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|専門職大学の前期課程を修了した者に授与する学位<br />専門職短期大学を卒業した者に授与する学位||短期大学士(専門職) |
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2021年11月29日 (月) 00:00時点における版
専門職学位(せんもんしょくがくい、英: Professional degree プロフェッショナル・ディグリー)とは、日本においては、専門職短期大学若しくは専門職大学を卒業した者、専門職大学の前期課程を修了した者、又は専門職大学院の課程を修了した者に授与される学位である。とくに、専門職大学院が授与する専門職学位は、通常の大学院の課程で研究業績に対して授与される「修士」と同等とされる。
日本
法令に基づく学位 |
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博士の学位 修士の学位 学士の学位 短期大学士の学位 専門職学位 |
専門職学位と修了区分 |
1.専門職大学院の課程 (一般の専門職大学院) 修士(専門職) 2.法科大学院の課程 法務博士(専門職) 3.教職大学院の課程 教職修士(専門職) |
法令に基づく称号 |
準学士 |
告示に基づく称号 |
高度専門士の称号 専門士の称号 |
現在授与されない学位等 |
大博士の学位 得業士の称号 |
関連法令・告示 |
学校教育法 学位規則 専門士及び高度専門士規程 |
日本では、学位令発足以来、学位といえば、アカデミックな学位をさした。専門職学位は学校教育法第67条、第68条の2において「文部科学大臣の定める学位」として規定され、更に学位規則第5条の2において、この「文部科学大臣の定める学位」を専門職学位と称している。専門職学位の中には「博士」という語をその名称に含むものがあるが、修業年数は修士課程や博士前期課程と同等であり、通常の大学院の課程で研究業績に対して授与される「修士」と同等とされる。
2017年に学校教育法が改正(平成29年5月31日法律41号)、2019年に施行された。学校教育法第83条の2では専門職大学が、同第108条4項では専門職短期大学が新たに規定された。専門職短期大学の修業年数は短期大学と同様(2又は3年)、専門職大学の修業年数は大学と同様(4年以上)である。学校教育法87条の2の規定により、専門職大学の課程は、前期課程1年若しくは2年、後期課程2年以上に区分することができる。専門職短期大学若しくは専門職大学を卒業した者、又は専門職大学の前期課程を修了した者には、文部科学大臣の定める学位が授与される(学校教育法第104条第2項及び第6項)。文部科学大臣の定める学位は学位規則に規定されており、専門職短期大学を卒業又は専門職大学の前期課程を修了した者の学位は「短期大学士(専門職)」とし(第5条の5)、専門職大学を卒業した者の学位は「学士(専門職)」とされている(第2条の2)。なお、専門職大学は、学校教育法第87条第2項に規定される課程(医学、歯学、薬学、獣医学)を設置することができない(同第83条の2第2項)。
学位規則上の種類
区分 | 学位 |
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専門職大学院の課程(次項以下の課程を除く。)を修了した者に授与する学位 | 修士(専門職) |
法科大学院の課程を修了した者に授与する学位 | 法務博士(専門職) |
教職大学院の課程を修了した者に授与する学位 | 教職修士(専門職) |
専門職大学を卒業した者に授与する学位 | 学士(専門職) |
専門職大学の前期課程を修了した者に授与する学位 専門職短期大学を卒業した者に授与する学位 |
短期大学士(専門職) |
専門職学位の名称
学位規則上、法務博士及び教職修士以外の修士相当の専門職学位は、単に「修士(専門職)」とのみ規定されているが、各大学の学位規程等により、専攻分野を冠した形で「○○修士(専門職)」という名称で授与されている。主に次のものなどがある。
- 会計修士(専門職)
- 経営学修士(専門職)
- 経営管理修士(専門職)
- 技術経営修士(専門職)
- 創造技術修士(専門職)
- 公共政策修士(専門職)
- 公衆衛生学修士(専門職)
- 知的財産修士(専門職)
- 臨床心理修士(専門職)
- 事業構想修士(専門職)
その他の専門職学位も同様に、「短期大学士(専門職)」「学士(専門職)」とのみ規定されているが、専門職短期大学・専門職大学が授与するものについては「〇〇短期大学士(専門職)」「〇〇学士(専門職)」、通常の短期大学・大学に設置された専門職学科が授与するものについては「短期大学士(○○専門職)」「学士(○○専門職)」という名称を用いる。なお、文部科学事務次官通知(平成29年9月21日付29文科高第542号文部科学事務次官通知)の留意事項として、専門職短期大学士及び専門職学士の表記においては、「〇〇」の部分は学問分野ではなく職業・産業分野の名称を用いることを基本とするよう求めている。参考として次のものを挙げる。
