「ニザダイ」の版間の差分
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尾鰭の前には4-5個の楕円形の黒っぽい斑点が並び、このうちの3個は大きくてよく目立つ。関東から四国にかけての地方名「サンノジ」はこの斑点を漢字の「三」に見立てたものである{{sfn|山本 編|1997|p=512}}。なおこの斑点部には堅い骨質板が突き出しており、つかんだりすると怪我をする場合がある。漁獲時などの取り扱いには注意が必要である。英名"Sawtail"([[鋸]]の尾)もここに由来する。別の英名"Surgeon fish"は直訳すると「外科医の魚」であるが、これは[[メス (刃物)|メス]]のように棘が鋭いことに由来する{{sfn|山本 編|1997|p=512}}。 |
尾鰭の前には4-5個の楕円形の黒っぽい斑点が並び、このうちの3個は大きくてよく目立つ。関東から四国にかけての地方名「サンノジ」はこの斑点を漢字の「三」に見立てたものである{{sfn|山本 編|1997|p=512}}。なおこの斑点部には堅い骨質板が突き出しており、つかんだりすると怪我をする場合がある。漁獲時などの取り扱いには注意が必要である。英名"Sawtail"([[鋸]]の尾)もここに由来する。別の英名"Surgeon fish"は直訳すると「外科医の魚」であるが、これは[[メス (刃物)|メス]]のように棘が鋭いことに由来する{{sfn|山本 編|1997|p=512}}。 |
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[[新潟県]]・[[宮城県]]以南の日本から[[台湾]]、および[[朝鮮半島]]南部の沿岸域に分布する。[[ニザダイ科]]としては最も高緯度に分布している種類でもある。沿岸や瀬の岩礁域に生息し、成魚は水深10m前後で群れを作る。主に |
[[新潟県]]・[[宮城県]]以南の日本から[[台湾]]、および[[朝鮮半島]]南部の沿岸域に分布する。[[ニザダイ科]]としては最も高緯度に分布している種類でもある。沿岸や瀬の岩礁域に生息し、成魚は水深10m前後で群れを作る。主に石灰藻を食べるが、[[甲殻類]]や[[多毛類]]なども[[捕食]]する{{sfn|山本 編|1997|p=514}}。昼行性で夜間は休む{{sfn|山本 編|1997|p=512}}。 |
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[[釣り]]、[[定置網]]、刺し網などの沿岸漁業で漁獲されるが、磯臭さのため商品価値が低い。本種を狙って漁獲することはまずなく、市場に流通することもほとんどないが、[[回転寿司]][[チェーン店]]・[[くら寿司]]が商品化した<ref name="nnn21012">{{cite web|url=https://news.yahoo.co.jp/articles/61d6512431e997cd1d28e6ff1702fae0578b3ad2?page=2|title=「癒やされる」と話題の"キャベツウニ" 商標登録でふくらむ期待(2/2ページ)|date=2021-01-20|author=日テレNEWS24|work=[[Yahoo!ニュース]]|accessdate=2021-06-06}}</ref>。神奈川県水産技術センターが研究開発した[[キャベツウニ]]にヒントを得て<ref name="nnn21012"/>、一定期間[[キャベツ]]を餌として飼養し、臭みの除去に成功したという<ref name="朝日20201109"/>。 |
[[釣り]]、[[定置網]]、刺し網などの沿岸漁業で漁獲されるが、磯臭さのため商品価値が低い。本種を狙って漁獲することはまずなく、市場に流通することもほとんどないが、[[回転寿司]][[チェーン店]]・[[くら寿司]]が商品化した<ref name="nnn21012">{{cite web|url=https://news.yahoo.co.jp/articles/61d6512431e997cd1d28e6ff1702fae0578b3ad2?page=2|title=「癒やされる」と話題の"キャベツウニ" 商標登録でふくらむ期待(2/2ページ)|date=2021-01-20|author=日テレNEWS24|work=[[Yahoo!ニュース]]|accessdate=2021-06-06}}</ref>。神奈川県水産技術センターが研究開発した[[キャベツウニ]]にヒントを得て<ref name="nnn21012"/>、一定期間[[キャベツ]]を餌として飼養し、臭みの除去に成功したという<ref name="朝日20201109"/>。 |
2021年10月17日 (日) 08:54時点における版
