドレアス』→『III』である。

出典

  1. ^ Thorsen, Tor (9 September 2004). “No San Andreas until October 26, M-rated GBA GTA confirmed”. GameSpot. オリジナルの8 February 2019時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190208034924/https://www.gamespot.com/articles/no-san-andreas-until-october-26-m-rated-gba-gta-confirmed/1100-6107062/ 30 May 2022閲覧。 
  2. ^ a b Kenyota, Gregory (2008). “Thinking of the Children: The Failure of Violent Video Game Laws”. Fordham Intellectual Property, Media & Entertainment Law Journal 18 (3): 785–816. オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531215916/https://heinonline.org/HOL/LandingPage?handle=hein.journals%2Ffrdipm18&div=27&id=&page= 31 May 2022閲覧。. 
  3. ^ McLaughlin, Rus; Thomas, Lucas M. (6 May 2013). “IGN Presents The History of Grand Theft Auto”. IGN. オリジナルの29 January 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220129013803/https://www.ign.com/articles/2013/05/06/ign-presents-the-history-of-grand-theft-auto-2?page=4 30 May 2022閲覧。 
  4. ^ a b c d e f g h i j k Kushner, David (2012). Jacked: The Outlaw Story of Grand Theft Auto. Hoboken, NJ: John Wiley & Sons, Inc.. ISBN 978-1-118-19792-9. https://www.google.com/books/edition/Jacked/IN_5wAEACAAJ?hl=en 
  5. ^ Miller, Kiri (2008). “Grove Street Grimm: Grand Theft Auto and Digital Folklore”. The Journal of American Folklore 121 (481): 255–285. doi:10.1353/jaf.0.0017. JSTOR 20487609. オリジナルの30 July 2021時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210730064133/https://www.jstor.org/stable/20487609 30 May 2022閲覧。. 
  6. ^ DeVane, Ben; Squire, Kurt D. (July 2008). “The Meaning of Race and Violence in Grand Theft Auto”. Games and Culture 3 (3–4): 264–285. doi:10.1177/1555412008317308. オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531215918/https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1555412008317308 30 May 2022閲覧。.  閲覧は自由
  7. ^ Leguiza, Santiago (11 November 2021). “GTA San Andreas girlfriends: Where to find girlfriends, their likes and rewards in GTA San Andreas”. Eurogamer. オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531215919/https://www.eurogamer.net/gta-san-andreas-girlfriends-locations-likes-rewards-millie-home-8043 30 May 2022閲覧。 
  8. ^ Wilson, Iain (1 December 2021). “GTA San Andreas girlfriends and how to go on the perfect date”. GamesRadar+. オリジナルの18 February 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220218185417/https://www.gamesradar.com/gta-san-andreas-girlfriends/ 30 May 2022閲覧。 
  9. ^ Farman, Jason (2010). “Hypermediating the Game Interface: The Alienation Effect in Violent Videogames and the Problem of Serious Play”. Communication Quarterly 58 (1): 96–109. doi:10.1080/01463370903550262. オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531215922/https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/01463370903550262 30 May 2022閲覧。.  閲覧は自由
  10. ^ Leibovitz, Liel (2013). God in the Machine: Video Games as Spiritual Pursuit. West Conshohocken, PA: Templeton Press. p. 89. ISBN 978-1-59947-437-3. https://www.google.com/books/edition/God_in_the_Machine/_D3xAgAAQBAJ?hl=en&gbpv=0 
  11. ^ Thorsen, Tor (19 July 2005). “Confirmed: Sex minigame in PS2 San Andreas”. GameSpot. オリジナルの2 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220502043210/https://www.gamespot.com/articles/confirmed-sex-minigame-in-ps2-san-andreas/1100-6129301/ 30 May 2022閲覧。 
  12. ^ a b c d e f g h i j k Parkin, Simon (2 December 2012). “Who spilled Hot Coffee?”. Eurogamer. オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531215920/https://www.eurogamer.net/who-spilled-hot-coffee 30 May 2022閲覧。 
  13. ^ a b Goldberg, Harold (2011). All Your Base Are Belong To Us: How Fifty Years of Videogames Conquered Pop Culture. New York, NY: Three Rivers Press. pp. 225–241. ISBN 978-0-307-46355-5. https://www.google.com/books/edition/All_Your_Base_are_Belong_to_Us/kWKODQAAQBAJ?hl=en 
  14. ^ a b Kushner, David (29 March 2007). “The Road to Ruin: How Grand Theft Auto Hit the Skids”. Wired. オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531215922/https://www.wired.com/2007/03/ff-160-rockstar-2/ 31 May 2022閲覧。. 
