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「V-107 (航空機)」の版間の差分

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{{Infobox 航空機
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}}
'''V-107'''は、[[パイアセッキ・ヘリコプター|バートル]]社が開発した[[タンデムローター]]式・[[ターボシャフトエンジン|ターボシャフト]]双発の[[ヘリコプター]]。[[アメリカ海兵隊]]では'''CH-46 シーナイト'''({{Lang-en-short|CH-46 Sea Kight}})として採用、また[[川崎重工業航空宇宙システムカンパニー|川崎航空機]]が[[ライセンス生産]]した機体('''KV-107''')は3[[自衛隊]]全てで採用されたほか、輸出にも供され、国内外で[[民間機]]として用いられた機体もあった。
'''V-107'''(CH-46)は、[[アメリカ合衆国]]の[[航空機]]メーカー、[[ボーイング・ヘリコプターズ|ボーイング・バートル]]社が製造した[[タンデムローター]]式の[[ヘリコプター]]。


== 概要 ==
== V-107 ==
[[File:Boeing Vertol 107 demonstratie, Bestanddeelnr 912-7031.jpg|thumb|250px|V-107試作機]]
[[ボーイング・ヘリコプターズ|バートル]]社が製作した、同社唯一の実用[[ヘリコプター]]であった。バートルは[[パイアセッキ・ヘリコプター]]の流れを汲む会社で、設立間もない[[1956年]]に大型[[輸送機]]の開発に取り組んだ。機体は[[ターボシャフトエンジン]]双発、[[タンデムローター]]のヘリコプターで、[[エンジン]]を胴体後方の上部に取り付け、[[キャビン|客室]]の騒音軽減と面積拡大をはかり、貨物の積み込みを簡易にするため、機体後部に傾斜板式の扉をとり付けた。また、客室は完全密閉できるように処理し、水上でも安全に運用できるようにした。
[[パイアセッキ・ヘリコプター]](1956年3月に「バートル」と改称)は、[[アメリカ海軍]]向けの[[HRP (航空機)|HRP]]を端緒として、[[タンデムローター]]式ヘリコプターの開発実績を積んでいた{{Sfn|松崎|2020}}。その後、[[朝鮮戦争]]でヘリコプターの有用性が実証され、また航空機用[[ターボシャフトエンジン]]の実用化によってヘリコプターの性能が更に向上すると期待されたこともあって、トーマス・ペッパー主任技師を中心として、海軍・[[アメリカ海兵隊|海兵隊]]や[[アメリカ空軍|空軍]]の幹部との面会や[[アンケート]]の送付によって用兵側のニーズの把握に努めていた{{Sfn|松崎|2020}}。


この[[要求分析]]を経て、[[1957年]]5月より[[技術デモンストレーション]]用[[プロトタイプ|試作機]]の製作が開始された{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}。これが'''V-107'''であり、試作機はN74060の[[機体記号]]を付与されて、[[1958年]]3月31日にロールアウトし、4月22日に初飛行を行った{{Sfn|松崎|2020}}。同機は[[タンデムローター]]式のヘリコプターで、出力860軸馬力の[[ライカミング T53]]ターボシャフトエンジンを双発に配していた{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}。民間機として運航した場合、[[キャビン]]には23-25名の乗客を搭乗させられるように設計されており{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}、[[エンジン]]を胴体後方の上部両舷に取り付けたこともあって、貨物の積み降ろしが容易なように胴体後方にはカーゴランプが設けられたほか{{Sfn|松崎|2020}}、追加装備なしでも着水可能とされた{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}。
バートルモデル107(V-107)と名づけられた原型機は[[1958年]]4月に初飛行し、この巨大ヘリコプターに目をつけていた[[アメリカ陸軍]]によって7月に研究用'''YHC-1A'''(後にYHC-1C)として少数が購入されたが、エンジン出力が小さかったために採用されなかった。


同年6月25日、[[アメリカ陸軍]]は[[H-21 (航空機)|CH-21 ショーニー]]、[[シコルスキー S-58|CH-34 チョクトー]]および[[CH-37 (航空機)|CH-37 モハーヴェ]]の後継となる次期中型輸送ヘリコプターの要求仕様を作成し、各メーカーに提示した{{Sfn|巫|2020}}{{Sfn|松崎|2020}}{{Efn2|name=中型|本計画が「中型」と分類されたのは、より大型で強力なHLH({{Lang|en|Heavy Lift Helicopter}})計画を進めていたためであった{{Sfn|江畑|1987}}。なおHLH計画では、本機と同じボーイング・バートル社によって[[XCH-62 (航空機)|XCH-62]]が試作され、1975年に一応の完成をみたものの、開発予算の削減に伴って初飛行にも至らなかった{{Sfn|江畑|1987}}。}}。V-107も検討の俎上に載せられて、'''YHC-1A'''として試作機10機が発注されたものの、機体規模の点で要求仕様に合致せず、3機で納入は打ち切られた{{Sfn|松崎|2020}}{{Efn2|バートル社は既に陸軍の要求仕様にあわせて一回り大型化したV-114の開発に着手しており、1958年9月には同機の採用が決定されて、後の[[CH-47 (航空機)|CH-47 チヌーク]]となった{{Sfn|松崎|2020}}。}}。
陸軍の不評によって注文は全く無く、そこでエンジンを[[ゼネラル・エレクトリック]]の[[ゼネラル・エレクトリック T58|CT58-110-1]]に換装して出力を強化したモデル107IIを発表して、[[1960年]][[10月25日]]に初飛行した。すると、[[アメリカ海兵隊]]が[[1961年]]に強襲揚陸作戦用ヘリコプター '''HRB-1 シーナイト'''(Sea Knight)として採用したことにより、軍民両用の機体として注目されるようになった。その後、[[アメリカ軍]]の[[軍用機の命名規則 (アメリカ合衆国)|航空機呼称]]が変更され、機種番号が'''CH-46'''に統合された。

{{Multiple image|direction=horizontal|width=250|align=left
== V-107-II ==
|image1=00CH-46A HMM-165 at MCAS Tustin 1966.jpg
V-107の経験を踏まえて、バートル社ではエンジンを出力1,250軸馬力の[[ゼネラル・エレクトリック]]の[[ゼネラル・エレクトリック T58|CT58]]に換装するなどした発展型として'''V-107-II'''を開発した{{Sfn|松崎|2020}}{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}。3機のYHC-1Aのうち1機を改修して試作機が製作され、[[1960年]]10月25日に初飛行した{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}。
|caption1=CH-46A(1966年撮影)

|image2=EM DSC 1969 (2878398235).jpg
=== アメリカ軍での運用 ===
|caption2=CH-46の機内
1961年の発注を皮切りに順次に発注が重ねられ{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}、[[1977年]]までに、海軍が264機、海兵隊が360機を受領した{{Sfn|Polmar|2013|p=445}}。
|image3=USMC-120709-M-KI464-0058.jpg

|caption3=CH-46に乗り込む海兵隊員
==== アメリカ海兵隊 ====
1960年、海軍兵器局{{Enlink|Bureau of Naval Weapons|BuWeps}}は、[[アメリカ海兵隊]]の[[シコルスキー S-58|HUS(CH-34) シーホース]]の後継となる強襲輸送用ヘリコプターの要求仕様を提示した{{Sfn|Johnson|2018|pp=472-479}}。そして[[1961年]]2月、V-107-IIの強襲輸送仕様(BV-107M)14機が'''HRB-1 シーナイト'''({{Lang|en|Sea Knight}})として発注された{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}{{Sfn|Johnson|2018|pp=472-479}}。これらの機体は1962年の[[軍用機の命名規則 (アメリカ合衆国)#命名法改正に伴う命名変更|命名法改正に伴う命名変更]]に伴って'''CH-46A'''と改称し、初号機は1962年10月16日に初飛行した{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}。CH-46Aは1,250軸馬力の[[ゼネラル・エレクトリック T58]]-GE-8Bターボシャフトエンジンを双発に配し、救難任務であれば、基地からの距離168キロの位置から20名の人員、または担架15床および衛生兵2名を回収できた{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}。

1964年6月には[[第265海兵中型ティルトローター飛行隊|第265海兵中型ヘリコプター飛行隊]]が[[初期作戦能力]](IOC)を達成{{Sfn|Polmar|2013|p=445}}、同年11月には同機の艦隊配備が承認され、1965年6月までに海兵隊の4個飛行隊が同機を運用するに至っていた{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}。同年9月、国防総省はCH-46Aの発注を倍増させた{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}。1966年3月からは[[ベトナム戦争]]において実戦投入され、1971年1月までにのべ280,000時間の実戦飛行を行った{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}。

1966年8月から1968年6月までの引き渡し分266機は、エンジンを1,400軸馬力のT58-GE-10に更新してローターブレードも設計も改訂した'''CH-46D'''となり、兵員25名を輸送できた{{Sfn|Johnson|2018|pp=472-479}}。また1968年7月から1971年までの引き渡し分は[[アビオニクス]]を更新した'''CH-46F'''となった{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}。また[[1970年代]]中盤には、既存のCH-46の強化を図るため、'''CH-46E'''が開発された{{Sfn|Taylor|1983|pp=330-331}}。これはエンジンを1,870軸馬力のT58-GE-16に更新して動力系統も強化するとともに{{Sfn|Taylor|1983|pp=330-331}}、パイロット席を耐衝撃座席とし、燃料系統の抗堪性を向上させ、救助用ウィンチを改良するものであった{{Sfn|Polmar|2013|p=445}}。試作機は1975年に初飛行、1977年8月3日には[[チェリー・ポイント海兵隊航空基地]]において最初の改修機が完成し{{Sfn|Taylor|1983|pp=330-331}}、CH-46A/D合計273機が改修を受けた{{Sfn|Polmar|2013|p=445}}。

