オーストリア＝エステ家

エスターライヒ＝エステ家 Haus Österreich-Este
国	モデナおよびレッジョ公国
主家	エステ家 ハプスブルク＝ロートリンゲン家
当主称号	エスターライヒ＝エステ大公
創設	1771年
家祖	フェルディナント
現当主	ローレンツ
民族	ドイツ人 イタリア人
分家	ホーエンベルク家
著名な人物	フランツ・フェルディナント

エスターライヒ＝エステ家（オーストリア＝エステけ、ドイツ語: Österreich-Este）；アウストリア＝エステ家（アウストリア＝エステけ、イタリア語: Austria-Este）またはハプスブルク＝エステ家（ハプスブルク＝エステけ、ドイツ語: Habsburg-Este）；アスブルゴ＝エステ家（アスブルゴ＝エステけ、イタリア語: Asburgo-Este）は、イタリアのモデナ公国の統治者家門エステ家の断絶後、その名跡を受け継いだハプスブルク＝ロートリンゲン家の分家。

歴史

エステ家最後の成員マリーア・ベアトリーチェ・デステ

エステ家最後のモデナ公であったエルコレ3世は、1796年にフランス革命軍の侵略によって領国を失い、モデナ公国はフランスの衛星国チザルピーナ共和国（1805年よりナポレオン1世の統治するイタリア王国の一部を構成する）に併合された。亡命者となったエルコレ3世は、補償として南ドイツのオーストリア領ブライスガウ公領を与えられた。

最後のモデナ公フランチェスコ5世

オーストリア側はエルコレ3世の一人娘マリーア・ベアトリーチェを皇帝ヨーゼフ2世の弟の一人フェルディナント大公に娶らせており、ブライスガウが再び一族の領地として戻ってくることを期待していた。1803年にエルコレ3世が死去するとブライスガウは娘夫婦が相続したものの、1805年には拡大を続けるバーデン大公国領に併合されてしまった。フェルディナント没後の1814年、フランスによるイタリア支配が終わると、モデナはマリーア・ベアトリーチェとその次男のフランチェスコ4世に返還された。

この結婚によって創設されたモデナ家の女系分家であるアウストリア＝エステ家は、1814年から1859年までモデナおよびレッジョ公国を統治した。アウストリア＝エステ家のモデナ公爵はレッジョ、ミランドラ、マッサの公爵、およびカッラーラとルニジャーナの公の称号をも帯び、1847年からはグアスタッラ公爵をもその称号に加えた。公国は新しく成立した統一イタリアによって独立を奪われ、最後のモデナ公フランチェスコ5世は退位させられた。

フランチェスコ5世はオーストリアに逃れ、余生の大半を同国で過ごした。1840年より、フランチェスコ5世は母方の血統を通じてジャコバイトによって正統なイングランドおよびスコットランドの王位継承者とみなされていた（"フランシス1世"）。フランチェスコ5世が1875年にウィーンで世を去ると、アウストリア＝エステ家の男系は絶えた。フランチェスコ5世の血統上の後継者は姪のマリア・テレジア大公女であったが、彼女はバイエルン王ルートヴィヒ3世と結婚した。このため、ジャコバイト王位の請求権を保持しているのは、現在のバイエルン王家家長のバイエルン公フランツ（マリア・テレジアの曾孫）である。

フランツ・フェルディナント大公（右）は、ゾフィー・ホテク伯爵夫人（左）との結婚により、子孫にエスターライヒ＝エステ家の家督を継がせることを許されなかった。

フランチェスコ5世はエステ家の家名をハプスブルク＝ロートリンゲン家に保持させると決めていた。オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の弟カール・ルートヴィヒ大公の長男であるフランツ・フェルディナント大公が、アウストリア＝エステ家の家督および莫大な資産を相続したが、フランツ・フェルディナントはエルコレ3世の子孫ではなかった（ただし、エルコレ3世の曾祖父フランチェスコ1世の女系子孫である）。