  15. ^ Goodson, Simon; Turner, Kirstie J. (11 January 2021). “Effects of Violent Video Games: 50 Years on, Where are we now?”. Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking 24 (1): 3–4. doi:10.1089/cyber.2020.29205.vvg. PMID 33434091. オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531215923/https://www.liebertpub.com/doi/full/10.1089/cyber.2020.29205.vvg 31 May 2022閲覧。. 
  16. ^ “Sam Houser Interview: Tough Talk from the Don of Grand Theft Auto”. 1Up.com. オリジナルの2 June 2016時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160602034341/http://www.1up.com/features/sam-houser-interview 31 May 2022閲覧。 
  17. ^ a b c Brathwaite, Brenda (27 October 2006). “Hot Coffee's Effects on the Mod Scene”. Game Developer. オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531215923/https://www.gamedeveloper.com/business/hot-coffee-s-effects-on-the-mod-scene 31 May 2022閲覧。 
  18. ^ Carless, Simon (7 July 2005). “Yee Blasts ESRB For Grand Theft Auto: San Andreas Rating”. Game Developer. オリジナルの11 March 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220311145015/https://www.gamasutra.com/php-bin/news_index.php?story=5868 11 March 2022閲覧。 
  19. ^ Maragos, Nich (5 May 2005). “California Game Restrictions Bill Stalls Before Passing Committee”. Game Developer. オリジナルの11 March 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220311145014/https://www.gamasutra.com/php-bin/news_index.php?story=5441 11 March 2022閲覧。 
  20. ^ Feldman, Curt (8 July 2005). “ESRB to investigate 'San Andreas' sex content”. CNET. オリジナルの11 March 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220311144301/https://www.cnet.com/tech/gaming/esrb-to-investigate-san-andreas-sex-content/ 11 March 2022閲覧。 
  21. ^ Jenkins, David; Carless, Simon (12 July 2005). GTA: San Andreas Australian Investigation Started”. Game Developer. オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531215924/https://www.gamasutra.com/php-bin/news_index.php?story=5904 12 March 2022閲覧。 
  22. ^ Lohr, Steve (11 July 2005). “In Video Game, a Download Unlocks Hidden Sex Scenes”. The New York Times. オリジナルの13 March 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220313013514/https://www.nytimes.com/2005/07/11/technology/in-video-game-a-download-unlocks-hidden-sex-scenes.html 31 May 2022閲覧。 
  23. ^ “Sex controversy over GTA game”. BBC News. (11 July 2005). オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531215926/http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/4671429.stm 31 May 2022閲覧。 
  24. ^ Feldman, Curt (14 July 2005). “Hackers behind sex change, says 'Grand Theft' maker”. CNET. オリジナルの22 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220522183842/https://www.cnet.com/tech/gaming/hackers-behind-sex-change-says-grand-theft-maker/ 31 May 2022閲覧。 
  25. ^ a b Adams, David (20 July 2005). “GTA: San Andreas Gets Adults Only Rating”. IGN. オリジナルの29 October 2021時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211029010725/https://www.ign.com/articles/2005/07/20/gta-san-andreas-gets-adults-only-rating 31 May 2022閲覧。 
  26. ^ Morris, Chris (20 July 2005). “Wal-Mart, Target pull 'Grand Theft Auto'”. CNN Money. オリジナルの26 October 2021時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211026051613/https://money.cnn.com/2005/07/20/technology/personaltech/gta/ 31 May 2022閲覧。 
  27. ^ “Australia Bans 'Grand Theft Auto'”. CBS News. (29 July 2005). オリジナルの21 July 2015時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150721175736/http://www.cbsnews.com/news/australia-bans-grand-theft-auto/ 31 May 2005閲覧。 