海兵隊は、これらのCH-46を[[汎用ヘリコプター]]のように長く愛用したが{{Sfn|江畑|1988|pp=213-219}}、[[V-22 (航空機)|MV-22B]]が運用を開始すると順次に退役していき、2015年7月30日までに運用を終了した{{Sfn|Johnson|2018|pp=472-479}}。

<gallery widths="180px" heights="150px" perrow="3">
File:00CH-46A HMM-165 at MCAS Tustin 1966.jpg|CH-46A (1966年撮影)
File:EM DSC 1969 (2878398235).jpg|CH-46の機内
File:USMC-120709-M-KI464-0058.jpg|CH-46に乗り込む海兵隊員
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==== アメリカ海軍 ====
{{Multiple image|width=250|direction=vertical
|image1=USS Decatur (DD-936), 1968, vertrep.jpg
|caption1=郵便物を移送するUH-46D
|image2=VMR-1 Water Survival Training 130709-M-KA277-067.jpg
|caption2=HH-46E
}}
}}
[[アメリカ海軍]]も本機に着目し、1964年7月よりCH-46Aに準じた仕様の'''UH-46A'''を計24機受領、1966年9月以降の受領分はエンジンの強化などCH-46Dに準じた仕様の'''UH-46D'''に移行した{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}。これらは洋上の[[補給艦]]から受給艦に対してドライカーゴをヘリコプターで吊り下げ輸送する{{仮リンク|VERTREP|en|Vertical replenishment}}を主任務としており、また副次的に捜索救難や人員輸送も想定されていた{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}。UH-46は輸送能力に優れているだけでなく、タンデムローター式の特性として風向きによる影響を受けにくく、方向自由度が大きく、精密操縦が可能で、速度を出しやすいという点で、VERTREP作業に適しているとされる{{Sfn|江畑|1988|pp=278-290}}。[[サクラメント級高速戦闘支援艦]](AOE)や[[ウィチタ級給油艦|ウィチタ級補給・給油艦]](AOR)、[[キラウエア級給兵艦]](AE)や[[シリウス級戦闘給糧艦|シリウス級]]・[[マーズ級戦闘給糧艦]](AFS)といったドライカーゴを扱う補給艦艇で搭載された{{Sfn|江畑|1988|pp=278-290}}。その後、[[SH-60 シーホーク#多用途・補給支援ヘリコプター(MH-60S ナイトホーク)|MH-60S ナイトホーク]]によって更新されて、2006年までに運用を終了した{{Sfn|Polmar|2013|p=445}}。

なお、海兵隊のCH-46Aおよび海軍のUH-46Aのうち61機に対して、救助用ホイストクレーンやドップラーレーダー、追加燃料タンクの搭載など[[救難機|救難ヘリコプター]]としての改修が行われ、'''HH-46A'''として再就役した{{Sfn|Johnson|2018|pp=472-479}}。このうちの一部は、後にCH-46Dに準じた規格の'''HH-46D'''に改修された{{Sfn|Johnson|2018|pp=472-479}}。その後、HH-46Dの運用は順次に縮小されていき、2008年から2011年にかけて、第1海兵輸送飛行隊{{Enlink|VMR-1}}が運用していた3機はCH-46Eを改修したHH-46Eに更新されたが、これらも2015年9月に運用を終了した{{Sfn|Johnson|2018|pp=472-479}}。これらの機体は「ペドロ」というコールサインで知られていた{{Sfn|Johnson|2018|pp=472-479}}。
{{-}}
{{-}}
=== 自衛隊での運用 ===
{{Anchors|日本での運用}}<!--{{Anchors|日本での運用}}は撤去しないこと。ほかの多くの記事に影響が出ます-->
[[日本]]では、川崎航空機(後の[[川崎重工業航空宇宙システムカンパニー]])が生産販売[[ライセンス]]を取得しており、[[1962年]](昭和37年)5月には[[ライセンス生産]]1号機を飛行させた{{Sfn|Taylor|1971|pp=139-140}}。川崎での生産分は'''KV-107II'''と呼称されており、後にはエンジンをCT58-IHI-140-1(1,400軸馬力)に変更した独自の改良型として'''KV-107IIA'''も登場した{{Sfn|Taylor|1983|pp=150-151}}。自衛隊では、KV-107II仕様の機体は'''V-107'''、KV-107IIA仕様の機体は'''V-107A'''と称されている。


==== 海上自衛隊 ====
バートルは[[1960年]]に[[ボーイング]]社に吸収されて、同社のヘリコプター部門(ボーイング・バートル、後に完全吸収)となるが、V-107の生産は続けられ、[[カナダ]]や[[スウェーデン]]などへ輸出された。また、この機体の特徴はすぐ後に生産された妹分の[[CH-47 (航空機)|CH-47 チヌーク]]によく受け継がれている。
[[File:V-107.jpg|thumb|250px|海上自衛隊のKV-107IIA-3]]
3自衛隊のうち、最も早くKV-107を採用したのが[[海上自衛隊]]であった{{Sfn|日本航空宇宙工業会|2003|p=28}}。海自は1958年より航空掃海についての検討に着手しており、1959・60年には海自現用の[[シコルスキー S-58|HSS-1]](シングルローター式)と陸自現用の[[H-21 (航空機)|H-21]](タンデムローター式)の実機を用いた試験を行った結果、これら現用機種のなかではH-21のほうが適当ではあるものの、エンジン出力、搭載能力及び航続力など性能的にやや不満が残ると結論された{{Sfn|海上幕僚監部|1980|loc=ch.7 &sect;4}}。この結果、H-21と同様のタンデムローター式を踏襲しつつ、性能、信頼性ともに向上したV-107の採用が決定したものであった{{Sfn|海上幕僚監部|1980|loc=ch.7 &sect;4}}。


メーカー側のモデル名は'''KV-107II-3'''であり{{Sfn|Taylor|1971|pp=139-140}}、アメリカ合衆国で試作されたRH-46の成果を参考にしているともいわれる{{Sfn|江畑|1988|pp=252-257}}{{Efn2|アメリカ海軍でもRH-46を検討したものの、海兵隊向けのCH-46の調達が優先されたことから{{Sfn|義若|2002}}、[[SH-3 シーキング|HSS-2]]がベース機として採択された{{Sfn|江畑|1988|pp=252-257}}。}}。[[1962年|昭和37年]]度に領収できる予定であったが、機体改修等のため、実際には1963年9月となった{{Sfn|海上幕僚監部|1980|loc=ch.7 &sect;4}}。燃料搭載量を増大したほか、[[機雷]]に対して使用する掃海具のための牽引フックや貨物のスリング輸送のためのカーゴフックの装備を行っている{{Sfn|Taylor|1971|pp=139-140}}。その後、昭和45年度調達の3号機以降の7機はKV-107IIA仕様となり、メーカー側呼称はKV-107IIA-3となった{{Sfn|Taylor|1983|pp=150-151}}。
== バリエーション ==
; モデル107
: 原型機の社内呼称。
; YHC-1A
: モデル107の[[アメリカ陸軍]]向け研究機。
; モデル107II
: T58[[エンジン]]を搭載した出力強化型。
:; HRB-1
:: モデル107IIの[[アメリカ海兵隊|海兵隊]]向け。
:; HKP-4
:: モデル107IIの[[スウェーデン]]向け。
:
; CH-46A
: 旧称 HRB-1
; CH-46D
: CH-46Aのエンジン出力を強化した機体。
; CH-46E
: エンジンの出力強化と機体の近代化改修を施したもの。
; CH-46F
: CH-46Dに電子機器を追加装備した機体。
; UH-46A
: CH-46Aの[[アメリカ海軍]]向け[[汎用ヘリコプター|汎用]][[輸送機|輸送]]型。
; UH-46D
: CH-46Dの海軍向けの汎用輸送型。
; CH-113
: CH-46Aの[[カナダ]]向け。愛称は「'''ラブラドール'''」。
:; CH-113A
:: CH-113の改良型。愛称は「'''ボワヤジュール'''」。