しかしながらこの留意事項は必ずしも守られていない。「〇〇」の部分が職業・産業分野の名称でないものや、「○○」の部分と「学士」の「学」の部分とで一つの学問分野名を形成しているものが存在する。参考として次のものを挙げる。
専門職学位の意義
大学院の専門職学位課程、いわゆる専門職大学院は社会経済の各分野において指導的役割を果たす、高度専門職業人を養成することを目的として設立されたものであり、専門職学位とはその職業人たる最低限の素養を認定する意義を有している。具体的な専門職大学院としては海外のロースクールに倣って創設された法科大学院が代表的であるが、その他の専門職大学院には公共政策大学院、会計大学院などがあり、その他ではビジネス・スクールが多い。今後は法曹育成を行う法科の他、政治家、行政官、NPOやNGOのリーダー、ジャーナリストなどの方面に人材を供給する公共政策の他、企業戦略、ファイナンス、会計、助産師、学校教育つまり教員養成、大学経営、医療経営、社会福祉、医療系、工業系、原子力系、情報技術系、心理系、環境系、健康科学系、デザイン系、日本が誇る文化であるアニメーションをはじめメディアコンテンツなどの分野など序々に高度専門教育の裾野が広がりつつあり、専門職学位の種類も増えていくことが予想される。
特に高齢化社会の進展する中で生涯学習の時代に突入した21世紀の教育環境は社会に出た後もキャリアアップを目的として再び教育を受けようとする人口が増え、社会人大学院や夜間大学院が脚光を浴びてきておりキャリア教育の重要性が高まっている。実践的なスキル修得や専門的教育を施す機関として社会人大学院の中でも有力な受け入れ先である専門職大学院には取得する学位の代表的なものとしてMBA、MOT、MPH、MPA、MPMなどがある。
取得できる学位の中で最も代表的なのはビジネスマンのステータスであるMBAすなわちMaster of Business Administrationであるが、新しく出来た専門職大学院の中では経営管理学修士(専門職)または経営学修士(専門職)として置かれている場合が多い。MBAの上位には通常DBAすなわちDoctor of Business Administration(和文表記: 経営管理学博士)の学位もあるが、専門職大学院の制度が未発達段階にあることとニーズの関係から専門職大学院の学位としては未だ置かれていない。その他、企業戦略やファイナンス大学院、会計大学院で授与する学位も、和文表記では個々の専攻領域だが、英文表記としてはMBAとして一律化しているのも特徴である。MOTすなわちMBA in Technology Managementの学位も日本では技術経営管理学修士(専門職)などの名称で置いている。その他、法政大学の様にMBITという学位を置く大学もあるが、これはMaster of Business information technologyといい、情報技術修士(専門職)という和文表記が主に用いられている。
専門職大学院の前身である専門大学院制度の下で成立した公衆衛生大学院では疫病の治療予防の研究を目的とした人材育成がなされ、当該大学院修了者にはMPH、つまりMaster of Public Health、和文表記: 公衆衛生修士号の学位を授与している。またDPH(Doctor of Public Health、和文表記: 公衆衛生博士号)やPh.D.(Doctor of Philosophy、和文表記: 学術博士)を授与する大学院もある。また、次に代表的なものは公共経営大学院の学位である。これらの大学院で取得できる学位にはMPAやMPMという学位などがある。MPA(Master of Public Administration)とMPM(Master of Public Management)を公共経営学修士と訳し、日本では早稲田大学が公共経営研究科という公共政策大学院を設置し、公共経営修士(専門職)の学位をMPMとして授与している。MPPはMaster of Public Policyの略で日本では公共政策学修士(専門職)としている
なお、専門職学位は、大学の教授となることのできる資格の要件の一つでもある[1]。また、准教授・講師・助教となることのできる資格の要件の一つでもある[2]。これらに加えて、専修学校専門課程教員資格でもある[3]。それゆえに今後、専門職技能を有する教員を大学や専修学校で確保する上でも専門職学位を有する高度専門職業人の活躍が期待されるところである。
その他
教育職員免許状で、専修免許状を「別表第一」[4]で授与申請する場合の基礎資格は、原則、「修士の学位を有する」ことが条件となり、「教科又は教職に関する科目」[5]24単位以上の修得により、すでに所有する一種免許状を基礎免許状として授与されるが、専門職大学院の授与する「専門職学位」を「修士の学位」と同等とみなし、「修士の学位」の部分を当該「専門職学位」に置き換えて授与申請することが可能である。
アメリカ合衆国
米国では、研究学位と職業学位に分けられ、学術的な研究に従事する研究者と実務に携わる専門家双方に別個の教育・学位の授与がなされてきた。その代表例がロー・スクールやメディカル・スクールなどである。
職業学位の種類としては、以下のように実に多彩な職業学位が設置され、多彩な専門教育のプログラムを有している。
- 職業学位の目的および種類
- 法曹養成 - J.D.