  28. ^ Bramwell, Tom (1 August 2005). “Australia bans GTA: San Andreas”. Eurogamer. オリジナルの12 September 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220912184350/https://www.eurogamer.net/news010805ausgta 31 May 2022閲覧。 
  29. ^ “No more 'Hot Coffee' sex for GTA”. BBC News. (11 August 2005). オリジナルの13 November 2005時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20051113201604/http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/4142184.stm 31 May 2022閲覧。 
  30. ^ Surette, Tim (23 September 2005). “GTA gets trilogized, San Andreas special edition”. Gamespot. オリジナルの2 July 2017時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170702201903/https://www.gamespot.com/articles/gta-gets-trilogized-san-andreas-special-edition/1100-6134252/ 31 May 2022閲覧。 
  31. ^ Dunham, Jeremy (18 November 2005). “Grand Theft Auto: San Andreas – Special Edition”. IGN. オリジナルの9 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220509085302/https://www.ign.com/articles/2005/11/18/grand-theft-auto-san-andreas-special-edition 31 May 2022閲覧。 
  32. ^ Walker, Alex; Williams, Leah (17 August 2021). “An Extensive Look Back At Some Of The Games Australia Has Banned”. Kotaku. オリジナルの26 March 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220326155227/https://www.kotaku.com.au/2021/08/a-look-back-at-some-of-the-games-australia-has-banned/ 31 May 2022閲覧。 
  33. ^ みお (2021年11月24日). ““残酷・性的”表現はどうなった?『GTA:SA:決定版』の規制をPS2&PC&Switchで比較してみた【特集】”. Games park. https://www.gamespark.jp/article/2021/11/24/113783.html 2022年11月5日閲覧。 
  34. ^ “海外版と国内版の仕様変更について(グランド・セフト・オート・サンアンドレアス) 株式会社カプコン:サポート”. カプコン. https://www.capcom.co.jp/support/faq/platform_ps2_gtasa_036655.html 2022年11月5日閲覧。 
  35. ^ a b Feldman, Curt (14 July 2005). “Clinton calls for federal game regulation”. GameSpot. オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531220123/https://www.gamespot.com/articles/clinton-calls-for-federal-game-regulation/1100-6129040/ 14 March 2022閲覧。 
  36. ^ Lees, J. (17 December 2005). “Family Entertainment Protection act now filed”. Engadget. オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531220124/https://www.engadget.com/ 14 March 2022閲覧。 
  37. ^ “Hillary Clinton promotes law to ban violent video games”. CBC Arts. (1 December 2005). オリジナルの14 March 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220314213213/https://www.cbc.ca/news/entertainment/hillary-clinton-promotes-law-to-ban-violent-video-games-1.550126 14 March 2022閲覧。 
  38. ^ Kardaras, Nicholas (2016). Glow Kids: How Screen Addiction is Hijacking Our Kids—And How to Break the Trance. New York, NY: St. Martin's Press. p. 133. ISBN 978-1-250-09799-6. https://www.google.com/books/edition/Glow_Kids/LPbUDAAAQBAJ?hl=en&gbpv=0 
  39. ^ Feldman, Curt (28 July 2005). “House backs federal investigation of Rockstar Games”. GameSpot. オリジナルの9 April 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220409152144/https://www.gamespot.com/articles/house-backs-federal-investigation-of-rockstar-games/1100-6129723/ 30 May 2022閲覧。 
  40. ^ a b Fisher, Ken (8 June 2006). “FTC settles with Rockstar over Hot Coffee: potential for sex all it takes”. Ars Technica. オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531220135/https://arstechnica.com/uncategorized/2006/06/7015-2/ 30 May 2022閲覧。 
  41. ^ Adams, David (8 June 2006). “Rockstar, FTC Settle Over Hot Coffee”. IGN. オリジナルの4 April 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220404234717/https://www.ign.com/articles/2006/06/08/rockstar-ftc-settle-over-hot-coffee 30 May 2022閲覧。 