掃海具の曳航用ウィンチは、1号機はアメリカ製であったが、性能的に極めて不満足であり、2号機には国内開発品を装備した{{Sfn|海上幕僚監部|1980|loc=ch.7 &sect;4}}{{Sfn|義若|2002}}。また掃海具も、当初は[[掃海艇1号型|小型掃海艇]]用の掃海具を使用していたが、これらの掃海具を扱うためには[[掃海艇]]の協力が不可欠であり、ヘリコプター自力での掃海のためには専用掃海具の開発が必要であった{{Sfn|海上幕僚監部|1980|loc=ch.7 &sect;4}}。国内開発は断念されて、アメリカ海軍の装備品を導入することになり{{Sfn|海上幕僚監部|1980|loc=ch.7 &sect;4}}、[[1973年|昭和48年]]度までに係維掃海(掃海具MK-101)及び音響掃海(掃海具MK-104)については運用試験を完了したものの、磁気掃海については、V-107Aでも掃海具MK-105の曳航は困難であった{{Sfn|海上幕僚監部|2003|loc=ch.5 &sect;11}}。
=== 川崎重工業製品 ===
; KV-107II-1
: 基本モデル(CT58-110-1エンジン)。
; KV-107II-2
: [[パイロット (航空)|操縦士]]2+[[客室乗務員]]1+客席35席の旅客機型(CT58-110-1)。
:; KV-107IIA-2
:: KV-107/II-2の改良型
; KV-107II-3
: [[海上自衛隊]]向け対[[機雷]]戦型。愛称は「しらさぎ」(T58-IHI-8B〈CT58-IHI-110-1の軍用型名〉)。
; KV-107II-4
: [[陸上自衛隊]]向け強襲上陸/貨物[[輸送]]型(CT58-IHI-110-1)。
:; KV-107II-4A
:: 陸上自衛隊[[要人|VIP]]仕様(CT58-IHI-110-1)。
; KV-107II-5
: [[航空自衛隊]]の捜索救難型。[[スウェーデン]]にも輸出(CT58-IHI-110-1)。
; KV-107II-7
: 6-11席の要人輸送型、[[タイ王国|タイ]]にもVIP仕様で輸出(CT58-110-1)。
; KV-107II-16
: スウェーデン向け(GNOME H1200)。
; KV-107IIA-2
: 民間向けのエンジン換装(CT58-140-1)。
; KV-107IIA-3
: 海上自衛隊向けのエンジン換装(T58-IHI-10-M1)。
; KV-107IIA-4
: 陸上自衛隊向けのエンジン換装(CT58-IHI-140-1)。
:; KV-107IIA-4A
:: 陸上自衛隊向けの長距離型(CT58-IHI-140-1)。
; KV-107IIA-5
:: 航空自衛隊向けのエンジン換装(CT58-IHI-140-1)。
; KV-107IIA-17
: [[警視庁]]向けの長距離型(CT58-140-1)。
; KV-107IIA-SM-1
: [[サウジアラビア]]向けの消防仕様(CT58-IHI-140-1M1)。
; KV-107IIA-SM-2
: サウジアラビア向けの病院・救難捜索機(CT58-IHI-140-1M1)。
; KV-107IIA-SM-3
: サウジアラビア向けのVIP仕様(CT58-IHI-140-1M1)。
; KV-107IIA-SM-4
: サウジアラビア向けの救急仕様(CT58-IHI-140-1M1)。


運用部隊としては、当初は[[第51航空隊 (海上自衛隊)|第51航空隊]]が任務にあたっていたが、このように体制が整ってきたこともあって、1974年2月16日、初の専門部隊として[[第111航空隊 (海上自衛隊)|第111航空隊]]が新編された{{Sfn|海上幕僚監部|1980|loc=ch.7 &sect;4}}。しかし磁気掃海機能を欠くこともあって、ポスト4次防ではこれら機能をすべて具備する掃海ヘリコプターとして、アメリカ海軍が運用していた[[CH-53 (航空機)|RH-53D]]の導入を計画したものの、アメリカ海軍が次期掃海ヘリコプターの開発に移行したために同機の生産が中止になったことから、V-107の納入は9機で中断し、昭和50年度以降の調達は打ち切って{{Sfn|義若|2002}}、新しく適合する航空機が出現するまで計画を保留することとした{{Sfn|海上幕僚監部|2003|loc=ch.5 &sect;11}}{{Efn2|川崎航空機では、V-107掃海ヘリコプターの開発費の回収は12機という予定調達機数に割りかけて行うこととしていたため、この調達打ち切りによって未回収の部分が残った{{Sfn|義若|2002}}。}}。
== 採用国 ==
<!--[[画像:World operators of the CH-46.png|thumb|500px|2013年時点で軍用現役の国(青)と退役済みの国(赤)]] 情報が古い-->
=== 軍用使用国 (全て退役済み)===
{{USA}}
*[[アメリカ海軍]]
*[[アメリカ海兵隊]]
{{JPN}}
*[[陸上自衛隊]]
*[[航空自衛隊]]
*[[海上自衛隊]]
{{SWE}}
*[[スウェーデン空軍]]
*[[スウェーデン海軍]]
{{THA}}
*[[タイ王国陸軍]]


その後、56中業においてV-107の後継機(MH-X)の機種選定が実施され、RH-53Dの後継機として開発された[[CH-53E (航空機)|MH-53E]]と、CH-47派生型の2機種が俎上に載せられた{{Sfn|海上幕僚監部|2003|loc=ch.5 &sect;11}}。この結果、掃海ヘリコプターとしての実績が未知数なCH-47派生型よりは、アメリカ海軍による実用化途上にあるMH-53Eのほうが採択され、1989年11月に第51航空隊に引き渡された{{Sfn|海上幕僚監部|2003|loc=ch.5 &sect;11}}。既にV-107は老朽化が進んでいたことから順次退役し、1990年(平成2年)3月30日までに運用を終了した{{Sfn|義若|2002}}。
=== 警察組織使用国 ===
{{JPN}}
*[[警視庁]](退役済み)


=== 民間使用国 ===
==== 陸上自衛隊 ====
[[File:JGSDF KV-107ⅡA-4(51807) right front view at Camp Shinodayama April 20, 2014 01.jpg|thumb|250px|陸上自衛隊のKV-107IIA-4]]
{{USA}}
[[陸上自衛隊]]は、兵員・物資の輸送用として'''KV-107II-4'''を導入し{{Sfn|Taylor|1971|pp=139-140}}、1966年より就役を開始した{{Sfn|水野|1987}}。アメリカ海兵隊のCH-46と類似した仕様の機体で、人員26名または担架15床を搭載できた{{Sfn|Taylor|1971|pp=139-140}}。また物資や車両の搭載を考慮してキャビンの床は強化されているほか、[[ローラーコンベア]]や電動[[ウインチ]]も装備された{{Sfn|水野|1987}}。胴体下には、[[M101 105mm榴弾砲|105mm榴弾砲M2A1]]など最大4.5トンの物資・貨物を吊り下げ輸送することができた{{Sfn|水野|1987}}。
*[[パンアメリカン航空]](退役済み)
{{CAN}}


後期調達分18機はKV-107IIA仕様となり、メーカー側呼称はKV-107IIA-4となった{{Sfn|Taylor|1983|pp=150-151}}。特にこのうち4機は燃料タンクを大型化して航続距離を延長するとともに{{Sfn|Taylor|1983|pp=150-151}}、航法用のドップラーレーダーやUHF無線機を搭載しており、V-107Aと呼称されて、[[沖縄県]]の[[第15ヘリコプター隊|第101飛行隊]]に配備された{{Sfn|水野|1987}}。
{{SAU}}


1981年11月20日までに60機を受領したが、うち1機は要人輸送機仕様とされている{{Sfn|Taylor|1983|pp=150-151}}。陸自では、来るべき第五次防衛力整備計画において、中央で1個師団、方面隊で1個連隊、師団で1個中隊をヘリボーン機動させる能力の整備を目指して、V-107ヘリコプター600機の整備を計画していた{{Sfn|荒木|2012}}。しかし結局5次防は策定されず、また[[オイルショック]]の影響による経済の混乱などもあって、600機という大量の整備は実現しなかった{{Sfn|荒木|2012}}。後継機として[[CH-47 (航空機)#陸上自衛隊|CH-47J/JA]]が導入されると減数し、要人輸送機(KV-107II-4A)は1996年(平成8年)4月に退役、KV-107II-4/IIA-4も2002年(平成14年)3月25日に全機が退役した。
=== 日本での運用 ===
[[日本]]では[[川崎重工業]]が[[1962年]](昭和37年)5月に[[ノックダウン生産]]1号機を飛行させ、[[1965年]](昭和40年)には生産販売[[ライセンス]]を取得した。各[[自衛隊]]でKV-107として採用された他、[[警視庁]]や民間向けに販売し、日本政府による[[武器輸出三原則]]が発表されるまで海外への輸出も行った。自衛隊向けの機体は「しらさぎ」との愛称が付与されたが「'''バートル'''」と呼ばれることが多い。


なお本機は[[災害派遣]]でも活躍した。[[1976年]]には[[長良川]]決壊([[9.12水害]])現場に向かう木更津駐屯地の機体が1機、三河湾で墜落している<ref>台風17号禍 ふくれる濁流、堤防無力『朝日新聞』1976年(昭和51年)9月13日朝刊、13版、23面</ref>。また、[[日本航空123便墜落事故]]にも出動し、生き残った乗客を救出する姿が[[テレビ]]などで報道され、有名になった<ref name=asahi2009/>。
; [[陸上自衛隊]]

