「火山爆発指数」の版間の差分
編集の要約なし タグ: 差し戻し済み |
編集の要約なし タグ: 差し戻し済み |
||
(他の1人の利用者による、間の1版が非表示) | |||
202行目: | 202行目: | ||
|[[アグン山]]||[[バリ島]]||1963年 |
|[[アグン山]]||[[バリ島]]||1963年 |
||
|- |
|- |
||
|[[セント・ヘレンズ山]] |
|[[セント・ヘレンズ山]]([[1980年のセント・ヘレンズ山噴火|1980年の噴火]])||アメリカ||1980年 |
||
|- |
|- |
||
|[[エルチチョン]]||[[メキシコ]]||1982年 |
|[[エルチチョン]]||[[メキシコ]]||1982年 |
||
309行目: | 309行目: | ||
|[[鬼界カルデラ]]([[鬼界アカホヤ火山灰|アカホヤ噴火]])(鬼界葛原)<!-- 150 cubickm=VEI 7.0 -->||日本||(鬼界アカホヤ)BP 7,300、(鬼界葛原)BP 95,000 |
|[[鬼界カルデラ]]([[鬼界アカホヤ火山灰|アカホヤ噴火]])(鬼界葛原)<!-- 150 cubickm=VEI 7.0 -->||日本||(鬼界アカホヤ)BP 7,300、(鬼界葛原)BP 95,000 |
||
|- |
|- |
||
|[[サントリーニ島]](ミノア噴火 |
|[[サントリーニ島]]([[ミノア噴火]])<!-- 100 cubickm=VEI 7 -->||ギリシャ||紀元前1620年代 |
||
|- |
|- |
||
|[[タウポ湖]](ハテペ噴火[[:en:Hatepe eruption|{{En icon}}]])<!-- 100-120 cubickm=VEI 7.0 -->||ニュージーランド||186年 |
|[[タウポ湖]](ハテペ噴火[[:en:Hatepe eruption|{{En icon}}]])<!-- 100-120 cubickm=VEI 7.0 -->||ニュージーランド||186年 |
2022年6月17日 (金) 06:42時点における版
火山爆発指数(かざんばくはつしすう、英語: Volcanic Explosivity Index, VEI)とは、1982年にアメリカ地質調査所のクリス・ニューホール (Christopher G. Newhall) とハワイ大学マノア校のスティーブン・セルフ (Stephen Self)[1] が提案した火山の爆発規模の大きさを示す区分である。火山そのものの大きさではなく、その時々の爆発の大きさの指標である。
解説
区分は、噴出物の量でなされる[2]。0から8に区分され、8が最大規模である。VEI=0はテフラの量が104立方メートル未満の状況を指す。VEI=8はテフラの量が1012立方メートル以上の爆発を指す。それぞれの区分には噴火の状況を示す名称(「小規模(gentle)」など)が付けられている。
注意すべきことは、VEIの決定にはテフラの種類は影響しないということである。噴出物には火山灰、火山弾、イグニンブライトなどさまざまなものがあり、同じ量であってもその噴出に必要とするエネルギーは異なる。従って、VEIは噴火のエネルギーの大小は意味しない。また、静かに流れるマグマの量は、どれだけ多くても考慮されない[3]。これがVEIという区分の欠点である。一方で、有史以前の噴火の規模を、噴火の機構がよく分かっていなくても決められるという利便性がある。
区分
VEIの値が1上がるごとに、噴出物の量は10倍になる。ただしVEI=0はVEI=1未満の全てが含まれ、VEI=1とVEI=2の間は100倍の差が付けられている。以下の表に、参考としてその区分の噴火が起きやすい機構、噴煙の高さ、発生頻度、発生例、1994年時点で調べられた過去1万年の間の発生数を示す。
VEI | 火砕物の量 | 状況[2] | 機構 | 噴煙の高さ | 噴火雲の半径[4] | 発生頻度 | 例 | ここ1万年の 発生数[* 1] |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0 | < 0.00001km3 | non-explosive (非爆発的) |
ハワイ式 | < 100m | - | ほぼ毎日 | キラウエア | 無数 |
1 | > 0.00001km3 | gentle (小規模) |
ハワイ式/ストロンボリ式 | 100 - 1000m | < 10km | ストロンボリ島 | ||
2 | > 0.001km3 | explosive (中規模) |
ストロンボリ式/ブルカノ式 | 1 - 5km | < 10km | ほぼ毎週 | ガレラス山(1993) | 3477* |
3 | > 0.01km3 | severe (やや大規模) |
ブルカノ式 | 3 - 15km | < 10km | ほぼ毎年 | コリャークスカヤ山 (2008) | 868 |
