「中華まん」の版間の差分
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2021年12月14日 (火) 09:41時点における版
中華まん(ちゅうかまん)とは、小麦粉、水、砂糖、酵母、ベーキングパウダーなどをこねて発酵させて作った柔らかい皮で様々な具を包み、蒸した饅頭である[1][2]。
皮の中の具の種類などによりそれぞれ個別名称もあり、肉まん[3]、あんまん[4]など多岐にわたる。
概要
日本では中華街に伝わった大正・昭和の頃から各地で食べられており[2]、中華料理店やスーパー・コンビニ・小さな売店における人気のテイクアウト商品となっている。家庭で作られる事は少ないがチルドや冷凍食品は多く販売されている。コンビニエンスストアでは例年8月~9月頃より冬季にかけて、あるいは通年、スチームで蒸し上げた商品をカウンター商材の1つとして販売している。
一般的には豚肉などを使用した肉まんや小豆餡のあんまん、ピザまん、カレーまんなどが多いが、多様な変り種の中華まんも販売されている(後述)。底の部分にはシート(元々は竹の皮)が付されていることが多く、これは蒸し器とまんじゅうが付着するのを防ぐ役割がある。また種類が判別できるよう、シートに「肉まん」や「あんまん」といった文字を入れる場合もある。
歴史
中華まんは、中国の三国時代(220年頃)、蜀漢の宰相・諸葛亮が作らせたことが始まりといわれている[5](「伝説」節で後述)。
中華まんは料理であると同時に餡子などを用いた和菓子の饅頭のルーツにもなっている。
日本で最初に登場したのがいつなのかは諸説ある。「中村屋」での発売は、1927年の「天下一品 支那饅頭」が最初で、これは大正14年に同社創業者の相馬夫妻が中国へ視察旅行した際、目に止まった「包子」(パオズ[6])と呼ばれていた具の入った饅頭を元に、帰国後油っぽかったのを日本人向けのあっさりした味付けに改良し中国人職人を雇ってノウハウを吸収した商品であり、一般の人に親しまれるようになったとしている[5]。
それ以前にも、中華街などの専門店や一部の中華料理店では、本場中国の中華まんが売られていたが、日本人の好みには合わなかったとされる[2]。
神戸中華街(南京町)の「老祥記」の先代は、1915年に「豚饅頭」として売り出した同店の中国包子が日本の中華まんの起こりであるとしている[7]が、現在の日本の中華まんと同一かどうかは定かではない[2]。
主な具の種類
肉まん
- 「肉饅頭」の略で、豚肉と、タマネギ、タケノコ、干しシイタケなどの野菜をみじん切りにして煮たものを入れる[3]。干し貝柱・オイスターソース・フカヒレなどを入れることもある。日本ではピロシキの具もこれに近い場合がある。皮の上部にはひねったような模様がつけられ、外見であんまんと区別される。作るときも具をそこから入れて閉じるためという側面もある。
豚まん
西日本では肉まんの事を主に「豚まん」と呼ぶ。西日本において「肉」といえば一般的に牛肉を指すためである。関西地方で展開している551蓬莱では、初期に牛肉入りの「肉まん」が存在していた。ただし、全国展開している井村屋などの商品は、西日本でも他の地域と同じく「肉まん」として売られており、西日本でも「肉まん」の呼び名が通用しないわけではない。また、セブンイレブンのように、味付けや量の違いにより「肉まん」と「豚まん」の両方を販売するケースも見られる[8]。
豚まんの日
11月11日を「豚まんの日」として申請しており[9]これは豚の鼻の形にちなんだものとされている。また、その日に「KOBE豚饅サミット」を開催[10]し、神戸をPRしている。
あんまん
- 小豆の餡を入れた、あんまんじゅう[4]。肉まんや他の具材と区別するために食紅で中央に印をつけたものもある。コンビニエンスストアの場合、東日本では胡麻あん入りのこしあん、西日本ではつぶあんとなっている。(セブンイレブンの場合、北陸の一部と関東甲信越より東側が「ごまあんまん」、北陸の一部と中京より西側が「つぶあんまん」となっている[11])