:[[画像:KV107IIA4_KASM001.jpg|thumb|250px|陸上自衛隊のKV-107IIA-4(#51804号機)<br/>[[岐阜かかみがはら航空宇宙博物館]]の屋外展示機]]
==== 航空自衛隊 ====
:日本で最も多くのKV-107ユーザーとなった陸上自衛隊は、[[1966年]](昭和41年)[[4月5日]]-[[1972年]](昭和47年)にかけて川崎'''KV-107II-4'''を41機購入し、同年からは[[エンジン]]を[[IHI|石川島播磨重工業]]のCT58-IHI-140(1,400shp)に換装した'''KV-107IIA-4'''を[[1981年]](昭和56年)[[11月12日]]まで18機購入、上陸・輸送ヘリコプターとして使用した。
[[File:KV107 (13676202453).jpg|thumb|250px|航空自衛隊のKV-107IIA-5]]
:陸上自衛隊の機体は[[キャビン]]の床面を補強しローラーコンベアを設置し、電動[[ウインチ]]を使って重機材を後部扉から引き込み搭載できるようになっている。また、胴体下面には4.5トン対応のカーゴスリングを装備し、重量物の運搬を可能としている。胴体両側には80ガロンの[[増槽]]を装備しているが、[[沖縄県]]の第101飛行隊に配備された機体は、海上自衛隊や航空自衛隊と同様に500ガロンのスポンソンタンクを装備し、一部では機首に[[気象レーダー]]を取り付ける工事を行った。また、陸上自衛隊では民間向けの旅客型に準じた仕様で、胴体側面に角窓が並ぶVIP仕様機の'''KV-107II-4A'''も1機購入している。
[[航空自衛隊]]は、[[シコルスキー S-62|S-62J]]および[[シコルシキー S-55#日本|H-19C]]の後継となる救難ヘリコプターとして'''KV-107II-5'''を導入した{{Sfn|Taylor|1983|pp=150-151}}{{Sfn|杉山|2007|p=102}}。胴体両脇に大型のスポンソンタンクを備え{{Sfn|杉山|2007|p=102}}、燃料搭載量は合計1,000[[ガロン|米国液量ガロン]](3,785リットル)に達する{{Sfn|Taylor|1983|pp=150-151}}。またこの燃料タンクは、着水時の安定性を向上させるためのフロートを兼ねている{{Sfn|杉山|2007|p=102}}。遠く外洋まで進出して捜索救難任務を行えるように航法・通信装備が強化されているほか{{Sfn|加藤|1987}}、機体両側面には捜索用の可動式サートライトとバブルキャノピーを備える{{Sfn|Taylor|1983|pp=150-151}}{{Sfn|杉山|2007|p=102}}。胴体右前部には電動式のホイストクレーンを備え、一度に約270キロの吊り上げが可能である{{Sfn|杉山|2007|p=102}}。また輸送能力も高く、これを活かして、主要航空基地と全国に点在する各作戦基地([[レーダーサイト]]や高射隊など)とを結ぶ端末空輸にあたることもあったが、こちらは後に専用機として[[CH-47 (航空機)#航空自衛隊|CH-47J]]が導入された{{Sfn|加藤|1987}}。
:災害の救助活動でも活躍した。[[1976年]]には[[長良川]]決壊([[9.12水害]])現場に向かう木更津駐屯地の機体が1機、三河湾で墜落している<ref>台風17号禍 ふくれる濁流、堤防無力『朝日新聞』1976年(昭和51年)9月13日朝刊、13版、23面</ref>。また、[[日本航空123便墜落事故]]にも出動し、生き残った乗客を救出する姿が[[テレビ]]などで報道され、有名になった。

:後継機として[[CH-47 (航空機)#日本における運用|CH-47J/JA]]が導入されると減数し、KV-107II-4Aは1996年(平成8年)4月に退役、KV-107II-4/IIA-4も2002年(平成14年)3月25日に全機が退役した。
引き渡しは1967年より開始されたが、1973年の18号機以降の35機はKV-107IIA仕様となり{{Sfn|日本航空宇宙工業会|2003|p=28}}{{Sfn|Lambert|1991|p=173}}、メーカー側呼称はKV-107IIA-5となった{{Sfn|杉山|2007|p=102}}。しかしエンジン強化型であるIIA-5でも標高3,000メートルの山岳地帯では上昇性能限界に近く、困難な任務を強いられる場合もあった{{Sfn|杉山|2007|p=102}}。
:{{-}}

; [[航空自衛隊]]
1991年から後継の[[UH-60J (航空機)|UH-60J]]の導入が始まると{{Sfn|杉山|2007|pp=98-99}}、順次に代替されていき、2009年(平成21年)11月3日、[[入間基地]]の[[航空祭]]でラストフライトを行なった844号機(浜松救難隊)を最後に退役した<ref name=asahi2009>{{Cite news|url=http://www.asahi.com/photonews/gallery/091103iruma/article1.html |title=さよならバートル 救難ヘリV-107がラストフライト|publisher=asahi.com |date=2009-11-04}}</ref><ref name=asagumo2009>{{Cite news|url=http://www.asagumo-news.com/news/200911/091112/09111210.htm |title=空自救難ヘリV107バートル最終844号機(浜松救難隊)退役 入間でラストフライト|publisher=朝雲ニュース |date=2009-11-12|archiveurl=https://archive.ph/pvw7|archivedate=2012-07-18}}</ref>{{Efn2|この844号機は2008年公開の角川映画「[[空へ-救いの翼 RESCUE WINGS-]]」の冒頭のシーンでその機体番号を含め飛行・離着陸シーンを見ることができ、同映画で主役を演じた[[高山侑子]]は同機の退役セレモニーに出席、ラストフライトの際に操縦桿を握っていた浜松救難隊長に花束を贈呈した<ref name=asahi2009/><ref name=asagumo2009/>。}}。これは自衛隊全体でのKV-107シリーズの運用終了でもあった<ref name=asahi2009/><ref name=asagumo2009/>。
:[[画像:KV107IIA5 GAB002.jpg|thumb|250px|航空自衛隊のKV-107IIA-5(#849号機)]]

:各自衛隊の中では、最も「バートル」を長らく運用したユーザーである航空自衛隊は、[[シコルスキー S-62|S-62J]]、[[救難隊]]の[[シコルシキー S-55#日本|H-19C]][[救難機#救難ヘリコプター|救難ヘリコプター]]の後継として1967年(昭和42年)から'''KV-107II-5'''を17機導入し、18号機からは[[エンジン]]強化型の'''KV-107IIA-5'''に切り替えられ、1990年(平成2年)までに計52機が納入された。
=== その他の組織での運用 ===
:1991年(平成3年)から[[UH-60J (航空機)|UH-60J]]の導入が始まったことから減数に転じ、2009年(平成21年)11月3日、[[入間基地]]の[[航空祭]]でラストフライトを行なった844号機<ref>{{Cite news|url=http://www.asagumo-news.com/news/200911/091112/09111210.htm |title=空自救難ヘリV107バートル最終844号機(浜松救難隊)退役 入間でラストフライト|publisher=朝雲ニュース |date=2009-11-12|archiveurl=https://archive.ph/pvw7|archivedate=2012-07-18}}</ref>(浜松救難隊)を最後に退役した<ref>{{Cite news|url=http://www.asahi.com/photonews/gallery/091103iruma/article1.html |title=さよならバートル 救難ヘリV-107がラストフライト|publisher=asahi.com |date=2009-11-04}}</ref>。因みにこの844号機は2008年公開の角川映画「[[空へ-救いの翼 RESCUE WINGS-]]」の冒頭のシーンでその機体番号を含め飛行・離着陸シーンを見ることができる。
==== カナダ軍 ====
:白色と黄色を基調とする救難隊のイメージ色を機体に施していた。
[[カナダ空軍]]では、1963年から1964年にかけてCH-46Aに準じた機体を6機受領し、'''CH-113 ラブラドール'''として、主に救難機として運用した{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}。エンジンはCH-46Aと同機種・同出力だが、燃料搭載量が900米国液量ガロン(3,408リットル)に増加したことで、航続距離は1,050キロ以上に延伸された{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}。
:{{-}}

; [[海上自衛隊]]
また[[カナダ陸軍]]も、1964年から1965年にかけて、これとほぼ同仕様の機体を12機受領し、'''CH-113A ボワヤジュール'''として、兵員・物資の輸送に使用した{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}。
[[File:V-107.jpg|thumb|250px|海上自衛隊のKV-107IIA-3]]

:海上自衛隊では[[機雷戦|機雷掃海ヘリコプター]]として使用するため、1963年(昭和38年)9月に'''KV-107II-3'''を2機導入した。[[第51航空隊 (海上自衛隊)|第51航空隊]]において試験を行い、1972年(昭和47年)からはエンジンを出力アップした'''KV-107IIA-3'''を1976年(昭和51年)2月まで7機、合計9機を導入した。すべて[[第111航空隊 (海上自衛隊)|第111航空隊]]で運用され、余裕のあるスペースを生かして掃海のほか輸送機としても使用された。1989年(平成元年) - 1994年(平成6年)にかけて後継機である[[CH-53E (航空機)|MH-53E シードラゴン]]の11機導入が決定されたことにより順次退役し、1990年(平成2年)3月30日に全機除籍された。
==== スウェーデン軍 ====
; 民間
[[スウェーデン軍]]もV-107-IIを発注し、'''HKP-4'''として、初号機は1963年4月19日に初飛行した{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}。同機はエンジンを[[ブリストル・シドレー]]社によるライセンス生産版である{{仮リンク|ロールス・ロイス グノーム|en|Rolls-Royce Gnome|label=グノーム}}に変更しており、[[スウェーデン海軍|海軍]](4機)では対潜戦および対機雷戦、[[スウェーデン空軍|空軍]](10機)では特殊捜索救難を任務とした{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}。
:川崎重工業の系列企業が数機を購入したほか、[[警視庁]]が[[要人]][[輸送]]・離島連絡用の特注機'''KV-107IIA-17'''を1機購入した。

:{{-}}
またその後、川崎重工業からもKV-107-II-5に準じた機体8機を購入し、これは'''HKP-4C'''として海軍で運用された{{Sfn|Taylor|1983|pp=150-151}}。