4 | > 0.1km3 | cataclysmic (大規模) |
プリニー式 | 10 - 25km | 10–100km | ≥ 10年 | プレー山(1902) | 278 |
5 | > 1km3 | paroxysmal (どうしようもないほど大規模) |
プリニー式 | > 25km | 100–200km | ≥ 50年 | セント・ヘレンズ山(1980) | 84 |
6 | > 10km3 | colossal (並外れて巨大) |
プリニー式/ウルトラプリニー式 | 200–500km | ≥ 100年 | ピナトゥボ山(1991) | 39 | |
7 | > 100km3 | super-colossal (超巨大) |
500–1,000km | ≥ 1000年 | タンボラ山 (1815) | 5(+推定2) | ||
8 | > 1,000km3 | mega-colossal (非常に巨大) |
ウルトラプリニー式(破局噴火) | > 1,000km | ≥ 10,000年 | トバ湖(BP 73,000) | 0 |
- ^ 「ここ10000年の発生数」は、1994年にスミソニアン博物館がGlobal Volcanism Programの一環として調べた数値である。
オルドビス紀から更新世にかけてVEI=8以上の火山爆発が47回発生している。そのうち42回は3600万年以上前の噴火である。直近に起こったVEI=8の噴火は、2万6500年前に起こったニュージーランドのタウポ湖付近で起こった噴火Oruanui eruptionである[5]。
VEIで分類した噴火の例
2022年のフンガ・トンガ噴火のVEIは確定していないため、記載しないでください。 |
VEI | 火山(噴火名) | 場所 | 年 |
---|---|---|---|
0 | Hoodoo Mountain | カナダ | 紀元前7050年? |
マウナ・ロア山 | ハワイ諸島 | 1984年 | |
ニオス湖 | カメルーン | 1986年 | |
ピトン・ドゥ・ラ・フルネーズ | レユニオン(インド洋) | 2004年 | |
1 | Wells Gray-Clearwater volcanic field | カナダ | 1500年? |
キラウエア火山 | ハワイ島 | 1983年 - 現在 | |
ニーラゴンゴ山 | コンゴ | 2002年 | |
2 | 八丈島 | 日本 | 1605年 |
フッド山 | アメリカ | 1865 - 1866年 | |
磐梯山(1888年の噴火) | 日本 | 1888年 | |
キラウエア火山 | ハワイ島 | 1924年 | |
硫黄鳥島 | 日本 | 1959年 | |
トリスタン・ダ・クーニャ | 南大西洋 | 1961年 | |
有珠山 | 日本 | 2000 - 2001年 | |
ホワイト島 | ニュージーランド | 2001年 | |
御嶽山(2014年の噴火) | 日本 | 2014年 | |
3 | ガリバルディ山 | カナダ | BP 9300 |
Nazko Cone | BP 7200 | ||
エジザ山 | 950 ± 1000年頃 | ||
青ヶ島 | 日本 | 1785年 、1783年 | |
ヴェスヴィオ | イタリア | 1913 - 1944年 | |
伊豆鳥島 | 日本 | 1939年 | |
スルツェイ島 | アイスランド | 1963 - 1967年 | |
エルトフェットル | 1973年 | ||
有珠山 | 日本 | 1977年 - 1978年 | |
ネバドデルルイス火山 | コロンビア | 1985年 | |
伊豆大島 | 日本 | 1986年、1821年、1552年、1338年、1307年、838年、822年、BP 1300、BP1350、BP 1375、BP 1400、BP 1425 | |
雲仙岳 | 1990年 - 1995年 | ||
三宅島 | 2000年-2002年、1983年、1940年、1811年、1595年、1154年 | ||
エトナ火山 | イタリア | 2002 - 2003年 | |
新燃岳 | 日本 | 2018年、2011年 | |
4 | 榛名山 | 日本 | 489年 |
羅臼岳 | BP 1400 | ||
神津島 | 838年 | ||
開聞岳 | 885年、874年 | ||
新島 | 886年-887年 | ||
霧島山 | 1235年 | ||
那須岳 | 1408年-1410年 | ||
伊豆大島 | 1421年、1183年、713年 | ||
新燃岳 | 1716年-1717年 | ||
渡島大島 | 1741年-1742年 | ||
三宅島 | 1763年-1769年、850年 | ||
桜島 | 1779年-1781年 | ||
浅間山 | 1783年、1128年、BP 1650 | ||