  42. ^ Neumeister, Larry (28 July 2005). “Grandmother sues game maker over hidden sex in 'Grand Theft Auto: San Andreas'”. Pittsburgh Post-Gazette. オリジナルの12 September 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220912184350/https://www.post-gazette.com/business/tech-news/2005/07/28/Grandmother-sues-game-maker-over-hidden-sex-in-Grand-Theft-Auto-San-Andreas/stories/200507280399 31 May 2022閲覧。 
  43. ^ Modine, Austin (26 January 2006). “L.A. sez gme over”. Variety. オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531220253/https://variety.com/2006/scene/markets-festivals/l-a-sez-game-over-1117936948/ 31 May 2022閲覧。 
  44. ^ Bansal, Paritosh (28 February 2007). “Update 1 – Take-Two agrees to 'Grand Theft' settlement talks”. Reuters. オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531220258/https://www.reuters.com/article/taketwo-consumer-settlement/update-1-take-two-agrees-to-grand-theft-settlement-talks-idUSN2831747820070301 31 May 2022閲覧。 
  45. ^ Bangeman, Eric (29 October 2006). “Take-Two dealt setback with Hot Coffee lawsuit”. Ars Technica. オリジナルの4 December 2020時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20201204064844/https://arstechnica.com/gaming/2006/10/8100/ 31 May 2022閲覧。 
  46. ^ Sanders, Kathleen (30 October 2006). “Hot Coffee Still Has Take Two in Hot Water”. IGN. オリジナルの4 September 2019時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190904040659/https://www.ign.com/articles/2006/10/30/hot-coffee-still-has-take-two-in-hot-water 31 May 2022閲覧。 
  47. ^ Bangeman, Eric (1 March 2007). “Take-Two in settlement talks over Hot Coffee lawsuit”. Ars Technica. オリジナルの20 November 2021時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211120231828/https://arstechnica.com/gaming/2007/03/8957/ 31 May 2022閲覧。 
  48. ^ Cavalli, Earnest (28 January 2008). “'Hot Coffee' Class Action Settled, $35 Rewarded For Outrage”. Wired. オリジナルの16 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220516015630/https://www.wired.com/2008/01/hot-coffee-clas/ 31 May 2022閲覧。. 
  49. ^ Ewalt, David M. (25 June 2008). “Grand Theft Auto Lawsuit Falls Flat”. Forbes. オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531220320/https://www.forbes.com/sites/digitaldownload/2008/06/25/grand-theft-auto-lawsuit-falls-flat/?sh=4f4f501712c0 31 May 2022閲覧。 
  50. ^ Glater, Jonathan D. (25 June 2008). “Hidden Sex Scenes Draw Ho-Hum, Except From Lawyers”. The New York Times. オリジナルの29 May 2013時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130529175907/http://www.nytimes.com/2008/06/25/technology/25settle.html 31 May 2022閲覧。 
  51. ^ Glater, Jonathan D. (31 July 2008). “Settlement Over Sex Scenes in Grand Theft Auto Hits a Snag”. The New York Times. オリジナルの31 March 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220331073237/https://bits.blogs.nytimes.com/2008/07/31/settlement-over-sex-scenes-in-grand-theft-auto-hits-a-snag/ 31 May 2022閲覧。 
  52. ^ McWhertor, Michael (5 August 2008). “'Hot Coffee' Class Action Suit Squashed By The Court”. Kotaku. オリジナルの11 May 2021時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210511190417/https://kotaku.com/hot-coffee-class-action-suit-squashed-by-the-court-5033459 31 May 2022閲覧。 
  53. ^ “'Grand Theft' maker settles with SEC”. CNN Money. (9 June 2005). オリジナルの11 February 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220211053030/https://money.cnn.com/2005/06/09/technology/take_two_sec/index.htm 31 May 2022閲覧。 
  54. ^ Fredenburgh, Catherine (17 February 2006). “Investors Sue Take-Two Over Grand Theft Auto Fallout”. Law360. オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531220321/https://www.law360.com/articles/5374/investors-sue-take-two-over-grand-theft-auto-fallout 31 May 2022閲覧。 