==== 警視庁 ====
[[警視庁航空隊]]は、1973年2月に'''KV-107IIA-17''' 1機の引き渡しを受けた{{Sfn|Taylor|1983|pp=150-151}}。これは[[貨客混載機]]仕様で、機体前半部には乗客用座席12席が設けられているのに対し、後半部は貨物スペースで、貨物2,268キロ(5,000ポンド)または担架6床を搭載できた{{Sfn|Taylor|1983|pp=150-151}}。またこちらにも座席12席を設置することもできた{{Sfn|Taylor|1983|pp=150-151}}。

==== タイ王国政府 ====
[[タイ王国]]では、1964年に川崎重工業からKV-107/II-7 1機を受領し、要人輸送機として運用した{{Sfn|Taylor|1971|pp=139-140}}。要人・随行員6-11名を搭乗させることができた{{Sfn|Taylor|1971|pp=139-140}}。またこのほか、一般的な人員輸送用として、KV-107/II-2 3機も配備された{{Sfn|Taylor|1971|pp=139-140}}。ただしこれらの機体は、1983年までに、下記の[[:en:Columbia Helicopters|コロンビア・ヘリコプターズ]]社によって購入された{{Sfn|Taylor|1983|pp=150-151}}。

==== サウジアラビア内務省 ====
[[サウジアラビア]]の[[内務省]]{{Enlink|Ministry of Interior (Saudi Arabia)|Ministry of Interior}}は、川崎重工業からKV-107IIAを購入した{{Sfn|Taylor|1983|pp=150-151}}。'''KV-107IIA-SM-1'''は[[空中消火]]に対応した[[消防防災ヘリコプター]]仕様で、1979年初頭に4機が引き渡された{{Sfn|Taylor|1983|pp=150-151}}。一方、'''KV-107IIA-SM-2'''は捜索救難・[[ドクターヘリ|航空救急]]仕様で、1978年11月に2機が引き渡された{{Sfn|Taylor|1983|pp=150-151}}。その後、'''KV-107IIA-SM-3'''および'''KV-107IIA-SM-4'''も追加され、合計16機が引き渡された{{Sfn|Lambert|1991|p=173}}。

==== 民間企業 ====
[[File:PH-10171a.jpg|thumb|250px|コロンビア・ヘリコプターズのV-107およびボーイング234]]
ボーイング・バートル社は、1967年からはアメリカ軍向けのH-46の生産に注力することになり、民間向けの生産は川崎航空機が一手に担うことになった{{Sfn|日本航空宇宙工業会|2003|p=28}}。

特に[[関西汽船]]が設立した関汽エアラインズはKV-107/II-2を2機購入し{{Sfn|Taylor|1971|pp=139-140}}、1963年8月から、[[大分空港]]-[[別府市|別府]]-[[阿蘇市|阿蘇]]-[[熊本空港#旧熊本空港(健軍空港)について|熊本空港]]を結ぶ日本ではじめてのヘリコプター旅客輸送を開始した{{Sfn|日本航空宇宙工業会|2003|p=28}}。しかし商業的には成功せず、1年程度で同路線の運航を終了し、1965年2月からは[[東京]]-[[伊東市|伊東]]および伊東-[[大島空港|大島]]を結ぶ路線を開設したものの、こちらも1966年3月には運行終了となり<ref>{{Cite web|url=http://hikokikumo.net/a8401-12-Kanki-KV107.htm|accessdate=2022/05/04|title=航空歴史館-旧大分空港の関汽エアーラインズ|website=インターネット航空雑誌 ヒコーキ雲|author=酒井收}}</ref>、KV-107は川崎重工業が引き取って、同社の100%子会社であった[[セントラルヘリコプターサービス|エアーリフト]]社へ譲渡された<ref>{{Cite web|url=http://hikokikumo.net/His-C&M-Bell47-000-37-KankiAirlines-Index.htm|accessdate=2022/05/04|title=航空歴史館-関汽エアーラインズのベル47|website=インターネット航空雑誌 ヒコーキ雲|author=酒井收}}</ref>。

[[アメリカ合衆国]]でも、1962年7月1日より、[[:en:New York Airways|ニューヨーク航空]]がバートル製のV-107/IIヘリコプター8機(うち3機は[[パンアメリカン航空]])を用いた定期運航を行っていたが{{Sfn|Taylor|1971|pp=262-264}}、KV-107/II-2も3機購入して運航に用いていた{{Sfn|Taylor|1971|pp=139-140}}。その後、1979年にニューヨーク航空が運航を停止すると、その所有機は[[:en:Columbia Helicopters|コロンビア・ヘリコプターズ]]社に移籍したほか、上記のタイ王国政府が保有していたKV-107-IIなども購入されて、運航に用いられている{{Sfn|Taylor|1983|pp=150-151}}。


== 性能・主要諸元 ==
== 性能・主要諸元 ==
[[画像:Boeing Vertol CH-46 Sea Knight Line Drawing.svg|600px|right]]
[[画像:Boeing Vertol CH-46 Sea Knight Line Drawing.svg|600px|right]]
{{航空機スペック
* 全長:25.40m(回転翼含)

* 胴体全長:13.66m
|固定翼 or 回転翼?= 回転翼
* 胴体幅:2.21m
|ジェット or プロペラ?= プロペラ
* 全高:5.09m

* 主回転翼直径:15.24m×2
|出典={{Harvnb|Taylor|1971|pp=262-264}}, {{Harvnb|Johnson|2018|pp=472-479}}
* 主回転翼枚数:3枚

* 室内長:7.37m
|乗員=3名
* 室内幅:1.83m
|定員=兵員25名+指揮官
* 室内高:1.83m
|全長 SI=  
* 自重:5,251kg
** (ローター回転時) '''CH-46A''': {{Convert|83|ft|4|in|m|abbr=on|lk=on}} / '''CH-46F''': {{Convert|84|ft|4|in|m|abbr=on}}
* 運用重量:4,868kg
** (胴体長) '''CH-46A''': {{Convert|44|ft|7|in|m|abbr=on}} / '''CH-46F''': {{Convert|44|ft|10|in|m|abbr=on}}
* 最大離陸重量:8,618kg
|スパン SI= '''CH-46A''': {{Convert|50|ft|0|in|m|abbr=on}} / '''CH-46F''': {{Convert|51|ft|0|in|m|abbr=on}}
* 全備重量:9,700kg
|全高 SI= {{Convert|16|ft|8.5|in|m|abbr=on}}
* 超過禁止速度:254km/h=M0.21(外部搭載なし:270km/h)
|面積 SI=
* 巡航速度:241km/h=M0.20
|面積 fp=
* 実用上昇限度:5,180m
|翼型=[[タンデムローター]]
* ホバリング上昇限度:3,350m
|空虚重量 SI= '''CH-46A''': {{Convert|12406|lb|kg|abbr=on|lk=on}} / '''CH-46F''': {{Convert|13342|lb|kg|abbr=on}}
* 航続距離:400km([[増槽]]使用:1,100km)
|最大離陸重量 SI= '''CH-46A''': {{Convert|21400|lb|kg|abbr=on}} / '''CH-46F''': {{Convert|23000|lb|kg|abbr=on}} / '''CH-46E''': {{Convert|24300|lb|kg|abbr=on}}
* 燃料容量:510gal(機内350gal+増槽80gal×2)
|その他の諸元=
* 発動機:[[ゼネラル・エレクトリック]]製 [[ゼネラル・エレクトリック T58|CT58-140-1]] [[ターボシャフトエンジン|ターボシャフト]]×2(出力:1,400HP×2)

** (川崎製)[[IHI]]製 CT58-IHI-101-1 ターボシャフト×2(出力:1,250HP×2)
|エンジン名(プロペラ)=[[ゼネラル・エレクトリック T58]]
* 武装:固定武装なし。機内に自衛・制圧用[[小火器]]の搭載は可能。
|エンジン種類(プロペラ)=[[ターボシャフトエンジン]]
* 収容人数:乗員3名+乗客25名
|エンジン数(プロペラ)=2
* 初飛行:[[1958年]][[4月22日]](モデル107原型機)
|出力 SI= バージョン・出力は下記の通り:
** '''CH-46A (T58-GE-8B)''': {{Convert|1250|hp|kW|abbr=on|lk=on}} × 2
** '''CH-46F (T58-GE-10)''': {{Convert|1400|hp|kW|abbr=on}} × 2
** '''CH-46E (T58-GE-16)''': {{Convert|1870|hp|kW|abbr=on}}

|最大速度 SI= '''CH-46A''': {{Convert|138|kn|km/h|abbr=on|lk=on}} / '''CH-46F''': {{Convert|144|kn|km/h|abbr=on}}
|巡航速度 SI= '''CH-46A''': {{Convert|135|kn|km/h|abbr=on}} / '''CH-46F''': {{Convert|143|kn|km/h|abbr=on}}
|航続距離 SI=  
** '''CH-46A''' ([[:en:Aircraft gross weight|AUW]] 8,722 kg, 搭載量1,815 kg, 残燃料10%時): {{Convert|199|nmi|km|abbr=on|lk=on}}
** '''CH-46F'''
*** (AUW 9,435 kg, 搭載量1,939 kg, 残燃料10%時): {{Convert|206|nmi|km|abbr=on|lk=on}}
*** (AUW 10,433 kg, 搭載量2,937 kg, 残燃料10%時): {{Convert|198|nmi|km|abbr=on|lk=on}}
|上昇限度 SI= '''CH-46A''': {{Convert|13000|ft|m|abbr=on|lk=on}} / '''CH-46F''': {{Convert|14000|ft|m|abbr=on}}
|上昇率 SI= '''CH-46A''': {{Convert|1439|ft/min|m/s|abbr=on}} / '''CH-46F''': {{Convert|1715|ft/min|m/s|abbr=on}}
|その他の性能=
|武装= '''[[ドアガン]]''': [[ブローニングM2重機関銃#AN/M3|GAU-15]] 12.7mm機関銃×2挺
* '''カーゴランプ部''': [[M240機関銃|M240D]] 7.62mm機関銃×1挺
}}