- 政策立案者養成 - MPP及びMPM、MPAなど
- 技術者養成 - D.Eng.
- 経営者養成 - MBA及びDBA
- 医師養成 - M.D.
- カイロプラクティック-D.C.
- ドクター・オブ・オステオパシー(Doctor of Osteopathy)(D.O.)
- 理学療法士養成 - Doctor of Physical Therapy
- 薬剤師養成 - Pharm.D.
- 歯科医師養成 - D.D.S.及びD.M.D.
- 獣医師養成 - D.V.M.
- 教師養成 - M.Ed.及びEd.D.
- 牧師養成 - M.Div.及びM.Div
- ソーシャルワーカー養成 - M.S.W.及びD.S.W.
フランス
フランスでは職業学士、 技術大学ディプロマ(DUT)、上級技術者免状(BTS)などが設定されている。
ドイツ
ドイツではマイスター資格制度が存在し、これはEQFレベル6であり学士号レベルと同等とされている。
デンマーク
デンマークでは専門職学士号が存在し、これはEQFレベル6であり学士号レベルと同等とされている[6]
フィンランド
フィンランドでは、ポリテク学士号(Polytechnic Bachelor Degree)、ポリテク修士号(Polytechnic Master Degree)が設定されている[7]。
脚注
- ^ 専門職学位を有し、当該専門職学位の専攻分野に関する実務上の業績を有する者であって、大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者というのが一つの要件。大学設置基準14条3号。
- ^ 専門職学位を有する者であって、大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者というのが一つの要件。大学設置基準15条3号、16条1号及び16条の2第2号。
- ^ 文部科学省の定める大学設置基準第14条に「学位規則(昭和28年文部省令第9号)第5条の2に規定する専門職学位(外国において授与されたこれに相当する学位を含む。)を有し、当該専門職学位の専攻分野に関する実務上の業績を有する者」とある。また専修学校教員資格については同じく文部科学省の専修学校設置基準第18条に「その担当する教育に関し、専門的な知識、技術、技能等を有するもので次の各号に該当するもの」とあり、その条件の5にて「修士の学位又は専門職学位を有する者」と定められている。
- ^ 養護教諭免許状に規定される「別表第二」、栄養教諭免許状に規定される「別表第二の二」についても同様。
- ^ ただし、特別支援学校教諭専修免許状については「特別支援教育に関する科目」、養護教諭専修免許状の場合は「養護又は教職に関する科目」、栄養教諭専修免許状の場合は「栄養に関わる教育又は教職に関する科目」となる。いずれも、24単位以上となる。
- ^ Denmark - European inventory on NQF 2014 (Report). CEDEFOP. 2014.
- ^ Developing Highly Skilled Workers - Review of Finland (PDF) (Report). OECD. 2004.
関連項目
- 職業大学
- 専門職大学院
- 学位 - 称号・学術称号
- 博士 - 修士・専門職学位 - 準修士
- 学士 - 短期大学士
- 準学士 - 高度専門士 - 専門士
- 得業士 - 名誉学士 - 市民学士
- First-Professional Degree(米国の第一職業専門学位)
- 高度専門職業人
- 教授
- 専修学校教員資格
外部リンク
- 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第百四条.e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (第104条第1項で専門職大学院の課程を修了した者に対する学位授与を規定)
- 学位規則(昭和二十八年文部省令第九号).e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (専門職学位の種類などを規定)
- 専門職大学院について(文部科学省)