  55. ^ Kuchera, Ben (2 September 2009). “Hot Coffee finally cools off with $20 million settlement”. Ars Technica. オリジナルの9 June 2021時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210609141637/https://arstechnica.com/gaming/2009/09/hot-coffee-finally-cold-with-20-million-settlement/ 31 May 2022閲覧。 
  56. ^ Bramwell, Tom (2 September 2009). “Take-Two settles Hot Coffee class action”. Eurogamer. オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531220326/https://www.eurogamer.net/take-two-settles-hot-coffee-class-action 31 May 2022閲覧。 
  57. ^ Peters, Jeremy W. (30 March 2007). “Stockholders Oust Chief at Take-Two”. The New York Times. オリジナルの3 September 2018時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180903215538/https://www.nytimes.com/2007/03/30/technology/30game.html 31 May 2022閲覧。 
  58. ^ Stuart, Keith (18 November 2012). “How Dan Houser helped turn Grand Theft Auto into a cultural phenomenon”. The Guardian. オリジナルの12 April 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220412071616/https://www.theguardian.com/media/2012/nov/18/dan-houser-grand-theft-auto 31 May 2022閲覧。 
  59. ^ Carless, Simon (3 May 2006). “Breaking: ESRB Pulls, Re-Rates Oblivion To Mature”. Game Developer. オリジナルの13 March 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220313145125/https://www.gamedeveloper.com/pc/breaking-esrb-pulls-re-rates-i-oblivion-i-to-mature 31 May 2022閲覧。 
  60. ^ Loughrey, Paul (15 June 2006). “ESRB promises heavy fines for publisher nondisclosure”. GamesIndustry.biz. オリジナルの26 February 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220226014403/https://www.gamesindustry.biz/articles/esrb-promises-heavy-fines-for-publisher-nondisclosure 31 May 2022閲覧。 
  61. ^ Boyer, Brandon (27 September 2006). “Senate Proposes New ESRB Legislation”. Game Developer. オリジナルの14 November 2021時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211114192727/https://www.gamasutra.com/php-bin/news_index.php?story=11030 31 May 2022閲覧。 
  62. ^ Dobson, Jason (13 February 2007). “Brownback Re-Intros Truth in Video Game Rating Act”. Game Developer. オリジナルの10 November 2011時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20111110131014/http://www.gamasutra.com/view/news/12760/Brownback_ReIntros_Truth_in_Video_Game_Rating_Act.php 31 May 2022閲覧。 
  63. ^ S. 568 (110th): Truth in Video Game Rating Act”. GovTrack. 5 April 2017時点のオリジナルよりアーカイブ31 May 2022閲覧。
  64. ^ Bramwell, Tom (7 July 2006). “Take-Two cans Snow”. Eurogamer. 12 September 2022時点のオリジナルよりアーカイブ12 September 2022閲覧。
  65. ^ Dunham, Jeremy (24 January 2008). “GTA IV Worldwide on April 29”. IGN. オリジナルの14 May 2018時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180514162402/https://www.ign.com/articles/2008/01/24/gta-iv-worldwide-on-april-29 31 May 2022閲覧。 
  66. ^ Gwinn, Eric (25 January 2009). “Is 'Grand Theft Auto IV' the greatest writing of the century?”. Chicago Tribune. オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531220325/https://www.chicagotribune.com/ 31 May 2022閲覧。 
  67. ^ Sakellariou, Alexandra (9 March 2021). “Why GTA 4's Statue of Happiness Looks Like Hillary Clinton”. Screen Rant. オリジナルの18 July 2021時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210718230013/https://screenrant.com/grand-theft-auto-4-statue-liberty-hillary-clinton/ 30 May 2022閲覧。 
  68. ^ Alba, Alejandro (18 November 2014). “Grand Theft Auto V features first-person prostitute sex gameplay”. New York Daily News. オリジナルの22 January 2021時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210122235728/https://www.nydailynews.com/news/national/grand-theft-auto-v-first-person-prostitute-sex-gameplay-article-1.2015064 31 May 2022閲覧。 