== 登場作品 ==
== 登場作品 ==
190行目: 180行目:
== 脚注 ==
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
<references/>
{{Notelist2}}
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}

== 参考文献 ==
* {{Cite book|first=Mark|last=Lambert|year=1991|title=[[:en:Jane's All the World's Aircraft|Jane's All the World's Aircraft]] 1991-92|publisher=[[:en:Jane's Information Group|Jane's Information Group]]|isbn=978-0710609656|ref=harv}}
* {{Cite book|authorlink=:en:Norman Polmar|first=Norman|last=Polmar|year=2013|title= The Naval Institute Guide To The Ships And Aircraft Of The U.S. Fleet|edition=19th|publisher=[[:en:United States Naval Institute|Naval Institute Press]]|isbn=978-1591146872|ref=harv}}
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* {{Cite journal|和書|author=義若基|year=2002|month=6|title=マグロを釣ったヘリコプタV-107A|pages=10-15|journal=日本ヘリコプタ技術協会会報|publisher=日本ヘリコプタ技術協会|volume=12|url=http://helijapan.org/pdf/kaihou/Fy2002JHS-kaihou.pdf|id={{NCID|BA56519338}}|ref={{SfnRef|義若|2002}}}}


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2022年5月24日 (火) 09:00時点における版

V-107

V-107は、バートル社が開発したタンデムローター式・ターボシャフト双発のヘリコプターアメリカ海兵隊ではCH-46 シーナイト: CH-46 Sea Kight)として採用、また川崎航空機ライセンス生産した機体(KV-107)は3自衛隊全てで採用されたほか、輸出にも供され、国内外で民間機として用いられた機体もあった。

V-107

V-107試作機

パイアセッキ・ヘリコプター(1956年3月に「バートル」と改称)は、アメリカ海軍向けのHRPを端緒として、タンデムローター式ヘリコプターの開発実績を積んでいた[6]。その後、朝鮮戦争でヘリコプターの有用性が実証され、また航空機用ターボシャフトエンジンの実用化によってヘリコプターの性能が更に向上すると期待されたこともあって、トーマス・ペッパー主任技師を中心として、海軍・海兵隊空軍の幹部との面会やアンケートの送付によって用兵側のニーズの把握に努めていた[6]

この要求分析を経て、1957年5月より技術デモンストレーション試作機の製作が開始された[1]。これがV-107であり、試作機はN74060の機体記号を付与されて、1958年3月31日にロールアウトし、4月22日に初飛行を行った[6]。同機はタンデムローター式のヘリコプターで、出力860軸馬力のライカミング T53ターボシャフトエンジンを双発に配していた[1]。民間機として運航した場合、キャビンには23-25名の乗客を搭乗させられるように設計されており[1]エンジンを胴体後方の上部両舷に取り付けたこともあって、貨物の積み降ろしが容易なように胴体後方にはカーゴランプが設けられたほか[6]、追加装備なしでも着水可能とされた[1]

同年6月25日、アメリカ陸軍CH-21 ショーニーCH-34 チョクトーおよびCH-37 モハーヴェの後継となる次期中型輸送ヘリコプターの要求仕様を作成し、各メーカーに提示した[7][6][注 1]。V-107も検討の俎上に載せられて、YHC-1Aとして試作機10機が発注されたものの、機体規模の点で要求仕様に合致せず、3機で納入は打ち切られた[6][注 2]

V-107-II

V-107の経験を踏まえて、バートル社ではエンジンを出力1,250軸馬力のゼネラル・エレクトリックCT58に換装するなどした発展型としてV-107-IIを開発した[6][1]。3機のYHC-1Aのうち1機を改修して試作機が製作され、1960年10月25日に初飛行した[1]

アメリカ軍での運用

1961年の発注を皮切りに順次に発注が重ねられ[1]1977年までに、海軍が264機、海兵隊が360機を受領した[2]

アメリカ海兵隊

1960年、海軍兵器局 (BuWepsは、アメリカ海兵隊HUS(CH-34) シーホースの後継となる強襲輸送用ヘリコプターの要求仕様を提示した[5]。そして1961年2月、V-107-IIの強襲輸送仕様(BV-107M)14機がHRB-1 シーナイトSea Knight)として発注された[1][5]。これらの機体は1962年の命名法改正に伴う命名変更に伴ってCH-46Aと改称し、初号機は1962年10月16日に初飛行した[1]。CH-46Aは1,250軸馬力のゼネラル・エレクトリック T58-GE-8Bターボシャフトエンジンを双発に配し、救難任務であれば、基地からの距離168キロの位置から20名の人員、または担架15床および衛生兵2名を回収できた[1]

1964年6月には第265海兵中型ヘリコプター飛行隊初期作戦能力(IOC)を達成[2]、同年11月には同機の艦隊配備が承認され、1965年6月までに海兵隊の4個飛行隊が同機を運用するに至っていた[1]。同年9月、国防総省はCH-46Aの発注を倍増させた[1]。1966年3月からはベトナム戦争において実戦投入され、1971年1月までにのべ280,000時間の実戦飛行を行った[1]

1966年8月から1968年6月までの引き渡し分266機は、エンジンを1,400軸馬力のT58-GE-10に更新してローターブレードも設計も改訂したCH-46Dとなり、兵員25名を輸送できた[5]。また1968年7月から1971年までの引き渡し分はアビオニクスを更新したCH-46Fとなった[1]。また1970年代中盤には、既存のCH-46の強化を図るため、CH-46Eが開発された[9]。これはエンジンを1,870軸馬力のT58-GE-16に更新して動力系統も強化するとともに[9]、パイロット席を耐衝撃座席とし、燃料系統の抗堪性を向上させ、救助用ウィンチを改良するものであった[2]。試作機は1975年に初飛行、1977年8月3日にはチェリー・ポイント海兵隊航空基地において最初の改修機が完成し[9]、CH-46A/D合計273機が改修を受けた[2]

海兵隊は、これらのCH-46を汎用ヘリコプターのように長く愛用したが[10]MV-22Bが運用を開始すると順次に退役していき、2015年7月30日までに運用を終了した[5]

アメリカ海軍

郵便物を移送するUH-46D
HH-46E

アメリカ海軍も本機に着目し、1964年7月よりCH-46Aに準じた仕様のUH-46Aを計24機受領、1966年9月以降の受領分はエンジンの強化などCH-46Dに準じた仕様のUH-46Dに移行した[1]。これらは洋上の補給艦から受給艦に対してドライカーゴをヘリコプターで吊り下げ輸送するVERTREP英語版を主任務としており、また副次的に捜索救難や人員輸送も想定されていた[1]。UH-46は輸送能力に優れているだけでなく、タンデムローター式の特性として風向きによる影響を受けにくく、方向自由度が大きく、精密操縦が可能で、速度を出しやすいという点で、VERTREP作業に適しているとされる[11]サクラメント級高速戦闘支援艦(AOE)やウィチタ級補給・給油艦(AOR)、キラウエア級給兵艦(AE)やシリウス級マーズ級戦闘給糧艦(AFS)といったドライカーゴを扱う補給艦艇で搭載された[11]。その後、MH-60S ナイトホークによって更新されて、2006年までに運用を終了した[2]

なお、海兵隊のCH-46Aおよび海軍のUH-46Aのうち61機に対して、救助用ホイストクレーンやドップラーレーダー、追加燃料タンクの搭載など救難ヘリコプターとしての改修が行われ、HH-46Aとして再就役した[5]。このうちの一部は、後にCH-46Dに準じた規格のHH-46Dに改修された[5]。その後、HH-46Dの運用は順次に縮小されていき、2008年から2011年にかけて、第1海兵輸送飛行隊 (VMR-1が運用していた3機はCH-46Eを改修したHH-46Eに更新されたが、これらも2015年9月に運用を終了した[5]。これらの機体は「ペドロ」というコールサインで知られていた[5]

自衛隊での運用

日本では、川崎航空機(後の川崎重工業航空宇宙システムカンパニー)が生産販売ライセンスを取得しており、1962年(昭和37年)5月にはライセンス生産1号機を飛行させた[12]。川崎での生産分はKV-107IIと呼称されており、後にはエンジンをCT58-IHI-140-1(1,400軸馬力)に変更した独自の改良型としてKV-107IIAも登場した[13]。自衛隊では、KV-107II仕様の機体はV-107、KV-107IIA仕様の機体はV-107Aと称されている。

海上自衛隊

海上自衛隊のKV-107IIA-3

3自衛隊のうち、最も早くKV-107を採用したのが海上自衛隊であった[14]。海自は1958年より航空掃海についての検討に着手しており、1959・60年には海自現用のHSS-1(シングルローター式)と陸自現用のH-21(タンデムローター式)の実機を用いた試験を行った結果、これら現用機種のなかではH-21のほうが適当ではあるものの、エンジン出力、搭載能力及び航続力など性能的にやや不満が残ると結論された[15]。この結果、H-21と同様のタンデムローター式を踏襲しつつ、性能、信頼性ともに向上したV-107の採用が決定したものであった[15]