フランツ・フェルディナント大公は1896年にオーストリア＝ハンガリー帝国皇帝位の推定相続人となったが、1914年6月28日にサラエボ事件で暗殺された。フランツ・フェルディナントの貴賤結婚のため、その子孫であるホーエンベルク公爵家は、エスターライヒ＝エステ家の家督を継ぐ資格はおろか、ハプスブルク＝ロートリンゲン家の正式な一員とすら認められなかった。

このためハプスブルク＝ロートリンゲン家は、フランツ・フェルディナントに代わって帝位継承者となったカール大公（皇帝カール1世）の次男で、1915年生まれのローベルトをオーストリア＝エステ家の相続人に指名した。ローベルトの母ツィタは、サルデーニャ王妃マリーア・テレーザ（アウストリア＝エステ家の始祖フェルディナント大公とマリーア・ベアトリーチェ夫妻の長女）の玄孫にあたるため、ローベルトは偶然ながらエスターライヒ＝エステの家名とかつてのアウストリア＝エステ家との血統上の繋がりを復活させた。

現在のオーストリア＝エステ家家長は、ローベルトの長男ローレンツである。ローレンツは1984年、ベルギー王アルベール2世の長女アストリッドと結婚した。1991年のベルギー王位継承法の改正により、アストリッドとその5人の子供たちはベルギー王位継承権を持つことになった。アストリッドの夫であるローレンツもまた1995年にベルギー王子の称号を与えられた。

系図

フランチェスコ1世 モデナ公

イザベッラ パルマ・ピアチェンツァ公妃

リナルド3世 モデナ公

オドアルド2世

フランチェスコ3世 モデナ公

エリザベッタ スペイン王妃

エルコレ3世 モデナ公

フランツ1世 神聖ローマ皇帝

マリア・テレジア ハンガリー女王

カルロス3世 スペイン王

マリーア・ベアトリーチェ

フェルディナント

レオポルト2世 神聖ローマ皇帝

フェルディナンド1世 両シチリア王

マリーア・テレーザ サルデーニャ王妃

マリア・レオポルディーネ バイエルン選帝侯妃

フランチェスコ4世 モデナ公

フェルディナント・カール

マクシミリアン・ヨーゼフ ドイツ騎士団総長

カール グラン大司教

マリア・ルドヴィカ オーストリア皇后

フランツ2世 神聖ローマ皇帝 オーストリア皇帝

マリア・テレジア 神聖ローマ皇后 オーストリア皇后

マリーア・テレーザ パルマ公妃

マリー・テレーズ シャンボール伯妃

フランチェスコ5世 モデナ公

フェルディナント・カール

マリーア・ベアトリス モンティソン伯妃

フランツ・カール

カルロ3世 パルマ公

アンナ・ベアトリーチェ

マリア・テレジア バイエルン王妃

カール・ルートヴィヒ

ロベルト1世 パルマ公

ゾフィー・ホテク

フランツ・フェルディナント

オットー・フランツ

ツィタ オーストリア皇后 ハンガリー王妃

カール1世 オーストリア皇帝 ハンガリー王

オットー

ローベルト

ホーエンベルク家

ハプスブルク＝ロートリンゲン家

マリア・ベアトリス

ローレンツ

アストリッド ベルギー王女

ゲルハルト

マルティン

イザベラ

アメデオ

マリア・ローラ

ジョアシャン

ルイーザ・マリア

レティシア・マリア

アントン

バルトロメウス

エマヌエル

ヘレーネ

ルイージ

紋章

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  エスターライヒ＝エステ大公フェルディナント（1803年 - 1806年）
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  モデナ公フランチェスコ4世（1814年 - 1846年）
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  モデナ公フランチェスコ5世（1846年 - 1875年）
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  エスターライヒ＝エステ大公フランツ・フェルディナント（1875年 - 1914年）
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  エスターライヒ＝エステ大公ローベルト（1917年 - 1996年）

関連項目

• フェラーラとモデナの君主一覧