  69. ^ Cook, James (18 November 2014). “The New 'Grand Theft Auto' Lets You Have Realistic Sex With Prostitutes”. Business Insider. オリジナルの24 November 2021時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211124150414/https://www.businessinsider.com/grand-theft-auto-features-first-person-sex-with-prostitutes-2014-11?r=US&IR=T 31 May 2022閲覧。 
  70. ^ Friedman, Megan (18 November 2014). Grand Theft Auto V Now Involves First-Person Graphic Sex With Hookers”. Esquire. オリジナルの11 May 2021時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210511104740/https://www.esquire.com/entertainment/a32419/grand-theft-auto-v-first-person-graphic-sex/ 31 May 2022閲覧。 
  71. ^ Kim, Matt (21 February 2020). “Fans Made a 'Hot Coffee' Mod for Red Dead Redemption 2”. IGN. オリジナルの4 April 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220404234720/https://www.ign.com/articles/red-dead-redemption-2-gets-its-own-hot-coffee-mod 31 May 2022閲覧。 
  72. ^ Good, Owen S. (22 February 2020). “Red Dead Redemption 2 gets a 'Hot Coffee' mod”. Polygon. オリジナルの12 April 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220412071556/https://www.polygon.com/pc/2020/2/22/21148817/red-dead-redemption-2-hot-coffee-mod-download-pc 31 May 2022閲覧。 
  73. ^ Yin-Poole, Wesley (22 February 2020). “Red Dead Redemption 2 Hot Coffee mod creator defiant despite legal threat”. Eurogamer. オリジナルの31 May 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220531220546/https://www.eurogamer.net/red-dead-redemption-2-modder-insists-they-wont-take-their-hot-coffee-mod-down-despite-legal-threat 31 May 2022閲覧。 
  74. ^ Harris, Iain (18 August 2020). “Red Dead Redemption 2's Hot Coffee mod has been taken down”. PCGamesN. オリジナルの15 April 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220415105948/https://www.pcgamesn.com/red-dead-redemption-2/rdr2-hot-coffee-mod-gta-san-andreas 31 May 2022閲覧。 
  75. ^ Wakeling, Richard (3 March 2020). “Red Dead 2's Hot Coffee Mod Is In Hot Water (Update: It's Been Taken Down)”. Gamespot. オリジナルの18 August 2021時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210818092647/https://www.gamespot.com/articles/red-dead-2s-hot-coffee-mod-is-in-hot-water-update-/1100-6474146/ 31 May 2022閲覧。 
  76. ^ Machovech, Sam (22 October 2021). Grand Theft Auto: The Trilogy on Nov. 11: Cartoonier, flashier, and Game Pass-ier”. Ars Technica. オリジナルの12 November 2021時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211112224829/https://arstechnica.com/gaming/2021/10/grand-theft-auto-the-trilogy-on-nov-11-cartoonier-flashier-and-game-pass-ier/ 31 May 2022閲覧。 
  77. ^ Yin-Poole, Wesley (13 November 2021). “Dataminers discover Hot Coffee code in GTA: The Trilogy – The Definitive Edition”. Eurogamer. オリジナルの12 September 2022時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220912184351/https://www.eurogamer.net/dataminers-discover-hot-coffee-code-in-gta-the-trilogy-the-definitive-edition 31 May 2022閲覧。 
  78. ^ Robinson, Andy (13 November 2021). “GTA Trilogy chaos continues as 'Hot coffee sex mini-game files' reportedly uncovered”. Video Games Chronicle. オリジナルの13 November 2021時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211113114217/https://www.videogameschronicle.com/news/gta-trilogy-chaos-continues-as-hot-coffee-sex-files-reportedly-uncovered/ 31 May 2022閲覧。 
  79. ^ Skrebels, Joe (14 November 2021). “GTA Trilogy Is Back on the Rockstar Games Launcher”. IGN. オリジナルの14 December 2021時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211214111759/https://www.ign.com/articles/gta-trilogy-pulled-from-sale-pc-rockstar-launcher-down 31 May 2022閲覧。 

関連項目