メーカー側のモデル名はKV-107II-3であり[12]、アメリカ合衆国で試作されたRH-46の成果を参考にしているともいわれる[16][注 3]昭和37年度に領収できる予定であったが、機体改修等のため、実際には1963年9月となった[15]。燃料搭載量を増大したほか、機雷に対して使用する掃海具のための牽引フックや貨物のスリング輸送のためのカーゴフックの装備を行っている[12]。その後、昭和45年度調達の3号機以降の7機はKV-107IIA仕様となり、メーカー側呼称はKV-107IIA-3となった[13]

掃海具の曳航用ウィンチは、1号機はアメリカ製であったが、性能的に極めて不満足であり、2号機には国内開発品を装備した[15][17]。また掃海具も、当初は小型掃海艇用の掃海具を使用していたが、これらの掃海具を扱うためには掃海艇の協力が不可欠であり、ヘリコプター自力での掃海のためには専用掃海具の開発が必要であった[15]。国内開発は断念されて、アメリカ海軍の装備品を導入することになり[15]昭和48年度までに係維掃海(掃海具MK-101)及び音響掃海(掃海具MK-104)については運用試験を完了したものの、磁気掃海については、V-107Aでも掃海具MK-105の曳航は困難であった[18]

運用部隊としては、当初は第51航空隊が任務にあたっていたが、このように体制が整ってきたこともあって、1974年2月16日、初の専門部隊として第111航空隊が新編された[15]。しかし磁気掃海機能を欠くこともあって、ポスト4次防ではこれら機能をすべて具備する掃海ヘリコプターとして、アメリカ海軍が運用していたRH-53Dの導入を計画したものの、アメリカ海軍が次期掃海ヘリコプターの開発に移行したために同機の生産が中止になったことから、V-107の納入は9機で中断し、昭和50年度以降の調達は打ち切って[17]、新しく適合する航空機が出現するまで計画を保留することとした[18][注 4]

その後、56中業においてV-107の後継機(MH-X)の機種選定が実施され、RH-53Dの後継機として開発されたMH-53Eと、CH-47派生型の2機種が俎上に載せられた[18]。この結果、掃海ヘリコプターとしての実績が未知数なCH-47派生型よりは、アメリカ海軍による実用化途上にあるMH-53Eのほうが採択され、1989年11月に第51航空隊に引き渡された[18]。既にV-107は老朽化が進んでいたことから順次退役し、1990年(平成2年)3月30日までに運用を終了した[17]

陸上自衛隊

陸上自衛隊のKV-107IIA-4

陸上自衛隊は、兵員・物資の輸送用としてKV-107II-4を導入し[12]、1966年より就役を開始した[19]。アメリカ海兵隊のCH-46と類似した仕様の機体で、人員26名または担架15床を搭載できた[12]。また物資や車両の搭載を考慮してキャビンの床は強化されているほか、ローラーコンベアや電動ウインチも装備された[19]。胴体下には、105mm榴弾砲M2A1など最大4.5トンの物資・貨物を吊り下げ輸送することができた[19]

後期調達分18機はKV-107IIA仕様となり、メーカー側呼称はKV-107IIA-4となった[13]。特にこのうち4機は燃料タンクを大型化して航続距離を延長するとともに[13]、航法用のドップラーレーダーやUHF無線機を搭載しており、V-107Aと呼称されて、沖縄県第101飛行隊に配備された[19]

1981年11月20日までに60機を受領したが、うち1機は要人輸送機仕様とされている[13]。陸自では、来るべき第五次防衛力整備計画において、中央で1個師団、方面隊で1個連隊、師団で1個中隊をヘリボーン機動させる能力の整備を目指して、V-107ヘリコプター600機の整備を計画していた[20]。しかし結局5次防は策定されず、またオイルショックの影響による経済の混乱などもあって、600機という大量の整備は実現しなかった[20]。後継機としてCH-47J/JAが導入されると減数し、要人輸送機(KV-107II-4A)は1996年(平成8年)4月に退役、KV-107II-4/IIA-4も2002年(平成14年)3月25日に全機が退役した。

なお本機は災害派遣でも活躍した。1976年には長良川決壊(9.12水害)現場に向かう木更津駐屯地の機体が1機、三河湾で墜落している[21]。また、日本航空123便墜落事故にも出動し、生き残った乗客を救出する姿がテレビなどで報道され、有名になった[3]

航空自衛隊

航空自衛隊のKV-107IIA-5

航空自衛隊は、S-62JおよびH-19Cの後継となる救難ヘリコプターとしてKV-107II-5を導入した[13][22]。胴体両脇に大型のスポンソンタンクを備え[22]、燃料搭載量は合計1,000米国液量ガロン(3,785リットル)に達する[13]。またこの燃料タンクは、着水時の安定性を向上させるためのフロートを兼ねている[22]。遠く外洋まで進出して捜索救難任務を行えるように航法・通信装備が強化されているほか[23]、機体両側面には捜索用の可動式サートライトとバブルキャノピーを備える[13][22]。胴体右前部には電動式のホイストクレーンを備え、一度に約270キロの吊り上げが可能である[22]。また輸送能力も高く、これを活かして、主要航空基地と全国に点在する各作戦基地(レーダーサイトや高射隊など)とを結ぶ端末空輸にあたることもあったが、こちらは後に専用機としてCH-47Jが導入された[23]

引き渡しは1967年より開始されたが、1973年の18号機以降の35機はKV-107IIA仕様となり[14][24]、メーカー側呼称はKV-107IIA-5となった[22]。しかしエンジン強化型であるIIA-5でも標高3,000メートルの山岳地帯では上昇性能限界に近く、困難な任務を強いられる場合もあった[22]

1991年から後継のUH-60Jの導入が始まると[25]、順次に代替されていき、2009年(平成21年)11月3日、入間基地航空祭でラストフライトを行なった844号機(浜松救難隊)を最後に退役した[3][4][注 5]。これは自衛隊全体でのKV-107シリーズの運用終了でもあった[3][4]

その他の組織での運用

カナダ軍

カナダ空軍では、1963年から1964年にかけてCH-46Aに準じた機体を6機受領し、CH-113 ラブラドールとして、主に救難機として運用した[1]。エンジンはCH-46Aと同機種・同出力だが、燃料搭載量が900米国液量ガロン(3,408リットル)に増加したことで、航続距離は1,050キロ以上に延伸された[1]

またカナダ陸軍も、1964年から1965年にかけて、これとほぼ同仕様の機体を12機受領し、CH-113A ボワヤジュールとして、兵員・物資の輸送に使用した[1]

スウェーデン軍

スウェーデン軍もV-107-IIを発注し、HKP-4として、初号機は1963年4月19日に初飛行した[1]。同機はエンジンをブリストル・シドレー社によるライセンス生産版であるグノーム英語版に変更しており、海軍(4機)では対潜戦および対機雷戦、空軍(10機)では特殊捜索救難を任務とした[1]

またその後、川崎重工業からもKV-107-II-5に準じた機体8機を購入し、これはHKP-4Cとして海軍で運用された[13]

警視庁

警視庁航空隊は、1973年2月にKV-107IIA-17 1機の引き渡しを受けた[13]。これは貨客混載機仕様で、機体前半部には乗客用座席12席が設けられているのに対し、後半部は貨物スペースで、貨物2,268キロ(5,000ポンド)または担架6床を搭載できた[13]。またこちらにも座席12席を設置することもできた[13]

タイ王国政府

タイ王国では、1964年に川崎重工業からKV-107/II-7 1機を受領し、要人輸送機として運用した[12]。要人・随行員6-11名を搭乗させることができた[12]。またこのほか、一般的な人員輸送用として、KV-107/II-2 3機も配備された[12]。ただしこれらの機体は、1983年までに、下記のコロンビア・ヘリコプターズ社によって購入された[13]

サウジアラビア内務省

サウジアラビア内務省 (Ministry of Interiorは、川崎重工業からKV-107IIAを購入した[13]KV-107IIA-SM-1空中消火に対応した消防防災ヘリコプター仕様で、1979年初頭に4機が引き渡された[13]。一方、KV-107IIA-SM-2は捜索救難・航空救急仕様で、1978年11月に2機が引き渡された[13]。その後、KV-107IIA-SM-3およびKV-107IIA-SM-4も追加され、合計16機が引き渡された[24]

民間企業

コロンビア・ヘリコプターズのV-107およびボーイング234

ボーイング・バートル社は、1967年からはアメリカ軍向けのH-46の生産に注力することになり、民間向けの生産は川崎航空機が一手に担うことになった[14]

特に関西汽船が設立した関汽エアラインズはKV-107/II-2を2機購入し[12]、1963年8月から、大分空港-別府-阿蘇-熊本空港を結ぶ日本ではじめてのヘリコプター旅客輸送を開始した[14]。しかし商業的には成功せず、1年程度で同路線の運航を終了し、1965年2月からは東京-伊東および伊東-大島を結ぶ路線を開設したものの、こちらも1966年3月には運行終了となり[26]、KV-107は川崎重工業が引き取って、同社の100%子会社であったエアーリフト社へ譲渡された[27]