ニザダイ | |||||||||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Prionurus scalprum Valenciennes,1835 | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
ニザダイ(仁座鯛) | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Scalpel sawtail |
ニザダイ(仁座鯛[1]、学名:Prionurus scalprum )は、スズキ目ニザダイ科に分類される魚の一種。東アジア沿岸の暖海域に生息する。海藻を食べて磯焼けの一因となるうえ、海藻の成分が発酵して身に独特の臭みを帯びるが、食用にできる[2]。尾柄にある鋭い骨質板のため、取扱いには注意が必要である。
日本での地方名は多く、バイオリン(石川)、クサンボウ(千葉県)、サンノジ、サンノジダイ(関東 - 紀伊・四国)、ニザハゲ(三重県)、サンコ、ゼニモチハゲ(和歌山県)、クロハゲ(関西・四国)、カッパハゲ(大阪府)、オキハゲ(広島県)、コームキ(長崎県)、カワハギ(鹿児島県)などがある。
特徴
成魚の全長は40cmほど[1]だが、50cmを超える個体もいる。体は広葉樹の葉のような形でよく側扁し、皮膚は小さな鱗で覆われる。短い吻が前方に突き出し、その先端に小さな口がある。若魚は成魚に比べて体高が高く、尾鰭が白い。体色は茶褐色で尾柄部の骨質突起は黒く、尾びれ・尻びれの縁は白い[1]。
体形はカワハギ類に似ており、実際にその名で呼ぶ地方もあるが、カワハギはフグ目で分類が異なる。また鰭の形状も異なる。ナンヨウハギ、シマハギ、カンランハギとは近縁である[1]。これらはニザダイに比べて色鮮やかで、観賞魚となる[1]。
尾鰭の前には4-5個の楕円形の黒っぽい斑点が並び、このうちの3個は大きくてよく目立つ。関東から四国にかけての地方名「サンノジ」はこの斑点を漢字の「三」に見立てたものである[1]。なおこの斑点部には堅い骨質板が突き出しており、つかんだりすると怪我をする場合がある。漁獲時などの取り扱いには注意が必要である。英名"Sawtail"(鋸の尾)もここに由来する。別の英名"Surgeon fish"は直訳すると「外科医の魚」であるが、これはメスのように棘が鋭いことに由来する[1]。
新潟県・宮城県以南の日本から台湾、および朝鮮半島南部の沿岸域に分布する。ニザダイ科としては最も高緯度に分布している種類でもある。沿岸や瀬の岩礁域に生息し、成魚は水深10m前後で群れを作る。主に石灰藻を食べるが、甲殻類や多毛類なども捕食する[3]。昼行性で夜間は休む[1]。
釣り、定置網、刺し網などの沿岸漁業で漁獲されるが、磯臭さのため商品価値が低い。本種を狙って漁獲することはまずなく、市場に流通することもほとんどないが、回転寿司チェーン店・くら寿司が商品化した[4]。神奈川県水産技術センターが研究開発したキャベツウニにヒントを得て[4]、一定期間キャベツを餌として飼養し、臭みの除去に成功したという[2]。
メジナ釣りなどの際に外道として釣れることが多い。掛かった際の引きは強いが、頭を振って釣り竿が震えるためメジナなどと区別できる。数十匹で群れて行動するが、釣り上げようとすると暴れ、ちりぢりになるので、連続で釣れることは少ない[1]。身は磯臭いが、新鮮なうちに内臓を傷つけずに除去し、血抜きをするとよい。また、冬には臭みが薄れる。鮮度が良ければ刺身・洗いにすることができ、塩焼き、煮付け、からあげなどで食べられる[3]。
脚注
参考文献
- 内田亨監修『学生版 日本動物図鑑』北隆館 ISBN 4-8326-0042-7
- 檜山義夫監修『野外観察図鑑4 魚』改訂版 旺文社 ISBN 4-01-072424-2
- 永岡書店編集部『釣った魚が必ずわかるカラー図鑑』 ISBN 4-522-21372-7
- 藍澤正宏ほか『新装版 詳細図鑑 さかなの見分け方』講談社 ISBN 4-06-211280-9
- 岡村収・尼岡邦夫監修 山渓カラー名鑑『日本の海水魚』(ニザダイ科解説 : 山下慎吾)ISBN 4-635-09027-2
- 蒲原稔治著・岡村収補『魚』保育社 エコロン自然シリーズ 1966年初版・1996年改訂 ISBN 4-586-32109-1
- Prionurus scalprum - Froese, R. and D. Pauly. Editors. 2008.FishBase. World Wide Web electronic publication. www.fishbase.org, version(09/2008).
- 山本保彦 編、阿部宗明・本間昭郎 監修 編『現代おさかな事典 漁場から食卓まで』エヌ・ティー・エス、1997年11月25日、1196頁。ISBN 4-900830-22-4。