チャーシューまん
ピザまん
- 1979年に井村屋が発売した際は「ピザ肉まん」という名称だった[12]。
- 具をトマトケチャップで味付けしたもので本来のピザとは異なる味であったが、近年では中にチーズを入れ、イタリア風のトマトソースを使用するなど、本来のピザの味に近づけたものも多い。
カレーまん
バリエーション
その他、コンビニエンスストアでは多種多様な中華まんが(大抵は期間限定で)販売されている。
例: 豚角煮まん、てりやきチキンまん、チーズまん、塩豚まん、海鮮まん、グラタンまん、餃子まん、もんじゃまん、チョコレートまん、カスタードクリームまん、いちごジャムまん[要出典]、キャラメルまん、プリンまん、さくらあんまん、焼き芋(安納芋)まん
中華まん製造メーカー
- 井村屋グループ
- 新宿中村屋
- ヤマザキパン
- 目黒五十番
- 五十番 神楽坂本店
- 神楽坂五十番(神楽坂五十番 総本店)
- 桃太呂
- 崎陽軒
- 聘珍樓
- 江戸清
- 蓬萊
- 蓬萊本館
- 二見の豚まん
- 老祥記
- 三桃食品九州工場
- 揚子江
- 山珍
- 松阪鈴屋の牛まん
- 三宮一貫楼
- 大同行
- 大珍食品
- フタバ食品
たれ・からし
- 中国地方から九州北部にかけて、コンビニで中華まんを購入すると、もれなく小袋入りの酢醤油と練り辛子がついてくる。酢醤油をつけるのは他の地方では見られない風習で、中国で黒酢を付ける習慣が、中華まんが伝わった当時の日本に黒酢が無かったために酢醤油で代用されたことによる。
- 関西のコンビニでも、小袋に入った練り辛子をサービスする習慣がある。酢醤油で食す習慣はあるものの、練り辛子やウスターソースで食すことも多い[13]。
異物同名
東京の南千住では「にくまん」というフライにした魚肉練り製品が類似のモチモチとした食感の物がおでんの具として販売されている。
伝説
『三国志』で知られる諸葛亮は、南蛮征伐の帰りに風雨で川が氾濫し渡れなかったが、氾濫した川を鎮めようと願うとき水神に人間の首を切り落として捧げて祭るという南蛮の信仰を、戦いで失われた人命を人柱にこれ以上犠牲には出来ないとして、小麦粉を水で練った皮に羊や牛の肉を包んで饅頭(まんじゅう)を作り、人頭に代わって供えて川に投じると見事に氾濫は収まったという。これが饅頭(中華まん)の始まりとされている[5]。
脚注
- ^ 大辞泉(yahoo辞書)「中華饅頭」
- ^ a b c d グリコ
- ^ a b 大辞泉(yahoo辞書)「にくまん(肉饅)」
- ^ a b 大辞泉(yahoo辞書)「あんまん(餡饅)」
- ^ a b c 新宿中村屋 中華まんの起源
- ^ 日本国語大辞典「パオズ(包子)」、デジタル大辞泉「パオズ(包子)」、現代用語の基礎知識2017「パオズ」、世界大百科事典「パオズ」。
- ^ “豚まんファン集まれ! 発祥地・神戸で11月にサミット”. 朝日新聞 (2011年9月18日). 2011年9月19日閲覧。
- ^ “セブン「豚まん」よりも「肉まん」を選んだほうがよい理由”. 週刊アスキー. (2017年9月27日) 2021年1月12日閲覧。
- ^ “豚まんサミット 11月11日神戸・南京町で”. 神戸新聞 (2011年9月16日). 2011年9月19日閲覧。
- ^ KOBE 豚まんサミット
- ^ “アレルギー情報・栄養成分 中華まん”. セブン-イレブン・ジャパン. 2017年12月12日閲覧。
- ^ 井村屋 昭和46年から昭和63年まで
- ^ 神戸新聞(2005/06/14日号・はてな?探偵団)
関連項目
- おやき
- 労研饅頭 - こちらは饅頭 (中国)を原型としている。
- 小籠包
- バインバオ
- ピャンセ
- 段ボール肉まん - 中国で報道された、具材に段ボールを使用したとされる肉まん(ただし、その真偽は議論の余地あり)。