諏訪之瀬島 | 1813年 | ||
有珠山 | 1853年、1822年、1769年 | ||
プレー山 | マルティニーク(西インド諸島) | 1902年 | |
桜島(大正大噴火) | 日本 | 1914年 | |
北海道駒ヶ岳 | 1929年、1856年、1694年 | ||
昭和硫黄島 | 1934年-1935年 | ||
パリクティン山 | メキシコ | 1943 - 1952年 | |
ヘクラ山 | アイスランド | 1947年 | |
ガルングン山 | インドネシア | 1982年 | |
スパー山 | アメリカ | 1992年 | |
オクモク山 | アラスカ | 2008年 | |
エイヤフィヤトラヨークトル(2010年の噴火) | アイスランド | 2010年 | |
ムラピ山 | インドネシア | ||
福徳岡ノ場 | 日本 | 2021年 | |
5 | ヘクラ山(Hekla 3 eruption) | アイスランド | 紀元前1021 +130/-100年 |
Mount Meager | カナダ | 紀元前約400年(BP 2350) | |
ヴェスヴィオ(ポンペイ噴火) | イタリア | 79年 | |
パトーアキ | ニュージーランド | 300年ごろ | |
榛名山 | 日本 | 525年 | |
十和田湖 | 915年 | ||
摩周岳 | BP 約1000 | ||
浅間山 | 1108年 | ||
桜島 | 1471年 | ||
北海道駒ヶ岳 | 1640年 | ||
有珠山 | 1663年 | ||
富士山(宝永大噴火) | 1707年 | ||
樽前山 | 1739年、1667年 | ||
タラウェラ山 | ニュージーランド | 1886年 | |
アグン山 | バリ島 | 1963年 | |
セント・ヘレンズ山(1980年の噴火) | アメリカ | 1980年 | |
エルチチョン | メキシコ | 1982年 | |
ハドソン山 | チリ | 1991年 | |
チャイテン山 | 2008年 | ||
プジェウエ山 | 2011年 | ||
6 | 阿蘇山 | 日本 | (Aso2)BP 約141,000、(Aso1)BP 約266,000 |
阿寒カルデラ | BP 約120,000 - 210,000 | ||
箱根カルデラ | BP 約60,000 - 65,000 | ||
倶多楽カルデラ | BP 約40,000 - 45,000 | ||
屈斜路カルデラ | BP 87,500、BP 190,000、BP 400,000 | ||
ディアブロティン山 | ドミニカ | BP 30,000 | |
浅間山 | 日本 | BP 約16,000 | |
十和田カルデラ | BP 約15,000、BP 36,000 | ||
桜島 | BP 約13,000 | ||
トルカ山 | メキシコ | BP 10,500 | |
オクモク山 | アメリカ・アラスカ州 | BP 8,300 | |
エトナ火山 | イタリア | BP 8,000? | |
摩周カルデラ | 日本 | BP 約7,600 | |
ベニアミノフ山 | アラスカ半島 | 紀元前1750年前後 | |
ヴェスヴィオ(Avellino eruption) | イタリア | 紀元前1660 ± 43年 | |
アニアクチャク山 | アメリカ・アラスカ州 | 紀元前1645年頃 | |
オクモク山 | 紀元前400年頃 | ||
アンブリム | バヌアツ | 100年頃 | |
イロパンゴ火山イロパンゴ湖 | エルサルバドル | 450 ± 30年 | |
チャーチル山(White River Ash) | アメリカ・アラスカ州 | 750年頃(BP 1,200) | |
サマラス火山・リンジャニ山 | インドネシア | 1257年 | |
クワエ海底火山(Kuwae) | バヌアツ | 1452年または1453年 | |
ワイナプチナ | ペルー | 1600年 | |
ラキ火山 | アイスランド | 1783年、934年 | |
クラカタウ | インドネシア | 1883年 | |
サンタマリア山 | グアテマラ | 1902年 | |
ノバルプタ | アメリカ・アラスカ州 | 1912年 | |
ピナトゥボ山 | フィリピン | 1991年 | |
7 | |||
Bennett Lake Volcanic Complex | カナダ | 5000万年前 | |
Valles Caldera(Lower Bandelier eruption) | アメリカ | 147万年前 | |
イエローストーン(Mesa Falls eruption) | 130万年前 | ||
Valles Caldera(Upper Bandelier eruption) | 115万年前 | ||
Long Valley Caldera(Bishop eruption) | BP 759,000 | ||