アメリカ合衆国でも、1962年7月1日より、ニューヨーク航空がバートル製のV-107/IIヘリコプター8機(うち3機はパンアメリカン航空)を用いた定期運航を行っていたが[1]、KV-107/II-2も3機購入して運航に用いていた[12]。その後、1979年にニューヨーク航空が運航を停止すると、その所有機はコロンビア・ヘリコプターズ社に移籍したほか、上記のタイ王国政府が保有していたKV-107-IIなども購入されて、運航に用いられている[13]

性能・主要諸元

出典: Taylor 1971, pp. 262–264, Johnson 2018, pp. 472–479

諸元

  • 乗員: 3名
  • 定員: 兵員25名+指揮官
  • 全長:  
    • (ローター回転時) CH-46A: 83 ftin (25.40 m) / CH-46F: 84 ft 4 in (25.70 m)
    • (胴体長) CH-46A: 44 ft 7 in (13.59 m) / CH-46F: 44 ft 10 in (13.67 m)
  • 全高: 16 ft 8.5 in (5.093 m)
  • ローター直径: CH-46A: 50 ft 0 in (15.24 m) / CH-46F: 51 ft 0 in (15.54 m)
  • 翼型: タンデムローター
  • 空虚重量: CH-46A: 12,406 lb (5,627 kg) / CH-46F: 13,342 lb (6,052 kg)
  • 最大離陸重量: CH-46A: 21,400 lb (9,700 kg) / CH-46F: 23,000 lb (10,000 kg) / CH-46E: 24,300 lb (11,000 kg)
  • 動力: ゼネラル・エレクトリック T58 ターボシャフトエンジン、バージョン・出力は下記の通り:
    • CH-46A (T58-GE-8B): 1,250 hp (930 kW) × 2
    • CH-46F (T58-GE-10): 1,400 hp (1,000 kW) × 2
    • CH-46E (T58-GE-16): 1,870 hp (1,390 kW) × 2

性能

  • 最大速度: CH-46A: 138 kn (256 km/h) / CH-46F: 144 kn (267 km/h)
  • 巡航速度: CH-46A: 135 kn (250 km/h) / CH-46F: 143 kn (265 km/h)
  • 航続距離:  
    • CH-46A (AUW 8,722 kg, 搭載量1,815 kg, 残燃料10%時): 199 nmi (369 km)
    • CH-46F
      • (AUW 9,435 kg, 搭載量1,939 kg, 残燃料10%時): 206 nmi (382 km)
      • (AUW 10,433 kg, 搭載量2,937 kg, 残燃料10%時): 198 nmi (367 km)
  • 実用上昇限度: CH-46A: 13,000 ft (4,000 m) / CH-46F: 14,000 ft (4,300 m)
  • 上昇率: CH-46A: 1,439 ft/min (7.31 m/s) / CH-46F: 1,715 ft/min (8.71 m/s)

武装

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登場作品

脚注

注釈

  1. ^ 本計画が「中型」と分類されたのは、より大型で強力なHLH(Heavy Lift Helicopter)計画を進めていたためであった[8]。なおHLH計画では、本機と同じボーイング・バートル社によってXCH-62が試作され、1975年に一応の完成をみたものの、開発予算の削減に伴って初飛行にも至らなかった[8]
  2. ^ バートル社は既に陸軍の要求仕様にあわせて一回り大型化したV-114の開発に着手しており、1958年9月には同機の採用が決定されて、後のCH-47 チヌークとなった[6]
  3. ^ アメリカ海軍でもRH-46を検討したものの、海兵隊向けのCH-46の調達が優先されたことから[17]HSS-2がベース機として採択された[16]
  4. ^ 川崎航空機では、V-107掃海ヘリコプターの開発費の回収は12機という予定調達機数に割りかけて行うこととしていたため、この調達打ち切りによって未回収の部分が残った[17]
  5. ^ この844号機は2008年公開の角川映画「空へ-救いの翼 RESCUE WINGS-」の冒頭のシーンでその機体番号を含め飛行・離着陸シーンを見ることができ、同映画で主役を演じた高山侑子は同機の退役セレモニーに出席、ラストフライトの際に操縦桿を握っていた浜松救難隊長に花束を贈呈した[3][4]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y Taylor 1971, pp. 262–264.
  2. ^ a b c d e f g Polmar 2013, p. 445.
  3. ^ a b c d e “さよならバートル 救難ヘリV-107がラストフライト”. asahi.com. (2009年11月4日). http://www.asahi.com/photonews/gallery/091103iruma/article1.html 
  4. ^ a b c d “空自救難ヘリV107バートル最終844号機(浜松救難隊)退役 入間でラストフライト”. 朝雲ニュース. (2009年11月12日). オリジナルの2012年7月18日時点におけるアーカイブ。. https://archive.ph/pvw7 
  5. ^ a b c d e f g h i Johnson 2018, pp. 472–479.
  6. ^ a b c d e f g h 松崎 2020.
  7. ^ 巫 2020.
  8. ^ a b 江畑 1987.
  9. ^ a b c Taylor 1983, pp. 330–331.
  10. ^ 江畑 1988, pp. 213–219.
  11. ^ a b 江畑 1988, pp. 278–290.
  12. ^ a b c d e f g h i j Taylor 1971, pp. 139–140.
  13. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q Taylor 1983, pp. 150–151.
  14. ^ a b c d 日本航空宇宙工業会 2003, p. 28.
  15. ^ a b c d e f g 海上幕僚監部 1980, ch.7 §4.
  16. ^ a b 江畑 1988, pp. 252–257.
  17. ^ a b c d e 義若 2002.
  18. ^ a b c d 海上幕僚監部 2003, ch.5 §11.
  19. ^ a b c d 水野 1987.
  20. ^ a b 荒木 2012.
  21. ^ 台風17号禍 ふくれる濁流、堤防無力『朝日新聞』1976年(昭和51年)9月13日朝刊、13版、23面
  22. ^ a b c d e f g 杉山 2007, p. 102.
  23. ^ a b 加藤 1987.
  24. ^ a b Lambert 1991, p. 173.
  25. ^ 杉山 2007, pp. 98–99.
  26. ^ 酒井收. “航空歴史館-旧大分空港の関汽エアーラインズ”. インターネット航空雑誌 ヒコーキ雲. 2022年5月4日閲覧。
  27. ^ 酒井收. “航空歴史館-関汽エアーラインズのベル47”. インターネット航空雑誌 ヒコーキ雲. 2022年5月4日閲覧。

参考文献

  • Lambert, Mark (1991). Jane's All the World's Aircraft 1991-92. Jane's Information Group. ISBN 978-0710609656 
  • Polmar, Norman (2013). The Naval Institute Guide To The Ships And Aircraft Of The U.S. Fleet (19th ed.). Naval Institute Press. ISBN 978-1591146872 
  • Johnson, E.R. (2018). United States Marine Corps Aircraft Since 1913. McFarland Publishing. ISBN 978-1476663470 
  • Taylor, John W.R. (1971). Jane's All the World's Aircraft 1971-72. The Book Service Ltd. ISBN 978-0354000949 
  • Taylor, John W.R. (1983). Jane's All the World's Aircraft 1982-83. Jane's Publishing Compny Limited. ISBN 978-0710607805 
  • 荒木雅也「近代化は空から!高度成長最盛期における陸上自衛隊、600機のKV-107配備計画 (特集 自衛隊、幻の装備機計画)」『Air World』第36巻、第6号、エアワールド、15-19頁、2012年6月。 NAID 40019299979 
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  • 江畑謙介「大型輸送ヘリコプター」『軍用ヘリのすべて』原書房〈メカニックブックス〉、1987年、72-102頁。ISBN 978-4562018925 
  • 江畑謙介『艦載ヘリのすべて―変貌する現代の海洋戦』原書房〈メカニックブックス〉、1988年。ISBN 978-4562019748 
  • 海上幕僚監部 編『海上自衛隊25年史』1980年。 NCID BA67335381 
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  • 加藤容孝「偵察機、電子訓練機、救難機」『航空自衛隊』読売新聞社〈日本の防衛戦力〉、1987年、160-175頁。ISBN 978-4643870329 
  • 巫清彦「H-47シリーズ 各タイプ解説」『CH-47 チヌーク』イカロス出版〈世界の名機シリーズ〉、2020年、46-52頁。ISBN 978-4802209427 
  • 杉山潔「レスキューの翼」『よみがえる空 RESCUE WINGS公式ガイドブック-航空自衛隊航空救難団の実力』ホビージャパン〈ホビージャパンMOOK 214〉、2007年、98-105頁。ISBN 978-4-89425-583-8 
  • 日本航空宇宙工業会 編『日本の航空宇宙工業50年の歩み』2003年。 NCID BA64712956http://www.sjac.or.jp/common/pdf/toukei/50nennoayumi/4_2_nihonnokoukuki2.pdf 
  • 松崎豊一「CH-47チヌーク 開発の経緯」『CH-47 チヌーク』イカロス出版〈世界の名機シリーズ〉、2020年、92-95頁。ISBN 978-4802209427 
  • 水野民雄「陸自空中機動力の花形・ヘリコプター」『陸上自衛隊』読売新聞社〈日本の防衛戦力〉、1987年、110-123頁。ISBN 978-4643870084 
  • 義若基「マグロを釣ったヘリコプタV-107A」『日本ヘリコプタ技術協会会報』第12巻、日本ヘリコプタ技術協会、2002年6月、10-15頁、NCID BA56519338 

関連項目