マニンジャウ湖 | インドネシア | BP 280,000 | |
洞爺カルデラ | 日本 | BP 約106,000 - 109,000 | |
阿多カルデラ | BP 約105,000 - 110,000 | ||
阿蘇カルデラ(Aso4)(Aso3) | (Aso4)約90,000年前、(Aso3)約123,000年前 | ||
アティトラン湖 | グアテマラ | BP 84,000 | |
支笏カルデラ | 日本 | BP 約44,000 | |
クリル湖 | ロシア | BP 41,000 | |
屈斜路カルデラ (Kp I) (Kp IV) | 日本 | (Kp I) BP 39,000、(Kp IV) BP 117,500 | |
フレグレイ平野 | イタリア | BP 37,000 | |
姶良カルデラ | 日本 | BP 22,000 | |
ラーハー湖 | ドイツ | BP 10,900? | |
クリル湖 | ロシア | 紀元前6440 ± 25年 | |
クレーターレイク(マザマ山噴火) | アメリカ | 紀元前5677 ± 150年 | |
鬼界カルデラ(アカホヤ噴火)(鬼界葛原) | 日本 | (鬼界アカホヤ)BP 7,300、(鬼界葛原)BP 95,000 | |
サントリーニ島(ミノア噴火) | ギリシャ | 紀元前1620年代 | |
タウポ湖(ハテペ噴火) | ニュージーランド | 186年 | |
白頭山/長白山(946年白頭山噴火) | 中朝国境 | 969 ± 20年 | |
タンボラ山(1815年の噴火) | インドネシア | 1815年 | |
8 | Scafells | イギリス | オルドビス紀 |
Glen Coe | 4億2000万年前 | ||
ラ・ガリータ・カルデラ フィッシュキャニオンタフ | アメリカ・コロラド州 | 2700万年前[6] | |
イエローストーン(ハックルベリーリッジ噴火) | アメリカ | 220万年前 | |
Galán | アルゼンチン | ||
イエローストーン(Lava Creek eruption) | アメリカ | BP 640,000 | |
トバ湖 | インドネシア | BP 73,000 | |
タウポ湖(Oruanui eruption) | ニュージーランド | BP 26,500 |
参考文献
- ^ 名前の読みについての出典。阿蘇カルデラ国際シンポジウム2013の紹介ページにおいて「スティーブン・セルフ」とのカナ書きで紹介されている。
- ^ a b 鎌田桂子 巨大噴火で何が起こるか?
- ^ 早川由紀夫研究室 噴火の大きさを測る
- ^ Robert Constantinescu, et al. (2021). “The radius of the umbrella cloud helps characterize large explosive volcanic eruptions”. Communications Earth & Environment 2 (3). doi:10.1038/s43247-021-00096-9.
- ^ Mason, Ben G.; Pyle, David M.; Oppenheimer, Clive (2004). “The size and frequency of the largest explosive eruptions on Earth”. Bulletin of Volcanology 66 (8): 735 - 748. doi:10.1007/s00445-004-0355-9.
- ^ 地質学の国際標準試料となっている。
- Newhall, Christopher G.; Self, Steve (1982). “The volcanic explosivity index(VEI): An estimate of explosive magnitude for historical volcanism”. Journal of Geophysical Research 87 (C2): 1231 - 1238. doi:10.1029/JC087iC02p01231 .
関連項目
外部リンク
- VEI glossary entry from a USGS website
- How to measure the size of a volcanic eruption[リンク切れ], from The Guardian
- The size and frequency of the largest explosive eruptions on Earth, a 2004 article from the Bulletin of Volcanology
- List of Large Holocene Eruptions(VEI > 4) from the Smithsonian Global Volcanism Program